CHARITY FOR

ベビーカーではなく、車いす。「子ども用車いす」の存在知って〜一般社団法人mina family

車いすはみなさんご存知だと思いますが、子ども用の車いすがあることをご存知ですか?

子ども用の介助型(誰かに押してもらう)車いすは、大きさや見た目がほとんどベビーカーと変わらないため、ベビーカーと誤解されてしまい、「邪魔だから折りたたんで」「歩かせなさい」「そんなに大きな子をまだベビーカーに乗せているの」と非難されてしまったり、必要なサポートを受けられなかったり…、様々な困難を強いてしまう現実があるといいます。

「子ども用車いすのことをたくさんの人に知ってもらいたい」と話すのは、今週JAMMINが1週間限定でコラボキャンペーンを展開する一般社団法人mina family(ミナファミリー)の本田香織(ほんだ・かおり)さん(36)。

本田さんの長女の萌々花(ももか)ちゃん(5)は、0歳の頃に「ウエスト症候群」というてんかんの一種を発症しました。体に知的・身体的障がいが残り、今でも自力で立ったり座ったりすることはできません。
家族で外出するには、子ども用車いすはなくてはならない存在。一人でも多くの人にその存在を知って欲しい。mina familyの活動について、お話をお伺いしました。

(お話をお伺いした本田さんと、娘の萌々花ちゃん)

今週のチャリティー

一般社団法人mina family(ミナファミリー)

大阪を拠点に、病気や障がいのある子どもとその家族のため、「子ども用車いす」の社会認知を高める啓発活動や、闘病中の子どもたちのための肌着などの商品開発を行う一般社団法人。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

ベビーカーに誤認されてしまう「子ども用車いす」

(「子ども用車いす」といっても、症状によってさまざまなかたちがある。毎日放送(MBS)の情報エンターテイメント番組「ちちんぷいぷい」の取材時の一コマ。西靖アナウンサーと)

──今日はよろしくお願いします。まず、「子ども用車いす」について教えてください。

本田:
車いすには、自走式と介助式と2つの種類があります。
どちらも大人が乗っていると当たり前に車いすにしか見られないのですが、バギータイプの子ども用車いす(介助型車いすの1種)の場合、一見すると非常にベビーカーに似ているため、小さい子どもが乗っているとベビーカーに誤認されてしまうことがあります。

障がいやその程度にもよりますが、まだ小さいため手の力が弱くて車いすを操作できない、知的障がいがある、体幹機能に障がいがあり背もたれに寄りかからないと座れない、てんかん発作が頻繁にある…など、さまざまな理由から介助型車いすが利用されています。3歳ごろまではベビーカーを車いす代わりに使い、そこから車いすを使う場合もありますが、3歳以下でも医療機器を常時必要としたり身体の障がいが重いなどの理由でベビーカーでは移動できず、子ども用車いすを使っていることもあります。

──そうなんですね。

本田:
ただ、子ども用車いすに子どもが乗っていても、一見障がいがわかりづらく、ベビーカーと誤認され、ベビーカーとしての扱いを受けてしまうことがあります。
鼻からチューブを通しているなど、外見で病気や障がいがあると分かるのではと思うような子どもでも、子ども用車いすそのものが知られていないばかりに、やはりベビーカーだと誤認されてしまうことがあるんです。

(対面式の子ども用車いす。それぞれ、症状を診断した医師の指示書に基き、車いす業者より購入するというが、一見するとベビーカーに似ており、誤認されることが少なくない)

車いすであることが理解されづらい現実

(子ども用車いすで出かけても、車いすとして扱われることはほぼないという)

──ベビーカーと誤認されることで、どんな問題があるのですか。

本田:
たとえば、満員電車に乗ると「ベビーカーを折りたたんで」「子どもを抱けるでしょ」と言われることがあります。

けれど、それができないんです。
理由として、ひとつは子ども用車いすは、ベビーカーと違って簡単に折りたためるものではないということ。例えばうちの娘もそうですが、一見6〜7歳で、そのぐらいの身長や体重があったとしても、体が不自由で、新生児のような状態です。こういった状態でも利用できるように、子ども用車いすは、構造や素材もベビーカーよりずっと頑丈にできています。

ベビーカーは持ち運びしやすいように、重量が1kg未満のものも多くありますが、たとえ見た目はよく似ていても、子ども用車いすは軽くて6〜7kg。重いものは、数十kgを超えるものもあります。

また、たとえば胃ろう(胃に穴を開け、栄養を直接胃に入れること)を受けている子どもの場合、半日外出するだけでも、栄養剤を何パックも積んでいます。ほかにも誤嚥(ごえん)を防ぐための吸引器や消毒薬、呼吸器などの医療機器、そして医療機器を動かすためのバッテリーなどを持ち運んでいることもあります。見えない部分に、荷物が満タンに積まれているんです。こういった場合、ベビーカーのように手軽にたたむことは難しいです。

──ベビーカーと車いすとで、用途や対象が全く異なるということですよね。

本田:
そうなんです。子ども用車いすは、障がいのある子どもたちにとって、なくてはならないものです。そして殆どの場合、車いす選定のための専門資格を持った医師による診察を受けて、その医師の指示に従って車いす業者が車いすを選び、購入に至っています。似ているのは外観だけで、ベビーカーとは全く別のものです。

もうひとつは、先ほども言ったように、新生児のような体の状態の子どもを、車いすを折りたたんで片手で抱くことは無理だということ。健常の子どもであっても、新生児を片手で抱くことはしませんよね。3歳4歳になって、それなりに体重のある、でも首が据わっていなかったり、体幹がくにゃりと柔らかい状態の子どもを片手で抱くということは、不可能なんです。

(子ども用車いすでハロウィンパレードに参加した時の1枚。「子どもたちがもっと安心していろいろな場所へ外出できるようにしたい」と本田さん)

「モラルの無い親」と非難されるつらさ

(笑顔を見せる萌々花ちゃん。診察やリハビリへの通院も、楽しい場所へのお出かけも、車いす無しには行くことはできない)

──本田さんは、娘さんを育てる中で、子ども用車いすが知られていないという壁にぶつかったとお伺いしました。

本田:
娘の萌々花は「ウエスト症候群」という病気を生後5ヶ月で発症しました。
この病気はてんかんの一種で、場合によっては薬でも発作が止まらず、また脳へのダメージも大きいため、身体のみならず知的にもダメージを与えてしまいます。

萌々花の場合、年齢は5歳ですが身長が大きく、体の大きさは6~7歳程度ですが、自力で座ったり立ったりできず、知能も0歳児と同等です。言葉を話すことも、理解することもできません。当然ですが、自走式の車いすは使えません。

子ども用車いすに乗せて外に出ると、様々な壁が立ちはだかりました。
「そんなに大きな子どもをベビーカーに乗せているなんて」「歩かせなさい」といわれたり、車いすが入ることができるはずの公共の場で、警備員や職員の方に「ここはベビーカーでは入れない」「車いすはお手伝いするが、ベビーカーはサポートできない」と咎められたりすることがありました。子ども用車いすの存在が知られていないばかりに、まるでモラルの無い親だといわんばかりの非難を受けてしまう。つらい現実を突きつけられたんです。

──そうだったんですね。

(活動を始めた当初の写真。まずは子ども用車いすの存在を知ってもらいたい、とポスターを作るところから始めたという)

たくさんの親御さんたちの、苦労や我慢を見てきた

(理事を務めていた 「一般社団法人 子育てママの応援ぷらっとホーム」のクリスマス会にて、障がいのある子どもを育てることになった一人の女性として講演。どこにでもいる会社員だった自分が社団法人を設立するに至るまでの心の機微や、子ども用車いすについて語った)

本田:
娘が生まれるまでは、障がいとは無縁の世界で生きてきました。娘が障がいを持って生まれて始めて、障がいのある人が抱える社会の理不尽さを痛感したんです。
ブログで娘の闘病記を発信していると、自分だけでなく、同じ状況にある多くのお母さんたちがこの問題で傷つき、涙を流し、我慢していることを知ったんです。実際に泣いているお母さんを目にしたことも何度もありました。

このままではいけない。そう思い、2015年にmina familyを立ち上げました。

──たくさんの親御さんが、ずっと我慢されてきた問題だったんですね。

(様々な方面から、行政へも陳情を続けてきたという本田さん。障がいのある息子を持つ野田聖子議員に、子ども用車いすの啓発について陳情した時の1枚。「我が子のリハビリなどで子ども用車いすを当たり前に目にしていた野田議員は、問題についてもすぐに理解していただき、様々な助言をいただいた」(本田さん))

本田:
2〜3歳の子どもを連れている時期が、最も誤解を招きやすい時期です。この年齢は、健常者の子どももベビーカーに乗る時期で、ベビーカーだと誤認されやすいんです。

定型発達の子どもを持つ親御さんであっても、子育ては手探り。2〜3歳になって初めて、やっと少し落ち着いてきたかな、という頃だと思います。
ただでさえそんな状況なのに、障がいのある子どもを持つ親御さんは、我が子の病気の宣告を受け、慣れない病院での入院治療や頻繁な通院、他の子との差も見え始め、子どもの将来への不安も募り…、この時期は親が身体の面でもメンタル面でも追い詰められ、本当にギリギリでしんどい時期です。

そんな状態でやっとの思いで通院のため外に出たのに、さらに周囲から非難されたら、どうでしょうか。

──「誰にも受け入れてもらえない」という絶望的な気持ちになってしまいますね…。

本田:
子ども用車いすは、物理的に場所もとるし「申し訳ないな」と思う時もあります。けれど、「たたみなさい」「子どもを歩かせなさい」と言われると、それはできないんです。たとえば電車やバスの中で、車いすで乗車している高齢者の方に「邪魔だから立って」という人はいないですよね。認知されていないばかりに非難を受けてしまう。ここを変えていきたいんです。

──まずは存在を知ること。そうすれば「車いす」だと認識できるようになり、対応や反応も変わってきますね。

(橋本岳議員と、国土交通省のバリアフリーガイドライン担当者の方へ、子ども用車いすの公共交通機関での取り扱いについて陳情。多くの協力があり、この春から国土交通省のバリアフリーガイドラインに、子ども用車いすについて追記されることが決定したという。「まずは公共交通機関の職員の方たちに、子ども用車いすについて知っていただく機会が増えることになる」と本田さん)

「とにかく、知ってほしい」。
車いすマークやポスターで啓発活動

(mina familyがつくった「子ども用車いす」マーク。視覚から直感的に意図を理解できるよう工夫されている)

──子ども用車いすの認知を広げるために、どんなご活動をされいるのですか?

本田:
障がいの有無を、パッと見た目で判断するのは簡単ではありません。かといって、子ども用車いすを見てそれが一目でそうだとわかる特徴があるかというと、そうでもないんです。

──なぜですか?

本田:
子ども用車いすは、一人ひとりの症状にあわせて仕様が異なるため、かたちや大きさもまちまちです。車いすは年々デザインがオシャレになってきており、またサイズの面でも最近は海外製の大きなベビーカーが多く輸入されていることから、形や大きさで車いすとベビーカーを判別することがより難しくなりました。

子ども用車いすだと識別してもらうために、子ども用車いすのマークを作り、広くたくさんの方に使っていただけるよう活動しています。これをつけていれば、「車いすなんだな」ということが一目でわかります。

──なるほど。

(子ども用車いす啓発ポスター)

本田:
あとは、よりたくさんの人に子ども用車いすを広く知ってもらえるよう、啓発ポスターを作って配布したり、講演活動、自治体とも協力しながら、認知の促進に努めています。
「あ、子ども用車いすなんだね」とすぐに理解してもらえるような環境づくりのためには、やはり子ども用車いすを知るきっかけがない人、興味がない人たちにどうやって知ってもらうか、どう訴えていくかが課題だと思っています。

娘は、お出かけすることが大好きです。娘のためにも積極的に外出して、街中ですれ違った人が「さっきすれ違ったのは、車いすだったね」と認識してくださることで、少しずつでも子ども用車いすを身近に感じてもらい、浸透させていきたいと思っています。

(mina familyは、子ども用車いすの啓発以外にも、実際に自分自身やまわりの障がいのある子を持つお母さんたちが困っていることを解決するため、商品の開発・販売やプロデュースも行っている)

チャリティーは、新たに1,000枚のポスターを発送するための費用になります!

(萌々花ちゃんの疾患「ウエスト症候群」の患者家族会の会長も務めている本田さん。「日々自分に出来ることを、精一杯取り組んでいる」と話す)

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

本田:
子ども用車いすについてたくさんの方に認知していただくため、ポスターを各所へ配布しています。

地域の掲示板に貼ってもらったり、マンションの回覧板で回してもらったりと個人の方にお願いしているほか、自治体から依頼を受けて、まとまった数を発送させてもらうこともあります。これまで病院や公共施設での掲示の他、小学校の授業で使用するため、交通機関での研修に使用するため、などのご依頼もありました。

今回のチャリティーで、新たに1,000枚のポスターを発送するための費用・10万円を集めたいと思っています。地域に根ざしながら、子ども用いすの存在を訴えていくために、ぜひチャリティーにご協力いただだけたらうれしいです。

──貴重なお話、ありがとうございました!

(子ども用車いすの認知が広がり、安心して外へ出て行くことができる社会を目指して。ぜひチャリティーにご協力ください!)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

姪が幼い頃、一緒にベビーカーで街中へ出かけた際に、たくさん困難があるんだと感じました。エレベーターの無い駅では、ベビーカーを持って階段を上り下りしなければいけません。人の多い電車の中では、迷惑そうにする人もいました。デパートではエレベーターが常にいっぱいで、ベビーカーが入れるほどの空きが出るまで、ずっと待つ必要がありました…。ベビーカーでさえ大変だとと感じるのに、それが折りたたむことが困難な子ども用車いすだったら?抱きかかえることが難しい子どもが乗っていたら?…想像しただけで、本田さんの勇気がどれほどすごいことか、伝わります。
子ども用車いすの認知が広がり、それが受け入れられる社会を目指して。ぜひチャリティーにご協力ください!

一般社団法人mina family ホームページはこちら

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様々なかたちのいすに混ざって、子ども用車いすが並んでいます。
皆それぞれ個性があり、違っているのは当然で、皆それぞれに素晴らしいところがあるんだよ、というメッセージを表現しました。

“It’s good to be different”、「(他と)違うことは、良いことだ」という言葉を添えています。

Design by DLOP

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