【INTERVIEW】障がいを乗り越えて。プールの中から、弾ける水泡のように生まれ続ける”小さな奇跡”

2017.8.7 | CATEGORY : THIS WEEK COLUMN

今週のチャリティー先は、「障がい者の人たちにもプールの楽しさ、水と戯れる楽しさを知ってほしい!」と、マンツーマンで付き添いプールに入る活動を18年続けてきたNPO法人プール・ボランテイア。

プール・ボランティア紹介記事にも書いたように、最初はなかなか周囲の理解を得られず、大変だったというご活動。
そんな中、一人また一人と通う生徒さんが増え、1回2回とレッスンを重ねるうちに、少しずつ、少しずつ、小さな”奇跡”と”感動”が生まれていました。

今回、特別にプール・ボランティアに通う生徒の方にインタビューをさせていただいたので、その一部をご紹介します!

TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

「限りなく脳死に近い植物状態」。
そう診断された娘が、プールで嬉しい雄叫びをあげている

両上肢・下肢機能全廃及び体幹機能障害のため、寝たきりのアヤさん(23)。
17年前、6歳の頃から通算でなんと514回(!)プール・ボランティアに通い続けています。

(アヤさんは肢体不自由のため、プール用車イス(ベッド型)を使って入水した後、補助浮き具を着用してプールを楽しみます。)

「限りなく脳死に近い植物状態」と医師から診断されたアヤさん。しかし、お母様は、そんなアヤさんがお風呂やプールに入ると表情豊かに喜ぶ様子を見て「定期的にプールに入れる方法がないか」と思っていた時、偶然病院でプール・ボランティアのことを知ったのだそう。

「こんな重度なハンディを持っている子を、引き受けてくれるのだろうか」。最初はそんな気持ちで、一か八か連絡をしてみると、こちらの不安を吹き飛ばすかのような対応で「大丈夫ですよ!一度、アヤちゃんに会ってみましょう!」と言っていただきました。

会って「これなら大丈夫」とGOサインを出していただき、以来、ずっと通っています。
最初は体力もなく、覚醒レベルも低く、半年に1回通うのがやっとでした。けれど次第に体調も落ち着き、高学年になってからは月2回、中学生になってからは年間通じて週に1回、通うようになりました。

出会ってから17年、大好きなプール・ボランティアのスタッフさんと一緒に、毎週娘の嬉しい雄叫びがプールに響いています(笑)

(アヤさん(中央)。「水中でしかできない動きで、身体をほぐしたりストレスを解消したり、プールはとても有効。多くの方に活動を知ってもらい、ボランティアさんが増えてくれれば」とお母様。)

ちょっと年上のプール友達もできました。
プール・ボランティアさんとの出会いが、娘の生活をより楽しく、充実したものにしてくれています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです!

障がいを理由にどこのプール教室からも断られた息子。
今では1.5kmをスイスイ泳ぐまでに

タクミ君(16)は、プール・ボランティアに通い始めて10年。知的障害があり、そのことを理由に、どこにプール教室からも入会を断られたのだといいます。

(プールでピースサインのタクミ君。)

お母様がインタビューに答えてくださいました。

どこのプール教室からも、障がいを理由に断られ。やっとプールボランティアさんに巡り会い、受け入れていただいた時の嬉しさを今でも覚えています。

岡崎さん(プール・ボランティア理事長)に、大きな声で(笑)「お母さん!任せてください!必ず泳げるようになるから!」と言われていた時、小学低学年だった息子はビニールプールしか入れず、顔を水につけることすらできず、感覚過敏からゴーグルもつけることができませんでした。

当時は、息子が泳げる日がくるなんて、全く考えもしていませんでした。

それでも、毎週プールに通い続けたタクミ君とお母様。

毎週、いろんなボランティアさんと楽しみながら、褒めていただきながら、プールに通う日々が始まりました。
活動を通じて、息子は、他人と関わる楽しさを学び、褒めていただく体験を重ねていきました。自尊心がぐんぐん育てられ、こだわりや感覚過敏が軽減されていき、どんどん上達していきました。

いまでは、毎週1.5キロ以上スイスイと泳いでおり、活動を楽しみにしています。

(プールの中でひたすら泳ぎに熱中するタクミ君。)

ボランティアさんと関わる事で、人と一緒に過ごす楽しさから、コミュニケーションがどんどん広がり、発語や学校生活で必要な社会ルールも学ばせていただきました。
もちろん、定期的に体を動かす事で、身体発達だけではなく心の発達も伸びていきました。

高校生となった今、支援学校までバスと電車で自力通学し、自立身辺は問題なく、プール後、洗濯までやっています(笑)。
いまでは、プールボランティアの活動は、彼のライフワークとなっています。

「泳げる=世界が変わる!誰もが成長できる!」。一人でも多くの障がいを持つお子さんに、息子と同じような体験をしてもらい、泳げる素晴らしさを知ってもらいたいです。

自閉症の娘。
プールに通うことで「やればできる!」という達成感を知った

ミサトさん(14)は、知的障害を伴う自閉症があります。プール・ボランティアに通い約9年。苦手なことにもチャレンジできる力が身についたとお母様は話します。

(水中で満面の笑みでピースサインを決めるミサトさん。気持ちよさそう!)

彼女が「できる!」という喜びや達成感を初めて知ったのは、プールです。
「頑張る」という経験を何年も続けました。それを大好きなボランティアさんに褒めてもらい、「嬉しい!」という感情に繋がりました。
自分の感情に気づけたことで、さらに頑張れる様になったり、苦手な事にもチャレンジすることもできるようになりました。

人と関わることにあまり関心が無い娘にとって、プール・ボランティアに通うことで、たくさんのボランティアさんと関わる事もとても貴重な経験であり、実績にもなりました。

(「人とのコミュニケーションも楽しんでできるようになった」とミサトさんのお母さま。ボランティアのスタッフと一緒に、嬉しそうな笑顔。)

プール・ボランティアに出会い、リハビリを楽しめるようになった!

ミキさん(42)は2年半前、脳性マヒのため車椅子で生活していた時、主治医の先生からプールでのリハビリを勧められました。

主治医からプールでのリハビリを勧められたのですが、地元にプールはあるものの、一緒に入ってくれる方や手伝ってくださる方が見つからずに断念していました。それでも、どうしてもプールでのリハビリがしたくていろいろ調べた結果、プール・ボランティアの存在を知り入会しました。

最初は「体を良くしなければ」という気持ちが強かったのですが、ボランティアさんと何気ない会話していくうちに気持ちが徐々にほぐれ、リハビリを頑張るというより、リハビリを楽しむ!ぐらいに、気持ちに余裕が出てきました。

(兵庫から大阪の教室に通うミキさん(中央)。)

良い主治医の先生と出会い、入院治療を受けた結果、再び歩けるようになりました。
プール・ボランティアに入会してプールでの運動を続けたことも良かったと思っています。

プールでリハビリをしたいと思っている方はたくさんいると思います。でも、身体的な事情で1人でプール入れない、という方もたくさんいると思います。
また、これから高齢化社会なので運動機能を維持したり、全身運動したりするのにプールは本当に効果的! プール・ボランティアのことをたくさんの人に知っていただきたいと思います。

障がいにより水に浮かぶことが困難な方のために、補助浮き具を開発中!
今回のチャリティーに、ぜひご協力ください

いかがだったでしょうか。他にも何名かお答えいただきたのですが、それらを読み原稿を書きながら、そして送られてきた満面の笑みのお写真を見て、私は泣きそうになりました。笑顔いっぱいの素敵な写真も、以下に掲載しておりますので、ぜひご覧ください!

すばらしい活動の輪が、広がっていきますように。

そして、自分で水に浮かぶことが困難な方のために開発途中の「補助浮き具」の開発費用を集める今回のチャリティーに、ぜひご協力ください!
たくさんの方が、水の中で、そして水を通じて、新たな経験と可能性に、出会えますように。

NPO法人プール・ボランティア 活動紹介原稿はこちらから!

09design

潜水艦や魚、海藻…。
水中の世界に、車やビル、木々や鳥など陸上の世界が混在しています。
「水中では、誰もがなりたい自分になれる」、そんな思いを表現しました。

“I can be myself in the water”、「水の中では、本当の私になれる」。
そんなメッセージを添えています。

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