CHARITY FOR

大学生が社会を変える! 「中古教科書」と「途上国の教育支援」をつなぐ一般社団法人STUDY FOR TWO

みなさんは大学生の頃、教科書をどのように買っていましたか?

私は毎回、大学内の生協に設けられた特設ブースの長蛇の列に並び、1時間ぐらいかけて買っていました。しかも半年に一度づつ。

自分で買う以外には、サークルの先輩から教科書を安価で譲り受けた!という方もいらっしゃると思います。実は、日本に「教科書の安価な譲り受け」とチャリティーと繋げてしまおう!と大胆な発想と行動力で動き続ける大学生たちがいます。

今週のチャリティーは、一般社団法人STUDY FOR TWO(SFT)。大学の使用済み教科書を回収し、定価の半額で販売。その収益を途上国の子どもたちの教育支援にあてる活動を展開。現在までに1,600万もの金額を提供し続けています。

(120名を超えるメンバーが全国から集まり、楽しく学びあった全国合宿の様子)

2015年にもJAMMINとコラボした際に、その仕組みを紹介していきましたが、最近さらに活動がパワーアップしたとのことで、代表理事の石橋孝太郎さん(26歳)に話をお伺いしてきました!

一般社団法人STUDY FOR TWO

今週のチャリティー

一般社団法人STUDY FOR TWO

東京に事務所を構え、勉強したいと願うすべての子どもたちが勉強できる世界を実現することを目指す非営利法人。

TEXT BY KEIGO TAKAHASHI

教科書を「安く買いたい」と途上国の「学びたい」を繋げる仕組みとは

(SFT代表理事の石橋孝太郎さん)

──まずは、SFTの取り組みについて教えてください。

石橋:
無償で譲り受けた教科書を、定価の半額で自分たちで販売し、その収益で途上国の教育支援をしています。

(STUDY FOR TWOの活動の全てを表した図)

私たちの取り組みは、不要になった教科書の回収から始まります。大学では半期ごとにカリキュラムに沿って、教科書が必要となります。その後、授業が終わると、普通は使わないことも多いので、自宅で保管するか捨ててしまうかします。私たちは、不要な場合は弊社に無償で譲渡してもらいます。

(団体内トップの活動規模を誇る京都大学支部がメンバー総出で楽しく教科書回収をしている様子)

次に、そして回収した教科書を自分たちで販売します。場所は大学の構内か、通学路のどこかに場所を借りて販売することもあります。販売価格は定価の半額。よく大学周辺にある古本屋さんに近い相場感で販売していますね。

その販売から得た収益のうち、必要な20%の事務経費を差し引いた金額をすべて途上国の教育支援のために活用しています。

(青空の下教科書販売ブースを構え、オススメの教科書とともに写真に写る広島大学支部)

教科書の再販と寄付を繋げるための運営方法

──この仕組み、「安く買いたい」という学生さんのニーズをうまく取り入れつつ、しかも社会貢献まで出来ちゃう!という一石二鳥のモデルですよね。

石橋:
そうですね。現在は、700名弱の大学生メンバーが全国にいて、年に2回の教科書の販売シーズン、4月・10月に集中して活動しています。正確な数字はわからないのですが、OB/OGも合わせるとこれまで活動に関わった学生は、3,000名ぐらいに上ると思います。

──1回の販売シーズン、4月・10月それぞれでどれぐらいの販売額(売上)になるのでしょうか?

石橋:
一回あたり500万円ぐらいを目標に活動しています。その目標を北は北海道大学、南は熊本大学まで、全国約50大学にで共有し、販売してもらっています。

──普通にビジネスとしても成立しそうな規模感ですね!学生の方のモチベーションはどこにあるのでしょうか。提供する人、買う人、団体のスタッフとして関わる人それぞれで意識は違うと思います。

石橋:
提供する人にとっては、家に置いてあった本、売ったとしても大した金額にしかならない教科書が役に立つなら提供しようという思い。買う人はシンプルに「安く教科書が買える」。スタッフは、高校生時代にボランティア活動をしていた学生が気軽に手伝える社会貢献として関わってくれているという感じです。

(受け取った教科書代で、また新たな子どもたちの支援につながります)

「夢がある」途上国の子ども達たちと、「恵まれているが何も夢がない」大学生との出会い

──この仕組みを始めようと思ったきっかけは何でしたか?

石橋:
大学1年生の春休み、2010年3月に大学のボランティアサークルのツアーでラオスに行っていました。ツアーに参加した頃は、僕自身夢も特になかったですし、大学に対して特にこれを学びたい!という思いもありませんでした。

──僕もそうです(笑)

石橋:
でも、現地へ行くと、小学校は沢山あるのに中学校の数がすごい少ないんですよ。要は学校へ通えていない子どもが沢山いるという意味なんですが、そこにまず驚きました。

そして、子どもたちと直接話をしてみると「警察官になりたい」とか明確な夢があり、学校で勉強し続けたいと話をしてくれる。自分は特にやりたいこともないのに大学へ行けている。恵まれているだけなんですね。運が良かったというか。

そして、この子どもたちのうち、一人でも多くの子どもたちが学校に行けるようになるにはどうしたらいいのか、と考えるようになりましたね。

(創設者である石橋さん(写真左)が初めてラオスを訪れた様子。子どもたちは興味津々で寄ってきてくれたそう)

ある日、「たまさん」から安く譲ってもらった教科書から見えたヒント

──そのツアーに参加した時に、この仕組みを思いついたのですか?

石橋:
いえ、まだ全く思いついてません(笑)。目の前の現実に「どうしたらいいのだろう」と考えてはいましたが。

そのツアーからの帰国後、4月に2年生になった時、教科書を買う必要がありました。実家が特にお金持ちという訳ではなかったので、2個上のサークルの先輩だった『たまさん』に、ミクロ経済学とマクロ経済学の本を安く譲ってもらったんです。

教科書を譲ってもらったという話を家で母に話をした時に、ふと「この仕組みって、みんな参加したいのではないか」と思ったんです。

──みんな、安く教科書が買いたいはずってことですよね。

石橋:
そうです。2010年当時は、安く教科書を買う方法って少なかったんですよね。古本屋はありましたが学生の数に比べれば取り扱い数は少ない。SNSもまだまだの頃ですし、メルカリのような不用品を気軽に売れるようなスマホアプリもなかった。じゃあ自分で作ってしまえばいいじゃないか、と考えるようになりました。

そして、当時も今もしたいこと「途上国の教育を支える」ために、売上を使うことが出来れば、より多くの人に教育が届けられるんじゃないか?とも考えていました。

──すべてのタイミングというか、悩んでいたことやアイデアがピタッとはまった!という感じなんですね。それにしても、「たまさん」は凄いことしましたね!(笑)

石橋:
(笑)。で、ここからは「ニーズが本当にあるのか」とアンケートをしようと思い立ちました。A4サイズの紙に25問の質問が書かれた、1,000部のアンケートを印刷して、ひたすら聞きまくりましたね。

──1,000人に話を聞いたんですか!?すごい行動力ですね!

石橋:
当時はネットで簡単に回答・集計出来る方法とかも知らなかったですからね。しかもエクセルも使えなかったので、手で全部集計して(笑)。

手で集計したアンケートの結果がすごく良かったので、「これは行ける!」となり。10名ぐらいの仲間と一緒に活動をスタートしたのが、2010年の10月ですね。

(STUDY FOR TWO創設当時のメンバー。現在、600名を超える学生が全国各地で活動しています)

一人の大学生のアイデアが、3,000人もの大学生が関わる活動へと成長

──そこから、3,000名を超える大学生が関わる団体へと成長していく訳ですね。

石橋:
そうですね。最初は僕の母校「早稲田大学」からスタートしまして、そのあと「慶應義塾大学」「明治大学」の3校と自分たちで拠点を拡げていました。

その後は学生からの問い合わせがバンバン来るようになりました。2011年中には「津田塾大学」「青山学院大学」「立命館大学」「同志社大学」と拠点がどんどん増えてきました。

力を入れていたのがTwitterを通じての広報でした。ちょうど2011年の震災後に一気にTwitterのユーザー数が増えたタイミングだったので、その波に乗れたのも大きかったですね。

(国際協力をより身近に感じてもらうために、Twitterのリツイート機能で寄付ができる仕組みを考案)

──どんな感じで学生さんは、参加したいと声をかけてくるのですか?

石橋:
例えばなんですが、熊本出身の大学生がいるとしますよね。SNSで、「教科書が半額で買える」「途上国での教育支援になる」と投稿すると、彼(彼女)と同じ高校に通っていた友人が目にします。熊本出身でも同級生は全国の大学にいるので、こうやって情報がどんどん拡散されていきました。

その友人のうち一部の方から「面白そうなことをやってるな」「やってみたい」と思ってくれ、「友達のSNSで見たんだけど、うちの大学でもやりたい!」という流れで参加者が集まってきたという感じです。

日本の大学生の意識も現地へ行くことで変化

──途上国の支援活動ということなのですが、現地を支援する仕組みはどうなっているのですか?

石橋:
現在は、日本のパートナーNGOと一緒に寄付先を選び、女の子の奨学金を提供しています。JAMMINとも過去にコラボしていた、途上国での図書館建設などを通じて学びを届ける「Room to Read」さんがパートナーとなってくれています。

──なるほど。学生の子たちは現地へ行かないのですか?

石橋:
年に一回、スタディツアーとして、建設した小学校の見学へ行っています。やはり、自分たちで集めたお金で出来た学校を見ると、スタッフ達はすごく感動してくれます。

──現地へ行った学生からはどんな感想がありましたか?

石橋:
例えばですが、こんなものがありました。

バングラデシュに行ったことで、改めて支援をする責任を感じることができました。

支援はされる側の人生に深く影響を与えます。彼らの人生に関わる責任を感じながら、これからも出来るだけ多くの子どもたちに学習機会を提供することで彼らの見る世界を変えていきたいと強く思いました。

今回は貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。(前学生代表よりコメント)

(前回のJAMMINとのコラボの際に挑戦していた学校建設が成功し、そこに通う子どもたちに温かく迎え入れられるメンバー。沢山の笑顔が溢れていました)

バングラデシュの300人の女の子が、学校へ行けるようになるためのチャリティーを集めたい!

──素晴らしいですね!現地へ行くと思いが強くなりますもんね!この仕組み関わる大学生の成長という面でも効果が大きいですね。最後に、今回のチャリティーの使途についてお聞かせください。

石橋:

バングラデシュの女の子が中等教育(小学校を卒業後の教育)を受けるの費用を、奨学金として提供したいと考えています。

現在、バングラデシュにおける中等教育の総就学率は58.3%(2013)であり、まだまだ教育の機会の均等には程遠い現状です。

しかしながら、実際に学校を建設したことで現場を見に行ったところ、情熱を持って教育に向き合っている先生方に出会いました。これはそれだけバングラデシュの国自身が教育の支援を切望している証と言えます。

また、提携しているRoom to Readさんは女子教育に力を入れている組織で、「女子が教育機会を得ること=次世代を育てること」というスローガンにSFTとしても共感し、寄付先を決めました。

1人あたりおよそ3万円なので、今回のチャリティーキャンペーンを通じて、7人分の奨学金費用・21万円を集めたいと考えています。

(目をキラキラと輝かせて勉強に励む女子学生@バングラデシュ)

──3万円で1人の女の子の人生を変えられる可能性がある、って改めてすごいことですよね。

石橋:

そうだと思います。バングラデシュでは、中学までの義務教育が終わってからは、高等教育を受ける機会が少ないので、ぜひ今回のチャリティーアイテムを通じて応援してくれば嬉しいですね!

──貴重なお話ありがとうございました!

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜編集後記〜

石橋くん、実は8回生まで大学に通っており(今年の3月にやっと卒業!)、現在は、ベンチャー企業への投資を行う、ベンチャーキャピタルの取締役としても活躍しています。凄いな。。。

日々、経営について考えている彼ですが、現在、中古教科書の販売はインターネット通販大手の「Amazon」が取り組んでいたり、長い目で見ると、SFTの活動が安泰であるとは言えないと思います。

それでも、「途上国の学びを届けたい」と願う学生の数はきっと増えていくと思います。お金ではない価値・体験という武器があります。

そもそも、この仕組みどこかのファッションブランドとちょっと似ていませんか?

そう、私たちJAMMINです。カッコいいものは世の中に沢山ある。価格はユニクロに比べれば高い。そんなアパレル業界で、「手軽に、楽しくできるチャリティー」をコンセプトに、累計1,500万円以上の寄付を届けてきました。

JAMMINと同じように「自分たちにできることをしよう」と奮闘する日本中の大学生たちを通じて、バングラデシュの女の子の「学び」を一緒に応援していきましょう!

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I AM A PART OF EVERYTHING THAT I HAVE READ「私は、自分が今まで読んだ全てのものの一部である」

アメリカの第26代大統領 セオドア・ルーズベルトが語ったとされるこの言葉。読書が人生を豊かにしてくれる、というメッセージを込めています。

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