【FACTORY#02】生成りの生地を染める

2015.6.21 | CATEGORY : THE FACTORY

毎日のように目にするモノ。それにも関わらず、なんとなく見過ごしてしまって、魅力的なストーリーがあることに気がつかない。私たちの身の周りには、そういうもので溢れているのではないでしょうか。わたしたちは今顔が見えるモノづくり、MADE IN JAPANを進めています。モノづくりの現場を見に行くことで、裏側にある職人のこだわりや想いをこのFACTORYでは伝えていきます。

生成りの生地を染める

ウールの産地として栄えた地域に根付く染色工場

愛知県一宮市周辺は、奈良時代から織物の産地として栄えた地域。その一体は尾州と呼ばれ、国産のウール素材の約80%が生産されているといいます。

一宮は名古屋への通勤アクセスが良くベッドタウンとして人気の場所のひとつ。新しいマンションや住宅が立ち並ぶ一宮市の中心部、私鉄名古屋鉄道の尾張一宮駅からほど近くにJAMMINのアイテムを染めてくれている「合資会社柴新染工所」があります。

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(染めの工程を行う工場。所狭し並べられた機械から蒸気が立ち上る)

綿の風合いを残しながら染める

染めは生成り色の生地に色をつけていく作業。現在、アパレルに使われる染料の多くは十分に検査が行われた化学染料にて行われています。

染色のタイミングには3つのパターンがあります。糸の時点で染める方法、生地の時点で染める方法、製品を直接染める方法。JAMMINのTシャツは、織られたひとつの生地を白と黒に染め分ける方法でお願いしています。

染めの方法は、ホワイトとブラックによって異なります。ホワイトのTシャツは、編まれたままの生成りの生地を、塩素系の染料等により漂白。蛍光染料を上乗せし染色。一方、ブラックのTシャツは、精錬・漂白し白色になった生地に黒の染料を入れていきます。生成りのまま黒の染料を染めるより発色・色持ちがよくなるためだそう。

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(染の工程を待つ生地。この時点では生成り色をしている。)

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(染料に浸すための機械。金属製の芯の外側を生地がグルグル回転することで、下部にある染色液のプールがあり何度もくぐらせることで染めていく。)

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(染めが終わり機械から出てくる生地。この時点で染めに使う薬品は落とされている)

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(回転式の染機から出された生地を脱水する機械。洗濯機の脱水と同じ仕組みだ。)

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(脱水が完了した後、ランブラ乾燥機へ生地を入れ乾燥させる。)

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(生地を熱風が出るコンベアに載せて乾燥する機械も。乾燥に時間がかかるが、こちらの方が自然に近い乾燥が出来る。)

綿密な染めの品質管理

染めの工程は、多数の機械を経て作られていきます。作業は大胆に進んで行きそうに思えるが、管理方法は実に細やか。例えば、染料の配合。その日の温度や湿度、求められる仕上がりの色目・風合い、その全てを計算した上で配合を行っています。

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(染色液を作るスペース。わずかな誤差が仕上がりに大きく影響するため繊細な作業が求められる。)

さらに難易度が高いのは追加注文の染め。以前に納品した商品と違いがあってはならないため、以前の染色サンプルや配合レシピを保管し、職人の長い経験と鋭い勘によって染めの技術は守られている。

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(過去に染めた生地は染色液の配合比率、生地のサンプルを保管。追加発注があった場合、仕上がりに差が出ないよう配慮している。)

そして、染めの労働環境はかなり過酷。温度を上げることで染料が浸透しやすくなるため、機械から出る蒸気で夏場の現場作業は相当大変とのことでした。こうした地道でかつ大変な作業がモノ作りのクオリティを支えています。

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(染めている最中も機械を何度と無く止め、仕上がりをチェックする。)

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(染色の最も重要な工程を担う野尻氏(左)と斎藤氏(右))

変わらず受け継がれる染めの技術

日本の染色の歴史は、8世紀ごろ先進地域であった中国や朝鮮半島の影響を受けたのが始まり。その後長い時間をかけ、染色文化は公家・武家だけでなく町人や農民にも広がり、友禅染等の日本独自の染色文化を築いてきたと言われています。

戦後すぐの昭和22年に創業した柴新染工所。これからも変わらず染めの技術が受け継がれれていくことを願ってやみません。

会社情報

会社名:合資会社柴新染工所
住 所: 491-0904 愛知県一宮市神山2-14-18
電 話:0586-45-3388