CHARITY FOR

国を持たないチベット難民の若者に、世界へはばたき、リーダーとして平和を担う高等教育を〜NPO法人レインボーチルドレン

(笑顔のチベットの奨学生。自分の名前と「将来の夢」を書いた紙を持って。)

もとは一つの独立国家であったチベット。しかし、中国の侵略を受け、土地も、そこに根付いてきた文化をも奪われてしまったというかなしい歴史があります。
現在、生きる場所を失った多くのチベット人たちは、世界各地へと亡命し、難民として生活しています。

1954年、動乱の最中、チベット政府の長であったダライ・ラマ14世は、これ以上の争いを避けるためにチベットを去り、インドへと亡命。
現在、インド北部の街・ダラムサラにはチベットの民を取り仕切る亡命政府(中央チベット政権)があり、ここで世界中に散らばったチベット難民を管轄しています。
生まれた祖国を追われた人たち。亡命後も生活は苦しく、能力を持ちながらも高等教育を受けられない若者たちが大勢います。

今週、JAMMINがコラボするのはNPO法人「レインボーチルドレン」。奨学金支援を通じ、チベットの若者に高等教育を届けています。活動開始から6年経った2017年、サポートする奨学生の数は念願の100人を突破しました。
レインボーチルドレンの代表を務めるのは石川辰雄(いしかわ・たつお)さん(47)。長崎で生まれ、幼い頃から平和教育を受けて育った石川さんは、自身も奨学金を受けて大学を卒業しました。

「教育を受け、世界で活躍できる能力を身につけたチベット人が、平和の鍵を握るのではないか」。そう話す石川さんに、活動についてお話をお伺いしました。

(お話をお伺いした、レインボーチルドレン代表の石川さん。)

今週のチャリティー

NPO法人レインボーチルドレン

インド・チベットの若い世代から未来のリーダーを育成する奨学金を運営するNPO法人。「教育は世界を変える」を合言葉に、チベット難民の若者への奨学金支援のほか、インドのスラム街の子どもたちへの奨学金支援にも力を入れている。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

後を絶たない、焼身抗議による死者。
たった一つの命を投げ出す人々

(チベット人は、子どもを含めてほとんどがチベット仏教徒。「難民」という境遇と引き替えに、信仰の自由の中に暮らしている。)

自らの体に火を放ち、中国の政策に抗議するチベット人──。
ある情報によると2009年から2014年の5年間で、136人のチベット人が焼身抗議を行っています。(そのうちの死亡者は113人)。焼身抗議を行ったチベット人の数は、現在160名を超えているとされますが、その正確な数は明らかになっていません。

彼らはなぜ、たった一つしかない自らの命をかけて、焼身抗議を行うのでしょうか。命をさし出してまで、彼らが訴えようとしていることは何なのでしょうか。

土地を追われ、そこに築かれた歴史や文化を失いながらも、彼らの中に流れるチベット人としてのアイデンティティー。

現在、世界中に約134,000人の亡命チベット人が暮らしています。
それぞれの地で、祖国を思いながら暮らしている人々。チベット人は、過酷な状況下に置かれています。

進学が困難な状況にあるチベットの若者

(チベットの手工芸品を売る店。チベット人にとって、観光産業は大切な収入源となっている。)

──チベットの若者が大学や大学院など高等教育機関に通うために奨学金支援をされていますが、チベットの若者たちが置かれている状況を教えてください。

石川:
インドに亡命したチベット難民のほとんどは、経済的な事情で大学へ行くのが難しい状況です。親が学費や下宿代を負担して子どもを大学へ進学させるケースは、皆無と言っていいでしょう。

その背景には、インドにおけるチベット難民の生活状況が影響しています。
インド側はチベットからの難民を受け入れてはくれますが、居住の土地を借りているだけの状況で、インド国籍もなく、インド社会の中で生きていく術も持たない彼らは、そのほとんどが故郷であるチベットを売りにした観光産業に携わって生きざるを得ません。

具体的には、観光客を相手にアクセサリーや編み物、手工芸品を売ったり、自分たちの住む区域のガイドをしたりしながら細々と生活している現状です。
冬場に「チベタンマーケット」で羊毛やヤクの毛で作った製品を売り、1年分の収入をなんとか得て暮らしている家庭も多くあります。子どもを進学させる余裕はありません。

──インドに住んでいるので、インド人の人たちに混ざってインドの企業や店舗などで働く、ということは難しいのですか?

石川:
インド国籍を持たない彼らは、インド社会の中で生きていく術がありません。インドには「カースト制度」が残っていますが、チベット人たちはインドの出身ではないので、そもそもカーストの外なんですね。

──ご近所さんで暮らしていても、インド人とチベット難民との間に、超えられない壁、見えない壁があるのですね。

チベット社会や文化を守るために活動する
「チベット亡命政府」

(亡命政府が置かれ、ダライ・ラマ法王も暮らすインド・ダラムサラはチベット仏教の聖地でもある。世界中から訪れる観光客に混じって、チベット仏教の僧侶が歩く姿が日常的に見られる。)

──現在、チベットはどのように成り立っているのですか?

石川:
チベットは、地図上には国を持たない国です。
住んでいた土地を追われたチベット人たちは、先に移住した親戚や知人を頼り、インドやアメリカ、ヨーロッパ各国など世界中に散らばっています。

世界中に散り散りになったチベット人を統括しているのが、インド・ダラムサラにある「チベット亡命政府」です。

──チベットといえば思い浮かぶのがダライ・ラマです。
慈悲溢れる言動にとても影響力があり、平和の象徴のような方ですね。

亡命先で生まれるチベット難民2世3世が増えていく中で、祖国を直接知らないチベット人も増えてきました。亡命チベット人社会や彼らの人権、長く伝わる文化を守り続けるために、政府として存続していかなければなりませんが、難民からは税金はとれません。

政府の財源は、現在82歳になるダライ・ラマ14世が世界各地を講演して得る支援金やチベットを支援する世界中からの寄附金に頼っていますが、それにも限界があります。

(2017年秋に行われた奨学生ミーティングで、首都デリーの様々な大学に通う学生たちと、日本の文化を伝える”布わらじ”をTシャツで作るワークショップを行った時の様子。皆が手にしているのは、完成した布わらじ。)

チベットの未来のためにも、若者に高等教育の機会を届けたい

(レインボーチルドレンの支援を受け、昨年大学に入学した奨学生たち。彼らの夢を尋ねると「教職」が一番人気。中国にあるチベット自治区と違い、インドにある自治区では、教師として次世代の子どもたちへチベットの言葉と文字と文化を教えることができるからだという。)

石川:
チベットの置かれている現状を考えると、チベットの若者たちが高等教育を受けることが非常に難しいという現実があります。しかし、インドに住んでいても、大学を卒業することができれば、将来への可能性は格段に増えます。
才能あるチベットの若者の未来のために、高等教育の機会を提供したいというのが、私たちの活動の一つの大きな目的です。

それと同時に、チベットが今後どうなっていくにしろ、古くから引き継がれてきた文化や誇りを受け継ぎ、チベット社会を守っていく人材が必要だと思っています。
そのためには高等教育機関で教養を身につけ、世界を相手に対等に渡り歩いていくことができる人材を育てていく必要があると思っていて、どんな分野であれ、私たちが支援する奨学生たちの中から、そんな人が出てきてほしいと願っています。

(元レインボーチルドレン奨学生のテンジン・ナムドルさん(通称ナムちゃん)。父親の他界を機に、母親の商売を支えるために大学での勉強を断念したが、「チャンスをくれたレインボーチルドレンに恩返しがしたい」と現地メンバーとして団体業務を手伝うように。現在はサラ大学へ復学を果たし、再び教師を目指している。)

3人から支援をスタート、現在は奨学生100名を突破
リーダー育成のために新たなプロジェクトを始動

──チベット難民の置かれた厳しい状況を知って活動を始められ、最初は3人の学生から奨学金支援をスタートし、2017年には奨学生の数が100人を突破したそうですね。

石川:
はい。現在私たちの奨学金制度に在籍している学生は100名います。活動開始から6年を迎えた昨年、ずっと目標にしてきた100名への支援に到達することができました。
大学は4年間なので、活動を始めた当初の奨学生第1期生・2期生は卒業したことになります。

今後は、引き続き100名への奨学金支援を続けながら、サポートの中身を充実させていきたいと思っています。

(年に2回行う教育省との会議の後は、教育大臣やスタッフたちと夕食会が開かれる。チベット人はお酒を飲む習慣が少なくアルコールは出ないが、夕食会で大事なことが決まることが多い。)

──具体的には、どのように充実させていかれるのですか?

石川:
社会問題を自ら変えていくことができる、未来のリーダーを育成していきたいと思っています。

社会に出た時、彼らが次世代を担うリーダーになってほしい。奨学金支援だけでなく、リーダーになる人材の育成も必要だと感じていて、卒業生も含めた奨学生の中から、チベットの若い世代からリーダーを育成する新プロジェクト「BE THE CHANGEプロジェクト」を開始しました。

(2017年に行われたダラムサラにある「サラ大学」での奨学生ミーティングの様子。四方を山に囲まれた自然の中にある大学で、天気がよければ写真のように中庭でワークショップを行うことも。)

チベットと日本。両国の次世代のリーダーを育てる
チベット政府公認「日本チベット学生会議」を2018年3月に開催!

石川:
チベット人は、難民というその特殊な立場から、海外を自由に行き来することが難しいです。有能な奨学生たちであっても、海外渡航にはビザの壁が大きく立ちはだかり、国境を越えることは容易ではありません。

チベットの未来を担っていく奨学生たちに、歴史や文化を全く異にする日本人学生との交流を通じ、異文化を知り、新たな視点や刺激を受けて成長する機会を設けたいと、今年の3月に「日本チベット学生会議」を初開催します。

団体としてこのプロジェクトを開催予定だったのですが、このことをチベットの教育大臣に報告すると「ぜひ公式に開催しよう」と提案いただき、公式な学生会議として、政府の協力を得ながら開催することになりました。

デリーとダラムサラの2箇所での開催を予定しています。

──どのような会議ですか?

石川:
チベット人奨学生100名と、日本からの優秀な大学生20名が交流し、互いを知りながら国籍や文化、信条などあらゆる違いを乗り越え、平和的な社会のリーダーを育成する場としていきたいと思っています

(「BE THE CHANGEプロジェクト」に参加し、3月に開催される「日本チベット学生会議」で日本の学生を代表して現地へ赴くメンバー。会議へ向け、着々と準備を進める彼らは、皆志の高い学生たちばかり。)

日本人とチベット人が共通して高く持つ「平和の遺伝子」。
両国の若者の交流に、平和への願いを込めて

(笑顔が素敵なチベット学校の女性の校長先生。本人曰く「愛情をたっぷり受けて育った子どもは、他へ愛情を伝えることができるようになる」。チベット学校の多くは全寮制の制度を取り、親の代わりに、同じ敷地内に住む先生と寮母さんの愛情を1日中受けて成長する。)

石川:
活動を始めた当初から、チベットの学生と触れ合うたびに「慈悲の文化」と呼ばれる彼らの深い精神性に感銘を受けてきました。平和的な社会のリーダーになる資質を、彼らは十分に持っていることに気付かされたのです。
それぞれが選んだ世界でリーダーシップを発揮し、周囲に平和的な影響を与えることで、世界全体を幸せにしていく力を、彼らは持っていると思うのです。
興味深い話ですが、日本人とチベット人が共通して持つ遺伝子があるんですよ。

──遺伝子ですか?!

石川:
遺伝子の中で”Y染色体D系統”と呼ばれるものの平均頻度が、東アジアの平均頻度が9.60%であるのに対し、チベット人は41.31%、日本人は35.08%と高い数値を示す研究結果があるんです。これはつまり、現在のチベット人集団と日本人集団はそれぞれ、太古の昔をたどると同じルーツを持つ可能性が高いということなんです。

私はこの2者が持つ同じ系統の遺伝子というのを、「平和の遺伝子」だと感じているんです。

チベットと日本、ここから、平和をかなえるリーダーが生まれていってくれるのではないか。世界の平和を考えた時、チベット人と日本人は、大きなカギを握っているのではないかと思うのです。

活動や今回の交流を通じて若者たちが何かを感じ、ここから新たな平和へのストーリーが始まっていくのではないか、と期待しています。

(スラム出身で、現在大学院(MBA)で勉強中のレインボーチルドレンの奨学生と。エンパワーメントにより昨年スラムに小さな学校をつくった彼を、さらに強いリーダーとして育成中。夢は「デリーのスラム中に学校をつくる」こと。「BE THE CHANGE」を体現していく、頼もしい奨学生の一人だ。)

チャリティーで日本を代表して会議へ赴く学生たちに
今回のコラボTシャツを届けます!

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

石川:
「日本チベット学生会議」には、日本から20名(関西より10名・関東より10名)の優秀な大学生が参加します。
私たちの活動拠点である関西の学生たちとは、昨年末より休日を利用して毎月研修を行い、この会議でチベット奨学生とどういったテーマで話し合うのか議論を重ねてきました。

(2017年11月に開催された「日本チベット学生会議」へ向けての第2回目の研修での一コマ。参加者は、奨学生一人ひとりの情報をもとに、チベットの若者が置かれた状況を読み解いていく。3月の渡航までに計6回の研修が行われ、毎回出される課題もこなしながら、参加者は会議に備える。)

(第2回目の研修にて、「日本チベット学生会議」に参加する学生の皆さんを囲んで。右端が石川さん、スタッフの皆さん、左端筆者。研修の様子を、筆者も見学させてもらいました!→その際の記事も公開しています。こちらからご覧ください

石川:
インドへの渡航費用・宿泊費や交通費等込みで、参加費は一人当たり約125,000円。それぞれがアルバイトのお金を貯めたりしながら、参加してくれています。

日本を代表し、高い志持ってこの会議に参加してくれた20名の大学生がインドへ赴く際、メンバーの皆に今回のJAMMINさんとのコラボTシャツを着せてあげたいと思っています。そのための費用・7万円を集めたいと思います。

今回のコラボデザインTシャツを着て、皆でインドへ行ってきます。ぜひ、私たち同じTシャツを着て、私たちの活動を応援していただけたらうれしいです。

──貴重なお話、ありがとうございました!

(昨年4月、神戸のヨガフェスに出展してインドやチベットに関連するアイテムを販売した際に、主要メンバーでパチリ!)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

「フリーチベット」という言葉はいろんな場所で目にしても、恥ずかしながらチベット難民の方たちが置かれている状況がここまで過酷であるということを、私はこれまで知らずにいました。

島国である日本に住んでいると、自国のアイデンティティーをあえて意識する機会はそう多くありません。一方で、居場所を追われ、つらい状況に置かれてもなお自分たちのアイデンティティーを守り、誇り高く生きようとする人たちがいるということを知り、考えさせられることが多くありました。

「和を以て貴しと為す」と言ったのは聖徳太子ですが、日本という国に生きる私たちだからこそ、平和のためにできることがあるのではないでしょうか。

3月に開催される「日本チベット学生会議」。ぜひ、現地へ赴く皆さんと同じTシャツを着て、平和への一歩を応援してください!

レインボーチルドレン ホームページはこちら

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チベットの旗「雪山獅子旗」に描かれる
雪獅子(スノーライオン)をモチーフにしたデザイン。

山間の隔たりをものともせず
堂々と気高く飛び超える姿は、
平和への橋渡しとなる人々を象徴しています。

“Be the change”、
「君が変化の主役となれ!」というメッセージと共に、
世界平和への願いを込めました。

Design by DLOP

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会社ホームページはこちら: www.pacific.co.jp

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