2018.1.15 | CATEGORY : THIS WEEK COLUMN
今週のチャリティー先NPO・レインボーチルドレンさん(活動紹介記事はこちらから!)がサポートしているチベット人奨学生と、日本の大学生とを対象に、次世代のリーダーを育てるべく今年の3月、初開催される「日本チベット学生会議」。
この会議に参加する関西の大学生たちの間では、会議へ向けて2017年の秋より着々と準備が進んでいました。
JAMMINとレインボーチルドレンさんとのコラボ企画が始まった昨年11月、大阪で開催された第2回目の研修にお邪魔してきたので、その様子をご紹介します!
(研修の一コマ)
NPO法人レインボーチルドレン
インド・チベットの若い世代から未来のリーダーを育成する奨学金を運営するNPO法人。「教育は世界を変える」を合言葉に、チベット難民の若者への奨学金支援のほか、インドのスラム街の子どもたちへの奨学金支援にも力を入れている。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
11月末の日曜日の午後。
私が大阪・桜ノ宮の研修室を訪れた時、大学生の皆さんは、「日本チベット会議」に向け、二つのチームに分かれてレインボーチルドレンが支援するチベット人奨学生の情報をもとに、チベット人奨学生がどんな境遇にあり、どんなことを感じているのかを知るための「ペルソナ」制作ワークショップの真っ最中。
(この日の課題とゴール。チベット人奨学生の置かれている状況を知り、3月の「日本チベット学生会議」で実際に彼らと会った際のインタビュー項目を考えていく)
(リラックスした雰囲気の中、真剣な表情で課題に取り組む大学生の皆さん)
3月の「日本チベット学生会議」にも参加するチベット人奨学生一人ひとりの自己紹介カードには、奨学生それぞれの夢や、亡命した理由、家族構成などが書かれています。
(奨学生の自己紹介カードを手にする参加者の大学生。奨学生たちの置かれている緊迫した状況が伝わってくる)
(奨学生の自己紹介カードから読み取れる情報を、ふせんに書き出していく。)
カードに書かれている情報をカテゴリ分けしながら、大学生の皆さんは疑問を話し合っていました。
もしチベット人じゃなかったら、何をしたかっただろう?それとも、チベット人だからといって目標や夢は変わらないのかな?
どうして、学校の先生になりたいと思ったんだろう?
亡命してインドへ来てから、ギャップに感じたことってどんなことだろう?
『難民』という自分の置かれた状況を、悲観視したことはないのかな?
バイトはしてるのかな?
洋楽を聴いたり、洋画を観たりするのかな?
これからの目標は何だろう?
…同世代でありながら、自分たちとはあまりにかけ離れた環境のもと生きているチベット人奨学生たちに対し、次から次へと、疑問が飛び出してきます。
活動のため年に3回はインドへ足を運んでいるレインボーチルドレン代表の石川さんはじめ、スタッフの皆さんが、こういった疑問に耳を傾け、フォローします。
今でこそみんな夢を書いてくれているけれど、活動を始めた時は、みんな夢が書けなかった。
それだけ、与えられた環境の中で精一杯やらざるをえない環境だったんだよ。「チベット人が亡命する三大理由は、「教育・宗教・文化の継承」。
教育を受けるために親元を離れ、リスクを背負って亡命する若者もいる」。
教育を受けるために、亡命する。日本では考えられない話です。
(チベット人奨学生の自己紹介カード。カードの中には、先祖の代ではなく自分自身で亡命の道を選び、「周囲に迷惑をかけたなくないから」と写真を掲載できない奨学生もいた)
(ある奨学生の紹介カードには、「亡命を試みたが、中国政府に捕らえられ4ヶ月間投獄」「教育を受けることが亡命の目的だった」といったショッキングな内容と「チベット語をより深く学び、将来はチベット語を教えたい」という夢が書かれていた。チベット人が目の当たりにしている、紛れもない「現実」と、そこにあってもなお折れない彼らの意志を感じた)
(「何をするにも壁となる”難民”」「チベット人としてのアイデンティティー」…。大学生の皆さんが書き出したふせんは、この問題を考えるにあたり、ハッとさせられるようなキーワードであふれていた)
情報を整理したら、いよいよペルソナ作成に入ります。
ぼんやりと描いていた「チベットの若者」像が、より明確になってきました。
その後、今日の研修で「わかったこと」と「わからなかったこと」を整理し、わからなかった疑問や課題は、グループの中でメンバーが分担して次回の研修までに調べ上げ、なんと英語で(!)発表するという徹底ぶりです。
(「わかったこと」「わからなかったこと」を書き出し、グループ内で共有。3月の「日本チベット学生会議」に向けて研修を重ねていく中で、参加する日本人大学生の間にも確固たるチームワークと友情が芽生えていくのだろう)
終始和気あいあいと、しかし真剣に取り組む皆さんの姿が、とても印象的でした!
研修の最後、大学生の皆さんからは、
今までは漠然としていたけれど、イメージが視覚化されて、チベット人奨学生やチベットの若者のことをより知ることができた。
日本チベット学生会議に参加するにあたって、相手のバックグラウンドを知らないとできないことがある。今日知ったことを生かしていきたい。
ペルソナ設定をすることで、自分がその人になりきって考えることができた。亡命した時に何を感じたのか、早く会って話をしてみたい。
そんな前向きな感想が聞かれました。
…月に1度開催されている研修、次回以降はこのペルソナをもとに、「日本チベット学生会議」をどう実りのあるものかにしていくか、より具体的に話し合っていくのだそうです。
研修に参加していた、「日本チベット学生会議」に参加する二人の大学生にもお話を聞きました。
一人は、立命館大学国際関係学部1年生の白井莉奈子さん(19)。
紛争や民族対立などの社会問題に興味があり、タンザニアへの渡航経験がある白井さん。次のように抱負を語ってくれました。
「苦しんでいるにちがいない」「かわいそうな人たちだ」と思いがちだけれど、実際はそうではないかもしれない。
相手の気持ちを知らないと、協力し合うことさえできない。知らないことがたくさんあるので、「難民がかわいそう」という発想ではなく、一人の人間として、チベットの人たちと接してみたい。
チベットの文化、宗教、歴史を理解した上で、自分の国を持たない彼らの望むものは何なのか、実現するためには何が問題なのか、具体的にはどのようなアクションを起こせば良いのかを、共に試行錯誤しながら探っていきたい。
もう一人は、大阪大学外国語学部1年生の陳達尔罕夫さん(19)。
モンゴルのゲル生まれという経歴を持つ陳さんは、明るいキャラクターでムードメーカー的な存在。夢は国連事務総長だと言います。
将来国際連合で働き、世界平和に貢献することが目標。
大学時代はその目標に向けて様々な活動に参加することで自分を輝く国際人として成長させたい。
BE THE CHANGEプロジェクトを通して主体的に行動し、様々な価値観を知り、自分の成長に繋げたいと考え、今回のプロジェクトに応募した。“自分の頑張りによって誰かが幸せになれる”、こんなに素晴らしいことはないと思います。ここに集った日本人学生たちと一緒に、チベット人奨学生たちのために自分たちには何ができるのか考え、誠心誠意取り組んでいきたい。
…3月に開催される「日本アジア学生会議」で、日本からこの会議に参加する大学生の皆さんは何を感じ、どんな成長を遂げるのでしょうか。
そしてまた、ビザの問題から、海外に自由に行き来することが難しいチベット人奨学生の皆さんは、日本人大学生との交流を通じ、何を感じるのでしょうか。
「日本とチベット、両国のリーダーを育てる」ために始まったこのプロジェクト。
研修にお邪魔してみたら、プロジェクト名でもある「BE THE CHANGE」にふさわしく、そこには自分自身が変化の中心となって世の中を変えたい!社会を変えたい!と熱意を持って課題に取り組む大学生たちがいました!
日本チベット学生会議開催まであと2ヶ月。
初の開催となるこの会議の成功を、今週のコラボデザインアイテムを着て、一緒に応援してください!
(今回の会議に関西から参加する大学生のメンバーたち。皆、それぞれに熱い思いを持ってこのプロジェクトに参加しています!)
チベットの旗「雪山獅子旗」に描かれる
雪獅子(スノーライオン)をモチーフにしたデザイン。
山間の隔たりをものともせず
堂々と気高く飛び超える姿は、
平和への橋渡しとなる人々を象徴しています。
“Be the change”、
「君が変化の主役となれ!」というメッセージと共に、
世界平和への願いを込めました。
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