CHARITY FOR

野生動物の命を救え!野生動物と人間が安心して「共存」できる地域を目指して〜どうぶつたちの病院 沖縄

昔から、人間と共存しながら同じこの地球の上で生きてきた野生動物たち。
彼らが生きる場所は、決してジャングルや未開の土地に限ったことではありません。私たちが暮らす足元にも、息づく小さないのちがあります。
都会では、その存在を感じることは少ないかもしれません。しかし、人間中心の街の中で、傷ついたり命を落としてしまう生き物たちがいます。

今週、JAMMINが1週間限定でキャンペーンを展開するのは、沖縄で、絶滅の危機にある野鳥「ヤンバルクイナ」を守りながら、野生動物の救護活動にあたるNPO「どうぶつたちの病院 沖縄」。

代表を務めるのは、獣医師の長嶺隆(ながみね・たかし)先生(55)。彼はかつて幼い頃、故郷の沖縄の自然が、開発によって次々に姿を変え、失われていくのを目の当たりにしていました。

時が経ち、大人になって知ったヤンバルクイナ絶滅の危機。「このままでは、沖縄の自然が危ない」、そう感じた長嶺先生は、ヤンバルクイナを始めとする沖縄の野生動物を守り、次世代へと残していくための活動を開始します。

私たち人間が果たすべき、自然との「約束」とは──。
活動について、お話をお伺いしました。

(お話をお伺いした長嶺先生。人工ふ化で育てたヤンバルクイナと)

今週のチャリティー

NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄

琉球弧(沖縄の島々)に生息する希少な野生動物を守るために活動するNPO法人。年間150を超える傷ついた野生動物を受け入れ、治療やリハビリを行っているほか、野生動物と人間が共存できる島を目指し、啓発や研究活動、政策提言を行っている。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

年間150以上の野生動物を救護

(交通事故で命を落としてしまったヤンバルクイナ。野生動物が交通事故に遭うと、ほとんどはその場で死んでしまう。ほんの一部だけが運良く人に保護され、病院まで運ばれてくる)

──長嶺先生、今日はよろしくお願いします!まずは「どうぶつたちの病院 沖縄」さんの活動について教えてください。

長嶺:
私たちは年間約150個体以上の傷病野生動物を救護し、治療・リハビリを行っています。

──どんな野生動物を救護しているのですか?

長嶺:
救護される野生動物の多くは、人為的な影響によって傷ついた動物たちです。沖縄には、固有の野生動物が多く、さらに北の繁殖地と南の越冬地を行き来する多くの渡り鳥が中継地として飛来しています。一方で、島であるために哺乳類の数は多くありません。そのため、私たちが救護するのも、野鳥が7割を占めています。

──「人為的な影響」とはどういうことですか?

長嶺:
交通事故や側溝への転落、電線やガラスへの衝突、農薬による中毒で命を落とす野生動物がいます。森の中でも街の中でも、犬や猫に襲われたり、建物の窓ガラスに誤って衝突して翼を骨折する野鳥が少なくありません。
また、釣り人が放置した釣り針を飲み込んだり、ルアーにひっかかって釣り糸にグルグル巻きになったり、ネズミを捕獲する「ネズミ捕りモチ」にひっかかって自力で逃げられなくなる動物もいます。こういった野生動物を動物病院で救護し、獣医師が適切な処置を施したのち、野生へと返す活動をしています。

(冬に沖縄へ渡ってくる「クロツラヘラサギ」。2014年3月から足に釣り糸が絡まって歩きにくそうにしている姿が観察されていたが、人が近づくことができず、なかなか保護できなかった。沖縄野鳥の会や県、環境省など関係機関と協力して4月にようやく保護した時にはとても衰弱しており、もう少し遅ければ命を落としていた可能性があった)

(保護したクロツラヘラサギは、釣り糸を外し体力が回復した5月に、救護に関わった多くの人に見守られながら泡瀬干潟で放鳥した)

人間が、意図せず野生動物を傷つけている現実

(放し飼いの猫に襲われて保護されたメスの「イソヒヨドリ」。残念ながら1週間後に死んでしまったが、治療のためのICU(集中治療室)の中で、綺麗な緑の卵を産んだ。おそらく繁殖期の真っ只中に猫に襲われてしまったのだろう)

──言われてみると、人間が傷つけようと意図していなくても、野生動物のことを傷つけている現実がありますね…。

長嶺:
そうですね。地球には、人間だけではなくたくさんの野生動物たちが生きています。人間にとって生きやすい環境が、野生動物にとってもそうかというと、決してそうではないんです。

私たちの活動は、沖縄の野鳥「ヤンバルクイナ」を守る活動から始まりました。ヤンバルクイナはね、日本で唯一の飛べない鳥なんです。ヤンバルクイナが生息する「やんばるの森」にはキツネやイタチのような肉食の哺乳類がいないため、やさしい森の生態系の中でのんびりと過ごすことができたんですね。肉食動物から逃げるために必死に飛ばなくてもよかったため、飛ばないという進化を選んだのです。

ところが、人間がハブ退治のために放ったマングースや捨てられた猫などによって捕食されてその数がどんどん減少していきました。2005年には、生息数はおよそ700羽にまで減ってしまい、いよいよ絶滅の危機に陥りました。

──人間の都合というか、人間が理由で、数が減っていったんですね。

(有刺鉄線にかかって翼を傷めた「オオコウモリ」。オオコウモリは沖縄では最も身近に見ることができる野生動物のひとつで、救護される数も少なくない。このように大きく傷ついてしまうと再び飛ぶことはできず、野生にかえすことはできない)

消えゆくヤンバルクイナの姿が、
若かりし頃目にした風景と重なった

(世界中で、沖縄のやんばるの森にだけ棲んでいる、飛べない鳥「ヤンバルクイナ」は、真っ赤なくちばしと真っ赤な足、そして胸の縞々模様がトレードマーク。お互いに姿の見えない深い森の中で、鳴き声でコミュニケーションをとっている)

長嶺:
生まれ故郷である沖縄を12年間離れ、再び沖縄に戻ってきたとき、ヤンバルクイナは絶滅の淵に立っていました。

1972年、まだ僕が小学生の頃、沖縄が日本に返還されました。それに伴って開発が進み、徐々に沖縄の海は自然の姿を失っていったんです。
干潟がどんどん埋め立てられ、毎年この海を訪れていた数千羽の鳥たちは居場所を失っていきました。目の前の自然が失われ、それと共に海鳥たちも視界から姿を消してしまったんです。それは深い悲しみでした。有名な場所があるわけでも、有名な野生動物がいるわけでもありません。でも、僕にとってはかけがえの無い場所で、本当に素晴らしい自然がそこには広がっていました。

(ヤンバルクイナが棲むやんばるの森は、イタジイの木や大きなシダの生い茂る、水の豊かな森だ)

長嶺:
農作業しているとね、足の上に小鳥が乗ってきたり、野生動物が近くまでやってきてね。野生動物と近い距離で幼少期を過ごしたことが、僕が獣医師になったきっかけでもあったんです。
あの時失われてしまった自然と野生動物の記憶が、ヤンバルクイナの姿と重なりました。「このままだと、あの時と同じことが起きてしまう」。なんとかしようと動き出したのが、活動の原点です。

(2006年1月には、IUCN(国際自然保護連合)のCBSG(保全繁殖専門家集団)スタッフや国内の専門家、そして地元の関係者が一堂に会し、ヤンバルクイナの保護のための国際ワークショップを開催。丸2日間かけてヤンバルクイナの保全について多くの意見交換が行われ、今後の保護対策について目標設定を行った。

「頑張ってはいたもののヤンバルクイナの減少は止まらず、マングースは北上し、ついにヤンバルクイナの生息する安田区にまで到達した。もうダメかもしれない、絶滅時計は止められないかもしれないという恐怖から、地元の安田公民館で国際ワークショップを開催した。これだけは那覇ではなく、ヤンバルクイナの生息地で開催したかった」と長嶺先生。当時、最悪のシナリオでは「2020年にはヤンバルクイナは絶滅する」と言われていた)

「海はみんなのものだから」。地元の人たちの声に学んだ

──そうだったんですね…。どうやって活動を始められたんですか。

長嶺:
「ヤンバルクイナを守りたい」、それだけで、最初は何をしたら良いかなんてわからなかったです。考えつくありとあらゆることをやりました。本当にたくさんの方が協力してくれました。

ヤンバルクイナが減っている理由のひとつは、ペットの猫でした。ヤンバルクイナが暮らすやんばるの森に捨てられたペットの猫が繁殖し、ヤンバルクイナを捕食していたんです。
猫は繁殖力の高い生き物です。暖かい沖縄では年間3回も出産する猫がいます。飼い主が避妊手術や去勢手術をしないで放し飼いすると、その数はどんどん増え、森に捨てられる猫が増え、結果的に、ヤンバルクイナの命が危険にさらされる。

もともと、やんばるの森には猫はいません。つまり、ここにいる猫は捨て猫なんです。捨てられた猫に罪はありません。ですから、森にいた猫を保護して里親を探す活動も続けました。2004年から現在までやんばる地域から保護した猫の数は1,100頭に上ります。

(シェルターの猫たち。多い時は同時に100頭近く収容していた)

──すごい数ですね。

長嶺:
ヤンバルクイナは絶滅危惧種であり、国としても保護に力を入れています。けれど、この問題を目の当たりにした時、僕は国や全国の皆さんに「なんとかしてください」と泣きつくことは、恥ずかしくてとてもできなかった。ペットであるはずの猫が森の中にいる…、これは沖縄に暮らす僕たちが起こした問題。だから、まずは自分たちで解決のために努力すべきだと思ったんです。

活動すればするほど、人間の身勝手な行動が見えてきました。やんばるの海に訪れたついでに、ゴミと一緒に犬猫をポンとその辺に捨てて帰ってしまう。

「よその人たちを、もうここのビーチに入れないでおこうよ」とやんばるの森に囲まれた集落である国頭村(くにがみそん)安田(あだ)の住民に提案したことがありました。そしたら、「海は自分たちだけのものじゃない。みんなのものだ」と。

(安田公民館にて、飼い猫に避妊・去勢手術を施す)

長嶺:
安田の人たちは、他人のことを言う前に、まずは自分たちがペットを正しく飼えているのだろうか、胸を張ってきちんとしていると言えるのか?と自らに問うたんです。
「集落の猫は、飼い主が責任を持とう」ということになり、ペットの猫の避妊・去勢を徹底し、また飼い猫には1センチ×1ミリほどの小さなマイクロチップを埋め込んで、飼育登録を義務付けるなど管理を徹底しました。

排除することが正解ではないんだということを、安田の人たちから教えてもらったんです。

(やんばるの森に行楽客が増えるゴールデンウィークには、毎年関係機関と協力し、野生動物の交通事故防止や犬猫の遺棄防止を呼びかけるキャンペーンを行う)

小さな命を守るために

(親とはぐれてしまい救護されたオオコウモリの幼獣を、人工哺乳で育てる)

長嶺:
ヤンバルクイナは、残された時間が少ないです。絶滅から守るために、彼らを引き続き保護していく必要があります。ただ、それはヤンバルクイナに限ったことではありません。街の中にいる野生のコウモリやスズメも、同じ運命をたどる可能性が無いとは言えないのです。

──「別にいなくなったっていいや」と思う人が増えていけば…、それは絶滅へと近づいていくことを意味しますよね。

長嶺:
そうです。身近にいる生き物こそ、大切なんです。
人間誰も、小さな生き物たち──タナゴやミミズ、モグラを殺しているつもりもないし、裏切っているつもりもないでしょう。けれど「こんな生き物、どこにでもいるじゃないか」という過信が面で広がっていった時、絶滅へとつながっていってしまいます。

僕たちは、この地球で「共存」しています。僕たちもここに暮らしているけど、野生動物が居てはいけない理由はどこにもありません。本来であれば一緒に暮らすことができる生き物にまで「どこかへ行ってしまえ」という環境は、よくないと思うんです。

誰が、生き物がいない地球を想像できるでしょうか?「棲み分け」も含め、人間と野生動物たちが「共存」できる世界が広がっていくことを願っています。

(野生動物の交通事故を防ぐために、沖縄県が野生動物のためのトンネルを建設した。ヤンバルクイナに道路上ではなくトンネルを利用してもらうためにはどうしたらいいか、「どうぶつたちの病院 沖縄」も一緒に考え、水浴びやエサ場となる水辺をトンネルの入口に作った)

次世代に、野生動物の命を残す。
それが「約束」

(救護した「オオコノハズク」の放鳥の瞬間。救護されても野生に返すことができるのはごく一部。力強く生きていってくれるよう願って、みんなで見守りながら放鳥する)

──長嶺先生がこの活動をされるモチベーションを教えてください。

長嶺:
それは…「約束」です。
時間軸は違っても、同じ地球を生きる野生動物との「約束」であり、次の世代を生きる人間との「約束」です。

生き物にも、子どもたちにも、地球の自然を享受する権利があります。その約束を、僕たちは守れているのか。次世代へと渡していけるのか──。果たして、どうでしょうか?
「約束」を破っちゃいけない。僕たちと地球との約束を、忘れてはならないと思っています。

ヤンバルクイナで例えると、ヤンバルクイナがもしこの瞬間に絶滅しても、誰も困ることはないかもしれません。明日も明後日も暮らしていけます。けれど、ヤンバルクイナのくちばしの赤さや足の赤さ、とっても臭いヤンバルクイナのうんち…良いも悪いもヤンバルクイナだけが持つ特性です。

もしかしたらこの先、そのヤンバルクイナの赤いくちばしの色素やうんちの中の細菌から、ガンやウィルス感染に効く物質が発見されるかもしれません。彼らが絶滅してしまったら、それは地球上からの消滅を意味します。二度と地球に存在することはないのです。

生き物を失うことは、次世代のチャンスを失うことを意味します。次世代のチャンスを奪ってはいけません。
僕たちが彼らの声に耳を傾け、手を貸す時、必ず彼らも僕たちを助けてくれるでしょう。この先、人間の生活もどうなっていくかわかりません。何年か先の未来で、私たちが野生動物に救われるタイミングが、必ず来ると思っています。実はすでに、彼らの声や姿、しぐさに救われていますけどね。

(2017年9月に開催された日本鳥学会のシンポジウムにて、やんばる地域における猫の問題について講演する長嶺先生)

チャリティーは、野生動物救護のための資金になります!

(閉鎖した安田区の幼稚園をヤンバルクイナ救命救急センターに改修し、ボランティアの力で壁画を完成させた)

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

長嶺:
傷ついた野生動物の保護のため、具体的には手術や薬、餌代として使わせていただきたいと思っています。症状によって必要な処置はまちまちなので、一個体あたり平均いくらと言うのは難しいですが、私たちが保護する野生動物の治療のために充てたいと思います。

沖縄の島々は、のんびり、おっとりした危機感の無い野生動物が多いです。救護しても、平気で人間の手から餌を食べちゃうぐらい(笑)。
こりゃあやられちゃうよ!って思うんですが…、野生動物を救うために、ぜひチャリティーに協力くだされば嬉しいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

(2013年9月14日、ヤンバルクイナの生きている姿を見てもらうことでその生態や危機的状況について知り、関心を持ってもらうために、地元の人々や行政、NPOが協力して作り上げた施設「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」が国頭村安田に完成。安田集落で開かれた記念パーティーでは「施設をどうやって盛り上げていくか」皆で夜遅くまで語り合った。その時の1枚!)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

長嶺先生のお話に、深い「愛」を感じました。この地球という星の上で、人間がいつの間にかどこかに置いてきぼりにして忘れつつある自然、失われゆく愛を、先生は野生動物の保護を通じて、食い止めようとしているんだと私は感じました。

少しずつ地球が疲弊している中で、では私は一体どんなことで愛をリフレクトして、地球に貢献できるんだろう──、そんなことを考えさせられるインタビューでした。

野生動物のことを話す時に本当にとっても嬉しそうな顔をされていたのが印象的でした。「僕たち人間だけの場所じゃない」という先生の言葉通り、野生動物と同じ目線で地球を見つめる先生の姿に、一瞬でファンになりました!長嶺先生、ありがとうございました。

沖縄の野生動物を守るために、ぜひチャリティーにご協力ください!

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沖縄に生息する野生動物「ヤンバルクイナ」「イリオモテヤマネコ」「オオコウモリ」「ケナガネズミ」「リュウキュウヤマガメ」「ノグチゲラ」の6種類を描きました。「地球の上には人間だけが存在するのではなく、野生動物と共に生き、そしてまた私たちは、彼らに生かされているんだよ」というメッセージと、つながりの中で生きる地球上の生き物の姿を描くために、曼荼羅のような深い世界観を、ペイズリー柄で表現しました。

“We are all connected”、「私たちは皆、つながっている」というメッセージを添えています。

Design by DLOP

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