
一昔前は家の外で飼われていた犬や猫ですが、今や家の中で飼うのが一般的になりました。しかし、うさぎに関しては、学校飼育において屋外の冬は寒く、夏は暑い小屋で、病気や怪我、体調不良を見過ごされて飼われているうさぎが少なくありません。
また最近では、レンタルで学校にうさぎを貸し出すようなサービスも出てきているといいます。
「命を預かる側の責任が何も問われず、まるで命をもののように扱うやり方に、倫理観として疑問を抱きますし、こどもたちに命の大切さや正しいことを教えるはずの学校で、責任を放棄して、都合よく動物を飼うということが当たり前に起きていることに対し、懸念しています」
そう話すのは、長年うさぎの飼育と終生飼養の啓発を行ってきた一般社団法人「リバティ」代表の藤田敦子(ふじた・あつこ)さん(58)。
飼育の廃止や取りやめを決めた学校もあるものの、まだまだうさぎの命が粗末に、軽く扱われている現状。活動について、お話を聞きました。

お話をお伺いした藤田さん。うさぎの保護施設にて
一般社団法人LIBERTY(リバティ)
うさぎの正しい飼育知識と終生飼養の啓発を行いながら、うさぎを保護し、新たな里親探しを行っています。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2025/12/29

大阪市内にあるリバティさんの保護施設にお伺いしてお話を聞きました。現在、ここでは16匹の保護うさぎのお世話をされています
──今日はよろしくお願いします。団体の最近のご活動について教えてください。
藤田:
正しい飼い方を知ってもらうための啓発活動や、学校で飼育されているうさぎの飼育アドバイスをしながら、行き場のないうさぎや劣悪な環境で飼育されているうさぎの保護・譲渡活動を行っています。
この1年に関しては、病気で飼えなくなった、飼っていた方が亡くなった、生活環境が変わって飼えなくなったという相談が多かったように感じます。
多頭飼育崩壊も各地で起きており、ここ数年、うちで関わった福井の60匹、神奈川で200匹、他にも100匹単位のうさぎの多頭保護が複数の地域でありました。

福井県内で起きた60匹の多頭飼育崩壊の様子。「飼い主が病気でお世話出来なくなり、増えてしまったそうです。地元の犬猫ボランティアさんが、うさぎを山に捨てに行くというのを聞きつけてお世話に入ることになり、私共で保護することとなりました。行政や獣医師会にもご協力いただけたので、飼い主ご家族とのやりとりもスムーズに進みました」
──すごい数ですね。
藤田:
うさぎは繁殖力が強く、オスとメスを一緒にすると、あっという間に数が増えてしまいます。これだけの数になると、一度に全頭を保護するのは難しく、福井の時は、うちの団体と、地元の犬猫ボランティアさんとで、1年かけてうさぎを引き取り、もう1年をかけて、ボランティアさんのところにいたうさぎたちを引き取るというかたちで、トータルで2年弱かかりました。
地元のボランティアさんの協力と、また直接、現地でうさぎを受け入れてくださった里親さんもいて、少しずつ譲渡が進み、福井のうさぎに関しては、施設にいるのはあと2匹になりました。

福井の多頭飼育崩壊の現場から来た「もこちゃん」。「膿瘍により目を圧迫されたことで、眼球が飛び出ていました。眼球摘出手術をしましたが、残念ながら手術後、亡くなってしまいました」
藤田:
多頭飼育崩壊は、学校でも起きています。
福岡の学校では、20匹まで数が増え、そのうちの8匹を引き受け飼育は廃止になりました。
現在関わっている大阪の学校では、30匹の多頭飼育崩壊が起きており、順次引き受けています。
ただ、リバティは保護団体ではありません。「小さないのちと、そのいのちのために頑張っている人を応援する」ことをモットーにしており、これは活動を始めた23年前からずっと変わらずに抱いている思いであり、今後、啓発活動にもっともっと注力していきたいと思っています。
──そうなんですね。
藤田:
個人からの引き取りは基本的に受けていません。これまでは、遺棄され警察や行政経由で相談のあったうさぎや、悪環境の学校のうさぎの引き受けもしてきました。
しかし今後の啓発活動にもっと力を入れられるよう、保護活動についてはセーブしていかなければならないと考えています。

多頭飼育崩壊の現場から保護された「りりちゃん」。「りりちゃんは、食いしん坊でトンネル遊びが大好き。ごきげんで小さなことは気にしない性格です。特に食べ物の気配を感じた時と、お気に入りの人間を見つけると嬉しさを抑え切れないのか、ギュイギュイと声を出して駆け寄ってきます。保護した時は背中に大きな膿瘍があり、すぐに手術となりましたが、食欲旺盛で手術後の回復も早かったです。里親さんは東京から大阪の施設まで会いに来てくださり、お届けの際も一旦大阪まで来てくださって、私と里親さんとりりちゃんとで東京のご自宅に向かいました。うらやましいくらい大切にしてもらい、幸せに暮らしています」

「夏休み期間中でもある8月、とある学校の飼育小屋に入った際に目に入ってきた光景です。このうさぎは暑さでぐったりした様子で、この場所から動かなかったため連れて帰りました。耳をかじられていたり、体にも噛まれた傷が複数ありました」
藤田:
うさぎの学校飼育の問題については、誰かが声をあげて解決の方向に持っていく必要があり、これまでもずっと携わってきました。
大阪は少しずつ、学校飼育が減ってきています。
私たちが携わってうさぎを引き取った学校については、以後、飼育の廃止を約束していただいています。今はうさぎがいるけれど、「このうさぎを最後に、うさぎの飼育をやめる」と表明している学校も少なくありません。
一方で、学校へのうさぎのレンタルサービスがあるような地域もあって、なかなか全国的に、学校飼育を減らしていくことの難しさを感じています。

「この学校では、飼育小屋に日差しをしのぐ屋根がありませんでした。うさぎたちは、直射日光を避けるためにわずかな柱の陰に身を寄せて、暑さをしのいでいました」
──うさぎのレンタルですか?!
藤田:
はい。小学校などの教育機関にうさぎをレンタルする業者があります。
獣医師会が率先して貸し出ししている地域もあります。
レンタルサービスを利用している学校は、冬休みや夏休みの間や、もしうさぎが病気になっても業者に返せばよいわけです。
命を預かる側の責任が何も問われない、まるで命をもののように扱うこのサービスについて、倫理観として果たしてどうなのだろうと疑問を抱きますし、こどもたちに命の大切さや正しいことを教えるはずの学校で「責任を放棄して、都合よく動物を飼う」ということが当たり前に起きていることに対して、懸念しています。
──確かに…。

劣悪な学校飼育の現場から保護された「アイスちゃん」。「耳もかじられて、身体のあちこちにも噛まれた傷や毛が剥げている箇所がありました。鼻水が固まって鼻の穴がふさがれているような状態で、ふやかしたタオルで拭くと、鼻がとれたと思ったくらい、大きなかさぶたが取れました。預かりボランティア宅で大切にお世話をしていただいたおかげで人馴れも早く、新しいお家も見つかり、この1月中に移動が決まっています」
藤田:
うさぎのレンタルについては、昨年あたりから私のところにも何度かご相談がありました。
他の小学校から、別の小学校に移動させたりもしているようです。しかし残念ながら、日本にはこういったことを罰する法律がなく、どうすることもできません。
公立の学校の場合、教育委員会と話をして、おかしなことを改善していただくようなやりとりができるかもしれません。しかし私立の幼稚園や小学校になってくると、ほぼ一般家庭で飼っているのと同じ状況で、行政も立ち入れず、なかなか入り込めない現実があります。
──改善が、なかなか進んでいかないのですね。
藤田:
私たちの活動拠点である大阪に関しては、ありがたいことに各地の教育委員会や学校と話をさせていただいて、こういったおかしなことがない状態を今のところ何とか保てています。
しかし今、活動を弱めてしまったら、状況は一気に崩れてしまうでしょう。声を上げられないうさぎたちのために、まだまだこの問題を知っていただく必要があると思っています。

「学校の飼育小屋の環境改善のために土をならし、屋根には遮熱シートを張り、直射日光を避けるために簾をかけました。8月の暑い中、ボランティアさんたちも頑張ってくださいました」

「このうさぎも学校飼育から保護した子です。まだ生後3カ月ほど、1㎏にも満たない小さなうさぎでしたが、耳にはカビが生えていました」
──学校飼育の現状・問題について、詳しく教えてください。
藤田:
学校飼育については、適正な飼育方法を知らない先生方が飼育しているという、飼い方に大きな問題があります。
何十年も前から変わらず、野ざらしの飼育をずっと続けている学校が多いです。
夏は暑く、冬は寒い外の小屋で、病気や怪我があっても放置され、適切な治療が受けられない状況で飼われているうさぎたちがいます。これは虐待です。
昨今、夏はものすごく気温が高くなりますよね。屋外でうさぎを飼うということ自体、そもそも無理があります。しかし、例えば「室内で飼育してください」と伝えると、エアコンもついていない、締め切った教室にうさぎが閉じ込められて、これならまだ屋外飼育の方がマシということが起きてしまう。そんな現実があります。
子どもたちに正しいことを教えるはずの学校で、そのような環境で動物が飼われている。それは、子どもたちに「うさぎってこうやって飼うんや」とか「動物のお世話はこうやるんや」という、誤った認識を与えてしまいます。

福岡の小学校から、お母さんときょうだい4匹でリバティの施設にやって来た「ほくとくん」。「オスメスの仕分けを間違えたことにより出産したようで、見つかった時は、土の中に長くいたために目の中が砂だらけで目が開かなかったそうです。地元の動物ボランティアさんが毎日洗浄を頑張ってくださったおかげで、こちらに来た時にはすっかり良くなっていました。ママもきょうだいもみんなそれぞれ素敵なお家が決まり、幸せに暮らしています」
──確かに。
藤田:
とある情報番組で、大阪のある小学校のうさぎの飼育が取り上げられていました。
外の小屋にいるうさぎたちは、汚れた器にバケツいっぱいのラビットフードをザーッと入れられて、子どもたちは笑顔で「うさぎは白菜や人参が好きなのでいっぱいあげています」と言っていました。
しかし、適正にうさぎを飼育されている方ならお分かりいただけるように、白菜や人参をいっぱい与えることはしませんし、本来うさぎの主食である牧草は全く与えていませんでした。いい加減、それはおかしいことだということに、皆が気づかなければならないのです。

取材に訪れた日は、ボランティアさんが1匹ずつうさぎを出し、ケージの掃除をしつつ、うさぎと一緒に遊んだりブラッシングをしたりとお世話をされていました
藤田:
実際にその小学校を訪問すると、うさぎたちは半分屋根のない、雨のしのげない小屋で、濡れたためか毛が固まっていたり、耳にカビが生えた状態でした。
繁殖しないようにオスとメスで仕切られてはいましたが、私たちが確認すると、オスメス混ざっているうえに、オスのところには小さな虫がたくさん繁殖していて、メスのところは土が水を含んでいて、たくさんのミミズがいました。汚く、とても住める環境ではありませんでした。
「この環境はあり得ない。悪い」と言ってしまうと、子どもたちの純粋にうさぎをかわいいと思う気持ちや、うさぎを大切にしたいという気持ちを否定することになるので、そうは言いません。ただ、うさぎは簡単に飼える生きものではないということ、飼うのであれば責任を持って、生態を知り、正しい飼い方の知識を得た上で、適切な環境を用意するのは当たり前のことだということを、子どもたちのためにも、まずは大人の皆さんに、知っていただきたいと思っています。

2025年7月、小学校の教員に向けて「学校飼育の注意点とうさぎの生態」をテーマに研修を行った際の一枚
──犬や猫については、室内飼いが今はスタンダードになりましたよね。学校飼育のうさぎについて、飼い方のアップデートが進んでいないんですね。
藤田:
そうなんです。そのために苦しんでいるうさぎがたくさんいるので、もっともっと、この部分の啓発に力を入れていきたいと思っています。
教育関係の方たちに向けて、うさぎの正しい飼育方法について研修をさせていただく機会をいただいています。
2022年には、総務省近畿管区の行政相談員に向けて、「人と動物が共生するために」というテーマで、地域と動物を取り巻く問題について講義をさせていただきました。
一般の方に向けての啓発活動も引き続き行っています。
2022年から2024年は「ウェルフェア・オブ・ラビット」での啓発パネル展やセミナーを2年を通して各地で開催しました。
また2025年は犬猫の譲渡会やイベントでのパネル展や、先日は動物愛護管理法のセミナーも開催しました。2026年も犬猫のイベントに参加を予定しており、動物愛護活動に興味を持っている方々が正しい知識を持って活動に参加出来るよう、動物ボランティア入門のセミナーも再開する予定です。

啓発活動の様子。「2025年11月、動物問題に詳しい弁護士を招いて『動物愛護管理法と動物虐待事案の対応』セミナーを開催した時の一枚です」

「うさぎたちのお世話は、朝9時半頃の給仕からスタートし、食後はまったりタイムを挟んでから、1匹ずつサークルに出して部屋んぽ(サークルの中でお散歩)時間中に、ケージの掃除をします。全匹終わったくらいから夜の給仕が始まり、翌日の準備をして終了するのが21時頃。かなり時間がかかります。ラビットフードは、それぞれの健康状態や体重によって種類や量を替えたりしながら、毎回計って与えています。誰が見てもわかるように、器にはボランティアさんが作ってくれた名札を入れています」
──うさぎを飼う際に大切なこと、知っておくべきことを教えてください。
藤田:
うさぎは体調が悪いことを隠す動物なので、日々の観察や管理が非常に重要です。
ごはんをきちんと食べているか、おしっこやうんちをしているか、どこか具合の悪そうなところはないか、毎日必ず確認してくださいということ、また何か違和感や不調があれば、すぐに病院に連れて行ってくださいということは、譲渡の際、里親さんにも必ずお伝えしています。
もう一つ、あまり知られていないのが、うさぎは寒暖差に弱く、温度管理が非常に大切ということです。
同じ空間で人が一緒に暮らすことも考えて、「20度から25度が適温」と言われることが多いですが、うさぎに詳しい獣医師さんは著書の中で「理想の温度は19~21℃」と書かれています。

部屋んぽ中のうさぎのマリーちゃん。「マリーは、福井の多頭飼育現場から来ました。毎日必ずケージから出て遊ぶ時間を設けていますが、数が多いため、それぞれ時間は限られてしまいます。そのため、それぞれの個性や好きなことを見極めて、短い時間でも楽しんでもらえるように努力しています。マリーちゃんはトンネルをくぐったり、藁のおもちゃで遊ぶのが大好き。藁マットは一日で壊すこともありますが、楽しそうに遊ぶ姿を見ると嬉しくなります」
藤田:
自宅での飼育の場合、人がいる間だけクーラーや暖房をつけるという生活では、うさぎの体はついてこられません。
そもそもうさぎは、日本の気候・気温に合っている動物ではありません。学校が、屋外で野ざらしで飼っているというのは、生態的にもってのほかなんです。
──飼うスペースや広さについてはどうですか。
藤田:
ケージ飼いは、日本のペットショップが始めたであろう飼い方だと思いますが、以前、私たちの施設をSNSで見た海外在住の方から「うさぎはケージで飼うこと自体が不向きである」という指摘をいただいたことがあります。

小学校の飼育小屋で、左脚を脱臼したまま放置されたために脚が不自由になってしまった「チップ」。「保護時のレントゲン検査で『脊柱側弯症の疑いが強い』と言われていたため、床材にも気を付けていましたが、脱臼したままの脚をかばうこともあり、右脚の膝と足首に関節炎を発症。痛み止めは継続して飲むことができず、鍼灸治療に切り替えました。現在も施設にて、獣医師の治療を受けています」
藤田:
最近はケージではなく、室内の一角をサークルで区切り、そこでうさぎを飼う方もいますが、それはそれでリスクもあります。
というのは、うさぎはかなりジャンプ力があって、性格がおとなしい子や高齢の子であれば問題ないかもしれませんが、若くて活発な子の場合、飼い主が目を離した隙にサークルを飛び越えてしまう危険があります。
うちで保護した子の中には、1mのサークルを軽く飛び越えた子もいました。
飛び越える際に、サークルに足や顔がひっかかって骨折や怪我をすることもあるし、サークルを出て部屋の家具をかじったり、電化製品のコードを噛んでショートすることも考えられます。
私も昔、飼っていた子が、ほんの少し目を離した隙にサークルを飛び越え、気づいたら食器棚の上にいたということがありました。
「うさぎの飼育方法はこれ」とか「こうやっておけばいい」という考えではなく、学校であれ家庭であれ、飼っている子と向き合い、その子の性質や性格に合った飼育方法を考え、環境を用意することが必要だと思います。。

「脚が不自由なチップはうさぎ用のトイレを使うことができないため、犬用のフラットなトイレを使用しています。脚に優しいように、ケージに敷いた布の下にはバスマットを敷いて、トイレとの段差もできるだけ少なくなるようにしています」

一般家庭での多頭飼育崩壊から保護された「デイル」。「家の外に置かれた小さな1つのケージに、3匹のうさぎが入っているような環境で暮らしていました。保護時はやさぐれた感じでしたが、今ではそんな面影もなく、『アトム』というかっこいい名前をいただき、幸せに暮らしています」
──いつも精力的にご活動されていますが、藤田さんの原動力を教えてください。
藤田:
うさぎが特別好きというわけでもないんです。
どんな生きものでも、飼うということ、その命を預かるということはものすごくたいへんだと思いますが、その中でもうさぎは、特に飼育がたいへんだとわかっているので、私が個人的にうさぎを飼うことはありません。
うさぎをかわいがって飼っている方でも「うさぎの飼育は簡単」と思っている方が少なくないと思います。実際、「飼うのは簡単やのに、なんで難しいって言うの」という声も聞きます。
でも、うさぎもそれぞれに持っている体の強さや体質があって、劣悪な環境でも長生きする子もいれば、良い環境でも早くに亡くなってしまう子もいます。最初から「うさぎは飼育が簡単な動物」と決めつけず、目の前の命に責任を持って向き合ってほしいと思っています。

犬猫関連のイベントにも参加し、うさぎの問題と正しい飼い方を一人でも多くの人に知ってほしいと活動している。「写真は、道の駅で開催されたマルシェに参加した時の一枚です。うさぎに興味のない方にも、うさぎを取り巻く問題を知っていただける貴重な機会。他の出店者さんたちと交流したり、楽しい一日になりました」
──メッセージをお願いします。
藤田:
おかしいことに対して「おかしい」と声をあげることによって、助かる命があるし、助かる人たちがいます。
学校飼育の場合、一人の先生が環境を変えようと必死で奮闘してくださっても、組織の中ではなかなかできることが限られていたり、そうやって動いてくださることで、先生の立場が悪くなってしまうということもあったりします。
そうすると、うさぎの環境がどれだけ劣悪だろうと、見て見ぬふりをする方がずっと楽なんですよね。でも、頑張って動いてくださる先生方のためにも、何とかしたいと思っています。
今後も引き続き、うさぎを取り巻く問題を一人でも多くの方に知っていただき、解決の方向に持っていくために、動物福祉に取り組む他団体さんとも協力し、関わり持ちながら、活動していけたらと思っています。

「大阪府内の公園で開催された動物イベントに参加しました。犬の散歩に来園された方々にも、うさぎの問題を知っていただく良い機会になりました」
──最後に、チャリティーの使途を教えてください。
藤田:
チャリティーは、保護しているうさぎたちの食費・医療費として使わせていただく予定です。お伝えしたとおり、個人からの引き取りは行っていませんが、劣悪な環境の学校飼育や、多頭飼育崩壊のうさぎの保護は今でも行っています。
保護しているうさぎたちの食費・医療費には毎月少なくとも2〜30万かかり、さらに病気の子や具合の悪い子の治療や手術、また、新たに保護した子の避妊去勢手術が入るたびに、医療費が莫大にかさむという状況が続いています。
最近、劣悪な学校飼育の環境から保護したうさぎの「そうくん」は、他のうさぎに噛まれた傷からバイ菌が入り、中が膿んだまま傷口が塞がって大きな膿瘍をずっと放置されていました。保護後、膿瘍切除のために22針を縫う大手術を受けました。

「そうくん」の手術直後(写真左)と現在(写真右)。「毛もすぐに生えてきて、今では全くわからない状態になりました」
藤田:
小学校の飼育小屋から保護した「アイスちゃん」は、保護翌日に大出血し、緊急手術を受けました。子宮の病気が見過ごされ、放置されていたのです。
夜間に緊急で対応してもらったこともあり、余計に費用がかかってしまいました。
劣悪な環境から保護したうさぎたちが健やかに過ごせるように、ぜひチャリティーで応援いただけたら嬉しいです。
──貴重なお話をありがとうございました!

取材後、藤田さんを囲んで。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!藤田さんが着用してくださっている2019コラボデザインも復刻販売中です。商品一覧ページより、ぜひチェックしてくださいね!
インタビューを終えて〜山本の編集後記〜
35年ほど前の話ですが、私の通っていた幼稚園にも、小学校にも、外の小屋にうさぎがいました。食パンの耳や、にんじんの皮をあげていました。
体調が良くなくて幼稚園や学校を休むとなっても「うさぎに会いたいな」とこちらは勝手に思っていましたが、今思えば、全く見当違いの環境で飼われていたうさぎたちは、一体どんなことを思っていたのでしょうか。
悪気はなかったとしても、無知が、時に不幸を招くことがあります。
うさぎの生態や正しい飼育の知識が広がっていくことで、予防できること、未来に助けられる命があります。

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命の重さ、大切さ、その尊厳を表現するために、左右対称の静的な構図の中に、斜めを向いて一点を見つめる、動的なうさぎの姿を描きました。かわいくなりがちなうさぎのデザインですが、重厚感のあるヴィンテージ調の雰囲気で、クラシカルな印象に仕上げました。
“Be a voicce for innocent lives(小さな命のために、声をあげよう)”というメッセージを添えています。

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力強く大地を駆けるうさぎの姿を描きました。
うさぎが幸せに生きる命を全うしてほしいという願いが込められています。
“What can we do for innocent lives(小さな命のために、私たちは何ができるだろう)”というメッセージを添えています。
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