
動物実験の廃止を求め、1986年から活動しているNPO法人「動物実験の廃止を求める会(JAVA)」が今週のチャリティー先。
国際的な流れとして「動物実験をなくしていこう」という風潮が強くなってきているものの、日本には動物実験を禁止する法律がなく、その実態はまだまだわかっていません。
今回は、動物実験廃止の関心が高まっている「化粧品」を中心にお話を伺いました。
「たとえば自分たちが普段使っている化粧品で、実は動物実験が行われているかもしれないということを知らない消費者の方も、たくさんいます。
動物実験の実態がよくわからない中で、法律として禁止すれば、問題は一気に解決の方向に向かうことができると考えていて、JAVAは今、化粧品の動物実験の法的禁止を求めて活動しています」
そう話すのは、スタッフの石島伊代(いしじま・いよ)さん(38)。
活動について、お話をお伺いしました。

お話をお伺いした石島さん
NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)
動物実験の廃止を求める活動を中心に、動物と人間が共存共生できる豊かな社会を目指して、積極的な活動を展開している全国規模の特定非営利活動法人です。国連顧問団体をはじめ、世界100以上のNGOと協力し、連携をとりながら実践的で幅広い動物保護活動に取り組んでいます。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/8/31

頭蓋骨に穴をあけられ脳に電極が差し込まれている猫。左目は脳細胞の損傷の兆候を示している。実験では強制的に起きている状態にさせられた
──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。
石島:
1986年に設立された団体で、団体名の通り動物実験の廃止を求めて活動を続け、今年で40周年を迎えました。団体の英語表記の頭文字をとった「JAVA(ジャバ)」という名前で親しんでいただいています。
動物実験だけでなく、毛皮の問題や犬猫の殺処分、動物虐待、動物愛護法改正など、動物たちを苦しみから救う活動を幅広く行っています。

渋谷・代々木公園で開催される地球のことを考えるイベント「アースデイ東京」に毎年出展し、パネル展示やチラシの配布、アクションの呼びかけなどを行っている。写真は2022年撮影
──動物実験の現状を教えてください。
石島:
動物実験は医療や薬だけでなく、化粧品、日用品、農薬など化学物質の毒性試験や、栄養学、心理学などの基礎研究、教育現場での解剖や実習、あるいは軍事や宇宙まで、実にさまざまな分野で行われているため、一概にこうと言えるものではないですが、全体的に世の流れとしては、倫理的また科学的観点からも「動物実験を減らしなくしていこう」という方向にシフトしてきています。
2013年にEUが化粧品の動物実験を禁止するという大きな出来事がありましたが、その後も化粧品の動物実験を禁止する国は増え続けています。さらに2026年1月には、欧州議会で、欧州における洗剤の動物実験の禁止が決定されました。

やけどの実験のためにバーナーで焼かれた犬。焼けた身体が金網につかないように中腰の姿勢をとり続け、横になって休むこともできない
石島:
こうした動きと並行して、動物実験に代わる研究方法、「代替法」の開発や普及も確実に前進しています。米国では2022年に「FDA近代化法」の改正により、医薬品の承認申請で代替法が使えるようになりました。
また2025年4月には、動物実験より代替法を優先する方針を国が示し、資金援助やトレーニングを行う新しい支援組織の設立も発表しています。
全ての分野で即座に動物実験から代替法へ置き換えるのは容易ではありませんが、法律による制限や代替技術の普及により、動物実験からの脱却は、少しずつではありますが確実に進んでいます。
──今日は化粧品の動物実験についてお話をききたいのですが、どのような動物実験が行われているのですか。
石島:
たとえば化粧品や医薬部外品の動物実験では、口紅に含まれる成分などは、口から体内に入ってしまうので、含まれる化学物質を動物に強制的に飲ませたり、あるいは肌に塗るクリームに含まれる化学物質などは、動物の肌に塗布して紫外線を当てて影響を調べるというような実験も行われます。
関係者が「もっとも過酷」というこの実験では、動物たちは、熱さと痛みで逃げようとして『キュー、キュー』と泣き叫び、それが何度も繰り返されます。

板に貼り付けられ、実験台にされるモルモット
石島:
シャンプーや化粧水など、目に入るかもしれないような化学物質は、「ドレイズテスト」といって、目に入った時の刺激を確かめる実験が行われてきました。
これは、動かないように首だけが出る拘束器に入れたウサギの目に対象となる化学物質を垂らし、角膜の損傷の過程を3日ぐらいかけて調べる、非常に残酷な実験です。
また、化学物質が親の体だけでなく、妊娠や次の世代にどう影響するかを調べるために、妊娠した動物に化学物質を投与し、殺して母体と胎児を解剖してその影響を調べたり、また別の個体では産んだ後のお母さんと赤ちゃんを殺して調べたりということも行われています。
こういった動物実験を通じて「毒性がない」と評価された化学物質が、化粧品に使われています。

ドレイズテストの残酷な実態。化学物質を点眼されたウサギは、その眼がいかに損傷していくかを観察される

化学物質を塗られ、皮膚が真っ赤にただれているウサギ
──動物実験に代わる方法はありますか。
石島:
たとえば、先ほどお話しした「ドレイズテスト」に代わる方法として「STE(Short Time Ecposure、短時間曝露)法」があります。
ウサギの角膜由来の細胞を人工的に作り、化学物質を細胞に触れされて、生き残る細胞の数で刺激の強さを調べるというもので、ドレイズテストのように動物が苦しむことがありません。
また、ヒトの細胞から作った人工皮膚モデルを使って化学物質の刺激を調べる方法(再構築ヒト表皮試験法)や、試験皿の中で物質に光を当て、皮膚トラブルの原因となる物質(活性酸素)の発生量を測ることで日光による刺激のリスクを調べる方法(ROSアッセイ)など、さまざまな代替法があります。
──代替法も出てきている中で、動物実験はどういう時に必要とされ、行われているのですか。
石島:
化粧品メーカーが独自の判断で動物実験を行っているケースと、新規性の高い成分を使う際、国から動物実験のデータを求められて行うケースがあります。
また、新たな有効成分を配合した医薬部外品(薬用化粧品を含む)を作る場合などに「安全性を証明するため」として国から求められる11あるデータリストのうち、9項目に動物実験が含まれています。
代替法によって動物実験を回避できるケースがあるものの、代替法の実用化に向けた制度や環境整備が整っていないため、残念ながら代替法の利用がなかなか進んでいない実情があります。

モルモットを使った光毒性試験の代替法「3T3 NRU試験」。2004年にOECDのテストガイドライン432として採用(2012年食品薬品安全センターにて撮影)
──なるほど。そういった基準的なところでも、動物実験が求められるところがまだまだ残っているんですね。
石島:
そうですね。でも、すでに安全性が確認されたたくさんの化学物質があります。
動物実験をすることは「多くの動物を犠牲にしてでも、新規性の高い成分を使って目新しい商品を作りたい」と、企業が自ら選び、行っていることです。それは企業の判断であり、「動物実験はやらない」と決めたら、すぐにでも廃止できるのです。
──確かに。
石島:
日本の場合、動物実験施設を国や自治体に登録する義務はなく、どこで動物実験が行われているか誰も正確に把握できていません。
そしてどれくらいの化粧品メーカーが動物実験を行っているのか、どれくらいの数の動物が犠牲になっているのかといった実態も、実はわかっていないのです。

実験中に動かないように拘束器に入れられているウサギたち

実験に使われ殺されたウサギとモルモットたち
──私たち消費者が、「メーカーが動物実験しているかどうか」を確かめる方法はありますか。
石島:
私はJAVAに入る前から、一消費者として化粧品会社に動物実験の問い合わせをしていましたが、「動物実験していることを隠そうとしているのかな」という印象を受けることが多かったです。
化粧品メーカーに動物実験の有無を問い合わせるアクションの呼びかけも行っていますが、「動物実験をしていますか」と問い合わせた時に「安全性を確認する試験では行っていません」「製品での試験ではやっていません」という、わかりにくい回答がくることがあります。
一見、「そうなんだ、動物実験をやっていないんだ」と思うのですが、よく見ると「○○試験では」という条件付きだったりします。つまり、他の試験では動物実験をやっているかもしれないのです。
──確かに。
石島:
動物実験をやっているメーカーが、その事実を消費者に向けて積極的に公表していくということはもちろんありませんし、逆に動物実験をやっていないメーカーも、それを全面に出していないところが多いです。
「自分たちが普段使っている化粧品で、実は動物実験が行われているかもしれない」ということを知らない消費者の方もたくさんいます。

2010年6月、東京・銀座で行った化粧品の動物実験反対を訴えるデモ行進の様子
──確かに、意識して調べたりしない限りは、知らないです。
石島:
JAVAは、一人でも多くの方に動物実験の実態を知ってもらうため、パネル展や勉強会の開催、動物実験の実態や代替法をまとめたリーフレット・チラシの制作・配布、SNSなどでの発信、また、これは大きなお金がかかるのでたくさんはできませんが、新聞での意見広告掲載などの啓発活動にも力を入れてきました。
1998年から発行している『JAVAコスメガイド』は、最新号でvol.6となる、動物実験を実施していない化粧品メーカーを掲載したガイドブックです。Vol.6では1,000社以上にアンケートを送付、動物実験の有無を回答していただきました。その結果をまとめて冊子にしています。

JAVA独自のアンケートによって、化粧品メーカーなどを【動物実験していない】【動物実験している】に分類した動物たちに優しい化粧品や日用品を選ぶためのガイドブック『JAVAコスメガイド』
石島:
アンケートは、「1)動物実験を実施していない」「2)動物実験を委託していない」「3)中国など諸外国への輸出に際して動物実験が行われていない」「4)将来においても動物実験を実施・委託しない」「5)対象製品を扱う系列会社においても、製品の原料・完成品ともに動物実験を実施・委託しておらず、将来においても動物実験を実施・委託しない」という、5つの非常に厳しい基準を設け、何十項目もある質問にYES/NOで答えていただいています。
私たちは民間の団体なので、警察のように立ち入り調査の権限はありません。
あくまでアンケートでお答えいただくかたちにはなりますが、かなりの数の質問に答えていただいて「5つの動物実験していない基準をクリアしている」という化粧品メーカーをまとめた冊子です。
2024年11月に発行したVol.6では、過去最多の255社を掲載することができました。
──過去最多とのこと、今後も「動物実験をしていない」というメーカーはどんどん増えていきそうですね。
石島:
そうなってほしいです。
いまだに「動物実験を続けている」というメーカーもあるし、動物実験していないメーカーが化粧品事業から撤退して減ってしまうというケースもありますが、1998年に最初に発行したVol.1では、動物実験していないメーカー数は58社でした。
コスメガイド改訂の度に確実に数は増えているので、化粧品業界自体が消費者の声をキャッチし、動物実験廃止の方向に向かっているということは言えるのではないかと思います。

「日本の化粧品最大手である資生堂に真っ先に動物実験を廃止してもらいたいと、廃止を要望する署名約46,000筆を手渡しました。その後、資生堂からの参加要請を受け、2010~2014年にわたり同社の『化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議』に参加しました」。資生堂は2013年2月に動物実験の廃止を決定した

JAVA、PEACE、アニマルライツセンターの3団体で構成する「美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会(CFB)」。この実行委員会の働きかけにより「動物福祉(アニマルウェルフェア)を考える議員連盟」の中に「化粧品の動物実験廃止ワーキングチーム」が設立された。写真は、2024年9月に開催された第1回会合にて
石島:
動物実験が日本でなくならない背景として、日本では動物実験が、法律で何も禁止されていないということがあります。動物実験の実態がよくわからない中で、法律として禁止すれば、問題は一気に解決の方向に向かうことができると考えています。
JAVAは2013年に、PEACE、アニマルライツセンターと共に「美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会(CFB)」を立ち上げ、化粧品の動物実験をなくすための取り組みを連携して行ってきました。

2014年1月、THE BODY SHOP(ザボディショップ)の福本剛史社長(当時)、クルーエルティフリーインターナショナル(CFI)の政策ディレクター(当時)のニック・パーマー氏とともに、JAVA理事の亀倉弘美さんが田村憲久厚生労働大臣(当時)に面会、化粧品の動物実験廃止を求める116,777名分の署名を提出
石島:
そして今、このキャンペーンでは化粧品の動物実験の法的禁止を求めて活動しています。
超党派の国会議員で構成される「動物福祉(アニマルウェルフェア)を考える議員連盟」の中に、私たちの働きかけによって「化粧品の動物実験廃止ワーキングチーム」が設立されて検討が進められており、私たちはこの動きを支持し、日本でも法的禁止を実現するため、請願の署名を集める活動をしています。
──何票が必要などあるのですか。
石島:
この請願は、衆参議員を通じて国会に提出する署名です。
署名の際はお名前だけでなく、ご住所も書いていただきます。日本国内に在住の外国人の方や未成年の方でも署名できます。
何筆必要というのは特にありませんが、一人でも多くの方が署名してくだされば「化粧品の動物実験は廃止するべき」という世論が高まっていて、それがどれだけ重要であるかの証明になりますし、動いてくださる国会議員の方にとっても、数が多いだけモチベーションにつながると思っています。

今回の請願署名にあたっての活動の様子。2026年5月、LUSH SPA新宿店にて、化粧品の動物実験の現状を伝え、化粧品の動物実験の法的禁止を求める署名へのご協力を呼びかけた
──署名の提出後は、どのような動きになりますか。
石島:
提出された後、委員会に付託されます。
化粧品の問題なので厚生労働委員会になると思いますが、そこで審査されて通過すれば、本会議で審議・採決が行われるという流れになります。
日本を出て海外を見ると、すでに45カ国で化粧品の動物実験が禁止されています。ヨーロッパ諸国やインド、メキシコ、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アジアだとお隣の韓国や台湾も、国ごとに度合いの違いこそあるものの、なんらか形で動物実験の法的な規制がされています。
日本はかなり遅れをとってしまっている状況ですが、国際的な動きを追い風にして、化粧品の動物実験の禁止を実現させたいです。

欧州の動物保護団体による動物実験反対運動

2025年7月、PEACEと共に、実験用のサルを繁殖・供給する国家プロジェクト「ナショナルバイオリソースプロジェクト『二ホンザル』」の廃止を求める22,730名分の署名と要望書を文部科学省に提出
石島:
動物実験をなくすために活動を続けていますが、世の中を変えるって本当に大変で時間がかかることだと感じます。でも、動物たちが置かれているさまざまな問題を前に立ちすくむのではなく、「今、私たちに何ができるのか」を考えながら前に進んでいくしかないと思います。
とにかく小さなことでも、一人一人ができることからアクションを起こしていくこと。やはりそれが、一番大切だと思います。
──石島さんのモチベーションを教えてください。
石島:
私は大学生の時に近くの猫の保護活動を手伝うようになり、活動に関わっていく中で動物実験を知りました。
ハンマーで足の骨を打ち砕かれた犬の写真を見て、この子はどれほど痛い思いをしたんだろう、どれだけ怖かっただろうととても悲しくなりました。

石島さんが目にした写真。「この犬は心理的ストレスを引き起こす実験のために、足を繰り返しハンマーで打ち砕かれました。麻酔も何の手当てもされていません」
石島:
そして、動物たちが実験で苦しめられ命を奪われる世の中を変えたいと強く思ったことが、JAVAの活動に参加したきっかけです。
活動に携わる多くの方が感じていることだと思いますが、動物実験の実態を知ってから、「今もどこかで動物が苦しんでいるかもしれない」ということが頭から離れず、それまで楽しめていたことが楽しめなくなったり、落ち込んだりすることも増えました。
「なぜ、こんなに酷いことをするんだろう」という悲しみや怒りの感情も湧きますが、「動物実験をなくすためにできることをやる」と決めて、行動しています。
私が頭でどれだけ考えても実態は変わりません。アクションを起こさなければ社会は変わらないので、これからも皆さんと力を合わせて、行動を起こし続けたいと思っています。

2000年7月、「FUJI ROCK FESTIVAL(フジ・ロック・フェスティバル)’2000」にてブースを出展、パネル展示やチラシの配布などを行った。ステージでの団体PRタイムでは、大勢の観客の方々に向けて動物実験の実態や問題点、JAVAの活動についてアピールした
──読者の方へ、メッセージをお願いします。
石島:
今回は化粧品の動物実験を中心にお話させていただきましたが、化粧品の動物実験の禁止は第一歩にすぎず、JAVAが目指しているのはすべての動物実験の廃止です。
その実現のためにも、まずは一人でも多くの方に動物実験のことを知っていただきたいです。
今回の記事をご覧になり、ご賛同してくださった方は、ぜひ周りの方々に発信・共有していただけますと嬉しいです。また、先ほどお話しした化粧品の動物実験の禁止を求める署名にも、どうぞご協力をよろしくお願いいたします。
──最後に、チャリティーの使途を教えてください。
石島:
チャリティーは、動物実験の実態や動物たちの置かれている悲惨な現状を皆さんに知っていただくため、パネル展の開催や啓発チラシの制作、インターネット・SNSを活用した情報発信など、多角的な広報活動のために活用させていただく予定です。
ぜひ、応援いただけたら嬉しいです!
──貴重なお話をありがとうございました!

2009年9月、大阪で開催した化粧品の動物実験反対デモ行進での一枚
インタビューを終えて〜山本の編集後記〜
化粧品に関しては、使用感だったり、自分の肌に合うか合わないかだったり、パッケージだったり、皆さんそれぞれに「こだわり」があるのではないかと思います。
その「こだわり」の中に「動物実験が行われているか・いないか」という項目が一つ加わるだけで、化粧品やそのメーカーへの認識やチョイスが、もしかしたら少しずつ変わっていくというこがあると思うし、そうやって「何を使うか」を消費者が選択していった先に、社会も少しずつ変わっていくということがあるのではないかと思います。この機会にぜひ、考えてみませんか。
・NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)ホームページはこちらから

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