しましま模様やバーコードなどの規則的な模様、光の点滅や体温の変化などでも突然の発作を繰り返す難治性てんかん「ドラベ症候群」。発症は4万人に一人と言われています。
日々の生活の中では、突然の発作に備え、さまざまな対策が必要になります。
発作が長引くと脳症を発症して後遺症が残ったり、最悪の場合は死に至ることもあり、我が子と一緒にいる時も離れている時も、親や家族は、何かあった時にいつでも駆けつけることができる距離の場所にいるといいます。
日常生活に様々な制限や緊張がある中、不安や孤独を抱えがちな患者家族同士がつながって、病気に立ち向かう力や安心感を得てほしいと、2015年7月に設立された「ドラべ症候群患者家族会」が今週のチャリティー先。
ドラベ症候群のこと、また子育てについて、家族会の佐々木千恵(ささき・ちえ)さん(52)、神谷梓(かみたに・あずさ)さん(44)、エッセー漫画家の剥がれ鱗(はがれうろこ)さん(36)にお話を聞きました。
ドラべ症候群患者家族会
難治性てんかん「ドラべ症候群」の家族や医療関係者のための集まり。
ドラべ症候群に関する調査・研究を通じた啓発活動や国へのはたらきかけ、また患者家族の交流を行っています。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2025/06/02
昨年の家族交流会(DFK2024)にて。「受付も患者の家族で運営しています。皆さん仕事をしながら、交流をしています」
──今日はよろしくお願いします。最初に、団体について教えてください。
佐々木:
ドラベ症候群の患者家族会です。2015年に家族会を立ち上げて10年、現在、423名の会員さんがおられます。
ドラベ症候群は「乳児重症ミオクロニーてんかん」とも呼ばれる2〜4万人に一人の発症率の希少難治てんかんで、しましま模様やバーコードなどの規則的な模様、光の点滅や体温の変化などでも突然の発作を繰り返す病気です。
日常生活の中で、いつ何時発作が起こるかわからず、親御さんは孤独を抱えがちです。同じドラベ症候群の子を持つ家族同士、他の人にはなかなかわかってもらえない大変さを共有し、情報交換する場を持っています。
患者家族会としてこれまでに発行した冊子いろいろ。(写真手前)ドラベ症候群の患者を支援する人にドラべ症候群のことをより知ってほしいと作成した「ドラベ症候群〜患者家族と支援者のためのハンドブック〜」。(写真中央)たまごクラブひよこクラブのイメージで作成した「Dravetクラブ」は2022年のJAMMINとのコラボで集まったチャリティーでvol.2も作成。(写真奥)脳症の経験者の家族で作成した「脳症白書」
佐々木:
ドラベ症候群患者や家族を取り巻く実態の調査・研究、国への働きかけなども積極的に行っています。
3年前にJAMMINさんとコラボしていただいた際は、5分以上発作が続く「てんかん重積発作」状態をいち早く止める効果が期待できる薬「ブコラム®️」を、学校などの教育現場で取り扱ってもらえるよう活動していましたが、おかげさまで認められるようになりました。製薬会社さんの後援というかたちで、教職員に向けた講習会も開催しています。
これまでは発作が起きた時にそれを止める対処療法がメインでしたが、最近では、より根本治療に近いところでてんかんを予防する「核酸医薬」の治験が海外で始まろうとしており、日本でも同時にできないかと活動していました。
2024年、第66回日本小児神経学会学術集会にて、患者家族会ブースを出展した際の一枚。真ん中がドラべ症候群患者家族会会長の黒岩さん、その右隣が当会研究会員の国立精神・神経医療研究センター病院総合てんかんセンター長の中川栄二先生。黒岩さんの左隣が、今回お話を聞かせていただいた佐々木さん。「この日は中川先生が座長のシンポジウムに黒岩会長が登壇いたしました」
神谷さんの双子の息子さん、僚佑くんと俊佑くん。放課後等デイでお出かけに行った際の一枚
──神谷さんは、双子の息子さんがドラベ症候群だそうですね。
神谷:
現在特別支援学校4年生の双子の男の子、どちらもドラベ症候群です。最近は1週間に2、3回の頻度で発作があります。知的障害や多動など他の困りごとも抱えているのですが、日々をどう楽しく過ごすか試行錯誤しながら暮らしています。
家族会には、息子が1歳の時に入らせてもらいました。
当時は、ドラベ症候群という病気自体をまだ受け入れきれておらず、「私と子どもたちは、これからどうなってしまうのだろう」という不安しかありませんでした。家族会に入り、先輩のお母さん方に、薬のこと、治療のこと、日常生活のこと…、いろんなことを相談できて、すごく救われてきました。
いつ発作が起きても対応できるように持ち歩いている救急セットの中身。「緊急薬(ブコラム)、タイマー、パルスオキシメーター、手作りの搬送カード、夏場は追加で、霧吹きも持ち歩いています」
──息子さんたちは、どんなことで発作が起きるのですか。
神谷:
気圧の変化や本人の疲れ具合、発熱など、さまざまな要因で起こります。
ドラベ症候群の患者は、熱感受性が非常に高く発作を誘発するので、熱さに弱い特徴があります。以前は走り回って体に熱がこもった時や、風邪をひいて発熱した時によく発作が起きていましたが、年齢が上がるにつれ、熱に対しては体が強くなってきているように思います。
神谷:
年齢とともに何で発作が起きるかというのも変わってきており、最近は発熱をしてなくても発作が起きることがあります。原因はよくわからず、今も手探りです。
──そうなんですね。
夏場の暑さ対策は必須。「外遊びで必須なのがクールベスト!発熱時などにも役立ちます。塩マットは夏場も使いますが、保冷剤を嫌がる双子たちは年中、発熱時などにも使用しています」
神谷:
夜2時3時に目が覚めた日は、寝不足が原因なのか、発作になりやすいということがあります。体調が良く、朝までぐっすり寝た日は発作もなかったりしますが、必ずしもそうだとは言い切れません。
常に子どもたちの様子を見ながら、さまざまな配慮と万全の対策をしています。
──発作は前触れなく、突然始まるのですか。
神谷:
突然始まりますが、親として長く一緒にいるので、なんとなく顔つきや様子で察知はします。双子なので、どちらかが先に発作になったら、もしかしたらもう一人もなるかもしれないと準備もしています。
発作が起きると、体が急に硬直して突然バタンと倒れたりうずくまったりしてガクガク震えることが多く、怪我などしないようにまずは安全なところに寝かせて、発作の時間を測りながら様子を見守ります。息子たちの場合、発作は1〜2分で収まります。
「発作に備えて、テーブルにはクッションになるようなものを置いています」
「発作が起きた時に誤って入ったり落ちたりしてしまわないよう、テレビの隙間などにも、念のため枕やクッションを挟みこんでいます。階段などは、落下や脱走防止にベビーゲートが必須です」
神谷:
発作が長引くと、後遺症のリスクがあります。
脳症になり、それまで歩けたのが歩けなくなってしまったり、ご飯が自分で食べられなくなったり、寝たきりになってしまったり、最悪の場合は、死に至る危険性があるのです。
発作が3〜4分続く場合、発作を止める薬を投与するかを判断します。ブコラム®️の場合、息子たちは発作が5分続いた時と決めていて、学校にもそのようにお願いしています。
佐々木:
患者家族会では今年、発作によって2名のお子さんが亡くなりました。常に命を脅かす危険と隣り合わせで生活しているということは、知っていただけたらと思っています。
さまざまな対策と工夫をしながら、元気に遊ぶ僚佑くんと俊佑くん。「暑さにも負けず、クールグッズを駆使しながら、少しでも楽しく外遊びができるように頑張っています」
神谷:
脳症を引き起こす原因は発作の長さだけに限らず、他にもさまざまな要因があるようで、医師の先生でも判断がむずかしいところがあるようです。
ただ脳症を発症している場合、処置が遅くなるとそれだけ後遺症が残ってしまう確率が上がるので、脳症の可能性が考えられるのであれば、まずはその治療を優先的に進める必要があります。治療しないデメリットの方が大きいのです。
佐々木:
家族会では、我が子が脳症になったお母さんたちの声を集めた「脳症白書」という冊子を作り、会員さんたちに配布しています。
いつもの発作が起きておさまったようだけど、子どもと目が合わないとかぼーっとしているというのは、お医者さんは「薬の影響ですね」と言うかもしれないけれど、「発作後や治療後の様子がいつもとちょっと違う」というのは、親にしかわかりません。
脳症に限りませんが、知識がなければドラベ症候群と闘っていくことは難しく、子どもを守るために、親御さんたちにも強くなってほしい。そう思って患者家族会を続けています。
「多動が激しい双子たちが、歯医者で1人で座って治療ができました!泣きました」
「つらい発作の後、寝入った2人の寝顔です。この寝顔を見ると、安心できます」
──普段の生活について教えてください。
神谷:
息子たちは重複で知的や多動障害もあり、年齢は10歳ですが知的には1、2歳ぐらいの発達具合だと思います。耳で覚えた単語を話しますが、コミュニケーションがとれるわけではありません。身体的には活発で、歩いたり走ったりとものすごく動き回りますが、危険認知ができないため、補助が大変です。
ドラベ症候群の特徴として小脳失調があり、不器用な上、体幹が弱く手に力が入りません。食事はほぼ全介助ですが、最近はスプーンですくったりフォークで刺して食べる訓練をしています。
あとは、感染症が発作の原因になることがあるので、感染症対策をしっかりしています。外から帰ってきたらまずお風呂に入るようにして、病院を受診することがあれば、できるだけ滞在時間を短くするように工夫しています。
──大変なことはありますか。
神谷:
多動がひどいので、以前は部屋にテーブルが置けませんでした。
テーブルの上に乗って、そこで発作を起こしたら落ちて危険だからです。身の回りで、危険になりそうなものはなるべく排除して生活しています。
主人の実家のすぐ隣に住んでおり、主人の両親、義理のお姉さんたちも協力してくれて、皆で子どもたちを育てています。双子、二人ともドラベ症候群ということもあって、とにかく人手で必要だということを痛感します。
皆の支えのおかげで、上に一人お姉ちゃんがいるのですが、お姉ちゃんのケアもできています。私一人で子育てしていたら、きっとノイローゼになっていたと思います。
てんかんの啓発キャンペーン「パープルデー大阪」に家族で参加した時の一枚。「幸せなひとときと、良い思い出になりました」
剥がれ鱗さんと、娘のぴぴちゃん。「電車が大好きな女の子です。しかし普段は大きなバギーでの移動のため電車は中々ハードルが高く‥。この日は、鉄道博物館でいろいろな電車に乗れて嬉しそうな顔がたくさん見れました」
──はがれ鱗さんはいかがですか。
剥がれ鱗:
今年8歳、特別支援学校2年生の娘がドラベ症候群です。
知的障害を伴っており、手足が不自由なので歩行には装具を使っています。日常生活には介助が必要です。
生まれてから2歳ぐらいまで、5〜10分の長い発作が毎週2回は起こり、救急車で搬送されることも少なくありませんでした。新薬の治験に参加して随分症状が良くなり、今は発作は月に1回ほど、長さも4〜5分にまで落ち着いています。
──普段の生活について教えてください。
剥がれ鱗:
会話はできませんが、発作が減ったこともあってか、絵本を指さしてしゃべったり、ほしいものを言ったり、この1年ほどで言葉が出てくるようになりました。
ぴぴちゃんの普段の様子。「おもちゃをとにかく床いっぱいに並べて鼻歌を歌いながら遊んでいます。以前はひとり遊びばかりでしたが、『ママー』と一緒に遊べることが増えました」
剥がれ鱗:
神谷さんのお子さんと同じで手足に力が入りづらく、自力での食事は難しいです。リハビリしてだいぶ歩けるようになりましたが、装具をつけて歩いています。
私はひとり親で、実家からも離れて生活しているので、何かあった時に近隣に頼れる人がいません。いざとなったら一人で乗り越えなければいけないので、病院でも患者家族会でも、聞けることはすべて聞いて、知識を備えるようにしています。
娘は発作時、呼吸が2分ほど停止してしまう状態が起きており、医師から「発作よりもこちらで命を失う可能性もある」といわれました。緊急時に備え、心肺蘇生のための人工呼吸や心臓マッサージなどの救命方法を病院で教えていただきました。
──発作はどんな時に起きるのですか。
剥がれ鱗:
お風呂上がりやドライヤーをかけている時など、やはり熱に関わる時に起きやすいです。
湿気にも弱いので、お風呂は極力シャワーだけ、湯船を張ってもサッと入る程度です。浴室のドアは開けっ放しにして換気扇をつけ、温度や湿度が他の部屋とあまり変わらない状態にして入れるようにしています。
小さい時は光に弱く、外出した瞬間に発作が起きたこともありました。
今はそこまで光に対しては弱くないのですが、普段の生活では、できるだけ光の刺激がないよう、薄暗がりの中で生活しています。
「昨年の夏のぴぴです。自分で着たいアイテムを選び、身につけています(笑)。クーリングベスト、濡らして冷やすポンチョなどは我が家の夏の必需品ですが、本人もかわいい、楽しいと身につけてくれてるといいなと思っています」
佐々木:
一般的な子育てからすると「普通じゃないよ」っていうことをたくさんしているのがドラべ症候群のご家族で、それがもう、日常として当たり前になっているんですよね。
いつ、どこで発作が起きるかわからないから、子どもが学校にいる時も、何かあったらすぐに駆けつけられるよう、携帯を肌身離さず持っています。
剥がれ鱗:
確かに、不便が当たり前になっているところはあります。
いつ何時も、「発作の対応に不備が無いように」と立ち回っていると、気が付くと自分のことは後回しです。
たとえばお風呂は、一緒に入ると、急な発作が起きた時に対応できません。私は服を着たまま、娘だけを入れます。二人家族なので、夕飯もお風呂も、すべて彼女が寝てから。気がついたら2、3日お風呂に入っていない、ということも普通にあります。
「夏のイベントは難しいことが多く、これまであまり夏らしいことはしてきませんでした。家の近くの地域の小さな夏祭りなら…と、昨年初めてお祭りに参加した時の写真です。クーリングベストに加えて、暑くなったら冷たいお水で冷やしたりしながら、少ない時間でしたが初めてのお祭りを楽しみました」
「娘は偏食がひどく、口に入れたものを吐き出すことが多くてずっと食事が悩みでした。野菜は刻んでスープにしたら食べてくれる、お肉は細かく、ポテトが付け合わせにあれば他のもの食べてくれる、と一つ一つ打開策を模索してやってきました。最近は、苦手だった食事もおねだりしてくれるほど食べれるものが増えてきています。家以外での食事がなかなか進まないので、もっと食事というものを楽しめるようになれればなあと今は考えています」
──他に日常生活で難しく感じていることはありますか。
剥がれ鱗:
ドラベ症候群の子をもつ親として、働くことはかなりハードルが高いです。
以前、生活費を稼ぐためにパートをしたことがありました。しかし、突然の発作で学校から呼び出しがあるし、クラスで感染症がはやると、予防的に休ませなければいけません。どうしても仕事に穴を開けてしまいます。
迷惑をかけてしまうので結局退職しましたが、周りの人に頭を下げ続けなければならず…、難しい病気だなと思いました。
「発作があるためバギーは手放せませんが、たくさん歩けるようになりました。手をつないで2人で近所を大笑いしながら散歩をしてる時間が、母はとても幸せです」
剥がれ鱗:
今、私は在宅で漫画やイラストを描く仕事をしていますが、一人で働いているから自由に時間が使えるかというとそうではなく、娘と離れていても常に動きを気にしながら、何かあった時に備えて待機しているような状態です。
電波の入らないような場所や、娘に何かあった時にすぐに駆けつけられないような場所にも行けません。一人で働いて得られる収入にも限りがあるので、働ける環境があればいいなと思っています。
──確かに。
剥がれ鱗:
ドラべ症候群の子を持つ家族が抱えるもう一つの課題が、「病院までの距離」です。
発作が止まらずに脳症を発症するタイムリミットは、発作が起きてから30分と言われています。救急車を呼んでから搬送されて病院に着くまでに2、30分かかるとすると、それだけ後遺症のリスクが高くなります。
そんなことを考えると怖くて…、私は離婚を機に、病院から徒歩圏内の娘に何かあってもバギーで運べる距離の住まいに引っ越しました。
神谷:
うちの場合はたまたま近くに病院がありましたが、確かに、病院までの距離を気にして引っ越される家族もたくさんおられます。
「私たちの日常は、大変なことの方が多いのかもしれません。それでも幸せは間違いなくあって、ちょっとユニークで楽しい。ぴぴとの愛しい今を描けたらいいなと漫画を描いています」。剥がれ鱗さんの発信は、インスタグラムからご覧になれます→@hagareuroko
「睡眠中に親が離れていると発作に気づかないので、子どもが寝た後は見守りカメラを使って家事をしています」
──お子さんを連れての外出は、ハードルがもっと高くなりますね。
神谷:
そうですね。何かあった時のことを考えると…、やはり基本近場で、たとえば午前中に出かけて午後は家でゆっくりするなど、子どもに負担がかからないよう配慮しながら出かける感じです。息子たちが、できるだけ家で楽しめるような工夫をしています。
剥がれ鱗:
感染症対策のために人混みは極力避けるようにして、普段の買い物もネットスーパーを活用したりなど工夫しています。
ただ、ドラべ症候群の子どもは、発作を避けるためにいろんなことに気を使うあまり、さまざまな経験の機会が少なくなってしまうとも思っていて。
親として、「楽しませてあげよう」よりも「発作が起きたらどうしよう」「怖い」という感情の方が勝り、なかなか新しいチャレンジに積極的になることが難しいです。でも、本人が頑張れることは頑張らせてあげたいという気持ちもあって、一昨年の誕生日はディズニーランドへ、昨年は横浜アンパンマンミュージアムに行ってきました
高速道路に乗ってしまうと、発作が起きた時に停車して対応できないので、下道で4時間かけて行ってきました。いつ発作が起きても対応できるように準備しつつ、緊張して様子を見ながら3時間で帰りましたが、本人が笑顔だったので「チャレンジしてよかった」と思っています。
神谷:
準備を万全にした上で、それでも不安はありますが、息子たちを連れてプールに入れたとか、海に連れて行ってあげられたとか、普通のお子さんだったら当たり前のことかもしれないけれど、小さな挑戦をかなえられた時、すごくよかったと思うし、また新しいことに挑戦しようという気持ちにもなります。
佐々木:
経験して、発作が起きずに無事に家に帰ってこられた時ですよね。
親として子どもの笑顔を見て、そこでやっと「よかった」という気持ちになることができます。
「高校時代の友人たちに手伝ってもらい、かなったディズニーでした。行く前から、『ぴぴが楽しめるのはランドか?シーか?』と話し合い、何かあっても対応できるようにと友人2人が付き添ってくれました。心配していたアトラクションでも発作はなく、とにかくたくさん笑い、『楽しかった!』と帰ってこれました。この日は私の宝物です」
「いつ搬送されそのまま入院になるかわからない疾患のため、服薬している薬をまとめて持ち出せるよう、10日分ずつセットしています」
剥がれ鱗:
「もしかしたら、娘が私よりも先に逝ってしまうかもしれない」ということは常々思います。
明日、もしこの子に何かあった時、今日を後悔したくない。「一緒に楽しく過ごそう」という気持ちを、いつも持つようにしています。
日常の中で常に発作の緊張があって、普通の家庭の幸せとは異なるかもしれません。だけど私は今、娘と一緒にいることができて楽しいし幸せだし、タイムループして産む前に戻っても、また娘を産みたいと思っています。
思うように歩けないし、会話できないし、できないことの方が多いかもしれません。
だけどできないことよりも、楽しいことを感じて生きていけたらいいよねって、自分に言い聞かせているところもあるかもしれないけれど、そう思っています。
神谷:
うちの息子たちも、大変なことはたくさんあります。わーってなることも、疲れることもたくさんあるけれど、気づいたらお尻を出していたり、全裸で鏡の前で踊っていたり、窓に張り付いていたり…(笑)、クスッと笑わせてくれる瞬間があって、「笑わないとやってられないよな」っていう気持ちになれるというか。
成長につれて少しずつ自分の世界が広がって、最近は授業参観に行くたびに泣いています(笑)。クラスで役割を担い一生懸命な、私の知らない息子たちの姿があるんですよね。
──読者の方に向けて、メッセージはありますか。
神谷:
大変ながらも楽しく過ごしているということを、皆さんに知ってもらえたらと思いますし、ドラベ症候群に限らず、てんかんを持つ方が生きやすい世の中になるといいなと思います。少しでも、興味を持っていただけたらなと思っています。
ドラべ症候群患者家族会では、毎年6月23日の「ドラベ症候群の日」に向け、啓発活動を行っている。「2025年は、ドラベ症候群のお子さんを持つお父さんに『ドラベあるある闘病育児』を川柳で詠んでいただくことにしました。クスッと笑う川柳もあれば、自分の旦那さんにぜひ見て何かを感じて欲しい句もあり、また心温まる句もありました。6月23日まで、当会のFBやinstagramに毎日公開していますので、ぜひご覧ください!」
佐々木:
ドラベ症候群については、ありがたいことに企業や製薬会社さんの支援の輪が広がっており、少しずつですが認知されるようになってきました。
一方で、他にも難治性のてんかんを持つお子さん、そのご家族がおられます。
今、てんかんをお持ちの方は100人に一人いるといわれています。外で急に発作が起きた時、周囲の人たちにてんかんの知識があれば、対応の仕方は変わってきます。
難治性てんかんに対する知識・認識がもっともっと広がっていけばいいなと思いますし、そのためにも活動していきたいと思っています。
──最後に、チャリティーの使途を教えてください。
佐々木:
チャリティーは、難治てんかんを一人でも多くの方に知っていただくため、啓発活動の資金として活用させていただければと思います。ぜひ応援してください!
──貴重なお話をありがとうございました!
運営チームの皆さん。「どんなに忙しくても、運営チームは年に1回、オンラインではなく顔を合わせたミーティングを行い、次年度の活動を話し合います。毎年行っている服薬発作アンケートなどは、回答率をいかに上げられるか相談しながら、試行錯誤しています」
インタビューを終えて〜山本の編集後記〜
前回から3年ぶりとなるドラべ症候群患者家族会さんとのコラボ。
前回のコラボの時もですが、今回のインタビューも、佐々木さん、神谷さん、はがれ鱗さん、皆さんが楽しく笑顔でお話しくださった姿がとても印象的でした。命に関わる可能性のある発作がいつ起こるかわからないという毎日の中で、しんどさや深刻さだけにとらわれず、楽しむことを心がけておられる姿勢に、親としての強さ、我が子への深い愛、そしてまた、患者家族会の皆さんの強いつながりを感じました。この夏、設立10周年を迎えられるとのこと!ぜひ応援いただけたら嬉しいです。
【2025/6/2-8の1週間限定販売】
すてきなオルゴールの縁に座り、おしゃべりする子どもたちの姿を描きました。
雨の日もあれば、晴れの日もある。かけがえのない毎日の中で、ドラベ症候群と闘いながらも、大切な思い出が紡がれていく様子を表現しました。
”It’s going to be sunny. Let’s go together(やがて晴れるよ。一緒に行こう)”というメッセージを添えています。
JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!