CHARITY FOR

カンボジアの子どもたちへ、学校建設を通じ「ヒーロー」の姿を届ける〜NPO法人HERO

1970年から23年間、東南アジアのカンボジアで続いた内戦。
1976年から4年続いたポル・ポト政権の時代、虐殺と飢餓による死者は、70万人から300万人ともいわれています。教師や医師、国の再興を助けたいと海外で学んだ学生たち、政府に抵抗した人、ただ歌やダンスを踊っただけの人…多くの人たちが虐殺されました。

(出典:CIA THE WORLD FACTBOOK)

こちらは、2016年のカンボジア人口の年齢分布。縦軸が年齢、横軸が人口の数(千人)を表しており、左側が男性、右側が女性の年齢別の人口分布です。34歳までの人口と比べると、それ以上の年齢の人口が圧倒的に少ないことがわかります。
これはつまり、1980年以前に生まれた人たちの多くが、虐殺(や国外逃亡)の影響を受けていることを意味しています。

1993年に内戦は終わりを迎え、現在は平和を取り戻しているカンボジア。しかし、内戦の爪痕は未だ残っています。

この内戦により命を失った日本人もいます。映画『地雷を踏んだらサヨウナラ』で知られる戦場カメラマン・一ノ瀬泰造さん。内戦下で写真を撮り続け、当時の政権クメール・ルージュ支配下にあったアンコールワットに単独潜入した後、26歳の若さで消息を絶ちました(その後、処刑を目撃したという住民の証言あり)。

「一ノ瀬泰造さんが、命をかけてまで見たかったアンコールワットを見てみたい」。
内戦の混乱が冷めやらぬ1997年、二十歳の若者が一人カンボジアに降り立ちました。今週、JAMMINがコラボするNPO法人HERO代表の橋本博司(はしもと・ひろし)さん(39歳)です。

帰国後、橋本さんは社会人を経てNPO法人を立ち上げ、これまでに16の学校建設に携わってきました。現在は日本企業や学生も巻き込みながら、学校建設だけでなく、スタディツアーやビジネスインターンシップなど様々な事業を展開しています。

活動について、詳しいお話をお伺いしました。

(お話をお伺いしたHERO代表理事の橋本さん。写真は、カンボジアでの実績が認められ、カンボジア王室から感謝状を授与された時のもの。)

今週のチャリティー

NPO法人HERO

経済的・社会的な理由により学校に通えない子どもたちのために、世界各国に無料で通える公立の学校を作り、学ぶ機会を子どもたちに提供するNPO法人。2017年11月現在、カンボジアに16か所の学校を建設し5,000人以上の子どもたちが学校に通っている。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

何もない状況でも夢を語る子どもに衝撃を受けた
初カンボジアでの体験が、活動の原点

──本日はよろしくお願いします。カンボジアで主に学校建設の活動をされていますが、どういった経緯でこの世界に携わるようになったのでしょうか。

橋本:
二十歳のとき、バックパッカーとしてカンボジアを初めて訪れました。戦場カメラマンの一ノ瀬泰造さんが好きで、彼が命をかけてまで見たかったアンコールワットを見てみたいと思ったのがそのきっかけでした。

(1999年初めてのカンボジア滞在。泊まっている宿の部屋に仲良くなった子どもが遊びに来た時の写真。)

橋本:
アンコールワットは今でこそ人気の観光地ですが、当時は渡航するのも危ないような場所。周りもバックパッカーばかりでした。

旅行中、現地の子どもたちが寄ってきて「勉強を教えてくれないか?」というんです。話を聞くと、「内戦で先生が殺されてしまった。通う学校もないし、勉強できる場所がない」と。そこで、10歳くらいの子どもを10人ほど集めて、青空教室で算数や英語を教えたんです。

そうすると、子どもたちが夢を語り始めたんですね。「お医者さんになりたい」「先生になりたい」と、それぞれの夢を、嬉しそうに語るんです。
現実として、彼らは学校へ通っていなくて、読み書き計算ができない。そのままではなれないんですね、彼らの描いている人物には。

当時、学校へ通い、教育を受け、恵まれた環境で育ってきたにもかかわらず、僕自身には夢もやりたいこともなかった。読み書きができないのに、それでも明るく夢を語る彼らの姿を見たとき、逆にショックを受けたんです。自分は何がしたいんだろうか。何ができるんだろうか。悩んで悩んで悩み抜いて、帰りの飛行機の中、持っていた手帳に「40歳までにカンボジアに学校を作る」と書き込んだんですね。それが、活動のすべてのスタートです。

(当時お世話になったバイクタクシーの運転手の家に招かれて家族ぐるみのつき合いに。)

長く続いた内戦により、貧困が課題。
農村部の人たちは未だガスや水道のない生活を送っている

──そうだったんですね。そうるすと、今39歳でいらっしゃるので、夢は実現しましたね。それどころが、16校も建設されていてすごいですね!

橋本:
それでも、決意した20歳から13年経ってますからね(笑)。
大学卒業後、就職して人事の仕事に携わったり、飲食店を立ち上げたり、1年間世界1周旅行をしたりもしました。でも、すべてはやっぱり「将来カンボジアに学校を作る」という目的につながっていました。33歳で団体を立ち上げ、現在に至ります。

(1校目の学校の完成式にて。最初の学校は屋根がトタンだった。)

──話をカンボジアに戻しますが、長く続いた内戦は国民にどんな影響を及ぼしていますか?

橋本:
まず何よりも、貧困が大きな課題です。アジア諸国の中でもカンボジアは最貧国で、貧富の差も激しいです。

都市部でこそ幹線道路や交通の便は整備されてきていますが、地方へ行くとまだまだ整備されておらず、国民の7割は1次産業(農業や林業、水産業など自然に働きかけて営む産業)に従事しています。
電気や水道、ガスなどの公共の事業も整備されておらず、都会から1時間車で離れるだけで、人々は井戸や川、雨水などを生活用水にしているような状況です。貧困家庭であれば、それこそバナナの葉で作った藁の家に住んでいますね。

(村では1日1ドル以下で暮らす最貧困の人たちもいる。)

──カンボジアといえばアンコールワットのイメージが強いですよね。
バックパックでタイへ行った時にアンコールワットまで足を伸ばそうかと思ったことがあって、特に宿に困るような様子もなかったし、そんな話も聞いた事がなかったので…農村部がそんな状況だとは知りませんでした。

橋本:
首都のプノンペンやアンコールワット近辺は断然整備されていますね。高度経済成長の中にあるので、プノンペンではビルもどんどん建設され、活気があります。
一方で、仕事や観光で訪れないような農村部は、そもそもそこへアクセスする方法もなければ、水道やガスのない生活に、行くと衝撃を受ける日本人も多いです。

(学校の教室が足りなく村人でお金を集めて作った校舎。壁はバナナの葉っぱ。)

──食事はどうですか?

橋本:
農村部であれば、農家を営んでいることがほとんどなので、お米は3食食べられます。お米に加えてもう一品、炒め物やスープなどの付け合わせと一緒に食べている家庭が多いですね。

10〜15%の子どもたちが、様々な事情により学校に通えていない現実

──都市部がめまぐるしく成長する一方で、地方の農村部はまだまだ整備されていない。そんな中で教育の課題はどのような点ですか?

橋本:
子どもたちはたくさんいるのに、学校の数がそもそも足りていません。もしくは、学校があっても教室が足りないか、倒壊の恐れがあるような老朽化した校舎があることも課題です。

(9箇所めの学校。屋根が瓦になり作りもカンボジアの建設基準の通りに。)

──国としてこの辺の課題に対応しないのでしょうか?

橋本:
予算としては持っていますが、都市部に集中投資しているのが現状です。地方の子どもたちは学習する機会から取り残されてしまっています。私たちの調査によると、ある地域では10〜15%の子どもたちが学校に通えていません。

──なぜ、学校に通えていないのでしょうか?

橋本:
先ほど言ったように学校が足りていない、学校がないということもありますが、貧困家庭の場合、子どもたちは学校へ行って勉強する以前に、生きて行くために日々の食糧を調達したり、親の仕事を手伝っているという現状があります。他にも、出稼ぎで隣国のタイやベトナムに行く親についていくために途中でやめてしまうようなケースもあります。いずれにせよ、多くは「貧困」が根っこにあると考えます。

(学校で学ぶ子どもたちの、真剣な後ろ姿。)

学校建設にあたって重要視しているのは「校長先生の考え方」

──これまで16校を建設してこられました。学校建設にあたり、何か重視しているポイントはありますか?

橋本:
学校を建てても、建てて終わりでその後活用されなければ、意味がありません。僕たちがカンボジアで学校を建てるときに重視しているのは、その村の村長さんや校長先生の考え方です。

──なぜですか?

橋本:
村長さんによっては「勉強なんてしなくても、出稼ぎに行ってお金を稼いでくる方が先」と考えていることもあります。

学校を建設した後、運営は基本的に現地の方たちに任せています。
ドロップアウトしてしまう子どもの問題を解決できるのは、その学校の指揮をとる校長先生だと思っていて、特に校長先生の人柄や考え方がポイントになってくるからです。
「子どもたちにしっかり教育を受けさせる」という強い意志があり、何か困難があった際にもリーダーシップを発揮できる人かどうかで、学校のあり方は大きく変わってきます。

──なるほど、確かにそうですね。

橋本:
ゆくゆくは、現地の校長先生向けのリーダーシップを養成する講座もやりたいと思っています。

(スタディーツアー参加の日本の大学生と建設を一緒にしている大工。言葉は通じなくてもすぐに打ち解ける。)

活動を通じ、子どもたちの心に火をつける「ヒーロー」を

──ド直球な質問になりますが、現地で教育支援の活動に携わり、子どもたちを見てきた橋本さんにとって「教育」とは何でしょうか?

橋本:
教育の内容には、そんなに興味はないんです(笑)。知識やノウハウは、専門家が教えた方がいいと思いますし。

ただ、教育が何かとその定義を問われると、「心に火をつける」ことだと思います。僕たちを目にした子どもたちが「こんなふうになりたいな」「日本に行きたいな」「楽しそうだな」と、憧れたり、思いを馳せるヒーローのような存在になって、その子の心に火を点つけることができたら。

ヒーローの定義は、「誰かに可能性を与える人」。いずれ、関わった村からヒーローを出したいと思っています。

(現地の子どもたちは、とにかく元気で無邪気。学校作りは村の子どもたちも巻き込んで行う。自分たちが通う学校を自分たちの手で作ってもらいたい。)

(完成した学校では毎年運動会を行う。日本の大学生や大人たちも全力で楽しむ瞬間。)

──ヒーローの存在によって灯った火が受け継がれ、ポジティブなエネルギーが次々と連鎖していくといいですね!

チャリティーは、カンボジアの子どもたちに絵本を届けるための資金になります!

──最後に、今回のチャリティーの使途を教えてください。

橋本:
僕たちは、学校のほかに「Dream Library(ドリーム・ライブラリー)」というプロジェクト名で図書館の建設もしています。来年の夏までに、新たに2館の建設を予定しており、ここに置く絵本の資金を集めたいと思っています。

(村には本がないので、図書館を作ると子どもたちが殺到し本棚の前から動かなくなる。)

──学校だけでなく図書館も建設されているのはなぜですか?

橋本:
僕自身もそうだったのですが、たくさんのすばらしい本と出会って人生が変わりました。本には、その人の可能性を広げてくれる力があります。しかし、カンボジアの村には図書館はもちろん、絵本がありません。子どもたちの好奇心を刺激し、どんどん世界を広げていってほしい。そんな思いで図書館を作っています。
絵本の価格はまちまちですが、1冊あたり平均して日本円で350円ほどです。今回のチャリティーで、2館に置く絵本・400冊分の資金、14万円を集めたいと思います!

──絵本も「子どもたちの心に火をつける」、もしかしたら絵本の中の主人公や登場人物が、子どもたちのヒーローになるかもしれませんね!
貴重なお話、ありがとうございました!

(写真右端が橋本さん、一人はさんでHEROメンバーの澤さんと子どもたちと記念撮影!子どもたちの笑顔を見ると大変なことも全てが吹っ飛んでしまうという。)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

「ポル・ポト」「内戦」「アンコールワット」…。カンボジアにまつわる単語を点で知ってはいましたが、橋本さんにお話を聞くまで、その歴史、背景を線でつないで深く考えてみたことがありませんでした。

悲しい歴史を抱えながら、それでも夢へ向かって前進しようとする子どもたち。彼ら一人ひとりが、同じように等しく夢を見て、それを叶えていく力をつけていくために。今回の「ドリーム・ライブラリー」プロジェクトを応援するチャリティーにぜひご協力ください!

NPO法人HERO ホームページはこちら

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絵本の中から、ヒーローに扮したオオカミ(JAMMINのキャラクター「フラウト」です!)が飛び出しています!

今回、チャリティーを集めるHEROの「ドリームライブラリープロジェクト」。
絵本を読んだ子どもたちが、その中のヒーローに憧れ、明るい未来を描いていく。
そんな可能性を表現しました。

“Create your own story”は、「あなただけの物語を作って!」という応援のメッセージです。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

チャリティー入金報告

【THANKS】NPO法人HEROより、御礼とメッセージをいただきました!- 2018/3/30

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「未来をつくるプロデューサー」パシフィックコンサルタンツ株式会社。
60年の歴史と1,600人を超えるプロフェッショナルが、地域や社会の未来に貢献しています。
会社ホームページはこちら: www.pacific.co.jp

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