CHARITY FOR

「ありのままのあなたでいいんだよ」。イルカと出会って感じた深い愛を、心に傷を負った子どもたちに届け続ける~NPO法人CROP.-MINORI

さまざまな事情で親と生活できなくなった子どもたちを、社会が公的な責任において育てる「社会的養護」。日本では約42,000人の子どもたちが親と離れ、社会的養護のもと生活しています(令和4年・厚生労働省『社会的養育の推進に向けて』より)。

今週JAMMINが1週間限定でコラボするのは、NPO法人「CROP.-MINORI(クロップみのり)」。
野生のイルカと泳ぐ「ドルフィンスイム」を社会的養護下にある子どもたちに届ける活動を1997年よりスタート、そこからつながっていった子どもたちを支援したいと、家庭的な環境で育てるファミリーホームの運営や、自立に向けての支援を続けてきました。

「家族のようなつながりを大切に、そばで子どもたちを見守り続ける存在でありたい」。

そう話すのは、クロップみのり代表理事の中山(なかやま)すみ子さん(56)。
今回は、中山さんと、理事であり児童養護施設出身でもある片平大輔(かたひら・だいすけ)さん(38)、スタッフの阿部(あべ)すみれさん(34)に、ご活動についてお話を聞きました。

(ファミリーホーム「クロップハウス」で暮らす子どもたちとスタッフの皆さん。写真中央が中山さん、左から4人めが片平さん、右から3人めが阿部さん)

今週のチャリティー

NPO法人CROP.-MINORI(クロップみのり)

親と一緒に暮らすことができない子どもたちを育て、自立へ向けた支援を行っています。一人ひとりに寄り添い、家族のようなつながりを大切にしています。

INTERVIEW & TEXT BY MINA TANAKA/MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2022/08/08

帰れる「実家」のような場所を目指して。
親と暮らせない子どもたちをサポート

(御蔵島のドルフィンスイムでの一枚。「大きなイルカがとっても近くに来て、小学5年生の男の子は思わず潜りました!初めて水面より深く潜れた瞬間でした。彼はこの日を境に、どんどん潜れるようになりました」)

──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。

中山:
クロップみのりは3つの柱で活動をしています。一つが、児童養護施設で暮らす中高生の子どもたちに、東京都御蔵(みくら)島で自然を体験するプログラムを届けること。野生のイルカと泳ぐ「ドルフィンスイム」や絵画療法の「アートセラピー」を体験します。

片平:
もう一つが、ファミリーホーム「クロップハウス」の運営です。
ファミリーホームとは、親と一緒に暮らせない0〜18歳の子どもたちを迎え入れて養育する事業です。定員は6名で、より家庭的な環境で子どもたちと過ごしています。

(ファミリーホーム「クロップハウス」にて、ウッドデッキでキャンドルディナー。「ちょっとした日常の一コマに幸せを感じます」)

阿部:
もう一つ、御蔵島やファミリーホームでつながった子たちを、継続して支援しています。

親や親戚を頼ることが難しい子どもたちには、実家のように帰ったり頼ったりできる場所がありません。
改正児童福祉法が成立し、児童養護施設やファミリーホームの退所時の「18歳の壁」の解消の一歩にはつながったものの、就学したり就職したりと進路はそれぞれで、実際には頼る人もなく、社会に出て一人で生きていくことを強いられています。

つらいことやしんどいことがあった時、あるいは嬉しいことがあった時、あるいは何もなくても、まるで実家のように、子どもたちがいつでも来ることができ、安心できる場を提供したいという思いから、社会でがんばる子たちとつながり続け、支援しています。

(幅広い生い立ちも違う人が出会って共に1つの船に乗る。広い空、大きな海と1つになるとき、みんな地球に生まれてきた家族なのだなあと感じます。全てをこえたつながりを感じます。写真は月に一回行っている三浦海岸「PACIFIC RIM SPORTS」での活動にて)

イルカと出会って感じた
「ありのままの自分でいいんだ」という感覚を、子どもたちにも

(「イルカと目が合った瞬間。イルカは、ありのままの自分を受け入れてくれているように感じます」)

──どうして子どもたちにドルフィンスイムを届けているのですか。

中山:
親元を離れて暮らす子どもたちの多くが、心に大きな傷を負っています。家庭で暴力や育児放棄を受け、命の危険すら感じながら生きてきた子どもたちも少なくありません。

否定され、愛された経験や大切にされた経験が少ない子どもたちにとって、自分を認めることはすごく難しいことなんです。
子どもたちから、「自分なんて生きていない方がいいんだ」「自分の存在は無意味だから」という言葉を何度も聞いてきました。

(「雄大で深淵な海の中で、そこで暮らすイルカと出会う。自分も、地球の小さな小さな一部なのだなと感じることができます」)

中山:
子どもたちが何か、ありのままの自分を認めるきっかけをつかんでほしい。そんな思いでドルフィンスイムを届けています。

ドルフィンスイムで一度水の中に入ると、イルカが近づいてきてくれて、目を見ながら隣で一緒に泳いでくれます。私たちよりずっと大きく、優れた能力を持つイルカが、ありのままの自分のそばに来て、一緒に泳いでくれるんです。

(体長が2メートルもあるイルカ。「大きなイルカが近づいてきて、しばらくの間、一緒に過ごしてくれました」)

中山:
その経験は心に傷を追った子どもたちにとって「受け入れてもらえた」という経験につながるのではないかと思っていますし、それを感じてほしいと、1997年から25年にわたりこの活動を続けてきました。イルカが側に来てくれて、一緒に泳いでくれる。それはその人の魂に、直感として「ありのままの自分でいいんだ」「自分には価値があるんだ」と伝える一つの方法になると信じています。

──中山さんはなぜ、子どもたちにこのプログラムを提供しようと思われたのですか。

中山:
海の中に一度入ると、そこではこうあるべきとかこうしないといけないといった制限が取っ払われて、また自分の年齢や性別、肩書きや障がいなどもすべて関係なく、ただ一人の個、一つのいのちとして存在しているという感覚を持ちやすくなります。

私も例外ではなく、ドルフィンスイムを体験して「自分が地球のここにいて良いんだ」と感じることができました。自然がそのまま全部受け止めてくれる。これは子どもたちにとっても、必ず良いきっかけになるはずだと思ったんです。

(ドルフィンスイムに児童養護施設の子どもたちを連れて行き始めた頃の写真。「御蔵島のドルフィンスイムは一人にかかる費用が大きい上、趣旨を理解していただくことがなかなか難しく、最初はなかなか寄付が集まりませんでした。また子どもたちを参加させてほしいと児童養護施設さんに声をかけても、よくわからないと断られてしまうこともありました」)

学校でもない、施設でもない。
御蔵島で過ごす、自由な時間

(御蔵島でのドルフィンスイムの後は、皆で一緒に晩ご飯。ゆったりとした、豊かで温かな時間が流れる)

片平:
僕は児童養護施設で育ちました。その時に、中山がやっていた御蔵島のドルフィンスイムに参加したんです。

施設では、一人の職員が何人もの子どもの面倒を見ます。学校でも施設でも団体生活で、「あれはしちゃダメ」「これもダメ」と常にルールに縛られ、大人たちにも監視されているような感じがして、生活の中に自由を感じられませんでした。

でも御蔵島にドルフィンスイムに行くと、大人たちが僕に注意したり叱ったりすることもなく、ただただイルカと泳いで、あとはそれぞれが思い思いに過ごす、自由な時間があったんです。それはとても新鮮だったし、「こんな時間の流れ方があるんだ」と感じました。

(高校3年間、そして児童養護施設を退所後も毎年ドルフィンスイムに参加していた片平さん。写真は初めて高校1年生で参加した際、御蔵島にて。「施設と学校だけの世界から、ぐっと視野や経験が広がりました。一緒に行ったスタッフの子どもを抱っこしているところです」)

片平:
施設で暮らす子どもたちの多くは、一般の家庭と比べて旅行やお出かけなどの経験が少なくなりがちです。そのことで寂しさを感じている子も少なくありません。だけど夏休みに御蔵島を訪れて、学校に戻ってから、「イルカと泳いだんだ!」と友だちに自慢できます。

──確かに。滅多に行けない場所ですよね。

阿部:
他の施設の子どもと出会い、交流が生まれ、「自分だけじゃないんだ」と感じられる点も、このプログラムの良い点だと思います。
たくさんの方にご支援いただき、これまでにのべ500人以上の子どもたちが参加してくれました。

(手付かずの自然が残り、海だけでなく山も深く美しい御蔵島。沢へ行って岩によじ登る男子高校生たち)

イルカと泳いだ経験を、
心の糧に

(御蔵島の森から海を望む。森と海、大自然の中で過ごした時間はやがていつか、心の糧になっていく)

──プログラムの参加者は、どうやって募っているのですか。

中山:
東京、千葉、神奈川の施設にお声がけして、参加者を推薦していただいています。
その時に、もちろん誰でも受け入れていますが、中でも特に困っている子や、問題児とされているような子こそ参加させてほしいとお伝えしています。問題行動をとった子どもは、大人たちからいつも怒られてしまったり、外出を禁じられてしまったりすることもあるからです。

あるいは、親元に全然帰ることができない子、年に1回でも親と会うことが難しいような子こそお願いしますとも伝えています。

より大変な状況にある子どもたちにこそ、自然の力を感じてほしい。そしてまた、苦しくつらい現実を離れ、御蔵島での非日常を楽しむことで、普段の生活に戻った時に必要なエネルギーを蓄えてほしいと思っています。

(御蔵島でホームの子どもたちと一緒に見る夕日)

──つらい日常から離れることでちょっと息継ぎができたり、そこでの経験が、何か未来への足掛かりになるかもしれませんね。

中山:
そうですね。
ドルフィンスイムの参加は、1回きりでなくできるだけ継続して参加させてほしいと施設さんにはお願いしています。一度だけでの参加では子どもとも関係がつくりづらいですし、何回も参加してくれるからこそ、このプログラムに参加して終わりではない、つながり続ける関係性が生まれてくるからです。

──つまり中山さんたちとしても、このプログラムに参加してもらったら終わり、一度ドルフィンスイムを経験したら終わりではなく、つながり続けられることを想定していらっしゃるんですね。

中山:
そうですね。過去に参加してくれた子の中には、それこそ片平は今こうやって一緒に活動をしていますし、毎年のドルフィンスイムをスタッフとして手伝ってくれたり、あるいは「イルカと泳いだ経験が忘れられない」と、また御蔵島に行くことを楽しみに仕事をがんばって、10年以上、毎年訪れ続けている子もいます。

(御蔵島を訪れた児童養護施設の子どもたちと、その年の秋に写真を現像し、皆でアルバムを作ったり夏の動画を鑑賞したりして振り返る「写真交換会」にて。御蔵島での楽しい時間の思い出話に花が咲く。写真は2007年の写真交換会にて)

「助けて」を言えないまま
必死で生きている子どもたち

(児童養護施設で育った片平さんの幼少期。「活発な子どもでした。いつも自由がほしいと思っていました」)

──「つながり続ける」ことを大切にされているのは、なぜでしょうか。

片平:
子どもたちが自分から「助けて」と言うハードルが高いからです。

児童養護施設では、職員一人が何人の子どもたちを見る必要があるので、子どもたちは職員に頼れないケースが多いです。どんどん新しい子が施設に入って来るので、子どもたちは職員が忙しいことをわかっているし、さらに職員は3年ほどで担当が入れ替わってしまいます。本当の気持ちを言えるような信頼関係を築くのは難しい現実があります。

──そうなんですね。

中山:
施設を出てからも我慢して我慢して、多くの子どもたちがSOSを出せずに必死で生きています。
借金を背負い、お金がなくなってガスや水道が止まっても、それでも助けてと言えず、公園の水道水を飲みながら路上生活をしていた子もいます。

片平:
僕は施設を退所した後に就職しましたが、仕事はうまくいきませんでした。それでもやっぱり、施設には「助けて」とは言えなかった。その時にドルフィンスイムで知り合っていた中山には相談できたんです。

(御蔵島のドルフィンスイムでつながった児童養護施出身の若者たちがクロップハウスに大集合。皆で食卓を囲んでいるところ)

中山:
大ちゃん(片平さん)のような子は少なくなく、今でこそファミリーホームがありますが、2011年にこのホームができるまでは、私の自宅に行き場所のない子どもたちを泊めていました。最大で8人いた時期もありました。

──8人も?!どんな思いだったのですか。

中山:
私に助けを求めるくらい、非常事態で大変な状況なんだと思いました。頼ってくれた子どもたちに応えるしかない。大人としてできることをしたい気持ちでした。

(クロップハウスを始める前、中山さんの自宅に集まっていた若者たちと。「かつてはこうやって、自宅の狭いキッチンに肩を並べていました」)

中山:
それでも、直接「助けて」と言われたことはほとんどありません。子どもたちは子どもたちでネットワークを持っているので、別の子から「あの子が今困っているらしい」という話を聞いて、本人に連絡をとるということが多かったです。

社会で生きていかなければならないのに、SOSを発信できず追い込まれていく子どもたちを見ているうちに、もっと幼い時から関わりを持って信頼関係を築くことができれば、何かあった時に「助けて」と言える、本当の意味で自立できるようになるのではないかと思いました。そこで2011年にファミリーホームをスタートしたんです。

(クロップハウスの日常。「皆で夕飯を作っているところです。自分たちで育てたキャベツを調理しています。今日の献立は何かな?」)

子どもたちの豊かな心を育むために

(「小学4年生からクロップハウスで育った子が、今年20歳になりました。20歳のお誕生日祝いの一コマ。長年クロップをサポートしてくださっている、皆の家族の様な大切な人たちと一緒に」)

──子どもたちと関わる中で、大切にされていることはありますか。

片平:
家庭的な環境で、一人ひとりとじっくり時間をかけて向き合うことを大切にしています。

問題行動などで他の施設をいくつも回った後にここに来たという子もいます。精神的な問題を抱え、通院したり服薬したりしている子も少なくありません。医療機関や学校とも連携をとりながら、それぞれの子どもたちの力を引き出すための最大限のサポートを心がけています。

少しずつゆっくり関わっていく中で、「大人たちや外の世界が、自分を傷つけるために存在しているのではない」ということを少しずつでも経験していってほしいと思っています。

(日々の暮らしを豊かにするさまざまなことに触れてほしいと、クロップハウスではお醤油づくりも。写真は天地返しをしているところ)

阿部:
その時にもう一つ、私たちとしては子どもたちの豊かな心を育むことも大切にしています。
絵を描いたり海に遊びに行ったり、地域の行事に参加したり…それが直接何かの解決につながるとか、目に見えて何か効果があるというものではないかもしれません。しかし子どもたちの心の栄養になってくれると思っています。

安心してご飯が食べられて、安心して眠ることができる場所があるだけでなく、子どもたちには文化や芸術、自然に触れて豊かな心を育んでほしいです。

(「地域の方たちの温かいサポートにも支えられています。写真は、絵本の読み聞かせに定期的に来てくださっている方と、交流のある地域のおばあさんやお姉さんと」)

困ったときに「助けて」と言える関係性を

(春の緑とクロップハウス(真ん中)。敷地内には別のファミリーホーム(写真左)と幼稚園がある(写真右))

阿部:
私たちのファミリーホームが建っている敷地内には、それぞれ別の法人が運営するファミリーホームと幼稚園があります。このような場所は全国的に少ないと思います。

同じ敷地内で、あるいは地域の中で、今後もさまざまなつながりが生まれる場所として機能していきたと考えています。地域の中で、大人たちが関わり合って生きる姿を、子どもたちに積極的に見せていきたい。「こういうときは助けてって言っても良いんだ」「こんな関係性もあるんだ」ということを生活の中で感じてもらいたいし、あるいは「顔見知りっていいな」でもいいかもしれません。

ゆったりした時間の中で、ありのままで生きる大人たちの姿を、伝えていきたいと思っています。

(「かまどをみんなで作ったり、草屋根を作ったり…。同じ敷地内の幼稚園の保護者の方や地域の方、学生ボランティアの方たちとも協力して、敷地内や近隣の土地の整備を「大地の再生」の手法で定期的に行っています」)

中山:
何もかもすべてをひとりでやっていけることが自立ではありません。自立とは、孤立することではないんですよね。
人とつながりながら手を取り合って、助け合っていくことができることが自立につながっていくのではないでしょうか。普通の家庭の子よりもしんどいことも多いかもしれませんが、だからこそ「助けて」が発信できる子を育てていく、その関係性を作っていくことが大切だと思っています。

──団体名の「クロップ」は「収穫」や「実り」という意味です。ここに込めた思いとは。

中山:
まさに、「実りを収穫しよう」という思いでつけました。
活動を始めた当初、今以上に社会的養護下にある子どもたちの想いや気持ちは大切にされておらず、彼らのやりたいことや思っていることが抑えられてしまうような風潮があり、子どもたちもまた「どうせ無理」「自分には無理」と諦めきってしまっているように感じていました。

それぞれの子どもたちが自分の思いを実らせることができて、その実を収穫できる社会であってほしいと願っています。

(虐待防止啓蒙イベントに参加した際の一枚。「御蔵島でつながった若者たちもブースに顔を出してくれて、久しぶりに大集合しました」)

愛の存在と、その力を信じて。
愛でもって、傷ついた子どもたちのそばにいる

(「心に深い傷を負った青年が、イルカと出会った瞬間をとらえた一枚です」)

中山:
ドルフィンスイムでイルカと出会った経験を通じてもそうですが、「それぞれのいのち、それぞれの存在は尊い」という思いを、私たちは活動の根本として持っています。

それが、たとえどんな状況であっても大切にされていくこと。

「児童養護施設の子どもたちにドルフィンスイムを届けています」というと、「イルカと泳ぐよりも、レジャーランドに行った方が良いんじゃないか」という声をいただくこともあります。でも、ドルフィンスイムは単なるレクリエーションではないし、また、ご飯と寝る場所だけあれば、子どもたちが元気に育っていくわけでもありません。

(「『一緒に遊ぼうよ』。そう言いながら微笑んでいるように見える御蔵島のイルカです」)

中山:
わかりやすく成果や効果が目に見えるわけではないかもしれません。
しかし愛があること、愛を感じられることは、一人ひとりのいのちにとって非常に大切なことです。

ある時、私がアートセラピーを学んでいた方に、「(アートやドルフィンスイムは)成果が見えづらく、そこを見せてと言われると共感や支援が得づらい」と相談した時、彼女はこう返してくれたんです。

(児童養護施設の子どもたちと御蔵島の森に行った時の一枚。2020年、台風の直撃によって倒れてしまった「スダジイ」と呼ばれるシイノキの巨木に抱かれて。「御蔵島が初めての子も、毎年来ている子も、同じ森の巨木に抱かれています。どんな環境で生まれようと、人は皆、同じいのちを生きています」)

中山:
「成果は形にならないとダメだといわれたら、その相手に、『あなたの愛を見せて』といいなさい」と。「愛は、かたちとして見えない時の方が多いのよ」と言われて。本当にそうだと思いました。

かたちは見えなくても、成果がすぐにはわからなくても、子どもたちにとって、そこには大切なことがたくさんある。目には見えないかもしれないけれど、愛の存在とその力を信じて、ひと肌脱ぐ大人が増えていってくれたらと願っています。

──中山さんにとって、愛とは?

中山:
一緒に生きていこうと思うこと、でしょうか。

すごくいろんなものを背負って、必死で生きている子どもたち、あるいはそのまま大人になった人たちがいます。たくさんいます。子どもが子どもとして、あるいは大人が大人として、楽しく生きられるように。一人ひとりが自分らしくあれる社会をつくっていけたらと思います。

(御蔵島で海水に浮いてリラックス。自分とつながり、みんなとつながり、地球とつながる瞬間)

チャリティーは、クロップみのりに帰ってくる子たちを迎える資金として活用されます!

(ドルフィンスイムを通じて出会った子どもたちとはその後もつながり続け、正月やお盆には大人になった彼らが帰ってくる実家のような居場所に。「大晦日から正月にかけては、クロップハウスに入りきらないほどの人数の若者が来るので、移動用のワゴン車と、キャンプ場のバンガローを借りての年越しキャンプが毎年恒例です。写真は、キャンプ場の近くのお寺へ、初詣へ訪れた時の一枚です」)

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

阿部:
ドルフィンスイムでつながった子どもたちが、18歳で施設を出て一人暮らしを始めてからも、お正月やゴールデンウィーク、お盆などの度に、実家のように私たちを頼って遊びにきてくれます。

その時にみんなでワイワイ食事をしたり、お出かけしたりする時の資金として活用させていただけたらと思っています。またその中には、生活の立て直しが必要な子もいます。そういった子どもたちを支援する資金としても活用させていただく予定です。
こういったことには国からの助成などもなく、団体の持ち出しで行っています。ぜひ、アイテムで応援いただけたら嬉しいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

(2016年、御蔵島にて。ドルフィンスイムに参加した子どもたち、スタッフの皆さんと。今年もまた、御蔵島を訪れます!)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜編集後記

大人になってからの生活を見据え、子どもたち一人ひとりとの関係性づくりを大切になさっているクロップみのりさん。「自立は孤立することではない」という中山さんの言葉が印象的でした。

大人になってからも、すべての人に頼れる人がいること。困ったときに「この人だったら話を聞いてくれるかも」と頭に思い浮かぶ人がいること。そんな未来を願わずにはいられません。(田中)

「愛は人生で、もっとも必要なものである。(中略)愛を手にいれるには まず愛が感情ではなく、1つの存在だということをしることだ。(中略)どうやったら来てもらえるか?まず、それが存在していることを信じることだ。(中略)どうしたら愛が手に入るか?
愛を与えることによって
愛することによって」

(『もどってきたアミ―小さな宇宙人』(エンリケ・バリオス著/徳間文庫)より抜粋)

中山さんのお話を聞きながら思い出したのは、大好きな本の1ページでした。
海のイルカは、もしかしたら我々が地球でどこかに置き忘れてしまった、あるいは忘れつつある本当の愛を思い出させてくれているのかもしれません。御蔵島やクロップさんを起点に、その愛が方々へと広がっていっているのだなと感じました。

愛は特別な誰かのものではなく、皆に同じように存在する、私たち一人ひとりのもの。
見えなくても、それを確実に感じられる体験が、きっと誰にもにありますように。そしてその体験が、すべてを癒していきますように。(山本)

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人とイルカが並んで、水面の光の方へと向かって泳いでいます。

晴れの日も、雨の日も、どんな時も。
ありのままの姿で、すぐそばに安心と自由を感じながら、決して果てることのない、いのちの希望に向かって突き進んでいく様子を描きました。

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