CHARITY FOR

1万2千発の核兵器を抱える社会。「廃絶のために、自分たちができることを」〜一般社団法人核兵器をなくす日本キャンペーン

8月15日、終戦から79年を迎えます。
1945年8月6日の広島への原爆投下では、1945年12月末までに推計14万人、9日の長崎への原爆投下では、7万3千人を超える方が犠牲になりました。

「広島・長崎の悲惨な歴史を繰り返してはならない」。
誰もが願うことだと思いますが、一方で今、世界には約1万2千発もの核兵器が存在すること、未だ核兵器を作り、いつでも使えるように保有する国があることをご存知でしょうか。もし再び、核兵器が使用されたら…、取り返しのつかない大きな被害を与えるでしょう。

「どんな理由であれ、核兵器は禁止すべき」。
2017年7月、世界122カ国が賛成して採択され、2021年に発効した「核兵器禁止条約(TPNW)」。遅くとも2030年までに日本がこの条約に加わることを目指してスタートした「核兵器をなくす日本キャンペーン」が今週のチャリティー先。

「今、核兵器が使用される危険性はここ数十年で最も高いと言われており、広島・長崎で起きたことが、再び現実になるリスクがあります。これは決して過去の出来事でも、人ごとでもありません」と話すのは、事務局の浅野英男(あさの・ひでお)さん(27)。

活動について、また核兵器の現状について、お話を聞きました。

お話をお伺いした浅野さん

今週のチャリティー

一般社団法人核兵器をなくす日本キャンペーン

「核兵器廃絶日本NGO連絡会」を母体に、核兵器のない世界をめざし、日本が「核兵器禁止条約」に加わることを実現するために2024年4月に発足。宗教や政党、世代を超え、市民や国への働きかけを行っています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2024/08/12

核兵器のない世界を、日本から実現するために

2022年8月5日、広島の国会議員討論会にて。8政党の代表が集まり、核兵器廃絶における日本の役割について討論した

──今日はよろしくお願いします。
最初に、団体のご活動について教えてください。

浅野:
2017年に採択、2021年に発効した、国際法として初めて核兵器を全面的に禁止した条約「核兵器禁止条約」に日本が参加することを目指し、2024年4月に発足した団体です。2024年1月15日現在、世界93の国がこの条約に署名し、70カ国が批准しています。

私たちの主な活動としては、1)政治への働きかけ、2)市民への働きかけ、3)幅広い人たちが参加できるプラットフォームづくりを行っています。

政治への働きかけに関しては、国会議員や外務省をはじめとする政府の方に直接会って、核兵器廃絶について話す場や、各党の方々が議論する機会を設けています。

2024年7月9日、「2026年核不拡散条約(NPT)再検討会議第2回準備委員会に向けた外務省との意見交換会」にて。NPT(核不拡散条約)第2回準備委員会における日本政府の核軍縮の取り組みについて、1)核兵器の不使用、2)核兵器の役割低減および核軍縮、3)NPTと核兵器禁止条約の補完性、4)核兵器に利用可能な核物質の生産、5)核被害者援助および環境修復の5項目に関する要請書を提出。写真は、意見交換会に参加したメンバーの皆さん

──政党によって、スタンスは異なるのではないですか。

浅野:
それぞれの政党ごとにスタンスがありますし、同じ党の方が皆同じ意見というわけでもなく、一緒に核兵器廃絶に取り組みましょうという議員さんもいれば、ハナから聞いていただけない議員さんもいます。私たちは政党の枠組みを超えた「超党派」というかたちで、志ある議員さんに具体的な働きかけをさせていただいています。

──広島と長崎の歴史から、核兵器はない方が良いに決まっていると誰もが感じるのではないかと思ってしまうのですが…、核兵器禁止条約に参加せず、核兵器の保有に賛同するというのは、どういった意見なのでしょうか。

浅野:
「核兵器のない世界を実現する」という目標については、与野党の議員さんたちも皆、合意して共有しているものだと思っています。ただ、日本として「核兵器禁止条約に入れない」という理由が二つほどあって、それがまさしく、私たちの団体が取り組む、活動の肝の部分です。

2024年6月に広島で開催された「核兵器をなっくすフェス!」にて。世代や宗教、政党を超え、さまざまな人たちが核兵器廃絶のために手を取り合っている

浅野:
一つめとして根底にあるのが、日本と同盟関係にあるアメリカの核兵器の保有が、「日本を他国から守る“抑止力”としての役割を持っている」という考えです。他国が攻めて来ずに日本の安全が守られているのは、核の脅しを含めた、背後にあるアメリカの拡大抑止力が効いているからだという主張がひとつです。

1951年に締結、1960年に改正された「日米安全保障条約」では、日本が他国から攻められた場合に日米が共同で対処するということが書かれています。そうした日米同盟のもと、「日本はアメリカの”核の傘”で守られているんだから、核兵器を全面的に禁止してそこから抜けたら、もし何かあった時に日本の安全を守れない」という主張があります。

もう一つが、核兵器禁止条約に参加しているのは当然、核兵器を持たない国々ですが、「核軍縮について話し合うのなら、核兵器を持たない国だけではなく、核兵器を持つ国を巻き込まないと意味がない」という主張です。

2023年5月、広島にて。「広島では定期的に被爆者の方々や支援者が街頭に立ち、核兵器禁止条約への参加を求める署名活動を行っています」

──核兵器を一気に禁止するのではなく、核抑止に自国の安全を依存しながら、段階的に核を減らしていこうという考えなのですね。

浅野:
そういうことになりますね。
しかし、核兵器に依存すること自体が大きなリスクであり、日本の安全を損なう恐れがあることも忘れてはなりません。
核兵器システムの誤作動や事故も起きかねないし、武力紛争が起きれば、意図的であれ、誤解によってであれ、核兵器が使用されるリスクがないとは言い切れません。
私たちは「核兵器のない世界に向かうことが、各国の本当の意味での安全を作る」ということを訴えています。

各地で、核兵器廃絶のムーブメントが起きている。2024年6月、長崎で開催された「核兵器をなくすために長崎からできること」にて

「核兵器は過去の話ではなく、
今、私たちが直面している問題」

1945年8月、原爆投下後の広島

──市民への働きかけについてはいかがですか。

浅野:
これまで核兵器廃絶という問題は、限られた地域に閉ざされがちな課題でした。
広島、長崎、東京といった一部の地域では盛り上がっても、全国的に広げていくことがなかなか難しかったんです。

──なぜでしょうか。

浅野:
何か身近なきっかけがあればリアルに感じられるのかもしれませんが、そうでもない限り、「自分ごとにならない」というのが大きいのかなと思います。しかし、本当にそうでしょうか。

2023年11月27日から12月1日にかけて、ニューヨークで行われた核兵器禁止条約第2回締約国会議には、世界各地からたくさんの市民が集まった。「会議が始まる前、ニューヨークのさまざまなところでアピールアクションをしました。その時の一枚です」

浅野:
昨今、ロシアの大統領が核兵器の使用をちらつかせたり、イスラエルの閣僚がガザへの原爆投下を示唆する発言をしたり、アメリカの議員が日本への原爆投下を「正しい決断」と発言したり…。核兵器の存在や使用を正当化するような発言が散見され、79年前に広島・長崎で人々が経験したことが再び起こる危険性が増しています。
核兵器は決して過去の話ではなく、今、私たちが直面している問題なのです。

どんな国も、どんなことがあっても、核兵器を持つべきではありません。
私たちが発信していくことで世論を変え、社会を変えていきたいと思っていて、気候変動や環境問題、ジェンダーなど他のさまざまな課題や視点からも、この問題について訴えています。

──ジェンダーですか?

浅野:
はい。「核兵器とジェンダー」という視点で近年さまざまな研究がなされていますが、過去の歴史を見ていくと、軍事的な話し合いの場に参加しているのが、必ずといっていいほど男性であることが指摘されています。

2023年11月、核兵器禁止条約第2回締約国会議に全世界から若者が集まり、Nuclear Ban Weekと題して街でアクションを行った

──意識したことがなかったですが、確かに‥。本来いのちを育くむ「女性」は、核兵器がもたらすむごい破壊や、そこに生まれる苦しみや憎しみを、本能的に受けつけないのかもしれません。

浅野:
それはひとつあると思います。先ほど「核兵器が抑止力の役割を果たしている」という意見があると話しましたが、核兵器によって他国を威嚇し、封じ込めるという発想自体、威圧的というか…、今の時代に沿うものではないと感じます。脅し合って対立するのではなく、ケアし合い、お互いに協力しながら核兵器のない世界を共に作っていく必要があると感じます。

ジェンダーの観点からもう一つ、核兵器は使用される時だけでなく、作る段階でもたくさんの犠牲者を生んできました。
広島・長崎で被爆した人たちがその後、社会から大きな差別を受けたように、爆発実験が行われた地域の方たちもさまざまな差別を受けてきたのです。その際に女性には、結婚差別や被曝による不妊など、特有の差別があったことがわかってきています。

2017年12月、ノーベル平和賞授賞式にて、広島の被爆者サーロー節子さんのノーベル平和賞のスピーチ。「広島を思い出すとき、最初に目に浮かぶのは4歳だった私のおい、英治の姿です。小さな体は溶けて、肉の塊に変わり、見分けがつかないほどでした。死によって苦しみから解放されるまで、弱々しい声で水が欲しいと言い続けました」

核兵器の爆発実験によって被曝したり、故郷を追われた人たちも

太平洋での水爆実験の様子。周りの海産物、島の植物は食べられなくなる

──そうか…、使用するために、実験も行われてきたんですね。

浅野:
第二次世界大戦後、「冷戦」と呼ばれるアメリカ・旧ソ連の対立を背景に、ピーク時には約7万発の核兵器がありました。特に1940〜50年代、植民地主義や人種差別を背景にして、各地で核兵器の爆発実験が行われました。
アメリカは1,030回、旧ソ連は715回もの核実験を行っています。

──ええ…!そんなに‥。

浅野:
アメリカは、ハワイのあるマーシャル諸島だけで60回以上の爆発実験を行っています。ソ連はカザフスタンにある荒地、フランスはポリネシアなど、辺境を選んで爆発実験を行いました。
そこに暮らしていた、先住民族をはじめとする社会的に弱い立場にあった人たちは、爆発実験による放射能汚染で病気になったり、故郷を離れることを余儀なくされたりしたのです。

1950年代に実験が行われたある地域は、放射能によって土地が汚染され、人々は未だ故郷に帰ることができていません。生物多様性や環境の面でも、かなり問題があったと思います。

当時から「こんなおかしなことがあってはならない」と声を上げる方たちがいましたが、おそらく、メディアの抑制もかなり強かったのではないかと思います。

──そうなんですね。

2022年6月に開催された、核兵器禁止条約第1回締約国会議にて。世界中から集まった政府代表者、国連関係者、そして市民が、核兵器廃絶について話し合う

浅野:
日本では1954年3月、静岡の遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」などがマーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカの水爆実験の被害に遭ったことを一つのきっかけに、大きな反対運動が起こりました。

最近は「グローバル・ヒバクシャ」と言って、「被ばく者はグローバルにいる」という認識が少しずつ広がってきていますが、「核兵器による被ばく」は広島・長崎だけに焦点が当てられ、「世界中に核被害者がいる」ことは、長く語られてこなかったのです。

──限られた地域の、過去の出来事として扱われてきたということですね。

2023年11月、ニューヨーク国連本部にて。米国、マーシャル諸島、韓国、日本の核被害者が核の非人道性について訴えた

未だ核兵器が製造され、保有されている現実

2024年1月19日、ICAN事務局長メリッサ・パーク来日時に、広島の原爆ドーム対岸で行われたキャンドルアクション

浅野:
ピーク時から8〜9割減ったものの、それでも現在、地球上には12,120発(長崎大学核兵器廃絶研究センター『世界の核弾頭データ』2024年版より)の核兵器があります。

昨年1年間で核兵器の製造・維持のために総額で914億ドル、日本円にして13兆円以上が費やされました。1秒間に換算すると、2,898ドル、日本円だと44万円に相当します。

──ええ…。

浅野:
現在、核兵器を保有しているのは、アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリスの国連常任理事国5カ国に加えて、北朝鮮、イスラエル、パキスタン、インドの9カ国です。

アメリカやロシアが最近進めているのは、数は増やさないにしても、1960〜70年代に製造された古い核兵器をメンテナンスし、いつでも使える状態にしつつ、最新の核兵器と交換するという核兵器の近代化と呼ばれる取り組みです。中国や北朝鮮では、そもそも数を増やすということをしています。

地球を何回破壊したら気が済むんだという数の核兵器を、これだけのお金をかけて保有しているわけです。果たして、そこにお金を費やす意味が本当にあるのでしょうか。そのお金は他の課題解決のために使えるのではないでしょうか。そのような疑問も湧いてきます。

「海外から広島、長崎を訪ねる人も多く、核兵器をなくす重要性は、日本から世界へ広がりを見せています」

「持たない・作らない・使うと脅さない」。
核兵器禁止条約には、世界の半数の国が参加

2017年7月、国連にて核兵器禁止条約が成立した時の1枚。「被爆者を含む、多くの市民が喜びの涙を流しました」。ICANはその成立に貢献したことが称えられ、同年のノーベル平和賞を受賞した

──そんなにたくさんの核兵器がある状況で、核兵器禁止条約ができた背景や経緯を教えてください。

浅野:
被爆した方々をはじめとする市民の方たちは長く、「広島・長崎の悲惨な歴史を繰り返してはならない。核兵器は禁止すべき」ということを必死に訴えてこられました。その声が国際的なムーブメントにつながったきっかけとして、2007年に発足したICAN(アイキャン、核兵器廃絶国際キャンペーン)の存在は大きいと思います。

ICANはスイス・ジュネーブに本部を置く、平たく言うと「世界各地で核兵器廃絶に取り組む市民団体の国際的な連合体」です。
2013年から2015年にかけて、合計3回開催された「核兵器の非人道性に関する国際会議」では、各国の核被害者の声を国際的な場で訴えました。そのような活動の成果が、核兵器禁止条約につながっていきました。
ICANは2017年にノーベル平和賞を受賞しています。

ノーベル平和賞受賞で集まった、世界のICANパートナーの皆さん。「各地の若いメンバーが、核兵器廃絶を目指しています。軍縮分野で女性が多いことも新しいです」

──核兵器禁止条約には、具体的にどのようなことが書かれているのですか。

浅野:
核兵器を「持たない・作らない・使うと脅さない・使わない」などについて、また非人道的な兵器である核兵器が二度と使われることがないように、完全になくすということも書かれています。

それともう一つ、これまで核兵器による被害を受けた方や汚染した環境の修復を、きちんと支援しようということも書かれています。そのために具体的にどのような取り組みをしていくのか。今、各国が議論を重ねているところです。

──条約には、どのような国が加入しているのですか。

浅野:
従来から核兵器を持つことをしなかった国、あるいは核兵器を持つ国と同盟関係を結んでいない国が多いです。特に中南米は、「核兵器を持たない」という条約を世界で先駆けて作った地域でもあり、核兵器廃絶に積極的な国が多く、中心的な役割を果たしています。
また、核兵器を一度開発して保有したものの、その後完全に手放した南アフリカなど、カギとなる役割を果たす国がいくつかあります。

「第1回締約国会議中、仲間たちと自転車に乗り、ところどころで核兵器廃絶のアピールもしながら、さわやかなウィーンの街を走りました」

「一人ひとりがこの問題と向き合い、
行動に移すことが、核兵器廃絶への道」

「核兵器をなくす日本キャンペーン」役員・スタッフの皆さん。「世代を超えてつながり、一緒にアクションを起せることにいつも希望と未来を感じます」

──ここまでお話をお伺いして、核兵器を完全に手放す国がある一方で、保有する国があり、現在も苦しむ人がいる一方で、過去の出来事と捉えられていたりと、核兵器の「パラレルワールド」が存在していると感じましたが、どうなんでしょう。

浅野:
本当に難しいところですが…、パラレルワールドをやっていても仕方ありません。
私たちとしては、核兵器廃絶の実現のために、市民一人ひとりに何ができるかを示していきたいと思いますし、政治や外交を変えるほどの世論を作っていきたいと思っています。市民と政治が連動すれば、必ず社会は良い方向に変わっていくし、核兵器のない社会を、日本から実現していけると信じています。

「核兵器の恐ろしさを誰よりも知る被爆者の皆さんの活動は、核兵器をなくす必要性を私たちに教えてくれます」。写真は、核兵器をなくす日本キャンペーン代表理事で、日本被団協代表委員の田中熙巳さん

浅野:
日本が条約に参加しない一番の理由は、「他国が攻めてくるかもしれない」と疑心暗鬼になっているからです。脅し合いではなく、粘り強い外交で地域の国々と信頼関係を築きながら、「戦争をする気はないし、お互い核兵器を持つ必要はないよね」という構図を作っていく必要があります。

そのために、個人個人がそれぞれの生活で、自分にできることを模索しつつ実践していただくことに大きな意味があると考えています。「核兵器はなくならない」とか「国のことだから、自分が行動して何もかわらない」と諦めるのではなく、一人ひとりがグローバルに考え、ローカルに行動することが、地道ですが核兵器廃絶につながる道だと信じています。

2023年11月、第2回締約国会議のNGOステートメントで、核兵器廃絶日本NGO連絡会を代表して発言する浅野さん。「世界から集まってきた仲間とともに、核兵器の禁止と廃絶を訴えました」

──それぞれが廃絶のイメージを持ち、「自分ごと」として向き合うことが、核兵器のない世界をつくる。つまり核兵器廃絶は、私たち一人ひとりの意識や足元からということなんですね。浅野さんはまだお若いですが、どのような意識でこの問題に取り組んでおられるのですか。

浅野:
今、核兵器が使用される危険性は「ここ数十年で最も高い時代」と言われており、広島・長崎で起きたことが、再び現実になるリスクがあります。これは決して過去の出来事でも、人ごとでもありません。
戦争は絶対にいけないし、核兵器を使うことは、何があっても許されません。そのことを、皆さんと一緒に訴えていきたいと思っています。

核兵器禁止条約第2回締約国会議に合わせて行われたイベント「ユース締約国会議」に参加した若い世代の皆さん。「世界各地から若者の視点で、核兵器廃絶について話し合いました」

浅野:
79年前、広島で被爆した方の「原爆は人間として死ぬことも、人間として生きることも許さなかった」という言葉があります。原爆資料館を訪れると、丸焦げになったり、大事な人にお別れも言えなかったり…、無惨な姿で亡くなった方たちを目の当たりにします。

一方で生き延びた方たちも、大切な家族や友人を失い、後遺症に苦しみ、一番の被害者でありながら社会からは差別され、苦しみながら生きていかなければなりませんでした。落とされて何人亡くなったという数字だけでなく、そこに一人一人の人生があり、生き延びた方たちの人生を変え、むごい影響を与え続ける兵器なのだということは、常に心に留めて活動しています。

──核兵器のない社会をつくるために、自分に何ができるでしょうか。

浅野:
何か行動に移してもらえたら嬉しいです。
団体でもメールマガジンを発行していますが、日頃からぜひこの問題に触れ、情報を得てもらえたらということがひとつと、そこからさらに行動を起こすならば、ぜひお住まいの地域で、核兵器廃絶を訴えるイベントなどを開催してもらえたら嬉しいです。私たちも講師の派遣やイベント共催を喜んでさせていただきます!

核兵器禁止条約第1回締約国会議の前日にICANが主催した「ICAN Nuclear Ban Forum」にて。「世界各地から核兵器禁止と廃絶を求める市民が集まり、世界は前に進んでいる、『核兵器はなくせる』というこれ以上にない希望を感じました。写真は日本から同行した2人と、ICAN前事務局長のベアトリス・フィンさんと撮った1枚です」

浅野:
なかなか、個人の方がこの問題に関心があって取り組んでいるということを、周りの方たちにアピールするような機会もないのではないかと思っていて、イベントなどがあれば知人友人に知ってもらえたり、同じ思いを持つ方同士がつながれる機会にもなると思っています。

日本はまだこの条約に加わっていませんが、世界の約半数の国がこの条約に入っており、国際会議に参加すると、核兵器廃絶のために真剣に取り組む世界中の仲間と出会います。日本からも、たくさんの方が参加しています。

核兵器はまだ存在しますが、核兵器禁止条約によって廃絶の素地ができ、世界中の仲間と一緒に取り組めることは、大きな希望だと感じています。ぜひ皆さんにも、輪に加わってもらえたらうれしいです。

東ちづるさん、永井玲衣さんの応援コメント

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

浅野:
核兵器禁止条約の参加を目指して、これからもさまざまな活動を行っていく予定です。
来年2月には、広島・長崎だけでなく世界の被ばく者を招き、東京で「非人道性に関する国際市民会議」を2日間にわたって開催する予定です。核兵器による被害を知り、自分たちにどんなことができるかを考え、話し合う機会になればと思っています。
今回のチャリティーは、核兵器廃絶を目指し、こういったイベントを開催するための資金として活用させていただければと思います。

──貴重なお話をありがとうございました!

2024年8月6日に広島、9日には長崎に入って活動したスタッフの皆さん。早速今回のコラボデザインTシャツを身につけてくださいました!

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

今、この地球に1万発を超える核兵器があるなんて…。最初にお話を伺った際に、ものすごく驚いたし、怖くなりました。この星を破滅させるには十分すぎる数です。
いのちを、暮らしを、一瞬にして奪う核兵器。破壊が、一体何を生むというのでしょうか。
再生の道も、破滅の道も、我々人間の意思にかかっています。脅し奪うやり方ではなく、愛と祈りで、人類そして地球が抱える傷が癒えることを心から願います。

・核兵器をなくす日本キャンペーン ホームページはこちらから

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【2024/8/12~18の1週間限定販売】
「希望・平和」という花言葉を持つコスモス、デイジー、オリーブをメインに、ピースマークのかたちの花輪を描きました。
平和を象徴するハト、人々の平和への願いを込めた折り鶴も描いています。

“Peace begins with you(平和は、あなたから始まる)”という言葉を添えました。

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