家族とは、「ある」ものではなく、手をかけて「育む」ものです。(日野原重明/医師)
あなたにはなんでも話せる大切な存在はいますか? 一緒にいてホッとしたり、なんでも素直に話せたり。多くは必要ありませんが、いると人生が豊かに過ごせるものです。
そして、そんな大切な存在が、人であるとは限りません。ペットと自宅で過ごすことでホッとできる、休みの日にはどこかへ一緒に出かける、そんな素敵な時間を送れるペットたちがいれば楽しく、豊かに過ごせますよね。
また、アニマルセラピー、という動物を一部として介在させることによって、患者の身体的、精神的、社会的機能の回復を目的とする医療行為があるほど、ペット達はたくさんの体験や感情を人に与えてくれます。
そんな、人の生活に密着するペットたちですが、飼い主の都合などによって、飼育放棄や殺処分という悲しい現実を迎えるペットが多いのも事実です。
今週のチャリティーは、NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが展開するピースワンコ・ジャパンプロジェクト(以下、ピースワンコ)。
2011年に犬・猫の殺処分頭数が全国ワーストだった広島県で全国的に注目が集まる“ある活動”を展開する、彼らの活躍に迫っていきます。
まずは、ペットの飼育が出来なくなる理由について見ていきたいと思います。
ペットを飼育出来なくなる理由でもっとも多いのは、意外かもしれませんが、飼い主の病気や死亡により、犬や猫に身寄りがなくなるケースが多い言われています。例えば、高齢者の方が寂しくて犬を飼うものの、自分が病気などになり、飼えなくなるというケースがこれに該当します。
犬の場合寿命は長いと15年に及びます。飼い主は、家族同然で付き合ってきたペットを自分で飼い切れないことを悔しく、無念に思うに違いありません。
飼育が出来なくなる以外にも、意図的に放棄されるケースもあります。
ある動物愛護センターに勤める獣医師さんへヒアリングしたところ、意図的に放棄が行われる場所は、ペットショップの前、動物病院の前に放置されるケース、公園でそのまま放置されてしまうケースなどがあるとのこと。
その他にも、「性格が攻撃的すぎる」と飼い主が申告しセンターに預けられることもあります。一旦、センターで預かってみると、実は飼い主のしつけ方が良くないだけで、犬そのものに問題がないケースも。この場合は飼い主に返還することになるそうです。
(この部分はかなりキツイ話なので、読みたくない方は飛ばしてください)
現在、日本全国で毎日のように犬・猫が殺処分されています。獣医師の方によると、繁殖期にはセンターへ多くの犬や猫が毎日のように入ってくるそうです。
しかし、センターでは管理できる能力に限界があります。何とかしてあげたい気持ちは山々ですが、無限にセンターで受け入れられる訳ではありません。
また、検査や観察をするため、すぐの返還や譲渡がすぐできる訳ではなく、引き渡すペースにも限界があります。この受け入れと譲渡のギャップや、犬や猫が重い病気などに罹っている場合、やむ無く犬や猫が殺処分されることになります。
このセンターの場合、犬の殺処分は精神安定剤を打ち、その後、多めに睡眠薬を投与。犬は眠るように死を迎えていきます。他の施設では、ガス室に入れ炭酸ガスで窒息させる方法で殺処分を行うこともあります。
取材させて頂いたセンターでは獣医師さんが殺処分を担当されているとのことですが、そもそも、獣医師さんは動物の命を助けるために、キャリアを選んだ方々です。
獣医師の皆さんも、殺処分をせざるを得ないという現実を受け入れ、日々悔しい思いをされています。実際、繁殖期などに、センターでの殺処分が立て続けにある場合、精神的にもかなりキツイとおっしゃっていました。
ピースワンコは、広島県・神石高原町で活動しています。人と犬が力を合わせて、社会を元気にする地域にしたいと活動。犬と愛犬家にとっての「楽園」であることを目指し、犬と愛犬家が楽しく過ごせるよう、活動を行っています。
犬が持っている癒しの力を始めとするポテンシャルを最大限引き出し、人と一緒に豊かに暮らしていけるよう、活動をされています。
(施設内にあるドッグラン)
(施設内にあるドッグホテル)
(セラピー犬の派遣活動も展開)
この施設建設にあたって、参考にしたのがドイツの「ティアハイム」であると、あるイベントでNPO法人ピースウィンズ・ジャパン代表の大西さんは語っています。
ティアハイムとはドイツにある保管期限が過ぎた、犬猫を預かるための民間の保護施設。そのドイツでは殺処分が起きない仕組みを行政と民間が一体となって活動しています。
犬猫の殺処分ゼロに向けて~ピースワンコ・ジャパンと GREEN DOG の取り組み(2) | dog actually – 犬を感じるブログメディア
そして、ピースワンコの活動の中で、最もチャレンジングな取り組みが殺処分ゼロに向けた取り組み。平成25年度には広島県内で殺処分された犬は1,682頭でしたが、ピースワンコではこれまでに369頭の犬を保護、うち168頭を元の飼い主に返還または新たな飼い主に譲渡しています。
ピースワンコの活動の原点は、紛争地や被災地で緊急支援を行うNPO法人ピースウィンズ・ジャパンにあります。彼らは、48時間以内に災害現場などの現地に入ることをモットーとして活動。現地では被害状況のモニタリングや物資配布などを展開しています。
現地で活動する中で、自分たちでも現場で救える命があるなら救いたい、との考えから災害救助犬のトレーニングを開始していました。
また、広島県は2011年度、犬・猫の年間殺処分数が全国ワーストであったということもあり、広島県の動物愛護センターに保護されていた4頭を譲り受け、災害救助犬としてのトレーニングを開始。ワースト1位からゼロへ。そんな大きなビジョンを抱えて今日も災害に備えたトレーニングを続けています。
ピースワンコのお膝元・広島ではちょうど1年前、2014年8月20日に大規模な土砂災害が発生し、74名の尊い命が犠牲となりました。現地では、仮設住宅で生活する方がいるなど、災害の爪痕がまだ色濃く残っています。
昨年の広島土砂災害の現場でも、ピースワンコの活動でトレーニングされた災害救助犬2頭が活躍していました。そのうちの1頭で、殺処分寸前で救われ災害救助犬となった「夢之丞」は1名の行方不明者を発見しました。ピースワンコの災害救助犬の2頭が懸命に人命救助にあたる姿は、新聞やテレビなどで多く報道され、話題になりました。
(現場で行方不明者を捜索する夢之丞)
さらに、ピースワンコの災害救助犬は、今年4月に発生したネパール地震の現場でもピースウィンズのチームとともに活躍をしていました。
ピースワンコは、土砂災害の影響から自宅から避難し、ペットが飼えなくなった人々のペットを一時的に預かる活動も実施。地域の中で大きな役割を果たしています。
ピースワンコが保護した犬をきちんと飼育するために必要な経費は、1頭あたり最低でも年間15万円。
預かっている期間中のエサ代だけでなく、健康でいられるために必要なワクチンの接種、新しい飼い主に出会うためのトレーニング費用など、多くの経費は寄付によって成り立っています。
今週のチャリティーは、ピースワンコが保護したペット達が再び人のパートナーとなるための飼育費や医療費として使われます。
※マッチングギフトは好評につき予算上限に達し、終了いたしました。以降のご購入は通常どおり1アイテムご購入ごとに700円をチャリティーいたします。
そして、今週のチャリティーはマッチングギフトの対象週。皆さんからの700円のチャリティーに加え、パシフィックコンサルタンツ株式会社がさらに700円を上乗せし、ピースワンコの活動をサポート。皆さんんの寄付をしたいという気持ちを後押しします。
【THIS WEEK】今週は寄付が2倍に!あなたの気持ちを後押し JAMMIN | Social Wear Brand
本当に残念で悔しい話ですが、殺処分というのは現実として起きていることの一つです。愛情を持って飼われていた犬や猫を助けるために、私たちに何ができるのか。そう考えてしまいます。私も将来は保護犬を引き取りたいと考えています。
その解決策の一つが、ビジョンを持って、アイデアあふれる活動を行うピースワンコを応援すること。今週のデザインは、殺処分寸前で保護され、今は災害救助犬として活躍する夢之丞がモチーフです。
そして、少しでも殺処分に関する現状を知ってほしい、とシェアいただくことで、この活動を知らない皆さんがこの問題を知るきっかけとなります。皆さんの想いを彼らに届けて、殺処分がない社会へほんの少しでも近づけて行きましょう!
TEXT BY KEIGO TAKAHSHI
法人名:特定非営利法人ピースウィンズ・ジャパン
活 動:広島県に事務所を構え、1996年の設立以来、イラクやスマトラ沖地震の被災地をはじめ、国内・国外で26の国や地域で支援活動を実施する非営利法人。
住 所:広島県神石郡神石高原町近田1161-2 2F
H P:http://peace-winds.org
GIFTED ¥304,800 CHARITY ピースワンコ・ジャパン(NPO法人ピースウィンズ・ジャパン、8/17〜8/23)