難病の子どもたちとその家族を旅行に招待し、夢の実現や想い出づくりをサポートしている公益社団法人 ア・ドリーム ア・デイが今週のチャリティー先。
「難病のお子さんを在宅で看病するご家族では、生活が病気のケアを中心としたものになりがちで、家族で旅行に行くといった当たり前のことが夢となってしまうこともあります。旅行に招待し、旅行の中で病児やきょうだい、ご家族の夢を叶えていくことができたら…」
そう話すのは、副理事長で、国立成育医療研究センター生命倫理研究室長の掛江直子(かけえ・なおこ)さん(54)。
掛江さんと、事務局の渡邉真佐美(わたなべ・まさみ)さん(37)に活動について、お話を聞きました。
お話をお伺いした掛江さん(写真右)、渡邉さん(写真左)。「沖縄から旅行に来てくれた病児と」
公益社団法人 ア・ドリーム ア・デイ
2007年NPO法人設立、ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYOは、難病のお子さんとその家族を旅行に招待し、家族全員に「夢の時間」をプレゼントする活動をしています。2025年3月に法人名称からIN TOKYOを外し、より多くの病児とご家族の支援に取り組んでいます。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2025/03/03
「24時間酸素吸入が必要な先天性心疾患の病児と、きょうだいさん(妹、弟)とご両親の5人家族。2泊3日の家族旅行にご招待しました。写真は、3日目にダイバーシティ東京で撮った1枚。この後、浅草とスカイツリーを訪れ、東京駅のキャラクターストリートでお買い物をして三重県に帰られました。とても素敵な充実した3日間で、子どもたちはまたボランティアさんも一緒に旅行に行きたいと言っているそうです」
──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。
掛江:
国が「小児慢性特定疾病」として定めている、継続的な医療サポートが必要な難病のお子さんとその家族を対象に、普段経験できない、素敵な時間や出会い、感動を詰め込んだ家族旅行をプレゼントする活動をしている団体です。難病の子どもの夢を叶えることはもちろん、普段我慢することが多いきょうだいの夢も、そして家族みんなで叶えたかった夢を実現するお手伝いをしています。
小児慢性特定疾病には、約800疾患ほどが認定されています。日本では5例もいないぐらいの超希少疾患あれば、先天性の心疾患や染色体異常なども含まれます。
これまでに、115病児・111家族に素敵な家族旅行をプレゼントさせていただきました。おかげさまで一度も事故もなく、活動を続けてくることができました。
「病児は先天性の非常に稀な病気の女の子。優しいお姉ちゃんと仲良しで、たくさんの笑顔を見せてくれました。写真はチームラボプラネッツにて。不思議な空間で、光や音、水など、初めての体験をたくさんして、家族みんなウキウキ笑顔の1枚です」
──難病のあるお子さんとそのご家族の旅行ということに関して、どのような課題があるのでしょうか。
掛江:
私たちは、医療面・社会面・経済面の3つのハードルがあると考えています。
まずは医療的な面です。そもそも、難病のお子さんとそのご家族は、「もし子どもに何かあったら」という不安があって、旅行のハードルがすごく高いのです。
何かあった時にすぐにかかりつけの医療機関を受診できる範囲から外に出るのは、いのちに関わる怖さがあります。ですから、皆さんにとって当たり前の家族旅行が、「夢」となってしまうご家族がおられるのです。
「飛行機に乗り込み、ストレッチャーへの病児の移動と医療機器のセッティングが完了。一安心の同行医療者と、離陸が待ち遠しいご家族の笑顔です」
掛江:
さらに、移動のリスクも考慮しなければなりません。
飛行機に乗る場合、気圧が下がって呼吸が不安定になるとか、新幹線では狭い空間で長時間揺れが続く状態で、水分や薬剤の注入をしたり、トイレの問題もあります。移動中に体調が急変した時にどうすればいいのか、不安は尽きません。
私たちの団体は理事の多くが小児科医で、医療サポートのネットワークをもっています。また、さまざまなサポートを担ってくれるたくさんのボランティアさんたちが支えてくれますので、旅行中は医療面も含め、病児とご家族を全面的にサポートしています。
「旅行中、ボランティアさんが車いすを押して、病児が行きたいところに連れて行ってくれます。また、別のボランティアさんは、楽しむ病児とお母さんの笑顔の写真をパチリ!」
掛江:
社会的な部分の課題としては、「人目が気になる」という声があります。
寝たきりでストレッチャーに乗っていたり、医療機器を付けていたり、外見的に障がいがある場合などは「周囲の目が気になって外に出にくい」という声もあります。
私たちの団体では、居住地から離れた東京エリアにご招待することによって、日常の人目を気にすることなく、楽しんでもらいます。また場合によっては、ボランティアが盾になるようなかたちで、周りの目を気にせずに楽しめるようサポートしています。
その他、行った先の駅や商業施設がバリアフリーなのか、エレベーターはどこにあるのか、医療機器をつなぐ電源はあるのかと出先の環境や設備などまで確認が必要で、遠出する、旅行をするというのは本当に難しいのです。
私たちは、旅行を計画する際に、こういった事前の確認作業もすべて担います。また、ご家族には、どういう準備や手続きが必要なのかを知ってもらい、旅行後も積極的に外に出て行けるよう支援しています。
旅行に招待した後、ご家族から「今までは旅行なんて無理だと思っていたけれど、できるとわかった。今度は自分たちで行ってみます!」という声をいただくこともあって、次の目標をもつきっかけ、社会が広がるきっかけになってうれしいですね。
移動中の様子。「東京エリアの移動では、株式会社セーフティからプロのドライバーさんを人材派遣いただく形でご支援いただいています。車いすやバギーの患者さんは、団体で用意した福祉車両とプロドライバーさんの安全な運転で安心です。ドライブが大好きな病児のために東京湾アクアラインを走り、うみほたるPAへドライブしてもらったこともあります」
──きっかけを作られているんですね。経済面はいかがですか。
掛江:
共働き世帯が増えていますが、難病のお子さんがいて、手厚いケアが必要だと、どうしても誰かが家でケアを担当しなければならず、どちらかが仕事を諦めなければならない状況になりがちで、経済的にも弱くなってしまう傾向があります。
あるいは、シングルで子育てをしている方もおられて、その場合は、ケアをしながらになるので、フルタイムで働くことが難しかったりして、経済的にどうしても弱い立場におかれてしまいます。
私たちは、そのような経済的な課題にも配慮し、ご招待したご家族がご自宅から東京エリアに来られるまでの移動費はもちろん、ホテルなどの滞在費、訪れる先々の入場料など、すべてをサポートしています。
滞在先のホテルにて。「写真はホテルの部屋に戻り、その日1日の感想などをインタビューしている時の1枚。この日の楽しかった気持ちが続き、翌日のワクワクと相まって、終始笑顔のご家族です」
「リトルプラネットダイバーシティ東京にて、思いっきり体を動かして汗をかくまで遊んだきょうだいさんたち。この後も、ボランティアさんと走り回ったり、大はしゃぎでした」
掛江:
これまで100を超えるご家族を旅行に招待してきましたが、多くのご家族に共通するもう一つの課題として、きょうだい児のことがあります。わたしたちが支援するご家族の多くは「家族旅行に行ったことがない」ので、きょうだいさんは、「夏休みどこに行く」とか「冬休みにどこに行った」みたいな、周りのお友達にとっては当たり前の話題に入れないということがあります。そういった経験格差も解消してあげたいと思っています。
また、旅行に招待したあるきょうだいさんの「生まれて初めてエスカレーターに乗った」という言葉に驚いたことがありました。
難病のきょうだいが車いすやストレッチャーに乗っていると、必ずエレベーターを利用するんですよね。ですから、エスカレーターに乗ったことがなかったと。同様に、家族でいるときに走るということもないんです。だから、旅行中にはきょうだいさんが思いっきり走り回ったり、やりたいことができる時間をつくるようにしています。
ボランティアさんと楽しく過ごすきょうだいさん。「昼食後、ボランティアさんと前日のシューティングのお話で盛り上がるきょうだいさん。今日もボランティアさんと全力で遊びます。きょうだいさんを主役にした時間はとても大切です」
掛江:
同様に、遊園地に行っても、病児が乗れないからと乗らずにスルーする絶叫マシンに、旅行中はボランティアさんと乗ったり、ボランティアさんが病児に付いていてくれる間に、お父さんやお母さんと乗ったり。
きょうだいさんがご両親をひとりじめにできる時間も作るように心がけています。
旅行招待は一回だけですが、私たちがサポートして、ご家族一人ひとりの想いや夢をできるだけさくさん叶えられたらと思っています。
「家族と離れてボランティアさんと絶叫マシンに並ぶきょうだいさん。家族みんなで一緒に過ごす時間(下の写真)、ボランティアさんと冒険してみる時間、どちらの時間も大切です」
──ご家族に事前にしっかりヒアリングされて、旅行はすべてオーダーメイドだそうですね。
渡邉:
はい。たとえばきょうだいさんでも、旅行中に難病児と離れたくないという希望もあれば、思い切り体を動かして遊びたいという希望もあります。
行きたい場所ややりたいことを十分にヒアリングした上で、元気いっぱい遊ぶボランティアチームと、ゆったり過ごすボランティアチームを作ったり、前半は家族がバラバラですごして、後半は一緒に過ごしたりなど、いろんなアレンジをさせていただいています。
「家族で行くのが夢だったディズニーランド。ミニーちゃんのお家でサインももらいました」
──そうなんですね。
渡邉:
ご両親のレスパイトの役割もあるので、普段はお子さんにもし何かあったらということでなかなかお酒が飲めないけれど、医療者も含めて私たちがしっかり旅行をアテンドすることで、ご両親がお酒を楽しまれたこともありました。
「夫婦そろってジェットコースターに乗りたい」というご希望をいただいて、ほんの短い時間ですが楽しんでいただいたこともありました。「新婚時代を思い出した」と大変喜こばれました。
難病のお子さんがいると、生活はそのお子さんのケアを中心になりがちで、その中で、当たり前のこと、素朴な願いや希望が実現できないといったことも出てきます。その部分を、旅行中はできるだけ取っ払ってさし上げることができたらいいなと思っています。
ただ旅行を届けるだけでなく、特にお子さんたちには、普段の生活に戻ってからの成長を後押しできるような、その可能性を育むような経験を旅行の中でぜひ得てほしいなという想いでアレンジさせていただいています。
「お酒を楽しむ御一行。家族で出かける時は、病児のバギーや医療機器などたくさんの荷物があるため、いつも車。お父さんはいつもドライバーなのでお酒は飲めません。でも、旅行中は送迎があるので、大好きなビールも飲めます。ボランティアさんたちと一緒に乾杯!」
招待した家族への事前のヒアリングの情報と、旅行当日の病児や家族の体調を踏まえ、細かな指示をボランティアさんたちに伝える事務局の渡邉さん
──そうすると、ひと家族を招待するにあたり、事前にしっかりヒアリングされるんですね。
渡邉:
はい。旅行にお申し込みいただいてから、お子さんの病気の状態や治療、普段の生活などについてあらゆることを面談などで聞き取りを行います。お医者さんの診断書などご用意いただくものもあるので、電話などでもやりとりを行います。
受け入れが決まったら、子どもたちの夢や希望をうかがい、具体的な時期や訪問先を一緒に考えて、ひと家族ごとにオーダーメイドの旅程を細かく組んでいきます。
「初めてのディズニーパレードを見た時の、病児のちょっと驚いた顔とお母さんの感動の笑顔です。旅行では、驚きや好奇心でキラキラした瞳の子どもたちの笑顔と、そんな子どもたちを慈しむ親御さんの笑顔が、たくさん見られます」
──皆さん、どんな場所をご希望されますか。
渡邉:
ディズニーランドや鴨川シーワールド、東京タワー、スカイツリーなどいろいろです。
旅の具体的な日程とスケジュールが決まると、事務局の方で旅券やホテル、旅行中の移動車両などを手配します。
地方から飛行機で来られることも少なくありませんが、お子さんによっては酸素が必要だったり、座席を何席か確保してストレッチャーで乗りこむ必要があったりするので、航空会社さんと相談しながら進めます。飛行機の場合、気圧の上下があるため、お子さんの状態によっては、小児科医や救急救命士、看護師が同乗することもあります。
飛行機内にて。「救急救命士さんとキャビンアテンダントさんが、病児のシートセッティングや酸素の使い方などについて相談してくださっています」
──そうなんですね。
掛江:
東京に到着してからは必ず私たちスタッフが同行してアテンドします。
宿泊に関しては、ご家族には良いホテルに泊まっていただきますが、スタッフは経費削減のために、すぐ駆けつけられる近くのビジネスホテルなどに滞在します。ただ、これもケースバイケースで、お子さんに急変の可能性がある場合には、医療者やスタッフが同じホテルに宿泊することもあります。
医療的な面でしっかりしたサポートができることは、私たちの団体の強みでもあります。
理事に小児科医が複数いるので、そのネットワークで、ご家族が行く先々や宿泊先の近くの、救急を受け入れている医療機関に、事前に情報を共有させていただいています。
──医療面で、万全のバックアップがあるのですね。心強いですね。
東京ディズニーシーにて、皆で一緒にポージング!「夢の国の楽しい雰囲気に、みんな笑顔満点です」
「2018年10月、人工呼吸器をつけている難病児とそのご家族が、5家族集まって交流するイベントを開催したときの一枚です」
──団体を立ち上げられたきっかけを教えてください。
掛江:
初代事務局長の永井健三さんが「難病の子どもたちのために何かしたい」と、当時、私が所属している国立成育医療研究センターの病院長をされていた佐伯守洋先生に相談されたのが始まりになります。
永井さんはもともと企業の海外研修旅行などの手配をする仕事をされていたそうで、旅行企画のノウハウをお持ちでした。
一方で佐伯先生は、小児外科医として多くの病児の手術を担当し、いのちを助け、病気を治したり良い状態にしたりされてこられたのですが、退院後の外来などで子どもやその家族と接する中で、国や医療だけでは支えきれない部分があることを感じておられたそうで、この団体を立ち上げることでなんとか病児とご家族を支援したいという想いであったと聞いています。
旅行をアレンジするという永井さんの専門分野を活かしつつ、難病の子どもの夢を叶え、家族旅行の素敵な想い出を届けることで、難病の子どもとその家族を支援していこうというのが始まりでした。
また、難病の子どもの夢を叶える活動をしている団体は他にもありましたが、難病の子ども自身が自分の夢を伝えられることが前提となっていたり、医療的に不安があるような患者は受け入れてもらえなかったりということがありました。
当時の佐伯理事長は、本人と意思疎通が難しい場合や医療的に不安がある場合でも、できる限り支援をしましょうと言われ、その方針は現在の3代目となる天野理事長(小児科医)により引き継がれています。
「ボランティアさんと仲良くなって笑顔の病児。この活動においてボランティアさんはなくてはならない存在です」
──掛江さんは、どのようなきっかけで団体に入られたのですか。
掛江:
佐伯先生から声をかけていただいたことがきっかけです。
私は「バイオエシックス(生命倫理学)」という学問を専門とする研究者で、医療における倫理的、法的、社会的な問題を検討し、特に小児医療における患者の権利擁護に取組んでいます。
国立成育医療研究センターでは、医療の中で子どもの患者さんの権利をどのように守るかということや、どうすれば患者さんのQOL(生活の質)を上げられるような医療や社会支援を提供できるか、そのための社会のしくみ作りなどを研究しています。
小児慢性特定疾病の患者さんの生活実態調査をしたり、患者さんやそのご家族のお話を聞いたりしながら、病気をもちつつ成長していく子どもたちや、日々思い悩みながらも、頑張って生活しておられるご家族の姿を見てきました。
国や行政でも、患者さんやご家族への心理・社会的支援を拡充し、さまざまな取組みが広がりつつありますが、それでもなお、家族旅行という当たり前の経験や想い出を持つことができないご家族がおられる現状に対して、少しでも何かお手伝いができたらいいなという思いで活動に加わり、気づけば15年が経っていたという感じです。
掛江さんに抱っこを求める病児。「ふだんはとても人見知りで、家族以外には抱っこをさせてくれない病児でしたので、ご両親もとても驚いておられました」
──新型コロナ感染症の感染拡大によって、旅行支援ができない時期がありましたよね。
掛江:
はい、2年余り活動を自粛しなければならなくなり、非常につらい時期でした。
この間、家から出られない病児やきょうだいに向けて、家で楽しめる工作キットなどをプレゼントする贈り物事業などもいたしましたが、やはり旅行支援ができず、たくさんの病児とご家族をお待たせしていることは大変つらかったです。
新型コロナ感染症による行動規制が解除されて旅行支援を再開できた時のうれしさは…。最初にご招待したのは、沖縄からの2家族。病児がNICU(新生児集中治療室)からの幼なじみで、2人とも気管切開をしていて呼吸に不安がありましたので、飛行機での移動には救急救命士さんと私が那覇空港までお迎えに行きました。
「新型コロナ感染症による行動制限解除後、最初にご招待した2家族との写真。マスク姿が、当時まだ感染症対策に神経を尖らせていた様子を物語っています。でも、それ以上にみんなで会えたこと、旅行ができたことがうれしかった!」
──旅行支援を再開して、改めて感じること、この旅行支援の良い点はなんでしょう。
掛江:
難病のお子さんの生活の場は、病院と家庭から外に広がりにくい面があります。
特に学齢期前のお子さんの場合は、ご家族と病院のスタッフとしか関りをもったことがないこともあります。
しかし旅行の中で、スタッフやボランティアさんという、今まで関わったことのない人たちと接する中で、子どもたちは社会性を身につけ、成長した姿を見せてくれることがあります。たとえば、家族にしか抱っこさせてくれなかったお子さんがスタッフやボランティアさんに抱っこやおんぶをねだったり、家族の姿が見えないと不安になって泣いてしまっていたようなお子さんが親の姿を探さずにボランティアさんと夢中で遊んでいたり。
「この写真の病児は気管切開をしているので声を出してお話しはできませんが、表情と身振り手振りで自分のやりたいことを教えてくれます」
掛江:
私たちは常に、お子さんと目線を合わせ、お子さん自身の意思や希望を確認しながら接することを心がけています。また、意思疎通が難しいお子さんにも、つねに声をかけ、スキンシップをとり、一緒に楽しみたいという私たちの気持ちを表し、楽しかったときはその楽しい気もちを伝えるようにしています。
そうすると、子どもの方からも、いろんなことを伝えようとしてくれることがあります。そして、その様子を見て、予想すらしていなかった子どもの社会性・社交性、成長した姿に感動して、涙ぐまれる親御さんもおられます。
これからも「本人が何を感じているか・思っているか」ということをつねに考え、できるだけ子ども本人に寄り添っていきたいと思っています。
はじめてのお買い物。「ボランティアさんに付いてきてもらって、はじめて1人でお買い物をした病児。この後、お母さんに『自分でお買い物できたよ!』とドヤ顔で報告していました(笑)」
「記念撮影の定番、シンデレラ城の前で記念撮影!脳腫瘍を患う病児を囲んで、ご家族とボランティアさん、みんな笑顔です」
──今後の展望を教えてください。
掛江:
毎年20家族ほどにお申し込みをいただくのですが、今のところ、人員面と資金面から、年間10家族のご招待が精一杯です。私たちの団体がもっと大きくなって、もっとたくさんのご家族を招待したいというのがひとつです。
さらにもうひとつ、団体が「一般社団法人ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYO」となってから15周年、公益社団法人に移行して10周年となるのを機に、団体名称を「公益社団法人 ア・ドリーム ア・デイ」に改め、活動の幅も広げて、新しく「おでかけ支援」事業を始めることにしました。
要は、宿泊を伴わない日帰り旅行支援ですね。これまでは「東京エリアへの旅行をプレゼントする」ということで地方にお住いのご家族が主な支援の対象でしたが、東京エリアにお住まいの難病のお子さん、きょうだいさん、そのご家族を対象に、たとえばミュージカルを観に行くとか、いちご狩りに行くとか、私たちがサポートすることによって普段できない体験を届けられたらなと思っています。
──読者の方に、メッセージをお願いします。
渡邉:
東京旅行のご招待には、ひと家族100万円ほどがかかります。
今後、おでかけ支援も本格的に進めたいと思っており、まず財政的なところでもう少し頑張りたいと思っています。この活動を通して、難病のお子さんとその家族に、夢のような時間を過ごしていただくためにも、たくさんの方に活動を応援していただけたらうれしいです。
また、旅行をご家族に届けることによって、精神的にも孤立しがちなご家族に「たくさんの人が応援しているよ」ということを伝えることができます。ぜひたくさんの方々に応援の輪に、加わっていただけたらと思います。
「進行性の難病で生活には呼吸器の助けが要りますが、支えてくれる人たちがいて、みんな笑顔で楽しい時間を過ごします」
──最後に、チャリティーの使途を教えてください。
掛江:
チャリティーは、難病のお子さんとそのご家族を旅行に招待する費用の一部として活用させていただく予定です。
お伝えしたとおり、1家族のご招待に100万円ほどかかります。
ですが、私たちの活動は、旅行にご招待するだけのものではありません。ご家族にとってプライスレスな素晴らしい想い出となり、100万円以上の価値を生み出します。
さらに、難病のお子さんとその家族とさまざまな場所を訪問することで、訪問先の施設の方々の意識も変わり、私たちと空間を共にした人々が増えることで社会の意識も変わります。
バリアフリーがより進み、サポートが必要な方を受け入れるマインドが育っていくことにもつながる。その先には、老若男女すべての人が過ごしやすい社会があるのではないかと。少し大きな話になりましたが、この活動はそういったSDGsの課題解決にも寄与する本当に素晴らしいものであると自画自賛しています(笑)。
ただ、社会を変えていくところまで持っていこうと思うと、年間10家族ではまだまだ足りません。ぜひ、たくさんの方々にこの活動をご支援いただけたらうれしいです。
──貴重なお話をありがとうございました!
「旅行中に、病児ときょうだいさん、ご両親、ボランティアさんと。皆で笑顔の一枚です。いつもこのような楽しい雰囲気で旅行支援をしています」
インタビューを終えて〜山本の編集後記〜
知らない場所や初めて行く場所は、ワクワクする気持ちもありつつ不安もありますよね。
難病のお子さんがいるご家庭は、物理的なさまざまなハードルもあり、その不安がもっともっと大きいと思います。道中で、旅先で、サポートしてくれる人たちがいたら、どんなに安心できて、旅を楽しむことができるでしょうか。
これから「おでかけ支援」の事業もスタートされるとのこと、ご活動を通じて、これからもたくさんの笑顔が生まれていくことを願っています。
【2025/3/3~9の1週間限定販売】
いろんなお花が、手を取り合って笑顔で歩んでいく姿を描きました。
難病のお子さんとそのご家族が、たくさんの人たちのあたたかい支援(太陽)を受けながら、夢の旅行でのさまざまな経験(しずくや太陽の光)を通じて成長し、花開いていく様子を表現しています。
“Follow your heart and dreams(あなたの心と、夢に従って)”というメッセージを添えました。
JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!