【INTERVIEW】元競走馬たちのその後。リトレーニングを経て、セカンドキャリアを歩み始めた引退馬たち

2017.10.11 | CATEGORY :THIS WEEK COLUMN

今週JAMMINがコラボしているのは、岡山・吉備中央町で引退競走馬のセカンドキャリアを支援すべく引退馬のリトレーニングを行うNPO「吉備高原サラブリトレーニング」。(団体紹介記事はこちら)

毎年7,000頭のサラブレットが誕生する中、年齢的な理由だけでなく事故やケガをきっかけに競馬界を引退する馬は、実に5,000頭にも上ります。そしてその多くが…殺処分されているという現状があります。

そんな中、引退を経て吉備高原サラブリトレーニングに在籍し「第二の人生」を歩み始めた馬について、吉備高原サラブリトレーニングさんの協力のもとインタビューさせていただいたのでご紹介します。

TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

重賞レースにも名を残した名馬。
ケガにより引退後、競技馬として、広告塔として大活躍!

最初にご紹介するのは、THIS WEEK CHARITYページでも紹介した「エアソミュール」。

(競走馬時代のエアソミュール。名を馳せた名馬でした。)

引退馬をリトレーニングし、セカンドキャリアを支援する「サンクスホースプロジェクト」の発起人でもあるJRA日本中央競馬会の調教師・角居勝彦さんが育て上げた名馬です。父にジャングルポケット、母にエアラグーンを持ち、2013年大阪城ステークスで1着を皮切りに数々のレースで優勝。2014年には毎日王冠を制するなど重賞レースにも名を残し、ファンの多い競走馬でした。

7歳を迎えたある日、左前種子骨靭帯(骨と骨を繋ぐつなぎめの部分)に炎症が再発。回復の見込みが難しくなったことから引退を余儀なくされました。
吉備高原サラブリトレーニングに在籍したのは、2016年10月から2017年5月の間。岡山に来た当時について、スタッフの方は次のように振り返ります。

当初は非常に馬っ気があり、「ザ・競走馬」という感じでした。
ただ、普段は大人しく、人に対しては従順で、すぐに環境にも慣れたようです。他の馬達とも仲良くやっていました。

名馬だけに、エアソミュールは運動能力が非常に高く、リトレーニングを受けながら乗馬体験の馬としてのスキルだけでなく、障害飛越のスキルも身につけ、現在は競技会にも出場しながら、メキメキとその才能を開花させています。

現在、エアソミュールは吉備高原サラブリトレーニングに併設されている岡山乗馬倶楽部に移っています。
全国から毎週のように現役時代からのファンが会いに来て、ファンの皆さんからのお土産(にんじん)を喜んで食べているのだそう!

ケガにより、1度終わりかけた彼の人生。
「元競走馬が殺されることなく、ファンたちが引退後に会いにいける環境づくりを」と訴えるサンクスホースプロジェクトを象徴する1頭としても活躍の場を広げています。

(競技会の後、「よくやった!」と褒めてもらっているところ。)

通算成績9戦0勝のサラブレット。競走馬としてはスポットライトを浴びなかったけれど…
現在は神事馬として第二の人生を歩む

2頭めにご紹介するのは、サラブリトレーニングに2016年8月から2017年3月まで在籍した「スケッチブック」。
2013年生まれのスケッチブックの主な成績は、’15 2回新潟5日2歳新馬にて4着、’16 1回札幌6日3歳未勝利11着と芳しいものではありませんでした。

(こちらがスケッチブック。3歳という若さで引退を余儀なくされました。)

3歳の頃、右前足に競走馬の不治の病として知られる「屈健炎」を発症し引退。オーナーの方の厚意によってサンクスホースプロジェクトに参加し、岡山の吉備高原サラブリトレーニングにやってきました。

非常に愛嬌があり、人懐っこい性格。すぐに吉備高原の環境にも慣れたようです。
人の指示もすぐに聞いてくれて、優しく誰でも乗れるような素質があるなぁと感じています。

もともと人懐っこく、おとなしい性格だというスケッチブック。リトレーニングを通じ、子どもや初心者でも乗れるような馬として成長しました。体験乗馬やホースセラピーの馬としてのスキルを身につけたといいます。

(愛嬌のあるスケッチブック。皆に愛される素質を持っています。)

そんなスケッチブックは、サラブリトレーニングを卒業後、愛媛県今治市菊間町の愛馬会へ。菊間町で毎年10月に開催される「お供馬の走り込み」という行事に、今年は神事馬として出場することが決まっています。

今年はちょうどこの週末、10月15日に開催されるというこの行事で、神事馬としてのデビューを飾るスケッチブック号。現役時代、サラブレットとしての成績は9戦0勝で、誰からも注目を浴びることのなかった彼。しかし今、着実に、誰かに必要とされる「第二の人生」を歩み始めています。

(吉備高原サラブリトレーニングにて、穏やかに歩くスケッチブック。)

殺処分一歩手前で命を救われた元競走馬。
リトレーニングを受け、馬術競技で見事優勝!

最後にご紹介するのは、引退後「片側性陰睾」という病気が判明、殺処分一歩手前までのところ命を救われた「ジャストヴァーディクト(競走馬時代名称「ジャストヴィーグル」)」です。

(こちらがジャストヴァーディクト。端正な顔つきをした馬です。)

父に日本ダービーを制覇した名馬「ネオユニバース」を持つジャストヴァーディクトは、JRA日本中央競馬会の千田輝彦厩舎で活躍。成績は24戦3勝で、中央・地方で活躍しました。5歳で左前脚に「屈腱炎」を発症。引退後、リトレーニングを受けるために吉備高原サラブリトレーニングへ。

そうすると、実は「片側性陰睾」(睾丸の1つが奥に入っている状態)であることが判明。乗馬業界でも、片側性陰睾の馬は技術や資金の面から去勢手術を行うことが難しく、そのまま殺処分されてしまうことも少なくないといいます。
しかし「1頭でも多くその命を救いたい」というサンクスホースプロジェクトの意向により、鹿児島大学へ輸送して去勢手術を実施。危険が伴う中で手術は無事成功し、岡山に戻った後、リトレーニングを開始しました。

(ジャストヴァーディクトの手術は、リスクを背負いながらも無事成功。殺処分というかたちではなく、生きてセカンドキャリアを積んでいくことを考えた時、彼にとっては必須の手術でした。)

2016年8月から2017年3月までの在籍期間中、障害を飛び越える「障害競技」や、音楽に合わせて華麗に人馬一体を披露する「馬場」、総合競技など全ての競技で活躍できるスキルを身につけたというジャストヴァーディクト。競走馬時代は騎手が乗りこなしていた馬ですが、上級者だけでなく、乗馬倶楽部の会員さんが騎乗しても乗りこなせるようにまでなったといいます。 

吉備高原サラブリトレーニングを卒業後、2017年3月に開催されたリトレーニングセールにて、岡山乗馬倶楽部の会員の方が購入。2017年6月に開催された「岡山グランプリ」という競技会で、引退馬だけが参加できる「サンクスホースカップ」に出場し、サンクスホースプロジェクト発起人である角居勝彦さんも見守る中、なんと見事3位入賞を果たしました。
先月9月24日に開催された総合馬術競技の「ホーストライアルシリーズ」にも出場。初挑戦で初優勝という見事な成績を収めています。

現在、ジャストヴァーデクトの競技馬としての日本ランキングは13位。11月に行われる全日本総合馬術大会への出場権を獲得するなど、飛躍的な活躍を見せる1頭になりました。

(10月頭に開催されたイベントにて。ジャストヴァーディクトを囲んで、写真前列左は吉備高原サラブリトレーニング理事長の西崎さん、右はサンクスホースプロジェクト発起人の角居勝彦さん。)

サラブレットとして生まれて…競走馬として生きることだけが、彼らの人生か

いかがでしたか。
サラブレットとして生まれ、サラブレットとして生きることを求められた馬たち。
しかし、能力の面でも、事故やケガに遭わないという運の面でも、果たしてそれに応え続けられる馬が、一体どれぐらいいるでしょうか。

馬も人間と同じように、性格や能力、個性はそれぞれです。勝ち気で走ることが好きな馬もいれば、静かで大人しく、じっとしていたり人間と戯れることが好きな馬もいます。

たとえ競走馬としては結果を残せなかったとしても、この世に存在するひとつの「いのち」として、他の能力を開花させ、誰かに必要とされながら生きて行く力を、どの馬も必ず持っている。
ここで紹介した3頭の元競走馬たちの引退後の活躍が、それを物語ると同時に、「引退したからといって、終わりじゃない。もっと僕たちを見ていてほしい」という、声なき馬からのメッセージのように感じます。

今週のコラボは、吉備高原サラブリトレーニングに在籍する馬たちのリトレーニングのための資金になります。
コラボは10/15(日)23:59まで。この機会に、ぜひ引退馬の可能性を拓くこの活動を応援してください!

たとえ競走馬としてではなくても、誰かに必要とされ、愛されながら生きていく。引退馬たちに、そんな「当たり前」の未来がありますように。

(「コカコーラ・ウエスト」とコラボし、売り上げの一部がリトレーニング費用になる自動販売機を設置しました!)

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“With every rising of the sun, think of your life as just begun”、「毎日陽が昇るたび、あなたの人生は新しく始まる」。

このメッセージには「引退が決して終わりじゃない、新たな可能性に満ちた日々を、必ず送ることができるんだ」という吉備高原サラブリトレーニングの思いが込められています。

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