
今年で創立10周年を迎える、子どもを持つがん患者のためのオンラインコミュニティ「キャンサーペアレンツ」が今週のチャリティー先。
団体を立ち上げた故・西口洋平(にしぐち・ようへい)さん(享年40)の後を継ぎ、「つながりの場」を守ってきた、理事でスタッフの高橋智子(たかはし・ともこ)さんは、10年を振り返り、次のように話します。
「この10年の間、西口さんをはじめ旅立った仲間も多くいます。
『つながりは、生きる力になる』というのは、西口さんが活動を通して発信し続けてきた言葉ですが、『横のつながり』だけでなく、亡くなった方も含め『縦のつながり』もたくさん生まれていて、彼らの思いもつながり続けているからこそ、今のキャンサーペアレンツがあります」
活動について、お話を聞きました。

お話をお伺いした高橋さん
一般社団法人キャンサーペアレンツ
子どもを持つがん患者が、同じ境遇の方を探してつながり、交流することができるオンラインコミュニティです。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/08/17

「キャンサーペアレンツ~こどもをもつがん患者でつながろう~」コミュニティサイトトップページ
──今日はよろしくお願いします。最初に、キャンサーペアレンツについて教えてください。
高橋:
キャンサーペアレンツは、子どもをもつがん患者の方が、同じような境遇の方とつながり、交流することができるオンラインコミュニティです。
創設者の西口洋平さんが、2015年、35歳のときにステージ4の胆管がんの告知を受け、自身のがんと向き合う中で、「孤独や不安を感じているのは、自分だけではないはず」との思いから、2016年4月に立ち上げました。
キャンサーペアレンツが目指しているのは、人と人とのつながりが生まれる場の一つであり続けること。そして、働き世代・子育て世代のリアルな声を社会に届け、理解へとつなげることで、がんと向き合いながらも、一人ひとりが自分なりの生き方や選択肢を見つけ、選んでいける社会へとつないでいくことです。
「つながりは、生きる力になる」、この想いのもと、キャンサーペアレンツの皆さんと一緒につながりをつなぎ続けています。

「2026年8月時点で、登録会員数は4,654人。コミュニティサイトのトップページに掲載しているキャンサーペアレンツコンセプトムービー『つながりは、生きる力になる。』は、西口さんの旅立ち後に完成した映像です」
──2019年に一度、JAMMINとコラボしていただき、まだご存命だった西口さんから活動への思いを聞かせていただいたことを昨日のように思い出します。
どのようなコミュニティなのか、もう少し詳しく教えてください。
高橋:
キャンサーペアレンツに登録されている皆さんに共通しているのは、「がんを経験していること」と「子どもがいること」です。お住まいは全国各地から海外にまで広がり、年齢も幅広く、子育て真っ最中の方から、ひと段落した方までさまざまです。
がんの種類やステージも問いません。そのため、治療や副作用についての悩みだけではなく、子どものことや仕事のこと、日々の暮らしの中で感じていることなど、さまざまな思いを伝え合える場所です。
親として、社会人として、さまざまな顔が求められる中で、病気になると、その思いや悩みを一人で抱え込んでしまうことが少なくありません。
ここでは、「がんを経験した」という共通点があるからこそ、自分の状況を一から説明しなくても話を始められる、そんな話しやすさがあります。
一方で、一言で「がん」と言っても、治療や副作用、生活環境は一人ひとり異なります。その違いを前提に、お互いの経験や思いを決めつけずに受け止め合えるからこそ、生まれる安心感があるのだと思います。
また、治療や子育てについて、少し先を歩いてきた人の経験を聞いたり、自分の経験が誰かの参考になったりと、ゆるやかに支え合う「お互いさま」の関係が自然と生まれるのも、このコミュニティの特徴です。
オンラインだからこそ、場所や利用する時間にとらわれずにつながることができ、自分のペースで利用できるという良さもあります。
──登録した方が、悩みや体験を書き込めるようになっているのですか。
高橋:
はい。主なコミュニケーションツールは、「日記」の投稿です。投稿された日記にコメントをしてやり取りしたり、SNSの「いいね」ボタンのような形で、「ありがとう」ボタンを押したりすることができます。
皆さんが綴られる日記の内容はさまざまで、子どもの成長について書かれたものもあれば、病気のつらさや日々の思いが綴られることもあります。
どんな内容も、思いや言葉を届けてくれたことに対して、「教えてくれてありがとう」「伝えてくれてありがとう」と気持ちを返せるのが、「ありがとう」ボタンです。反応を受け取った側も、「一人じゃない」と感じることができます。

会員プロフィール画面にある「応援します!」ボタン。「同じキャンサーペアレンツの仲間から届く『応援します!』に、ひとりじゃないと感じ、大きな力をもらっているという声もいただいています」

2016年、「ジャパンキャンサーフォーラム」に初参加した際の西口さん。「イベントへの参加も、登壇も、チラシ配布も、何もかもが初めて尽くしの頃でした」
──団体を立ち上げた西口さんについて教えてください。
高橋:
西口さんと私は、同じ職場の元同僚でした。
2003年、同じ会社の大阪のオフィスで2年ほど一緒に働きました。その後、彼は東京に異動になり、私も結婚を機に退職・復帰しつつも、全く音信不通というわけではなく、メールや年賀状などで時折やりとりする間柄でした。
西口さんががんに罹患していることを知ったのは、2016年4月1日、エイプリルフールの日の彼のFacebook投稿です。
その後、「がんノート」さんにゲスト出演し、自身の病気のこと、家族・仕事のこと、キャンサーペアレンツ立ち上げまでの経緯、そしてこれからについてお話しされました。
西口さんのFacebook投稿より:
「まさか自分が。。。という想いは最初はありましたが、今はとても前向きで、毎日を楽しく、やりたいことをやって生きてます。生きてるんです!周囲でサポートしてくれている方々に本当に感謝です。また、ご迷惑をおかけした方、すいませんでした。
私と同じように、働き盛りで病気になった方々のために、何かできないかと考えており、それが僕の今のライフワークになっています。どういった取り組みをしているかは、またこの場で、おいおいお知らせしていきます。そして、ちょっとでいいので、応援してください。
今日はこれまで。
いいね、ではないですが、いいね、してください w」
──そうだったんですね。
高橋:
Facebookの投稿を見て、最初に感じたのは、西口さんがとにかく「今を生きている」ということでした。
告知を受けた時の気持ちは、もちろん本人にしかわかりません。何も知らない私が「きっとこうだろう」と決めつけることはしたくありませんでした。
けれど、それをはるかに超えて伝わってきたのは、「がんになったからこそ、今、自分はこれに取り組んでいる。こういうことをかなえたい」という西口さんの強い意志でした。
「がんになったこと」そのこと以上に、「だから今、こういう活動をしている」「一緒にキャンサーペアレンツをつくっていこう」という、メッセージが強く伝わってきました。
その投稿を見て、「私にできることは何だろう」「何ができるかはわからないけれど、動きたい!」。そう感じたことを、今でもよく覚えています。
右も左もわからない状態ではありましたが、「まずは、キャンサーペアレンツというコミュニティの存在を知ってもらうところから始めよう。そして、そのためにも、自分自身ががんについて『ただ情報を知る』だけではなく、一人ひとりの声に触れていこう」と、がんの患者会やシンポジウム等について調べ、実際に参加し始めたのです。
──そうだったんですね。
高橋:
キャンサーペアレンツが誕生した2016年4月の月末、ふいに西口さんから連絡をもらいました。「サイトの会員が増えてくれば、運営をしていかないといけないので、まだ何も決まっていないけれど、お手伝いしてもらえないかなとか、勝手に考えていたところです」と声をかけてもらったんです。
同じオフィスで働いていた頃、西口さんは営業、私は営業事務として、同じ目標に向かって日々取り組んでいました。もしかすると、当時一緒に仕事をしていたときのことを思い出して、声をかけてくださったのかもしれません。
ちょうどその頃、私自身も「今の自分にできることを」と動き始めていたところでした。そんな時期と重なったこともあり、私の中に「やる」以外の選択肢はありませんでした。「ぜひ、一緒にやりたい」と伝えたことが、私がキャンサーペアレンツの活動に加わったきっかけです。

2017年、名古屋では初となる「キャンサーペアレンツの集い(オフ会)」を開催。初開催を無事に終えた後の一コマ

2018年、「がん患者・家族についての正しい理解を広めるシンポジウム『聴いてわかる 知って変わる がん患者・家族の想いと暮らし』」を愛媛で開催。「西口さんも東京から駆けつけてくださり、登壇してくださいました」
──西口さんの投稿を見てすぐに動かれたということですが、高橋さんをそこまで突き動かした原動力は、一体何だったのですか。
高橋:
私自身は、がんの罹患経験がありません。ただ、がんについて知れば知るほど、私自身も含め、社会のがんに対する理解がまだ十分ではないことに気づきました。
「がん=死」といった思い込みや、がんに対するさまざまな偏見と向き合わなければならないことが、がんになった方やそのご家族に、さらなる生きづらさをもたらしているのではないか。そして、「知らないこと」や「無意識であること」そのものが、知らず知らずのうちに思い込みや偏見につながってしまうことを痛感しました。
病気そのものだけではなく、社会のあり方によって、本来なら抱えなくてもいいはずの生きづらさが生まれている。そう感じるようになりました。

「キャンサーペアレンツ会員の方からいただいた手づくりのメッセージカード。キャンサーペアレンツを通して出会った皆さんと交わす言葉や時間から、いつも大きな力をいただいています」
高橋:
治療を続けながら、仕事や家庭と両立している方はいらっしゃいますし、それを望んでいる方も少なくありません。
一方で、たとえば会社側が過剰に配慮するあまり、「休んだらいいから」と、本人の思いとは異なる選択を促してしまうことがあります。あるいは、「治療のために今日は仕事を早退します」と伝えたとき、周囲の反応から「またか」と思われているように感じ、「これ以上迷惑をかけられない」と、退職を選ばざるを得なかったり…。
もちろん、「仕事を続けること」だけが正解なのではありません。一人ひとり、生きていくうえで大切にしたいものや価値観はそれぞれ異なります。そして、その価値観は、同じ人であっても、その時々の状況や心境によって変化していくものだと思います。
がんの告知を受けたからといって、その人の生き方まで一つに決まるわけではありません。一人ひとりに大切にしたいことや価値観があり、その人なりの生き方や選択があります。そうした一人ひとりの違いへの理解が少しでも社会に広がれば、生きづらさがやわらいでいくきっかけになるのではないでしょうか。
もともと私自身、これまでの経験の中で、周囲の偏見や社会の矛盾によって生きづらさを感じてきたこともあり、「社会にある偏見や矛盾を少しでも変えていきたい」「誰もが『お互いさま』と思える社会へとつないでいきたい」という思いを持っていました。
だからこそ、西口さんの投稿に触れたことが、その思いを実際の行動へと移す大きなきっかけになったのだと思います。
──そうだったんですね。

2018年、愛媛で開催したシンポジウムへの登壇後に、NPO法人「愛媛がんサポートおれんじの会」が運営する「町なかサロン」を訪問
高橋:
一人ひとりに、その人が生きてきた道があり、これからに向けた思いや価値観があります。けれど、たった一つの出来事によって、その人の在り方まで決めつけられてしまうことがあります。 たとえば、がんの告知を受けた途端、「〇〇さん」ではなく、「がん患者さん」として見られるようになる。
がんは、その人の人生の一部でしかありません。それなのに、「がん患者」というラベルを貼られることで、その人自身や本当の思いが置き去りにされてしまう。そうした社会のあり方が、生きづらさにつながっているのではないかと感じました。
自分が思春期の頃に感じていた生きづらさや、偏見・先入観によって生まれる社会との距離感が、今の活動につながっているとは、自分でも思いもよりませんでした。
それでも、西口さんの投稿を見て迷うことなく行動を起こしたのは、西口さんがキャンサーペアレンツに込めた思いと、私自身の人生においてこれまで感じてきたことに、どこか通じるものがあったからだと思います。

名古屋で開催した「キャンサーペアレンツの集い」の帰り道、名古屋駅前にて。「イベントの帰りには、『今日のぐっち』をテーマに写真を撮るのがお決まりでした。特別なことを話すわけではないけれど、イベントを終えてほっとした気持ちの中、ゆるく言葉を交わす時間がとても貴重でした」

2017年、「第1回日経ソーシャルビジネスコンテスト」特別賞を受賞。「『つながりは、生きる力になる』という言葉を、より多くの方に届ける大きな機会となりました」
高橋:
私自身が、偏見や先入観による生きづらさや社会との距離感を抱えながらも、再び社会とのつながりを取り戻すことができたのは、「私」という一人の人間を、ありのままに、まっすぐ受け止めてくれた家族や友人の存在があったからだと思います。
「今の自分のままでいていいんだ」と思える居場所があったからこそ、今の自分に納得できないときや、生きづらさを抱えているときでも、走り続けるだけではなく、少し立ち止まったり、ひと休みしたりすることができました。そして、「いろいろな選択肢を持っていていい」と思えるようになったのだと思います。
いつでも帰ることのできる居場所があったこと。それが、私にとって再び社会とつながっていくための大きな支えになりました。
ありのままの自分を見てくれる人が一人でもいたら「自分はここにいていい」「一人じゃない」と感じることができる。それは、生きていることを実感し、次の一歩を踏み出す力にもなると思います。

2020年2月のイベントにて。「生きた証を残したい」「『つながりは生きる力になる』を証明する」「声なき声を社会へ発信する」。どんなときも、自分の言葉で大切なメッセージを届け続けた西口さん
高橋:
だからこそ、居場所があることは、その人にとってとても大きな支えになります。キャンサーペアレンツも、そんな居場所であり続けたいと思ってきました。
まずは「自分はここにいていいんだ」と安心できる、土台となる場所があること。
がんの告知を受けると、それまでできていたことができなくなったり、さまざまな制限を強いられたり、「どうして自分が」という孤独を感じたりすることがあります。
そんなとき、キャンサーペアレンツという場があることで「私は、私でいいんだ」と思える。その安心感が新たな土台となり、その人が本来持っている力や、社会や人とのつながりを少しずつ取り戻していける。そんな場所でありたいと思っています。
「生きるのがつらい」と思うことも、「生きたい」と思うこともある。そんなさまざまな感情も含めて、どんな自分もすべてひっくるめて「これが自分なんだ」と思える場所があること。それが、生きる力につながっていくのだと思います。
そして、そんなふうに一人ひとりが自分自身でいられる居場所であることが、キャンサーペアレンツの大切な役割だと思っています。

「2022年、キャンサーペアレンツの活動紹介動画を撮影する機会をいただきました。日頃から活動について相談に乗ってくださり、イベントも一緒に盛り上げてくださっている会員さんとともに」

2024年11月に開催された「国立がん研究センター希少がんグラント記念シンポジウム」にて。「キャンサーペアレンツも共同研究者として携わった『未成年の子どもを持つ希少がん患者におけるオンラインピアサポートグループ参加による心理社会的効果を検証する前向き観察研究』の研究代表者、筑波大学附属病院緩和支持治療科の小杉和博先生と」
高橋:
「これがキャンサーペアレンツなんだ」と感じるのは、たとえば「弱音を吐いてごめんなさい」という投稿があったときに、「私もそうだった」「なんでも話していいんだよ」「伝えてくれてありがとう」という反応にあふれているところです。
「ここでは、なんでも話していいんだ」と、日々の緊張がほどけていくような空気がある。それは、この10年をかけて、皆さんと一緒につくり続けてきた文化だと思っています。
この空気感は、西口さん一人の力でつくられたものではありません。10年間にわたる、たくさんの会員さん同士の対話。その積み重ねの中で、「一人ひとり、みんな違っていい。同じ人でも、今日と明日で思っていることが違っていい。どれも本当の自分で、どれもあっていい」という安心感が自然と育まれ、受け継がれてきたのだと思います。
──そうなんですね。
高橋:
この10年の間、西口さんをはじめ旅立った仲間も多くいます。
「つながりは、生きる力になる」というのは、西口さんがキャンサーペアレンツの活動を通して発信し続けた言葉ですが、「横のつながり」だけでなく、亡くなった方も含め「縦のつながり」もたくさん生まれていて、彼らの思いもつながり続けているからこそ、今のキャンサーペアレンツがあります。
──一人ひとりが綴られた日記は、ずっと残っていきますもんね。
高橋:
キャンサーペアレンツには、「こっち支部」に対し、旅立った仲間が集う「あっち支部」があります。
死は未知のものだからこそ、こわいと感じることもあるかもしれません。でも、キャンサーペアレンツの会員さんから、「『あっち支部』に仲間がいると思ったら、こわくない」「キャンサーペアレンツの仲間と出会って、旅立った先にもつながりがある。だから、大丈夫だと思えるようになった」という言葉をいただいたことがあります。
それもまた、人と人とのつながりが生み出す、大きな力なのだと思います。

森永乳業クリニコ株式会社との共同取り組み。「『がん患者さんの食事と栄養に関する意識調査』をはじめ、座談会やレシピコンテストなど、幅広い取り組みを継続的に行っています」

2018年8月、「ジャパンキャンサーフォーラム」で実施された「LAVENDER RING」の撮影にて。「ユーモアあふれる、表情豊かな「ぐっち」のパフォーマンスに撮影会場全体が笑いに包まれました」
──高橋さんから見た西口さんは、どんな方でしたか。
高橋:
何かと笑いをとろうとするところは昔から変わりませんでした(笑)。一緒に働いていた頃は、どちらかというと一人で仕事を抱え込んでしまうタイプで、「もっと周りを巻き込めばいいのに」と思ったこともあります。
ところが、キャンサーペアレンツではむしろ、「どうやったらそんなに周りを巻き込めるの!?」と思うほど、たくさんの人を巻き込んでいて、まるで別人のように感じたこともあります。
西口さんとの出会いが、今も多くの方の中に生き続けていることを感じます。旅立ちから6年が経った今も、「あのとき西口さんと出会って、人生がこう変わった」といった言葉を、さまざまな方から聞くことがあります。
今でも、西口さんの存在を通して新たなご縁をいただいたり、互いの思いを伝え合う中で、新しいつながりが生まれたりすることが多々あります。そのたびに、人と人とのつながりが持つ力を、私自身も受け取り続けています。

2026年6月、「ジャパンキャンサーサバイバーズデイ」にブース出展。「キャンサーペアレンツ会員の皆さんと一緒に、ご縁やつながりが生まれ、広がっていくきっかけをつくり続けられることに感謝しています」
──西口さんは、私も含め皆さんの中に生き続けているんですね。
最後に会われたのはいつだったのですか。
高橋:
西口さんと最後に会ったのは、キャンサーペアレンツ会員の皆さんと一緒に開催したオンライン会です。
連絡がつかないことが増え、体調を心配していたのですが、「最後に一言、挨拶したい」と顔を出してくださいました。最後まで彼自身の「生きる」姿を見せてくれて、「皆でキャンサーペアレンツをつくっていってください」という言葉を遺してくれました。
コロナ禍だったこともあり、最期に直接会えたわけではありません。頭ではわかっていても、西口さんが亡くなった実感は、なかなか湧きませんでした。
その一方で、さまざまなところから問い合わせが寄せられ、「今はとにかくキャンサーペアレンツの活動を維持していかなければ」という思いで必死でした。
運営者としての自分と、一人の人間としての自分。そのバランスをうまく保つことができず、泣きたいのに泣けなかったり、夜になると涙が止まらなくなったりする日々が、一年ほど続きました。
そんなときも、私を支えてくれたのは「つながり」でした。
西口さんが旅立ったことへの悲しさ、寂しさ、苦しさ……。抱えているさまざまな気持ちを会員の皆さんと共有できることそのものが、悲しみをなくすわけではなくても、私自身の心のバランスを保つ支えになっていました。

2026年6月6日、東京で開催された「キャンサーペアレンツ10周年感謝の集い」。「がんノートさん、ダカラコソクリエイトさんの多大なるお力添えのもと、ご参加くださった皆さんと一緒に、『みんなでつくる【感謝の集い】』を実現することができました」
──西口さんは今、「あっち支部」から、どんなことを感じておられるでしょうか。
高橋:
西口さんの心は、西口さんにしかわかりません。誰かが彼の思いを代弁することもできません。西口さんだからこそ発信できたこと、取り組めたことはたくさんありました。彼が目指していたことを、今の私たちがどこまで実現できているかと問われれば、ごく一部なのかもしれません。それでも、「つながる場」という原点を大切にしながら、その場が今も続いていることを、西口さんにも「良かった」と思ってもらえたら嬉しいです。
──最後に、チャリティーの使途を教えてください。
高橋:
チャリティーはコミュニティの運営費や、よりよい環境づくりに向けたサイト開発費として活用させていただく予定です。ぜひ、チャリティーアイテムで10年を祝い、応援いただけたら嬉しいです。
──貴重なお話をありがとうございました!

2026年6月20日、東京に続き大阪でも「キャンサーペアレンツ10周年感謝の集い」を開催。「『つながりは、生きる力になる』ということを、あらためて強く感じた一日となりました」
インタビューを終えて〜山本の編集後記〜
2019年4月にコラボしていただいた際、西口さんにお話を聞かせていただいたことをとてもよく覚えています。その翌年に亡くなられたことを知って、時折、気になってキャンサーペアレンツさんのSNSを拝見していました。
今回、高橋さんから10周年ということで再コラボの打診をいただいた時、そしてまたインタビューでも、確かに西口さんがご縁をつないでくださって、今まさにそこにおられるような感覚がありました。
最後に、 2019年のインタビューから、西口さんの言葉を引用します。
“僕たちがやっていることって、ただがんの患者さんがやっているというだけで、特に変わったことはやっていないんですよね。
がん患者にだって、子育てや仕事の悩みもあれば将来の悩みもあるし、日々の生活の中でちょっとしたいろんな悩みがある。人として当然のことで、それを「がん患者がやっている」というだけ。
そう考えると、「がん患者だから」という壁、「あっち側」と「こっち側」という意識の壁がなくなれば、いつか僕たちの活動は必要ではなくなると思っています。その壁が本当にすべて無くなるのかはまだわかりませんが、そこを目指して今後も活動していきたいですね。

【2026/8/17-23の1週間限定販売】
楽しかった思い出や日常のメモを書いた壁を描きました。「病気はその人の一面であって、全てではない」。がんにも奪えない、一人ひとりの人生、日常、彩りや穏やかな時間を表現しています。
メモをよく見ていただくと…、「Thank you Gucchi(ぐっちは西口さんのあだ名)」や、西口さんの命日も。西口さんをはじめ、ここで出会った人たちとともに今日を生きる。そんな思いを込めています。
“Hope grows through connection(つながりを通じて、希望が生まれる)“というメッセージを添えました。
JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!