CHARITY FOR

「君はひとりぼっちじゃないよ」。 病気を持つ子どもの「きょうだい」に寄り添う〜NPO法人しぶたね

病気を持つ子ども、その「きょうだい」の存在を、皆さんは考えたことがありますか?

JAMMINはこれまで、病気を持つ子どもやそのご家族をサポートする団体さんと何度かコラボしてきました。
病気を持つ子どもが抱えているつらさや、そのご家族の悩みや苦しみをたくさん聞かせていただきましたが、その「きょうだい」にまでフォーカスを当てたことはありませんでした。

今週、JAMMINがコラボするのは、病気を持つ子どものきょうだい支援に取り組むNPO「しぶたね」。
代表の清田悠代(きよた・ひさよ)さん(41)は、中学生の頃に弟の闘病生活を支えながら目の当たりにしたきょうだいたちのつらく悲しい現実を変えたいと、15年前からきょうだい支援に取り組んでいます。

清田さんと、しぶたねで活躍する専属ヒーロー「たねまき戦隊シブレンジャー」の一員である「シブレッド」さんに、きょうだい支援について、お話をお伺いしました。

(清田さん(右)とシブレッドさん(左)。JAMMINのオフィスを訪問してくださいました!)

今週のチャリティー

NPO法人しぶたね

小児がんや心臓病などの重い病気をもつ子どもの「きょうだい(シブリング)」のサポートをしているNPO法人。きょうだいのためのワークショップ「きょうだいの日」や、病院内での活動、きょうだい支援を担う人を増やし、つながるための「シブリングサポーター研修ワークショップ」などを各地で行っている。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

病気を持つ子どものきょうだいが抱える感情

──今日はありがとうございます。早速ですが、病気の子ども本人や、その親御さんのことはいろいろと想像できるところもあるのですが、「きょうだい」となると、どんな悩みを抱えているのか、どんなことを思っているのか、なかなかイメージが湧きづらいところがあって…。その辺を教えていただけませんか?

清田:
病気を持つ子どものきょうだいの心の中には、様々な感情が渦巻いています。
「何が起こったの?」という不安や、「僕のせいでお兄ちゃんは病気になってしまったのではないか」という自責や罪悪感、親御さんが看病に付きっきりになってしまうことに「妹ばっかりずるい!」という嫉妬や怒り、「誰も私のことは見てくれない」という寂しさや孤立、「私はきっと要らない子なんだ」という自己肯定感の低下などです。

また、「病気じゃない自分が我慢しなきゃいけない」「もっと自分が頑張らなきゃいけない」というプレッシャーや将来への不安も感じています。

(「きょうだいさんがもちやすいきもち」。しぶたねが発行する『シブリングサポーター研修ワークショップテキスト』(2016年/しぶたね編集)より抜粋)

──親御さんが病気の子どもに付きっきりになった時、なかなかきょうだいのサポートまで手が届かないのではないでしょうか。

清田:
活動をする中でたくさんのきょうだいとその親御さんに出会いましたが、親御さんは本当に精一杯で、ギリギリの状態です。きょうだいのことも大事だし、いろいろとしてあげたいと思っているのに、余裕がなくてそれができない。きょうだいに対して申し訳ない気持ちや罪悪感を抱いている方が多いです。

(きょうだいについての講演の様子。名古屋大学医学部附属病院にて)

きょうだいの気持ちに気付き、寄り添うことが大切

(2018年3月、大阪大学にて開催された「シブリングサポーター研修ワークショップ」での一コマ。受講者でグループになり、きょうだいの気持ちを皆で考え、意見を出し合う)

──そんな中で、どうやってきょうだいをサポートできるでしょうか?

清田:
まずは、周囲の人たちが、きょうだいの気持ちに気づくこと。小さなきょうだいたちは、様々な感情を言語化して上手に伝えることもできず、一人で苦しんでいます。

たまに怒りや憎しみとなって、それが爆発することもあります。「みんななんて大嫌い!」「お姉ちゃんに病気なんてなかったら良かったのに!」と怒った時、親御さんも言葉をそのまま受け止めてしまい「何もしてあげられない自分は親としてダメだ」とか「病気のある子どもを産んだ自分の責任だ」と罪悪感を抱いて傷つくこともあります。

けれど、それはただ「お母さんと一緒にいたい」とか「自分を見て欲しい」という、子どもらしくかわいらしい思いの表れだったりもします。そんな言葉の奥の気持ちを一緒に探すことが、きょうだいにとって、愛されている実感につながることもあります。

(大阪大学で開催された「シブリングサポーター研修ワークショップ」にて。ワークショップ終了後、受講者の皆さんには研修ワークショップ終了証とシブリングサポーターがいることを示すステッカーが手渡された。シブリングサポーターを増やす「たねまき活動」も活動の大きな柱だと清田さんは話す)

「病院の廊下で孤独に過ごすきょうだいたちを見て、
私の道は決まった

(病院にきょうだいの居場所を作るための活動。病院の廊下の隅にマットを敷き、おもちゃとボランティアがきょうだいを待っている)

──ご活動を始められたきっかけを教えてください。

清田:
亡くなった4歳下の弟には、先天性の心臓疾患がありました。
中学1年生の時にそのことがわかり、親から「あなたはもう大人だから、一緒に弟を守って欲しい」と頼まれました。その時、決してネガティブな感情ではなかったのですが、「もう私は大人なんだ」という不安や寂しさ、責任を感じたのを覚えています。

中学生以下のきょうだいは、感染予防のため病室に入ることはできません。弟の入院している病院の廊下で、小さなきょうだいたちがぽつんと一人ぼっちで座っている光景に、中学生ながらとてもショックを受けました。

子どもの病棟の入り口はビニールのシートになっていました。つまり、子どもが入ろうと思えば入れるんですね。親を待つ2、3歳ぐらいの小さなきょうだいが「ママー、ママー」と大声で泣き叫びながら、それでも中には入らないんです。入ってはいけないことを、小さい頭で理解しているんです。胸が痛みました。

(インタビュー中の一コマ。一つひとつの質問に丁寧に答えてくださった)

清田:
こんなに泣いているのに、通り過ぎるどの大人にも声をかけてもらえない。この子が泣かずに済むために何かできることはないか、きょうだいが安心して過ごせるケアができないかと思いました。私の道は、その時に決まったんです。

病院できょうだいと過ごす活動を始めたばかりの頃、一人のきょうだいがやって来て、開口一番「ここって、僕のための場所なんだよね」とスタッフに聞いたんです。
ああ、それまで自分の居場所がないって感じていたんだな、と思いました。居場所を感じ、「一人じゃない」ということを感じてほしい。親御さんはもちろん、「あなたのことを思っている大人がいるよ」ということを、感じてほしいと思っています。

シブレッド:
医師の先生や看護師さんたちは忙しく、ついその場を通り過ぎます。しかし、きょうだいからすると、「何も声をかけられないこと」は「ここにいてはいけない」と言われているように感じるんです。大人になってから、「自分が邪魔者だと感じてつらかった」と当時の思いを語ってくれるきょうだいもいます。

──シブレッドさんは、なぜこの活動を始められたのですか?

シブレッド:
私は、清田と同じ大学で福祉を学んでいました。
僕も山本さんと同じで、子どもが病気になった時、その子と親御さんのつらさやしんどさは想像できても、そのきょうだいの存在までを、考えてみたことはありませんでした。きょうだいのことを知るまでは、ぼんやりとそのシルエットぐらいまでしか見えていなかったんです。

一瞬、「きょうだいは健康な子どもやし大丈夫」と思うかもしれませんが、周囲の目が自分に向かず、自分の存在自体を認められずにいるきょうだいがいること、そして日本ではほとんど誰もそのサポートに手をつけていないことを清田から聞き、「これは大変や」と思うようになったんです。

──そうだったんですね。

(きょうだいが病院を知ることで不安を軽減できるようにと、病院と一緒に企画したイベント「びょういんたんけんスタンプラリー」の台紙)

「きょうだいの日」は、きょうだいが主役になれる日

(「きょうだいの日」イベントにて。「今日はお母さんをひとりじめだ!」と母親に上手に甘えるきょうだい)

──現在は、活動拠点である大阪を中心に、各地の病院などでも小学生のきょうだいを対象にイベントを開催されています。

清田:
「きょうだいの日」は、きょうだいを全力で歓迎し、きょうだいが主役になれるイベントです。大人を独り占めして、愛をシャワーのように浴びる日。主役感やスペシャル感を感じてもらいたいので、きょうだいの数の倍ぐらいの大人のスタッフがいます(笑)
いつもは病気のある子どもの影に隠れて、後回しになってしまうことも多いきょうだい。この日だけは「ちょっと待ってね」とは言いたくないんです。

(JAMMINとも過去にコラボした、小児がんをはじめとする医療的なケアが必要な子どもや若年成人とその家族のための滞在型療養施設「チャイルド・ケモ・ハウス」にて、出前「きょうだいの日」をした時の様子)

孤独を抱えるきょうだいの思いを受け止め、
寄り添う小冊子を発行

──大人向けの講演やワークショップ開催等、たねまき活動にも力を入れられています。

シブレッド:
きょうだいの課題は、まず知ってもらうことが第一です。講演を通じて現状や支援の必要性をお伝えするほかに、きょうだいを支援する「シブリングサポーター」を増やす研修ワークショップの開催や、きょうだいのための小冊子の作成・配布にも力を入れています。

──どんな冊子ですか。

清田:
2011年に作成した「きょうだいさんのための本 たいせつなあなたへ」は、きょうだいが寂しい時やひとりぼっちだと感じる時に、親御さんや周囲のたくさんの人から注がれる愛情を彼らが確認できるものを作りたいと思って作成した冊子です。これまでに17,000冊がきょうだいのもとへと旅立っていきました。

(2011年に発行した『きょうだいさんのための本 たいせつなあなたへ』と、この3月に完成した『きょうだいさんのための本2 おにいちゃん、おねえちゃん、おとうと、いもうとを亡くしたあなたへ』。両隣に置かれているのは「つぶたね」というしぶたねのキャラクター。編みぐるみは、清田さんお手製)

清田:
そして、つい先日完成した冊子が『きょうだいさんのための本2 おにいちゃん、おねえちゃん、おとうと、いもうとを亡くしたあなたへ』です。

兄弟姉妹との死別は、きょうだいにとっても大きな壁となって立ちはだかります。死という概念がわかりづらかったり、自責感を抱えてしまう子も多いです。自分や周囲の人の感情の揺れに戸惑ったり、また、悲しみに打ちひしがれる親を目の当たりにして、自分の気持ちを後回しにしてしまったり、「自分の番はこないんだ」と一層深い孤独へと陥ってしまうこともあります。
大切な人を亡くし、つらいのはきょうだいも同じ。そんなつらさを一人で抱えなくていいんだよ、いろんな気持ちがあっていいんだよ──。そんなメッセージをちりばめた冊子です。

(『きょうだいさんのための本2 おにいちゃん、おねえちゃん、おとうと、いもうとを亡くしたあなたへ』の1ページ。「どんなきもちも、もっていていいんだよ」。冊子の中には、子どもに寄り添うメッセージが散りばめられている)

チャリティーは兄弟姉妹を亡くしたきょうだいへ、
新しい小冊子を届けるための費用になります

──今回のチャリティーの使途を教えてください。

清田:
きょうだいをサポートするために、新しく完成したこの冊子を、NICU(新生児特定集中治療室)のある病院300箇所と、病弱教育部門のある特別支援学校173箇所に発送したいと思っています。
1箇所あたりの送料は205円。今回のチャリティーで、NICUと特別支援学校合わせて473箇所に送るための費用・96,965円を集めたいと思っています。

この冊子を手にしたきょうだいが、つらい中でも、自分のことを大切に思えるきっかけになれればと思っています。ぜひチャリティーに協力いただけたら幸いです。

──ぜひ、お手伝いできたらうれしいです。貴重なお話を、ありがとうございました。

(昨年10月、第11回よみうり子育て応援団大賞の大賞を受賞。受賞式の控室にて、スタッフ、ボランティアの皆さんと「シブレンジャーポーズ」で記念撮影!)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

「きょうだいへの支援」と聞いても、正直最初はパッとイメージが浮かびませんでした。きょうだいがどんなことに悩み、どんなことに苦しんでいるか、まったく想像がつかなかったからです。

何が課題なんだろう。何に困っているんだろう──。しぶたねさんの研修ワークショップにも参加させていただき、いかにきょうだいたちが小さな心に重荷を背負っているのかを知りました。同時に、この課題は子どもだけではもちろん、親子だけでも解決できない、深い課題でもあると感じました。病院で、近所で、周りの人が「おはよう」「元気だった?」「最近どうしてるの?」と声をかけるだけでも、きょうだいはきっと、ちょっとした安心感や居場所を感じることができるのではないでしょうか。

小さなきょうだいの声なき声が、たくさんの人に届くことを願っています。

NPO法人しぶたね ホームページはこちら

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風に揺られてかたちを変えるモビールのように、心の中には、いつもいろんな感情が渦巻いています。
「どんな気持ちも、持っていていいんだよ。君はそのまま、君でいいんだよ」というきょうだいへの思いを表現すると同時に、もし誰か一人が弱っていたら、モビールのように周囲の人たちがバランスをとってその人を支えよう、そんな仲間をたくさん作っていこう、というしぶたねの思いを表現しました。

“Today you are you, that is true”、「今日どんなことがあっても、何を思っても、君は君。自信を持って」。そんなメッセージを添えています。

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