CHARITY FOR

オオミズナギドリも、猫も、人も…。「いのち」が安心して暮らせる島を目指して〜御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会

イルカと泳げる島として人気の伊豆諸島・御蔵島。
この島は、オオミズナギドリの世界最大の繁殖地でもありますが、2000年頃から、人間が持ち込んだ猫が野生化して激増し、オオミズナギドリを捕食するようになりました。

「鳥を食べているからといって、猫が悪者にされたり、殺処分されたりするのは違う。オオミズナギドリも猫も、この状況を招いた僕たち人間社会の犠牲になっている。島の猫たちを保護して里親につなげることで、オオミズナギドリの生息地も守りたい」。

そう話すのは、「御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会」を立ち上げた長谷川潤(はせがわ・じゅん)さん、草地(くさち)ゆきさん。
お二人ともドルフィンスイマーとして長年御蔵島に通い、ツアーガイドも務めておられます。

お二人に、御蔵島で起きていること、そして島での活動について、お話を聞きました。

お話をお伺いした長谷川さん(写真左)、草地さん(写真右)

今週のチャリティー

御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会

かつてオオミズナギドリの世界最大の繁殖地だった御蔵島にて、オオミズナギドリの命を守り、オオミズナギドリを捕食する野生化猫たちを人の元に「帰す」ために活動しています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2026/01/26

御蔵島のオオミズナギドリを守るため
野生化猫の捕獲・譲渡活動を行う

猫の捕獲活動の様子。御蔵島の森の中で、捕獲器をセットする長谷川さん

──今日はよろしくお願いします。最初に、ご活動について教えてください。

長谷川:
私たちは団体名の通り、御蔵島のオオミズナギドリを守るための活動をしています。
オオミズナギドリを食べてしまう野生化猫を捕獲・保護し、もちろん殺処分をしないで、人馴れをさせて新しい里親さんにつなぐというのが、主な活動です。

2016年に活動をスタートし、現在までに330匹を譲渡しました。現在は、自宅のシェルター、預かりボランティアさん宅、そして保護猫カフェに、里親さんを待っている猫たちが105匹います。

──猫が、オオミズナギドリを食べてしまうのですか。

草地:
オオミズナギドリは、基本的には繁殖・子育ての時間以外、ほとんど海上で生活する海鳥です。

日本では御蔵島、伊豆諸島の利島(としま)、京都の冠島、新潟の粟島(あわしま)などが繁殖地として挙げられますが、もともとは外敵となる肉食動物がいない島で繁殖していた鳥で、伊豆諸島の有人島では、御蔵島と利島以外の島ではすべて、オオミズナギドリは現在繁殖が確認されていないと言われています。

御蔵島のオオミズナギドリ。「オオミズナギドリは体長約49センチ前後の海鳥で、翼を広げると約120センチにもなります。海の上で長距離を飛行することは得意ですが、離陸と着陸が苦手です」

草地:
陸上での動きは鈍く、離着陸も上手ではありません。着陸の際は木の枝にぶつかることで減速し、ポトッと地面に落ちるように着地しますし、離陸の際は木の上や崖の上など高いところから飛び降り、風に乗って上空に上がります。

地面に落ちた後にしばらく動かないこともありますし、陸ではとっさの時に素早く動くことができないため、猫にとっては捕食しやすいのだと思います。

──そうなんですね。

草地:
環境省の調査によると、御蔵島には1970年代、推定175万から350万羽のオオミズナギドリが繁殖しており、世界最大の繁殖地でした。しかし2016年の調査では推定11万7,000羽まで減少してしまったというデータが出ていて、その数を大幅に減らしていると考えられています。

──そこに、猫が関係しているということなんですね。

長谷川:
「御蔵島のオオミズナギドリが減っている理由は、ほぼ間違いなく猫である」ことは、さまざまな調査研究から明らかになっています。

御蔵島の野生化猫の糞分析などいくつかの調査から、猫の8割近くが一昼夜のうちにオオミズナギドリを食べている、という結果が出ています。またこれに猫が生きていくのに必要なカロリー量などのデータを勘案して計算した結果、「猫1匹あたり年間330羽のオオミズナギドリを捕食している」と推測されています。

つまり、御蔵島に100匹の猫がいたら、年間3万3千羽のオオミズナギドリが食べられているということになります。

オオミズナギドリの幼鳥を捕獲したノネコの若齢個体。自動撮影カメラによる写真(提供:御蔵島野生化ネコ捕獲プロジェクト)

2000年ごろより、野生化した猫が
オオミズナギドリを捕食するように

長谷川さんが御蔵島から迎えた「ポルカ」。「2016年に御蔵島村役場によって捕獲され、新宿の動物病院で里親募集されていた元野生化猫です。譲渡された時はまだ人馴れ途上でしたが、穏やかな性格で、今は誰にでもフレンドリーです」

──そこで、猫を保護して里親につなげることで野生の猫の数を減らし、捕食されるオオミズナギドリを減らそうということなんですね。

長谷川:
はい。僕は、猫も大好きなんです。
「鳥を食べている」ことで猫が悪者にされるのは違うと思っていて、猫もオオミズナギドリも幸せになれる道を示せたらいいなと思っています。

断崖絶壁に囲まれた御蔵島は波を遮る港がないため、特に海が荒れることが多い冬場は漁ができない日が多く、船が長い間欠航することもあり、島の方は限られた資源での生活が必要だったそうです。
そのため島の方は漁などに様々な制限を設け、獲れた物は最大限活用するなど、生態系のバランスに配慮した暮らしをしていらっしゃったと聞いています。

猫を入れたキャリーを持ち、定期船「橘丸」に乗船する長谷川さん

──それではなぜ、猫たちがオオミズナギドリを減らしてしまう事態になったのでしょうか。

草地:
御蔵島には、肉食の哺乳類はこれまで生息していなかったとされています。
とはいえ古くから猫が居た記録は残っているのですが、それでも猫の数が非常に少なかったのか、鳥の数には特に影響は出ていないようでした。

しかし2005年には、鶏小屋の鶏が猫に襲われて全滅するという事件が起こり、猫の問題が島で周知されるようになりました。「なんとかしないと」と、村役場でも、この年を境にTNR活動が始まりました。

長谷川:
僕たちがこの活動を始めたのは、御蔵島でオオミズナギドリの研究をされていた、山階鳥類研究所の岡奈理子先生との出会いがきっかけです。
岡先生が毎年のように森に入って調査していた中で、2000年を過ぎたあたりから、それまでは見かけることのなかった首のないオオミズナギドリの死体や、猫の糞を見かけるようになった、と伺っています。

その岡先生のご活動を受け継ぎ、さらに動物愛護団体や自然保護団体の先輩方にアドバイスをいただきながら、私たちの活動がスタートしました。最初は年間十数匹程度の活動でしたが、研究者の方や島の方とも協力しながら、現在は年間100頭規模での活動になりました。

現在は、国立の研究施設の研究者や大学院生、島民が参加する「御蔵島野生化猫捕獲プロジェクト」の一員として活動している。プロジェクトメンバーの皆さんと、野生化猫が多数生息する御蔵島「赤沢」の森にて

草地:
こうして活動して改めて、生態系のバランスが崩れるのはあっという間で、元に戻すにはこんなにも大変なのだと感じます。逆にこれほど素晴らしい大自然がずっと残されてきたことを思うと、島の方たちの生態系に配慮した長年の暮らしぶりに改めて感銘を受けました。

私たちはこの素晴らしい大自然を少しでも元に戻すことが出来たらという思いで活動していますが、決してそれだけではなく、猫にとってもこの活動は必要なように感じています。

時々「大自然の中でのびのびと暮らしている猫を連れ出すのはかわいそうだ」というご意見をいただくことがあり、私自身、もしかしたらそうかもしれないと思っていた時期もありました。御蔵島の気候は比較的温暖ですし、食べ物も豊富なように見えるからです。

しかし御蔵島は、台風時の実況中継でよく見る八丈島の隣の島。夏には猛烈な台風を乗り切らないといけませんし、冬になると食べ物が激減し、雪が降ることもあります。実際にやせ細った猫が捕獲されることも多く、外での暮らしは猫にとっても非常に過酷なものだと感じています。

シェルター「森ネコの部屋」でボランティアさんに抱っこされる茶トラの猫。「御蔵島の猫の多くは、人に対しても猫に対してもフレンドリーです」

猫たちを島外に運び、避妊去勢や人馴れをして
里親につなぐ

捕獲器に入った猫を確認する草地さん。「捕獲器の設置場所や捕獲器に入れる餌の種類は、現在は研究データに基づいて決めています」

──どうやって猫たちを捕獲されているのですか。

長谷川:
現在は、国の研究機関の研究者が中心となって立ち上げた「御蔵島野生化猫捕獲プロジェクト」の一員として、島の方、研究者の方たちと一緒に取り組んでいます。

冬場は渡り鳥であるオオミズナギドリが島にいなくなり、猫が飢えて捕獲しやすくなるため、1月から2月にかけて島中に約100台の捕獲器をしかけます。ここ数年はこの時期に100匹前後の猫を捕獲しています。
捕獲器を仕掛けている日は毎日見周りをして、猫がかかっていたら保護します。ただし天候が悪かったりするような時は、すべての捕獲器の扉を閉め、猫が入れないようにしています。

──捕獲後はどうされるのでしょうか。

長谷川:
島にある猫一時待機施設に運び、島を出るまでの間、島の方たちがお世話をしてくださいます。島を出る船に乗せられる猫の数は限られていて、さらに冬場は海が荒れて船が欠航になることも多く、島外に運ぶまでに時間を要することもあります。

また、この施設で預かれるのは20匹程度なので、ここに入りきらない時は、10名以上いる島の預かりボランティアさんのお家で預かっていただきました。

「島の預かりボランティアさんにお預けした、体重1kgに満たない子猫です。幼い猫は体調を崩しやすく、暖かくて人の目が届く場所で飼養する必要があるため、島民ボランティアの存在はとても重要です」

草地:
船に乗って御蔵島を出た猫たちは、私たちが竹芝桟橋(東京都港区にある旅客ターミナル)まで迎えに行きます。ピーク時には、連続でお迎えがあることもあります。

引き受けた猫たちは自宅シェルター「森ネコの部屋」に運び、速やかに獣医師の先生に寄生虫駆除やワクチン接種、ウイルス検査などの基本的な医療処置をしていただいた後、隣町にある外猫専用の病院で避妊去勢手術をしています。

草地:
基本的には医療処置が完了するまで猫は自宅シェルターに留めておかなければならないのですが、シェルターで受け入れられるのはせいぜい50頭が限界。医療処置の完了には約3週間かかるため、シェルターはあっという間に満杯になってしまいます。なので、島から送られて来たばかりの、医療処置をまだしていない猫の預け先を確保しなければならないと思っています。

シェルターのキャパシティ不足で、御蔵島の猫一時待機施設にいる猫の搬出を待ってもらうこともあります。しかし御蔵島の待機施設も満杯になってしまうと、捕獲自体を制限せざるをえなくなってしまう。それだけは避けたいと思っています。

村役場の施設である猫一時待機施設にて、ネコのお世話をする島民のボランティアさん

──その後、里親さんを探されるんですね。

長谷川:
はい。その前に、なるべく預かりボランティアさん宅などで預かっていただくようにしています。

シェルターにはたくさんの猫がいるので、一匹一匹に対しては、どうしても基本的なお世話で精一杯です。なるべく人が手をかけて、譲渡先でもかわいがってもらえるようにと思っているので、20人ほどいる預かりボランティアさんのご自宅や、協力してくださる保護猫カフェさんなどで、猫たちが人と触れ合えるように心がけています。

御蔵島の猫のみの保護猫カフェ「たまゆら」(東京都中央区)で、店長さんに遊んでもらう元野生化猫たち

──里親さんは、どうやって探されるのですか。

長谷川:
譲渡会を開催すればより多くの方に猫を見ていただくことができるのですが…、いつもと違う環境だと猫たちがどうしても緊張してしまい、本来の姿を見ていただくことができません。

最も自然な状態を見てもらえたらという思いから、現在はホームページやSNSなどで里親募集中の猫を掲載し、シェルターや預かりボランティアさん宅でお見合いをしています。

シェルター「森ネコの部屋」にて、猫と触れ合う里親希望者さん。「人馴れ途中の猫はケージに入れていますが、馴れてきた猫はフリーにして、人や他の猫と積極的に触れ合えるようにしています」

草地:
私たちのホームページは「保護猫」や「里親」などで検索しても上位表示されるわけではないですし、シェルターは決してアクセスが良い場所ではありません。

保護猫を迎えたいというだけでなく、御蔵島が好きだったり自然保護に興味関心が高かったりするような方が、いろいろと熱心に調べている中で辿りついてくださって、「猫の里親になることで、野鳥も保護できる」というところに共感し、ご連絡をいただくことが多いと感じます。

長谷川:
そこからは、他の保護猫団体さんと同様、一度ご自宅を訪問して、飼養環境の確認などを行っています。「完全に室内飼い」に同意していただけていないと感じたり、その猫に愛情を持っていないと感じられたりする場合は、お断りすることもあります。

一般の家庭に譲渡された「エクレア」ちゃん。先住猫も御蔵島出身

「本当に大変な時、彼らを助けられなかった」。
東日本大震災での後悔を胸に

御蔵島のドルフィンスイムでの光景。「人間に好奇心を持つ赤ちゃんイルカと、赤ちちゃんを守りながら泳ぐイルカの群れ。イルカは群れで行動し、メスは協力し合いながら子育てを行います」

──活動のきっかけを教えてください。

長谷川:
僕も草地も、野生のイルカと泳ぐために御蔵島に長いこと通ってきました。
僕は大学生の時、小笠原の父島で初めてダイビングを体験し、すっかり海の世界にハマってしまったのですが、この時に知り合ったダイビング仲間から「御蔵島でもイルカと一緒に泳げるよ」と教えてもらって、初めて足を運んだのが1997年。小笠原とはまた違った魅力があり、すぐに虜になりました。

──動物はお好きだったのですか。

長谷川:
2004年、仕事で犬の殺処分に関する展覧会に携わったことがきっかけで、動物愛護活動に興味を持ちました。お付き合いのあった保護団体から猫を譲渡してもらい、一緒に暮らすようになりました。2007年のことです。

長谷川さんが最初に家族に迎えた「クッカ」(キジ白)と「しじみ」(白)。「島根で動物保護の活動をしている方より引き取りました。しじみは家に来た時点で完全に人間に馴れていましたが、クッカは3年かけて、膝に乗ってくれるようになりました」

長谷川:
その後、2011年に東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故が起こりました。

原発から20キロ圏内が「警戒区域」として立ち入り禁止になるという話が出た時に、「人が立ち入れなくなるということは、飼われている犬や猫は皆、放置されて死んでしまう。そうなる前に動物たちを救出に行こう」ということで、動物保護に関わる知人たちの多くは福島に向かったのですが…、僕は行けなかった。
放射能が怖かったし、当時の自分には動物をレスキューするノウハウもなかったからです。

このことは現在に至るまでずっと、自分の中で悔しさとして残っています。
自分に何ができるのか、悶々しながらいろいろと調べていくうちに、宮城県の石巻市に被災動物のシェルターができるという話を聞いて、震災直後の3月末からシェルターが閉鎖される10月までの約半年間、ボランティアとして被災動物のお世話に関わらせてもらいました。

東日本大震災の後、ボランティアをしていた頃の一枚。「福島県飯舘村に残された犬との散歩。村内のいたるところに、放射能を含む除染土が入った黒いフレコンバッグが山積みになっていました」

長谷川:
その後は、福島県内の被災動物シェルターや、村内に動物が取り残されている福島県飯舘村へ、数年間動物のお世話をしに通っていました。
地震や津波は自然災害ですが、原発事故は人災。被災地の東北に通うのは、同じ人間が起こした事故で死んだり苦しめられたりしている動物たちに少しでも償いをしたい、という気持ちからでした。

震災から5年ほど経った頃、久しぶりに御蔵島を訪れた時に、役場が作った野生化猫の里親募集のポスターを目にしました。その時に初めて、島で起きているオオミズナギドリと野生化猫の問題を知ったのです。

その時はまさかこのような活動をすることになるとは夢にも思わず、「大好きな御蔵島の猫を家族に迎えよう」と思い、御蔵島の猫の預かりと譲渡を行っている都内の病院を調べる中で知ったのが、御蔵島でオオミズナギドリの研究と野生化猫問題の「旗振り役」をなさっていた山階鳥類研究所の岡奈理子先生の存在でした。

活動をはじめて間もない2017年1月、山階鳥類研究所の近くの手賀沼にて、岡奈理子先生と

長谷川:
岡先生とやりとりするうちに、この問題が緊急を要する状況にあることを知りました。
御蔵島のオオミズナギドリや猫も、福島の原発事故で被害にあった犬や猫と同じように、人間社会の犠牲になっているのではないか。そう感じ、放っておくことができませんでした。

原発事故の後、動物たちが一番大変な時に、僕は彼らを助けに行くことができなかった。その悔しさは今でも心に刻まれています。

自分が大切だと思うものがいつの間にか消えていても「ああ、自分にはどうしようもなかったんだ」と言い訳することはできるし、誰もそのことを責めはしないと思いますが、「あの時自分がやっていれば、助かる命があったのかも」という思いは、もうしたくなかったので、御蔵島で活動することを決意しました。

シェルター「森ネコの部屋 サテライト」で暮らしている、とても人懐っこい「クッキー」くん。「3歳になりますが、まだ子猫の面影を残しています」

「島からたくさんのものを享受してきた。
自分にできることで、島に恩を返したい」

「御蔵島で潜っていたら、産まれて間もない赤ちゃんイルカを連れた群れが、こちらにやってきてくれた瞬間。ただ向こうから来てくれる時が、何よりも嬉しく幸せです」

──草地さんはいかがですか。

草地:
私はドルフィンスイムのガイドとして、長谷川と同じように何十年も前から御蔵島に通い、海に入り、イルカと泳いできました。そんな中で、イルカだけではなく島の自然にも目を向けてもらえたらと思いながらも、この活動について最初は知らなかったんです。

御蔵島の自然や動物たちからたくさんの感動をもらっているのに、私が自然や動物たちに何かできていることはあるのだろうか。…そう感じて、少しでも自分にできることをやりたいと思いました。
当時はまだ岡先生が活動していらっしゃったので、自分のダイビングショップで集まったお金を、活動に寄付することを始めました。2016年のことです。

──そうだったんですね。

草地さんのダイビングショップでのチャリティースイム。「協力者の方のアイディアで『海に愛を送ろう!』と、2人1組でハートを作って記念撮影をしました。収益は全て寄付し、活動費に当てました」

草地:
私はダイビングインストラクターとして、ツアーガイドを生業としています。
20代の頃からダイビングにハマり、海や海の生きものの素晴らしさに感動して各地の海を訪れるにつれ、傷ついた生きものや自然の姿も目の当たりにするようになりました。
「海に入る」と言うと響きは良いですが、それによって自然によくない影響を与えている事実があって、地球や動物に申し訳ないという気持ちが常にあったんです。

そんな中で決定的だったのが、20年ほど前にアメリカのフロリダで、マナティーと泳いだ時の出来事でした。
ボートのプロペラで尾びれや背中に傷がついたマナティーが、それでも人間を疑わずに近づいてきてくれて、すぐ横で寄り添ってくれたり、私の手をモグモグしたり、向き合っておでこにくっついてきたり…。

さらに帰る時には、私の後を追いかけてきてくれて。あまりにも嬉しくて切なくて、涙が出ました。なお、現在はボートとの接触を防ぐためのさまざまなルールが設けられ、傷ついたマナティーを見かけることはとても少なくなりました。

「猫の捕獲のために冬の森に入ると見かける、ヤブツバキの花です。冬の寒い山道の中で力強く咲くこの花を見かけると、心がホッとします」

草地:
…こんなにも傷ついているのに、信じて人間を疑わない純粋な命。
ありがとう、申し訳ないという気持ちがどんどん芽生えていく一方で、自分にできることがあるんだろうか、何ができるんだろうと、行動を起こせずにいました。

しかし長谷川をはじめいろんな人との出会いの中で、自分ができることを、少しずつ見つけられるようになったんです。
私と同じように「何かしたいけど、何をして良いのかわからない」と感じている方は少なくないと思います。「一歩踏み出せば、できることがあるかもしれないよ」っていうこと、「まずは気軽に参加できるよ」ということも、この活動を通じて伝えたいと思っています。

フリーダイビング金メダリスト・岡本美鈴選手が活動に賛同し、岡本さんが率いる海洋保全PR活動団体「マリンアクション」を通して、オンライン配信やチャリティーなどのイベントを開催。マリンアクションの活動には、岡本さん、草地さん、日本代表でもあるフリーダイバー武藤選手も加わり、3人で呼びかけを行っている

「大切な地球を自分の手で、一緒に守っていこう」

「2026年1月、御蔵島の里で見た夕景。多忙な島での活動の合間に出会う美しい空は、大きな癒しです」

──最後に、メッセージをお願いします。

長谷川:
この問題に限らず、たとえば海ごみの問題、地球温暖化による気候危機、クマ被害の問題もですが、海や陸で起きている多くの問題において、僕たち人間は加害者でもあり、被害者でもあります。
誰かを悪者にして批判するのは簡単ですが、「自分も当事者なんだ」という視点を持つと、きっと物事は、また違って見えてくるのではないかと思います。

2019年、御蔵島へ向かう玄関口である竹芝客船ターミナルにて、5ヶ月間にわたって開催された「御蔵島の森ネコ写真展 in 竹芝~森からやってきた、愛すべき猫たち」。「『なんだ、普通のネコじゃないか。』のキャッチコピーの下、野生化猫のマイナスイメージを払拭し、親しみを持ってもらうことを目的として開催しました」

長谷川:
僕らのような活動を全員がやる必要はまったくなくて、皆さんが少しずつ身の回りの問題を「自分ごと」にして関心を持って行動を起こしてくれたら、きっと僕らだけでやるより100倍も1,000倍も良い世の中になるのではないかと思っています。

「誰かがやってくれるだろう、誰かが守ってくれるだろう」というのは幻想に過ぎず、そう思っているうちにいつの間にか失われてしまうものがあることを、僕は東日本大震災での経験から学びました。
皆さんが大切に思っている動物の命や自然の景色を守るために、小さなことから、ぜひ一緒に初めてみませんか。

──チャリティーの使途を教えてください。

草地:
チャリティーは、保護した猫たちが健康で快適な暮らしを送れるよう、キャットフードやトイレの消耗品(猫砂、トイレシート)などの購入資金として活用させていただく予定です。

支援物資として現物寄付していただくものを除き、キャットフードとトイレ消耗品には年間およそ120万円がかかります。この部分の支出を減らすことができれば、その分を猫たちの医療費に回すことができます。ぜひ、応援いただけたら嬉しいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

2024年、シェルター「森ネコの部屋」にて

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

今、まさに御蔵島の捕獲活動がピークで、猫たちの対応に多忙を極めておられます。そんな中でコラボの機会をいただき、いろいろとお話を聞かせていただきました。

お二人のお話から感じたのは、この地球に生きる純粋な動物たちの命への、深い深い愛情でした。そしてそれは、お二人が御蔵島をはじめ各地の海で、大地で、触れ合ってこられた動物たちから感じ、得てこられた愛情そのものなのではないか、その愛を反射し、循環しておられるのではないかと感じました。

私たち人間は、動物や自然を生かすことも殺すことも、守ることも守らないこともできます。ただ忘れてはならないことは、私たちもまた、自然の一部であるということ。皆さんの生きたい未来は、どこにあるでしょうか。

・御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会 ホームページはこちらから

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【2026/1/26~2/1の1週間限定販売】

御蔵島をバックに、オオミズナギドリ、猫、イルカが同じ方向に向かって進む様子を描きました。
それぞれの命の輝き、日々の暮らしの尊さ、それらが守られるように、未来へ向かって進んでいこうという思いを込めたデザインです。

“ALL LIFE IS PRESCIOUS(すべての命は尊い)”というメッセージを添えました。

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