CHARITY FOR

がんの親を持つ子どもが孤独を抱えないように。がんをタブーにせず、がんの親とその家族が病気と向き合える環境を〜NPO法人Hope Tree

お父さん、お母さんががんになった時。「僕のせいで病気になっちゃったのかもしれない」「具合が悪そうだけど、一体何が起きているのだろう」などと悩む子どもは少なくありません。一方で親が「子どもがショックを受けるかもしれない」「どう伝えて良いかわからない」と我が子にがんを伝えられないまま闘病生活を続けるケースも少なくないといいます。

「これまでたくさんの患者さんに出会ってきましたが『子どもに告げられてよかった』といってくださる方がほとんど。子どもに告げられないとしたら、何がひっかかっているのか、まずは親御さんの思いをたどりながら気持ちを整理して、子どもが一人ぼっちにならないようにしたい」。

そう話すのは、今週JAMMINが1週間限定でコラボするHope Tree代表理事の大沢(おおさわ)かおりさん(52)。東京都内の病院で医療ソーシャルワーカーとして働く大沢さん自身、過去に乳がんを経験したがんサバイバーであり、夫を自死で亡くした当事者でもあります。

「がんは事故死や自死と異なり、突然亡くなるわけではありません。子どもが自分だけ親の事実を聞かされなかったら、後からそれを知った時に疎外感を感じます。だから蚊帳の外に置かず、子どもともしっかり向き合ってほしい」。

そう話す大沢さんに、ご活動について話を聞きました。

(お話をお伺いした、Hope Tree代表理事の大沢さん)

今週のチャリティー

NPO法人Hope Tree(ホープツリー)

親ががんになった子ども、その患者、家族を支援する団体。医療ソーシャルワーカーや臨床心理士、医師や看護師など医療関係者が集まり、2008年に活動を開始。2015年にはNPO法人として新たなスタートを切った。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

親ががんの子どもたちをサポート

(「がんってなに?どうやってなおすの?」。紙芝居を使って、健康な細胞とがん細胞について学ぶ子どもたち。「CLIMB®プログラム」にて)

──今日はよろしくお願いします。まずは、貴団体のご活動について教えてください。

大沢:
がんの親を持つ子どもをいろんな方法でサポートしています。
病院という場所は患者さんの病気を診る場所なので、患者さんの子どもに会えない・存在を意識しないことも多いですが、親である患者さんがお子さんのことで気がかりがあった時に、その方や配偶者の方に子どもをサポートする方法を知ってもらったり、また私たちが直接子どもをサポートしたりもしています。

親ががんになり「子どもとどう向き合ったらいいのか分からない」「もう先が短いのをどう伝えていいのか分からない」といった時に、話や工作をしながら子どもが気持ちを表出したり、同じような状況の子どもを集めたプログラムを運営しています。

もう一つが、こういったサポートができる医療者の育成です。患者さんと子どもたちがサポートを望む時に、全国どこにいても支援を受けられるように、全国の医療者対象に勉強会を開催し、自信を持って子どもたちと関われる医療者の養成に力を入れています。

──なるほど。

大沢:
一概にがんといっても、いろんな時期があります。
診断されたばかりの時期、治療の副作用が辛い時期、転移が分かった時期、死が近く、できることが残り少なくなっている時期…。それぞれの時期で患者さんはもちろん、子どもの気持ちの状態も変化するので、その時々に応じた関わりが必要です。また、子どもの年齢によってがんや死への捉え方が変わってくるので、そこも踏まえた上で、的確なサポートをしています。

(「CLIMB®プログラム」のファシリテーター養成講座にて、意見交換する参加者の方たち)

「死」がタブーであるがゆえに
子どもが家族から排除されてしまう

(2019年4月、親をがんで亡くした子どもたちと配偶者と集まった時の1枚。「亡くなった親との思い出を凧に書いてもらい、それを公園にあげに行きました。ちょうど新元号『令和』が発表された頃で、女の子たちは想い出を描いていましたが、男の子たちの凧には想い出より『令和』や『平成』の文字が…。子どもたち、自由ですてきです」(大沢さん))

──大沢さんは医療ソーシャルワーカーとして働かれていますが、現場で親ががんである事実を子どもに告げないケースは多いのですか。

大沢:
私は普段、患者さんや家族の心理・社会的な相談に乗る医療ソーシャルワーカーとして働いていますが、たとえば緊急入院となった終末期の患者さんの場合、「お子さん来ないな」と思って確認すると「弱った姿を見せたくない」「子どもにはまだちゃんと話してなくて」とあえて病院へ子どもをこさせないでおこうとする親御さんもいました。まだまだ「死」が、家族の間でタブーと捉えられていると感じます。

しかし、子どもの立場で考えてみるとどうでしょうか。さよならをいえないままいつの間にかパパやママが死んでしまったら、どんな気持ちになるでしょうか。家族の中で「死」がタブーであるがゆえに、子どもが家族から排除されてしまうような構図が浮かび上がってきます。

(怒りを感じた時に、どうしたらすっきりするかを考えてサイコロの面に描いているところ。怒りを感じたらサイコロを振って、出た面と同じ動きをすることで感情が和らぐ)

大沢:
がんと診断されたばかりの時は、受け入れることでいっぱいで子どものことまで考える余裕はないかもしれません。
しかし、子どもが取り残されないように、やがて気持ちが落ち着いてきたら、患者さんの体調や配偶者の気持ちも考慮しながら、子どもは教えてもらえた方が安心することなどをお話していきます。そして伝えられないのであれば、どんなことがひっかかっているのかを探り、たどっていく作業が必要です。

──親を飛ばして子どもへはアプローチできないということですね。

大沢:
もちろんそうですね。患者さんや配偶者の方の話を聞いてみると「自分が死ぬ事は考えたくない」という当然の葛藤や「死を認めたら死が早くやってきてしまうのではないか」という不安を抱えていたりします。気持ちをお伺いしながら、子どもが一人取り残されないためには親御さんにどんなサポートができるのか、慎重に考えて対応していく必要があります。

(2018年11月に開催した「CLIMB®(クライム)プログラム」ファシリテータ―養成講座にて、参加者の皆さんと。日本各地から医療者が集まる)

子どもが親の病気や治療について学びながら、
気持ちを整理していく「CLIMB®プログラム」

(「CLIMB®(クライム)プログラム」にて、点滴のしくみを学ぶ)

──子ども向けに実施されているプログラムはどのようなものですか。

大沢:
ひとつは、がんの親を持つ小学生を対象にした「CLIMB®(クライム)プログラム」というものです。アメリカでは広く用いられている構造化されたプログラムで、一回のセッションは2時間。週末を利用して6週連続して行います。
「いろんな気持ちになるけれどどんな気持ちになってもいいんだよ」ということや、気分が落ち込んだ時や悲しい時、イライラした時はどうしたらいいかをみんなで考えて、溜め込まず、健康的に表出する方法を考えます。そしてがんはどんな病気で、治療にはどんなことをするのかを子どもにもわかるように伝えるプログラムです。

──病気や治療はどんな風に伝えるのでしょうか?

大沢:
人形を使って点滴体験をしたり、手術室や放射線治療のお部屋の写真を見せながらこんな治療をするんだよと説明したり、抗がん剤がどうやってがん細胞をやっつけるかを分かりやすく説明した動画を見たりします。

子どもたちなりに病気や副作用の理由なども正しく理解します。状況を正しく理解できるようになるので漠然とした不安がなくなり、親のために何かできることがあるかも皆で一緒に考えます。

──なるほど。

大沢:
病気や治療のことは親御さんから説明をすることが難しく、抗がん剤の副作用で吐いたり髪の毛が抜けたりするのを見て「がんが悪くなって、もうすぐ親は死んじゃうんじゃないか」と不安に駆られる子どももいます。でも「副作用はがんを治すために起きていることなんだ」という知識を得れば、納得できるし、不安も減らすことができます。

そして何より、ここに集まっているのはみんなお父さんやお母さんががんの子どもたち、という共通項があることで、孤立感が減り、仲間意識が芽生えます。みんなすぐに仲良くなります。

(「CLIMB®(クライム)プログラム」にて、「強さの箱」を作っているところ。「箱の外側を、自分の強さを感じられるもの、自分を守ってくれるもの、自分の好きなもの、の絵や写真の切り抜きやシールで飾ります。箱の中には、心配な事を書いてしまいます」(大沢さん))

「最終的には、親子間のコミュニケーション促進が目的」

(2016年11月に、親をがんで亡くした子どもと配偶者を対象に、長野・軽井沢で開催したグリーフキャンプにて。小学校1年生のMちゃんが書いたカード)

大沢:
もう一つ、このプログラムの重要なポイントとして、子どもたちがプログラムを受ける間、親御さんたちを集めた親グループも並行して開催することです。
子どもは親が目の前にいたら言えない本音がぽろっと出たり、親御さんは親御さんで同じ境遇の者同士、患者同士や、患者の配偶者なりの悩みを共有したり、必要に応じて医療者から正しい情報も得られるので、それぞれ有意義な時間を過ごしてもらうことができます。親ごさんからは、以下のような感想をいただいています。

・「子どもの心のケアの大切さを知り、対処法のヒントをいただけました。子どもはとても楽しく毎回参加するのを楽しみにしていました。最後の回の頃には私との絆も前より深まり、子どももいろいろな面で成長したように感じました」

・「長い闘病生活ですが、同年代の子どもがいる方々と会うのは始めてでした。グループにきょうだいで参加して、前より仲良くなりました。みんなで同じことをやれたことが良かったです」

・「私もすごく親しい友達にも話せなかったことを話せましたし、普段吐き出せない思いも吐き出せたと思います」

──それぞれ病気への理解を深めたり、発散できたり、気持ちを整理できたりする場なのですね。

大沢:
子どものがんへの捉え方は、その子の年齢や性格、家族の背景などによってもいろいろですが、がんや治療への理解を深めてもらうことは、最終的には「親子間のコミュニケーションの促進のため」だと考えています。

プログラムに参加して、「今のことはわかったけど、先々はどうなるの?具合が悪くなったら何も教えてくれなくなるんじゃないの?」と将来への不安を抱く子もいます。「もし先々疑問や不安が出てきたら、それをお父さんお母さんに聞いていいんだよ、一人で抱え込まなくていいんだよ」ということも必ず伝えるようにしています。

──親子で面と向かって治療のことや不安を会話できるようになりますね。

大沢:
親御さんが忙しそうにしていたり、あえて触れないような雰囲気を出していたりすると、それは子どもにも伝わります。そして孤独や不安をどんどん募らせていきます。私たちが関わることで、家族間のタブーを無くし、なんでも話し合える関係を築いてほしい。「死」というテーマがタブーでなくなると、不安や思いをなんでもぶつけてくれるようになるし、大人が向き合う姿勢を見せると、子どもは必ず向き合ってくれます。

(自分の気持ちが確認できる「気持ちの輪」。「喜び」「悲しみ」「怒り」…、どんな気持ちになっても良いこと、溜め込まずに伝えることを促すツールだ)

終末期の親の子どもを対象にした
「バタフライプログラム」

(「バタフライプログラム」で作るビーズの飾り。一つひとつの色に思いが込められている)

大沢:
もうひとつあるのが、あと数日・数週間で亡くなる終末期の親の子どもを対象にした「バタフライプログラム」です。

──どのようなプログラムですか。

大沢:
死は、避けて通ることはできません。どんなに受け入れたくなくても、やがて本当に亡くなってしまう。簡単なものづくりをして緊張を緩めながら、そのことを子どもなりに理解したり、気持ちを整理したりするプログラムです。一対一でスタッフが付き、子どもの気持ちに寄り添いながら進めていきます。

ものづくりはいろいろあるのですが、一つは「気持ちのビーズ作り」です。いろんな色のビーズを準備して、赤い色は怒り、どんな時に怒りを感じる?青は悲しみ、どんな時に悲しくなる?といった風に色ごとに、感情を教えてもらいながら、糸にビーズをとおしていきます。

他にも「メモリーボックス作り」もあります。やがて亡くなっていくお父さんやお母さんとの思い出につながる雑誌の切り抜きやシールを、箱にコラージュするように貼ったり、想い出を紙に書いて、箱に入れたりします。「そういえばお父さんと一緒に映画に行ったな」と映画の半券を入れたり、一緒に行った海で拾った貝を接着剤で貼り付けたりします。もし可能であれば、やがて亡くなってしまう親も一緒に箱を飾ります。そうすると、箱を一緒に作った事そのものも、大切な思い出となります。

──ものづくりを通じて、感情や死と向き合っていくのですね。

(2013年7月に開催したHope Treeフォーラム&ワークショップでは、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、ソーシャルワーカー等の資格を持ち、アメリカでがんの親を持つ子どもを対象としたプログラムのディレクターを務めるキャサリン・マッキューさんを講師に招き、がんの親をもつ子どもの理解を深め、どんなケアができるかを学んだ)

大沢:
取り組む前に「今日のお母さん、どうだった?」などと子どもに尋ねると「寝てばっかりだよ。起きないのかな」、「もう、僕のことあんまりわかってないみたい。もしかしたら死んじゃうのかな」とお話をしながら死の話になった時に「もしかすると今日か、もしかすると明日か、はっきりとは分からないけれど、死んでしまうとお医者さんが言ってるんだよ」と伝えると、激しく泣く子も、静かに泣く子も、黙ってしまう子もいます。それが落ち着いたタイミングで「これ、作ってみる?」と提案してみます。作り始めると、気持ちがほぐれて、ぽつり、ぽつりと思っていることを吐露してくれるということがあります。

さらに、親を亡くした子どもたちを集めたグリーフ・プログラムも行なっています。

(2013年7月、キャサリン・マッキューさんを招いたワークショップでの1枚。「これはパンチングバッグといって、大きな布の洗濯袋に、嫌な事やイライラする事を書いて、それをパンチしてすっきりするアクティビティです。家族間でネガティブな気持ちについて語り合うのを促します」(大沢さん))

子どもと関わるには、医療者自身が
「グリーフの体験」を認識できているかが重要

(2016年11月のグリーフキャンプにて、小学4年生のI君が書いたカード)

──…サポートする側もいたたまれないのではないですか。

大沢:
声を上げて泣いたり、声にはださなくても大粒の涙を目に浮かべる子どもを見ると、本当に胸がいっぱいになります。でも、その場にいるしかない。

その時に、それぞれのプログラムを実施する医療者自身がグリーフ(死別などによる深い悲しみ)をしっかり自身で認識できているかが大切です。無意識のうちに、子どもとの関わりに自分の感情や思いが反映されることのないようにです。Hope Treeのファシリテーター養成講座では、2日間かけて参加者同士の関係性を構築しながら、参加する医療者自身の自己覚知も促すことも大切にしています。

──子どもを相手にするにあたって、揺るがぬ土台が必要だということですね。

大沢:
まだまだ始まったばかりの分野なので、やはり試行錯誤もあるし、なかなか自信が持てないという声も聞きます。しかし「自信がないから関わらない」では、いつまでたっても子どもが取り残されてしまう。少しずつでも前に進んでいけるよう、経験を積んでいくことが大切だと思っています。

(グリーフキャンプにて、MちゃんとI君のお母さんが書いたカード)

乳がん、夫の自死…。
どん底での出会いが、この道に進むきっかけに

(2016年、「Hope Treeフォーラム」に自身がこの道に進むきっかけを与えてくれたマーサ・アッシェンブレナーさんを招き、講演とワークショップを開催。フォーラム終了後、マーサさんを囲んで、スタッフの皆さんと)

──やがて誰しもに訪れるけれど、できれば避けて通りたいテーマが「死」だと思うのですが、なぜ大沢さんはあえてこの活動をされるのですか。

大沢:
今から16年前、36歳の頃に乳がんになりました。周囲には同じような年齢でがんの人がおらず、乳がんの患者会に出向いて同じような人に出会うまでは孤独でした。と同時に、ずっと病院で働いてきていろんな患者さんと出会ってきたけれど、自分ごとになるとこんなにいろんなことを考えるんだということも実感しました。
2年間のきついホルモン療法が終わり、「治療がこれから少し楽になるね」と夫と話していた時に、突然夫を自死で失いました。

──そうだったんですね。

大沢:
夫はうつ病で仕事を解雇された後、就職活動していました。ある日、帰宅前に電話すると「不採用の連絡が来ちゃったよ」と教えてくれて。心配になって、いつもはジムに寄って帰るのですが、「ジムは寄らずに早く帰るよ」と言ったら「大丈夫だから行ってきな」と言われて。

ジムを終えて帰宅すると、部屋が真っ暗、でも靴はある。ものすごくぞわぞわして、夫の部屋に入って電気をつけると、夫がベルトで首を吊っていました。…体に触れると既に冷たくなっていました。とにかく助けたいとベルトを外して床に寝かせて119番しました。
「心臓マッサージをしながら待つように。もう救急車が向かっていますからね」と電話口で対応してくださった方が安心させてくれたのですが、私は心臓マッサージをしながらガタガタ震えていました。救急車に同乗し、夫の処置を救急外来の待ち合いで待っている間、警察の人の質問に答えながらも「私のせいだ。私がもっと早く帰っていたら、夫は自殺しなかった」と繰り返し繰り返し言っていました。

しばらくして処置室に呼び入れられました。医師の方から「管を抜くところ見ますか」と言われ、ちらっと夫の顔を見たら、さっきまで肌色だった顔が紫色だったんです。それが可哀そうでたまらず、この姿を記憶に残したくなくて、それは夫も嫌だろうと思って「見られないからいいです」と答えた瞬間、力が抜けてその場に倒れそうになって、看護師さんが霊安室まで付き添って歩いてくれました。寒くない季節なのに、寒くて寒くてガタガタ震えていたら、看護師さんが毛布持ってきてくれたのを覚えています。

それからしばらくは、真っ暗闇の中に一人放り投げだされ、体を半分切られて、底なし沼の真っ暗闇の中にどんどん沈んでいくような感じでした。必死の思いで、同じように家族を自死で亡くした方たちの自助グループを探し、初めて訪れた会で自己紹介したら涙が止まらなくなって…。そしたら、一人の方がその自助グループの代表だった西原由記子さんという方を呼んでくれました。

西原さんは私を部屋の外に連れ出してくれて、小さな暗めの別の部屋に案内してくれました。「私のせいだ、私のせいで夫は死んでしまった」とうわ言のように繰り返しずっと泣いている私の背中を自然に撫でてくれて、涙が止まらなかったのを覚えています。
彼女は「亡くなられて2週間じゃ、来るの早かったわよね。グループはまだきついからね」と優しく寄り添ってくれました。あの一番辛い時に、普通の人だったら相手にするのも面倒な私に、親身になって寄り添ってくれた。今思い出しても、涙が出ます。

──そうだったんですね‥。

大沢:
本当にボロボロになって、幸せそうな友人とは連絡を絶ったり、友人が夫婦喧嘩を愚痴ると「喧嘩する夫が居て良いよね」と毒を吐いてしまったり。最低でした。生き残っていることが辛すぎて、夫を後追いしかけて「ああ、病んでるな」と我に返ったこともあります。

時間が経ち、少しずつ元気になってきた2007年にアメリカに行く機会があり、そこでアメリカのがんセンターでカウンセラーとして親ががんになったこども向けのプログラムを実施しているマーサ・アッシェンブレナーさんという女性に出会いました。

(2012年、アメリカを再び訪れた大沢さん(写真後列右から二人目))

大沢:
マーサには「何か話せる人だな」と感じて、個別に話をしたときに自分の経験を話したら、彼女は優しく肩を抱いてくれました。私は帰国子女で英語は話すことができたので、通訳が必要なく、直接気持ちを言い合えたのは幸いでした。そんな優しさあふれる彼女から「忘れられがちだけど、親ががんになった時の子どもは不安を抱えていて、ケアが必要」という話を聞き、私がこれまで出会ってきた親を亡くした子どもたちの事を思い出し、そういった子どもたちのために学びたい!と強く思いました。

(2016年のHope Treeセミナーの前日、マーサさんと一緒に和食を楽しむ。小学4年から中学3年までをアメリカで過ごした大沢さん。「英語は話すことができたので、なおさら、日本では未開拓の分野だった子どものケアの知識を日本に持って帰りたいと思いました」(大沢さん))

大沢:
そして「これこそ私のやりたいことだ」と感じたんです。
「事実を知らないまま、大切な人を急に失う子どもを減らしたい。大人は自分で声をあげられるけど、幼い子どもは自らは出来ないから」と。そして日本に帰り、手探りの中でアメリカから持ち帰ったプログラムを元に、親ががんの子どもたちのために活動を始めました。

──突然の別れで夫を亡くした大沢さん自身の姿と、同じように大切な人を亡くそうとしている子どもたちの姿が重なったんですね。

大沢:
がんは自死や交通事故死のように、突然亡くなるものではありません。だから、子どもが何も知らず、彼らの目の前から愛する人がある日突然いなくなるということだけは避けて欲しいと思うんです。「子どもが傷つくのではないか」と不安に思う親御さんの気持ちもあると思いますが、子どもは底知れぬ力と大きなやさしさを持っています。子どもは逞しく、ずっと同じ場所には留まっていません。大切な人の思い出を抱えながら、自分の人生を生きていくことができる存在だということを信じてほしいと思います。

(2014年の冬、初めて「CLIMB®プログラム」に参加した家族の同窓会を開催。「2012年1月にお父様を亡くした兄弟と奥様です。山形から飛行機で、2011年12月のCLIMBに来てくれていました。同窓会で作ったのは『雲と太陽のモビール』。人生で良いことを感謝するには、困難を経験しないとならない時があります。どの家族にも良い時と悪い時があり、それが太陽と雲に象徴されます。家族で人生で明るかった時の事を話し合ってもらい、同時に最も困難だった時についても話し合ってもらいます。太陽の形の厚紙に良かった時のことを書き、雲の厚紙には困難な時の事を書いて、虹の形の厚紙に太陽と雲の厚紙をそれぞれぶら下げます。そうすると虹をぶらさげる時、同じ数のポジティブとネガティブがあればバランスが取れます。こちらのご家族の虹には『楽しい事を思い出す』、雲には『しょっちゅうかなしくなる』『お父さんが癌になった』と書いてあります。太陽には『ゆきがふってうれしかったです』『おおさわさんにであえた』と書いてあります。涙が出ると同時に、活動をやっていてよかったと思う瞬間です」(大沢さん))

チャリティーは、親をがんで亡くした子どものためのグリーフキャンプ開催資金になります!

(グリーフキャンプの最後に、みんなでTシャツにメッセージを寄せ書きして記念撮影!)

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

大沢:
以前、がんで親を亡くした子どもたちと遺された配偶者の方たちを対象に、気持ちと体験を共有するグリーフキャンプを実施したのですが、大変好評だったのでまた実施したいと予定を立てているところです。

ご家庭によっては、がんによって一家の大黒柱を失い、参加費が大きな負担になってしまうこともあるので、極力参加費を抑えたいと考えています。
今回のチャリティーで、アクティビティーの道具や食事、宿泊代など一人あたり1万円×10人分を集めたいと思っています。ぜひ、コラボアイテムで遺された子どもとその家族を支援していただけたら幸いです。

──貴重なお話、ありがとうございました!

(2018年6月に開催された日本緩和医療学会にて。「CLIMB®プログラム」や思春期の子どもと患者のコミュニケーションを促進する交換日記について、ポスター発表。スタッフの皆さんと)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

ご自身の経験を力に変えて、がんの親を持つ子どもたちのサポートをされている大沢さん。とっても明るくて気さくで、お話していてとっても楽しい方なのですが、一言一言に重みがあって、気がつけばインタビューしながら互いに泣き笑い、心に触れる時間でした(笑)
つらい体験や記憶を前向きにとらえるにはすごく勇気が要ります。でもその先に、何かそれまでは見えなかった壮大で、悲しい中にもどこか穏やかな景色が見えることがあるのではないでしょうか。大沢さんの笑顔に、すべてを包み込み凌駕する光を感じました。

・NPO法人Hope Tree ホームページはこちらから

09design

サンゴの周りに、いろんな魚が集まっています。かなしいことやつらいことがあっても、ありのままを受け止め子どもをサポートするHope Treeさんの活動を、深い愛情ですべての生き物を受け入れる大海で表現しました。

“It is okay to feel oceans of emotions”、「どんな気持ちにも、なっていいんだよ」というやさしいメッセージを添えました。

Design by DLOP

チャリティーアイテム一覧はこちら!

→過去のコラボ団体一覧はこちらから

logo-pckk                

SNSでシェアするだけで、10円が今週のチャリティー先団体へ届けられます!
Let’s 拡散でチャリティーを盛り上げよう!
(広告宣伝費として支援し、予算に達し次第終了となります。)