【INTERVIEW】言葉の壁を乗り越えて…
「YSCグローバル・スクール」で学ぶ生徒にインタビュー!

2017.12.11 | CATEGORY : THIS WEEK COLUMN

今週のチャリティー先は、外国にルーツを持つ子どもたちにオンラインによる日本語教育を提供する「NICO(ニコ) にほんご×こどもプロジェクト(NICOプロジェクト)」を実施しているNPO法人青少年自立援助センター「YSCグローバル・スクール」。

活動については、THIS WEEKの紹介記事をご覧いただきたいのですが、来日した日本語を母語としない子どもたちにとってどんなことが大変なのか、どんなことを思っているのか、今回、特別にYSCグローバル・スクールさんのご協力を得て、東京・福生にあるこのスクールに通う子どもたちにインタビューさせていただきました!

TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

17歳でペルーより来日。
「日本語がわかるようになれば、日本語のわからない両親を手伝うことができる」

今年の5月に、ペルーより来日したソーラス君(17)。
日本語を勉強して日本の高校に通うため、YSCグローバル・スクールで学んでいます。

(東京・福生にある教室で学ぶソーラス君(右)。)

両親と兄・弟は既に日本で暮らしていて、呼び寄せられるかたちで来日したソーラス君。来春の高校受験に向け、現在は日本語と受験に向けた教科学習を同時進行で学んでいます。

日本に来て大変だったことを聞くと、次のような答えが返ってきました。

日本語がよく話せません。(コンビニやスーパーで)お弁当買いたいです、困りました。からい?からくない?何がいちばんおいしい?わかりませんから。
でも、お父さん、お母さん、兄弟にもう一回会えました。毎日一緒です。嬉しい。だから大変ではありません。

(こちらは生物の授業。彼のように母語がすでに確立し、出身国で教科学習を積み重ねてから来日した場合、母語を介した学習が効果的なこともあるが、子どもの年齢や母語・日本語の発達状況によっては必ずしも有効とは言えず、通訳者の確保やコストの面なども踏まえると、日本語で直接教える方法が現実的だという。)

YSCグローバル・スクールで学ぶことについては、次のように話してくれました。

(日本語が話せるようになると)友達ができます。新しい友達、外国人も、日本人も。
優しい人たちと話せます。とてもいい気持ちです。

私いつもがんばります。

数学、社会、理科、とても好きです。もっともっと好き、は日本語の勉強です。
6歳から、ペルーで日本のアニメを観ました。『NARUTO(ナルト)』とか。いま、アニメの日本語を聞いただけで(字幕がなくても)だいたいわかります。嬉しいです。

お父さん、お母さん、日本語少しです。
私、いま(通訳して)お父さん、お母さん手伝うことできます。

少しずつ日本語がわかるようになったソーラス君は、コンビニやスーパーでもラベルを読めるようになり、今はラーメンやスパゲティが好きなのだそう。生魚はちょっとこわくて、お寿司はまだ食べたことがないそうです。
…いつかお友達やご両親と一緒に、お寿司も食べてみてくださいね!

3歳で日本を離れ母の祖国フィリピンへ。15歳になって父親に呼び寄せられ再来日

奈美さん(15)は、お父さんが日本人、お母さんがフィリピン人です。日本で生まれた後、3歳でフィリピンに渡り、今年の5月にお父さんに呼び寄せられて初来日するまで、ずっとフィリピンで育ちました。

(福生の教室にて、休み時間に友達とくつろぐ奈美さん(右)。)

来日時は日本語はまったくわかりませんでしたが、今後はずっと日本で暮らす予定の奈美さん。
市役所からの紹介で、5月末からYSCグローバル・スクールに通い、日本語教育と来春の高校受験に向けて教科指導を受けています。

高校に入学してから、どんなことが大変そう?と聞くと、次のような答えが返ってきました。

たぶん、理科とか数学。数学はぜんぶ難しい。
私は前は中学1年生でしたから、来年、高校はlesson(授業内容)がぜんぜん違う。

フィリピンにいた際に何らかの事情で就学が1年遅れてしまったため、中学1年生相応の学習を修了した段階で来日した奈美さん。
現在は住んでいる地区の公立中学校3年生に転入して学籍を置き、学校とも協議のうえ、受験までYSCグローバル・スクールで毎日勉強しています。

YSCグローバル・スクールの田中さんは「国をまたいで移動する子どもの場合、学校年度や教科のカリキュラムが日本と異なるため、学習内容に抜け漏れが生じ、日本の学校で勉強についていけなくなる一因となっている」と指摘します。

(真剣な表情で授業に取り組む奈美さん。新しい土地での暮らしは、言葉の壁だけでなく、長年離れて暮らしていた家族の新たな生活、異なる文化の受け入れなど、決して容易ではない。)

会話の聞き取りが少しずつできるようになった奈美さん。ただ、自分の思ったことを発話するのがまだ難しく、辞書を引いたりしながら、英語まざりの言葉で、ぽつりぽつりと思いを話してくれました。

前は、日本語わかりません。今は、わかります。買い物できます。
友達といっしょに勉強します、楽しいです。みんなのideaをshareできます。

いろいろな人がいる、いろいろなhabit(習慣)があることをしってほしい。

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日本語を母語としない、外国にルーツを持つ子どもたちが日本語を学び、日本の文化を知っていく一方で、共に生きていくために、私たちもまた、彼らやその家族のことを学び、知り、助け合っていく必要があるのではないでしょうか?

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