【FACTORY#04】皮革産業発祥の地、兵庫・姫路の歴史と“原皮づくり”

2015.9.18 | CATEGORY :THE FACTORY

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FACTORY:ものづくりの現場を訪ねて歩いた記録

毎日のように目にするモノ。それにも関わらず、なんとなく見過ごしてしまって、魅力的なストーリーがあることに気がつかない。私たちの身の周りには、そういうもので溢れているのではないでしょうか。

わたしたちは今顔が見えるモノづくり、MADE IN JAPANを進めています。モノづくりの現場を見に行くことで、裏側にある職人のこだわりや想いをこのFACTORYでは伝えていきます。

皮革産業発祥の地、兵庫・姫路で続く革づくり

藩州なめし、呼ばれる姫路で作られる革。姫路の革づくりは平安時代の文献に書かれているほど歴史が長いものです。兵庫・姫路の高木地区では自然環境や京都・大阪などの当時の政治・経済の中心地から近く、古くから皮革産業がありました。

もっとも盛んだったと言われているのが豊臣時代。地域の市民が一枚の革を姫路城にいた秀吉に献上したところ、その品質に喜んだお礼に秀吉が井戸を掘った、という言い伝えがあるほど、姫路の革の歴史は古いものがあります。

5.太閤井戸の由来、そして姫路土産に革を献進 | 兵庫県皮革産業の歩み / 皮革の館

革づくりで重要な工程であるなめし前の下処理

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(見学したタイミングで工場には馬の原皮が保管されていた)

そんな姫路での革づくり、その大きな流れは、動物から剥がしたままの状態である“皮”の状態から、耐熱性や耐久性がある“革”を作り上げていくことにあります。

動物から剥いだままの皮は生鮮品のようなもの。傷みやすく、乾燥すると硬く変化してしまうという非常にデリケートです。

そのため、保存性を高め、余計な部分を取り除くという下処理やなめしと呼ばれる工程を丁寧に行うことが、革づくりの大きなポイントです。

ちなみに、動物から剥いだままの皮を“生皮”と呼ぶのに対して、なめしという風合いを増す工程までの皮を“原皮(げんぴ)”と呼びます。

大手ジーンズブランドやノートブランドのケースも作成

JAMMINの革アイテムの下処理を行っているのは、姫路市内にある有限会社大昌。大昌は、ジーンズ発祥のブランドの革パッチを納品したりや、オレンジの表紙が印象的なノートブランドのカバーも企画するほど、業界内外から高く評価されています。

JAMMINのアイテムは特殊な“なめし”をするため、大昌には原皮作りまでを実施してもらっていますが、基本的に大昌は全ての工程(生皮〜縫製)の作業が可能。分業制が一般的な姫路地域において独自の工場を経営しています。また、工場では、一頭買いをすることで安定的に素材を仕入れ、様々な製法を組み合わせ加工をされていました。

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(革の繊維をバタバタと振って柔らかくするための装置)

貴重な日本産の皮

現在、日本で製品として利用される皮は、アメリカなどから8割を輸入に頼っている(豚皮以外)と言われています。逆に言うと、日本で生産される皮革はすごく貴重だということ。そして姫路は牛や馬の生産から加工まで全てが地域内で完結している、稀有な地域です。

また、多い時には姫路に約80社ものなめし業者が皮革産業に携わっていたと言われています。姫路地域の業者が互いに切磋琢磨しながら、時に知恵を出し合い連携していたことが、姫路地域の皮革産業の技術を支えていったと考えられます。

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(大昌の工場内部の様子。様々な種類・カラーの革が並んでいた)

そのままでは傷みやすい皮を下処理する

塩漬けなった皮から肉片等を取り除く

前述したとおり、動物から剥いだままの皮は生鮮品であり、腐敗しないようにする必要があります。

なめしという工程に入るまでの待ち時間で腐ってしまっては貴重な皮を無駄にしてしまいます。そうならないためにも、まずは剥いだ生皮を塩漬けにします。塩を使うことで、浸透圧の違いを利用し、皮に含まれる水分を脱水し、成分を安定させる効果があります。

また、剥いだままの皮には、まだ動物としての肉片や脂肪が残っているため、なめしに不要な部分を除去していきます。このローラー式の機械の中に塩漬けになった皮を流し入れることで、余分な肉片や繊維を除去していきます。

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石灰乳につけなめし剤が入りやすいように加工する

塩漬けとなった状態のままの皮では、薬品が十分に浸透しないため、なめすことができません。

そのため、このタイミングで様々な薬剤を皮へ浸透しやすくなるよう、石灰乳(水酸化カルシウムの水溶液)と皮を、大きなドラム槽とよばれる回転する木製の樽に皮を入れ回転させます。ドラム槽の中には突起がついており、回転に合わせて皮がひっかかり薬剤が均等に行き渡るよう工夫されています。

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(木製のドラム槽。使い込まれた独特の雰囲気があった)

ここまでの工程を経て、初めて皮が革へと変身する“なめし”の工程に移ることが出来ます。こんなに下準備に多くのてまひまがかけられている、ということに一番驚かされました。

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(手前が石灰乳をつけた後の革。奥はクロムでなめされ青くなっている革)

良さを余すことなく使い切る

日本の革づくりの特徴は革の良さを最大限引き出すことにある、と大昌社長の大垣さんは見学中に教えてくれました。確かに下処理の工程は想像以上に丁寧に行われていました。

皮だけに限らず、資源が少ない日本だからこそ、その良さを余すことなく使い切る。そんな知恵が詰まっていること、それこそがMADE IN JAPANの本質なのかもしれません。

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(大昌社長の大垣昌道さん)

会社情報

会社名:有限会社大昌
住 所:兵庫県姫路市花田町高木110
電 話:079-285-3147

関連リンク

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