CHARITY FOR

犬だけではなく猫も、名古屋市の「殺処分ゼロ」を達成したい。15年前、救えなかった小さな命との約束〜NPO法人ファミーユ

2016年から、犬の殺処分ゼロを継続している愛知県名古屋市。猫に関しては、年々数は減っているものの、令和7年度には11頭が殺処分されました。
最後の最後まで動物愛護センターから引き出されず、殺処分されてしまうのは「負傷猫」と呼ばれる、病気や障害、ケガなどがあり「治癒の見込みがない」とされた猫などでした。

「そのような子たちを引き取って、猫も殺処分ゼロを達成したい」。
数年前から、以前は殺処分対象となっていた白血病陽性猫や威嚇猫を、また2026年度からは、治癒の見込みがないとされた負傷猫の引き取りも始めたNPO法人「ファミーユ」(愛知)が今週のチャリティー先。

代表の熊崎純子(くまざき・じゅんこ)さんが「殺処分ゼロ」にこだわる背景には、かつて命を救うことができなかった、犬の「ファミくん」との出会いがあります。

「殺処分ゼロを達成すると決めて活動してきた背景には、ファミくんの存在と、ファミくんとの約束があったのかもしれません」

そう話す熊崎さん。活動について、お話を聞きました。

お話をお伺いした熊崎さん

今週のチャリティー

NPO法人ファミーユ

愛知県名古屋市を拠点に、犬や猫の殺処分ゼロを目指して活動しています。
行政から犬や猫を引き取り、新しい里親の譲渡や終生飼養を行っています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/11/09

名古屋市で、犬猫の「殺処分ゼロ」を達成するために

シェルターで過ごす犬猫たち。(写真左)「ミニチュアダックスフンドの【節子】ちゃん(16歳)と柴犬の【利夫】くん(15歳)。長年連れ添った老夫婦のようです」。(写真右)「サバトラの【家茂】くん(15歳)と黒猫の【慶喜】くん(12歳)。老猫部屋のふたりは、いつもくっついて寝ています。個体ごとに、日々のカルテで健康管理をしています」

──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。

熊崎:
愛知県名古屋市で、犬猫の「殺処分ゼロ」を達成するために、譲渡できる子は新しい里親さんに譲渡、譲渡できない子は終生飼養を目的に、動物愛護センターから犬や猫を引き取って活動している団体です。

現在、シェルターには終生飼養の7頭の老犬と40頭の猫がいます。
犬に関しては、譲渡対象の子たちは預かりボランティアさん宅で過ごしていますし、終末期を一緒に過ごし、自宅で看取っていただく看取りボランティアさんもいます。現在、私の自宅にも1頭の犬がいます。

高齢犬たち。(写真左)柴犬の【利夫】くん。「足腰が弱くなり、お散歩はカートで」。(写真右)ミニチュアダックスフンドの【衣通姫】(そとおりひめ、17歳)。「預かりボランティアさんのお宅で過ごしています」

──譲渡対象にならず、終生飼養になるのはどのような犬たちなのですか。

熊崎:
かなり高齢であったり、重篤な病気があったりする子です。
シェルターにいる子は、一番若くて13歳で、他は20歳、18歳、15歳ぐらいの老犬です。

──猫はいかがですか。

熊崎:
シェルターには、40頭ほどの猫がいます。譲渡会や団体が運営している保護猫カフェで、新たなご縁をつないでいます。
老猫や病気のある猫、人馴れしておらずシャーっと威嚇する猫も引き取っています。なかなか人馴れは大変で、時間もかかりますが、譲渡につながるよう頑張っています。

保護猫カフェ「ヘミングウェイ」(名古屋市千種区今池4-16-27 くろうビル4F)。「人馴れしてる猫、修行中の猫、少々クセの強い子など7~9匹の猫が日替わりでいます。注意点を説明した後は、猫たちと自由に過ごしていただきます」

殺処分対象になる高齢犬の引き取りが
活動のスタート

活動を始めて間もない頃の一枚。(写真左)名古屋市動物愛護センターから2頭一緒に引き取った【まれ】と【のぞみ】。(写真右)看板犬で熊崎さんの愛犬【ミニー】ちゃんも参加し、各地のイベントに出展して啓蒙活動を行った

──活動のきっかけを教えてください。

熊崎:
15年ほど前、名古屋市の犬と猫の殺処分数は年間で犬114頭、猫1,629頭ありました。

保護活動に取り組む団体さんが増えたことや、名古屋市の努力もあって殺処分数は年々減っていましたが、ある時、犬の殺処分が50何頭という数字を見た時に、「引き出す団体も他にたくさんあるのに、殺処分されてしまうこの50何頭は、一体どんな犬たちなんだろう」と聞きにいくと、多くが老犬であることがわかりました。

老犬はなかなか新しい飼い主が決まらないし、センターに長期で置いておくこともできないので殺処分されてしまう。「だったら、この子たちをなんとか引き取れば、殺処分はゼロにできるんじゃないか」と思い、2012年に団体を立ち上げ、2015年に老犬シェルターを始めました。

──そうだったんですね。

(写真左)「【イケア】【マリメッコ】兄弟(生後6ヶ月)と【いのすけ】(2歳)。フリータイム中の一枚です。(写真右)猫部屋の様子。「1頭ずつケージ内で食事、排せつの確認をしています」

熊崎:
もちろん、ファミーユの活動だけで犬の殺処分がゼロになったわけではありません。

活動を始めて1、2年経った頃でしょうか。名古屋市が「目指せ殺処分ゼロ!犬猫サポート寄附金」を始めました。この寄附金制度によって飼育費を賄い、それまでは殺処分の場であったセンターで、犬猫の飼育ができるようになり、すぐに殺処分をしなくてもよくなったのです。

それまでは殺処分の日が決定していて、その日までに引き取らないと待ったなしで殺処分が決行されましたが、引き取り側の受け入れ体制が整うまでの間、センターの方で飼育してくださることができるようになったことも、とても大きかったと思います。

──殺処分対象になっている犬たちを引き取り、終生飼養することは、覚悟も要ったのではないですか。

熊崎:
どこも引き取らない子を引き取らないと、殺処分ゼロは達成できませんから…。
あとはやはり、こういった子たちを引き取る度に「いらない命なんて、この世にないんだ」と感じてきました。

老犬シェルター第1号として最初に迎えたのは、柴犬の「先生」でした。飼い主から「もう飼えない」とセンターに持ち込まれた犬で、その時15歳ぐらいだったでしょうか。認知症の症状が出ており、どう考えても譲渡は難しいと思われました。

最初に迎えた【先生】。シェルターに来たばかりの頃の一枚

熊崎:
歩くのもゆっくりだし、とにかく「アウアウアウー」と、ものすごく大きな声で鳴くんです。同じ部屋でボランティアさんとお話をしていても、先生が隣でずっと鳴いているから、お互い大声で「何?今、なんて言った?」って、全然話が聞こえないんです(笑)。

先生は引き取ってから割と早くに歩けなくなり、寝たきりになりました。
ごはんを食べさせるにも工夫が必要だったし、中型犬である程度体が大きかったので、ずっと同じ体制で寝ていると床ずれができてしまい、1、2時間おきに体制を変えるようにしたり、床ずれのケアを学んだり…。初めてのことばかりの中、手探りの介護で、先生からは本当にいろんなことを学びました。

今を一生懸命生きる先生の姿を見ていると、やがて自分も同じように老いていくのだと実感しましたし、その時まで、与えられた命を一生懸命生きないとな、とも思いました。

先生と過ごした時間、先生を介護させてもらった経験は、その後のファミーユの活動にも大きく生かされています。

2022年1月27日に愛知県動物愛護センターから引き出した【とき】。「ときは右脇に大きな腫瘍があり、摘出手術を受けました。肥満細胞腫と診断され、右足は断脚することになりました。最終的にはあちこちに転移し、息を引き取りました」

救えなかった命。
センターの管理棟で出会った「ファミくん」

2017年4月12日、推定年齢12~13歳で引き取った【弘樹】。「名古屋市動物愛護センター収容時に左後ろ足に腫瘍があることがわかり、断脚。3本足、またアカラスという皮膚病で、身体はボロボロの状態でした。ご飯も食べられなくなり点滴などで対応していましたが、2017年7月7日、シェルターでみんなに見守られながら虹の橋を渡りました」

熊崎:
実は第1号として先生を迎える前、動物愛護センターで別の一頭と出会っているんです。

動物愛護センターから犬や猫を引き出すためには、市への事前の登録が必要になります。団体を立ち上げたばかりの頃、その登録と研修のために訪れたセンターで、初めて殺処分が行われる「管理棟」を見学しました。

犬舎の中にはいくつも区切りがあって、「この子は何月何日まで」と「命の期限」が書かれているのですが、私が訪れた時、犬舎に一匹だけ、その「命の期限」が書かれた子がいたのです。

大型犬でしたが、毛がぐちゃぐちゃで、目の上にも毛が覆い被さり、何犬か、どんな表情をしているのかもわからないような状態でした。当時、私はスタンダードプードルを飼っていたんですが、その子もどうやらスタンダードプードルのように見えました。
そこでセンターの方に「この子は、スタンダードプードルですか?」と尋ねると「何犬かわからない」という答えではあったのですが、いたたまれなくなったんです。

うちの子は、おいしいものを食べ、一緒に寝たり、お出かけをしたり…きっと本人も幸せに過ごしているのに、同じスタンダードプードルで、こんなにも違うのかと…。管理棟を出た後、ボロボロと涙が止まりませんでした。

職員の方に「なんとか、あの子を助けてあげてほしい」とお願いしました。15年経った今なら、そうはしませんが…、あの時は感情だけで泣きついたんですよね。
凶暴性がある犬だということで、職員さんは「引き取ってから大変だから、お渡しするわけにはいかない」という答えでした。

──そうだったんですね。

猫の譲渡会の様子

熊崎:
家に帰ってからもその子のことが頭を離れず、なんとか助けられないかとあちこちに相談しました。
私には、凶暴性や噛む癖を修正できるような腕もありません。警察犬のトレーニングをしている方に相談してみたら「数ヶ月預かって様子を見ましょう」と言ってくださったんです。貯金をはたいて、その子のトレーニングをお願いしようと思いました。

しかし、センターにそのことを伝えて「引き出させてほしい」とお願いすると、断られてしまったんです。行政として、万が一事故やケガが起きてしまったらというリスクに備え、凶暴性があるとされた犬を、一市民に引き取らせるということはできなかったのです。

今でこそ15年のお付き合いと歴史がありますが、当時、ファミーユはまだ登録したばかりの、海のものとも山のものともわからない団体です。行政の側からすると、信頼関係が築かれていない中で、犬を任せることができないという判断だったのだと、今なら理解ができるのですが…。

結局、期日までに助けることができず、この子が処分される日がやってきました。…悔しくて、とにかく悔しくて。泣いて泣いて、とにかく泣きました。

──そうだったんですね…。

名古屋市動物愛護センターの入口すぐにある慰霊碑。「助けられなったファミくんととここで出会ってから、来るたびに手を合わせ、語りかけることが習慣になりました」

熊崎:
殺処分された子たちは、お骨はないのですが、センターの中に慰霊碑があるんです。助けられなかったこの子を、私は心の中で「ファミくん」と名付けました。

以来、愛護センターに行く度、まず慰霊碑に手を合わせて「ファミくん、助けられなくてごめんね。ファミくんの仲間を、いつか私は一匹残らず助けるからね」と言い続けてきました。

…そっか。考えたこともなかったですが、今、なぜ殺処分ゼロのためにこんなに一生懸命活動しているんだろうと考えたら…、ファミくんの存在と、ファミくんとの約束があったからかもしれません。
ファミくんと出会って、「殺処分ゼロを達成する」と気持ちが固まったのかもしれないです。

多頭飼育崩壊から保護され、白血病陽性だった【サン(現在の名前は『ないろうさん』)】。「1年後のウイルス検査で陰転が判明し、里親募集。今は新しい家族にもすっかり慣れて、まったり過ごしています」

猫も殺処分ゼロを達成したい。
2026年度からは「負傷猫」の引き取りを開始

白血病陽性・猫エイズ陽性のダブルキャリアの【スフェーン】。「愛護センターから引き取った時の推定年齢は19歳。ガリガリに痩せていましたが、今はしっかりと筋肉も脂肪も付き、健康そのもの。看取りボランティアさん宅の最高の環境で、穏やかに暮らしています」

──そして現在、猫の殺処分ゼロのためにも動いておられます。

熊崎:
犬の殺処分ゼロは2016年に達成し、その後もゼロを継続していますが、猫に関しては年々減っているものの、令和7年度は11頭が殺処分されました。

実は3年ほど前から、それまで殺処分対象となっていた威嚇猫と白血病陽性猫の引き取りを始めたんです。それによっても殺処分の数は減りましたが、それでも完全にはなくならない。
じゃあ一体どういった猫が殺処分されているのかというと、「負傷猫」ということなんです。

負傷した猫は、医療費や人手もかなりかかってきますし、団体としてハードルが高く、なかなか引き取る勇気がありませんでした。だけど「今ならできるかもしれない」と思い、他団体さんとも協力し、動物愛護センターさんともやりとりをしながら、今年度から引き取りを始めました。

──「負傷猫」とは、具体的にはどんな猫なのですか。

熊崎:
名古屋市では、道端などでもう動けなくなっているような猫、自力で生きていくことができないような猫を「負傷猫」と言っています。
本当に一歩も動けないような状態でうずくまっている子で、交通事故に遭って怪我をしている子や、あとは病気が悪化して動けない子などです。

負傷猫第⚫︎号として引き取った【もみじ】。「引き取り時からリンパ腫で顔が腫れ上がり、ひどい状態でした。緩和ケアを行い、現在は食べたい物を食べさせながら、見守っています」

──ということは、ほとんど外で暮らしている猫ということなんでしょうか。

熊崎:
私も「多くが交通事故に遭った野良猫なのかな」と思っていたのですが、実際に引き取ってみると、そういうわけでもないんです。

現在までで7匹、負傷猫を引き取っていますが、負傷猫として迎えた第4号の「うみ」ちゃんは、人馴れ具合から、どうやら元飼い猫だったのではないかと推測します。

負傷猫第4号として迎えた【うみ】。(写真左)乳腺腫瘍の様子。(写真中央)手の骨は折れ、曲がった状態で固まっていた。(写真右)酸素室で過ごすうみ

熊崎:
センターに来た時はすでに乳腺腫瘍の末期で、胸元の腫瘍が腫れ上がって爆発し、血も膿も出ているような状態でした。引き出してから病院で診てもらうと、もう何年も前に骨折した後もありました。治療せずに放置されたためにそのまま前足が曲がり、癒着してグーになった状態で生活していました。

うみちゃんは、市内にあるマンションの玄関前、人目のつくところに捨てられていたそうです。おそらく…、骨折も腫瘍も、飼い主が治療をしてあげられず、「症状がどんどん悪化するけど、自分では治療してあげられない。誰か助けて」と、わざわざ人目のつくところに捨てたのではないかと思います。

──つらいですね…。

熊崎:
転移があると難しいですが、乳腺腫瘍は本来、早い段階で治療すれば治る病気です。
うみちゃんの病状は進行しており、肺にも転移が見つかって、麻酔もかけられない、手術もできない状態で、病院からは「看取る以外に、何もできることがない」というお話でした。

引き取る時点では、当然「医療にかかれば、なんとかなるんじゃないか」と希望を持っていますし、できる限りのことをしたいと思っています。
だけど、もう何もできることがないということだったので…、わずかな余命を、いかに楽に過ごせるかに注力しましたが…、うみちゃんはすぐに旅立ってしまいました。…すぐに治療をしていたら、このような結果にはならなかったと思います。

「肺にも転移があり、酸素室で呼吸をするのが精いっぱいだったうみちゃん。朝晩2回、酸素室の中で腫瘍部分のガーゼ交換をしていました。人懐こい子でしたが、痛みのせいなのか、思うようにケアをさせてくれず大変でした。寝顔がとてもかわいい子でした」

──そのような看取りの時に、悲しみや怒りの気持ちが湧きませんか。

熊崎:
最初の頃は、ありました。でも、今はありません。最期を殺処分の苦しい部屋ではなく、温かい部屋で看取ってあげられたという安堵感の方が大きいです。

「今度生まれてくる時は、きっと幸せな家庭の子に生まれておいでね」。…そんな思いで看取っています。

殺処分されるはずだった命が、
元気いっぱいに生きている

負傷猫第7号として迎えた【いちご】。「いちごちゃんは、四肢麻痺で動けなくなっているところを名古屋市動物愛護センターに収容されました。しかしどんどん歩けるようになってきています」

熊崎:
2026年度から引き出している負傷猫は、「今日はなんの日」にちなんで名前をつけています。さっきのうみちゃんは、7月20日の「海の日」に来た子です。

9月15日、「いちごの日」にやってきたのが、負傷猫第7号の「いちご」ちゃんです。
いちごちゃんは生後間もない頃、道端で動けなくなっているところをセンターに収容されました。四肢が麻痺していて全く動けないだけでなく、排泄もどこまで自分でできるかという状況で、殺処分の対象になっていました。

私たちが引き取った後、結果としていちごちゃんは、どんどん歩けるようになったんです。センターでは、その子のその時の状況で譲渡か殺処分かを決定しますが、「動けないから殺処分」とされた子であっても、いちごちゃんのように時間が経つ中で動けるようになったり、治療を受けることで症状が改善する子がいることがわかりました。

(写真左)猫じゃらしで遊ぶいちごちゃん。(写真右)四肢をしっかり踏ん張って立てるようになったいちごちゃん

熊崎:
つまりそれは、もしかしたらこれまでに殺処分されてきた命の中に、その必要がなかった命が入っていたかもしれないということです。
殺処分について、もっともっと慎重に検討してもらえるよう、負傷猫たちのデータを集めて、動物愛護センターに提出したいと思っています。

──もうどうしようもない、殺処分しか道はないという命ではなかった、ということですね。

熊崎:
もう一頭、いちごちゃんの前に、8月28日、ファミーユの設立記念日にやってきた第6号の「ファミ」くんも、同じようなケースです。

負傷猫第6号として迎えた【ファミ】くん。「手術を乗り越え、キャットタワーに登れるようになりました」

熊崎:
交通事故に遭ったのではないかと推測しますが、ファミくんは左右の骨盤を骨折していて自力で歩くことができず、殺処分対象となっていました。

私たちが引き取り、左右の骨盤それぞれにプレートを入れる2度の手術を乗り切ってくれて、なんとか自力で歩けるようになり、排泄も自分でできるようになったんです。

…殺処分されるはずだった命が、適切な治療を受けることで、普通に生活ができるようになる。うみちゃんのように亡くなる命もありますが、「負傷猫だから処分してもいい」ということにはならないとうことを、これから示していけたらいいなと思っています。

──15年前、団体を立ち上げた時に出会われた犬の「ファミくん」と、今、猫の殺処分ゼロに向けて動く中で出会われた猫の「ファミくん」。同じ名前の二人は、もしかしたら同じ魂か仲の良いお友達で、ファミーユさんの活動を応援するために、再び現れてくれたのかもしれないですね。

(写真左)ファミくんの手術前のレントゲン写真。(写真右)手術後のレントゲン写真

「ファミーユをがんばって!」
亡き愛犬たちからの応援を背に

「見送ってきた子たちの遺骨です。それぞれに名前があり、性格があり、私たちと過ごした大切な時間があります。どれもがかけがえのない、大切な思い出です」

──順調に負傷猫の引き取りが進めば、来年には「名古屋市の猫の殺処分ゼロ」達成の道も見えてくると思いますが、活動へのモチベーションを教えてください。

熊崎:
殺処分ゼロを達成できたら…、どうなんでしょう。達成感に満ちあふれて、私も役目は一旦終わったと感じるかもしれません。年齢も年齢ですし、ぼちぼち世代交代も視野に入れています。

「活動をやめる=ファミーユも終了する」でもいいのかもしれません。だけど実際には、助けなければいけない犬や猫は、後を絶たないのです。「もう助ける命がない」という社会であれば、きれいにさっぱり何の悔いもなくやめられますが、なかなかそういうわけにはいかないでしょう。

プール遊びの一枚。「15年を振り返ってみると、プール遊びやBBQを楽しんだり、老犬たちを連れて遠足に出かけたり、里親さまたちとドッグランで里親会を開いたり…、楽しい思い出がたくさんあります」

熊崎:
活動をやめてしまうと、行き場のない老猫や老犬、病気の子たちがまた、殺処分されてしまうかもしれません。ファミーユの役目を、これからも果たしていきたいと思っています。

実は一昨年、昨年と、我が子のようにかわいがり長く連れ添った愛犬を、それぞれ21歳と16歳で立て続けに亡くしました。生きがいを無くしてしばらく廃人のようだったのですが、ふと気がつくと、私にはファミーユがあったのです。

うちの子たちが生きていた時は「かわいい我が子の仲間たちを助けなきゃ」というような気持ちもあったのですが、今は先に旅立った2頭から、「ファミーユをがんばって!」と言われているのかなと思っています。

熊崎さんの愛犬、21歳まで生きたトイプードルの【ゆず】(写真左)、16歳まで生きたスタンダードプードルの【ミニー】。「共にファミーユの活動を頑張った、最高のパートナーでした」

──読者の方に、メッセージをお願いします。

熊崎:
二つあります。
一つは、自分が迎えた犬や猫をとにかく最後まで、どんなことがあっても最後まで、愛情と責任を持って飼ってくださいということです。途中で手放すようなことは、絶対にあってはならないのです。

二つめは、私たちのような活動にぜひご賛同いただいて、応援していただけたらと思います。12月には、クラウドファンディングにも挑戦予定です。そちらもぜひ、チェックしていただけたら嬉しいです。

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

熊崎:
ファミーユにいる子たちは、高齢や病気などで療養食を食べている子が少なくありません。今回のチャリティーは、その子の病状や体調にあった療養食を購入するための資金として活用させていただければと思います。ぜひ、応援よろしくお願いします。

──貴重なお話をありがとうございました!

スタッフの皆さんと。2024年4月、老犬たちを連れてお花見遠足へ出かけた際の一枚

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

私も3匹の猫を飼うようになって知ったことですが、一緒に暮らす動物との出会いもまた、ご縁や運命であって、何か意図があって出会わされているということです。一緒に暮らす日々の中で彼らが教えてくれること、与えてくれることははかり知れず、愛情もですが、尊敬も日に日に増すばかりです。

犬や猫たちも私たちと同じように、愛情の中で生きていく生きものだと思います。熊崎さん、ファミーユの皆さんがこれまで出会ってこられたたくさんの犬や猫たち。彼らの感謝や思いを背負いながら、殺処分ゼロ達成に向けて、進んでおられるのだと心から感じました。熊崎さん、ありがとうございました!

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【2026/11/9-15の1週間限定販売】
穏やかに過ごす犬猫たちの姿をやさしいタッチで描きました。
ファミーユさんが出会ってこられた小さな命、一度は必要がない命、殺処分対象とされた命が、たとえ短い間でも人に愛され、抱きしめられ、本来の命の温もりや喜びを感じる様子、またそのような社会が広がってほしいとの願いを込めたデザインです。

“Family. Always together(家族。いつも一緒)”というメッセージを添えました。

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