CHARITY FOR

「命を買うのではなく、救うという選択を」。人間の身勝手に振り回される子たちがいるのを知って〜保護犬猫情報発信センター ラフスペース

ペットショップで、きれいに並べられて販売されている猫や犬たち。

その子たちは一体どんな環境で生まれ、どうやってそのペットショップまでやってきたのか。その子のお父さんやお母さんたちは、どこでどうしているのか。ペットショップには元気な子ばかりならんでいるけど、病気や障害のある子は、一体どうしているのか…。
そんなことを考えてみたことがありますか。

今週、JAMMINがコラボするのは、東京都調布市でオープン型保護猫シェルターを運営する「保護犬猫情報発信センター ラフスペース」。
主に繁殖のために働かされた猫や、ちょっとした理由で売り物にならないと放棄された猫を保護し、新たな里親につなぐ活動をしています。

「人の身勝手に振り回され、愛情に飢えたまま、一生愛情を感じることがないまま、終わってしまう命があります。そういう子たちを、助けられる限り助けたい。その思いに尽きます」。

そう話すのは、代表の根本真実(ねもと・まみ)さん。活動について、お話をお伺いしました。

お話をお伺いした根本さん

今週のチャリティー

保護犬猫情報発信センター ラフスペース

保護された猫たちが、体と心を癒しながら、新しい家族との出会いを待って過ごしている借り暮らしのお家です。里親を希望する人だけでなく、誰でも利用できる保護施設です。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/04/20

繁殖のために働かされた猫たちがいる、
オープン型の保護施設

保護施設の様子。「ラフスペースは、おひとり様あたり1時間1,000円のご寄付で、里親希望の方はもちろん、ふれあい目的でも利用することができます。また、フードバンクなど、お家で使わなくなったペットフードのご寄付も受け付けています」

──最初に、団体のご活動について教えてください。

根本:
ラフスペースは、主に繁殖のために働かされた猫や、売り物にならないからと放棄された猫たちを保護している団体です。保護施設では、心身を癒しながら、新しい家族との出会いを待っています。

繁殖のために働かされた子たちは、年をとったり弱ったりして繁殖できなくなると、行く場所がありません。
ほかにも、その猫種ならではの「見た目がかわいい」とされる特徴から少しでも外れていたり、生まれつきの持病や奇形があったりした場合、売り物にならないからと放棄されてしまう子たちがいます。以前は、動物実験に使われた猫も保護していました。

どんな方も訪問できるよう、保護施設をオープンにしていることも、ラフスペースの特徴です。

「常時20-30匹ほどの猫がいるため、日々のケアや投薬、トイレ掃除に加えて、なるべく清潔した環境を保てるようにしています。それでもなかなか手がまわらないため、ボランティアとして仲間になっている方も募集しています」

──なぜ、オープン型にされているのですか。

根本:
里親になることだけが、この問題の解決策ではありません。
里親希望の方しか保護施設に来られないとなると、まずこの問題を、広く知ってもらうきっかけが生まれません。

一人でも多くの方に「このような子たちがいる」ということを知っていただきたいという思いから、里親希望者以外の方も利用できる保護施設にしました。
保護猫カフェではありませんので、故意に抱き上げたり不要なスキンシップはできませんが、中には人懐こい子もいるので、自分から膝に乗ったり撫でられに行ったり…、ふれあいの場にもなっています。

ラフスペースで、ゆったり過ごす猫たち。「冬にはホットカーペットをつけて、猫たちが気持ちよく過ごせる場所を作っています。施設で仲良くなった猫もいますし、猫は苦手だけど人間が大好きという猫もいて、それぞれに個性がさまざまです」

店頭に並ぶ猫たちの背景とは

「動脈管開存症という先天性の心疾患を抱えており、売り物にならないからと放棄されたビオラちゃん。この病気は、1歳になる前に外科手術をすれば完治を目指すことができます。ビオラちゃんを保護をしたのは11ヶ月を迎える頃で、ギリギリのタイミングでした。預かりさんがそのまま家族になってくれて、穏やかな日々を過ごしています」

根本:
店頭で販売されている犬猫は、市場を介してそこに並んでいます。野菜や花の流通と全く同じかたちです。
市場(ペットオークション会場)は全国にいくつかありますが、その情報は、インターネットでも見つけることができます。

──そうなんですね。

根本:
野菜や花がそうであるように、市場のニーズにそぐわない場合、たとえば人気の種類や見た目ではないとか、病気や奇形、売れにくい年齢であるなど理由から「売り物にならない」と放棄される子たちがいるのです。

また、全国各地で繁殖された犬猫が市場に運ばれてくるわけですが、生後間もない頃で、輸送中に命を落としてしまう「ペット輸送死」も、社会問題の一つとなっています。

「脳神経に障害があり、生まれながらに動きが不自由だったミラちゃん・セナくんの兄弟。今は里親さんのご家庭で、幸せに暮らしています。ラフスペースは長毛の猫も多いですが、全員分のブラッシングまでなかなか日々手が回らないため、時間がある時にするようにしています」

──ラフスペースには、どんな猫ちゃんがいるのですか。

根本:
サイベリアンの「カヌレ」(推定3〜5歳)は、子猫を産むために自由を奪われ、命を搾取され続けてきた繁殖猫です。ゴキブリが大量発生した劣悪な現場より保護しました。

カヌレがいたのは、数年前まで栄えていたブリーダーのところです。
ご主人が他界後、奥様が一人になってからは掃除が行き届かなくなり、さらに持病によって入退院を振り返すようになり、あっという間に環境は破綻しました。
…それでも、劣悪な環境下で、最後の最後まで子猫を産ませて市場に出していました。

カヌレちゃんを保護した現場の様子。「カヌレちゃんは、おびただしい数の虫がいて、ひどいアンモニア臭のする、不衛生極まりない場所からレスキューしました。こういった環境にいる子達は、目が影響を受けることが多いです」

根本:
現場には60匹くらいの犬猫がいて、亡骸もたくさんありました。床や壁だけでなく、犬猫のご飯やお水にもゴキブリが入っていて、犬猫の毛の中にも虫が湧いていました。
糞尿を掃除せずに放置した室内は、アンモニア臭が立ち込め、目も開けてられないほどでした。この環境に長く身を置いていたことにより、目を悪くしてしまった子がたくさんいました。

…これが、ペットショップに並んでいる子たちが生まれる場所、そして、その子たちのお父さんお母さんが苦しんでいる場所の現実なのです。

現在、預かりさん宅で新しい家族との出会いを待っているカヌレちゃん。「超甘えん坊さんで、同じ場所からレスキューしたアマンドちゃんと仲良しなので、一緒のお家に行けたらいいなと思っています。預かりさんからのメッセージ:『カヌレちゃんはとても賢くて、自立して過ごしてます。朝起きると、よくお布団に乗ってます。人間が好きでと、人と深くたくさん関わることで輝く子だと思います』」

病気が放置される現実も

16歳でレスキューされたグラタンちゃん。右の写真は、ごはんをおいしそうに食べる姿。「これまで頑張って生きてくれました。低めの声で、ボランティアスタッフに『触ってー』とよくアピールする、かわいい子でした」
※【追記】根本さんにインタビューをさせていただいた後、記事を公開するまでの間に、グラタンちゃんは亡くなりました。グラタンちゃんのご冥福を、心よりお祈りします。グラタンちゃん、記事に登場してくれてありがとう

根本:
ノルウェージャンフォレストキャットのグラタン(16歳)は、ペットショップに並ぶ子猫を産むための道具として長く働いていましたが、高齢になってからもブリーダーが飼い猫として抱えており、最近になって保護した子です。

抱えきれなくなって放棄されたのですが、保護してすぐに顔が腫れ始め、受診したところ、扁平上皮癌と診断されました。顔の奥に病巣があり、完治を目指すことは残念ながら難しいです。

「2026年2月に病気が発覚し、副代表のお家の子になったグラタンちゃん。出血や下痢などが続いて大変な状況の中で、『一晩でも二晩でも一緒のお布団で寝てあげたい』という副代表の思いを受け取り、たくさんの愛情を受けながら1ヶ月半の家庭生活を思い切り堪能し、4月4日に、お空へと旅立ちました」

根本:
そんな状況でも、グラタンは腫れた顔で一生懸命、そして美味しそうにごはんを食べてくれます。彼のそんな姿を見て、顔の機能を失い、ごはんも食べられなくなってしまう外科的切除はせず、緩和ケアをしながら過ごしていくことにしました。

グラタンは先日、虹の橋を渡りました。

「もっと早くに、手放してくれていたら…」。そんな思いが頭をよぎる一方で、グラタンの人生(猫生)で、家庭猫としての穏やかで温かく、やさしい日々を少しでも過ごしてもらうことができて良かったと、心から感動しています。

──最期に、愛情に巡り会えてよかったですね。

グラタンちゃんの家族になった副代表の山田さん(左)と、家族ができたグラタンちゃんを抱っこする根本さん(右)

根本:
保護施設は猫だけですが、ボランティアスタッフの元で犬も数頭、保護しています。
カニヘンダックスフンドの「ピッコロ」は、動脈管開存症という先天性の心疾患があり、売り物にならないからと生後3ヶ月くらいの時に放棄された子です。

先天性心疾患である動脈管開存症は、1歳になる前に外科手術をすれば、完治を目指すことができる病気です。しかし治療をしなければ、若くして亡くなってしまう子がたくさんいます。…ペット産業の中では、この病気がわかっても、治療は行われません。

治療には高額な医療費がかかりますが、ラフスペースでは、動脈管開存症の子を積極的に保護しています。

動脈管開存症を理由に、売り物にならないからと生後2ヶ月でオークション会場で弾かれたピッコロちゃん。今は里親さんのもとで、幸せに暮らしている

「5年一緒にいよう」。
約束を守って天国に旅立った「ホープ」との出会い

ラフスペースで、思い思いに過ごす猫たち

──さまざまな背景の子たちを保護されているんですね。
中でも根本さんが特に印象に残っている子を教えてください。

根本:
これまでにたくさんの子を保護してきましたが、ラフスペースを始めて間もない頃に出会った「ホープ」との出会いは、とても衝撃的でした。ホープは繁殖猫として働かされた後、治験の猫として働き、その後私たちと出会って、最終的に私がひきとった猫です。

出会った時は、すでに9歳。
体を酷使してきたので、出会った時から見るからに具合が悪く、ケアが必要でした。

そのような状態の子を保護するわけで、正直、この子の猫生を最後まで引き受けられるのか、自信がなかったし、怖い気持ちもありました。しかし亡くなるまでの時間を共に過ごす中で、日々のなかにある愛情や、尽くす喜びを教えてくれた猫です。

「ホープは保護当時、体中傷だらけで縫合が必要な傷もありました。鼻が大きく捲れて腫れていて、ケージの内側から外に出たくて擦ってつけた傷だとわかりました。複数の臓器に炎症があり、持病を抱えてる状況だったので、出会ってすぐに闘病生活が始まりました」

──出会った時から、体調が悪かったんですか。

根本:
胆管に詰まりがあって、肝臓が悪かったんです。
手術の提案もありましたが、ホープへの負担があまりにも重くなってしまうため、病気をコントロールしながら過ごしていました。

重い背景を背負ってきた子たちの中には、自分の体を引っ掻いたり、舐め壊したり、尻尾を噛んだり、自傷行為をする子が少なくありません。ホープも例外ではなく、出会った時に、首元には縫合が必要なほどのひどい傷がありました。

一緒に生活をするうちにわかってきたのですが、ホープは一人でいる時に不安やストレスを感じ、体を掻きむしってしまうようでした。その傷から皮膚炎を発症し、一度、毛を短くカットしたことがあるんです。そうしたら体のあちこちに、鋭利な傷がありました。それだけ、自傷を繰り返していたんですよね。

──そうなんですね。

「出会った時から病気を抱えていたホープは、治療のために通院が必要でしたが、車での通院も楽しめるような子でした」

根本:
保護してしばらくは、いつも目を見開いて私のことを見ていました(笑)。最初の3ヶ月間ほど、ホープが寝ている姿を見たことがありません。
でもしばらく経ってから、ようやく初めて、体を丸くしてリラックスしている姿を見た時は嬉しかったし、「傷を癒して、こうやって精神的に自立していくんだな」と思いました。

5年の歳月を共に過ごしたのち、ホープは最終的に、肺がんでなくなりました。
原発性の肺がんでしたが、これは猫のがんのなかで2%ほどという非常に珍しいものです。獣医さんからも「どんな環境にいたのか」と尋ねられました。

この時、私はホープの過去を思わざるをえませんでした。
一般的に、肺がんの原因としてはアスベストやたばこが考えられますが、ホープはきっと、過去にいた繁殖場の糞尿が垂れ流しの環境で、アンモニアを高レベルに吸い続け、肺にダメージを受けたのではないかと思います。

糞尿垂れ流しの環境下に何年も暮らす猫たちは、皮肉にもその環境に慣れながら、目が潰れたり、慢性的な目やに、下痢など、身体的な不調に悩まされます。このような環境下での精神的な負担も、非常に大きいです。
…憶測なので、事実はどうなのかわかりませんが、ホープの場合は、治験で使われた薬剤の影響もあったかもしれません。
彼との出会いを通じて、いろんなことを感じたし、考えました。

──そうだったんですね。

ホープと根本さん。「こんなにも心身ともに距離感の近い子は初めてで、また唯一無二の存在です。いつも真っ直ぐに愛情を与えてくれて、また受け取ってくれる温かな子でした。ホープの体調が回復していき、また分離不安や自傷行為から解放されて心身ともに満たされていく猫生に寄り添いながら、わたし自身も豊かな時間を過ごし、多くの学びや成長があり幸せでした」

根本:
出会った時の状況があまりに酷かったので、「ホープと長く一緒にいることを願ってはいけない。今、一緒にいられるこの瞬間を大切にしよう」と思っていました。
だけど、ホープとの愛おしい時間が増えるにつれ「もっと長く一緒にいたい」と思うようになりました。

「ホープ、5年一緒にいよう」。
願いを込めてそう約束したことがあるのですが、ホープはそれを本当に守ってくれて、出会って5年後に亡くなりました。…それは、当初の医学的な予想を遥かに超える年月でした。

「もっと早くに、ホープと出会えていたら…」。そう思う一方で、繁殖と治験、ずっと人間の身勝手のために酷使されてきたホープの猫生の最後に、こうして出会い、一緒に時を過ごすことができて本当に良かったと思っています。

ホープはすごく甘えん坊で、愛情や欲求がとても強い子でした。そんな姿にも魅了されましたし、こんなにも愛情に飢え、愛情を求めている子に、命を搾取され続けた過去の日々があるということが、本当に悲しかったです。

今でも、私の胸には、ホープとの日々が刻まれています。

未熟児で保護したリッシュくん。「生まれて数ヶ月でお空に旅立ちましたが、兄弟やミルクボランティアさんと、愛情いっぱいの日々を過ごしました」

「知った上で、納得できる選択を」

飼い主が孤独死した現場に取り残されたタクマくん。「ご遺族も迎えられないとのことで、ラフスペースに相談があり保護しました。保健所行きを免れてよかったです」。人間になかなか懐かなかったタクマくんだが、最期は根本さんの膝の上で、虹の橋を渡ったという

根本:
見えないところで、ホープのように愛情を求めている子が、たくさんいます。
…愛情に飢えたまま、一生愛情を感じることがないまま、終わってしまう命があります。

そういう子たちを、助けられる限り助けたい。その思いに尽きます。

──私たちに、何ができるでしょうか。

根本:
ペット産業は、2兆円近い規模の市場です。この市場が、今すぐなくなるということはないでしょう。
店頭に並べられているペットが、一体どんなところで生まれたんだろう、お父さん、お母さんはどうしているんだろう、どうやってここまできたんだろう…、そういったことを、ぜひ考えてみてほしいし、知ってほしい。

その上で「自分はどうするのか」を、納得して選択してもらえたらいいなと思います。

「人懐っこい子や若い子はすぐにお声かけがありますが、アピールが苦手で、長年ラフスペースにいる子たちもいます。ぜひ気軽にラフスペースに来ていただき、それぞれの個性を見ていただき、保護猫を救うという選択肢を持っていただければ嬉しいです」

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

根本:
チャリティーは、ラフスペースで保護している犬猫たちの医療費や食費などのために活用させていただく予定です。ぜひ、アイテムで応援いただけたら嬉しいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

ラフスペースが開催するチャリティバザーにて。「高額な医療費が必要な時など、定期的にチャリティバザーを開催しています。今回のチャリティーグッズ販売でも、ぜひ皆様から多くの応援をいただけると嬉しいです!」

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

個人的な話ですが、ひょんなことから猫と一緒に暮らすようになって7年、それぞれの猫に、当たり前ですが個性があり、楽しみにしていることや好きなこと、嫌いなことがあって、今日を一生懸命に、純粋に生きているということを日々感じます。個性も表情も豊かな猫たちに、こちらがいつも、励ましてもらったり、笑わせてもらったり、感動させてもらったり。
…それはどんな猫も、どんな命も同じであるはずで、そもそも私たち人間が、売るとか売れるとか、都合が良いとか悪いといったことを、勝手に決めても良いのでしょうか。ペットがパートナーであるのだとしたら、「パートナーとはどういうことなのか」ということを、改めて考えてみる必要があると思いました。

・保護犬猫情報発信センター ラフスペース ホームページはこちらから

09design

【2026/4/20-26の1週間限定販売】
繁殖のために働かされる命があるという切り口から、片目を閉じたミヌエット、立ち耳のスコティッシュフォールドなど、あえて純血種の猫と犬を描きました。

役に立たないから、売れないからと切り捨てられる命。でも本当は皆が、温かな愛情を必要としている。それぞれの命の輝きに気づく人が一人でも増えるようにという願いを込めて、”Everyone sparkles in their own way(皆が、それぞれに輝きを放っている)”というメッセージを添えました。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

logo-pckk                

SNSでシェアするだけで、10円が今週のチャリティー先団体へ届けられます!
Let’s 拡散でチャリティーを盛り上げよう!
(広告宣伝費として支援し、予算に達し次第終了となります。)