CHARITY FOR

若い世代が森に触れるきっかけを作り、農山村地域と都市とをつなぐ〜NPO法人JUON(樹恩) NETWORK

JAMMINでもこれまでに何度か取り上げてきた「森づくり」というテーマ。国土の多くを森林に囲まれた日本。一見自然とはかけ離れているように見える都市部の生活もまた、農山村地域に頼っています。

今回、JAMMINが一週間限定でコラボするのは、NPO法人JUON(樹恩)NETWORK。過疎化が進む農山村と都市とを結び、森や地域の自然を守る活動をしています。

「もともと大学生協の呼びかけで設立した団体なので、学生や中学生・高校生も参加できるイベントを開催している。森や自然との携わり方はいろいろあるが、私たちの活動をきっかけに農山村地域に移住して林業や農業をしたり、都市部に住みながら週末は森づくり活動に参加したり、農山村地域と関わりながら生きる若者が増えてくれたら」。

そう話すのは、JUON(樹恩)NETWORK事務局長の鹿住貴之(かすみ・たかゆき)さん(46)。活動について、お話をお伺いしました。

(お話をお伺いした鹿住さん)

今週のチャリティー

NPO法人JUON(樹恩)NETWORK

1998年に設立された認定NPO法人。過疎や地方文化の継承などの問題に取り組む全国各地の思いをつなぎ、交流の輪を広げるために活動している。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

都市と農山村地域を結ぶ「きっかけ」づくり

(岐阜県揖斐郡揖斐川町で開催された「風の谷 森林の楽校」の様子。自分たちが間伐した木の年輪を数える参加者)

──今日はよろしくお願いします。まずは、貴団体のご活動について教えてください。

鹿住:
都市と農山漁村が支え合うネットワークを、森林などをめぐる体験・交流・応援の活動によってひろげ、持続可能な社会を創造する活動をしています。今年で設立20周年を迎えます。

全国にある700以上の大学のうち、200校にある大学生協の連合会が中心となり、呼びかけて設立された団体です。

18〜40歳を対象に、森林ボランティア青年リーダー養成講座を開催し、森づくり活動の担い手を養成したり、森を守るために間伐材や国産材を使った「樹恩割り箸」というオリジナルの割り箸を作ったり、担い手不足に悩んでいる全国各地の森林を訪れて森づくり活動を行う「森林の楽校(もりのがっこう)」や、農家のお手伝いを行う「田畑の楽校(はたけのがっこう)」と呼ばれるイベントを多数開催しています。

参加者の中には「がっつり森づくりや農業にかかわりたい!」という人ももちろんいらっしゃいますが、どちらかというとこういった活動に興味を持ったばかりの方や、これから知っていきたいという若者や都市住民を対象に様々なイベントを実施しています。

──「きっかけづくり」ですね。

鹿住:
そうですね。そこから継続的に過疎という課題や活動に携わってくれたらいいなとは思いますが、そこが主な目的ではありません。まずは関わって、農山村の抱える課題を知ってもらいたいという思いがあります。

「交流人口」と「定住人口」という考え方があります。過疎化を防ぐために、移住して集落や地域を守るということがもちろん良いのですが、全員が最初から定住する必要はありません。
普段は都市部で暮らしながら、週末は農山村地域に通うとか、年に1〜2回通うとか、関わり方のスタンスはいろいろあっていいよね、という意識がここ最近浸透してきているのではないかと思います。

(新潟県佐渡市で開催している「トキの島 森林の楽校」での1枚。新潟大学とタイアップし、2002年からトキ野生復帰のための里山整備を行っている)

団体立ち上げのきっかけは、阪神淡路大震災

(森林に入る前に作業や安全についてのレクチャーを受ける参加者。東京都西多摩郡奥多摩町で開催されている「鳩ノ巣 森林の楽校」にて)

──大学生協の呼びかけで始まった団体ということですが、設立のきっかけを教えてください。

鹿住:
きっかけは、1995年に起きた阪神淡路大震災でした。
地震によって建物が崩壊し、下宿していた多くの学生たちも住む場所を失いました。多くの人が住む場所を失った中で、4年間で卒業してしまう学生たちのために行政が仮設住宅を造ることは難しいので、大学生協として何とか学生たちの住む場所を提供したいと、2年にわたり仮設学生寮を提供したんです。

(阪神淡路大震災の際に建設された、間伐材を利用した仮設学生寮(兵庫県芦屋市))

全部で5箇所の仮設学生寮を建てたのですが、そのうちの一つが四国・徳島の林業関係者の方に提供してもらった間伐材を利用したミニハウスでした。

それまでにも農山村地域の廃校を大学生の合宿施設として活用するといったことはありましたし、「普段からボランティア活動がしたい」という大学生の声もありましたが、具体的なネットワークはありませんでした。

間伐材の活用法を模索していた林業関係者とのつながりが生まれたことで、都市と農山村地域をつないでいくことで新たな可能性を見出していけるのではないかと、団体設立へと至ったのです。

──なるほど、そうだったんですね。

(1998年4月に開催された創立総会(徳島県三好郡池田町/現三好市))

森がないと、人間は生きていくことができない。
「樹恩」に込められた思い

(森林はすべての生命の源泉であり あらゆる文化の土壌である」。JUON(樹恩)NETWORK初代会長の大内力氏の言葉)

──団体名である「樹恩」にはどんな思いが込められているのですか?

鹿住:
この言葉は、「最後の棟梁」と称された宮大工の故西岡常一さんの著書のある文章からいただいた言葉です。

今になって、緑や、自然やゆうても…。ところが、このことにお釈迦様は気がついておられた。『樹恩』ということを説いておられるんですよ、ずっと大昔に。それは木がなければ人間は滅びてしまうと。

(『木に学べ 法隆寺・薬師寺の美』(西岡常一著/小学館/1988年)より抜粋)

鹿住:
森林がないと私たち人間は生きていくことはできません。
過去に栄えた多くの文明も、森が滅んでしまったために滅んでしまったといわれています。それ程人の生活には森が不可欠なんです。

たとえば、水です。雨が降った際、その雨をたっぷりと吸収する森林の土壌があるからこそ、雨が地下水になって川に流れ込み、私たちが利用することができます。森林がなくなると、降った雨を吸収する土壌がなくなり、川の水も無くなってしまいます。

他にも、空気を浄化したり、土砂災害から私たちの生活を守ったりと、木材としての役割以外の多面的な公益的機能を、森林は担ってくれているんです。

一見関係ないようで、都市部に暮らす人たちにとっても、森林は非常に大きな役割を果たしています。

──まさに「樹恩」なのですね。

(東京都西多摩郡奥多摩町の「鳩ノ巣フィールド」。2002年から東京都主催(2007年から森づくりフォーラム主催)で始まった「多摩の森・大自然塾」をきっかけに整備をスタート。きれいな山になってきた)

過疎化、担い手不足…
農山村地域が抱える課題

(参加者の皆さんでわらじ作り。和歌山県東牟婁郡那智勝浦町で開催している「熊野の棚田 田畑の楽校」にて。地元の農家さんから昔からの知恵と技を学ぶ)

──そんな中で、農山村地域の過疎化や担い手不足により、管理を放棄されてしまう森林などが問題になっていますね。

鹿住:
日本は、都市部よりも農山村地域に森や畑などの自然があります。しかしこういった場所には仕事がありません。そのため農山村地域に暮らす人口がどんどん都市部へ流出しています。

国内の森林の割合は67%を占めています。また、全国の耕作放棄地は、すべてを合わせると滋賀県や埼玉県と同じぐらいの面積があると言われていますが、一方で海外から安い木材や食料が輸入されるため、日本の森林や田畑がうまく活用されず、国内の林業や農業が成り立ちにくいという状況があるのです。

──なるほど…。逆に言えば、国産のものを消費することで、こういった問題の解決にもつながっていくということがいえますね。

鹿住:
そうですね。「里地・里山」という言葉がありますが、日本にある自然は、その多くが人の手が加えられた自然です。そこを守っていくためには、人が手を加えながら世話をしていかなければなりません。そのためには、やはりこういった場所に仕事をつくり、人が住むことができる状況をつくっていく必要があります。

(森づくりを担っていく若者たち。長崎県長崎市で開催の「つばきの里 森林の楽校」での1枚)

間伐材を利用したオリジナルの「樹恩割り箸」

(国産間伐材で作られた「樹恩割り箸」)

──オリジナルで作られているという「樹恩割り箸」は、国内の間伐(かんばつ)材を利用した割り箸なのだそうですね。

鹿住:
「樹恩割り箸」は、団体立ち上げ当初からずっと続いているプロジェクトです。大学生協はその多くが食堂を持っているのですが、そうすると割り箸が必要になります。そこに着目し、間伐材の活用を考えて作ったのがこの割り箸です。

──そもそも、間伐材とは?

鹿住:
林業のやり方として、一定の面積に木を密集して植えることで、まっすぐに成長させるというやり方があります。たとえば、1ヘクタールに3,000本の木を植え、育ってきたら間引きをしながら最終的に1,000本にするというかたちです。

「最初から1,000本でいいじゃない」と思われるかもしれませんが、密集させて植えることで、一本一本が光を目指して上に上に伸びていくんですね。あとは「良い木を残していく」という意図もあります。この際間引かれた木が「間伐材」と呼ばれるものです。

(指導を受けながら、間伐を行う。兵庫県宍粟市で開催する「清流の森 森林の楽校」にて)

一昔前は間伐材も有効的に活用されていました。建築現場の足場は、今は金属パイプですが、昔は間伐材だったんです。貨物で物を輸送する際の間仕切りにも使われていましたが、今はプラスチックに取って代わられてしまいました。

林業は木を植えてから何十年後に収穫するまで、売り上げがない状態です。そこで間伐材を売って収入の足しにしていたのですが、利用が減り、それも難しくなっています。

──なるほど。樹恩割り箸は間伐材を利用し、各地の大学生協さんに卸されているということなんですね。

鹿住:
そうです。ただ、やはり中国産の割り箸に比べると価格は高くなります。
1本あたり1〜2円の差でも、大きな大学の場合、年間では何百万円という差が出てしまいます。その理由から、使わないという判断をする大学生協さんもあります。

──難しいですね…。

鹿住:
間伐材は成長途中の未成熟な木もあるので「間伐材で割り箸を作るなんてありえない」という専門家の意見もあります。しかし、間引きをして整備しないと森林は荒れ土砂災害などの原因になりますし、間引きされた木が活用される道があれば、そこにお金が入り、森の手入れもできるようになります。

──サイクルとして回っているんですね。

鹿住:
あとは、身近な「お箸」というアイテムを通じ、大学生の皆さんに森の現状を知ってもらいたいという思いもあります。
箸だけに、「都市と農山村の架け“ハシ”」になってくれたらと思っています。

──なるほど…(笑)!

(兵庫県宍粟市で開催の関西中国地域ブロックの活動。都市部からの参加者が、畑でサツマイモの苗を植えているところ)

若者たちが気軽に農山村と関わることができる
体験プログラムを実施

 

(長野県安曇野市で開催した「安曇野 森林の楽校」での1枚。参加者とスタッフ、地元の皆さんで記念撮影)

──「森林の楽校」はどんなご活動ですか。

鹿住:
「森林の楽校」と書いて「もりのがっこう」と読みます。
森林ボランティア活動の入門的なもので、現在は全国16の地域で開催しています。「森林・農山村についての学習」「森林ボランティア体験」「地元の方や参加者同士の交流」の3つの柱を軸に活動していて、地元のパートナー団体さんとタイアップして行っている活動です。

──どんな団体さんとタイアップされるのですか?

鹿住:
地域によって異なりますが、町などの自治体ということもあれば、地元のNPO、大学ということもあります。これまでに9,000名ほどが参加してくださいました。

他の森づくり団体さんと比べてやはり若い方が多く、参加者の1/3は学生や20代の方たちです。日帰りから1〜2泊までありますが、「農山村に行ってみよう」というところを売りにしていて、気軽に参加しやすい雰囲気だと思いますね。

中にはリピートして何度も来てくださる方もいますが、参加した方の世界観が変わるような体験を生み出したいと思っています。長い年月をかけて整備している森もあり、参加者だけでなく地域の方たちにも喜んでもらっています。

もうひとつの「田畑の楽校(はたけのがっこう)」は、農業に取り組んでおり、現在山梨、和歌山、三重で農家さんのぶどう栽培や米づくり、みかん栽培をお手伝いしています。

(山梨県山梨市で開催している「ぶどうの丘 田畑の楽校」にて。房づくりの作業で地元の農家さんのお手伝い)

森と人との継続可能な関係を育むために

(「森林ボランティア青年リーダー養成講座in東京」(東京都西多摩郡奥多摩町))

鹿住:
もう一つ、私たちが力を入れているのが「森林ボランティア青年リーダー養成講座」です。継続的に森林ボランティア活動に参加する若いリーダーを育てることを目的に、現在は東京・関西・四国の三箇所で開催しています。今年で東京が20期、関西は12期を迎えました。四国は昨年からスタートしています。

例えば、東京では11月〜1月にかけて、一泊二日の講習を3回実施し、間伐の仕方や道具の使い方、ロープの使い方など森を保全する知識や作業を学びます。また農山村地域に移住した方の話を聞いたりしながら、森と人との継続的な関係を育んでいきます。

今後の森づくり活動を引っ張って行ってくれる人材が育ってくれたらと思っています。

(2019年1月に開催された「森林ボランティア青年リーダー養成講座in東京」の20周年記念イベント。過去に講座に参加した卒業生たちが集まった)

──素晴らしいですね。なかなか、興味を持たないと森林や農山村地域を訪れたりといった機会はないと思いますし、特に都市部に暮らしていると、つい自然とのつながりを忘れがちですが、読者の方にメッセージをお願いします。

鹿住:
今の日本の都市は、地方の農山漁村ではなく、海外とつながっていると感じます。日本の木材自給率は35%、食料自給率はカロリーベースで40%です。

海外の仕事づくりも必要だし、フェアトレードという考え方もありますが、国内の農山村地域を守るために私たち消費者が国産のものを使い、農山村地域に仕事を見出していくことが必要ではないでしょうか。

石油や石炭といった地下資源をベースにした現在の私たちの生活ですが、石油はあと40年、石炭はあと200年すると無くなってしまいます。持続不可能なものを中心に回っているんですね。一方で、木は育てれば育てるほど無尽蔵に作ることができます。

(群馬県利根郡昭和村で開催している「霧の高原 森林の楽校」にて、交流会の様子。参加者や地元の人たちが打ち解けるきっかけになる)

鹿住:
一旦切れてしまった都市と農山村とのつながりを取り戻し、再び循環させたい。都市部と農山村が支え合うことが、エネルギー的にも資源的にも、持続可能な社会をつくっていくカギになります。

人は、自然がないと生きていけません。森や農山村地域がなければ、都市は成り立つことはできません。そこを利用していくことがないと、必要不可欠なものを守っていくことはできないんです。
都市部にいると、実は森林や農山村地域の人が自分たちの生活を守ってくれているということを忘れがちです。「森なんて放っておいたらいい」と思うかもしれません。自然は偉大なので、仮に整備をしなかったとしても、森自体は自然と長い年月をかけて良い状態へと変化していきます。しかし、その間に人間には良くないことが起きていくんですね。

都市部で暮らす人たちが農山村地域やそこで採れたものを積極的に使っていくことが農山村地域を支えるし、ひいては都市住民の暮らしを支えることにもつながっていきます。

(森づくりは人づくり。地域や世代を越えたつながりで、森も人も育っていく。富山県南砺市で開催される「そばの里 森林の楽校」での1枚)

チャリティーは、農山村地域を守る担い手を育てていくための資金になります!

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

鹿住:
青年リーダー養成講座のための資金として使わせていただきたいと思っています。先ほどもお伝えしたように東京・関西・四国の3箇所で開催していますが、四国に関しては昨年からスタートさせました。
助成金を活用し、参加者の方の参加費を安く抑えていますが、四国での開催については助成金がなく、運営費は持ち出しとなっています。今回のチャリティーで、四国でこの講座を開催するための資金のうち、10万円を集めたいと思っています。ぜひご協力いただけたら嬉しいです。

──貴重なお話、ありがとうございました!

(2018年に団体設立20周年を迎えた。事務所にて事務局スタッフの皆さんで)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

持続可能な循環型の社会をつくっていくということを考えた時、現在の社会ではどうしても経済的なハードルの高さがネックになるなあと感じます。
樹恩割り箸について語られていた時の鹿住さんのお話にもありましたが、「安さ」が第一優先になると、いくら森林を守ることにつながるとはいえ、現時点では安い外国産のものが勝ってしまう。

…これって、割り箸に限らず、いろんなことに言えることですよね。お金という価値観は一つ大切ですが、未来の日本のこと、地球のことを考え、その時々で必要な選択をしていくことができたらと改めて思いました。

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雄大な大自然の水面越しに、人が暮らす都市を描きました。森や自然があることで、都市部の人たちの暮らしが成り立っていることを表現しています。

“Connecting with nature in the city”、「街中で、自然とつながる」というメッセージを添えています。

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