CHARITY FOR

行き場を失い、ホームレスとなった人たちが社会とつながり、再チャレンジできる世の中を目指して〜NPO法人ビッグイシュー基金

東京や大阪の都市部に住んでいる方なら、街角で「THE BIG ISSUE」と書かれた雑誌を売る人の姿を、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

今週、私たち JAMMINがコラボするのは、「NPO法人ビッグイシュー基金」。

雑誌『ビッグイシュー日本版』を編集・発行する「有限会社ビッグイシュー日本」を母体に、2007年に設立され、ホームレスの人たちの就職やアパート入居など、自立に向けた総合的なサポートを行っている認定NPO法人です。

今回は、大阪・堂島にある事務所にお邪魔し、「ビッグイシュー基金」のプログラム・コーディネーターである川上翔さんに、ご活動のお話をお伺いしてきました!また実際に雑誌『ビッグイシュー日本版』を販売する方に、インタビューもさせていただきました!

▲「ビッグイシュー基金」の川上さん。

今週のチャリティー

NPO法人ビッグイシュー基金

「誰にでも居場所と出番のある包摂社会」の形成を目指して、①ホームレスの人たちが社会とのつながりを回復できる生活自立応援や、生きる喜びを感じられるスポーツ・文化活動の応援、②ホームレス問題の解決や予防についての政策提言やネットワークづくり、③市民とともに社会を変える市民参加、の3つの応援事業を行う非営利団体。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

雑誌『ビッグイシュー日本版』とは

まず、インタビューを始める前に、ホームレスの人が販売する雑誌『ビッグイシュー日本版』について。

「有限会社ビッグイシュー日本」が、毎月2回(1日&15日)発行している定価350円のこの雑誌は、ホームレスの人が仕入れ、路上で販売しています。売上のうち180円が彼らの収入になります。

販売を希望する方には、最初の10冊は無料で提供し、その売上である3,500円を元手に、以降は販売者が1冊あたり170円で仕入れ、売上を手にすることができるという仕組みです。

「定められた場所で販売する」、「販売IDカードを掲示する」などの最低限のルールはありますが、住所や本人確認できるものなどは一切必要なく、ホームレス状態であれば誰でも販売することができます。

「ビッグイシュー」は1991年にロンドンで生まれました。現在、ホームレスの人が路上で販売し、販売価格の半分以上が売った本人の収入となる仕組みの雑誌が、世界35カ国、110誌に広がっています(2017年2月現在)。日本では2003年の9月に創刊。販売を通じてホームレスの人に仕事を提供し、自立の応援をしています。

▲『ビッグイシュー日本版』は、2003年の創刊以来、これまでに315号を発行(2017年7月15日現在)。海外のセレブリティーや著名人が表紙を飾ることも。

「身近な絆」の喪失が、ホームレスになるきっかけのひとつ

──今日はお忙しいところありがとうございます。
早速ですが、ホームレスの人たちに対して「自己責任だ」という声もあるのではないかと思うんです。ホームレスになる「きっかけ」って、どんなことなのでしょうか。

川上:
これまでたくさんのホームレスの人たちと接してきましたが、性格はもちろんですが、ホームレスになった背景も皆それぞれです。
リストラや派遣切りに遭った人や、親の介護のために離職し、そのまま再就職できなかった人、ギャンブル依存症の人、自分の会社が倒産した人…。

「家族との折り合いが悪かった」、「仕事が見つからなかった」など、少しずつ不運が重なり、階段を降りていくようにして、ある日ホームレスになってしまうんです。

──そうなる前に、どこかで防ぐことは難しかったんでしょうか?

川上:
ホームレス状態になるということは、失業とか、住む家がなくなってしまったという「物理的な要因」がもちろんあります。でも、それと同じくらい大きいのは、家族や友人など「身近な絆」が無くなってしまったということ。

「ホームレスはホープレス(hopeless…希望がないこと)だ」という言葉があります。ホームレスになる人は、ひとりぼっちになってホームレスになるのではないかと考えています。

「自己責任だ」という指摘については、ホームレスの人が、自分で一番それを感じていると思います。

「こうなるまでに踏みとどまれなかった自分が悪い」と思い詰め、周囲に助けを求めようとしない。
本来ならば生活保護を受けることができたり、家族を頼れる人もいます。にもかかわらず適切な支援の存在を知らなかったり「自分には助けてもらう価値がない」と考えたりする人も多く、路上生活から抜け出せない一つの要因でもあります。

▲炊き出しの現場を訪問し、情報提供を行っている様子。

当事者で決断し、失敗も含め「自立のステップ」に

──難しいですね…。そんな中でどのような支援をしているのですか?

川上:
「セルフヘルプ」という言葉があります。要は「自分で自分のことを助ける」。

ただお金やモノを渡すだけではなく、一緒に問題解決のための方法を考え、本人には失敗も含めて様々なことを受け入れながら自立してほしい。そのための機会を提供することが、私たちの役割です。

仕事を探す時、履歴書には住所が必要ですが、ホームレスの人には記入できる住所がありません。

仕事に就けても、基本的に給料が支払われるのは翌月ですよね。そうすると、給料が入ってくるまでの間は、生活が厳しくなってしまう。

ホームレスの人は、働きたくても、働くことへのハードルが高いんです。

──確かに、そうですね…。

川上:
「がんばろう」と思ったときに、助けてくれる支援がなかなか無いのが現実。

『ビッグイシュー日本版』の販売は、そういった時の選択肢です。ただ、雑誌販売はあくまで自立の方法の一つであって、条件が合って何か支援が受けられたり、他に本人にマッチした仕事があるような場合はそちらを紹介しています。

▲事務所での相談風景。

──すべて自分で決められる、ということですね。

川上:
そうです。
その他にも、「お金が貯まったからアパートに入りたい」、「病院に行きたいけれどどうしたらいいか」といった、生活する上での困りごとや悩みに対して、当事者と一緒に考えながら、解決に向けてサポートをしています。

重要なことは、個人がそれぞれ自分で決断していくこと。
それが、自立への第一歩だからです。

途切れてしまった社会との新たなつながりを育む場所に

──ほかにも、ホームレスの人たちとサークルのようなご活動もされていますね。

川上:
ホームレス状態の人の中には、身近な絆やつながりを失い、「人生に希望が無い」と感じている人も多いです。

スポーツやイベントを通じて、人間関係を築いたり、社会の中に居場所を見出したりしながら、もう一度途切れてしまった社会とのつながりを築いて欲しい。そして「人生が楽しい」と思ってもらえる機会を提供したいと思い、サッカーやダンスなどの当事者によるクラブ活動を積極的に応援しています。

▲ホームレスサッカーチーム「野武士ジャパン」の試合風景。

▲路上生活者・路上生活経験者によるダンスチーム「新人Hソケリッサ!」。

実際に、販売者さんにお話をお伺いしました!

私たちが川上さんに取材をしている間、事務所入り口のスペースからは、ずっと楽しそうな話し声が。事務所を訪れた販売者さんたちが、談笑しているようです。

…せっかくなので、お話を聞かせていただきました!

こちらは、岩村さん。販売を始めてかれこれ7、8年なのだとか。
朝の五時半(!)から路上に立ち、長い時は14、5時間、販売していると言います。

▲取材にご協力いただいた販売者の岩村さん。穏やかな笑顔と、朗らかな雰囲気が印象的です。

──販売していて、嬉しいのはどんな時ですか?

岩村さん:
お客さんが買いに来てくれたときですかね。売れない時は、5時間ずっと立っていても売れないから…。
あとは、自分で売ったお金がすぐに手元に入ってくるのも嬉しいというか、ありがたいですね。

顔見知りのお客さんが増えて、話をするのも楽しみの一つです。

▲もう一人、取材にご協力いただいたSさん。もともとは日雇いの仕事をしていたのだそう。人間関係に疲れ、ビッグイシューの仕事に辿りついたと言います。

もう一人、販売を始めて3週間というSさんも取材に協力してくださいました。
販売は、日々試行錯誤なのだそう。

Sさん:
初めて売り場に立ったときは、自分が見世物になっているようで…それ自体がショッキングな出来事でした。

一冊目が売れたとき、ほっとしたし、すごく嬉しかった。

たくさん売るためには、雑誌の持ち方、立ち方、ポスターの見せ方…、「売り方のスタイル」を持つことが大事だと思うので、はやく自分のスタイルを確立させたいです。しゃべりがちょっと苦手だから…もっとトークが上手くなりたい。それで、今日は先輩の話を聞きに…。

──岩村さん、ちょうどいいじゃないですか!何かアドバイスを…!

岩村さん:
う〜ん(笑)

▲事務所入り口のスペースは、ほかにも数人の販売者さんが。和気あいあいとした雰囲気でした!

他にも何人かの販売者さんがいて、お昼を食べたり作業に熱中したりと自由に過ごされていました。事務所は販売者さんが雑誌を仕入れる場であるほかに、皆さんの憩いの場でもあり、スタッフの方が、訪れたホームレスの人たちの生活相談に乗ったり、衣類などを提供する場でもあるそうです。

「ホームレス」は「人格」でなく「状態」。一人のチャレンジを応援できる社会に

──「目指す未来」を教えてください。

川上:
「ホームレスの人を助けたいけれど、どうしたらいい?」と尋ねられることがあります。そんな時に僕がお伝えしているのは、ホームレスの人たちと「一人の人間」として接してください、ということ。
「ホームレスだから」と特別に扱うのではなく、同じ一人の人間として、その人と出会うことから始めて欲しいと思っています。

「対等に見られていない」という事実は、ホームレス状態にある人の自尊心を傷つけます。

「ホームレス」と定義されたとき、人格まで決めつけられてしまうような風潮が、まだまだあると思うんです。でも「ホームレス」という言葉は、「家がない」という状態を表すもので、人格を表すものではありません。

──たしかに…。本当にそうですね。

川上:
チャンスはみんな同じようにあるし、一度失敗してもまたチャレンジできる、それをみんなで応援できるような社会になったらいいなと思いますね。

ホームレスの問題は「貧困問題」というだけでなく、人々の意識のなかにある「排除の問題」でもあると感じます。

社会の中で最も難しい問題の一つだと思うんですが、だからこそ、もしそれを僕たちの力で解決できたら、他の社会問題も解決できるのではないかと思います。

いつかは、僕たちの活動自体がなくなること、ホームレス状態の人がいなくなることが目指す未来ですね。

▲毎年12月に行われている「大阪ホームレスクリスマスパーティ」の様子。昨年はホームレス当事者・市民あわせて約200人が参加。(Photo:中西真誠)

チャリティーは「路上脱出ガイド」配布費用になります!

──今回のコラボで集めるチャリティーの使途を教えてください。

「ビッグイシュー基金」では、ホームレス状態の人や生活にお困りの方に「路上脱出ガイド」という冊子を作成し、配っています。今回のチャリティーは、この冊子配布のための費用の一部として使わせていただきます。

──「路上脱出ガイド」とは?

川上:
ホームレス状態に陥ると、情報からシャットダウンされてしまいます。

「どこに行けばどういった支援を受けられる」とか、「病気になったときはどうしたらいいか」、また「路上から抜け出したいときにどんな支援があるか、どこへ相談に行けばいいか」といった情報をまとめた冊子を地域別に作成し、配布しています。

▲「路上脱出ガイド−東京23区編−」の表紙(左)と、「路上脱出ガイド−大阪編−」の目次。炊き出しや医療相談所など路上生活に必要な情報のほか、路上から抜け出したい人のために就労相談所や福祉センターも一覧で掲載されている。

▲「路上脱出ガイド」には、炊き出しの曜日や時間が詳細に書かれている。ギリギリの生活の中で、誤った情報によって追い詰められてしまうことがないように、と川上さんは話す。

川上:
駅や公園、炊き出しなどを定期的に訪れ、1回の訪問で、約50人の路上生活をしている人に、このガイドや情報を提供しています。

1回あたりの訪問には、交通費やガイドに添えてお渡しする飲み物など含めて約3,500円かかります。
今回のチャリティーで、約2,000人のホームレスの人に情報を提供するため、15万円を集めたいと思います。

──ありがとうございました。
ホームレスの人たちに再チャレンジのきっかけを提供する今回のチャリティー、ぜひぜひご協力ください!

▲「ビッグイシュー基金」大阪事務所のスタッフの皆さん。

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

「”ホームレス”は”状態”を表す言葉であって、その人の”人格”を表す言葉ではない」という川上さんの言葉が、胸にグサリと突き刺さりました。

ホームレスの人を見たとき、果たして「ホームレスである」ということ以上の理解をしようとしたことがあっただろうか?その人の生活や背景を想像してみたことがあっただろうか──。そんなことを考えさせられる取材でした。

そして!販売者のお二方をご紹介しましたが、もう一人、実際に販売の現場も取材させていただきました!
プロ意識を感じる販売現場を、ぜひご覧ください↓
【INTERVIEW】街角で『ビッグイシュー日本版』販売者さんにインタビューさせていただきました!

NPO法人ビッグイシュー基金 ホームページはこちら

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積み重なった本が階段になって道筋を作り上げ、その先には輝くドアが。これまでの人生の知恵や知識を生かして、新たなステージへと挑戦して欲しい、というビッグイシュー基金の思いを込めています。

“A hand up, not a hand out”. 「モノやおカネ(施し)ではなく、自立する機会(チャンス)を!」。
ホームレス問題の根本からの解決に向けて活動する「ビッグイシュー基金」の思いを表現した言葉です。

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