
病気や障がいのある子どもの「きょうだい」を支援するNPO法人「しぶたね」が、今週のチャリティー先!JAMMINとのコラボは2年ぶり、4度目です。
病気のある弟を持つ「きょうだい」の当事者だった清田悠代(きよた・ひさよ)さん(50)。
2003年に任意団体として「しぶたね」を立ち上げ、きょうだいに直接関わる活動だけでなく、きょうだいの存在、きょうだいの気持ちを知ってほしいと啓発活動にも力を入れて来られた中で、「(支援の)種まきの部分にさらに力を入れたい」と、2016年に団体をNPO法人化し、「シブリングサポーター研修」事業をスタートしました。
研修が始まって10年。これまでに研修を受けた「シブリングサポーター」の数は、もうすぐ3,000人になります。
「研修を受けた方たちが、各地で新たにきょうだい支援の場を立ち上げてくださったり、職場や地域できょうだい支援を広めてくださったり。嬉しいことが本当にたくさんあります」
そう話す清田さん。清田さんと、清田さんと共に活動してきた、きょうだいのためのヒーロー「たねまき戦隊シブレンジャー」の「シブレッド」さんに、お話を聞きました!

お話をお伺いした清田さん(写真中央)、シブレッドさん(写真右)。ご多忙の合間を縫って、今回もJAMMINに足を運んでくださいました!
NPO法人しぶたね
たくさんの大人のやさしい空気で、子どもたちを包みたい。直接支援や啓発活動を通じ、「きょうだい」を応援する活動をしています。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/09/21

「この夏、金沢で『北陸きょうだい会』さんが3回目になる研修を開催してくださいました。翌日は『きょうだいさん あそびにきまっし』というイベントで、きょうだいさんたちとあそぶこともできました。お花紙をうちわであおいで、幻想的な景色に歓声が上がりました」
──今日はよろしくお願いします!最初に、しぶたねさんのご活動について教えてください。
清田:
病気や障害のある子どもの「きょうだい」のための団体です。
きょうだいさんと一緒に過ごす活動と、きょうだいが安心して過ごせる場を増やすため、講演や研修、社会に向けての啓発活動等を行っています。
──2016年にスタートした「シブリングサポーター」事業は、今年で10年を迎えられるそうですね。
清田:
そうなんです。
きょうだいの持ち得る気持ちについての知識をもった「シブリングサポーター」を増やし、つながり、きょうだい支援の輪を広げることを目的に、2016年11月から各地で研修ワークショップを開催してきました。
これまで(2026年9月21日まで)の開催は102回、34の都道府県で開催させていただき、研修を終了してくださったサポーターさんの数はもうすぐ3,000人になります。

2016年11月、記念すべき第1回の研修の「実践編」の一コマ。「米国シブショップでも大人気の『風船サッカー』(もちろんしぶたねでも大人気!)を大人同士で体験し、楽しさを味わっていだたきました。コロナ禍では、オンラインで使えるあそびや距離をとって楽しめるあそびを紹介したりして、明日からの実践につなげていただけるよう工夫しています」
──2018年に初コラボしていただいた時、私も大阪の研修の場にお邪魔させていただいて、何も知らなかったきょうだいさんのことを教えていただいたことを昨日のことのように思い出します。そこからまたさらに、サポーターの輪が広がっているんですね!
清田:
シブリングサポーター事業を始める前の10年ほどは、しぶたねは任意団体として、きょうだいさんと一緒に過ごす場を大切にしながら、時折、呼んでいただいた講演でお話をさせていただいたり、「きょうだいの話を聞いてください」と病院にお話をさせてもらいにいったり、小さく活動をしていました。
シブレッド:
きょうだい支援の広がりを少しずつは感じつつ、一方で医療や福祉の現場に携わる方々から「どうやって始めたらいいの?」「どうやって仲間を募集したらいいの?」「職場の中で温度差があり、なかなか支援が始められない」といったお問い合わせをいただくようにもなっていました。
「きょうだい支援をしたいのに、なかなかできない」という悶々としたお問い合わせが多かったのですが、それって裏返すと、各地にそれだけ熱い思いを持った人たちがいるということ。
「種まきのところをもっと意識して、『きょうだい支援を始めたい』という方のお手伝いができたら、きょうだいの居場所がもっと増えるやん!」。そんな思いで、2016年にNPO法人化し、「シブリングサポーター」事業をスタートしました。

第1回の研修にて。「貴重な最初の一歩の写真です。『きょうだい支援を広める会』の有馬靖子さんに講師をお願いしました。NHKの取材も入ってくださっていて、夕方のニュースで放映されました。ディレクターさんが修了証ピンバッジの袋詰めも一緒に手伝ってくださって、しぶたねらしい手作りの第1回でした」

研修のテキスト。「テキストは、基本編と実践編をあわせた構成になっています。基本編は、きょうだいの持ち得る気持ちを体系的に知ることができるように、周囲の人にきょうだい支援の必要性を伝える時に役立つように。実践編は、新しく活動を始める方の参考になるよう考えました」
──シブリングサポーター研修ワークショップについて、詳しく教えてください。
清田:
「基本編」は、講義とグループワークで構成されています。
講義の内容については、きょうだい支援の第一人者で、米国から世界にきょうだい支援を広げてこられたドナルド・マイヤーさん開発された「シブショップ(きょうだいのためのワークショップ)」のファシリテーター養成トレーニングの講義を参考に、しぶたねがきょうだいさんたちと一緒に過ごしてきた中で教わったことを加えて組み立てたものになっています。
シブレッド:
本場アメリカのトレーニングでは、「きょうだいの持ち得る気持ちと得難い経験」と題し、きょうだいが感じる不安、罪悪感、自己肯定感への影響といったものを体系化して学べるようになっており、さらに大人になったきょうだいから話を聞き、実際に子どもたちとシブショップを体験し、学びます。
清田:
2001年、マイヤーさんの来日時に開催された「シブショップファシリテータートレーニング」を受講し、きょうだい支援の一つの方法を知ることができたから、しぶたねの活動をスタートすることができました。ここでの学びが私たちの活動のベースにあって、子どもたちの声を聞きながら日本風にアレンジしていっています。

「研修には支援者の方だけでなく保護者の立場の方や、大人になったきょうだいも参加してくださっています。毎回講義の最初に、気持ちが揺れるかもしれないことや、私の話が刺さる人は、頑張っている人だということをお伝えしています」
──これまで10年間研修を続けてこられた中で、たとえば内容が変わったり、変えられたりといったことはありますか。
清田:
内容は変わっていないし、変えてはいけないと思っていますが、回を重ねるごとにどんどん伝えたいことが増えていくので、時間いっぱい、ぎゅうぎゅうにしゃべっています(笑)。
変わらずお伝えしたいと思っているのは、「きょうだいの持ち得る気持ち」についてです。
研修に参加してくださった方が、「きょうだいにとって、世界はこんなふうに見えているかもしれない」ということを、より想像しやすくなってもらえたらと思っていて、なので「こんなきょうだいさんがいるよ」「この前、こんなことを教えてくれた子がいたよ」っていうふうに、伝えたいことがどんどん増えていきます…。
…ただ、きょうだいは一人ひとり皆違うし、同じきょうだいさんでもその時々で違うし、「こうです」と言い切れるものはないんですよね。

きょうだい支援の第一人者・マイヤーさん来日時の一枚。「マイヤーさんが大阪に来られた日の夜に、招聘チームで一緒にたこ焼きを食べました。私(清田さん)の隣は、マイヤーさんを日本に2度招聘された『きょうだい支援を広める会』の有馬靖子さん。途中、若手メンバーの大学院修了のお祝いもしたり、みんながまるで親戚のような、温かく夢のような時間でした」

研修を修了した人に渡しているピンバッジ。「保護者の方の中には、きょうだいのことまで相談するのは申し訳ないと感じておられる方も多いので、『きょうだいのことも相談してくださいね』が見えやすくなればと思い、バッジやステッカーを作りました。学会やイベントなどで初めて会ったサポーターさん同士がバッジで気づいて仲良くなれたというお話も時々うかがい、とても嬉しく思っています」
──それぞれに違い、こうだと言い切れるものではないということですが、きょうだいとしてどのような気持ちを持ち得るのかというところを、少し詳しく教えてください。
シブレッド:
きょうだいであるがゆえに、子どもとして「わかりやすく大切にされる」経験が、少なくならざるを得ない環境に置かれるということがあります。
僕らが出会ったあるきょうだいさんは、「障害のある妹は寝たきりで寝ているだけでかわいいと言われるけど、僕はテストで80点取ったら『なんで100点じゃないんだ』と言われる」と話してくれました。
寝ているだけでいい、そこにいるだけでいい、「加点方式」の妹と、「減点方式」の僕。それがつらいんだと教えてくれたんです。…そういうことを聞くと、ハッとさせられますよね。
──確かに。

「病院の廊下で、面会に行く保護者を待つきょうだいさんと過ごすボランティア活動をしています。打ち合わせたわけでもないのに、一緒にあそんだきょうだいさんが帰る時は、いつもエレベーターの扉が閉まるまでボランティアさんたちみんなで手を振って見送っています。大好きな光景です」
シブレッド:
平たくいうと大人の興味や関心、評価というところで、病気や障害のある子どもとそのきょうだいとで、大きな格差が出てしまう。きょうだいさんがめっちゃがんばって毎日過ごしていても、環境としてどうしても大人の関心が向きにくく、評価されづらいということがあるのかなと感じています。
極端な話をすれば、たとえば雨の中、重い病気や障害のあるお子さんと元気なきょうだいさんが歩いてやってきた時に、重い病気や障害のあるお子さんには「よくきたね!」「わあ、濡れてしまったね」「大変だったね」と声がかけられて、一方でその隣にいるきょうだいさんには、その子が濡れていたりしても、特に何も声をかけてもらえないというようなことがあったりします。
──周囲の大人の目が、病気や障害のあるお子さんの方に行きがちなんですね。

「2019年、仙台など他地域で研修を受けてくださった岩手在住の方々で結成された『シブリングサポーターいわて』主催で、岩手県で初めて研修を開催してくださった時の写真です。史上2番目に参加者数が多かった(なんと90名)のですが、お一人お一人の熱量が高くて驚いたことを覚えています。シブリングサポーターいわてさんは、その後、大人のきょうだい会、子どものきょうだい会、と、きょうだい支援の活動をつないでくださっています」
シブレッド:
一つひとつは小さなことかもしれません。
だけどそれが積み重なった時、だんだん心が弱って「自分には価値がないんだ」「妹は、価値のある方の人間。僕は、価値のない方の人間なんだ」というふうに感じてしまうことがあります。
つらかったりしんどい気持ちを抱えながら一生懸命生きているのに、そのことに気づかないし、まして周りに「助けて」と言っても良い存在なんだと思っていない。
活動をしていると、大人になったきょうだいさんから「自分も支援される立場だったと初めて知った」「助けてって言ってよかったんだ」という感想をいただくこともあります。
──そうなんですね。
清田:
「自分だけが元気に、楽しく過ごしていていいのかな」という罪悪感を持って過ごすきょうだいさんも少なくありません。家に寝たきりのお兄ちゃんやお姉ちゃん、妹や弟がいるのに「自分だけ、部活やってていいのかな」「自分だけ、家を出てもいいのかな」と…。

2019年、シブリングサポーターが集うミーティングでの集合写真。「大好きな『ぷるすあるは』さんをゲスト講師にお招きし、講義の後グループに分かれて、いろんな色の気持ちのイラストを選びながら『気持ちの箱』を作るワークをしました。年に1回のミーティングでは、関連分野の講師をお呼びしてスキルアップしたり、グループトークで励まし合ったりしています。各地のサポーターさんに再会できる、私たちにとっても大切な時間です」
シブレッド:
受験や進学、就職は、その人の人生にとって大切な節目ですが、命という大きな課題の前では、それすら軽く見えてしまう。「お母さんが大変そうだから」と、進路について相談もできずに学校の三者面談も一人で受けた…、そんなエピソードも聞きます。
清田:
親御さんがわるいとか、誰かがわるいということではありません。
シブリングサポーター研修ワークショップは、「誰も責めずに、この問題をみんなで解決していきたい」ということを伝える研修です。
「子ども」がピンチの時には隣に大人がいてほしい。子どもも大人も大切にされ、自分にOKを出して過ごせる社会であってほしい。研修には、そんな思いがこめられています。

「研修にはきょうだいの立場の方も参加してくださいます。『私自身が“きょうだい”です。講義は、私の心の内が解放されているような感覚でした。話を聞く立場だったのに、聞いてくれてありがとうという気持ちになりました』『今日、会場に来ている方々が、きょうだいに寄り添いたいという気持ちを持った方たちなんだと思うと、とってもあたたかい気持ちになりました。私自身のこれまでを認めてもらったような、共感してもらえたような、本当にうれしい時間でした』。アンケートの回答に、この道で合ってるよ、と背中を押していただくようなコメントを書いてくださるきょうだいさんもいて、心を支えられています」

「たねまき戦隊シブレンジャー」は、シブレッドのほかにシブブルー・シブイエロー・シブブラック・シブグリーン・シブピンク・シブホワイトの合計7人のメンバー構成。「シブホワイトをやってくれていたボランティアさんがある日突然、作ってくれたシブブラック。現ブラックは実は2代目です。なんと大学の先生で、研究・実践の両面で日本一きょうだいさんを応援してくれる先生だと思います。シブサポ研修を主催してくれたこともありました。教授になった今もブラックとしてきょうだいさんの元に駆けつけてくれます。それでいて、常に初代をリスペクトしている謙虚な2代目。レッドにとって、尊敬する先生であり、頼れる相棒であり、きょうだいみたいに大切な存在です」
──きょうだいたちをどんなふうに受け止め、大切にしていくことができますか。
シブレッド:
きょうだいたちは「子どもとして当たり前にかわいがられる環境」がかなわない現実があって、だからこそ、「あなたがそこにいるのを知っているよ」「歓迎してるよ」「大好きだよ」「ここにいてくれてありがとう」ということを伝えることがすごく大切だと思っていますし、それがきょうだいさんにも伝わればいいなと思っています。
大人になったきょうだいさんが、「子どもの頃、病院の人が、自分の名前を呼んでくれたのが嬉しかった」と20年も30年も前のことを覚えていて、嬉しそうに話してくださることがあります。若い世代のきょうだいさんからも、「『ここにいていいよ』って言ってほしかった」という声を聞くことがあります。

「しぶたね20周年にあわせて、『青心貫徹成人楽団わさび』のみなさまが作ってくださったシブレンジャーのテーマソングにのせたPV作成プロジェクトが計画されました。ヒーローと言えば爆破の前で決めポーズ!ということで、実行のためのカンパを募り、爆破の聖地にシブレンジャー(に変身してくださる方々)が集結して撮影が実現しました」(このページの最後に、完成したPVのYouTubeを貼っています。ぜひご覧ください!)
清田:
きょうだいの環境として、「自分はここにいてもいいのかな」って戸惑いながらいる場所が多すぎると感じています。
多くの小児病棟では、感染予防などの理由から、子どものきょうだいは病棟に立ち入ることができません。家族と一緒に病院に来ても、きょうだいさんはたった一人、待合室やロビーで何時間も待たなければいけません。
シブレッド:
椅子に腰掛けていると、目の前を通る病院のスタッフさんたちは、忙しそうに目も合わせずに通りすぎてしまう。
決して無視をしているわけでも、わざと目をそらしているわけでもなく、医療者の方たちからすると「立ち止まっても、ゆっくり話を聞いてあげられない」という配慮ややさしさだったりもするんです。
だけど、目の前を黙って反応もなく通り過ぎられた時、何か自分の存在が無視されたような、「あんたはここにおったらあかん」と言われているような気持ちになる。
言葉はなくても、ちょっと目を合わせてニコッとしてくれるだけで、「自分は、ここにおってもええんやな」って、心がちょっと軽くなれるんです。
──確かに、本当にそうですね。

愛媛県で開催した研修のあそび体験の一コマ。「夏の暑い体育館でしたが、手をつないで行う鬼ごっこでは笑い声が響いていました。子どもたちに楽しんでもらうためにも、まず大人が『楽しい!』を体験できるといいなと思っています。注意が必要なポイントや、子どもたちの様子も解説するプログラムになっています」
清田:
研修でそのような話をすると「明日から、早速やります!」というふうに言っていただくこともあって、少しずつ、大人があなたを大切に思っている気持ちが伝わりやすくなっていくといいなと思います。
とある病院では、お子さんの退院の時、お子さんと親御さんに向けて、退院おめでとうの色紙を書いておられました。…でも、家族の色紙なのに、そこにきょうだいさんの名前はない。きょうだいのことを知ってから「お留守番がんばってくれてありがとう!」ときょうだいさんのメッセージも書いてくださるようになりました。
──自分のこと、自分が頑張ったこと、知ってくれているんだという気持ちになれますね。
清田:
名前を呼んでもらったことを嬉しく覚えているきょうだいさんのことをお伝えすることがあるんですが、大切なのは「名前を間違わずに呼ぶ」ことではないかもしれません。名前を知らないとか、全員の名前を覚えるのは難しいこともあります。
大切なのは「あなたに関心があるよ。あなたの名前を呼びたいと思っているよ」というこちらの気持ちが、相手に伝わるということ。「ごめん、もう1回お名前教えてくれる?」と聞いても、その気持ちは、ちゃんときょうだいさんに伝わると思います。

「2023年、静岡での研修の最後にサプライズでしぶたねの20周年をお祝いしていただきました。浜松では、聖隷クリストファー大学さんと、遠州こどもきょうだい会ミントモさん、静岡きょうだい会さんが手をつなぎ、公開講座やシブリングサポーター研修を重ねながら、きょうだい支援を地域に広げてくださっています」

2026年、東京都立小児総合医療センターにて、日本ケロッグ合同会社×認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング×NPO法人しぶたねで開催されたきょうだいさんが主役のイベント「ヒーロー集まれ!スマイルきょうだいフェスティバル」。「ご家族約274名の参加がありました。病院できょうだいのためのこんな大きなイベント、本当に嬉しかったです」
清田:
しぶたねを立ち上げて22年、きょうだいさんと会える場は、ずっと宝物です。イベントに来てくれるきょうだいさんたちには、「会えて嬉しい」「大好きだよ」「かっこいいね」と、毎回思いがあふれてしまいます。
シブレッドが毎回、イベントの終わりに「皆が楽しそうな姿を見ると、大人の僕たちも嬉しくなるんだよ。みんなにはそんな力があるんだよ。」とメッセージを伝えるのですが、レッドが話し始めると、きょうだいさんたちは「また始まった」という感じで遠巻きにレッドのことを眺めつつ、照れくさそうにモジモジし始めるんです。かわいいなと思います(笑)
──「レッドの部屋(シブレッドのへやのとびらあけておくね)」もずっと、継続して開催されています。
清田:
コロナ禍に始めたオンラインの集まりの場で、開催は300回を超えました。毎週金曜日の夜8時から30分間、「必ず開ける」と決めていて、元旦でも、駐車した車の中からでも、試行錯誤しながら必ず開いています。
がんばって来なくてもいいし、今日来られなくてもまた来週があるし、久しぶりに思い出して来てくれるのも嬉しいし。…つらいことがあった時、嬉しいことがあった時、どっちでもない時も、ふっと思い出して来られる場でいられたらと思っています。

「レッドの部屋」でみんなとおしゃべり。「さまざまな変化の中で過ごしているきょうだいさんたちなので、『レッドの部屋』は、いつも変わらず同じ曜日の同じ時間に開いている場でありたいと思っています。とはいえ週末は出張が入ることも多いので、各地から中継するということも起こり…この日は冬の夜、道の駅の端っこの小さな照明の下で、さすがにレッドも上着を着ていました(笑)」
──毎回、どのような感じなのですか。
シブレッド:
特に何かプログラムがあるわけではないので、「だし巻きたまごが焼けるようになったから見て」と料理の実況中継をしてくれる子がいたり、「制服を見せてあげる」と入学したばかりの中学校の制服を見せてくれる子がいたり、「幼稚園で太鼓を叩いてん」とお母さんに頼んで太鼓を叩く動画を見せてくれる子がいたり、中には寝落ちしかけている子や、ゲームをしながら参加してくれる子もいます。
皆それぞれのスタイルで参加してくれて、何気ない雑談をするだけの時間ですが、楽しく、心地よく感じてくれたりしてくれているんかなと思っていて、僕らも嬉しいし、すごく大切な時間やと思っています。

「日本調剤株式会社の方々が、シブリングサポーター研修を受講して、『きょうだいのための調剤体験イベント』を開催してくださっています。各地のきょうだい会とも連携しながら、大阪、東京、茨城、と、あちこちで可愛い白衣姿のきょうだいさんたちが、お菓子を使って調剤体験したり、薬局の中を見せてもらったり、優しさに包まれています」
ここからは「あきたきょうだいネットワーク」共同代表の徳原美紀(とくはら・みき)さん(29)にお話を聞きました。
徳原さんは自閉症の弟を持つきょうだい当事者で、2017年、大学生の時に秋田でシブリングサポーター研修ワークショップを受講。その後、きょうだい支援の活動に携わっておられます。

2026年8月に秋田で開催された「きょうだいのじかんなつまつり2026(シブフェス)」にて。「あきたきょうだいネットワーク」の皆さんとしぶたねのお二人。写真中央が徳原さん
──徳原さんは、2017年に研修を受けられたのですね。
徳原:
はい。私は3つ下の弟が重度の知的障害を持つ自閉症なのですが、特別支援教育の教員を志して入った大学のボランティア活動できょうだいのことやその支援があることを知り、その時にしぶたねさんの存在を知って、秋田で研修を受けました。
──きょうだいの当事者として、きょうだい支援のことを知った時、また研修ではどんなことを感じられましたか。
徳原:
私は弟のことが大好きで、障害があるから嫌いと思ったことがありません。ただ、言葉のコミュニケーションが難しく、彼の気持ちを推測するしかないところに、幼少期からもどかしさは感じていました。
きょうだいのこと、その支援のことを知ったときは「私も支援してもらっていいんだ」と感じたし、きょうだいの立場の人たちの研究があるということも、その時初めて知りました。
シブリングサポーター研修ワークショップでは、「確かにこういう気持ちがあった」と共感するところたくさんあって、自分が感じていたことを言語化してもらえた経験が、その後の活動につながっています。
大学生の時に秋田大学公認団体「SSA(Siblings Suport Akita)~きょうだいの時間~」を、大学卒業とコロナ禍を経て、2023年には「あきたきょうだいネットワーク」を設立し、きょうだい支援の活動にはずっと携わっています。

徳原さんが参加した秋田での研修の一枚。「大人が夢中になって、たくさん体を動かしたワークショップの一枚です。皆さん本気で、子どものように遊んでいました。清田さんのお話では、自分の子ども時代を思い出したり、そう思う人もいるんだなと新発見したり、モヤモヤが言語化された感覚でした」
──悩みやしんどさを感じられることはありましたか。
徳原:
高校生の時、親に「(地元である)秋田にいてよ」と言われたことがあって、それ以降、「自分は地元にいなきゃいけないんだ」と無意識に思い込み、だから進学も、地元でしたんです。
大学に入ってから、デンマークにある障害のある人もない人も共に学ぶ学校「エグモント・ホイスコーレ」に興味を持ちました。…行ってみたいけど、自分は秋田にいなくちゃいけない。そんな時、エグモントの人たちが静岡でキャンプをすると聞いて、国内だったら行ってもいいよね、とそのキャンプに参加したんです。
そこで出会った20代のデンマークの方に「エグモントに来ないの?」と尋ねられました。
グーグル翻訳を駆使しながら「いや、ちょっと家族が…」と話したら、「今、何歳?」と尋ねられて。「20歳だよ」と答えると、「デンマークでは、18歳以上はみんな大人で、みんなそれぞれ自立しなきゃいけない。もう大人なんだから、自分の道は自分で決めていいんだよ」って言われたんです。
その時に、「あぁ、そうか」って思えたというか。周りの他の方たちの後押しもたくさんあって、デンマーク留学を決めました。

弟と妹と徳原さん。「元気な姉妹に挟まれた弟。妹が成人した時に撮影した写真の一枚です。写真の時はピースをしてくれますが、動いているのでよくブレています。弟は発語はないですが、表情だったり、行動だったりで意思を示してくれます。子どものときは公園のいろんな遊具に弟を連れまわして一緒に遊んでいました。アスレチック施設や、動物園、プールなど、いろんなところに家族でお出掛けしました。外出先では、今でも私の腕を掴んで隣で歩いています」
徳原:
…留学を経てちょっと強くなって、それこそ今は、就職だったり住む場所だったり、「自分で決める」ということがちょっとできてはいるのかなと思います。
ただ、振り返ってみると、別に当時はなんとも思っていなかったのですが、人の顔色を伺ったり、家族の事情を優先したりということが無意識にあって、「自分で決めているつもりで、そうじゃなかったんだなあ」っていうことは感じます。
きょうだいとしての私なりの葛藤はあって、きっと同じように悩みや葛藤を抱えている方が少なくないんだろうなと思いつつ、私がしぶたねさんをはじめ、周りに助けてもらってそうと思えたように、「自分のしたいことをしていいんだよ」「自分の好きなものは、自分で決めていいんだよ」と思える、そのきっかけになれるような支援ができたらいいなと思っています。

2023年にクリスマスイベントを開催したときの一枚です。アイスブレイクで親子で風船バレーをしました。その後、しぶたねさんのお二人と一緒にアドベントカレンダーを作ったり、子から親へ、親から子へ、それぞれメッセージカードを作ってプレゼントしたりしました」

日本にドナルド・マイヤーさんとシブショップを伝えてくださった『きょうだい支援を広める会』の20周年イベントの集合写真です。今よりももっときょうだいへのサポートがなく、きょうだいが声を上げることすら難しかった頃から、地道にきょうだい支援を広げて来てくださった方々のおかげで私たちは今楽しく活動を進めることができています。この感謝のバトンを次世代に渡せるよう頑張りたいです」
──研修事業10周年、3,000人!清田さん、レッドさんは、各地の支援の輪の広がりをどのように感じておられますか。
清田:
研修を受けた方たちが各地で新たにきょうだい支援の会を立ち上げてくださったり、職場できょうだい支援を広めてくださったり、「他の人たちにも研修を受けてもらいたい」と地元や職場に呼んでくださったり、嬉しいことが本当にたくさんあります。
飛行機に乗るのは毎回、めっちゃこわいんですが、乗った先に大好きな人たちがいる!と思うと乗れます(笑)。
会えて嬉しいと思える人たちとこんなにつながれているなんてすごく幸せで、「やってよかったよね」ってレッドといつも話しています。

「2025年、山梨の『星つむぎの村』さんがお声がけくださり、山梨県で研修を初開催できました。大人になったきょうだいさん、きょうだい支援の研究をされている方、保健師さん、親の立場の方…さまざまな立場の方が集まり、きょうだいを思い、最後にみんなでプラネタリウムで星空を見たスペシャルな1日、宝物の日でした」
シブレッド:
研修を受けた人同士がつながって、お互いの職場や施設を見学したり、情報交換されていたり、この研修をきっかけに地域や全国のつながりもどんどん生まれていて、すごく嬉しいです。
シブリングサポーターは、きょうだいさんを一人にさせないためにスタートしたけれど、支援者さんにとっても「仲間がいる」「味方がいる」って思える、支援者さんも一人にならない場でもあります。
よかったこと、嫌だったこと、いろんなことをシェアして、気持ちが軽くなる。これからもそんな場であれたらいいなと思います。
──最後に、チャリティーの使途を教えてください。
清田:
チャリティーは、これまでに研修を受けてくださったシブリングサポーターさんが集うミーティングを開催するための資金、また、まだ開催したことがない地域でシブリングサポーター研修を開催するための資金として活用させていただく予定です。
ぜひ、応援いただけたら嬉しいです!

2024年、NPO法人になって8回目の総会にて。「法人化する前からずっと仲間でいてくださっている方々に報告や相談をして、大切なきょうだいさんたちのことを思い、『あー、楽しかった!』で終わる総会、しぶたねらしくていいなあと毎年思います」
インタビューを終えて〜山本の編集後記〜
きょうだいさんの置かれた環境や、きょうだいさんの抱く気持ちというものを、私たちもしぶたねさんとコラボをするまでは知らなかったし、考えてみたことがありませんでした。
きょうだいさんに限らず、誰でもそうだと思いますが、気にかけてもらえたらうれしいし、声をかけてもらえたら嬉しいし、大切にされたら嬉しいです。しぶたねさんとは2018年4月に初めてコラボをしていただいて以来、今回で4回目のコラボですが、私たちも毎回、清田さんとシブレッドさんに温かく包んでもらい、受け止めてもらい、元気をもらって「がんばるぞー!」という気持ちになります。
きょうだいさんたちにとって、気にかけてもらえる場、「君がいてくれて嬉しいよ!」を感じられる場が、もっともっと増えていくようにと願います。

【2026/9/21-27の1週間限定販売】
「各地にいる熱い皆さん、温かいまなざしとつながって、一緒にやさしい波を起こすイメージ」。しぶたねのお二人のそんな言葉をヒントに、波に乗って、正面を見据えてこちらへやってくるシブレッドと仲間たちを描きました。「いつでもどんな時も、波に乗って君の心へ飛んでいくよ」というきょうだいさんへのメッセージと、活動を通じて広がった、きょうだい支援の大きな波を表現したデザインです。
“Go!Go!Sibling supporters(それゆけ!シブリングサポーター)”というメッセージを添えました。
JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!