CHARITY FOR

「今ある島の豊かな自然と暮らしを、子どもたちにつなぎたい」。「島の宝」を、1000年先の未来へつなぐ〜NPO法人徳之島虹の会

鹿児島市から南へ約470km、沖縄本島から北東へ約260kmに位置する離島・徳之島(とくのしま)。日本の島では13番目の大きさ(約248 平方キロメートル)で、約2万人が暮らしています。

「自然、文化や歴史といった『島の宝』を、子どもたちへと伝えていきたい」。
島を愛する人たちが集まり、立ち上げたNPO法人「徳之島虹の会」が今週のチャリティー先!
2021年7月には奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が世界自然遺産として登録されましたが、一方で失われつつある島の自然、自然と結びついてきた島の暮らしを守りたいと活動を続け、今年で15周年を迎えました。希少動植物の盗掘、盗採などを防止するため、森のパトロール活動も行っています。

「種がひとつ、この島から消えていなくなることは、島全体のバランスが崩れることを意味します。たとえそれが、1mmや2mmの小さな生き物であっても、『ひとつぐらい、おらんくなってもええやん』っていうことはなくて、その存在がなくなることで、大きく変わってしまうことがあるかもしれない。今、島にあるものは、未来の子どもたちにそのまま残したい」

そう話すのは、スタッフの関延代(せき・のぶよ)さん。
徳之島の自然について、活動について、お話をお伺いしました。

お話をお伺いした関さん

今週のチャリティー

NPO法人徳之島虹の会

徳之島の豊かな自然や、そこに根付く歴史、文化など「島の宝」を知り、楽しみ、地域や子どもたちとともに守り伝える活動に取り組んでいます。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/7/27

「島の宝」を、1000年先の未来へつなぐ

中学校での環境教育授業の様子。「この時は、国立公園の喜念浜で野生化し繁茂する重点啓発外来種『ポトス』について学び、駆除作業に取り組みました」

──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。

関:
徳之島の豊かな自然や歴史、文化などの「島の宝」を知り、守り、楽しみ、伝える活動に取り組んでいる団体です。足元にある島の宝を知ってもらって、100年先、1000年先の未来へとつなげていきたいと活動しています。

「にじ」は、徳之島の方言で「仲間」を意味します。島を愛する仲間が集い、人と人、自然と暮らし、過去と未来をつなぐ、かけ橋(にじ)になることを目指して、「徳之島虹の会」と名付けました。2011年に団体を立ち上げ、今年で15周年になります。

徳之島の先人の知恵を学ぶワークショップ。「写真は、島の在来植物を使った親子参加型の草木染体験にて、葉っぱで染めた布を、冷たい川の水で洗い流しているところです」

関:
私たちが今、最も力を入れているのは、島の子どもたちへの環境教育です。
設立当初から主に小中学生を対象に、自然体験や動植物の観察会を行いその振り返りやまとめ学習などを行っています。
つい最近は子どもたちとビーチクリーンをしてごみを調べたり、ウミガメの産卵や痕跡を観察しました。また、草木を使った染め物体験や、昔のおもちゃ作りなど、歴史や文化も含めた徳之島の魅力と知識の普及、保全と継承に取り組んできました。

島の海岸植物・アダンの葉で風車作りに挑戦。「昔のおもちゃ作りは、子どもたちにも人気がある授業のひとつです」

──さまざまな魅力のある島なのでしょうね。

関:
そうなんです。ただ、徳之島の自然、文化や歴史を守り、後世へと残していきたいと思った時に、自分たちが島のことをよく知らなければ、他の人にも伝えられません。
まずは自分たちが島のことを深く知る必要があると活動を始めたのですが、島を知れば知るほど、壁にぶち当たりました。

──どんな壁ですか。

関:
島から失われつつあるものがあったことです。
大切なものが失われてしまっては、守ることも、後世に残すこともできません。

学校の前の浜にウミガメが上陸する小学校では、ウミガメをテーマに環境学習を展開。上陸産卵後の痕跡や孵化率調査など、専門員とともに海の環境について学んでいる

関:
ちょうどそんな頃、徳之島の自然に関しては、徳之島を含む奄美群島の世界自然遺産登録の話が持ち上がり、環境省から委託を受けて、自然の調査や保護活動なども行ってきました。

この島に生息するいきものや植物を守ろうとした時に、まずは自分たちが、そのために十分な、必要な知識を持っておく必要があります。さまざまな動植物のことを調べたり、専門家のお話を伺ったりしているうちに、希少種保護のためのパトロールやエコツアーの実施など、さまざまな活動へと発展していきました。

エコツアーガイドと行く鍾乳洞探検の様子。「琉球石灰岩が作り出す暗い地下の世界は、幻想的な非日常の世界です」

希少種や固有種のため、
盗難される動植物も

希少種保護のためのパトロール調査の様子。「希少種の生育確認や不法投棄の調査なども兼ねた自然保護パトロールは、島内全域で昼夜実施しています。写真は、昆虫トラップを発見し、設置者への注意書きを設置しているところです」

──パトロールもしておられるのですね。

関:
はい。最近の話でいえば、虹の会の会員が夜、パトロールをしながら生きもの調査をしている時に「見たことのないカエルがいる」と気づき、徳之島には本来生息していない特定外来生物の「シロアゴガエル」というカエルが入ってきていることがわかりました。

──島に入ってくる種もあれば、出ていく種もあるのではないですか。

関:
はい。徳之島の希少な野生動植物を採取し、島外へ持ち出して高値で販売されるということが起きています。
徳之島にしか生息していない植物や昆虫は、市場で、高値で売れます。それを目的に島を訪れた人が、島の人が知らない間に、貴重な動植物を持って行ってしまうということが起きています。

希少動植物の生育、生息調査の様子。「世界自然遺産登録地だけでなく、後継者育成を兼ねた調査を島内全域で一年中実施しています」

関:
以前、パトロールをしていた際に希少な植物を盗難している現場に遭遇したことがあります。なんと2,000株もの植物を盗っていました。現行犯だったので、警察の方が来て逮捕されました。
いまの時期だと、「クワガタ」ですね。

──確かに、珍しい種類のクワガタがいますよね。

関:
同じ奄美群島の中でも、島ごとにちょっとずつ色やかたち、名前が違ったりして、好きな方たちからすると「この島のクワガタのこの色がきれい」とか「赤っぽい色をしているのはこの島のクワガタだけ」などといって、手に入れたいということがあるようです。

私たちがパトロールを始めてから、シーズンの期間、多い時では1〜2週間に20人ほど、不審者に遭遇しました。販売目的の業者が、学生アルバイトなどを島に送り込むこともあるようです。

国立公園の中に国指定史跡がある「カムィヤキの森」での自然観察の様子。「子どもたちは、学校のすぐ近くに、自然と歴史、そして文化が詰まった森があることを実感します」

──海外で、希少動物の密猟の話などは伺ったことがありますが、日本でもそんなことが起きていたんですね。知りませんでした。

関:
最近は、SNSやアプリなどで、訪れた場所の写真などが、位置情報と合わせて、簡単に世界に向けて発信できてしまいます。写真や位置情報を公開する人に悪気はなかったとしても、そこに写っているのが、たとえば1株何万円もするような希少種だった場合、それを悪用する人がいるというのもまた事実です。

世界中で徳之島と奄美大島にのみ生息するアマミノクロウサギ。徳之島では足先の白い「シロタビ」と呼ばれるものが多くみられる

──そうなんですね…。

関:
植物は、自分では動けません。種が落ちて根を張った場所に、ずっと生育し続けます。
それが世界に向けて「ここに生えているよ」と公開されてしまうと、目の肥えた人の間で、あっという間に拡散されてしまいます。

希少種に関しては、「この種は希少だ」という知識がある人や、他の種との区別がつく人たちでしか守っていくことができません。なので「これは希少種なので採らないで」と情報公開をした方が守れるのか、しない方が守れるのか、どちらが良いのかという点は難しく、葛藤があります。

(写真左)徳之島の固有種トクノシマエビネ。(写真右)徳之島の固有種タニムラアオイ

「私たちにできることは
パトロールを続け、声をかけ続けること」

「世界自然遺産の森で、自然散策。鳥の声や風の音、小さな生き物を探しながら親子で会話を楽しみます」

──希少種を違法に採取した場合、罰則などはあるのですか。

関:
絶滅危惧種に指定されている種の中には、法律が絡んでいるものもあり、逮捕されます。それでも規制は甘く、2,000株を採取して現行犯逮捕された人も、50万円ほどの罰金で釈放されました。
植物自体が何十万で売買されることを考えると、少ない金額だと感じます。

絶滅危惧種ではない普通種であっても、徳之島固有の特徴があると、乱獲のリスクが出てきます。
採る側もしっかり知識があって、島内で採ってはいけないエリア、入ってはいけないエリアなどを十分にわかった上で、そこを避けるようなかたちで採取していたりします。

私たちにできることは、とにかくパトロールを続け、声をかけ続けること。
「あの島は、あの場所は面倒臭い」と認識されたら、わざわざここで採取しようという意識も持たれにくくなると考えています。

「海でも山でも川でも、子どもたちは元気いっぱい。街中から約20分の場所に豊かな自然があるのも徳之島の魅力です」

──確かに、そうですね。

関:
2023年から、徳之島虹の会の事務所がある伊仙町に関しては、全集落でクワガタムシの「トラップによる採集は禁止」という規制が出されました。島のこどもたちの楽しさを残すために、手や網で取ることについては、規制はかけていません。

──トラップによる採集とは、どのようなものですか。

関:
例えばバナナなどの果物を入れた罠を、昼間のうちに木に吊り下げてしかけておくと匂いに誘われクワガタがたくさん付きます。
絶滅危惧種ではなかったとしても、クワガタがいなくなってしまう。島の豊かな生物多様性は失われてしまうと、区長さんたちが集まって、トラップでの採取の禁止を決定しました。

徳之島で生まれ育った大人たちには、多かれ少なかれ、子どもの頃にクワガタをとった楽しい思い出があります。それを、子どもや孫にも同じように経験させてあげたいという気持ちをともに抱いていたからこそ、「全集落でのトラップ禁止」という決定につながったと思います。

アマミノクロウサギのロードキル多発地点に、事故防止看板を設置。「標語は、島の子どもたちが考えてくれたものです」

2021年7月には
世界自然遺産に登録

2017年、世界自然遺産登録の審査のために訪れたIUCNの調査員を、関係者とともに案内し、現地で保護に携わる団体として、徳之島の自然の豊かさと生物多様性について紹介した

──2021年7月には、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」として世界自然遺産登録されました。

関:
徳之島全体が自然遺産になったわけではなく、島の北部と中央部にある森のエリアが生物多様性の価値が認められ、世界自然遺産に登録されました。

自然遺産に登録されたエリアは、ゲートが設置されていて、エコツアーガイドや調査目的の研究者など、事前の許可を得た人しか入ることができない保護区域になっています。
ただ、エリアすべてが柵で覆われているわけではないし、24時間、前に人が立って監視しているわけではありません。

アマミノクロウサギのロードキル多発地点に設置したロードキル防止システムの実証実験の検討会

関:
ある時、ふと気づいたら、以前あったはずの植物が無くなっているということがあって、それがたとえばイノシシによるものなのか、人間によるものなのかということは、なかなかわからなかったりもするんです。

希少な植物に関しては、知識がないとなかなか、他の植物との見分けがつきません。
最近では、自然遺産登録エリア近くの工事や整備の際、環境アドバイザーの方に入っていただいて、希少種を移植したり、この植物は切らない方が良いといったアドバイスをもらったりして、少しずつですが自然に配慮したやり方を進めています。

「2021年7月26日、待望の世界自然遺産登録!世界自然遺産登録された森で、会員みんなでお祝いをしました」

「今、徳之島にあるものを残したい」

「徳之島の景色を語る上で欠かせないサトウキビ畑は、豊かな自然と先人の島の暮らしを今につなぎます。穂先で優しく揺れる満開のサトウキビの花は、この地ならではの光景です」

──関さんが、徳之島で「一番残したいもの」は何ですか。

関:
今、徳之島にあるものは全部残したいです。さまざまな動植物が急激に減っている現状があるので、これ以上減らしたくない。多様ないきものが生息する徳之島の自然、その生態系を、守っていきたいと思っています。

中には、私が苦手ないきものもいます(笑)。だけど、そのいきものも徳之島の大きな循環のひとつです。種がひとつ、この島から消えていなくなることは、島全体のバランスが崩れることを意味します。
たとえそれが、1mmや2mmの小さな生き物であっても、「ひとつぐらい、おらんくなってもええやん」っていうことはなくて、その存在がなくなることで、大きく変わってしまうことがあるかもしれないんです。

徳之島固有種のオビトカゲモドキ。世界中で徳之島にしかいない貴重な生き物

──そうですね…。私たちの目には見えていなくても、小さなところで大きく変わっていることがあるかもしれません。

関:
徳之島の人たちは、長い歴史の中で、島の豊かな自然と共に生きてきました。
生活の一部として、常に自然が人々の身近にあり、そこからさまざまなものを享受して生きてきたんです。
時代の流れと共に、人の暮らしと自然に距離が生まれてきていますが、離れたからといって、なくなっていいものではありません。

徳之島の生態系を語るときに外せないハブ。毒を持つことで恐れられているが、森を支える貴重な存在

関:
自然との共生を考えた時、昔の人たちが培い、つないできた知恵を、また次の世代の子どもたちへとつないでいくことがすごく大切だと思っていて、私たちがその一端を担うことができたら、活動には大きな意味があると思っています。

──関さんが感じる、徳之島の魅力を教えてください。

関:
徳之島にIターンして15年になりますが、まだまだ知らないことがたくさんあって、飽きることがないんです。

何かわからないことや知らないことがあった時、その度に先輩や親戚のじいちゃんばあちゃんに教えてもらって、その時は「なるほど」って納得するのですが、すぐにまた知らないことが出てきます。だから、飽きる暇がないんです(笑)。
徳之島で探究を続けている今が、とても楽しいです。

徳之島特有の赤土から生産される特産のバレイショ。「収穫最盛期には、子どもたちも一緒に収穫のお手伝い。自然観察会だけでなく農業体験などの体験活動も積極的に実施しています」

関:
そして、大人たちが全力で楽しんだり、島への愛を持って行動を起こす姿は、きっとこの島の子どもたちの心のどこかに記憶として蓄積され、伝わっていくと思います。

先日、二人の娘と「季節の花を見に行こう」と、森に入ったのですが、娘たちはヘビやカエルを見つけると「かわいい」っていうんです。
難しく伝えるのではなく、子どもたちが徳之島の自然や文化、歴史を身近に感じ、楽しく考えられる機会を、これからも作っていけたらと思っています。

今では毎年恒例となった金見崎海岸(国立公園)清掃会。当初30人ほどだった参加者が約10年で、300人を超えるボランティアが参加する大イベントになった。

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

関:
チャリティーは、徳之島の希少種をはじめとする自然や文化、歴史を守り、後世へと残していくための、さまざまな活動費用として活用させていただく予定です。ぜひ、応援いただけたら嬉しいです!

──貴重なお話をありがとうございました!

世界自然遺産登録が決定した際、島の宝が世界の宝になったことを証明する世界遺産認定証を手にした当時の環境省自然環境局長とともに、役員一同で撮った喜びの一枚

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

島の固有種が、販売目的で盗られているというお話は、とても胸が痛くなりましたが、しっかり向き合わなければいけない問題だと思いました。希少なものに価値がつき、高値がつくというのは、私たちも日々、見たり聞いたり、特別にすごいことというわけでもなく、経験しています。しかしそれによって、その土地や他の誰かにとって大切なものが失われているということが、ともすると起きているかもしれない。改めてそのように感じました。

・徳之島虹の会 ホームページはこちらから

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【2026/7/27-8/2の1週間限定販売】
アマミノクロウサギ、リュウキュウアカショウビン、トクノシマトゲネズミ、ハブ、オビトカゲモドキ、アマミハナサキガエル、オカヤドカリ、トクノシマヒラタクワガタ、トクノシマヤマタカマイマイ、ソテツ、タニムラアオイ、トクノシマエビネ、カズラ、オオアマミテンナンショウ…徳之島の動植物をたくさん描いたデザインです。円形に配置し、島の自然と人の暮らしの循環が豊かに、途切れることなく続いていく未来への願いを込めました。

“For the future of our island(私たちの島の未来のために)”というメッセージを添えました。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

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