CHARITY FOR

行き場のない飼い鳥を保護、新たな里親とつないで20周年。末長く、鳥と人とが幸せに暮らせる社会を築く〜NPO法人TSUBASA

2018年にコラボしていただいた、NPO法人TSUBASA(つばさ)さん。
家庭の事情や入院、高齢化などで飼えなくなってしまった鳥を保護し、新たな里親を探す活動を続けながら、飼い鳥と人とが一緒に長く暮らすことができるよう飼い鳥に関する啓発活動も続けています。

前回のコラボでは、実は鳥は長生きで、大きな鳥だと50年も60年も生きること、しかし飼い主の高齢化によって行き場を失う鳥たちがいることや、鳥は賢く、飼い主の行動によっては馴染めずに手放されてしまうことがあることなどをご紹介しました。

愛鳥家の方をはじめたくさんの方からの反響があり、この1週間でご購入いただいたチャリティーアイテムの点数は、なんと2000点強。チャリティー額は150万円に上り、過去最も大きな金額となりました(そして未だに破られていません)。

今回、TSUBASAさんが団体創立20周年を迎えられたタイミングで、再度コラボさせていただくことになりました。20周年を祝う盛大なイベントを企画していたものの、新型コロナウイルスの流行によってオンラインでの開催に変わったこと。日々のケアが大事な鳥たち、スタッフが感染してしまったらそのお世話ができなくなってしまうと日々緊張感のなかで過ごされていること。鳥を知るきっかけを作りたいと一般に開放されていた、保護鳥たちと接することができる施設「とり村」も、感染防止のために今は閉鎖されていること…。

しかし困難のなかでも鳥を愛し、日々保護した鳥のケアをしながら、引き続き電話相談やオンラインによる講座を続けられています。代表の松本壯志(まつもと・そうし)さん、スタッフの加藤絵里(かとう・えり)さん、高橋麻由美(たかはし・まゆみ)さんにお話を聞きました。

(スタッフの皆さん。下段右から二人目が松本さん、下段左端が加藤さん、上段右から二人目が高橋さん)

今週のチャリティー

NPO法人TSUBASA

さまざまな理由から飼い主と一緒に暮らすことができなくなったインコやオウム、フィンチを保護し、新たな里親を探す活動を行うNPO法人。行き場を失った鳥のレスキューの傍ら、飼い主と鳥とが終生幸せに、そして健康に暮らせるよう、飼い鳥の適正な飼養に関する情報の発信も行っています。2020年で活動20周年を迎えました!

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2021/2/1

コロナ禍でも鳥の保護・飼育を続ける

(TSUBASAでお世話している鳥、タイハクオウムの「レオナ」。「コロナ禍でお客様もボランティアさんもいらっしゃいませんが、毎日元気に遊んでいます」(加藤さん))

──最近のご活動はいかがですか?

松本:
昨年は新型コロナウイルスの影響で、一般開放していた「とり村」を一旦閉鎖、毎日のようにきてくださっていたボランティアさんの受け入れも一旦停止しました。現在は最小限のスタッフで保護した鳥たちのお世話をしています。

(クルマサカオウムの夫婦「トラ」(左)と「サクラ」(右)。「イタズラ好きで好奇心旺盛なトラを、サクラは毎回一歩引いたところで見守っています」(高橋さん))

──現在はどれくらいの鳥を保護しているのですか。

加藤:
102羽の鳥達が暮らしています。なかには体調不良の子もいるので、日々のお世話には手が抜けません。毎日新鮮なお水とご飯をあげて、体重測定や触診、うんちのチェック、ケージの掃除もかかさず行います。また身体面だけでなく精神面のケアも大切となりますので、鳥たちが毎日を楽しく過ごすためのおもちゃ作りやトレーニング、人や鳥同士のコミュニケーションの時間もおろそかにならないよう心がけています。私たちに何かあると鳥達のお世話ができなくなってしまうので、スタッフも細心の注意を払って生活しています。

(日々のお世話の様子。鳥のケージの掃除中。ボランティアさんを募集できない現在は、すべてスタッフで回しているのだそう)

加藤:
以前は月に1〜2回の里親会「MTB(Meet The Bird)」を開催していましたが、こちらも開催頻度が大幅に減少しました。昨年、私たちの団体から里親さんに譲渡した鳥は25羽です。
コロナ禍でも感染対策を徹底した上でなんとか里親会を開催し、25羽もの鳥達に新しい家族が見つかったことは本当に喜ばしいことなのですが、その前年(2019年)の譲渡数が45羽だったことを思うと、コロナ禍でなければもっと多くの鳥たちに素敵なご縁があったのかもしれません。

高橋:
鳥に関する知識を知ってもらう「バードライフアドバイザー」セミナーも、なかなか思ったように開催するのは難しかったです。開催を予定していたイベントのうち、昨年実際に開催できたのはその1/3でした。そのなかでもオンラインでの開催が可能はものについてはオンライン化を進めてきました。

(日光浴も、大切なお世話のひとつ。「日光浴のために鳥と中庭に移動中。オオハナインコの『チャイナ』は足が悪く握力が弱いため、手のひらに乗って移動することを好みます。スタッフはチャイナが落ちないよう、ゆっくりと慎重に運びます」(高橋さん))

──譲渡はいかがですか?

加藤:
当初より私たちは、里親を希望される方には実際に鳥さんに会ってもらうことをとても大切にしています。コロナ禍でも里親になりたい方が鳥さんと面会する回数自体は減らしたくないので、たとえば里親になるための説明の部分などは動画を見てもらったりして、できるところはオンライン化を進めてきました。
運営もなんとかギリギリで試行錯誤の日々ですが、前を向くしかない、チャンスだと捉えてチャレンジしていこうと思っています。

(獣医師や有識者などが講習を行う「TSUBASAシンポジウム」。2020年は初のオンライン開催となった)

ステイホームで鳥を飼う人が増えた一方で、
正しい知識を伝える機会は減少

(保護しているヨウムの「ヨウヨウ」は今年で21歳になる男の子。「6年前からTSUBASAの施設で暮らしています。ちょっと目つきが鋭いのですが、音マネの名人で、オリジナルの歌にビブラートをつけて歌うのが大好きな陽気な性格です」(松本さん))

──2020年3月21日で団体創立20周年を迎えられたそうですね。おめでとうございます。

松本:
ありがとうございます。25年前に鳥専門のペットショップをオープンしましたが、生態販売に疑問を感じ、20年前にすべて辞めました。当時は鳥のいないペットショップなんてありませんでしたが、おかげさまで続けてくることができました。同時期、2000年3月21日にTSUBASAを立ち上げ、行き場のない鳥のレスキューを始めました。それから20年、こうやって活動を継続してくることができたのは、ひとえに愛鳥家の皆さまのおかげです。

(TSUBASAの施設を立ち上げる際に作ったイメージイラスト。のびのびと楽しく、人と鳥とが共に生きる世界が描かれている)

──ステイホーム需要でペットを飼う人が増えたと聞きます。鳥を飼う方も増えているのではありませんか?

松本:
増えていると思いますね。今、一番危惧しているところです。
こういう機会に鳥と出会い、本当に鳥を好きになってくださる分にはとても嬉しいですが、一方で現状ではセミナーや勉強会を開催することは困難で啓発活動を進めることが難しく、鳥や飼育に関する正しい知識が得られないまま、咬みつくとか懐かないといった問題行動によって鳥を手放す飼い主さんが増え、将来引き取りが増えてしまう可能性があるのではないかと懸念しています。

また鳥は大変愛情深い動物で、飼い主さんに大きな愛情を注ぎます。飼い主さんに依存するところがあって、飼い主さんが今は自宅にいても、状況が落ち着いて外に出るようになると、寂しさやストレスからご飯を食べなくなったり毛引き(必要以上に羽を引き抜いてしまうこと)したりする鳥も出てくるかもしれません。

(キエリボウシインコの「たろ」。「こんな甘えた姿を見せるのは女性限定で、男性スタッフに対しては厳しい態度をとってしまいます」(加藤さん))

高橋:
毛引きは癖になると、その原因を取り除いても繰り返し続けてしまいます。毛を抜きすぎて羽がまだらになったり、全部抜けてツルツルになってしまったり、血だらけになってしまうこともあります。

最近ではSNS上でも、鳥のかわいく愛らしい姿が多く発信されています。しかし一方で、毛が抜け落ちたり血だらけになったりした鳥の姿は積極的に表には出てきません。鳥へのイメージと実際の飼育とがかけ離れる、SNSで鳥の発信が増えることには、そういった危険な側面もあるかもしれません。

松本:
毛引きについて補足すると、ストレスや寂しさだけでなく、病気や脂質の多い食事なども原因となり得ることがあります。海外では毛引きは鳥の当たり前の行動として受け入れられていますが、日本では「毛引き=飼い主が愛情を注いでいない」とマイナスに受け止められているところがあります。そういった意味でも、なかなか毛引きした鳥が表に出てきづらい雰囲気があるかもしれません。

(コバタンの「コウちゃん」は、遠方の方向けの里親会「バーチャルMTB」にて里親さんとご縁がつながった。「里親さんは遠いご自宅から、コウちゃんのために何度もTSUBASAに足を運び面会を重ねつつ、時にはボランティアとして実際に大型鳥のお世話を体験し、コウちゃんのお迎えを真摯にご検討くださいました。現在、コウちゃんは毎日たくさんのおもちゃと里親さんの愛情をもらって元気に暮らしています」(高橋さん))

鳥のレスキューの最大の原因は
飼い主の「高齢化」

(オカメインコの「こじゅうろう君」。「施設に来た時にはすでに17歳と高齢で、そして目が見えていませんでした。高齢で盲目のこじゅうろう君は、どうしても通院の頻度が増えたり生活にきめ細やかな配慮が必要になりますが、里親さんはそのすべてを受け入れたうえで家族に迎えてくださいました」(加藤さん))

──鳥の引き取り・レスキュー活動も続けていらっしゃいます。

加藤:
はい。鳥は長寿なので、鳥の種類によっては一世代では飼いきれません。TSUBASAが鳥を引き取る・あるいはレスキューする際の理由として一番多いのが、飼い主さんの入院や死亡、あるいは身体的に世話をするのが難しくなったといった「高齢化」によるものです。

以前、セキセイインコを6羽保護したことがありました。飼い主さんがガンで入院してしまい、1年前からご友人の方が片道一時間半の道のりを通ってお世話されていました。飼い主さんにはご家族もいらっしゃったのですが、ご家族は「保健所に連れていくか、逃してしまえ」ということだったので、不憫に思ったご友人が、遠い道のりを通ってお世話を続けてこられたのです。

しかし、そのご友人が通い続けることが難しくなり、事情があって鳥を引き取ることも難しく、私たちのもとにレスキューの依頼が入ったのです。

──そうだったんですね。

(里親さんのところで元気に生活する「こじゅうろう君」。現在は同じオカメインコのお友達もでき、おもちゃで遊んだり人に甘えたりと充実した日々を送っている)

松本:
本来であればお世話を引き継ぐべき家族がいたにもかかわらず、このご友人のお世話がなければ、鳥たちは死んでいたでしょう。命のバトンがつながった瞬間でした。6羽のなかには病気を患っている子もいましたが、私たちの元で治療し元気になって、今はそれぞれ新しい飼い主さんのもとで幸せに暮らしています。

高橋:
鳥を外に離してしまうのは簡単だし、誰にもバレないかもしれません。この方がいなければ、ご家族はそうしていたかもしれません。しかしそれは犯罪ですし、寒さや暑さが厳しく、カラスや猫といった天敵も多いなかで、飼い鳥は外では生きていけません。

(施設で暮らすコガネメキシコインコの「ちゃっぴー」は14歳の女の子。「飼い主さまがご高齢のためにお世話するのが困難になり、TSUBASAがお引き受けをしました。ご相談から手放す時まで全て私が対応した案件だったこともあり、思い入れのある子です。人が大好きで誰とでも仲良くなれる明るい性格は、前の飼い主様からたくさんの愛情をもらっていた証だと思います」(加藤さん))

飼い主のアレルギーも
鳥を手放す原因に

(オオバタンの「トキ」は松本さんが施設を作るきっかけとなった1羽。「TSUBASAに来た時から毛引きがあり、現在も綺麗に生えそろうことはありません。ですが、ほかの鳥となにも変わらず遊ぶことも食べることも大好きで、大きな段ボールを破壊することが毎日の日課です」(加藤さん))

高橋:
もう一つ、引き取りやレスキューの理由として最近増えているのが、飼い主さんの「鳥アレルギー」によるものです。

鳥は「脂粉(しふん)」という防水や保温の役割を果たす白い粉を身体から生成します。種類によってはこの量が多く、脂粉を吸い続けるとやがて体内に蓄積され、飼い主さんの体調に異変をきたすことがあります。目のかゆみや咳、鼻水やくしゃみといった他の動物アレルギーや花粉症に似た症状が出ますが、鳥アレルギーの場合、悪化すると間質性肺炎を発症したり、呼吸困難に陥ってしまうこともあります。過敏な方だと、羽毛ぶとんやダウンジャケットなどでもアレルギー反応が出ます。

(TSUBASAが年に1回開催する最も大規模なイベント「愛鳥祭」の様子。こちらは2019年の開催の様子。「毎年多くの方にご来場いただいておりますが、新型コロナの影響で2020年は開催できませんでした」(松本さん))

高橋:
実は私にもアレルギーがあります。既に鳥アレルギーを持っている方は病院で検査をすれば分かりますが、今はアレルギー症状が無くても、鳥と仲良く暮らしている飼い主さんがアレルギーを発症することもないとは言えません。誰にでも発症する可能性があります。

人によって発症するタイミングや環境はさまざまですが、小まめに掃除をする、掃除の時にマスクをする、鳥と人の寝室を極力離す、アクリルカバーを使う、鳥吸いをしないなど、アレルゲンを吸い込んでしまう量を極力を減らすことによって、リスクを減らし、発症のタイミングを遅らせることは可能です。

しかしこういった情報を知らないままに鳥を飼うと、気をつけている飼い主さんに比べアレルゲンを吸い込む量が増えてしまいます。自分や家族に鳥アレルギーの症状が出た場合、なかには重い症状が出て、お医者さんから「鳥を手放さないと帰宅できない」とい言われてしまい泣く泣く鳥を手放す方もいます。

長生きする鳥と一生を共にすることは難しいかもしれません。でも、できるだけ長く一緒に幸せに暮らしてほしいからこそ、事前にあらゆる情報を知り、鳥のいる生活を考えた上で飼うかどうかを決めて欲しいと思っています。

──自分の体質を知ることも大事なのですね。

(TSUBASAが定めている認定資格「バードライフアドバイザー」の講座の様子。3級〜1級に分かれており、鳥との暮らしにおいて大切な知識や考え方を学ぶことができる。現在は開催頻度や募集人数を減らして感染対策を徹底しつつ、オンラインでの開催も視野に入れて動いている)

「飼い主さんの駆け込み寺」。
飼育の傍ら、電話相談も継続

(施設で暮らす鳥のトレーニングの様子。「里親さんの元に行く時に役立つように、体重測定やケージの外に出る練習、腕やパーチに乗る練習などをメインに進めます」(加藤さん))

──午前中に保護した鳥たちのお世話をしながら、午後は飼い主さんのための電話相談「鳥さん電話相談室」(平日13〜17時)を続けていらっしゃいます。

加藤:
はい。健康管理や食事、鳴き声のことなどさまざまなご相談を寄せていただいております。飼い主さんは鳥の飼育についてひとりで悩まれていることが多く、こうやってつながれることはすごくありがたいことです。

松本:
問題が解決すれば、困ってしまった飼い主さんが鳥を手放してしまうことを回避できるし、相談いただく私たちにとっても勉強になります。「鳥さん相談室」は鳥を飼う方たちの駆け込み寺であり心の拠り所であり、つながることができる場なので、どんなことがあっても死守したいと思っています。

本来であれば鳥を購入したペットショップで相談して、そこで納得できる答えや解決方法を得られるのがベストなのですが…、いろいろと調べていくうちに私たちのことを知り、ご相談くださることが多いようです。

(ルリコンゴウインコの「ルリ」(左)とカタリナコンゴウインコの「カタリーナ」(右)。「過去に子育ての経験もある、正真正銘の仲良し夫婦です」(加藤さん))

──問題行動の相談などもあるのですか?

加藤:
幸い、鳥の飼育に関する知識は少しずつ広がっています。なので、たとえば咬み付くとか鳴き止まないといった問題行動に関するご相談は以前に比べて減りました。体調面やお世話に関するご相談が多いですね。

日々100羽を超える鳥さんたちのお世話をしてきた経験と愛鳥家の皆さまとの交流、海外の最新情報なども参考に、的確なアドバイスができるようにと努めています。ただ、あくまで飼育スタッフとしての立場であり、医療に関することについては専門の医師に診ていただくようお伝えしています。

(アオメキバタンの「シロ」は、高齢のおじいさんがお世話をしていたが、病気のために飼育することが困難になり、息子さん夫婦が引き継ぐことに。「しかし鳴き声や咬みつきなどでお世話が困難ということで、2000年にTSUBASAが引き取りました。特技はダイナミックに羽を大きく広げ、体を上下しながら『バンザイ』を連呼すること、歌うこと、おしゃべりです。このことが噂で広がり、TV局からオファーが相次ぎ色々なTV番組に出演させていただきました。ある意味、TSUBASAのことを世に広めてくれた立役者でもあります」(松本さん))

世代を超えた「命のバトン」を引き継げる社会を

(「シロ」と入社1年目のスタッフ。「年齢も、施設での生活年数もシロの方がずっと上ですが、シロはこのスタッフのことが大好きです」(加藤さん))

──長生きする鳥さんと、飼い主さんはどんなふうに付き合っていけるでしょうか。

松本:
長寿の鳥に関しては、「一世代では飼いきれない」ということを念頭に、バトンをつないでいくイメージでお世話をしていかなければならないでしょう。そのような社会を作っていきたいと思います。

スタッフの一人が、アメリカ最大級の鳥のレスキューセンター「ガブリエル財団」へ3ヶ月研修に行った時の話です。
保護されていた3歳のルリコンゴウイン」と、施設を訪れた70歳のおばあちゃんとが相思相愛になりました。しかしこのルリコンゴウインコという鳥は、80年ほど生きる鳥なんです。70歳のおばあちゃんが引き取ったら、最期までお世話をすることは不可能ですよね。

(研修でアメリカを訪問したTSUBASAスタッフの涌井さん(右)。ガブリエル財団を主宰するジュリーさんのご自宅にて。涌井さんの手に乗っているのはスミレコンゴウインコ)

松本:
日本人の僕の感覚からすると、長生きする鳥は、そのことが理由でなかなか引き取り先が決まりません。長生きするからこそ「最期まで面倒を見られない、終生飼養ができない」と断念される方がたくさんいらっしゃるのです。

しかし、この団体の考え方が素晴らしかった。「おばあちゃんがこの先10年、この鳥を元気にお世話できたら、おばあちゃんからたくさんの愛情を受けたこの子には社会性が身について愛される鳥になり、彼女が亡くなった後も新しい飼い主さんが決まるだろう。おばあちゃんから愛情を受ければ、命のバトンはつながれるだろう」と。そしてこの鳥は、おばあちゃんの元へと引き取られていったのです。

──おばあちゃんも、鳥さんも、おばあちゃんの後の飼い主さんも、きっと皆がハッピーですね。

松本:
この話を聞いて施設を見渡してみると、TSUBASAにも同じルリコンゴウインコがいました。当時17歳だった「ウイリー」です。毎月のように里親会にも出ていましたが、長生きであることもあってか誰からも声がかからず、そのうち目つきも悪くなって毛引きをするようになり、もっともっと声がかからなくなっていました。

(ルリコンゴウインコの「ウイリー」は21歳の女の子。ルリコンゴウインコの寿命は80年ほどとされている)

松本:
僕はこのアメリカでの話を聞いて、自分より長生きするこのウイリーも、世代を超えて命のバトンがつながれ、幸せに生きていくことができるようにしたいと思いました。1ヶ月目は咬みついたりしてこわかったのですが、2ヶ月目にはもうコロッと態度が変わって(笑)。僕の手だけでなく友人の手にも乗るようになりました。

「人が愛情を持って育てれば、鳥はそれに応えて人に懐き、心を寄せるようになり、誰からも愛されるようになる。命のバトンのリレーができるんだな」と実感した瞬間でした。ウイリーは、すでに二人ぐらい「引き取ってもいいよ」と申し出てくれている友人がいます(笑)。

(「とり村」内のバードランの様子。「お客様がご自身の愛鳥さんを連れて遊びに来ることができるスペースです。普段とは違う人・鳥さんと接することで、愛鳥さんの社会化に繋がりますし、鳥さんだけでなく愛鳥家さん同士の交流の場でもあります」(松本さん)。※利用には会員登録が必要、現在はコロナ禍のため施設もバードランも閉鎖中)

「鳥は、一生をかけて守っていきたい
地球の宝物」

(ルリコンゴウインコの「ウイリー」(左)と、オオキボウシインコの「コウやん」(右)。「コウやんは22年前、毎年参拝している和歌山の高野山に行った際、大阪難波のデパートのペットショップにいました。誰も気づかないような高い場所にいたので不憫に思って出してもらうと、お店の店長さんの手をいきなり咬んで大流血させてしまいました。そしてまた高い場所へ。高野山の参拝後、『このインコがまだいたら、お迎えする。あの様子では売れるわけないので、きっといるはず』ということで、我が家にお迎えしました。高野山に行ったときに出会ったので、コウやんと命名しました」(松本さん))

──皆さんは日々鳥と触れ合っていらっしゃるわけですが、鳥の魅力は、どんなところにあるでしょうか。

松本:
鳥は「永遠の二歳児」と言われています。幼子のような感情を持ったかわいらしさがあり、自由で人に媚びず、対等に接してくれるところは魅力ですね。僕は今、6羽の鳥と一緒に暮らしていますが、全員同じように接してあげないとやきもちを焼かれます(笑)

加藤:
小さい頃から鳥が好きです。羽毛も美しく神秘的で、だけど一方で愛情深く表情豊かで人間くさいのが魅力ですね。飼っている鳥をケージの外に出して遊んでいる時に「おうちに帰ろう」と言ってケージに戻そうとするとそっぽを向いて寝たフリをしたり(笑)、怒られるとわかっていることをやったり、ごまかそうとしたり…かわいいですね。自己主張が強く、欲望に忠実なところも魅力的です(笑)

高橋:
野鳥ももちろんかわいいのですが、手の上に乗って指を握ってくれたりするのは、飼い鳥ならではのかわいさだと思います。

(アカビタイムジオウムの「紅葉(もみじ)」ちゃん。「人によって全く態度が変わってしまう子です。こんな風にリラックスして甘えていても、他のスタッフが通りかかると厳しい目つきをして飛びかかってしまうので、困りつつもつい笑ってしまいます」(高橋さん))

──松本さんにとって鳥とはどんな存在ですか?

松本:
自分が人生をかけた、尊い地球の宝物、ですね。一生をかけて守っていきたい地球の宝物です。
他のたくさんの生き物とも関わってきたし、動物が大好きですが、鳥は別格だと感じます。どう説明して良いのかわからないのですが…、繊細なところもあって、それでいて聡明なところもあって、これだけ人の心を釘付けにする生き物は他にいないのではないでしょうか。

(「以前オーストラリアに行った時に、野生のモモイロインコを街中で発見、手に乗ってきて甘えてきました」(松本さん))

「鳥と人とが幸せに生きるための
理解を広げていきたい」

(TSUBASA設立20周年を記念して、2021年3月20日に大規模なオンラインイベントを開催予定。「慣れないオンラインイベントに四苦八苦しつつ、TSUBASAを応援してくださる全ての方が楽しめるよう準備を進めています」(高橋さん))

──今後の目標を教えてください。

松本:
TSUBASAとしてというよりは、僕の現在の個人的な目標なのですが、鳥と人とがより生きやすい、幸せになれる社会を目指して鳥業界を変えていくことができたらと思います。
鳥にはPBFDという感染症があり、発症するとほとんど助かりません。罹患率は14%、つまり100羽中14羽です。ではどこでこのウイルスに感染するかというと、飼い主さんのもとではなく、ブリーダーかペットショップが感染の多くを占めています。

(オンラインでのインタビュー中、松本さんの後ろで大きな声で鳴いて、突如スペシャルゲストとしてインタビューに登場したオオキボウシインコのコウやん。「1匹だけ特別扱いすると、他の鳥たちが拗ねちゃうんですよ。同じようにしてあげないと」と笑顔で話す松本さんの姿が印象的でした)

松本:
愛鳥家のブリーダーの方はしっかりと衛生環境を保っておられますが、一方で鳥を繁殖させる際、「人が関わらない方が繁殖率が高くなる」といった昔の神話が今でも信じられているところがあり、ウンチやおしっこも放置した状態でケージを掃除しないまま2ヶ月も3ヶ月も不清潔な環境で鳥を飼育していることがあります。

日々の掃除や消毒を徹底しなければ、ウイルス感染のリスクは高まります。親が感染すると雛鳥にも感染しますから、できるだけこの環境を変えていきたいと思っています。
愛鳥家の方たちの理解を得ながら、対立したり批判したりするのではなく、より良い形でこの環境を変えていくことができたら、と思っています。

高橋:
「鳥にはただ餌と水をあげておけばいい」と思っている方もまだまだたくさんいらっしゃるので、専門家を招いた講演だけでなく、鳥を飼い始めたばかりの飼い主さんやまだ鳥を飼っていない方、鳥に興味のない方などにも、基本的な鳥の知識を広く浅く広めていけたらいいなと思っています。

餌ひとつをとっても色々な種類がありますし、お世話について、保温が必要であったり毛引きという行動があったりするするということを知っていれば、何かあった時に自分で調べて、問題を防げることも少なくないからです。

(キエリボウシインコの「オールド」と、アオボウシインコの「つん」。「オールドは施設でも最年長の57歳。つんとは施設で出会って以降、現在も深い絆で結ばれています」(松本さん))

チャリティー使途

──最後に、今回のチャリティーの使途を教えてください。

加藤:
保護した鳥たちの飼育に必要な資金として使わせていただきたいと考えています。ご飯類に関しては大変ありがたいことにご寄付をいただくことが多いので、鳥の健康を維持する上で大切な、温度管理のための冷暖房費や看護に欠かせない保温にかかる光熱費などに活用させていただければ嬉しく思います。

──この冬も寒いですから、光熱費は馬鹿にならないでしょうね…。

加藤:
はい。とくに冬の季節(10月下旬~4月下旬)は、鳥達のお部屋を暖めるために床暖房・オイルヒーター・エアコンなどをフルで活用して毎年なんとか乗り越えています。加えて体調不良や高齢の子を看護する専用のお部屋では、1年を通して常に室温30度をキープしなければなりません。この時期、光熱費は夏場の倍近くかかります。
もう一つ、私たちが鳥を引き取る前に必須としている鳥の感染症検査や健康診断にかかる費用などについても、本来は飼い主さんご自身で負担していただくのですが、緊急レスキューなど急を要するやむを得ない場合は、団体で負担することもあります。
今回のチャリティーは、こうした場合に保護した鳥たちの健やかな生活環境を守るための資金として使わせていただけたらと思います。

──貴重なお話をありがとうございました!

(スタッフの皆さん。2020年の入社式に撮影した1枚。もちろん、施設の鳥達も一緒!)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

2年ぶりのTSUBASAさんとのコラボ。インタビューでは変わらないお元気そうなお姿を見られてとても嬉しく、鳥さんの話を聞くのも本当に楽しくて、時が経つのを忘れてしまうほどでした。コロナ禍でも日々、スタッフさんが交代で100羽を超える保護鳥たちのお世話をされているとのこと、本当に頭が下がります。

大変な時期ですが、ピンチを乗り越え、保護された鳥さんたちに明るい未来があるように、そしてこれまでの20年をお祝いして、ぜひチャリティーで応援いただけたら幸いです!

・NPO法人TSUBASA ホームページはこちらから

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愛らしいセキセイインコと文鳥を描きました。
鳥を飼う方たちが最初に飼ってその魅力に取りつかれるのが、セキセイインコや文鳥などの小さな鳥なのだそう。
まるで愛らしい鳴き声が聞こえてくるような姿に「20周年」を記念するフラッグ。
TSUBASAさんの活動20周年を、鳥さんたちもお祝いしています。

“Happiness is being with you”、「幸せとは、あなたといること」というメッセージを添えました。

Design by DLOP

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