2023.3.24 | CATEGORY : TODAY
2月6日に発生したトルコ・シリア大地震。
歴史的・政治的な背景から支援の手が届きにくい地域で被災した方たちに必要な物資を届けるため、2022年3月にコラボしたPiece of Syria(ピース・オブ・シリア)さんのコラボアイテムを、緊急支援チャリティーとして販売中です。
地震発生からもうすぐ2ヶ月。
現地の状況ついて、Piece of Syria代表の中野貴行さんに話を聞きました。
(被災し、布団の側でしゃがみ込む人。地震によって、日常が奪われた。写真はすべてPiece of Syria提供)
──震災から1ヶ月経ちますが、現地の状況は?
中野:
シリアで活動する現地スタッフの話を聞くと、地震発生から1ヶ月経ち、3月に入り気温も少しずつ温かくなってきたので、その点では被災した人たちが過ごしやすくなっていると聞きます。
また、震災直後は支援が届かなかった状況も改善されており、本当に嬉しいニュースです。しかし支援の受け取りに対して、シリア政府と反シリア勢力の間で、少なからず問題が起きているとも聞いてます。ただ、いろんな情報が行き交い、どれがどこまで事実であるのかは、現地にいない僕には、正確なところはわからないです。
日本をはじめ国連や各国の支援は、シリア政権の認可を得て届けられることになっています。
一般的には普通のことですが、内戦状態にあるシリアでは、反体制派の組織が「シリア政権を正当な政権として認めることになるから」と、届いている支援の受け入れの拒んでいるケースがあります。2011年から続く戦争の中で生まれた不信感の根強さを考えると、分からない話ではありません。
(被災地に運び込まれるテント)
(テントは、骨組みから手作業で組み立てられる)
中野:
ただ一番大切なことは、政権側とか反体制派側とかいう以前に「被災し、支援を待っている人がいる」ということです。政治的なことに一般の市民が振り回され、支援が届かなければ、元も子もありません。支援を必要としている人たちがいることを忘れてはならないと思っています。
──食糧やテントなど、必要な物資は届いているのですか。
中野:
シリア政権側、反体制派側それぞれに物資は届き出しています。特に食糧や医薬品については、国連や大きなNGOが優先的に届けているようです。
じゃあ支援はもう不要なのかといわれると、そういうことではありません。
テントがまだまだ必要だと聞いています。世界各地から支援が届いているトルコでさえ、140万人がテントを必要としているのに、3万人分しかないといいます。シリアの場合は政治的背景から支援が入りづらいので、状況はより大変です。公共サービスのないシリア北西部では、NGOがテントを購入して被災者に配布をしていますが、そのテントの値段が高騰しています。
──今後、必要な支援は?
中野:
引き続き、衣食住を支援していくことも重要ですが、震災から1ヶ月以上が経ち、被災した方たちの心の問題も出てきています。余震も続いており、心の問題は今後、より顕著に出てくるのではないかと危惧しています。心のケアも必要になってくるでしょう。
団体として、支援している学校や幼稚園を通じて、子どもだけでなく、お母さんの心理的・社会的なケアも両輪で行い、不安定な部分をサポートする活動にも力を入れたいと思っています。
(震災後に開かれた、Piece of Syriaが支援するSAKURA幼稚園の卒園式)
(被災した建物)
中野:
未曾有の大地震の中で、シリアでは必要な支援が届かないがゆえに、助け合いはすごく行われているようです。
僕がシリアにいた時に出会った友人たちも、被災して家を失った人たちに「使っていない部屋があるから、うちに来てくれたらそこを提供します。落ち着くまで住んでくれていいよ」という発信をしているのをSNSで見かけます。
今回の震災後、すぐに支援が届かない状態になった際も、家庭からいろんな物資を持ち寄って、被害の大きかった地域へ配布するということも行われていました。僕の友人も「豆、米、小麦を寄付したよ」と話しています。
(ホブズ(中東の主食の薄いパン)を受け取る子ども。カメラに気付き、手を振ってくれた)
中野:
シリアの人たちは誇り高く、親切で心が豊かで、おもてなしが大好きな人たちです。
僕もシリアにいた時、何度シリアの人たちにもてなしてもらったことか。
支援が届かないことを嘆くだけでなく、こうして助け合いが行われていること。シリアの人たちが、このような状況に陥ってもなお、自分のことしか考えないのではなくて、周りの人たちのこと、皆のことを考えて動く姿を見た時、失われていない国民性を、さすがだと感じましたし、本当に大変なことばかりの中で、嬉しく感じたことでもありました。
日本からの支援に対して、シリアに関心を寄せ続けてくださる方がいることに、現地からも感謝の声が届いています。地震の前からずっと戦争でしんどい状況にあり、それでもなかなか支援の目が向けられることがなかったのですが、「見放された」「また無視された」ではなく、こうして支援が届いていること、遠い海の向こうの日本から、シリアを思う人たちがいるということは、現地の方たちにも伝わっていると思います。
(2008年、シリアの街角の風景。道を歩いていると「お茶を飲んでいきな」と声がかかる)
中野:
日本も地震のある国で、今回の震災について、今の状況、1年後、5年後、10年後…、僕たちがいちばんよく理解できるのではないかと思うのです。地震が起きた後も、しばらくは大変な状況が続くでしょうが、日本でも徐々に報道は減っていくでしょう。
でもそれは、状況が落ち着いたとか終わったということではありません。復興を見据えて、引き続き関心を寄せていただけたら嬉しいです。
「シリアをまた行きたい国にする」、これは僕たちがずっと掲げてきたミッションです。「日本の皆さんのおかげで、ここまで良くなったよ」と言えるような支援、そして発信を、今後もしていきたいと思っています。ぜひ、キャンペーンで応援いただけたら嬉しいです。
(2022年、首都ダマスカスに住む中野さんの友人が撮影した桜の花。シリアでも、日本と同じ時期に桜の花が咲くという)
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緊急支援チャリティーとして、Piece of Syriaさんとのコラボアイテムを復刻再販しています。
アイテム購入につき700円がチャリティーされ、被災した方々の支援のために使われます。
“You are the piece of PEACE(あなたこそ、平和の1ピース)”とかかれたコラボデザインアイテム、今回新たにワンポイントデザインも登場しています。コラボアイテムで、ぜひご支援いただけたら幸いです。
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