CHARITY FOR

「犬だから、できること」。セラピードッグを通じ、人間と犬が共に豊かに生きられる社会を目指す〜NPO法人アンビシャス

皆さん、「ドッグセラピー」をご存知ですか?
犬に触れたり、犬と遊んだりすることで安心感や癒しが得られるだけでなく、前向きな意欲の向上も期待できるといわれており、近年は医療現場で療養目的としてだけでなく、教育現場にも取り入れられています。

今週、JAMMINがコラボするのは、京都を拠点にドッグセラピー活動を行うNPO法人「アンビシャス」。
日本でまだまだドッグセラピーが知られていなかった1999年より、「犬を通じて、笑顔を増やしたい」と各地の施設を訪問し、ドッグセラピー活動を続けてきました。

「犬なんて連れてきてどうするの?」と最初はなかなか周囲に理解されなかったといいますが、確実なトレーニングとポリシーに基づいた地道な活動により、今では、老人ホームや医療施設のほかに、「いのちの大切さ」を実感してもらうために小学校や少年院を訪問するなど、活動の幅を各方面へと広げています。

今回は、アンビシャスのドッグセラピーに同行して京都市内のある老人ホームを訪問!
見えてきたのは、安心して誰もが受けられる「ドッグセラピー」の裏にある、飼い主と犬との「信頼関係」でした。

今週のチャリティー

NPO法人アンビシャス

「人と動物が共生するやさしい社会づくり」を目指し、年間150回以上各地を訪問する「ドッグセラピー」のほか、非常時の人と動物のいのちを考える「ペットと防災啓発活動」、子どもたちにいのちの尊さを伝える「いのちの授業」を行うNPO法人。2015年には認定NPO法人を取得。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

犬が、会話のきっかけに

3月中旬のある日。京都市内にある老人ホーム訪問に同行させてもらいました。
ドッグセラピーがどういうものか、事前にアンビシャスの広報部長、湯浅(ゆあさ)あやのさん(52)にお話をお伺いしていましたが、正直、現場を見るまでは、それが一体どんなものか、想像もつきませんでした。

この日、ドッグセラピーにやってきたセラピードッグは8頭、ボランティアさんは5名。オーナーと共にアンビシャスドッグセラピー活動認定試験に合格し、「セラピードッグ」として活動しています。

(この日のセラピードッグたち。みんな、とってもお利口さんです!)

「セラピードッグ」というからには、何かすごく頭の回転の速そうな、キリッとした犬をどこかで想像していた私。しかし、実際の印象は異なりました。どの仔も、とってもかわいい…どこかおっとりしていて、やさしい目をしています。

さて、会場となる部屋には、少しずつ入居者やデイサービスを利用しているお年寄りの方々が集まってきました。すかさずボランティアさんが、「犬は好きですか?」と声をかけ、輪の中へと一人ずつ招き入れます。

(「犬は好きですか?」「抱っこしてみますか?」…犬を介して、自然にふれあいが生まれる)

皆さん、かわいい犬をまえにニコニコ。ボランティアさんが「膝の上に乗せようか?」と断って、セラピードッグをおじいちゃんおばあちゃんたちの膝に乗せると、途端に表情が生き生きとしてきます。

「どこにも行かんといてや」とずっと愛おしそうに撫でる人。
「ちょっと待ってねぇ〜」とまるで子どもをあやすように声をかける人。
中には「かわいいねぇ〜。連れて帰ったろ」というおばあちゃんがいたり(笑)。

犬を通じて、自然にスタッフの方たちとも会話が弾みます。

(セラピードッグの存在が潤滑油となって、その後の会話も弾む)

「昔、ワシも犬飼うてたんや」「犬好きやけど、猫も好きやで」、「昔な、拾うた犬を飼うたら、お父さん(旦那さん)に怒られてなぁ〜」そんなところから、徐々に会話が昔話やご家族の話に広がり、会場はすぐに笑顔でいっぱいになりました。

(現場をきびきびと動くアンビシャス広報の湯浅さん(右)。「セラピードッグだけを渡して『はい、セラピーですよ』ということが成り立つかというと、そうではない。老人ホームの入居者は、普段外部の人と接する機会の少ない方も多い。そんな人たちが、会話を楽しむきっかけを作れたら」と話す)

(手をぺろぺろ舐めるセラピードッグのコナンくん。「何かおいしいもの食べました?」、犬とのふれあいに、おばあさんもとってもうれしそう)

(ずっと笑顔の絶えない現場でした!)

オーナーとの「信頼関係」の構築が、ドッグセラピーの極意

(抱かれてウトウトとリラックスした表情を浮かべる犬も…。かわいい!)

セラピードッグたちは、胸で抱かれたり触られたり、決して牙を剥くことなく、おとなしくその場に収まっています。

(みんなを笑顔にする一芸を披露するのは、セラピードッグ見習い中、1歳のバジルくん)

これって、すごいことではないでしょうか?!
飼い主にはなついても、知らない人に触られたり、たとえ飼い主でも触られて嫌なところを触られたり気分が乗らなかったりすると、「ウーッ」となることが多いと思うんです。まるで見守るように、やさしくじっと撫でられるセラピードッグたち。つい疑問に感じて「犬たちはつらかったり、ストレスに感じたりしていないのですか?」と、湯浅さんに疑問をぶつけてみました。

湯浅:
たくさんの人に触られるということは、決して楽なことではありません。けれど、彼らもそれなりに役割を理解し、やりがいを感じてこの仕事をしています。この活動をする上で大切なことは、セラピードッグと、オーナーである私たちが“信頼関係”をしっかり築いていること。

トレーニングを重ね“信頼関係”があれば、セラピードッグは、たとえ知らない場所で知らない人と接しても、「飼い主はあそこにいる」「飼い主がここにステイしなさいと言っているから大丈夫」と安心感を持ち、リラックスした状態でその場にいることができます。

活動を始めて20年になりますが、アンビシャスのセラピードッグたちが人を噛んだということはこれまで1度もありません。

(ドッグセラピーは、セラピードッグだけでも、飼い主だけでも、利用者だけでも成り立たない。「三角関係があって初めて成り立つもの」と湯浅さん)

トレーニングによって鍛えられた「安心」と「信頼感」

ここからはセラピードッグについて、湯浅さんともう一人、アンビシャス理事長の松岡幸子(まつおか・さちこ)さん(61)にもお話をお伺いしました。

(利用者の方と話すアンビシャス理事長の松岡さん。現場全体を常に把握しながら、スタッフと連携し、利用者の方たちが一人にならないよう声がけをかかさない姿が印象的だった)

──今日のような老人ホームや医療施設への訪問で、これまでセラピードッグが人を噛むなどの事故がゼロというのはすごいですが、他には衛生面を気にする方も多いと思います。ここはどんなケアをされているのですか?

湯浅:
衛生面も細心の注意を払っています。清潔にしていることはもちろん、トリミングの回数を増やしたり、抜け毛予防に服を着せたりするなど、迷惑をかけたり不快な思いをさせないようにしています。

──セラピードッグが活躍するためには、飼い主と信頼関係を築くことが重要ということですが、一体どんなトレーニングをするのでしょうか?

松岡:
極端な話をすれば、「おすわり」や「お手」を無理にさせるのではなく、犬が状況を理解した上で動けるように訓練すること、そのために共にトレーニングを積むということです。
「人間が一方的に犬をトレーニングする」という意識よりも人間も「しっかりと犬と向き合う」という覚悟が必要で、犬のトレーニングというよりは、オーナーと二人三脚で、信頼を築くためのトレーニングといえます。

(命令をして言うことを聞かせるのではなく、犬が自らオーナーの言うことに集中していられるようにトレーニング。オーナーの足元で、集中してアイコンタクトしている)

松岡:
たくさんの方が犬に触れるドッグセラピーの現場は、毎回、そして毎瞬が勝負です。犬には牙があります。未熟なトレーニングで現場へ行くと、誰かを傷つけかねません。そうすると、次はないという緊張感で常に挑んでいます。

──セラピードッグと触れて皆さんが笑顔になる裏で、地道なトレーニングが生きているということですね。

(ドッグトレーナーの指導で一緒にいろんな芸を取得中。うまくできたらたくさん褒めて、犬にも自信をつけてあげることが大切だという)

湯浅:
そうですね。たとえオーナーである私たちがその部屋から出ても、彼らはじっと黙って待っています。「どこかに行ってしまったけれど、かならず迎えに来てくれる」という信頼と、安心があるからです。

──皆さんが安心して犬を触ることができるのも、「この仔たちは噛まない」とか「受け入れてくれる」という安心感からですし、セラピードッグがたくさんの人に触れられる中でじっと落ち着いてそこにいられるのも、オーナーさんとの安心感から成り立っているのですね。一見単純そうに見えて、ものすごく高度な技術ですね。

犬だからこそ、できること。
犬に触れた人たちの笑顔が、活動のモチベーション

──先ほど「次はないという緊張感で挑んでいる」と話されていましたが、決して生半可な気持ちではできない活動だと思います。モチベーションはどこから来ているのですか?

松岡:
「犬を通じて、誰かを笑顔にしたい!」というのがやっぱり一番大きいですね。あとは、活動をずっと続けて来て、「待ってくれている人たちがいる」というのも大きいです。犬は、私たちの生活に癒しを与えてくれます。こんな素敵な経験を、独り占めしておくのはもったいないと思うんです。
だから、できる限りいろんな場所へ行って、犬に触れてもらって、笑顔になってほしい。それが一番ですね。

湯浅:
老人ホームにもたくさん訪問させてもらってきましたが、私たちスタッフの名前は覚えていなくても、犬の名前だけはちゃんと覚えてくれていたり(笑)、それまで笑わなかった方が犬に触れて笑顔になったり…、犬だからこそ、果たせる役割があると感じています。

──私も今日現場を訪れて、ものすごくそれを感じました。
犬は人間と違って、壁を作らない。誰でも受け入れてくれるような雰囲気があるから、スッと入れるというか、なんというか心通じた仲間みたいになれるんですよね。さらに、しっかりしたトレーニングでもって、牙をむいたり吠えられたりもないので、より一層「受け入れられた」感があるんじゃないかと感じました。

松岡:
そうですね。
活動をしていると、「犬を見せびらかしているだけ」とか「犬ごときに一体何ができるんだ」という批判を受けることもあります。でも、私たちは決して中途半端な気持ちでこの活動をしていませんし、犬を通じて笑顔になったり、活力を得たりする人たちをたくさん見てきました。
犬だからこそ、人の心の機微に触れ、癒しを担える部分があると信じています。そうやって皆さんが笑顔になることで、私たちもいつも元気をもらっています。

(近年、ペットと防災の啓発活動にも力を入れているアンビシャス。イベントも主催し、いろいろな相談にのっている。「災害が起きた時、大切なペットと避難所で一緒に生活するために必要になるのは、しつけや飼い主との信頼関係。本当に大切なペットだからこそ、何かあった時のことを考えておいてほしい」と湯浅さん)

(地域の防災訓練にて、ペット同行避難について何が必要か、何を準備するかなどを話す松岡さん)

ありのままを受け入れてくれる犬の力を、
少年院のプログラムや小学生向けの授業にも

(京都医療少年院にて「動物介在授業」をセラピードッグと共に担当している)

──最近では、老人ホームやホスピスだけでなく、行政から依頼を受けて京都医療少年院を訪問したり、小学生向けにいのちの大切さを教える授業を実施したりしているそうですね。

松岡:
はい。私たちはセラピードッグと共にいろんな場所を訪問していますから、その場でしかそこにいる子どもたちのことを知りません。みんな心優しくて、良い子たちです。
けれど、普段からその子たちと一緒にいる指導者の方から「犬と一緒にいると、子どもが本当にリラックスして落ち着いた、年相応の顔になる」と驚かれたことがありました。

人間は、どこかで人を色眼鏡で見てしまうようなところがあります。けれど犬は、その人の見た目とか属性とか、経歴とか、そんなことは一切気にせずに、ただ純粋に「その人」自身を受け入れてくれる。そのことが、大人だけでなく子どもにも、どこか心安らぐ瞬間を与えているのではないかと思っています。

──本当にそうですね…。すべてを受け入れてくれるような安心感は、犬ならではかもしれないですね。

湯浅:
そうですね。また、最近の子どもたちは、ゲームなどの影響で、いのちの大切さを感じる機会が極端に減っています。その大切さを感じてもらいたいと、京都市内の小学校で「いのちの授業」を開催しています。

一緒に犬の心音を聞くと「わあ!本当に動いている!」とか「生きてる!」という反応が返ってきます(笑)。自分より小さないのちの存在を目の当たりにして、いのちの尊さや重さを感じてほしいと思っています。

──これも、たくさんの人に触られても噛んだり怒ったりしないセラピードッグだからこそ、できることですね。

(セラピードッグとふれあう子ども。初めはおっかなびっくりでも、徐々に視線を合わせてふれあうようになる)

チャリティーは、セラピードッグ育成のための費用になります!

──最後に、今回のチャリティーの使途を教えてください。

湯浅:
私たちの活動はほぼボランティアで行っていますが、セラピードッグのトレーニング・育成費用は持ち出しです。活躍できる犬を増やしたり活動の質を高めていくために、今回のチャリティーでセラピードッグのトレーニングや育成の資金を集めたいと思っています。

トレーニングは1回あたり5,000円。今回のチャリティーで、20回分のトレーニング費用・10万円を集めたいと思います!セラピードッグが描かれたコラボTシャツを着て、ぜひチャリティーにご協力いただければ嬉しいです!

──貴重なお話、ありがとうございました!

(アンビシャスメンバーの皆さん、セラピードッグたちと記念にパチリ!)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

訪れた老人ホームで、高齢者の方たちが本当に皆さん愛おしそうに、嬉しそうに犬に触れたり撫でたりしている姿が印象的でした。犬を介してみんなが自然と笑顔になり、そこに人間同士の会話も生まれる…。私まですっかり現場の一員にしてもらって、気がつけば隣のおばあさんと話がすっかり弾んでいました(笑)。そんな現場に立ち会わせてもらい、「あっ、セラピーってこういうことなんだ」と理解させてもらったように思います。

「犬や自分たち、そして触ってくださる方が楽しいのが一番!」とほがらかにおっしゃっていた松岡さんと湯浅さん。ペットの殺処分や飼育放棄がなくならない中で、「飼い主が犬としっかり向き合い、互いに信頼関係を築く」という、あるべき理想の関係を見せてもらったように思います。

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ネクタイやリボン、カバンを身につけた愛らしくたくましいセラピードッグの姿を描きました。
犬が人間と同様に、社会に必要な役割を担っている姿を表現しています。

“You can be happy, healthy and ambitious!”、犬と一緒だからこそ、幸せで、健康で、希望ある日々を送ることができる!、そんな思いを表現したメッセージを添えています。

Design by DLOP

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