CHARITY FOR

「200年先も、続く山を」。人と山にとってより良い林業を社会に発信〜NPO法人自伐型林業推進協会

私たちの生活と切り離せない「森林」。
日本は、国土のうち67%が森林で占められた森林大国です。

戦後、国によって人と森林とを切り離し、大型機械を投入しての大規模林業が推進されました。かつて50万人いた林業家は、4万人にまで減少。大規模林業には環境、災害面でもさまざまなリスクがあることがわかっており、その在り方を見直す声が上がっています。

小規模で、自分たちの山を自分たちで整備する「自伐型林業」を推進するNPO法人「自伐型林業推進協会(自伐協)」が今週のチャリティー先。

「山は『木材生産の場』だけではなく、土砂災害の防止、景観や生物多様性の保全、癒しやリクレーション…、多面的な機能があるということに今、少しずついろんな人たちが気づき始めています。ポジティブな要素で人々とつながり、ゆくゆくは日本の林業の在り方を動かしたい」

そう話すのは、自伐協事務局長の上垣喜寛(うえがき・よしひろ)さんと事務局の荒井美穂子(あらい・みほこ)さん。
自伐型林業について、お話を聞きました。

お話をお伺いした上垣さん(写真左)、荒井さん(写真右)

今週のチャリティー

NPO法人自伐型林業推進協会(自伐協)

採算性と環境保全を高い次元で両立する持続的森林経営「自伐型林業」の展開を支援するため、各地で研修を行っています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2025/09/29

たくさんの人が山と関わりながら
山を大切に管理する「小さな林業」

自伐型林業体験研修の様子。「熟練講師の指導のもと、山のどこに道をつけるか決めるために実際に山を歩く「踏査」、間伐する木を決めるための「選木」、木を安全に切る「伐倒」など、林業をする上で大切な山の見方や技術を体験することができます」

──今日はよろしくお願いします。
「自伐型林業」、初めて聞いたのですが、どのような林業なのでしょうか。

上垣:
まず「林業」とは何かなのですが、山や森で木を伐採してその山を管理すること、伐った木を出荷して販売するまでを経営をするのが「林業」です。

山を所有する人が、伐採業者に委託して伐採と経営を丸投げでやってもらうのが、これまでの一般的な林業でした。そうではなく、自分たちの山を自分たちで整備し守っていくこと、大きな機械に頼らず、山の所有者である山主さんと地域の人たちが一緒になって山に入り、手入れをして、山の価値を上げていくのが「自伐型林業」です。

研修で作業道のつけ方について、講師から説明を受ける受講生たち。「講師は地形や土質、水脈、生えている樹木といった自然の条件に加え、そこで作業する人間の技量も踏まえながら道をつけます。その域に達するには、最低でも20年はかかるそうです」

上垣:
かつて50万人いた林業従事者は、今や4万人にまで減少しています。
「携わる人が少ないんだから、どんどん大きな機械を導入して、効率的に伐採しよう」と、国が大型機械を入れて生産を高める林業を推し進めているのに対して、自伐型は規模の大小に関わらずたくさんの人が山と関わりながら、山を大切に管理する「小さな林業」といえます。

──なるほど。誰でも取り組めるのですか。

荒井:
専業の人、兼業の人、さまざまな人に開かれており、小規模かつ低コストで始めることができます。
大規模林業の場合、大型機械を揃えようと思うと数千万円の投資が必要ですし、1日200〜300リットルの燃料費や機械の修理費、償却代も莫大になりますが、自伐型の場合は、最低限でいえば木を伐るためのチェーンソー、木を運び出す軽トラック、バックホウ(ショベルカー)を揃えればスタートすることができます。

徳島県で自伐型林業を営む「橋本林業」の橋本光治さん、延子さん。家族3人で約110ヘクタールの山林を管理している

効率重視で伐採量を上げる従来の林業。
「森の工場」と呼ぶ人も

幅広の作業道がつけられ、大規模な皆伐が行われた山。山肌は直射日光にさらされ乾燥・ひび割れが起こり、雨が降ると土砂が流出してしまう

──現在の日本では、大規模林業が主流なのですか。

上垣:
はい。省人化・効率化で生産性(=伐採量)を上げて、たくさん売り上げを出そうという大規模林業が主流です。たとえば山の中に大型機械を入れ、一定の面積の木をごっそり皆伐(一区画を一度にすべて伐採)するわけですが、そうするともう、その後には何もなくなってしまいます。暗い森に光を入れるイメージの間伐も、近年は伐り過ぎて乾燥を招き山火事にもつながるような荒いものが目立ちます。

巨大なショベルカーで山を削って道をつくり、さらに大きなハーベスター(木の伐採・玉切りをする機械)を入れて、広大な面積を過剰に伐採していく。その様子を「森の工場」と表現する人もいるほどです。現場の労働者はノルマが課され、賃金も伴わず離職者が絶えません。

山主さんは伐採業者から「整備します」と言われ、自分ではできないから「お願いします」となるのですが、伐採業者が立ち去った後、イメージと違って山がめちゃくちゃになっていたという話もあちこちで聞きます。

──そうなんですね…。

皆伐と植林と崩壊が同時に起こっている現場。崩壊が起こっているすぐそばで大型機械で皆伐が進められている。写真上半分で細い旗のように見えるのは、植林されたシカ避けネット付きの苗木

上垣:
従来の皆伐型の林業は、「植林すれば、50年後にはまた立派に木が生える」という発想ですが、それは理想論であって、土の質や養分、獣害の関係で、そんなにうまくは育ちません。
また植林後、木がある程度育つまではお金を全く生まないものの、苗の購入や手入れなどにはコストがかかります。
果たしてこの従来のやり方が、持続的な林業であるかということです。

自伐型林業では、整備し始めの段階では短期間で見て売り上げは少ないかもしれないけれど、良い木は残していくということもしながら、少しずつ間引いて山を管理して、毎年継続的に収入を得られるかたちをとります。
そうすることで、経済的にも環境的にも100年、200年と続く林業が成り立つというものです。

講師の指導の元、地域おこし協力隊が伐った木の搬出に取り組む様子。林内作業車に材を積み込み、山から下ろす

近年増えている土砂災害と大規模林業の関係

皆伐地が崩壊し、土石流が発生。「崩壊は、皆伐直後よりも地中に残っていた根が腐朽する10~15年後にリスクが高くなります。まるで時限爆弾を抱えているようなものです」

──従来のやり方は、短いスパンでは効率的に見えて、実は非効率だということですね。

上垣:
そうですね。
もう一つ、効率・非効率という話だけではない、従来の大規模林業による環境への多大な影響が懸念されています。

大規模林業の場合、大型機械を森に入れて木を伐り出すために「山を削る」ということをしますが、その削り方が半端ではなくて。急斜面の山であっても容赦なく削ります。道とその両脇を伐採した幅は、8メートルほど(普通自動車が約4台入る)になることもあります。

──8メートル!広いですね。

荒井:
場合によっては、たった一回限りの伐採のために、山を削って道を作り、木を切り出します。しかしそれが、最近日本各地で起きている土砂災害の原因となっていることがわかっています。

──そうなんですか?!

上垣:
はい。林業が土砂災害を引き起こすことが、自伐型林業推進協会が日本財団と共に行った調査(https://zibatsu.jp/report/)でわかっており、僕もこの活動をしながら、最も脅威に感じている部分です。

山は、まとまって降る雨を分散して麓へ降ろすことで、一気に水位が上がるのを予防し、洪水を防ぐ役割を果たしています。しかし林業で丸裸になった山は、大雨が降った時、一気に麓へと流れ込んでしまう。その時、さらに地表の土も流れ出て、まさに滝のような状態になってしまうんです。

土砂災害が起きた山に実際に入ってみると、丸裸の山や伐採のために作った幅広の道が起点となって土砂崩れが起きたことがありありとわかります。

大規模林業で間伐した山。過度な間伐により残した木も風で倒れてしまい、結果裸同然に。ここに雨が降れば大量の土砂が流出してしまう

──確かに、そこにあったはずの山が丸裸になってしまったら、水を留めるものが何もない状態ですね…。

上垣:
土砂災害があるたび、メディアでは未曾有の災害だ、気候変動の影響だと騒ぎ立てますが、衛星写真を調べてみると、近くに大規模な林業現場があることがほとんどです。

先の調査活動で、土砂災害と林業の影響を結びつけた記事がどれだけあるかを調べてみたことがあるのですが、土砂災害の記事は1万件ほどあったのに、林業に触れているのはたったの2件でした。

荒井:
自伐型林業の場合も作業道はどうしても必要になりますが、軽トラや2トントラック1台が通れる幅2.5メートルほどの細い道で、かつ山の特性や水の流れを踏まえ、崩れにくい場所を見極めながら道をつけています。

この2.5メートル幅というのが絶妙で、道の両端にある木の枝が道の上空でちょうど被さる幅なんです。道の上に被さった木の枝が傘の役割をしてくれて、道が日光や雨に直接あたりにくくなり、一度道を作ると、多少のメンテナンスをしながら、その後も林業に限らないさまざまな用途で、人が山に入る際に永く使うことができます。

自然に配慮し、丁寧に作られた自伐型林業の作業道は、山に馴染んでやわらかい風景を作り出す。この道によって人が山に入り続けることが、次の未来へつながっていく

歴史を乗り越えて
「ポジティブな世論」を生み出していく

2025年2月に行われた創立10周年の記念イベントにて。「全国から自伐型林業の講師、実践者、サポーターなど170名を超える人たちが集まり、これまでの振り返りとこれからの10年について語り合いました」

──ここまでお伺いして、従来の大規模林業のやり方には無理があると感じるのですが、日本ではなぜ、そのような林業のやり方が主流になっているのでしょうか。

上垣:
第二次世界大戦後、1964年に制定された「林業基本法」が大きな分岐点になりました。
これは「これからの日本は、地方で山仕事をするよりも、都会に出て経済を潤していくんだ」ということで、山を所有する人と、伐採・経営する人を分離するものでした。

山主に変わって森林組合が伐採・整備を行い、林野庁はその森林組合に対して予算をつけるかたちで、戦後の林業が行われてきたのです。

自伐型林業推進協会が設立されるきっかけとなったNPO法人土佐の森・救援隊。今も高知で、地域の人たちと活動を行っている

上垣:
2000年代に入ってからは、国として農業や漁業といった一次産業の中に経営の概念を入れていく動きがあり、林業も例外ではなく、生産性の高い大規模林業には予算がついても、小規模林業は見放され、切り捨てられていくような流れがありました。
そしてさらに2010年代に入ってからは、国や自治体が積極的に補助金を出して大型機械の購入を支援する動きがあり、大規模林業推進に拍車がかかりました。

「このままだと、代々受け継いできた山も、集落も潰れてしまう。自分たちで山をなんとか守っていこう」。危機感を抱いた小規模林業家たちが集まって山を自分たちの手で守っていく方法を模索する中で、2014年に自伐型林業推進協会が設立されたのです。

パタゴニア広島で開催された自然派ワインの造り手とのトークイベント。「自伐型林業は、アウトドアやワイン等と共通する世界観を持っています」

──国としては、今後も大規模林業を推進していく方針なのでしょうか。

上垣:
そうですね。「できるだけたくさん、生産量(伐採量)を増やしましょう」という考え方です。その後の山や集落がどうなろうと「たくさん伐るのが当たり前」という風潮の中、我々がどう世論を作っていくのか。

多くの人が、そもそも山で何が起きているかを知らないと思います。
自伐協は現在、20ほどの自治体と契約して自伐型林業を実践しており、各地で実績も出てきました。しかしまだまだ自伐型林業のことを知らない方が多いので、まずは一人でも多くの方に知り、共感していただいて、ゆくゆくは日本の林業の在り方を動かしたいと考えています。

毎年恒例になっている「地域おこしマッチングフォーラム」。「自伐型林業を推進している自治体の担当者と自伐型林業と移住に関心のある都市在住者が出会う場を提供しています。これがきっかけで地域おこしとして移住する人も」

荒井:
国としては長らく、山を「木材生産の場」としてしか見てこなかった時代がありました。
しかし山には、土砂災害の防止、景観や生物多様性の保全、癒しやレクリエーション…、多面的な機能があるということを、少しずついろんな人たちが見直し始めています。

特に若い世代の方たちが、「伐り出すだけではない山を、次世代に残していかなければならないのではないか」と、行動を起こし始めていると感じています。都会中心の考え方や効率重視の企業風土等に違和感を感じる人たちの参入も目立ちます。「山や自然との関わりを見直したい」という方たちが、自伐型林業に興味を持ってくださっています。

普段の生活で、山や森を遠いものだと感じている方もおられるかもしれません。
だけど、たとえば川や海も、必ず山との接点があります。水は山から来ているわけであって、川や海をどれだけよくしようとがんばっても、山が健康でなければ、元も子もないのです。

──確かに。

上垣:
先ほども話したように、山が果たす防災面や環境面での役割は大きいですが、ネガティブな面から訴えたところで、多くの人のハートには突き刺さらないと思っていて。
そのあたりをうまく伝えながらもポジティブなこと、「自然って気持ちいいな、山って気持ち良いな」という心地よさや楽しさでつながって、今ある山を守っていくという世論を作っていきたいと思っています。

全国各地で広がる自伐型林業の輪。2025年度から始まった助成金事業では5団体を採択し、キックオフの合宿を行った

木はさまざまなかたちに活用され、
中山間地域の活性化にもつながっている

2014年から自伐型林業に取り組んだ鳥取県智頭町。設立当初は6人だったメンバーが3年足らずで25人に増加。林業家だけでなく、農家やシェフ、保育士などが集まり、現在は50人以上も数えるようになった

荒井:
昔の人たちは、山に生えているいろんな木の性格や特徴を知っていて、さまざまな生活の道具を作るために木を使っていました。
山と調和し、山の恵みをもらいながら、それを生業としていた昔の人たちのやり方を、現代版にアレンジしたものが自伐型林業かもしれません。

──具体的な事例として、どのような活用法があるのでしょうか。

上垣:
木材販売はもちろん、伐採した木からアロマオイルを抽出して商品を作ったり、あるいは森の中にゲストハウスやクラフトビールのブルワリーを作ったり、料理の香りづけとして商品にしたり…。
一昔前とはまた一味違った、嗜好性の高い活用法が出てきています。

北海道・ニセコで自伐型林業を営む中で開発されたトドマツの精油を使ったアロマオイル。売上の一部は森林保護活動に寄付され、地域社会への還元を行っている

──面白いですね。

上垣:
ほとんどが過疎化の進んでいる地域ですが、自伐型林業に取り組むことで、中山間地域の活性化や地方創生の可能性も広がっています。自伐型林業によって山に関わる人が増え、人が集まるようになっていくんです。

自伐協としては、100年後も200年後も続いていく山を見据えながら、山と共に生きることを決意した方が、山を守り、かつそれを生業としても成り立たせていく自伐型林業の術を、今後も伝えていきたいと思っています。

講師と受講生の一コマ。若い世代に技術や山との向き合い方を伝えていくには互いを尊重する信頼関係が必要。

「未来の自分、未来の誰かに任せる」。
山の中で得られる価値観

世代を超えて撫(な)でるように育まれてきた吉野(奈良県)の人工林。200年を超える木々が立ち並ぶ美林は、人が手をかけ続けてきたからこそ生まれた風景だ

──山のお話を伺いながら、戦後〜高度経済成長の中で置き去りにされてしまったような価値観、暮らしとして、命としての「豊かさ」のようなものを取り戻す動きのようにも感じました。言語化しづらいですが…。
お二人は「山に入る」とは、どういうことだと感じておられますか。

上垣:
山に入ると、考え方が変わります。
私は先祖の山を引き継いでいるのですが、以前は「どんなやり方でもいいから早く整備しないと、山が荒れて手遅れになってしまう」という焦燥感にかられることがありました。だけど、山に入る中で気づいたんです。山は、もっともっと長いスパンで生きていると。
3年や5年ではなく、100年、200年を考えた時に「全部自分がやらないといけない」という発想はなくなって、「自分ができなくても、次の代に引き継ぐ道筋をつくっておこう」と思える。

倒れて苔むした木の上には、たくさんの新たな芽吹きを見ることができる。この中のどれかは大地に根を張り、大きく育っていくのだろう。命の循環を見つめるひととき

上垣:
僕たちが戦後の教育や社会で教えてこられなかったものが、山の中にはあります。言葉で表現するのが難しいですが…、いかに不安定な世の中でも、山は逃げません。逃げない山を管理し続けさせてもらえることで、他では得がたい安心感も得られます。僕たちが生きていく上で大切なものが、確かに山の中にあると感じています。

荒井:
ある意味、「自然の一員としての人間らしさに戻っていく」ということなんだと思います。

山からしたら、5年10年っていうのは大した年数じゃないんですよね。焦ってやって失敗するよりも、立ち止まって、ゆっくり考えてみてもいい。なんでもかんでも今すぐやらないといけないわけじゃなくて、「未来の自分」や「未来の誰か」に任せるという考えもあるんだと、時が経たないと見えてこないものもあるんだと、そういうことを、山が教えてくれるように思います。

とはいえ、急な開発で山が破壊されるようなケースは急いで止めないといけなくて、時間軸の違いが発生するのですが…。

丁寧に作られた作業道では法面も安定して崩れないため、苔などの植物が定着し、サワガニのような生き物も棲むことができる。「道を歩くだけで、さまざまな生き物と出会える山は楽しいです」

100年後、200年後も、そこに豊かな命があるように。
人と自然とが、良い関係を築いていける山を

オンツツジの咲く新緑の橋本山林。人工林でありながら生物多様性の豊かさが認められ、林業経営している山林として初めての自然共生サイトに認定されOECM国際リストにも登録されている

──ここ数年、私が住んでいる地域もソーラーパネル設置や開発がますます進んでいます。
山が普段、あまりにも当たり前の景色と化しており、失われて初めて、ここに確かに山があったと気づく、失われたら悲しいと思うのに、実は山に興味がなかったのではないかという身勝手な自分もいます。
100年後、200年後続く山というのは、一体どんな山なのでしょうか。

上垣:
四国・徳島で自伐型林業をされている橋本光治さんの山を思い浮かべました。
初めて橋本さんの山を訪問した夜、橋本さんから「明日、暇か?オンツツジ見に来るか?」と誘われて、「山なのにオンツツジ?!」と思いながら翌日、一緒にオンツツジを見に行きました。

橋本さんは、シーズンになると「ここに咲いたな、あそこにも咲いたな」って、毎日、オンツツジ鑑賞のために山に入っておられるんです。なんだろうな、手入れのために山に入るという感覚もあるのかもしれないですが、それ以上に、咲いているオンツツジを見るのが嬉しくて、山に入ることが楽しいんだと思うんですね。

まるで自分の体のように山のことを熟知して、どこかに違和感があるとすぐに気づいて、メンテナンスをしておられる。
山だけど、血の通ったご自身の体のようなんです。それは100年後というよりは、「今、自分にとって良い状態を築いていこう」という日々の思いの積み重ねだと思うのですが、そういう関係性を作っていける人と山は、100年も200年も、ずっと続いていくのだと思います。

「スギの巨木の間でオンツツジが咲き誇る独自の風景は橋本さんの施業の賜物。気候によって毎年咲く日程が微妙に変わるため、満開を見られるのは山守として山を見続ける者ならではの特権です」

荒井:
橋本さんの山は、訪れるたびに発見があって、歩いているだけで、体が喜びを感じて楽しいんです。

橋本さんは、山のことを「自分の庭みたいに感じている」とおっしゃっていました。
山の細かいところまでを把握し、気にかけ、手をかけて愛を注いでおられて、その愛に応えるように、橋本さんの山ではさまざまな生命が息吹いています。

例えば、ちょうど朝の時間帯にきれいなベールのようなキノコを見つけたことがありました。その姿がものすごく美しくて、この特別な瞬間を、自然が用意してくれていたように感じました。

ただ、そんな瞬間は、一朝一夕にはやってこなくて。
山と人がお互いに築き上げた深い関係性があって見えてくるのだと思います。
橋本さんと橋本さんの山のように、人と自然の関係が出来上がっていくのは素敵だなと感じますし、そんな山と人が日本にどんどん増えたらと思っています。

キヌガサタケはその美しさから「キノコの女王」とも呼ばれるが、わずか半日ほどで朽ちてしまう。このようにベールが完全に広がっているタイミングを見るのは貴重な体験

自伐型林業を広げたい!チャリティーをぜひ応援してください!

橋本山林には林業を志す人、自然や生物を愛する人などたくさんの人が訪れる。林業を学ぶ人たちに良い山を見てもらうことが次世代の山づくりにつながり広がっていく

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

上垣:
チャリティーは、自伐型林業を始めたばかりの林業家が、山はもちろん、山とつながっている川や海の現状を知るイベントや視察等に参加できるよう、そのサポート代として活用させていただく予定です。

林業関係者だけでなく、たとえば様々なネイチャーアクティビティ、釣り、スノーボード、サーフィンなど、自然資源を遊びの空間にしている人たちも巻き込みながら、皆さんと共に世論を作っていきたいと思っています。ぜひ、応援いただけたら嬉しいです!

──貴重なお話をありがとうございました!

10周年記念フォーラムにて。「自伐型林業の普及に惜しみない協力をしてくれる講師陣と、スタッフ一同での記念撮影。次の10年は、自伐型林業を世界へ!!」

▼徳島県で自伐型林業を営む橋本林業:橋本光治さん延子さんの1日を早送りでまとめた動画。「森の中での仕事の様子をご覧ください」

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

人と自然は、密接につながりあっているのだと思います。
環境破壊や汚染など、日常生活の中で感じるさまざまな「不自然」、違和感や疑問をそのままにせず、自分なりの、その時々なりのこたえやあり方を見出していくことが、もしかしたら人と自然との共生につながっていくのではないかと、お二人のお話を聞きながら感じました。

近くにないと、滅多に山に入る機会はないかもしれません。しかしもし山に入る機会があれば…、そこで感じることが、きっとすべてなのだと思います!

・自伐型林業推進協会 ホームページはこちらから

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【2025/9/28-10/5の1週間限定販売】
山から川や海へ通じる一本の道の周りに、木々や命、人々の暮らしを描きました。
山林と私たちの生活は一本の道のように通じていること、またその土地ごとの山林を尊重した道をつけることで、私たち人間と山林とが豊かに共に生きる未来へとつながっていく様子を表現しています。

“Forests in everyday life(日常生活の中の森)”という言葉を添えました。

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JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

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