CHARITY FOR

「人生は、何度でもやり直せる。行けるところではなく、行きたいところへ」。女性義足ユーザーコミュニティ〜NPO法人ハイヒール・フラミンゴ

悩みや不安を共有できたり、一緒に楽しく過ごせる仲間やコミュニティがあること。それはどんな人にとっても、とても大きな力になるのではないかと思います。

病気によって足を切断した一人の女性が、「行けるところではなく、行きたいところへ行くために。女性義足ユーザーの思いや悩み、情報を共有する場を作りたい」と、仲間と共に立ち上げたNPO法人「ハイヒール・フラミンゴ」が今週のチャリティー先。

「周りに同じような女性の義足ユーザーがおらず、孤独で孤立している方は少なくありません」と話すのは、代表の野間麻子(のま・あさこ)さん(57)と事務局長の松井由起子(まつい・ゆきこ)さん(55)。

活動について、お話を聞きました。

お話をお伺いした野間さん、松井さん。着用してくださっているのは、2021年にコラボいただいた際のコラボデザイン

今週のチャリティー

NPO法人ハイヒール・フラミンゴ

日本初の女性義足ユーザーコミュニティ。女性の象徴である「ハイヒール」と、片足で凛と立つ「フラミンゴ」のイメージを重ね、義足であってもおしゃれを諦めず、自分らしく生きられる社会の実現を目指し、楽しく活動しています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/10/12

女性義足ユーザーのためのコミュニティ

2026年8月、東京で開催したフラミンゴ・カフェにて。「ユーザー同士が交流したり、情報交換したり、いつも大変盛り上がります」

──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。

野間:
女性の義足ユーザーのためのコミュニティです。
前身は、川村義肢株式会社(大阪府大東市)で2018年にスタートした活動です。川村義肢のお客さんだった一人の女性の「女子会をやってほしい」という声をきっかけに、女性の義足ユーザーだけを集めた会を開催し、それがとても好評だったことから、2020年3月にNPO法人となりました。

現在は女性義足ユーザーを中心に、全国に70名ほどの会員さんがいます。

2023年7月、四天王寺大学で開催された講演「ルワンダにおける活動からアフリカ在来知を学ぶ」にて。「ムリンディ/ジャパン・ワンラブ・プロジェクト」の方と一緒に

野間:
主な活動として、毎月第1日曜日(1月、5月除く)にリアルあるいはオンラインで交流会「フラミンゴ・カフェ」を開催しています。NPO法人になってすぐにコロナ禍になったのですが、オンラインでの活動にシフトしたことで、関西だけでなく、遠方の方もつながるきっかけになりました。

リアルでのカフェの開催は、活動拠点の関西が中心ですが、関東のチームも充実してきたので、4年ほど前からは年に1度、東京でも開催するようになりました。関西は遠くて参加しづらいという方たちからも嬉しいと好評です。

──リアルに集えるのは嬉しいですね。

2026年8月開催のフラミンゴ・カフェ「義足でできる?みんなで悩みや工夫を共有しましょう!」

松井:
もう一つの活動として、女性義足ユーザーのピアサポートとして、グループLINEがあり、そこで義足のことや日常生活のこと、恋愛や子育てのこと…、女性特有のさまざまな悩みを相談できるようになっています。
義足ユーザーとして、それぞれに自身の経験で「これが良かったよ」とか「私はこうしたよ」といった情報を交換できる場となっています。

皆の前では少し相談しづらい、深刻な悩みで個別に相談したいという方には、個別に対応しています。

いずれにしても、義足かつ女性というマイノリティな当事者同士がつながり、話ができる場があることに大きな意味があると感じています。

2026年4月開催のフラミンゴ・カフェ「『似合う』の見つけ方」

周りに同じような義足ユーザーがおらず
閉鎖的な環境で、問題を抱え込んでしまうことも

2023年7月開催のフラミンゴ・カフェ「Yoga体験会」

──女性義足ユーザーの方が抱える課題について教えてください。

野間:
周りに同じような義足ユーザーがおらず、孤立している方が少なくありません。
ハイヒール・フラミンゴにつながってくださった方は、「こんな時、どうしたらいいの」といった悩み、特に女性ならではの悩みや気になることを気軽に相談することができますが、そもそも義足で生活している方自体が少ないし、出会える場所もありません。

上からズボンを履いていたりするとパッと見で義足であることもわかりにくかったりもするので、目の前にいても気づかないということもあります。

「足関節が調整できる足部パーツがあり、さまざまな靴を楽しめるようになっています。最近は好きな柄を義足ソケットにする方が増えてきました。写真は、息子さんがデザインした布地を使った義足ソケットとお気に入りの靴に、フラミンゴ柄のワンピースを合わせて」

──確かに。

野間:
「義足に関する情報は、担当の義肢装具士からだけしか得られない」という方も少なくありません。特に地方に行けば行くほど、年配の男性が担当されるケースが多いので、女性義足ユーザーにとっては、「こんなこと言ってもいいのかな」と相談を躊躇する方もいます。

松井:
義足を履いて歩くのは決して楽ではありません。
私が聞いた中でひどいケースでは、装着したり歩く時に「痛い」と言ったら、担当者に「ある程度の痛みはあるんですよ」と寄り添ってもらえなかったり、少し不機嫌になられたりして、特に若い女性ユーザーの場合、言いたいことを遠慮したり、諦めたりということがあるんです。

──ええ…そうなんですね。

2022年11月、ホテルのレストランにて、皆でアフタヌーンティー

野間:
当事者が集まることで、そういったことに立ち向かえる。悲しい思いや孤独な思いをする女性が一人でも減ればと思って活動しています。

──義足の世界において、性別による違いがまだまだ残っているということなのでしょうか。

野間:
私たちが活動を始めた頃、インターネットで「義足 ユーザー」などと検索して出てくるのは、スポーツをしている人、多くが男性でした。

義足での生活と車椅子での生活、どちらの危険が少ないかというと、車椅子です。
義足で歩くためには、その訓練も大変だし、転倒などで怖い思いや嫌な思いをして、「もう義足で歩きたくない」という人もいます。
足を使ったスポーツを続けたい、やりたいという人なら別ですが、日常においては、あえて義足でなくても生活はできるわけで、危ないとか、不快とか、わざわざ歩かなくても生活できるとか、何か理由を見つけて義足を諦める人が、実は少なくありません。

──そうなんですね。

2022年6月開催のフラミンゴ・カフェ「ショールームで遊ぼう!」にて、スポーツ義足を初めて装着し、満面の笑みを浮かべる元副代表の和美さん

野間:
でも、義足を装着することで、おしゃれができるし、歩いてお出かけができて、自己肯定感も上がります。

ハイヒール・フラミンゴが発信している「おしゃれを諦めない。行けるところではなく、行きたいところに行こう」というメッセージは、義足を選択したユーザーさんにそのまま、すっぽりハマるんだろうと思いますし、私たちの活動を通じて、義足を諦める人が減ったらいいなと思っています。

最近は、SNSで義足を発信する女性も増えてきました。社会の目も、少しずつ変わってきたのかなと思います。

2025年8月26日、EXPO2025大阪・関西万博フェスティバル・ステーションにて、当事者の半生をテーマにした朗読劇を披露。写真左から二人めが、当事者の典子さん。大阪府大東市の市民劇団えんの皆さんと

「人生は、何度でもやり直せる」

2025年7月開催のフラミンゴ・カフェ「BIG SUPに乗ろう!」にて

──活動に参加されているユーザーの方は、たとえばどのような経緯で義足になられたのですか。

松井:
研究者としてフランスから日本に来ていたMさんは、婚約中に交通事故に遭い、片足の股関節から下を失いました。
座骨結節とその周りの筋肉で支え、股関節と膝関節のバランスをとりながら歩く必要がある、難しい義足を履いています。

事故の後にご結婚されましたが、子育てには不安をお持ちでした。しかしハイヒール・フラミンゴの子育て経験のある義足ユーザーの皆さんから励ましてもらい、それが大きな支えになったとお話しされていました。

Mさんは現在、旦那さまと共に、楽しみながら子育てに奮闘されています。仕事にも復帰し、電動車椅子と義足を使い分けながら生活されています。

野間:
2025年8月、大阪万博で、当事者の半生をテーマにした朗読劇を披露しました。
その主人公になった典子さんは、生まれつき左膝から下と、左手の指が3本ありません。小さい頃からずっと義足と生活してきました。

2019年10月開催のフラミンゴ・カフェ「神戸ラグーンの砂浜を歩こう」にて。写真左が典子さん、お隣は亡くなった高木庸子さん

松井:
好きな人ができ、妊娠がわかって結婚したものの、お相手のご両親から、義足であることを理由に、酷い扱いを受けたそうです。その後離婚し、3人の男の子を立派に育て上げました。

現在の旦那さんとの結婚式では、義足が見えるデザインのドレスを着用した典子さん。3人の息子さんは、典子さんへの感謝を綴ったオリジナルソングを披露しました。万博の朗読劇でも、最後にこの歌を流しました。

「人生は、何度でもやり直せる」。典子さんの人生は、まさにそれを体現するものだと思います。

──皆さん、強く生きておられるんですね。

2021年11月、典子さんの結婚式。「義足が見えるドレスを選んだ典子さん。ハイヒール・フラミンゴの仲間もたくさん出席しました」

「自分らしい生き方を選んでもいい」。
活動を通じ、社会に発信したいメッセージ

2018年12月、日本女性学習財団の「未来大賞」を受賞。「写真は第一報があった日の夜です。バラの花でお祝いしました」

松井:
「女子会をしたい」。
ハイヒール・フラミンゴ立ち上げのきっかけをくれたのは、骨肉腫(悪性軟部肉腫)が原因で左足を切断した、髙木庸子さんという女性の一言でした。

教師をしながら大学院でソーシャルイノベーションを学ぶ、とてもアクティブな女性だった髙木さん。突然左足を失うことになっても、それでも前を見続け、最後まで生き抜きました。
高木さんはNPO法人設立を目前に、53歳でこの世を去りましたが、彼女がいつも生徒たちに伝えていた「行けるところではなく、行きたいところへ行こう!」という言葉が今、ハイヒール・フラミンゴのスローガンとなっています。

生前、現地を訪問し、実際にフラミンゴを見ることを楽しみにしていた高木さん。アフリカツアーを予定していたものの、その1ヶ月前にこの世を去った。2020年2月、野間さんたちは彼女の義足と共にアフリカへ渡り、大空に羽ばたくフラミンゴを目にした

野間:
髙木さんが遺してくれたこと。
義足だから、女性だから、何かを我慢するとか諦めるのではなく、「さまざまな選択肢の中から、自分らしい生き方を選んで生きていけるんだ。そうやって生きてもいいんだよ」ということ。そう示していくことが、私たちの役目であり、できることかなと思っています。

不安があるとなかなか前に進めないけれど、同じ境遇の人たちが集まって、悩みを共有し、励まし合えることで、不安や心配の穴が少しずつ埋まっていく。
そして「やってみよう!」という気持ちが大きくなり、新しいことに挑戦できたり、そこから羽ばたけたり、ということがあると思っています。

それは女性の義足ユーザーに限らずきっとそうで、当事者同士が集まって悩みや心配事を共有することで、安心感を得て、社会に羽ばたく世界がもっともっと広がっていくといいなと思っています。私たちの活動が、その一助になれたら嬉しいです。

アフリカ・ケニアの赤道にて。高木さんの義足と一緒に

「靴屋さんに入ったことがない」。
嬉しそうにヒールを手にした女性

2023年7月開催のフラミンゴ・カフェ「Yoga体験会」

──これまでの活動で、印象に残っている方や出来事はありますか。

松井:
以前、着物を着るイベントを開催した時のことです。
交通事故に遭い、義足になった方が参加されました。彼女は交通事故に遭う前、着物がすごく好きで、着物を着てよくお出かけをしたそうです。

義足になってからは靴を全部捨て、好きだった着物も箪笥の奥にしまい込み、おしゃれを諦めていたそうですが、イベントを知ってご自身の着物を持参され、袖を通して「また着ることができて、夢のようだ」と話してくれました。その笑顔が、すごく印象に残っています。

2018年11月に開催したイベント「秋の京都を着物で散策しよう」

野間:
義足だからと、ヒールのある靴やサンダルを諦めている方も少なくありません。
皆で靴屋さんへ行って、春の靴を選ぶイベント開催したことがあります。
参加した60歳ぐらいの女性が、初めてヒールを手にして「ヒールって、意外と軽いんだね」と言ったことが印象に残っています。

彼女は小さい時にやけどをして足を切断したそうで、両親は、彼女が義足であることを周囲に隠して育てたそうです。「靴屋さんに入ったことがない」と言っていた彼女が、嬉しそうにヒールのある靴を購入していた姿が印象に残っています。

──そうなんですね。

2019年2月に開催したイベント「春の靴選び」

野間:
地方に行けば行くほど、まだ義足であることを隠さなければいけないような風潮があったり、「結婚ができないから手に職をつけなさい」と言われたり、さまざまな偏見が残っているように感じます。
でも、本人は傷つきますよね。

親御さんも「五体満足で産めなかった」ということに、もしかしたら子ども以上に傷ついているかもしれません。

2022年9月開催のフラミンゴ・カフェ「つるモビde公園散策~風を感じて~」

「彼女たちが羽ばたく姿が、
生きづらさを抱える誰かの励みになれば」

2018年6月、初めて開催した義足ユーザー女子会。「スタッフも女性のみにして、リラックスできる雰囲気になるようにこだわりました」

────お二人の活動のモチベーションを教えてください。

松井:
もともとジェンダーの問題や女性支援に関心があり、最初はサポートのつもりで活動に参加しましたが、私が皆さんの姿に励まされ、元気をもらっていると感じます。コミュニティの一員としていられることが、私も嬉しいです。

野間:
亡くなった髙木さんからたくさんの宿題や課題をもらっていて、一つひとつを解決するたび、新しい世界を見せてもらっていると感じます。
彼女からの宿題はまだあって、髙木さんが描いた世界に向かって、これからも活動していきたいと思っています。

ハイヒール・フラミンゴは、「義足の女性」というテーマで活動していますが、社会には他にもさまざまな生きづらさがあって、悩みを抱えながらそれを乗り越えていくというところは、義足の女性に限らず、皆同じなのではないかと思います。

女性の義足ユーザーが、コミュニティを通じて羽ばたく姿を見て、自身の生きづらさを一つでも解消してくださる人がいたらいいなと思います。

2025年11月、日本義肢装具学会にて、アメリカの切断者団体と共に

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

野間:
チャリティーは、女性義足ユーザーが生きやすくなるための情報をまとめた冊子の制作資金として活用させていただく予定です。

女性の義足ユーザーは数が多いわけではありません。さまざまな情報を次の世代の女性義足ユーザーに残していく必要を強く感じています。そのためには「文字」として未来へつなげていくことが大切だと考えています。
女性義足ユーザーの皆さんにはもちろんお渡ししますし、学会などで専門職の方々にも配布したいと思っています。皆さんの応援があることで、この願いが未来へ遠くつながると信じています。応援いただけたら嬉しいです!

──貴重なお話をありがとうございました!

2026年9月開催のフラミンゴ・カフェは、JAMMINでのプリントワークショップでした!前回のコラボデザインを、Tシャツはじめさまざまなアイテムに各々プリントしていただきました。ワークショップ後、参加した皆さんと、フラミンゴポーズでパチリ!

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

9月開催の「フラミンゴ・カフェ」で、ハイヒールフラミンゴの皆さんがJAMMINに来てくださったのですが、なんと賑やかで華やかで、楽しいこと!
集まって何気ないおしゃべりができる場や、ちょっとおしゃれして出かける場があること。普段、特別意識することではないかもしれませんが、そういう場があることが、自分にとっても確かに大きな活力なっているなあと思いました。
そして義足ユーザーの皆さん、とてもカッコよくて素敵でした!

・ハイヒール・フラミンゴ ホームページはこちらから

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【2026/10/12-18の1週間限定販売】
思い思いのおしゃれをして、肩を並べて颯爽と歩くフラミンゴの姿を描きました。
「行ける場所ではなく、行きたい場所へ」。ハイヒール・フラミンゴさんのコミュニティと、人生の豊かさや、一人ひとりが内に秘めた強さを表現したデザインです。

“Go anywhere you want(行きたい場所へ行こう!)“というメッセージを添えました。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

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