CHARITY FOR

大切な人との死別を経験した子どもたちが、「自分自身の力」を信じ、グリーフと共に生きていけるように〜NPO法人こどもグリーフサポートふくおか

「グリーフ」を知っていますか。
大切な人を失った際に生じる、心身のさまざまな反応のことで、「悲しみやつらいという感情だけでなく、亡くした人への会いたい、愛おしい、悔しい、許せない、切ない…、さまざまな感情や感覚、さらには眠れない、集中できない、ふさぎ込むといった体の反応も、グリーフとして自然な反応です」と話すのは今週JAMMINがコラボするNPO法人「こどもグリーフサポートふくおか」の設立人で前代表理事(現在は監事)の秋田寛子(あきた・のりこ)さん(42)と、理事の内田裕子さん(うちだ・ゆうこ)さん(44)。

「グリーフは消えるものではなく、人生とともに歩んでいくもの」と二人。大切な人との死別を経験した当事者として、グリーフを抱えた子どもたちをサポートしたいと、子ども・10代を対象にした「つどいの場」を開催しています。

活動について、グリーフについて、お話をお伺いしました。

お話をお伺いした秋田さん(写真左)、内田さん(写真右)

今週のチャリティー

NPO法人こどもグリーフサポートふくおか

死別により大切な人を亡くした子どもたちが、遊びや会話の中で思いを表現し、互いにシェアすることでグリーフサポートを行うNPO法人。子どもが安心して自らの思いを表現することができるよう安全な空間づくりを心がけています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2025/12/01

死別により大切な人を亡くした子どもへの
グリーフサポートを行う

「グリーフサポートの場では、大人が誘導したり楽しませたりする過ごし方ではなく、『子どもたちのエネルギーに合わせる』ということを大切にしています。『つどい』では『エネルギー小・中の部屋』『エネルギー大の部屋』の2部屋を分けて、安全な場の設定をします。写真は『エネルギー小・中の部屋』です。ここでは『ごっこ遊び』のオモチャやぬいぐるみ、お絵描きやボードゲームなどがあります」

──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。

内田:
死別により大切な人を亡くした子どもたちへのグリーフサポートを行っている団体です。
団体名には「子ども」とついていますが、子どもと10代を対象に「たいせつな人をなくした子ども・10代のつどい」を開催しており、同時に別室で保護者さんの「分かち合いの会」も開催しています。また上記の「つどい」参加対象外の人も参加できる「大切な人をなくした若者のつどい」もあります。

「誰を亡くしたか」を限定していないのが、私たちの一つの特徴です。親やきょうだいを亡くした子どもだけでなく、祖父母やいとこ、友達など、その子にとっての「大切な人」を亡くした子どもが参加できます。

「エネルギー大」の部屋。「子どもが好きなように過ごしている場面です。いろいろなオモチャや遊びのツールを準備していますが、どんなふうに遊ぶか、どんなふうに過ごすかも、ひとりひとりがその瞬間瞬間に選びます。ファシリテーターは、その子の『その瞬間』に、解釈や判断や分析をすることなく一緒に居ます」

秋田:
もう一つ、亡くなった方の「死因」も限定していません。
自死遺族の会や交通事故遺族の会、がんの遺族の会などがありますが、私たちは、亡くなった方の死因に関わらず参加を受け付けています。いかなる理由で大切な人を亡くしていても、つどいに参加できます。

──そうなんですね。

秋田:
つどいで子どもたちと過ごす「ファシリテーター」の養成講座も開催しています。子どものグリーフについて学び、自分自身のグリーフと向き合いながら、必要なスキルを学ぶ講座となっています。
また、グリーフサポートの必要性を伝えるため、一般の方や専門職の方向けに啓発活動も行っています。

福岡県内で開催された教育関係者(養護教諭)向けの講座の様子。「視察研修のテーマとして、グリーフサポートについて知りたいと講座を依頼してくださいました。学校は、子どもたちの日常の場でもあります。養護教諭の皆さんと一緒にいろいろとお話しできたことは、コミュニティともつながる大切な機会でした」

大切な人を失った際に生じる、心身のさまざまな反応

「はじまりのわ」の様子。「『はじまりのわ』では、色画用紙と好きな色のペンを選び、自分の手形と自己紹介を書きます。名前は本名じゃなくてOK、毎回違う名前を書いてもOK。そして『パスしてもいいよ』のルールがあるので、書きたくないことは書かなくていいし、書いたけど言わなくてもOKです。4つめの質問に『誰が死んじゃった?』という問いがあるのは、『つどい』がピアサポートの場であることの意味でもあります」

──そもそも「グリーフ」とはなんですか。

秋田:
大切な人を失った際に生じる、心身のさまざまな反応を「グリーフ」と呼びます。
グリーフは「悲嘆」と訳されますが、かなしい、つらいという嘆きに限らず、会いたい、愛おしい、悔しい、許せない、切ない…湧き起こるさまざまな感情や感覚、眠れない、ふさぎ込むといった体の反応も、グリーフとして自然な反応です。

内田:
死別そのものが喪失ですが、その喪失による二次的なグリーフもあります。
たとえば家庭の大黒柱だった人が亡くなった場合、経済的に厳しくなって、我慢しなければならないことがそれまで以上にでてきたり。また、それまでは両親が揃って運動会に見に来てくれたのが今年は一人しかいない…など、いろんなレベルでの喪失を体験します。

「大切な人がもういない」という経験は、成長のプロセスのさまざまな節目で、大人になってからも成人式や結婚式など、一般的には喜ばしいさまざまな人生のイベントでも感じることになります。グリーフは消えるものではなく、人生とともに歩んでいくものだと思っています。

特に子どもの場合、年齢によっては感覚や感情を言語化することが難しく、落ち着きがなくなったり、お腹が痛くなったり、学校に行けなくなったり…体や行動に出る影響が、大人よりも強いことがあります。

「『つどい』には、安心安全なグリーフサポートの場として、『かたいものを投げない』など身体の安全に関わるルールと、『話したくないときはパスしてね』など心の安心のためのルールがあります。逆にいえばルールはそれだけ。子どもたちが過ごす、ルールのたくさんある日常とは少し異なる部分です。教育的な観点から大人は戸惑うこともあるかもしれませんが、子どもたちにとっては『このルール以外のことはOK』の場であると知り、自分なりに過ごせることを感じてもらいます」

「自分の力を感じ、取り戻す場」

「当団体の設立時からのファシリテーター『とよさん』。一人の子が、自分の思うまま、いろんな名前のシールを作って、とよさんに貼っていました。『どんな表現とも、一緒に居る』というグリーフサポートの一場面です」

──大切な人と死別した子どもたちに、どのようなサポートをされるのですか。

内田:
子どもたちが安心・安全を感じられる「つどいの場」を開催しています。

最初に、「亡くなった方の死因を問わず、誰でも参加できる」とお話しました。
真実(死因)を伝えた方が、自分に起きたことを子どもなりに理解したり向き合ったりするプロセスの助けになるとは言われていますが、中にはさまざまな事情から、大切な人の死因を聞かされていない子もいます。
真実がどうあれ、「今、目の前の子が何を感じ、表現しているか。その子なりに死別のことをどう受けとめているか」、その子が発することをそのまま受け取るのが、つどいの場です。

秋田:
子どもが発するのは言葉だけでなく、いろんな行動だったりもします。
ボール遊びでボールを投げたり、ボクシンググローブでパンチングミットを殴ったりして、今の自分のことを表現する子もいます。
話すことで表現をする場合でも、「前回は話したけど今回は話したくない」とか、その時々によってもいろいろです。つどいの場で、その時間をどのように過ごすのかは、全て子ども自身が決めます。

スタッフたちはファシリテーターとして、子どもたち一人ひとりのエネルギーに合わせて過ごし、子どものありのままの姿を受け止めます。

無理に話を聞くとか、大人が遊びの提案をするといったことはしません。あくまでも「主体は子ども」であって、何もしたくなければ、何もする必要はありません。つどいの場では、ファシリテーターはただただそばにいて、子どものその日のエネルギーに合わせて過ごします。

──なぜですか。

内田:
大切な人が亡くなる時、ほとんどの場合において、子どもが家族やコミュニティの一員として仲間に入れてもらって、状況を教えてもらったり意見ができたりするかというと、そうではありません。大抵の場合において、子どもは取り残されています。

また大切な人の死後、葬儀もそうですし、家族でこなしていくさまざまな儀式においても、子どもの意見が取り入れられるということはほぼありません。大きな喪失感を抱えながら、さらに、子どもたちが自分の力を感じられなくなるのです。

「『つどい』では、どのファシリテーターが誰を担当するかなどは事前に決めません。それも参加する子どもが選ぶことです。『見たことを言う、聞こえたことを言う、エネルギーを合わせる』が、ファシリテーターが大切にしているスキル。そのため、無理に楽しませようとしたりもしません。また、グリーフサポートでは子どもたちに『上手だね!』などと言うポジティブフィードバックをしないことも大切にしています。日常で子どもたちにかけがちな『すごいね!』『悲しいね』といった言葉は『こちら側の感想』であって、『その子の表現ではない』ということに大人たちが気づきながら居るということも、グリーフサポートで大切です」

──確かに。大人が主体で進んでいくことばかりというか、大人の世界ですね。

内田:
死別の後も続いていく日常生活で、家庭や学校での本人の役割を果たしていく中で、グリーフに丁寧に触れる機会がかき消されてしまうことがあります。
大切な人が亡くなった後、たとえば、お父さんが亡くなって毎日泣いているお母さんの姿を見て「私がお母さんを支えなきゃ」とか「お母さんをこれ以上悲しませたくない」と、自分の気持ちに蓋をしてしまうこともあります。

あるいは時間が経つと、家族以外の周囲の人たちは、その子のお父さんが亡くなったことを忘れていくし、知らないということも出てきます。そうすると、自分のグリーフの状態と、日常の社会との間にズレを感じるような瞬間が出てくることもあります。

秋田:
つどいの場は、そういったことも含めて、「ただありたいようにあって良いんだよ」という場です。主体はそれぞれの子どもで、「やりたいように、居たいようにいればいいよ」ということを大切にしています。

「エネルギー大」の部屋の様子。「ファシリテーターは、子どもたち一人ひとりのエネルギーに合わせて一緒にいます。ただ単にストレス発散でエネルギーを爆発させて遊ぶこともあるかもしれませんが、安全な環境で安心しながらエネルギーを出せることにもグリーフサポートとしての意味があります」

内田:
日常から少し離れ、「どう過ごすのか、何をするのか、すべて自分で決める」ことが、子どもたちが自分の力を感じ、取り戻していくことになるのです。
5年、10年経って振り返った時、死別からの混沌とした状態ではなく、自分なりに、その事実を扱える力につながるかもしれない。そう思って活動しています。

秋田:
ファシリテーターとして大人がその場にいるという環境も、子どもたちにとって大きな役割を果たしていると思っています。学校でも病院でも、やはり中心は「大人」なんですよね。

だけどつどいの場は、大人ではなく子どもが中心。「人を傷つけない」といった最低限の決まりごとを守った上で、それ以外は全て、本人が決めたことを大事にしています。たとえば、ボードゲームで遊んでいる時、普通だと説明書を読んで決められたルール通りに遊ぶかもしれません。でもつどいの場では、その子が決めたルールややり方を、私たちファシリテーターのほうが一つ一つやり方を教えてもらいながら、ゲームが進んでいきます。

ファシリテーターは「子どもたち一人ひとりのやりたいことについていく大人」というのかな。日常にはなかなかいない、そういう大人の存在を感じることが、子どもたちの力になるのかなと思っています。

「『つどい』では、ホワイトボードに『何時何分に何をするか』、そして『次回はいつ開催か』を、必ず見えるように書きます。大切な人と死別した子どもにとって、どんなに心の準備期間があったとしても、死別は『思ってもいなかったことが自分の人生に起きてしまった』経験です。つどいの場では、いつものように始まっていつものように終わること、そして『また会おうね!』と言える、『予期できる体験』も大切にしています」

「ただ苦しくて圧倒されていた」。
お姉さんを失った秋田さんの経験

──昨年、法人設立10周年を迎えられたそうですね。団体を立ち上げたきっかけを教えてください。

秋田:
私は高校2年生の時、2歳年上の姉を交通事故で亡くしました。
これからの進路を考えるタイミングで、あまりにも突然の出来事でした。

死別後半年くらいしてから、学校の授業に集中できなくなって早退するようになりました。死別前は、高校卒業後は県外の大学に進学したいと思っていましたが、勉強をするエネルギーがわかず、周囲の受験の雰囲気についていけなくなったこと、悲しみに暮れている親を置いて家を出るという選択ができず、近くの学校に進学しました。

大学進学後(死別後1〜2年経った頃)、事故当時現場を直接目にしたわけではないのですが、トラウマで時々フラッシュバックが起こるようになり、他にもさまざまな気持ちがわいてくるようになりました。

大学の講義でたまたま、「グリーフ」という言葉と出会ったのですが、その後読んだグリーフの本で「こういう反応が起こるよ」と書かれているものが、ほぼ自分の身に起きていることでした。グリーフのことを知るまでは、自分がおかしくなったのではないかと思っていたのですが、自分が悪いわけでもおかしくなったわけでもなく、グリーフとして起こる反応だったんだと思いましたし、同じようにグリーフを体験している人が他にもいることを知ったんです。

そこからグリーフを詳しく学ぶようになり、私と同じようにきょうだいを亡くした方と知り合い、経験を話し合えたこともすごく大きくて、ただ苦しくて圧倒されていたところから、「もしかしたら、グリーフと一緒に生きていけるかもしれない」という感覚が持てるようになったんです。

──そうだったんですね。

「2024年11月に開催された法人設立10周年イベントにて。「写真左の花束は、同じグリーフサポート仲間である他県のグリーフサポート団体の方が来場し、プレゼントしてくださいました。写真右は、安定の安心感で当日の受付スタッフを担ってくれたボランティアの皆さんです。皆さん、『つどい』のファシリテーターでもあり、こうして日々支えていただきながら、活動を続けることができています」

秋田:
そんな時、アメリカにある、大切な人と死別した子どもと家族のためのグリーフサポートの活動をしている施設「ダギーセンター」の活動動画を見る機会がありました。大切な人を亡くした子どもたちが集まって経験を話している動画で、それを見た時に「自分が大切な人を亡くしたということを、表現していい場があるんだ」と衝撃を受けました。
きっと私以外にも、日本でこういう場を必要としている人がいるのではないかと思ったことが団体設立のきっかけです。

最初に勉強会を始めたのですが、ピアサポートの側面が強く、「自分はどんな経験をして、どんな気持ちがあって、今はどう感じているのか」ということを本当に何度も語り合う中で、苦しかったものがだんだん見えてきたし、それが自己理解につながりました。何より「一人じゃないんだ」と思えるようになったことは、とても大きいことでした。

私は大人になっていたので、言語化して話したり落とし込むことができましたが、特に小さい子どもの場合、そもそも言語化が難しかったりるすので、ダギーセンターのように遊びの中でグリーフを表現できるようなかたちが作れないかと模索しながら、活動を続けてきました。

2015年、子どものグリーフサポートのはじまりである「ダギーセンター」(アメリカ・オレゴン州)に研修に訪れた際の一枚。「たくさん学びながら『ここから始まったんだなぁ…ここがあるから私たちは今、日本に居る子どもたちとグリーフサポートをできているんだな』ということを、改めて思いました。右の写真は、私たちを歓迎して”Welcome to our colleagues from Japan! (ようこそ、日本からの私たちの仲間/同僚たち!)”と施設内の壁に書いてくださっていた様子です。とっても嬉しいメッセージでした」

「グリーフのプロセスはそれぞれに違う」。
内田さんの経験

20歳の頃の内田さん(写真右端)。「ピアサポートの場である『つどい』に、初めて参加した頃の写真です。写真左から3番目は、『こどもグリーフサポートふくおか』設立の呼びかけ人の、あしなが育英会勤務の西田正弘さんです。学校や家では表出できなかった思いを、言葉じゃなくても分かり合えるような仲間に出会えました。そして長い時を経ても、皆と今もつながっていることは、喪失を体験した『かつて子どもだった私』にとって支えになっています」

──内田さんはいかがですか。

内田:
私は小学校6年生の時に、父親をがんでなくしました。
母親は悲しみを忘れようとしており、家庭内では、父親の死について触れることができませんでした。でも私は、子どもながらネガティブなことも含めて、しっかり悲しみに向き合いたいと思っていたんです。

悲しいことやつらいことがあった時、「忘れて前を向く」、「悲しみに浸る」のどちらか二択になりがちなところがあると感じています。死別に関しては特に、それが強いように感じていて。だけど、悲しみに打ちひしがれる時もあれば、朗らかに過ごせる時も、怒りを感じる時も、いろんな時があるんですよね。

高校生の時、「自分はもう、大切な人の死を乗り越えることができた。同じように苦しんでいる人をサポートしたい」と思い、遺児支援を行っている団体に支える側として、大学1年生のときにボランティアで飛び込みました。

しかしそこで、「私が十分に自分のグリーフに触れられていない」ということに気がついたその団体のスタッフの方に、当事者のつどいに参加したらどうかというアドバイスをもらいました。そこで、もう一度「死別体験にきちんと触れる」きっかけをもらったのです。
これは本当に、大きな経験でした。これまでの経験や思いを話し、友達よりももっと深いところでつながれる仲間と出会えたのです。

──そうだったんですね。

2024年11月、法人設立10周年イベント「あなたも大事・わたしも大事 ~グリーフサポートの輪~」を福岡市内で開催。「当団体は、運営スタッフもボランティア(無償)で活動しています。長年グリーフサポートを仕事にしている方からは『ボランティアで10年以上続けるって、本当にすごいことだよ』と言われて、改めてメンバー全員の存在をありがたく感じます。この日は全国各地から来場いただき、その一人ひとりの思いや行動が、地域やコミュニティ、身近な人たちへのグリーフサポートにつながっていくことを感じた場でした」

内田:
そのことが嬉しくて、その当事者のつどいから帰宅してから、そこで経験したことや感じたことを母に話したことがあります。二十歳ぐらいの時だったでしょうか。
私は嬉しさを共有したいという気持ちで話したのですが、母は泣き出して、「そんなことには触れんでいいのに…。お父さんの悲しいことは終わりにして、楽しく生きたらいいやん!」と言いました。びっくりしたし、ショックでした。

同じ家族でも、悲しみの感じ方や癒やしの速度、グリーフのプロセスはそれぞれに違うということをその時に何となく理解して、「もう自分の気持ちを押し付けないようにしよう。だけど心は折れないように、自分が死別に向き合うことは大切にしよう」と思いました。

その後、団体設立1周年の講演会に、母が「私も行っていいの?」と足を運んでくれました。父の死後、20年ほどの歳月が流れていました。私が二十歳の頃はグリーフサポートに関わることを反対した母が、時を経て自分からグリーフサポートの場に。こんなふうに、一人ひとりのグリーフのプロセスがあるんだなと感じました。

2014年7月、福岡市内で開催された活動開始1周年の講演会。「子どものグリーフサポートのはじまりである、アメリカ・オレゴン州の『ダギーセンター』のスタッフだったシンシア・ホワイトさん(当時はハワイのグリーフサポート団体Kids Hurt Too Hawaii所属)が来日、講演してくださいました」

自分を信じ、生きていく力を

2025年10月、福岡県遠賀郡にある、在宅医療を中心とした診療所「なや診療所」とのコラボ企画講座「子どものグリーフ・はじめの1歩」を開催。写真は、グリーフサポート活動をしているメンバーとのミーティング後の一枚。「ここ数年は福岡市内での活動がメインですが、設立時のように、福岡県のもっと広い範囲にもグリーフサポートの輪を広げていきたいと思っています」

──グリーフに対する世間の認識は、一昔前より広がっているように感じるのですが、活動をしていてどのように感じておられますか。

内田:
「グリーフ」という言葉で検索してご連絡をいただく方も少なくなく、知っている方が増えていると感じる一方で、他の子ども支援の場にいくと、グリーフはまだまだ知られていないと感じることがあります。

たとえば非行や不登校の子どもを支援する時、子どもたちの状況の背景に、グリーフが潜んでいることもあります。しかしグリーフという言葉を知らなければ、なかなかそのサポートにたどり着くことができません。
今後、まだまだグリーフやグリーフサポートのことを広めていかなければならないと思っています。

秋田:
グリーフは個別性が高く、十人いれば十人とも異なりますし、次第に小さくなるものかというとそうでもなく、大きくなることもあります。穏やかに過ごしていたと思ったら、ある日突然グリーフが顔を出すこともあります。

だけどそれがグリーフだと認識できていれば、否定することもないし、グリーフのある自分と一緒にいることができる。そのための助けの一つが、グリーフサポートなのかなと思っています。

秋田さんから代表理事を引き継いだ實渕愛(みぶち・めぐみ)さん(36)。「私は高校1年生の時に自死で父を亡くし、高校3年生の時に『あしなが育英会』という遺児のサポートをしている団体のつどいでグリーフサポートの場に出会いました。たくさんの仲間や後輩と出会い、『何かしなくては』と感じたことが活動の原点となっています。グリーフ自体は消えることのないものですが、つどいの場が、グリーフとうまく付き合っていけるための一助となれたら幸いです。予期された死だったとしても突然の死だったとしても、生活や心に急激な変化があった子どもたちにとって、つどいの場があり続け、『そこに来る・来ない』の選択ができるということがとても大切だと考えています。ファシリテーター養成講座やスタッフとのミーティングの中で『あなたも大切・自分も大切』とよく話しをするのですが、自分たちたちのことも大切にしながら、これからも長く活動を続けていきたいです」

──自分の足で生きていく力なんですね。
今後の展望を教えてください。

内田:
つどいの場の開催を増やしていきたいですし、子ども支援に直接関わっている方にグリーフサポートを広めていけるといいなと思っています。

もう一つ、これは壮大な目標ですが、いつか「グリふくハウス」を持ちたいと思っています。
現在はつどいの開催の度に公共施設を借りていますが、小さな場所でもいいので、固定の場を持てればと思っています。活動を始めて12年目になりますが、昔つどいの場に来てくれた子が大きくなって、自力で連絡をくれたことがありました。

「10年活動していると、こんなことがあるんだな」と嬉しかったですし、そうやって関わった子どもたちが、いつか自分の力で足を運べるとなった時、あるいはグリーフに圧倒されるようなことがあった時に、ふと思い出して、ふらっと立ち寄れるような場を持つことができればいいなと思っています。遠い、大きい目標です。

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

内田:
「たいせつな人をなくした子ども・10代のつどい」の開催のため、また、子ども・10代に限らず「たいせつな人をなくした人」のためのつどいの場も定期的に開催したり、さらに初の「宿泊つどい」も開催したいと思っており、チャリティーはそれらの活動のために活用させていただきます。ぜひ応援いただけたら嬉しいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

ファシリテーターの皆さんの集合写真。「2024年11月に開催した法人設立10周年イベント終了後に撮りました。つどいの場みたいに、今のエネルギーで、好きなポーズと表情で撮ろう!と撮った一枚です」

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

大切な人との別れは、人生でほとんどの人が経験することです。しかし一方で、グリーフやグリーフケアについてはまだまだ知られていない現実があり、苦しむ子どもや若者たちがいるのだなと思いました。

当たり前にいた大切な人が突然いなくなり、さらには家族のことを思いやったり、周囲に気を遣ったりして、感情や思いをなかなか吐露できない環境がある中で、グリーフに特化したこどもグリーフサポートふくおかさんのような団体の存在が、安心や居場所につながるのだなと思いました。

・こどもグリーフサポートふくおか ホームページはこちらから

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【2025/12/1~7の1週間限定販売】
風の心地よい窓辺を描きました。
開いた窓の向こうに見える景色。空にまたたく星は、大切な人との思い出や、これまでのさまざまな経験を象徴するものとして描きました。どんな思いも感情も、ただあるがままそこにある。日々のうつろいや変化、ゆらぎを眺めながら、受け止めていく様子を表現しています。

“You have feelings just the way you are(ただあなたとして、感情がそこにある)”というメッセージを添えました。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
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