CHARITY FOR

重い病気と共に生きるこどもと家族、みんなが笑顔になれる時間を届けたい〜NPO法人北海道こどもホスピスプロジェクト

「小児がんをはじめとする重い病気や障がいと共に生きるこどもとその家族が、病院と自宅以外で、安心して笑顔で過ごせる時間や空間をつくりたい」。

北海道で、地域と共に歩むこどもホスピスを目指して活動するNPO法人「北海道こどもホスピスプロジェクト」が今週のチャリティー先。

「治療中はどうしても、やりたいことは病気が治ってからねとなりがちです。だけどこどもにとっては、遊びも含めてすべての経験、その一瞬一瞬が、成長のプロセス。制限のある中でも、一人ひとりの『やりたい』に寄り添えたら」。

そう話すのは、理事長の奥田萌(おくだ・めぐみ)さん、副理事長の白坂(しらさか)るみさん。

活動について、お話をお伺いしました。

お話をお伺いした奥田さん(写真左)、白坂さん(写真右)

今週のチャリティー

NPO法人北海道こどもホスピスプロジェクト

生命を脅かす病気(重い障がいや難病、小児がんなど)と共に生きるこどもと、その家族に寄り添いながら、地域と歩むこどもホスピスを目指して活動しています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/02/09

「家族みんなが
笑顔になれる時間を届けたい」

「くまさんち」202号室。「家族だけで、ゆっくりのんびり過ごしてもらう場所です」

──今日はよろしくお願いします。最初に、活動について教えてください。

奥田:
重い障がいや難病と共に生きるこどもとその家族の「家族の時間を大切にする」ということを軸に、いくつかのプロジェクトを実施している団体です。

病気で入院している時間が長いと、家族で過ごす時間がどうしても短くなります。家族みんなが笑顔になれる時間を届けたいと思って活動しています。

白坂:
ひとつが、患児とその家族の滞在施設「くまさんち」の運営です。
現在、札幌市内にあるマンションを2室、申し込んでくださったご家族に向けて開放しています。

他の滞在施設との大きな違いは、それぞれが完全に独立した一室で、他のご家族との共用スペースがないことと、私たちスタッフも最初の受け入れの際はお会いしますが、それ以外は、ご家族だけで過ごしていただくということです。

(写真左)「くまさんちでは、季節の飾りつけを大切にしています」。(写真右)「編みぐるみが得意な方から、宿泊するこどもたちへのプレゼント」

白坂:
私たちの活動は、すべて「家族の時間を大切にする」というところから始まっているので、「くまさんち」に関しては、入院の付き添いのご家族のみの滞在は、お受けしていません。治療中の患児さんも一緒での利用とさせていただいています。

家具や寝具、食器、おもちゃ、洗剤やシャンプーなども揃っていて、ご家族がゆっくり、周りを気にせずに家族だけの時間を過ごしてもらえる空間です。

ここ札幌には、北海道大学病院、札幌医科大学附属病院、札幌北楡病院など、北海道内で小児がんをはじめとする重い病気の治療を行う病院が集中しており、治療のために、北海道各地から患児とご家族が来られます。

北海道は非常に広く、車で長時間かけて自宅と病院を行ったり来たりするのは、ご家族にとっても大きな負担です。「くまさんち」があることで移動の負担が少しでも減り、家族の大切な時間を過ごしてもらえたらと思っています。

「ボランティアスタッフがお部屋を整えてお迎えします」

──確かに。長距離移動というのは、広い北海道ならではの課題ですね。

奥田:
はい。朝9時に札幌の病院で診察を予約していたとしたら、たとえば函館から、午前2時に家を出て、車を走らせて来られるご家族がいます。

1〜2ヶ月に1度の通院だとしても、往復9時間も10時間も運転するというのは、すごく大変です。「くまさんち」を利用いただけたら、たとえば前日に札幌入りしてここに宿泊し、ゆっくり休んで翌日の診察に備えることもできますし、あるいは診察の後、ここに宿泊して、ゆっくり休んで自宅に帰ることもできます。

白坂:
外泊許可が出た時も、遠いご自宅まで行って帰って、というのは、ご家族だけでなく患児さんにとっても大きな負担になります。
入院中、きょうだいとは面会することができないので、外泊許可が出た時に、きょうだいさんや他の家族に札幌まで来てもらって、「くまさんち」で一緒にたくさん遊んだり、家族の時間を過ごしたりすることができます。

──移動の負担が減る分の、家族でゆっくり過ごせるんですね!

くまさんちを利用したご家族(お母さんときょうだいさん)からのメッセージ

本人も、きょうだいも、
家族みんなが楽しめるアウトドアイベント

アウトドアイベントにて。「秋のサホロ湖でカヌーを楽しんだ後、カボチャのランタン作り!患児さんもきょうだいさんも、みんなが楽しみます」

奥田:
他にも、アウトドアやコンサートなど、家族みんながわくわくするイベントを届ける活動もしています。

病気の治療中、お子さんとその家族が外に遊びに行くには、さまざまなハードルがあります。医療機器をつけていたり車椅子に乗っていたりお子さんも安心して参加できるよう、万全の配慮をしながら、家族みんながのんびり楽しめるキャンプを、2019年から開催しています。

──どんなことをされるのですか。

奥田:
毎年、支笏湖(しこつこ)でカヌーピクニックとキャンプを開催しています。メインのイベントは、みんなでカヌーに乗ること。アウトドア専門のガイドさんがサポートしてくださって、お子さんの障がいや病気の状況に合わせて、それぞれが楽しめるよう配慮しています。

「心地よい風の中、カヌーは支笏湖を進みます」

奥田:
参加されるご家族には、事前にお子さんの症状を細かくお伺いします。
看護師とアウトドアガイドのスタッフが、一人ひとりの症状を踏まえて、どういった配慮が必要かを事前にメールや電話でしっかりやりとりした上で、当日に備えています。

カヌー以外にも、みんなで焚き火をしたり、ハンモックに寝転がったり、虫を捕まえたり、近くの温泉施設で疲れを癒したり、宿泊組はテントから星空を眺めたり…、盛りだくさんの内容です。

──楽しそうですね。

東川町にある「キトウシ森林公園」で開催した「のんびり秋の森たんけん」イベント。「保護者もこどもも、スタッフも!みんなでどんぐりや栗、変わった形の落ち葉など、思い思いの『秋』を拾いました」

白坂: 
準備はすべて、運営スタッフが行います。参加するご家族は、来て、とにかく思い切り遊んで、笑顔で帰っていただく場所です。

家族に病気や障がいがあると、外出、ましてアウトドアを楽しむことは、どうしても難しいです。このピクニック&キャンプには、家族にスタッフがしっかりついてサポートするので、きょうだいさんも思いきり遊べます。
「普段できない体験ができて楽しかった」「家族揃って楽しめて嬉しかった」などという満足の声をいただいています。

「支笏湖でカヌーを楽しんだ後、みんなでお昼ごはんを食べます。そしてこどもたちはハンモックで遊び、大人はゆったりコーヒータイムを愉しみます」

白坂:
連携病院さんにチラシを置いていただいたり、参加してくださったご家族が口コミで広めてくださって、昨年の初夏のキャンプは、13家族の参加がありました。
人数にして46名で、さらに30名以上のボランティアスタッフが加わり、総勢78名での開催となりました。

北海道どこの地域でも、どんな病気や障がいがあってもアウトドアを楽しめるように、支笏湖以外のエリアでもどんどん実施して、活動を広げていきたいと思っています。

キャンプ場にて、お昼ごはんを食べるボランティアスタッフの皆さん。「スタッフも、ご家族と共に”今”を楽しむことを大切にしています」

「治療中も、大切な成長の時間。
限られた中で、わくわくできる体験を」

おもちゃを詰め込んだガチャガチャを持って、病院訪問する活動も

奥田:
ある日突然、病気で入院しなければならなくなったお子さんとその家族の生活の変化、そこからの大変さというのは、さまざまな支援もあるものの、なかなか制度の中だけでフォローしきれない部分があると感じます。

そしてまた、病気と向き合うこどもたちにも、こどもとして失われてはいけない時間があります。家族と過ごしたり、きょうだいやお友達と遊んだり、喧嘩したり‥本来であればそこで培われる成長の時間が、治療のためにどうしても制限されてしまう。

「イベントを通じて、きょうだいさんもまた、同じ気持ちを共有できるお友達に出会います」

奥田:
もちろん命を守ることが最優先ではありますが、病院では賄いきれない部分、ずっと治療をがんばって、我慢していることがたくさんあるから、限られた範囲になるかもしれないけれど「ここでは遊んでいいよ」「好きなことをやってみよう」というふうに、入院中でも可能な限り、わくわくできる時間をお届けしたいと思っています。

白坂: 
治療中はどうしても、「(やりたいことは)病気が治ってからね」となりがちです。
だけどこどもにとっては、遊びも含めてすべての経験、その一瞬一瞬が、成長のプロセスです。病院の方にも理解と協力をいただいて、プラスアルファのところをサポートできたらと思っています。

「病気や障がいがあってもなくても、みんな一緒に、思いっきり今を楽しみます」

「今、やりたいこと」を支援する

「十勝リハビリテーション病院(帯広市)の施設をお借りして開催した、重い病気や障がいと共にあるこどもとそのご家族を対象にしたコンサートの様子です。音楽を聴くだけではなく、演奏体験や体を動かしたり歌ったり、自由に愉しむ雰囲気も大切にしています」

──お二人が活動を始められたきっかけを教えてください。

奥田:
私は19歳の時に、父親をがんで亡くしました。
「お父さんのがんが治ったら、旅行に行こう」「体調が良くなったら、食事に行こう」…、「よくなったら」といろんな計画を立てていましたが、結局、その計画がかなうことはありませんでした。

その時に思ったのは、良くなってからの「未来」ではなく、「今」を大切にしないといけないんだということです。

こどもの頃の奥田さん。お父さん、弟さんと。「父はカメラマンでした。アウトドアが好きで、ユーモアがあり、休日はいつもいろんな場所に連れて行ってくれました。父が元気になったら、また家族でキャンプをしたり、ドライブをしたいと思っていました」

奥田:
病気と向き合っているこどもたちとそのご家族のことを知った時に、「今を生きる、今を大切にするということを、自分なりの視点で応援したい」と思い、2018年に、最初はボランティアとして、北海道こどもホスピスプロジェクトに加わりました。

──ボランティアで参加されたのがスタートとのことですが、現在は代表を務めておられますね。

奥田:
実は「北海道こどもホスピスプロジェクト」は、別の一般社団法人として活動をスタートしています。
2023年12月に、全く新しく「NPO法人」として団体を立ち上げ、お金の流れもすべて見えるようにしました。

おかげさまで現在は認定NPO法人となり、少しずつ活動の幅も広げています。変わらずに応援してくださるご支援者さんや企業の皆さんには、感謝しかありません。

北海道にこどもホスピスの文化を根付かせるため、地域企業との連携にも力を入れている。(写真左)北海道日本ハムファイターズ・宮西尚生投手と。(写真右)北海道コンサドーレ札幌のマスコットキャラクター・ドーレくんと

──白坂さんはいかがですか。

白坂: 
私は20代の頃、看護師として脳神経外科で働いていました。もう30年ほど前ですが、その時にドイツのホスピスで働かせていただく機会があったんです。
日本ではホスピスや緩和ケアという概念がやっと入ってきたというような頃で、ドイツでの体験は、私にとって大きな衝撃でした。

──どのような体験だったのですか。

白坂:  
エイズとがんの末期の患者だけが入所する、10床しかない小さなホスピスでしたが、「本人がやりたいように、最期の時間を過ごす」ことが徹底されていました。

白坂さんが訪問したドイツのホスピス。「写真の右、3階建ての建物が勤務していたホスピスです。その前に小さく私が写っています」

白坂: 
朝起きて、何を食べる、何をする、そういったことがすべて、本人に委ねられていて、スタッフたちはそれをかなえるために、チームで関わっていました。

「今日はカフェで過ごしたい」という患者さんがいたら、スタッフが付き合いますし、食事も毎食決まったものが出るわけではなく、「こういう食材があって、こういうメニューだったら作れるけど、何が食べたい?」と、料理人の方が一人ひとりに聞いて回っていました。

食べたいものを作ってもらったとしても、病気の影響で一口しか食べられなかったり、吐いてしまったりする患者さんもいます。それでも「作ったって、食べられないでしょ」と、それを事前に止める人は誰もいませんでした。

「紅葉やどんぐりのモチーフを貼り、親子で季節の手形アートを楽しんだ時の一枚です。どんなこどもも体験できて、自分を表現できることを大切にしています」

白坂: 
本人が食べたいと望むのなら、ひとくちでも食べられたら良いし、ふたくち食べて吐くかもしれないけど、それよりも「食べたいものを口に入れられる喜び」が大切にされていました。

「ここは一人ひとりの『やりたい』を選んで良い場所なんだ」と思いましたし、それがすごく良いなと思いました。一人ひとりに向き合いながら、やりたいこと、ありたい姿がかなえらる場所が、ドイツのホスピスだったのです。

──そうだったんですね。

白坂:  
帰国後、人ともっとゆっくり向き合いたい、生や死とも向き合うためにもう少し勉強したいと思い、心理を学びました。
心理士として働いている時にこの活動と出会い、2022年から参加しています。

「のんびり秋の森たんけん」にて、森で見つけた大きな葉っぱに穴を開けて、仮面で「わぁ!」

「北海道に、ホスピスの文化を築いていきたい」

「キャンプでは、地域の方々から食材をご提供いただき、美味しい食事ができ上がります」

──今後の展望を教えてください。

奥田:
これまでの活動を続けつつ、北海道こどもホスピスプロジェクトとして、小さくて良いので拠点を持って、同じ経験をした当事者や家族が気軽に集える場所を持てたらと思っています。

拠点があれば、もっとたくさんの方に関わっていただいて、北海道にホスピス文化が根付いていくきっかけになるし、もっといろんな方たちと一緒に、病気や障がいのあるこどもたちの「やりたい」を応援できる。今はまだ点で存在しているものが線でつながって、コミュニティを築いていけるんじゃないかと思っています。

「北海道大学病院小児緩和ケアチーム『KiC』が北海道大学祭にレモネードスタンドを出店した際、イベント運営をサポートさせていただきました。北海道大学病院小児科には、クリスマスにバイオリンによる演奏をお届けしています」

奥田:
病気や障がいと闘うこどもたちの「やりたい」を応援すると同時に、みんなで「よりよく生きる」社会を作り出していくようなコミュニティを、少しずつ築いていきたいです。

小さな団体で、一度にたくさんのことはできないですが、関わってくださる方たちとのつながりを大切に、応援団を増やしていきたいです。

小児がんを経験した中学生〜大学生のこどもたちと、新たな活動をスタート。「記念すべき第1回目は、ニセコのヴィラを1泊2日で有志の方にお借りし、4名のこどもたちとのお泊まり企画。病気のことは、話しても、話さなくてもいい。同じ経験をした仲間がいること、経験を共有できる友達がいることを、自然に感じてもらえたら──。こどもたちが主体となって楽しめる企画をしていきたいと思っています。写真は、お泊まり企画の道中で立ち寄った道の駅。奥に見えるのは羊蹄山です」

──読者の皆さまにメッセージをお願いします。

白坂: 
病気と向き合いながら自分たちらしく生きるお子さんとその家族がいるよということを知ってもらえたら嬉しいです。

──チャリティーの使途を教えてください。

奥田:
今後も、入院治療中のこどもたち、またご家族の皆さんもワクワクできる時間や体験を届けていきたいと思っています。
皆さまからのチャリティーは、さまざまなワクワクを届けるための活動費として活用させていただく予定です。ぜひ、応援いただけたら嬉しいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

「2026年1月、札幌駅前通地下歩行空間チ・カ・ホで開催された札幌市主催のこどもの権利イベントに、北海道こどもホスピスプロジェクトとして出展しました。当日は、こどもたちに『病気になっても、やりたいことや挑戦してみたいことを諦めなくていいよ』がそっと伝わるように、制作したこども向けの絵本を無料配布しました。他にも、のんびり遊べるぬりえのコーナーや風船のプレゼントも。その子だけでなく、お友達やきょうだいが病気になったり入院した時にも、頼れる場所があるんだということを思い出してもらえたら嬉しいです。写真は、イベント終了後のスタッフの集合写真

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

北海道を満喫できるキャンプイベントがとっても楽しそうだなあと思いながらお話をお伺いしました!

お子さんの病気の治療中、お子さんと家族をまるごと受け入れて、一緒にいろんなことを楽しめる場所があれば、どんなに心強く、嬉しいでしょうか。
そのためには、やはり各地域の中にそのような文化が温かく、広く根付いていく必要があって、いろんな人が関わり合っていくことで、それが醸成されていくんだと思います。
皆さんがお住まいの地域は、いかがでしょうか。

・北海道こどもホスピスプロジェクト ホームページはこちらから

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【2026/2/9-15の1週間限定販売】
ワクワクするさまざまなものを詰め込んだバスケットを描きました。
心にいつも「ワクワクのバスケット」を携えて、病気や障がいがあっても、楽しいことや好きなこと、やってみたいことに挑戦したり、その気持ち自体が大切にされる環境を、みんなで一緒につくっていこうという思いを込めたデザインです。

【ワンポイントデザイン】
バスケットを彩るアイテムの中から、テディベアとコーヒー、クローバーを選んで描きました。確かにある「今」を、やさしく、楽しく、穏やかに過ごそうという思いを込めました。

“Let’s go on an adventure(冒険へ出かけよう!)”というメッセージを添えました。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

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(広告宣伝費として支援し、予算に達し次第終了となります。)