CHARITY FOR

「亡くなった娘と共に、これからも」。自身の体験をきっかけに、付き添い入院の環境改善のための挑戦を続ける〜NPO法人キープ・ママ・スマイリング

子どもの入院中、自分のことは後回し、寝る間も食事をする間も惜しんで、医療チームの一員としての役割を担い、24時間子どもに付き添ってケアをする親たち。しかし付き添い者のためのケアはなく、不健康な食生活や寝不足から体調を崩したり、精神的な不調をきたしたりすることも少なくありません。

「付き添い家族の環境を、なんとか改善したい」。
自身の付き添い入院での体験をきっかけに、NPO法人「キープ・ママ・スマイリング」を立ち上げた光原(みつはら)ゆきさん(50)。二人の娘には先天性の疾患があり、光原さんは2度の付き添い入院を経験しました。
次女は、生後11ヶ月で急逝。「彼女が生まれてきてくれた意味を果たすために」と、2014年に団体を立ち上げ、活動してきました。

2022年末には、入院中の子どもに付き添う家族の生活に関する大規模な実態調査を実施。その結果を要望書にして国へ提出すると、国が異例のスピードで付き添い環境改善を後押し。30年間変わることがなかったという小児病棟の付き添い家族の過酷な状況が今、大きく変化しようとしています。

「いつか死んだ時に、次女にがんばったねと言ってもらいたい。それが私の原動力」。

そう話す光原さんに、活動についてお話を伺いました。

お話をお伺いした光原さん

今週のチャリティー

NPO法人キープ・ママ・スマイリング

入院している子どもとその家族を支えるために2014年に設立。
付き添い家族に「もの・食・情報」による支援を届けながら、付き添い環境そのものの改善を目指し、国や社会への働きかけを行っています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2024/11/11

先天性の疾患を持って生まれた二人の娘。
自身の体験が、活動のきっかけ

付き添い家族が滞在するファミリーハウス「ドナルド・マクドナルド・ハウスせたがや」にて、手作りの食事を提供している。「食支援を始めた頃から協力くださっている『NoCode』の米澤文雄シェフとボランティアの皆さんと」

──今日はよろしくお願いします。最初に、キープ・ママ・スマイリングさんのご活動について教えてください。

光原:
私たちは、入院しているお子さんに付き添うお父さんお母さん、ご家族を支援している団体です。2014年11月に団体を立ち上げ、今年で丸10年になります。

活動は、私自身の経験が原点となっています。リクルートという会社でがむしゃらに働いていた35歳と39歳の時に出産し、生まれた娘は二人とも先天性の疾患がありました。
長女は生まれてすぐ「様子がおかしい」となり、その日のうちにNICUのある大学病院に運ばれて、大きな手術を受けることになりました。

我が子の入院に付き添う光原さん。「日中はずっと小さなベッドの柵の中で過ごし、服装や髪型を気にする余裕もなく、いつもすっぴんで自分のことを考える余裕はありませんでした。産後すぐの付き添いで腰痛を悪化させ、痛くて眠ることもできなかった時はつらかったです」

光原:
NICUからやっと個室に移ることができた大晦日の夜、看護師さんに「お母さんも一緒に泊まってください」と言われて、「なるほど、そうか、子どもの入院は母が付き添うものなのだ」と初めて知りました。親が一緒に付き添うことを「付き添い入院」と呼びますが、これが、私の付き添い入院のスタートでした。

付き添い入院では、親はチーム医療の重要な一員と位置づけられ、子どもにごはんを食べさせたり、ミルクを飲ませたり、薬を飲ませたり、飲んだ母乳の量を計測したり…自分の寝る間もご飯を食べる間も惜しんで、子どもを世話するという現実がありました。

「病室の狭いエリアで暮らすため、洗濯物を干したりしてベッド周りは散らかり放題。日中バタバタして気も休まらない中、消灯後に友人が差し入れしてくれた高級クッキーをこっそり食べる時間が唯一ホッとできる時間でした」

光原:
付き添って当たり前だけど、親に対しては何の支援もありません。
病院によって環境は異なりますが、私がいた病院は、付き添う親のための病院食を出してくださるわけでもありませんでした。子ども用の小さく狭いベッドに体を折り曲げて子どもと寝たり、レンタルの簡易ベッドで寝るとしても寝返りも打てず、ちょっとした隙に走ってコンビニで買ってきたものを食べ、シャワーは入れたり入れなかったり、汗の拭き取りシートで済ますなんてこともざらでした。周りのお母さん方も、皆そうでした。

私は出産してすぐ、自分の体もまだ十分に回復していない状態で付き添いが始まり、腰痛と不眠に悩まされました。3ヶ月目に高熱を出して倒れ、病院から追い返されたこともありました。

──そうだったんですね。

光原:
その間は付き添いができなかったのですが、娘はまだ意思疎通がとれないし、自分で哺乳瓶を持ってミルクを飲むこともできません。私が病院を離れている間に脱水症状が見逃され、気づくのが少しでも遅ければ危なかったということが起きました。その時に「これは、私が倒れたらダメだ」と、付き添い家族として課されている役割の重さを再認識しました。

この件では病院側から謝罪を受けましたが、非難する気にはならなかった。
24時間病院に泊まり込んでいると、どう見ても先生や看護師さんたちはオーバーワークなんです。先生たちは「いつ家に帰ってるの?」というぐらいずっと働いているし、ナースコールが絶えず鳴ったり、点滴の定期点検があったり、看護師さんもずっとバタバタ走り回っていました。

現場の人員が足りていないのは明らかで、「制度に問題があるのではないか」ということは、当時からずっと感じていたことでした。

スタッフの皆さんと、ウェブサイトの記事作成の打ち合わせ。「どんな真面目な打ち合わせも、笑顔が絶えません。会議はいつも長引きがちです」

11ヶ月で急逝した次女。
彼女が託してくれた使命を果たすために

「マクドナルドハウスでの第1回ミールプログラムの際にいただいた感想の一部です。付き添う家族に喜んでいただける声が原動力となっていることは、活動開始時から今もずっと変わりません」

光原:
長女は、半年後には無事退院することができました。3歳になるころには薬も必要がなくなり、39歳で次女を授かりました。
すると、お腹の中にいるうちに、難しい病気があることがわかったのです。出産後に大きな手術が必要と言われ、長女の時のように、付き添い入院の日々が始まるのを覚悟した上での出産でした。

──そうだったんですね。

光原:
次女の時は、いくつもの病院を転々としました。今思うと、この時に一つではなくいろんな病院に泊まり込んだ経験が、一つの病院だけではわからなかった、医療の隙間に落ち込んだ「付き添い入院」という課題を知るきっかけとなりました。

「一食・一箱の支援を通して届けたいのは『あなたは一人じゃないよ』というメッセージ。受け取った方からは毎日のようにアンケートが送られてきます。『孤独の中で勇気づけられた』、『つらい日々だけれど、前を向こうと思った』という声が多く、心の支援にもなっていると感じています」

光原:
日本は高い小児医療の技術がある一方で、付き添う家族は患者ではなく医療の対象外だからカルテもないしサポートもないし、そこにある困りごとに、小児医療の課題としては誰も手を出さない。課題として共有される場所もないから、病院によってやり方もルールも全く異なりました。

いくつもの病院を見て「当事者が声を出さないと気づいてもらえないのではないか」と思いましたし、そのことが、今の活動に大きくつながっています。

次女は生後11ヶ月の時、容態が急変して亡くなりました。
まさか突然亡くなるとは思っておらず、心の準備もできていなくて、この先、どう生きていっていいのかわからなくなりました。生きていく意味を見出せず、次女の亡骸と一緒に自分も燃やしてほしいと思いました。亡くなって1ヶ月は、毎日次女の動画や写真を見て泣いていました。

まだ幼くて死の概念を理解していなかった長女が「お腹すいた」とニコニコしていたりして、「私がご飯を食べさせないと」と、なんとか起きて動くことができたけれど、もし長女がいなかったら…本当にどうしていただろうと思います。

同じようにお子さんを亡くしたママ友や友人に支えてもらい、いろんな励ましをもらう中で、「次女は短い人生だったけれど、きっと目的を果たし、命を全うしたからあの世にかえっていったんだ」と思うことで、前を向くことができました。

ドナルド・マクドナルドハウスにて。「2016年から毎年大晦日に年越し蕎麦やおせち料理を作って提供しています。私自身も経験しましたが、年末年始を病院で過ごさなくていけないのはとてもせつない。新しい年を迎える喜びを味わって欲しいと続けています」

光原:
「じゃあ、次女が生まれてきた意味や目的って何だったんだろう」と考えた時に、長女・次女の付き添い入院を通して見えた、付き添い入院のあまりにも過酷な現実を変えることが、彼女が生きて、私に託してくれた使命なのではないかと思いました。

私はリクルート時代に医療サイトの編集長を5年ほどやっていて、それなりに医療の分野の知識を持っているつもりでしたが、小児医療に触れたことはなく、自分が付き添い入院の当事者になってはじめて、こんな社会問題があるということを知ったんです。

次女が託してくれた使命を果たすために、残りの人生を使いたい。10年前の2014年11月に、「キープ・ママ・スマイリング」を設立しました。設立から5年はサラリーマンと二足の草鞋で、2018年末に会社員を辞めて2019年から3年間は無給でした。

食の支援からスタートし、コロナ禍には
「付き添い生活応援パック」の発送も開始

「付き添い生活応援パック」のオリジナルボックス。「病室が明るくなるようビタミンカラーで、収納BOXにもなるデザインにこだわりました。エーザイ株式会社様のご協力により実現しました」

光原:
最初に取り組んだのが、付き添い家族を食で支援するプロジェクト「ミールdeスマイリング」です。付き添いをしていた時、私が一番つらかった「食」で支援したいという思いがありました。

毎食コンビニや売店だと経済的に負担が大きいですし、売っているものも限られていて、栄養バランスも偏りがちです。
「手作りおにぎりと温かいお味噌汁が食べたい」とすごく思っていたし、実際に手作りのお弁当を届けてくださったお店さんにすごく救われたことがあったので、子どもが入院中の家族が滞在するファミリーハウスで温かいご飯を作り、提供する活動を月1回からスタートしました。その後、病棟に直接お弁当を届けたり、開発したオリジナル缶詰を各地の病院へ届ける活動を始めました。

「おいしい食を届ける」という活動は私たちの原点であり、今も継続しています。これまでに7,000〜8,000食を届けてきました。

食支援を全国に広げるために、衛生面もクリアできるよう開発したオリジナル缶詰。「野菜がたっぷり摂れて、一流シェフのレストランの味が病棟でも楽しめる。『付き添い生活応援パック』の中身としても大活躍中です」

──すごいですね。

光原:
この活動が徐々に広がり始めていた2020年、コロナによって、入院中の子どもに付き添う家族がより過酷な状況に置かれることになりました。
院内感染拡大を防ぐため、付き添いの交代禁止やお母さんたち同士の交流制限、病院からの外出が制限され、病院に軟禁状態になったのです。命を守るためにやむを得ないことですが、付き添い家族の孤独感は非常に高まりました。

──ただでさえ厳しかった付き添い環境が、より厳しくなったんですね。

光原:
私たちも、直接食事を届けることはできなくなりました。孤独な状況にある付き添い家族をなんとか遠隔で支援できないかと思って生まれたのが「付き添い生活応援パック」です。

企業さんにご協力いただき、レトルト食品や缶詰、飲料だけでなく、化粧品、マスク、アルコールジェル、着替えのTシャツ、栄養ドリンク、チンして食べられる食器のセット…、院内の生活にあったら便利ないろんなものを段ボールに詰め合わせ、お申し込みくださった方にお届けしています。

毎日審査・発送している付き添い応援パック。「『ギッシリ入っていて感動した』『申し込みからすぐに届いて嬉しかった』という声をよくいただきます。せっかくなので一箱でたくさんのものをお届けしたいと、熟練のスタッフがテトリスのように詰めています(笑)」

光原:
応募条件は「応募時点から10日以上、付き添いで泊まり込む方」。全国どの病院からでも受けつけており、平日は毎日審査・発送しています。
一度応募した方も、90日経てば再度応募できて、年間で最大4回まで応募いただけます。これまでに届けた数は、8,500箱以上になりました。支援してくださる企業も、ありがたいことに130社を超えました。

多くの医療機関とも良い関係ができてきて、院内でチラシを掲示してくださったり、看護師さんから付き添うご家族に「こんなのあるよ」と教えていただいたり着々と発送が増えてきています。

団体を立ち上げて10年、直接支援を広げてきましたが、やはりそもそもの環境が改善されなければ、状況は変わりません。なんとか着手したいと思っていた付き添い環境の根本的な改善に、一昨年から、やっと着手することができました。

付き添い応援パックの中身。「アンケートを読みながら、企業にコツコツとご連絡して、よりニーズに沿うものを届けられるよう努力しています。2回目以降は食品を多めにしたBOXを選べるなど少しずつ進化させています」

付き添い環境の根本的な改善着手のために、実態調査を実施。
そして、国が動き始めた

実態調査は、SNSで多くの当事者によって「自分と同じ思いをこれから付き添う人に味わって欲しくない」と「#付き添い制度を変えよう」のタグで広く拡散された

光原:
問題の本質は医療制度にあるため、付き添い環境改善という観点において病院にできることはもちろんあるけれど、「小児の入院付き添い」の本質的な課題と現状国に理解して改善してもらいたい。
全国の病院の付き添い環境の実態を把握すべく、付き添い生活応援パックの発送が3,000を超えた頃、2022年の11月から12月にかけて「入院中の子どもに付き添う家族の生活実態調査」を行いました。

70問も質問があるとてもボリュームのあるアンケートで、「1,000人ほどの回答が集まるといいな」と思っていましたが、これまで付き添いパックをお届けしたお母さんたちが中心となり、SNSでも大きく拡散してくださって、なんと3,643名もの回答を得ることができました。フリーのコメント欄にも皆さん、思いをびっしり書いてくださって。
これは皆さんからの期待でしかない。この思いに応えないと、と思いました。

調査チームがアンケート結果を半年かけて分析、報告書を作成し、調査結果から見えてきたものを要望書というかたちで、こども家庭庁、厚生労働省、また日本小児科学会、日本小児看護学会へ提出しました。

「子ども家庭庁の担当者には、要望書と共に、当事者の皆さんがアンケートに克明に記してくれたフリーコメントも手渡ししました」(光原さん)

──どのような要望をされたのですか。

光原:
要望は3つ。「希望して付き添う家族の環境改善」「医療機関側への付き添いの実態調査の実施と改善策の検討」「付き添い環境改善に向けた検討会の開催」です。

調査を通じて明らかになったのは「食事・睡眠・(子どもの)見守り」の3大困りごと。加えて経済的な負担やきょうだい児の課題があることが見えてきました。私たちとして、環境改善の一歩としてまず「食事・睡眠・見守り」の3大困りごとからなんとかしてほしいとお願いしました。

この要望書を提出し、厚生労働省で記者会見を行ったのが、2023年6月1日。なんと翌6月2日には、こども家庭庁の大臣が「国としてこの問題に取り組みます」と表明してくださったんです。
そこから、10月からは日本小児科学会、有識者、当事者、弁護士などによる検討会が立ち上がり、全国の病院の付き添い環境の実態調査も行われました。病院調査を通じて独自に良い取り組みをされている病院の好事例をまとめることができたのも、この検討会の大きな成果でした。

「調査の発表時には記者会見を行い、たくさんの記者が参加してくれました。新聞やテレビ、ウェブメディアなどで230回以上取り上げられ、Yahoo!ニュースでは、当事者や医療関係者を中心に1000件を超えるコメントが寄せられました」

異例のスピードで国が動き、
2024年は「付き添い環境改善元年」に

「入院中・長期療養中のこどもたち、そのきょうだいや家族を支援する6団体で『小児病棟わくわく応援団』というネットワークを結成し、一緒にイベントなどを開催しています」と光原さん。こちらの写真は、付き添い入院という社会課題を広く知ってもらうための啓発キャンペーン「Smiling Family Days2024」での一コマ

光原:
2年に一度、医療費の公定価格である「診療報酬」の改定があります。
2024年はこの改定の年だったのですが、さすがに2024年の改定には間に合わないだろうと思っていました。しかし、2024年2月の改訂の公表にて、小児の付き添い、「食事・睡眠・見守り」の3大困りごとに関する診療報酬の改定が盛り込まれたんです。…あまりの展開の速さに驚きました。

小児病棟の場合、子どもが一人入院すると「小児入院医療管理料」が支払われ、それが病院の収入となりますが、改定によって、「親の希望により付き添う場合、付き添う家族の食と睡眠に配慮すること」という一文が、算定要件として新たに盛り込まれました。
つまり多くの病院は、付き添い家族への食と睡眠への配慮をすることが必要となったということです。

さらに、付き添い家族の見守りの負担を軽減すべく、看護助手や保育士の雇用に対し加算がつくようになりました。現場で人手が足りずに雇用しても、それまでは病院の持ち出しだったのが、今回の改定により、限りはありますが、人を増やすことに収入がつくようになりました。

今回の付き添い環境改善にまつわる一連の動きで、「重点分野」として「子どもの成長・発達及び希望により付き添う家族等に配慮した小児入院医療体制の確保」が盛り込まれたことは、付き添い環境の改善への大きな一歩となるに違いない。(厚生労働省保険局医療課 「令和6年度診療報酬改定の概要(令和6年3月5日版)」資料より)

──付き添い環境改善のために、大きく一歩踏み出したんですね!

光原:
本当にそうなんです。これまで30年変わることのなかった付き添い環境の改善に向け動き出しました。異例のスピードに医療者の皆さんも驚いておられました。厚労省の方が一生懸命動いてくださったのだと思いますし、何より3,000名を超える当事者の声が、国を動かしたのだと思います。

さらにその後、2024年7月には、日本小児科学会から入院している子どもと家族の付き添いに関する見解が公表されました。
そこには「こどもと家族の希望や背景を勘案しながら、医学的にどちらを選択しても問題ないと判断された場合は、付き添いありでも、付き添いなしでも入院できる状況にすることが望ましいと考えます。どちらを選択しても、こどもと家族のwell-being(ウェル・ビーング)が保障される病院環境の整備、診療報酬の見直し、社会制度の変革を望みます」と書かれていました。

「入院しているこどもの家族の付き添いに関する見解」。日本小児科学会ウェブサイトより:https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=154

光原:
…これを見た時は泣きました。
もしかしたら「家族の付き添いは必要ない。今後は病院だけでやります」みたいなことを言われる可能性もあったわけです。そうではなく、我々が願ったかたち、付き添いは子どもの権利であり有意義だと認めてくださった上で、「付き添いが強制ではなく、選べるようにすべき」という見解を示してくださったんです。

私たちは、子どもを中心として、小児医療・小児看護に関わる医療者の皆さんと「小児の付き添いはどうあるべきか」の目線合わせをしたいと願っていましたので、この見解の公表で念願が叶いましたし、今後はこの見解に沿って、課題解決に向けて、NPOとしてできる貢献をしていこうと道筋も見えました。

さまざまな機関が、実態調査の結果を受けて、改善のために動いてくださった。まさに2024年は「付き添い環境改善元年」となると思います。

「2024年の5月、”より客観的な基準において、高い公益性をもっている”と判定され、認定NPOとして東京都から認定されました。共に歩んできたスタッフと都庁前で撮った写真です。感無量で一緒に涙しました」(光原さん)

「亡くなった娘と、応援してくださる方々と、
これからも付き添い環境を改善していきたい」

クラウドファンディングで資金を集め、全国20の病院を支援。「札幌北楡病院に『見守り支援コース』の出張プラネタリウムをお届けした時の一枚です。一般社団法人星つむぎの村さんのご協力で、小児病棟のプレイルームに星空が広がりました」

光原:
診療報酬改定にて付き添い環境への配慮が規定されたことは大きな前進ですが、一方で、小児病棟は多くの病院で不採算部門であり、今回の改定による付き添い環境改善への着手も困難な病院もあると見ています。
環境改善のための人員や財源の確保が負担としてのしかかり、小児医療から手を引く病院が出てくることも懸念されます。

そこで、病院への直接支援もスタートしました。2024年春に「皆で小児病棟を支えよう」というクラウドファンディングを実施し、皆さまに寄付していただいたお金を、「付き添い環境を良くしたい」という20の病院へ各30万円ずつ、「食事・睡眠・見守り」のいずれかの困りごと改善のために活用させていただきました。

小児病棟への食支援活動を全国に広げるため、茨城・千葉・神奈川・香川・福岡の6拠点でパイロット事業を展開(2022年)。「香川では大学や社会福祉法人と協働し、シェフと共に特別に作ったランチBOXを届けるプロジェクトを実施しました」

光原:
これまでは病院とは直接支援の接点はありませんでしたが、このクラウドファンディングをきっかけに、直接病院ごとの個別の困りごとを伺うこともできました。また、今までは知る人ぞ知る課題だったのが、一般の方たちにも少しずつ認知されるようにもなってきました。

国から病院に付き添い環境改善のバトンが渡り、多くの小児病棟は環境改善に向けて具体的に動いていくことと思います。これからもスタッフ、関わってくださる企業さま、支援者さま、ご家族、医療機関の皆さまと一緒に、付き添い環境改善の支援がすべからく届くよう、サポートを拡充していきたいと思っています。

──本当に良かったですね。光原さんの原動力を教えてください。

光原:
一人でも多くの付き添い家族が笑顔になれること、それによって、お子さんと笑顔で向き合えることを目指して活動してきました。喜んでくださる姿が原動力になっています。

そしてやはり、私自身の核にあるのは、いつでも娘のことです。
不思議ですが、本当に困ったという時、いつもミラクルな出会いや出来事に助けられてきました。今回の国の大きな動きも、そう感じさせられることがありました。いろんなタイミングが重なって起きたことというのは、ご縁でもあるし、次女が、私に連れてきてくれたのかなと思ったりもします。

いつか自分が死んだ時、先に逝った次女に「おかあたん、よく頑張ったね」と褒めてもらいたい。これからも目の前で必要とされていることを、ポジティブにフットワーク軽く、取り組んでいきたいと思います。

中長期の入院付き添いだけでなく、2024年8月には緊急入院や短期入院に付き添うご家族を対象に、パイロット事業として「付き添い生活応援パックLite無償配布事業」を実施。より多くのご家族に支援の手を広げようと挑戦している

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

光原:
長期入院中の付き添い家族にお届けしている付き添い応援パックは、一人にお届けするのに約3,000円がかかります。
今回、よりたくさんの方にこのJAMMINさんとのコラボによる支援が届けられたらいいなと思い、チャリティーは、付き添い中にもらう検査結果などのたくさんの紙をまとめる、オリジナルのクリアファイル作成のために活用させていただきたいと思っています。
クリアファイルの制作費は1枚あたり70円で、3,000枚あれば、1年間の配布ができます。

付き添い中の家族に、そしてお子さんに笑顔を届けるため、ぜひ、応援いただけたら嬉しいです!

──貴重なお話をありがとうございました!

正会員が集まる、年に1度の総会にて

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

キープ・ママ・スマイリングさんの10周年であり、「付き添い環境改善元年」となった今年。2021年4月にコラボしていただいた際にお話をお伺いした時から、本当にいろんなことが大きく前進していて、すごい…!と思いました。

ご自身の経験を力に変えて、大変なことも前向きな力に変えて、とにかく前に向かって進んで来られた光原さん。明るくてパワフルで、その姿にいつも私が元気をいただきます。これまでの10年を祝い、そしてよりよい付き添い環境を実現するべく、ぜひチャリティーアイテムで応援してくださいね!

・キープ・ママ・スマイリング ホームページはこちらから

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【2024/11/11~17の1週間限定販売】

“Your smile brightens everything(あなたの笑顔が、すべてを明るくする)”というメッセージを、太陽で表現しました。
太陽は、付き添い家族に笑顔のギフトを届けるキープ・ママ・スマイリングさん、また家族の中心として子どもたちに笑顔を届けるお母さん、お父さんとしても描いています。一人がが笑顔になることで、その周りの誰かをまた、笑顔にする。そんな好循環を表現しました。団体の10周年を記念して、箱には「10th」の文字を添えています!

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

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(広告宣伝費として支援し、予算に達し次第終了となります。)