CHARITY FOR

「父ちゃんたちは、共生社会を目指してがんばるぜ!」
父親だけの障がい者支援団体〜福岡おやじたい

生まれてきた我が子にできるだけのことをしてあげたい──。
そう思う気持ちは、子がどうであれ、親としてきっと誰しも同じなのではないでしょうか。

子どもが障がいを持って生まれてきた時、将来に不安を感じない親御さんはいないと思います。
「親と一緒に過ごせるうちは良いけれど、自分が亡き後、我が子は自分の力で生きていけるのだろうか。それが可能な社会なのだろうか」——。

今週JAMMINがコラボするのは、福岡を拠点に活動する一般社団法人「福岡おやじたい」。2014年に「障がい支援☆福岡おやじたい」として、子どもたちの明るい未来を創るために、知的障がいのある子どもを持つ父親が立ち上げた任意団体が、2017年6月に一般社団法人「福岡おやじたい」となりました。

お話をお伺いしたのは、福岡おやじたいのメンバーの一人である財津英樹さん(46)。5歳になる愛娘の環(たまき)ちゃんは、ダウン症を持って生まれてきました。

「ビジネスマンとして仕事に没頭し、効率を最優先に生きてきた。しかし娘が生まれたことで意識が変わった。父親だからこそ、子どもの未来のためできることがある」。そう話す財津さんに、活動についてお話をお伺いしました。

(お話をお伺いした財津さん。娘の環ちゃんと)

今週のチャリティー

一般社団法人福岡おやじたい

知的障がいのある子を持つ父親が集まって設立された、父親だけの障がい支援団体。様々な活動を通じて、障がいのある子どもたちの明るい未来を創るために活動している。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

父親の、父親による、子どもたちのための障がい者支援・啓発活動

(昨年の12月、おやじたいのメンバーで今回のコラボデザインTシャツを着て、九州朝日放送の「アサデス。」に、主催するイベント『笑顔と絆のスクラム Part4』の告知で出演した時の様子)

──お父さんたちだけで構成された障がい支援団体ってすごく珍しいと思うのですが、福岡おやじたいのご活動について教えてください。

財津:
私たちは広く一般の方へ向けて、障がいの認知や啓発活動を行っています。
具体的には、2ヶ月に1度開催するセミナーや年に1回開催する大きなシンポジウムなどのイベント開催を通じて、他にはない取り組みで障がいとの共生を目指している福祉施設を紹介したり、障がい者の抱える課題について知ってもらったりしながら、誰も排除しない「インクルーシブ(包括)社会」の実現を目指しています。

現在、メンバーは同じ志を持った17名。団体名の通り男性のみ、親子ほど年が離れた61歳から38歳までで、年齢だけでなく、職業・職種・生活環境が異なるおやじたちの集まりです。

──メンバーが父親だけで構成されているというのは、とてもユニークですね。

(1月、福岡市立東市民センターで開催されたイベント『笑顔と絆のスクラム Part4 共に生きる社会の実現を目指して』は、今年で4回目の開催。会場は満員御礼となった)

財津:
そうですね。父親だけで活動している団体は、とても珍しいと思います(笑)。

家庭にもよるのかもしれませんが、母親は子どもに寄り添い、より近いところでサポートできることが強みです。
一方で父親は、母親と比較して社会との接点が多いことが強みだと思っています。

今でも毎回、メンバーそれぞれの人脈の広さには驚かされます。

強みを活かしながら、各自の人脈を使って「いかに障がいのある子どもたちの将来に貢献できるか」が、我々の役割だと思って活動しています。

(定例会の後の飲み会。朝まで語り明かすことも(笑))

親亡き後も、障がいのある我が子が受け入れられる社会を

(1月に開催された『笑顔と絆のスクラム Part4』にて、受付対応するメンバー。イベントの運営も、もちろん「父親」が行う)

──「障がいがある」という理由で社会から隔離されてしまうようなケースが、まだ存在している現状について、どう思われますか。

財津:
そうなんです。私は40を過ぎて娘が生まれました。「子どもに接する期間は、あとどのぐらいだろう?」とこの先を考えると、そう長くはないんですよね。
「私や妻がいなくなった時、この子はどうやって生きていくんだろう」と不安に感じたんです。自分たちがいなくなった後、子どもが安心して生きていけるという保証がない社会は、不安ですよね。

私も妻も、障がいに対して専門知識があるわけではありません。ただ、我が子が社会と関わり、助け合っていけるような環境を作っていかなければならないと感じています。

(『笑顔と絆のスクラム Part4』にて、挨拶する福岡おやじたい理事長の吉田正弘さん(右)。隣は、息子の陸人さん)

父親が関わることで、行き詰まった状況に変化が生まれる

財津:
5歳になる娘の環(たまき)は、ダウン症を持って生まれてきました。

広告関係の仕事をしていたこともあり、それまでずっと昼夜関係なく、忙しく働いてきました。娘が生まれた後も、しばらくは「大丈夫だろう」とそんな働き方を続けていたんです。

けれど、妻からSOSがあって、娘との時間を作るために転職を決意しました。

(環ちゃんと財津さん。昨年のクリスマスキャンドルデートの一場面)

財津:
いざ転職して、実際に娘との時間ができると、見えてきたことがたくさんありました。さらに、目の前に出てくる課題を解決したいと動いてみると、大変だと感じることもたくさんあって。
到底、妻一人で抱え込めるものではないと感じましたね。

──具体的にどのようなことが見えてきたのですか?

財津:
子育て自体も一つそうですよね。妻に任せるのと、自分も携わるのとでは、感じることが全然違いました。
また、私が子育てに関わることで、我が子に対する周囲の反応の変化も感じました。

(娘の環ちゃんは、ダウン症候群、自閉症スペクトラム、中度の知的障がいがある。療育のおかげで、最近は若干会話ができるようになった。環ちゃんの笑顔と成長に、日々癒されるという。)

財津:
例えば、環は現在保育園に通っているのですが、入園の時に、障がいを理由に20園ほど断られているんです。
これをもし妻一人で全部やっていたら、精神的にも相当応えたと思います。

母親だけでなく父親である私も一緒に保育園に出向いたことで、妻が楽になった部分もあるし、先方も真摯に受け止めてくれて、聞く耳を持ってくれたように思います。

──父親である財津さんの協力が、状況を打破するきっかけになったのですね。

(2ヶ月に1度開催している「MAZEKOZEセミナー」の様子。セミナーやシンポジウムで扱うテーマは、障がい者支援や触法など多岐に渡る)

「父親の役割」で、障がいのある子どもたちにより良い未来を

(福岡おやじたい理事長の吉田さんと幼少期の陸人さん。自閉症で最重度の知的障がいを持って生まれた陸人さんはてんかん発作の持病があり、生活には全面的な介護が必要。吉田さんはそんな中で、子どもの未来を変えるために立ち上がった)

財津:
「福岡おやじたい」の活動も同様に、「父親としてできること」をテーマに活動しています。
企業や行政に対して「もっとこうしたらどうか」「こういうふうにしたいけれど、どうすれば良いか」と、一市民の父親として働きかけていくことができる。また、活動で得た人脈を次へとつなげ、社会へのインパクトを生み出していくことができます。

地道な活動ではありますが、活動拠点である福岡では、市議の方と密に連絡を取りながら提言したり、2ヶ月に1度、開催するセミナーにも業界に詳しい市議の方をお呼びしたりしています。
弁護士の方たちと触法障がい者(※1)の支援にも取り組んでいます。

※1触法障がい者…精神障がいなどが理由で善悪の判断がつかず、犯罪を犯し責任を問われる障がい者

──制度や法律の部分でも状況を改善していくことは不可欠ですね。
父親たちだけで活動されている良さや特徴は、どんなところに感じられますか?

財津:
メンバー各自の人脈の広さは一つ大きいですね。あとは、会議などの場では、論理的に話し合うのでスパッと結論が出ることでしょうか。

後は、とにかく皆、飲みが大、大好きなこと(笑)。
妻たちから「早く帰ってこい!」とお叱りを受けつつ、メンバーやセミナーの講師の先生とよく飲んでいます(笑)。

女性ならではの気配りや細やかさはないので、そこはたまにキズかな…(笑)。

(福岡おやじたいメンバーの山根伸仁さん・佑太くん親子。佑太くんには、自閉症(知的遅れを伴う広汎性発達障がい)があり、発語が少なくコミュニケーションが難しい。多動で突然飛び出したり、大声を出したりといった症状がある)

障がいがあったからこそ、目を開かせてもらった。
娘から、学んだこと

財津:
娘の成長を見ながら、私自身も父親として成長させてもらったと思っています。

環が生まれて1ヶ月後、正式にダウン症と診断されました。専門知識も全くなく、すんなりとは受け入れられませんでした。
それは妻も同じだったと思います。けれどすぐに気持ちを切り替えて、先輩ママの話を聞いたり情報集めに奔走する妻を見て、私自身も発奮させられた部分があります。

以前の仕事を辞め、娘との時間を作るようになってから、自分の意識もどんどん変わっていったんです。

娘が生まれるまでは、ビジネスマンとして、それこそ効率重視で、効率のわるいことはバッサリ切リ捨てるような世界でがむしゃらに働いていたんです。効率だけを重視した時、「人間性」は必要なくて、そこには人間関係も、信頼も生まれません。

娘の成長を見ながら、「それは違うんじゃないか」と思うようになったし、人への接し方も、学ぶことがたくさんありました。娘が障がいを持って生まれてきたからこそ、目を開かせてもらった部分があります。

(福岡おやじたいメンバーの日高大輔さん・歩望くん親子。10歳になる歩望くんは未熟児で生まれ、水頭症と診断されたが手術で完治。手足に麻痺があり、食事や排泄には介助が必要。自力での歩行は困難だが、3年ほど前に両足を手術してリハビリ中)

──効率だけを見るような社会は、たとえもし自分がそこに辛うじていたとしても、いつそこから脱落するか、排除されるかわからないですよね。そんな社会は、やはり不安です。

財津:
人間は一人ひとり、それぞれ個性があって、それぞれに得意不得意がある。いろんな人がいるからこそ関係が生まれ、信頼が生まれ、その集まりでしかできないことが生まれてくると思うんです。
いろんな歯車が絡み合って、社会が成り立っている。多様な人がいるからこそ、一人一人が個性を生かし、互いを尊重しながら、自分らしく生きていくことができるんだということを、娘から教えられました。

(福岡おやじたいメンバーの太田信介さん・宏介さん兄弟。知的障がいを伴う自閉症の宏介さんは画家として活躍中。2017年の「24時間テレビ」では、巨大ペットボトルキャップアートの原画を担当し、番組にも出演した)

さりげなく、娘に手を差し伸べてくれた同級生。保育園でふと見た光景

(『笑顔と絆のスクラム Part4』では、ダウン症の書家・金澤翔子さんが書を披露した。力強いメッセージが込められている)

財津:
昨年、相模原の障がい者施設で起きた殺傷事件は、本当に痛ましい出来事でした。
障がい者が社会の一員として受け入れられていないから、あのような事件が起きたのではないかと思うんです。

私は娘を社会の一員としてみてほしいと思っているので、保育園もごくごく普通の保育園を選びました。障がいを理由にたくさん断られましたが、結果的にすごく素敵な保育園に巡り合うことができました。

妻も仕事をしているので、娘の送り迎えは朝は私が、夕方は妻が担当しているのですが、この間すごく嬉しいことがあったんです。

保育園に着いて、娘がジャンバーを脱いで壁に掛けたかったんですが、どうしても上手にできないんです。
そしたら、一緒の時間にやってきた男の子が、さりげなく本当に自然に、娘のジャンパーをとって掛けてくれたんです。「手伝ってあげるよ」もなく、本当に自然に、そっと手を差し伸べてくれたんですね。
彼にとってはきっと何気ないことなんだけれど、だからこそ私はすごく嬉しかったし、こんなシーンが、もっともっと社会に増えていってほしいと思っています。

──子どもができるのだから、大人にもできないはずがない。それくらいシンプルなことですが、大人はいろいろと捉われてしまい逆に動けない、というところがありますね…。

財津:
障がいのある人も、ない人も、「隔離」ではなく「共有」することで、やさしい社会が創られていくのではないでしょうか。一緒にいる中で、自然と支え合う関係が生まれたら理想だし、そのためには、互いを知るために一緒にいる空間をもっともっと増やしていくことが大切だと思っています。

(4月2日の「世界自閉症啓発デー」に向けたイベント告知のため、九州朝日放送「アサデス。KBC」に30秒PR出演したときの1ショット)

チャリティーで、障がい啓発活動のための資金を集めます!

(1/25付の西日本新聞朝刊にて「福岡おやじたい」の活動記事が掲載された。「知的障がいのある子を持つ男親の強みも弱みもかみしめて、おやじたちの手探りが続く」との文末(画像をクリックすると拡大してご覧いただけます))

──今回のチャリティーの使途を教えてください。

財津:
障がいに関するセミナーやイベントのための費用・20万円を集めたいと思っています。セミナーやイベントはおやじたいのメンバーで運営していますが、講師の方を呼んだり、広く一般の方に参加してもらえるよう広報をしていくにあたり、資金が必要です。

セミナー活動を通じて、一人でも多くの方に障がいのことや、障がい者の抱える課題について理解してもらうのと同時に、活動の輪を広げていきたいと思っていますし、私たち父親ががんばる姿を見て、世の中のお父さん方の意識を変えていきたいという思いもあります。

メンバーはそれぞれ、仕事を抱えながらも、共生社会を目指し、社会をより良い場所に変えていくために、本気でこの活動に力を注いでいます。
ぜひ、私たちと同じTシャツを着て、活動を応援いただければ幸いです!

──お父さんの視点からのユニークなご活動の貴重なお話、ありがとうございました!

(『笑顔と絆のスクラム Part4』終了後、メンバー&ボランティアスタッフの皆さんとで、今回のコラボデザインTシャツを着て記念撮影!「福岡おやじたいはこれからも、『共生社会』を目指し、走り続けます!今後とも、皆様のご声援によるご支援を、どうぞ よろしくお願いいたします」)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

「福岡おやじたい」のメンバーの皆さんには、会社さながら、それぞれ役職があるのだそうです。そして、メンバーの集いも皆ビジネスマナーをしっかり守って参加されているのだとか。緊張感を保ちながら、子どもたちの未来のために、本業の合間をぬって活動するメンバーの皆さん。内容こそ異なれど、仕事も、おやじたいとしてのご活動も「家族のために、よりよい未来を創るために」という父親としての使命感は同じなのだな、と感じ、「なんてかっこいい父親像なんだろう!」と思いました。

「かっこいいお父さんだな」と思われた方!ぜひ今回のチャリティーにご協力ください。

一般社団法人福岡おやじたい ホームページはこちら

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クロスした2本のハンマーは、
家族であり仲間でもある親子の関係を表しています。
…と同時に、この2本のハンマー、
実は漢字の「父」の形をオマージュしたもの。

“We are buddies”、「最高の仲間」として、
子どもの将来のため、道を切り拓く父親と、
父親に勇気をくれる子どもを表し
「福岡おやじたい」の活動を表現しました。

子どもを愛するすべてのお父さんはもちろん、
女性の方も着やすい、カジュアルなデザインです。

Design by DLOP

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