CHARITY FOR

白でもなく黒でもない、その不確実性の中に価値を。不自由の時代に、自由を踊る〜新人Hソケリッサ!(一般社団法人アオキカク)

2020年。時代は大きなうねりの中にあります。
テクノロジーの進化、経済のグローバル化などによって人やモノの流れが大きく変わり、これまで当たり前とされてきた価値観が崩れつつあるなかで、予測できない未来に対する不安や希望が同時に渦巻く、混沌とした時代でもあります。

しかし日本の社会を見ると、長く経済の成長を支えてきた「こうあるべき」という習慣やルールが形骸化し、さらに若い世代を中心とした「SNS映え」などに翻弄され、はじき出されしまった人、疲弊している人も少なくないのでしょうか。

2018年7月にコラボした「新人Hソケリッサ!(以下「ソケリッサ」)」。ダンサーであり振付師のアオキ裕キさん(51)を中心に、路上生活者もしくは元路上生活者だったおじさんたちで結成されたダンスグループです。

「ホームレス」という社会のレールからの究極のドロップアウトを経験したおじさんたちは、人やモノ、情報が行き交う街で、今日も踊ります。

「おじさんたちの踊りは、不ぞろいで統制も白黒もない不明確なもの。これは現代社会へのアンチテーゼ。我々の踊りが、今の社会のあり方を問うきっかけになれば」。

アオキさんはそう話します。

2019年3月7日より、ソケリッサを追ったドキュメンタリー映画『tHe dancing Homeless ダンシングホームレス』(監督・撮影:三浦渉)が公開されます。
踊りに込められたメッセージとは。2度目のコラボ、今回はアオキさんと、メンバーの西篤近(にし・とくちか)さん(41)に話を聞きました。

(「新人Hソケリッサ!」メンバーの皆さん。左から伊藤さん、アオキさん、山下さん、小磯さん、西さん、平川さん、横内さん、渡邉さん)

今週のチャリティー

新人Hソケリッサ!(一般社団法人アオキカク)

2005年よりホームレス支援を行う非営利団体「ビッグイシュー基金」の協力を得て参加者を募り活動を開始。舞台や路上でのパフォーマンスを主体とした活動を行う。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2020/1/20

「ありのままで生きる」。
踊りに込められた思い

(ドキュメンタリー映画『tHe dancing Homeless ダンシングホームレス』(監督・撮影:三浦渉)。2020年3月7日に東京・渋谷「シアター・イメージフォーラム」ほか全国順次公開)

──前回のコラボではお世話になりありがとうございました!
各地でのパフォーマンスやワークショップ等、精力的にご活動を続けられていますが、この春にドキュメンタリー映画が公開されるそうですね。

アオキ:
はい。約1年にわたって密着してくださった様子がドキュメンタリーになっています。ふつうは青写真があって、そのイメージと共に撮影が進むと思いますが、「日々の瞬間やその時生まれるものをただ淡々と表現してほしい」という思いがとにかく強くあったので、監督さんとも話をさせていただいて、ありのままの我々の日々を姿を撮影していただきました。

──なぜですか?

アオキ:
観る人が自由に感じたり判断できるものでありたいと思っています。僕自身「コントロールすること・されること」に違和感を持っています。
踊りについてもそうですが「こう観て欲しい」とか「こう感じてもらいたい」という意図的なことはせず、100人の観客がいたら100通りの見方で、自由に感じて欲しいと思っています。

言い換えれば、僕たちの踊りは答えのない、すごく曖昧なものです。でも、不明確さや曖昧さがあっても良いのではないか、不明確さや曖昧さにも価値がつく世の中であっても良いのではないかという問いかけでもあります。

(都内でのドキュメンタリー撮影の様子。「メンバーの踊りたい場所のひとつです」(アオキさん))

──なるほど。

アオキ:
今の社会は、一つの枠の中での競争や優越、白黒を明確につけてしまうために疲弊している現実があると思います。でも、この枠外のことに価値が見出されたら、そこから新たな希望が広がっていくのではないでしょうか。

──確かに。閉塞感があると感じますが、それは皆が同じ、「こうあらねばならない」といった一つの社会像のようなものを追っているからかもしれません。

アオキ:
今の社会が完成形ではなく、様々なことがまだ未熟であって、そこを意識すると、また違った見え方ができると思います。

人間にはいい加減なことや適当なこともたくさんあって、でもそのいい加減さも含めてもっと魅力としてとらえる事。ありのままで生きるという事、不自由さからの逸脱。踊りにはそんな思いが表現されています。

(2019年6月19日、「象の鼻テラス」開館10周年記念展「フューチャースケープ・プロジェクト」にて、新人Hソケリッサ!公演「Plaza ・Z(プラザゼット)」。「さまざな環境で生活する人々が行き交う横浜の港、象の鼻パークにてのパフォーマンスの機会をいただきました。海は生命の発端、最後はメンバー平川さんが船に乗り、その海へと消えていく構成、この空間ならではの作品となりました」(アオキさん)(撮影:河原剛))

「繰り返すことで、価値が生まれる」

(横内さんとアオキさんのシーン。心身より溢れるエネルギー。2019年6月19日、象の鼻テラス開館10周年記念展「フューチャースケープ・プロジェクト」より、新人Hソケリッサ!公演「Plaza ・Z(プラザゼット)」(撮影:河原剛))

──新たな価値を問うようなものであるのですね。

アオキ:
今世にある「価値」というのも、過去からの繰り返しによって、習慣の中から生まれてきたものですよね。繰り返されることで、習慣になり、価値になる。
だから基本的に「繰り返すこと」「習慣をつけること」を自分たちは大事にしています。それしかないんじゃないかな。

──なるほど。

アオキ:
ソケリッサを始めた時も、最初は路上生活者が踊ること自体に違和感があったし、「将来どうするのか」「最後まで面倒を見られるのか」という声もありました。でも、繰り返してきたからこそ、今は批判も少なくなってきました。

──繰り返しが新しい価値を生んだのですね。

アオキ:
既存の社会のシステムを排除したいということではなく、ただこの社会で生きる事においての新しい発見、希望を提示したいというか、そういうアプローチになればと。…あえて言葉にするならば、そういうことになるでしょうか。

(「かつてブルーシートが乱立し、路上生活者が多く休んでいた新宿中央公園。その水の広場にて新宿都庁を背にし、トラックの荷台で踊りました。ずっと惹かれていた空間。また踊りたいと思います」(アオキさん)。2019年9月5日、移動型パフォーマンスプロジェクト「DANCE TRUCK TOKYO」にて(撮影:bozzo))

「不自由さ」を意識するきっかけに

(東京・吉祥寺駅〜三鷹駅区間で街中パフォーマンス。吉祥寺駅前のアスファルトの上から始まり、井の頭公園の土の上、そして歩道の上を踊りながら最終の三鷹駅前に向かう。2019年6月1日、アートプロジェクトTERATOTERA主催「駅伝芸術祭 リターンズ」新人Hソケリッサ!骨の路の踊りにて(撮影:阪中隆文))

アオキ:
特に、今の若い世代の人たちについては、踊りのワークショップなどで接することがありますが、自分たちの時代よりも言いたいことが言えず、批判されたり炎上したり、それが当たり前の時代になっていると強く感じます。
幼い頃から「一つの正解」を教え込まれ、優越や白黒つけること、枠からはみ出さないように育ってきた結果、笑ってごまかしたり本心を偽ったりといった「不自由さ」を当たり前としてとらえているように感じるのです。

若者がダメというわけでは無く、ただ、次の世代が、何かその「不自由さ」を抱えた体で未来に挑んでいくことに怖さを感じるのです。僕はそれをこの世の中を構築してきた我々大人の責任としてとらえています。ネットでは匿名で簡単に人とつながることができます。写真を加工して、偽りの姿を投稿することもできます。でも生身の体は、それはできません。

──肉体も踊りも、もっとリアルなものですね。

「こんな風になりたくない」でもいいんです。華やかで着飾った世界やバーチャルの世界の存在感が大きい若者たちが、僕たちの踊りを通じて何かを感じてくれたら嬉しい。当たり前と感じている「不自由さ」に対して、何かを感じてもらえたらと思います。

(パフォーマンス終了後、挨拶でメンバーの名前を一人ずつコールした際、拍手を受け胸を熱くする最年少メンバーの山下さん。2019年6月1日、アートプロジェクトTERATOTERA主催「駅伝芸術祭 リターンズ」新人Hソケリッサ!骨の路の踊りにて(撮影:阪中隆文))

「没頭できる何かを探し続けていた」。
ソケリッサのメンバー・西さんの場合

さて、ここからは「ソケリッサ」メンバーである西篤近(にし・とくちか)さん(41)に話を聞きました。普段は新宿で路上生活を送る西さん。ソケリッサの魅力を尋ねてみました。

(たまたま関西に滞在されており、JAMMINのオフィスまで来てくださいました!写真中央が西さん)

西:
何にもとらわれていかないというか、とにかく面白くて、いつも何かに驚かされるのがソケリッサですね。
メンバーそれぞれに強烈な個性があって、打算も欲望もたっぷりあるんだけど(笑)、そこに対してジャッジがないというか、そんなところも含めて本当に面白い(笑)。

──西さんはどういう経緯で路上に出たのですか。

西:
自分は両親と兄の4人家族で、東京で生まれ、小さい頃に佐賀に引っ越しました。めちゃくちゃ八方美人なのに、特にやりたいことがないふわふわした子どもでしたね。
親が好きに生きて苦労してきた人だったので、「子どもはきちんと勉強して良い就職をしてほしい」という期待を持っていました。でも兄は小さい頃から「デザイナーになる」という夢があったので、親の進学への期待は弟である自分のもとへ来ました。

期待に応えるために進学校に入り、地元の国立大学に進学しましたが、陸上競技をしたり音楽活動をしたり、競輪選手を目指したりと、いつも何か没頭できるものを求めていました。今思うと、幼い頃から「デザイナーになる」という明確な夢を持っていた兄への劣等感や焦りもあったかもしれません。

次第に自分が何をやりたいのかがわからなくなり、なんとなく大学に通っていることにも窮屈さを感じるようになりました。そんな時に自衛隊にスカウトされ、入隊を理由に大学3年の終わりに退学しました。

(「強制してないけれど踊る足元は裸足が多い。危険がないか歩く道をみなで確認した日は晴天でやけどしそうになりました。地面に触れることで、感じることは多いです」(アオキさん)。2019年6月1日、アートプロジェクトTERATOTERA主催「駅伝芸術祭 リターンズ」新人Hソケリッサ!骨の路の踊りより(撮影:阪中隆文))

──卒業まであと1年という時に辞められたのですね。

西:
正直な話、単位が足りなくて4年に上がれないことがわかっていたんです。地元で広告デザインの仕事に就いていた兄より先に家を出よう、このチャンスを逃したら後がないと焦っていました。自衛隊は公務員だから、それなら親も納得してくれるだろうという気持ちもありました。

自衛隊で感じた、理想と現実の壁

西:
そこから13年、自衛隊で真面目に働きました。災害派遣で東日本大震災の現場にも赴き、理想と現実のギャップを感じながらも自分に何ができるのか、自分の役割とは何かを真剣に考え、懸命に頑張りました。でも、東日本大震災で「できないこと」の壁にぶつかったんです。

──自衛隊としての活動に無力感や限界を感じた、ということですか?

西:
いや、そういうことではないんです。こちらも任務として覚悟して赴いていますから、たくさんの死体も目撃しましたし、過酷な現場はいくつもありました。そこにではなく、「組織のしがらみ」を強く感じたんです。中間管理職の立場にあったので、上からの要望と下からの要望の板挟みになって、続けていく自信を失ってしまいました。

(年に数回は、森で子どもたちと踊る機会があるという。「子どもたちは後ろで走り回っていたり、皆思い思いにそこにいる。ここでは時間がゆったり流れます」(アオキさん)。2019年9月21日、町田せりがや公園冒険遊び場にて開催、町田市文化プログラム まちだ〇ごと大作戦チャレンジ事業「杜のるつぼう」プレイベント新人Hソケリッサ!杜のダンスワークショップ(撮影:岡本千尋))

──例えばどのようなことでしょうか?

西:
救助作業が落ち着き、途中から炊き出し支援に従事していました。被災者の方たちに夕食を提供すれば自衛隊としての一日の業務は終わりです。その後は自由時間なので、体力維持などの理由で身体を動かす隊員が出てくる。そうなると自然と避難所の子どもたちと一緒にキャッチボールや縄跳びとかで遊ぶようになるんですね。でも、別の部隊のことでしたがそれが新聞やネットの記事になり、「そんなことをする余裕があるならもっと支援しろ」とか「自衛隊が被災地で野球をして遊んでいる」みたいな批判が出てしまうんです。

だから、上司としては先手を打って「運動禁止」「子どもと遊ぶのは禁止」というふうになるわけですが、自分としては、上司の言いたいことも、子どもと遊んであげたいという部下の気持ちもわかる。業務外のところでがんじがらめになって、何もできなくなってしまいました。他にもいろんなことがあって、状況や体制を変えたいと思ったし、変えるためにうまく立ち回ろうとも思ったけど、あまりに無力でどうしようもなかった。かといって、自分に「革命を起こしたい」というほどの強い意志があるわけでもなかった。続けていく自信を失い、自衛隊を辞めました。

(ゴール前の西さんソロ(Don’t stop me now)。2019年6月1日、アートプロジェクトTERATOTERA主催「駅伝芸術祭 リターンズ」新人Hソケリッサ !骨の路の踊りより(撮影:阪中隆文))

ダンサーに転向。
しかし見えてきたのは同じような「しがらみ」の世界だった

(ご自身の体験や思いを、熱く語ってくださった西さん)

西:
その頃、沖縄で好きなミュージシャンがいて、彼らと一緒に活動したくてダンサーになろうと思いました。しかしプロを名乗った瞬間、「あいつの踊りは我流だ」とか「プロとは名ばかり」といった周囲の批判が待っていました。すごく窮屈に感じて、ダンスは趣味にして別の仕事に就くことに決めました。

沖縄の普天間で、新たに事業をスタートするために見切り発車で借金をしました。でも、気持ちって大事ですね。借金を返すためにはもちろんお金が必要で、他に仕事をしなければならない。やりたいことができないまま返済に追われ、次第にいろんなことがうまくいかなくなりました。借金が返せなくなり、勘当を引き換えに親が支払ってくれました。

そこまで来ると、もう何もかもがおかしくなっていくんですね。勘当されたから親には頼れない。自衛隊の元仲間にも辞めた手前頼れない。ミュージシャンやダンサー仲間からはまだ期待されているからそこにも頼りたくない。一人で壁にぶち当たりました。

──孤立してしまったんですね。

西:
ある日、家賃が払えなくなってワーッとなって。「とりあえず消えよう」と無我夢中で家を出ました。

──そして路上に出られたんですか?

西:
3週間ほど廃ビルで過ごし、成り行きで東京に来ました。公園や24時間営業の店で過ごし、3日にいっぺんぐらい食事する。「今日を生きられたらいい」という感覚でした。

(「参加者と一緒にパフォーマンス発表した後の一枚です。同じ日常を過ごしていても、みなそれぞれ見ている景色が全く違っていたりする。人と人との関係にはマニュアルは存在せず瞬間の感覚がとても大切です」(アオキさん)。2019年12月22日、町田市生涯学習センター主催ワークショップ「おーい!踊りって素晴らしいぞ!〜ヘンテコでも気にするな!障がいがあってもなくても、自分だけの踊りと出会う旅〜」より)

飛び降りる勇気もなく、
「のたれ死のう」と思った

(練習風景。「お客さんの前で踊る場合はほぼ決まった振りですが、稽古で大切にしているのは即興の踊りです。身体の直面している環境は日々変わる。その日の体調、気分、人の視線、仲間の踊り、今日自分の身体はどう動くのか観察を繰り返しています」(アオキさん))

──不安はなかったですか?

西:
全部から逃げ出してきているから、不安はないんです。不安がないから、猫みたいに1日に何時間も寝られるんです。その代わりに希望もない。1日を淡々と生きていました。でも、そんな生活を続けているうちに、どんどん疲弊していきました。どうしようと思って、でも飛び降りて死ぬようなパワーもないし「じゃあのたれ死のう」と思ったんです。

──餓死ということですか?

西:
そうです。水がないとあまりにつらいので、水源だけは確保して、何も食べず1週間が過ぎ、2週間が過ぎました。人がたくさん行き交う場所だったので、心のどこかで「何かあるかもしれない」という期待もあったかもしれない。でも、声をかけられるわけでもなく、何も起こりませんでした。

3週目に入り、あることないことが走馬灯のように頭の中を駆け巡り、懐かしさを感じたり死んでも後悔ないなと思ったり、「いよいよ死ぬんだな」と覚悟しました。

──そうだったんですね…。

西:
でもある日、それまでは寝ることだけはできたのに、突然眠れなくなったんです。そうすると時間が大きくのしかかって、気が狂いそうになりました。

「なんとかしないと」と思った時に、ホームレス支援をしているNPO『ビッグイシュー』が発行している「路上脱出ガイド」の存在を思い出したんです。昔ネットカフェに滞在した時に「何かあった時のために」と印刷してカバンにずっと入れていました。それで、持っていたテレホンカードでビッグイシューに電話をかけて。人生で初めて、誰かに「助けて」という経験でした。翌日にはビッグイシューの事務所へ行き、そこでソケリッサを紹介してもらい、一緒に踊るようになりました。

(西さんが初めてビッグイシューの事務所を訪れた際に目にした、ソケリッサの参加者募集中の張り紙。「これを見て、行ってみたいと思いました」(西さん))

「実は自分が、ものすごくとらわれていた」

(神戸新長田を拠点にコンテンポラリーダンスを通じた社会活動を行うNPO法人「新長田DANCE BOX」提供の民家に宿泊した際の一枚。「みなで食べるご飯の美味しいこと」(アオキさん)。2019年8月11日〜12日、文化庁 障害者による文化芸術活動推進事業 委託事業 文化芸術による共生社会を現場の目線で考え試みるプロジェクト「ソケリッサと踊ろう!Let’s Dance with Sokerissa 」にて)

西:
ソケリッサで踊り出した当初は、自分が派手にやったらもっと盛り上がるんじゃないかとか、自分ががんばればもっと注目してもらえるんじゃないかとか、あざとい感覚がありました。メンバーのおじさんたちを完全にあなどっていましたね(笑)。「やるからには綺麗に見せないと」とか「ちゃんと揃ったものじゃないと」とか、自分がものすごくとらわれていたんです。

でも一緒に踊り続ける中で少しずつ考えが変わって、自分が解放されていくのを感じるようになりました。調子が良い日もあれば悪い日もあるし、しゃしゃり出なくていいし、「今日はどう踊るのか」、自分の中の反応を楽しめるようになったんです。

──深いですね。悟りですね。

西:
その時に改めて「おじさんたちはすごいな」と感じました。

アオキさんの世界観に合わせる必要はないんだけど、最初の頃は、どこかで合わせようともしていたんでしょうね。おじさんたちにはそれがない。横内さんなんて、パフォーマーとしてもエンターテイナーとしても完全に吹っ切れているんです。日々、ますますすごくなっているなあと感じるばかりです。

(稽古後に皆でおにぎり。「食べたいものをジャンケン勝負、盛り上がる瞬間です」(アオキさん))

──良い刺激ですね!

西:
「進化しなければ」とか「停滞や後退してはいけない」ではなく、ただ日々の流れの中に身をゆだねてもいいんじゃないか。今はそう感じます。
自分が「こう生きたかった」がソケリッサの中にあります。理想をかなえてくれるとかっていうことではなくて、自分自身の血が通った「もう一人の自分」、それがソケリッサなんです。

──映画はご覧になりましたか?

西:
試写会を通して見ましたが、本当に好きなことを言っているし、良いことも言ってないし、結末があるわけでもないし、ただ淡々と流れる日々を追ったドキュメンタリーです。観てもらったらいろいろ思うところもあるだろうし、腹が立つかもしれないし、鼻で笑ってもらってもいいんです。ただ、一人の人間が生きる姿を見てほしい。
映画のラストシーンで感じたことが、その人の何か、流れの中の一つとして、断片の記憶として何かになったり、ならなかったり(笑)したら面白いなと思います。

──西さんにとって「踊り」とは?

西:
生きることです。生きていることを感じさせてくれるのが踊りです。
今の社会、人は大きな流れの中で、よくわからないうねりや感情、その化け物に踊らされている。そんなのに人生が踊らされているなら、立ち止まって実際に踊ればいいんじゃないか。そんな風に思っていて、それが、ソケリッサのやっていることのような気がします。

(「釜ヶ崎三角公園の夏まつりで、ワークショップ参加者と共にパフォーマンスを行いました。貧困生活者の多く集う環境、冒頭こそヤジが飛び交いましたが、最後までたくさんの方が見届けてくれました。ここもまた踊りたい場所。力強さ感じる写真です」(アオキさん)。2018年8月14日、釜ヶ崎芸術大学主催「ソケリッサ!on釜ヶ崎夏まつりステージ」より(撮影:矢野大輔))

チャリティーは、映画公開に合わせてソケリッサの生の魅力を一人でも多くの人に伝えるための資金になります!

(2019年10月、筆者東京出張の際にソケリッサの稽古におじゃまさせてもらいました。この日の稽古に参加されていたメンバーの皆さんと!)

今回のチャリティーは、3月の映画公開に合わせて一人でも多くの方にソケリッサの生の踊りを感じてもらうため、都内でイベント(写真展やダンスパフォーマンスを予定)を開催するための資金として使われます。

ぜひ、チャリティーアイテムで応援いただけたら幸いです!

(踊り終えて、皆で記念写真。2019年6月19日、象の鼻テラス開館10周年記念展「フューチャースケープ・プロジェクト」新人Hソケリッサ!公演「Plaza ・Z(プラザゼット)」にて)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

自分でも気づかぬ間に「こうしなきゃいけない」というルールや相手(社会)のイメージに踊らされ、疲弊し、消耗していた自分を感じたことがありました。さらに驚いたのは、自分が全く無意識のうちにそれを選択していたことでした。
他人にどう思われようと、本当に大切なのはそこではないのではないでしょうか。むしろ、相手も自分も受け入れてありのままを楽しめたら、どんなに楽で楽しいでしょうか。感じるまま、今この瞬間にありのままを最大限にくつろぐおじさんたちの佇まいに、何か大きな安心感を覚えるのです。

価値観は日々の中で新たに生まれていくもの。時には社会に飲まれながらも、常に自分に立ち返り、リアルな肉体、リアルな一瞬一瞬を生きていたい。おじさんたちの踊りは、私にそれを思い出させてくれます。

・ソケリッサ ホームページはこちら

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生きている間に乗っかったいろんなものを排除して、ありのままの自分自身に立ち返る。魂と身体のつながりに立ち返る。

そんな思いを込めた、力強いデザインです。

JAMMIN初の試み、あえてメッセージは載せていません。あなたが着て、表現してください!

Design by DLOP

チャリティーアイテム一覧はこちら!

・【公式HP】ドキュメンタリー映画『tHe dancing Homeless ダンシングホームレス』

・【公式twitter】映画『ダンシングホームレス』

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