CHARITY FOR

親や家族がこころの病気や不調を抱えた子どもたちに、絵本や冊子を通じて「1人じゃないよ」を伝える〜NPO法人ぷるすあるは

「家の中のことは誰にも言えない…」。
こころの病気や不調、様々な事情を親が抱えていたら、その家族や子どもたちは孤立しやすい──。
実は身近な病気であるにもかかわらず、精神障がいへの社会の理解やサポートが足りない現状があります。

今週のチャリティー先は絵本や冊子を通じて、そんな家族や子どもたちをサポートするNPO法人・ぷるすあるは。

精神科医である北野陽子さんと、看護師である細尾ちあきさんは“プルスアルハ”というユニット名で絵本や冊子を制作し、これまでに7冊の絵本を出版してきました。

「伝えにくかったり、わかってもらいづらかったり。そんなテーマを、絵を通じて感じ、分かち合ってほしい」。

そんな思いで活動を続けるお二人にインタビューしました!

▲今回のコラボTシャツを着たプルスアルハのお二人。(ちあきさんが、特別に描き下ろしてくださいました!)

今週のチャリティー

NPO法人ぷるすあるは

精神障がいやこころの不調、発達障がいを抱えた親とその子どもを応援するために、本や冊子などを通じて情報を発信し、精神障がいや発達障がいの普及・啓発活動をしています。

TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO

「絵」を通じて、伝えられる思いがある

──まず、これまで出版した絵本についてお伺いしたいと思います。

「ぷるすあるは」というひらがな表記がNPO法人名ですよね。
カタカナ表記の“プルスアルハ”は、ちあきさんがお話と絵を、北野さんが解説を担当するというスタイルで、親や家族の「こころの病気」をテーマにした絵本を作られているとのことですが、具体的にはどんな内容の本なのでしょうか?

北野:
親が精神障がいやこころの不調を抱えている家族、そのなかで育つ子どもの目線で子どもたちが感じることを表現した絵本を作っています。
どの本も、前半は子どもの視点の物語、後半は解説というかたちで構成されています。

▲手前の4冊は「家族のこころの病気を子どもに伝える絵本」シリーズ。親のうつ病編、統合失調症、アルコール依存症がテーマ。奥の3冊は「子どもの気持ちを知る絵本」シリーズ。家族の病気から少しテーマを広げて、不登校、家庭内不和、発達障害をとりあげています(いずれもゆまに書房より)。

北野:
お父さんお母さんが精神障がいを抱えたとき、病状によっては、朝起きられなかったり、ご飯を作れなくなってしまったり、仕事に行けなくなったり、子どもにかかわる余裕が持てなかったり…さまざまな生活への影響がある場合があります。

子どもたちは、こんな状況を目の当たりにして「なにが起きているかわからない」とか「自分のことをキライになったのかもしれない」といった不安を抱いてしまうこともあります。

「病気だから現れてしまう症状なんだよ」、「君は悪くないんだよ」ということ、「君のこと、気にかけているよ」そんなメッセージを伝える絵本です。

──テーマとしては決して軽くないというか…むしろ重いテーマだと思うのですが、絵本は暗くならないですか?

ちあき:
そうですね。それは子どもが体験している世界なので、きちんと伝えたいという思いがあります。
物語の後半は、温かい色使いとともに、子どもを気にかける大人の関わりを描き、安心と希望もあわせて届けるようにしています。

絵だからこそ、伝えられることがあると感じています。

▲今年3月に開催した『子どものきもち絵本原画展』の展示風景より。作品は特に色彩と表情にこだわっています。

まずは大人たちが課題を知り、子どもに寄り添うことが大切

──絵本の読者はどういった方が多いですか?

北野:
精神障がいやこころの不調を抱えた方やそのご家族、こういった方たちをサポートする医療、保健、福祉、教育関係者の人たちが多いです。

──どんな声が聞かれますか?

北野:
「子どもの感じている事がより理解しやすくなった」という声や「子どもに説明しやすくなった」という声、「精神疾患のある親の元に育ち、自分の幼い頃に思っていたことを代弁してくれた」、「認めてもらえたような気持ちになった」という声をいただいています。

同時に「自分はこの絵本のような体験ではなかった」、「親にはイヤな気持ちしかなかった」、「子どもに病気について伝えるのは負担」、「子どもをケアするためにも家族へのサポートがもっと必要」といった声もあります。

病状や家庭の状況、子どもの年齢や個性、一人ひとり違いますから、いろいろな受け止め方のある絵本だと思います。

──当の子どもたちはどうですか?

北野:
現在進行形で悩んでいたりする子どもたち自身の声は、なかなか聴きとれていません。家庭内のことになると、子どもたちは周りに話さないことが多いです。

まずは、こういった子どもたちをサポートする大人たち、たとえば福祉関係者や教育関係者、医療機関の人たちに、子どもたちの存在を知ってもらう必要があると思っています。

プルスアルハの誕生と活動のきっかけ

──絵にのせてこういった情報を発信するようになったきっかけを教えてください

北野:
私もちあきも、ある地域の精神保健福祉センターというところで働いていました。
そこでの事業の中で、落ち着かない家庭で育ち、なかなか居場所を感じられない子どもたちに、伝えたいメッセージを紙芝居にして披露したのが最初です。

ちあき:
難しいお勉強ばっかりじゃなくて、もうちょっと楽しいことをしようよって。それで子どもたちに紙芝居を作ったら、結構ウケが良くて。
思春期の大人の話にそっぽを向くような年頃の子どもたちですけど、紙芝居の後「あそこが好きやった」とか「良かった」ってぽつぽつ感想をくれて。

「あ、絵の力ってすごい」と感じました。
この経験から「絵の持つ力」を信じ、絵を通じて子どもを応援したいと感じたことが、活動のきっかけです。

▲紙芝居は後にリュニーアルし、絵本『ボクの冒険のはじまり: ―家のケンカはかなしいけれど…』(プルスアルハ著・ゆまに書房・2015年)として出版しました。主人公リクが未来へと進んでいくストーリー。

小さいときに見えていた風景。「リトルちあき」にトリップして描かれる世界

──『ボクのことわすれちゃったの?−お父さんはアルコール依存症』(プルスアルハ著・ゆまに書房・2014年)を読ませていただきました。

ちあきさんの絵の独特の世界観––これは読者の方も絵本を手にとってもらえればよくわかると思うんですが––絵もストーリーも、ものすごく子どもの視点で描かれているというか、1シーン1シーンが、子どもの目線で切り取られていると感じたんです。

ちあきさん独特の感性だと思うのですが、普段どのように描かれているのですか?

ちあき:
描くときは「リトルちあき」にトリップして描いています。

子どものとき見ていた世界はどんな世界だっただろうかとチャンネルを切り替えるイメージですね。臨床の中出会うってきた子どもたちのことも、重ね合わせています。

──アーティスティックな世界ですね!

ちあき:
現場で働いていると、大人が思っている「子どもが困っているだろうこと」と「子どもが実際に困っていること」が違うというか、そこに溝のようなものがあることがあります。

大人は「心の闇」といったことに目を向けがちですが、実際に子どもに話を聞いてみたら「今日の晩ごはんをどうしよう」とか、目の前の日々の生活のことが気になっている、なんてことも。

「かわいそう」といったイメージではなく、子ども自身の力を尊重して、1人ひとりの困り事に対して、いっしょに作戦を立てて取り組んでいく姿勢が大切です。

リトルちあきが見ていた世界と繋がって絵を発信することで、「気にかけている大人がいるよ」というメッセージを伝えたいと思っています。

▲子ども虐待防止オレンジリボン運動「公式ポスターコンテスト2016」で最優秀賞を受賞したイラスト。涙にメッセージをこめました。

絵を通じて、子どもがこころの扉を開く「きっかけ」を作りたい

──ホームページやSNSでも、精力的に情報を発信してらっしゃいますよね。ご活動を通じて伝えたいことを教えてください。

北野:
親が病気をかかえた子どもたちの応援について、まずは大人の方に知ってほしいと思います。本や冊子であれば、自分の家族に買って帰ったり、病院の待ち合いや図書館に置いてもらったり。
そうして、その先にいる子どもたちが「ひとりじゃない」と感じてくれたらうれしいです。

ちあき:
「本になってるぐらいやから、自分の家だけ特別と違うんや」って思うだけでも、気持ちは楽になる。
「こんな病気や症状があるんやな」ということを知り、理解することで、子どもなりに工夫ができます。

何かつらいことや困ったことがあったときに、1人で抱え込むんじゃなくて「誰かに話してみよう」って、もしかしたら5年後や10年後になるかもしれないけれど、私たちの絵本や冊子が、そっと背中を後押しするきっかけになれたらと思います。

後は、何もなければ伝えにくくても、本や冊子があれば、病気の内容とか家族の病状とか、起きていることを共有しやすくなる。
大人と子どもの心を橋渡しするためのツールになってほしいと思っています。

そして、病気があっても、ご本人も子どもも含めたご家族も、家族全体を応援できたらと思います。

▲私たちが発信する本や冊子が、その子どもや家族のペースやタイミングでコミュニケーションのきっかけになればと思っています。

今回のチャリティーで、家族がこころの不調などをかかえた子どもたちに、ガイドブックを100冊届けます!

──最後に、今回のチャリティーの使途を聞かせてください。

北野:
今回のコラボで、冊子『家族がこころの不調などをかかえた子どものための「じぶんち冒険ガイド」(仮題)』を作成し、当事者の方たちへ100冊届けることを目指します!

──「親が不調だから」と暗く後ろ向きになるのでなく「冒険」というキーワードってすごく前向きでポジティブですね。どういった内容の冊子でしょうか?

北野:
「お父さんお母さんが不調などのときにどうしたらいい?」がテーマ。

日々の生活を、子どもたちなりにサバイバルするための知恵や、困ったとき・緊急のときの相談先や相談のヒント、子どもの気持ちがちょっと楽になるメッセージなどを盛り込んだ、A5サイズで24ページほどの中綴じ冊子を予定しています。

「病気・病名にかかわらず使えるもの、家族構成などの設定が限定されないものがほしい」という声が多数あって、今回はそんな冊子を作りたいと思っています。

このプロジェクト実現のために、今回は実費の部分、「印刷費」と「発送費」に充てる10万円を集めたいです!

▲こちらが「じぶんち冒険ガイド(仮題)」の内容案。子どもの安心・安全のための実践的な内容を盛り込みます。

──冊子ができたら、ぜひ見てみたいです!

北野:
冊子が完成したら、今回チャリティーに参加いただいた皆様には特典として、特設ページからPDFでダウンロードできるようにします!
また、制作の過程をFacebook特設ページにて公開し、意見交換にも参加いただけるようにします。

──な、なんと…!!すばらしいですね!これは要チェック!

北野:
ゆくゆくは、今回の冊子をさらにブラッシュアップして、さらに改良したガイドブックを作り、より多くの方に手にとっていただきたいと思います。

──ありがとうございました。

▲家族全体を応援──病気やさまざまな事情があっても、ご本人も子どもも、パートナーやきょうだいも、家族全体が、それぞれに尊重される。安心と希望が持てる社会を目指して。

“YAMMY”

インタビューを終えて〜編集後記〜

大なり小なり、みんなどこかに不安や悩みを抱え、自信が持てなかったり、心を開けなかったり。どこか殻にこもったまま大人になった子どもたちも、決して少なくないと思うんです。

ちあきさんのイラストに、何か「忘れかけていた子どもの頃の私」、「大人になった自分のなかにある子どもの部分」にも響くような、ぐっと刺さるようなメッセージを感じました。

今回、アイテムをご購入いただいた方には【購入者特典】付き!
【特典1】冊子「じぶんち冒険ガイド(仮)」の制作過程に参加できます。
制作過程を見られるだけでなく、意見交換も交えながら、冊子を一緒に作っていけます。(※ご注意:Facebook上にて行いますので、Facebookアカウントが必要です。ご了承ください)

【特典2】完成した冊子を、ぷるすあるはのホームページの特設ページにて特別にご覧いただけます。
商品お届けの際に同封する納品書に、特設ページURLとパスワードを記載してお届けします。

この機会にぜひ、チャリティーにご協力ください!
また、プルスアルハの絵本もぜひぜひ手にとっていただきたいと思います。

NPO法人ぷるすあるは ホームページはこちら

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今回は、ちあきさんとのコラボデザイン!
文字をイラストで取り囲んで密度の濃い絵に。
完成までに何パターンも描きました。

「冒険」をテーマにしたイラストを良く見ると、三つ目の子どもや、ロボットのキャラクターが。
ちあきさん曰く
「子どもなりに知恵を絞って、頑張る工夫をしていることを表現した」とのこと。

“The dogs bark, but the caravan goes on”.「犬が吠えても、キャラバンは進む」。
これは、中東のことわざ。
周りであれこれ言う人を気にせず、自信を持って自分の道を突き進め!
子どもへの、そんなエールがこめられています。

【ご購入特典付き!】
詳しくは本文をご確認ください。

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