CHARITY FOR

世界で7億人以上が、いまだ清潔な水を利用できない現状。「水から始まる好循環」のために〜NPO法人ウォーターエイドジャパン


私たちの生活に、当たり前にある「水」。
しかし世界では、今でも7億300万人(WHO/UNICEF, 2023)が、家から徒歩30分以内で清潔な水を得ることができません。
15億人(WHO/UNICEF, 2023)が衛生的かつ尊厳とプライバシーが保たれたトイレを使うことができず、不衛生な水や適切なトイレがないことが原因の下痢症で、2分に一人、5歳以下の子どもが命を落としています。(WHO,2023)

今週、JAMMINがコラボするのはNPO法人「ウォーターエイドジャパン(WaterAid Japan)」。ウォーターエイドは、1981年にイギリスで設立されて以来、2,850万人の人たちに清潔な水を、2900万人の人たちに適切なトイレを届けてきました。
ウォーターエイドジャパンは、世界に30カ国ある拠点の一つとして2013年に設立され、世界各地の水・トイレ、衛生問題に関するプロジェクトを日本から支援しています。

「清潔な水を家の近くで得ることができない人々は、その確保のために多くの労力を費やします。そうやって何とか得られるのが川や池の水だった時に、その水を飲んで病気になったり、最悪の場合は亡くなってしまうこともあります。水・衛生の問題は、人々の健康や教育、ジェンダー、貧困の連鎖という課題にもつながっています」と話すのは、事務局長の高橋郁(たかはし・かおる)さん(47)。

しかし状況はひと昔前とくらべて確実に改善されており、訪れた国々で、きれいな水を得られるようになった後に、自分たちの力で生活を改善させる人々のたくましい姿を見てきたと話します。

活動について、お話を聞きました。

お話をお伺いした高橋さん(写真中央)

今週のチャリティー

NPO法人ウォーターエイドジャパン(WaterAid Japan)

「すべての人がすべての場所で、清潔な水と衛生設備を利用し、衛生習慣を実践できる世界 」をビジョンとして掲げ、世界30カ国に拠点を置いて活動する国際NGOです。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2024/07/29

きれいな水を利用できないことが、
さまざまな弊害を生む

東ティモールのカバリノくん(7歳)。家から歩いて片道30分以上かかる小川でポリタンクに水をくむ。(写真クレジット:WaterAid/ Tariq Hawari)

──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。

高橋:
ウォーターエイドは、1981年にイギリスで設立され、40年以上に渡って水・衛生の分野に特化して活動してきた国際NGOです。「清潔な水」「衛生的なトイレ」「正しい衛生習慣」の3つを活動の柱としており、これらを届けることで、貧困で社会的に取り残されている人々の暮らしを改善することを目指しています。

日本では、蛇口をひねればきれいな水が出ますよね。
なので「たかが水なんじゃないの」と思われるかもしれません。しかし世界には、私たちの「当たり前」が当たり前でなく、さまざまな理由で清潔な水やトイレを利用できない人たちがいます。それは人々のいのちを脅かし、人々の健康や教育、ジェンダーなどの面でさまざまな問題を引き起こします。

バングラデシュのノヨンくん(10歳)。大きな水瓶は重くて持てないため、母親と一緒に調理や洗濯用に池の水をペットボトルにくんで運んでいる。ノヨンくん:「きれいな水が使えるようになったら、(今のような) 苦しみはなくなると思います。遠くまで水くみに行かずにすんで、時間もたくさん節約できるようになると思います」(写真クレジット:WaterAid/ Fabeha Monir)

──どういうことでしょうか。

高橋:
WHO/UNICEFの2023年の発表によると、世界で7億300万人の人が清潔な水を利用できていません。
川や井戸、ため池などからくんできた不衛生な水を、そのまま飲むとどうでしょうか。
健康な大人でも下痢などの感染症にかかるリスクがありますし、免疫力が弱い子どもにとっては、命に関わります。水は生きていくために必須ですが、その水によって命を落とす人々、子どもたちが多くいるのです。

きれいな水を利用できないのは家庭だけの話ではありません。開発途上国の中でも特に開発が遅れている「後発開発途上国」といわれる国々では、病院・診療所の半数に、給水設備がありません。

パキスタン・バディン県Ameer Bakhsh Kalui村の人々が使用している水。2022年の大洪水で給水設備が破壊されたため、水路の水をくんできて使っている。(写真クレジット:WaterAid/ Khaula Jamil)

高橋:
診療所や病院で、医療器具やシーツなど患者さんや妊婦さんに触れるものを衛生的に保つためにも、そして医療従事者の皆さんが手洗いをするためにもきれいな水が必要ですが、それがないために、診療所・病院で感染症が流行ってしまうこともあります。

タンザニアのある地域では、診療所に給水設備がないため、妊婦さんは出産時にポリタンク3個分の水を持ってくるようにと診療所から指示されていました。
家でもきれいな水を得られるわけではないので、妊婦さんの家族が川でくんだ不衛生な水を持っていかざるをえず、その水で生まれたばかりの赤ちゃんの体を洗うしかありませんでした。
診療所や病院に清潔な水がないことで、そこで出産するお母さんと赤ちゃんの命が危険にさらされているのです。

モザンビーク ナパカラ診療所で働くエマニュエルさん。毎日3~4回、この井戸で水をくんで、診療所を掃除したり医療器具を洗ったりしているが、井戸の水は清潔ではない。(写真クレジット:WaterAid/ Etinosa Yvonne)

──本当ですね。

高橋:
水が手に入りにくい地域で、水くみを担当するのは子どもや女性であることが少なくありません。たとえば片道1時間の道のりを歩いて行き、長い列に並んで水くみをする場合、往復3時間近くが水くみに費やされることになります。

水くみのために多くの時間と労力が費やされる結果、学校に通ったり働いたりする時間が十分にとれず、教育格差や、貧困の連鎖につながることもあります。

水くみの負担によって家事に十分に時間が費やせなかった、必要な量の水を確保できなかったという理由で、女性が家庭内暴力に遭うこともあります。

──清潔な水を利用できないことに紐づいて、さまざまな問題が生まれてくるんですね。

高橋:
一昨年、ルワンダのある地域を訪れました。
その地域には、それまで給水設備がなかったため、村の人たちは丘を下り、遠くに見える川まで水くみにいっていました。水をくむとポリタンクの重さは約20キロにもなります。

それを1日に2往復も3往復も歩いて運ばなければならず、しかも重いポリタンクを背負って丘を登らなければならず、道中で転んでケガをしたり、体が痛くなったり、大変な重労働でした。川で水をくむ際に、おぼれて亡くなった人もいたそうです。

エチオピアのある村では、村に井戸はあるものの、井戸の水量が減ってきているため、1日1家族ポリタンク1個分しか水くみをしてはいけない、というルールを設けていました。そのため住民の皆さんは、井戸からくんできた水は飲用と調理用としてだけ用い、洗濯や体を洗うのは数か月に1回、遠くにある川まで行っていました。これでは体を清潔に保つことができず、皮膚病になってしまうこともあります。

マダガスカルで5人の子どもを育てるシングルマザーのマナイソアさんは、いとことともに毎日2時間かけて川まで水くみに行く。この地域では干ばつが続いており、水と食料の確保が困難である。(写真クレジット:WaterAid/ Ernest Randriarimalala)

課題の根っこを分析し、そこを埋めるような活動を行う

日本の外務省の助成金でルワンダの村に建設した給水システムの貯水槽。湧き水を貯水槽に集め、重力を使ってパイプで村の水くみ場まで水を届けるしくみで、自然の力を利用するため費用対効果が高く、山がちな地形に適した手法。(写真クレジット:WaterAid Japan)

高橋:
そもそも2024年にもなって、なぜ、きれいな水を利用できない人がまだこんなにもいるのか?「インフラを整えればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、実際はそう簡単ではありません。

本来であれば、現地の政府や水道局など給水・衛生を担当する機関が、その地域のすべての人がきれいな水とトイレを利用できるようにする取り組みを推進していくことになっているのですが、そもそも資金がない、あるいは他にも課題がたくさんあるといった理由で、水・衛生の取り組みがなかなか進まないという課題があります。

仮に政府がこの課題に取り組もうとしても、どこに井戸や水道があって、どれが動いていてどれが壊れているか、どのぐらいの人が利用しているのかといったデータがなく、給水インフラを建設するとしても、どこから手をつけていいのかわからない、ということあります。

また、過去に建設した給水インフラがあっても、維持・管理のしくみが整っておらず、壊れたまま修理されずに放置されてしまうこともあります。

──大変ですね。

高橋:
さらには、稼働している給水インフラがあっても、特定のカーストや民族に対する差別があったり、障がいがある人が利用可能な仕様になっていなかったりすることで、一部の人が利用できないこともあります。近年は、水インフラがあるにもかかわらず、気候変動の影響もあって地下水が枯れたり汚染されたりして使用できないといったことも起きてきています。

バングラデシュ・シャムナガル郡は、干ばつよる水不足、サイクロンによるインフラの破壊、高潮や海面上昇による水源の海水化など多くの水問題を抱えている。ウォーターエイドは気候変動に強く、誰もが使うことができる、異なるタイプの給水インフラを設置、人々が清潔で安価な水を利用できるようにした。汚染された水を浄化する逆浸透膜を利用した給水設備を建設、それを女性グループが維持管理しているほか、手動でポンプを使って池の水をくみあげ、砂フィルターユニットに水を通して浄水する「ポンド・サンド・フィルター」、雨水活用システムの設置も行った。写真は、逆浸透膜を利用した給水設備を維持管理する女性グループメンバー。(写真クレジット:WaterAid/ Fabeha Monir)

──さまざまな課題がある中で、ウォーターエイドさんとしては、どのような活動をされているのですか。

高橋:
私たちは、それぞれの地域において、すべての人が清潔な水とトイレを使い、衛生習慣を実践できるようにするための障壁となっている課題を特定して、それを取り除く活動を心がけています。

給水インフラに関するデータが足りていないところでは、政府の担当者や水道事業体の担当者、現地NGOなどを対象にトレーニングを実施。現地の人々が主体となって、給水インフラの位置や水量に関するデータを収集し、そのデータをもとに、どの地域にどのような給水インフラを設置するかを決定できるようサポートしています。

給水インフラはあって、維持管理のしくみがないところでは、住民から水道料金を集めるしくみを整備・導入したり、給水設備に異常があった時に修理担当部門に連絡する体制を構築したり、給水インフラを修理できる人材を育成したり、といった支援も行っています。

課題の背景にある根本的な原因を踏まえた上で、その地域のすべての人が清潔な水とトイレを利用し、衛生習慣を実践できるようにする―それを可能にするしくみを整えることで、私たちウォーターエイドがその地域からいなくなっても、現地の人たちがそのしくみを回していけるよう、各地でプロジェクトを実施しています。

高橋さんが2023年に訪問したインド マトゥワダ・モディ村。「水質検査を担当している女性自助グループのメンバーである女性たちは、ウォーターエイドのトレーニングを受け、水質検査を通じて村の住民たちの健康を改善するという自分たちの役割について理解を深めたと話してくれました」(写真クレジット:WaterAid India)

──日本から支援に行かれるのですか。

高橋:
ウォーターエイドは現在、世界30カ国に拠点を置き、アジア・アフリカ・南米など22カ国で水・衛生プロジェクトを行っています。各国のウォーターエイドにその国出身のスタッフが在籍しており、ウォーターエイド全体の戦略にそった形で各国の戦略や事業計画を立てて活動しています。

現地には、水・衛生分野の専門性と経験を持った人材がたくさんいます。また、その国や地域の文化にもよりますが、仮に私のような外国人が現地を訪れても、最も弱い立場に置かれている方たちの本音をすぐに聞ける状況ではないことがある中で、同じ言語を話し、文化や社会的な背景も共有している現地スタッフが中心となって現場の活動を進めていくことは重要であると考えています。

私たちウォーターエイドジャパンとしては、そうした現地の活動に必要な後方支援を行っており、その一つが、皆さまからのご寄付による資金面での支援を行うことです。もう一つ、国際社会からはなかなか注目されない水と衛生の問題ですが、今も水・衛生のニーズを抱えている人たちが世界にいるということ、一方でしっかりと活動の成果も出ていることをお伝えすることで、現場と日本の皆さまをつなぎ、この問題にもっと目を向けてもらえたらと思っています。

2023年秋に開催した「スピーカー講習会」。「この講習会を受けて『スピーカー』になった皆さんが、ウォーターエイドのオリジナル教材・授業案を使用して、学校やイベントなどで授業を実施しています」(写真クレジット:WaterAid Japan)

15億人がトイレを使うことができない

バングラデシュ沿岸部にて、住民が使っているトイレ。簡易的なつくりで、サイクロンや暴風が来れば、簡単に壊されてしまう。(写真クレジット:WaterAid/ DRIK/ Habibul Haque)

高橋:
2015年に国連加盟国が合意した「持続可能な開発目標(SDGs)」の「ゴール6」で「安全な水とトイレを世界中に」と掲げられています。ここまで水のお話をしてきましたが、トイレも私たちの活動の大切な柱の一つです。

私たちは当たり前のようにトイレの個室に入り、カギを閉めて排せつして、水に流して、その後にはもう忘れてしまいますよね。しかし世界では15億人の人たちが、適切なトイレを利用できない環境で生活しています。

──そうなんですね。

パキスタン・バディン県にある男子校(小学校)のトイレ。壊れたまま修理されず放置され、ゴミが投棄されるなど荒れた状態に。(写真クレジット:WaterAid/ Khaula Jamil)

高橋:
「安全な水」を確保するためには、常にトイレの問題もセットと言えます。たとえきれいな水が使えても、衛生的に排せつ物が隔離されなければ、水源が汚染されてしまうからです。

不衛生なトイレや、排せつ物をそのままにしておくことで、病気が広がる可能性もあります。トイレが整備されていない地域に行くと、たくさんのハエが飛んでいることがあります。ハエが排せつ物にも食べ物にもとまることで、病気がひろがります。不衛生な水やトイレによって、毎年28万人以上の子どもが、下痢で命を落としています。

さらに家にトイレがない場合、女性や女の子たちは、早朝や夜など人目につかない時間帯を選んで外に用を足しに行くしかなく、その道中で襲われたり、レイプ被害に遭ったりすることもあります。

──そんな…。

バングラデシュの沿岸部の村にウォーターエイドが設置したトイレ。気候変動の影響を受けやすい地域であるため、洪水に備えて高床式の構造に。写真に写っているビシャカさん:「先月、初めてトイレを使い始め、私たちの生活は変わりました。私の家族は生まれて初めて衛生的なトイレを定期的に使うようになりました。男女別のトイレができたことは、私たちにとって救いです。夜、トイレに行くのが怖くなくなりました」(写真クレジット:WaterAid/ Fabeha Monir)

高橋:
自分自身に置き換えてみても、行きたい時にトイレに行けない、安心してトイレができないってものすごくストレスですよね。尊厳とプライバシーが保たれたトイレが利用できることは、誰しもの権利で、健康や安心のために必要不可欠です。

──確かに。

高橋:
数年前にインドを訪問した際、全住民がトイレの設置を完了した村と、その途中の村の両方を訪れました。トイレの設置を完了した村は、とても清潔で、ハエもいませんでした。村の人によると、下痢にかかる子どもの数も減ったそうです。

ネパール・ラハンの学校に設置したトイレ。以前は使用可能なトイレが1つしかなく、誰も流したり掃除をしたりしないので、非常に不衛生だった。ウォーターエイドはこの学校で給水設備とトイレの整備、衛生習慣の改善事業を実施。生徒たちは次のように話す。「私にとって一番良かったことは、学校内で生理用ナプキンを交換できるスペースができたことです。以前は、月経中は学校に来る気になれませんでした。授業中に勉強しているときに、ナプキンの処理のことを考えるのはとてもストレスだったからです」「このプロジェクトは、私にもたくさんの変化をもたらしました。最近は、家の庭が汚れたらいつでも掃除するようになりました。トイレも掃除します。誰かが庭や学校の敷地にゴミを散らかしたら、拾うように言ってゴミ箱に入れさせます」(写真クレジット:WaterAid/ Mani Karmacharya)

「きれいな水があれば、人々は自分の力で次の一歩を歩み始める」。
水から始まる好循環

ウォーターエイドが新設した給水設備を使うアンジャさん、18か月の息子ディランくん(マダガスカル)。「子どもたちが清潔な水を飲めるようになることはもちろん、お母さんが子どもに清潔な水を飲ませられると安心している様子に希望を感じます」と高橋さん。(写真クレジット:WaterAid/ Ernest Randriarimalala)

──これまでのご活動の中で、高橋さんが印象に残っている現地での出来事や出会いはありますか。

高橋:
私たちは、「水から始まる好循環」という言い方をよくするのですが、現地へ行くと、清潔な水とトイレが使えるようになったことからくる様々なインパクトに出会います。「水があれば、人々はこんなにも自分たちの力で生活を変えていけるのか!」ということを目の当たりにし、とても勇気づけられます。

清潔な水とトイレが使えるようになったインドのある村では、子どもたちが下痢にかからなくなっただけでなく、村の人々が、村を清潔に保つことの大事さを理解して、今度は自分たちでゴミを回収したり、回収した台所ゴミから肥料を作って畑に利用したり、排水用の側溝を作ったりと、村の人々の力でさまざまな工夫・改善を始めていました。

給水設備が設置された東ティモールの村。村人の背後には、豊かな家庭菜園が見える(写真クレジット:WaterAid Japan)

高橋:
インドの他の村では、水質検査の方法や給水設備のメンテナンス方法などを村の女性グループが担うことを目指し、トレーニングを行いました。そうやって女性たちが、村の人々の生活のために役割を担っていくことは、彼女たちの自信にもつながっており、まさに「水から始まる好循環」があると感じました。

──素晴らしい循環ですね。

高橋:
東ティモールのある村への訪問も印象に残っています。給水設備を設置する前の村と設置して6か月経ったあとの村を訪問しました。給水設備を設置する前の村は、あまり緑がない印象でしたが、給水設備ができて6か月経った村では、各家庭が家のまわりに立派な畑を作っていました。「いつかきれいな水が使えるようになったら、畑をやりたいね」と村の皆さんで話されていたそうです。
それまで水くみに費やしていた時間を使って、市場で種を買い、自分たちで育てた色とりどりの野菜たち。水があるから農業ができるし、時間があるからこそ農業ができます。

育てた野菜を食べることで村の人たちの栄養も改善されるし、たくさん作れたら、売ることだってできるかもしれません。すごく可能性がありますよね。それまでは生きるために水を確保することが最優先だったのが、水と時間ができたことで、人々は、自分たちで改善の歩みを進めるんですよね。

ウォーターエイドの支援によって給水設備を設置した西アフリカ・マリの村に住むワワ・ソゴバさん。ワワさんも所属する女性グループが水資源管理を担当し、合わせてウォーターエイドのトレーニングによって、収入を得るための農業を始めた。(写真クレジット:WaterAid/ Basile Ouedraogo)

チャリティーは、清潔な水と衛生環境を届けるために活用されます!

出前授業やイベントでのブース出展を通じて、世界の水・衛生事情を広く発信することを目指して活動する「ウォーターエイド スピーカークラブ」。2024年1月、スピーカークラブのメンバー同士の交流を深めるイベントを開催した際の一枚。(写真クレジット:WaterAid Japan)

──読者の皆さまへ、メッセージをお願いします。

高橋:
3つあります。一つめは、水・衛生の問題がまだあるということ。でも皆さまのおかげで、状況は少しずつですが、確実によくなっているということです。2000年当時と比べて、世界の人口は増えていますが、きれいな水を使えない人口も、衛生的なトイレを使えない人口も着実に減っています。だからあと少し、されど少しなのですが、あと一歩、すべての人に清潔な水と衛生環境を届けるために、皆さんと一緒に活動を続けていきたいと思っています。

二つめは、先ほどお伝えした「水から始まる好循環」があるということ。きれいな水があることで、人々は健康になったり、教育を受けることが可能になったり、仕事を始めることができたりとたくさんの波及効果が生まれます。

エチオピアのマステワルさん。第1子のエヨブくんは汚れた水が原因で頻繁に体調を崩していたが、第2子の出産を前にこの村に給水設備が完成した。マステワルさん:「きれいな水が使えるようになり、本当に嬉しいです。病院にかかることもなくなり、子どもたちは健康に育つことができます。もしそれが神様の御心であればの話ですが、いつか子供たちが大きくなったら、ウォーターエイドがやっているような仕事に就いて、きれいな水を使えない人たちのために力を尽くしてほしいと思います」(写真クレジット:WaterAid/ Rachel Seidu)

高橋:
そして三つめとして、世界の水問題は遠い国の話ではない、ということです。
たとえば衣類や食料、工業製品など海外でつくられているものは、その過程で、その国の水を多く使っているといえます。たとえばコーヒー1杯に必要なコーヒー豆を作るのに、約200リットルの水が使われているといわれています。

私たちの身の回りには、海外の水がたくさん使われているものがあふれています。水をあまり使わないでつくられた商品、売り上げの一部が寄付につながる商品も、最近多く出ています。私たちは、日々、そうしたものを選択することで、世界の水問題に関わることができる、ということも知っていただけたらと思っています。

2013年、高橋さんがウォーターエイドジャパンを立ち上げてすぐに出張したエチオピアでの一枚。「エチオピアの農村部が直面する水問題の大きさを目の当たりにしたと同時に、ウォーターエイドが数年前に建設した大型の給水インフラが、地域の人々によってしっかり維持管理されているのを確認し、地域の人々のパワーに感銘を受けました」(写真クレジット:WaterAid Japan)

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

高橋:
チャリティーは、まだ清潔な水とトイレを利用できず、衛生習慣を実践できない地域の人々に、清潔な水と衛生環境を届けるための活動費として活用させていただく予定です。ぜひ、チャリティーアイテムで「水から始まる好循環」を応援いただけたら嬉しいです!

──貴重なお話をありがとうございました!

「世界水の日(3月22日)」に合わせてウォーターエイドジャパンが実施する「Blue4Water(ブルー・フォー・ウォーター)」キャンペーン。その一環として、しずくのコスチュームをかぶったスタッフの皆さんで記念撮影!(写真クレジット:WaterAid Japan)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

インタビューの時、相手のお話を聞きながらタイピングで記録しています。
高橋さんが「水から始まる好循環」と話してくださった時、自動変換で「自ら始まる好循環」と出てきました。その文字を見た時、「あっ、そうか!」と思いました。
きれいで安心な水にアクセスできることは、人が自らの力を発揮しながら生きていくにあたり、その根幹になるものなのではないでしょうか。また一方で、きれいで安心な水にアクセスできる地域に暮らす私たちは、自らの行動次第で、そのお手伝いができるのかもしれません。

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【2024/7/29~8/4の1週間限定販売】

蛇口からキラキラと水が降り注ぎ、その下で嬉しそうにダンスする人と植物を描きました。
蛇口と水はWaterAidさんの活動を表現しており、きれいな水が届くことで、人々の暮らしが生き生きすることを表現しています。

“Water means life(水は、命の源)”というメッセージを添えました。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

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