「オモロい」ノリの手話パフォーマンスやワークショップ等を通じて、手話やきこえない人に興味を持ってほしいと活動する一般社団法人「手話エンターテイメント発信団oioi」が今週のチャリティー先!
代表理事の岡﨑伸彦(おかざき・のぶひこ)さん(42)は、生まれた時から耳がきこえません。
「『きこえないんです』と相手に伝えると、スミマセンと謝られたり、そそくさと立ち去られたり‥。僕は普通にしゃべってほしいと思っていても、きこえないことが相手に重く受け止められて、心の距離を感じることが多々あった」と話す岡﨑さん。
「きこえる人ときこえない人の心のバリアをぶっ壊す」。
きこえない人が中心となって手話を楽しく、ポジティブに発信することで、手話やきこえない人のイメージを変えたいと活動しています。
活動について、岡﨑さんと、理事の髙口春野(こうぐち・はるの)さん(37)にお話を聞きました。
お話をお伺いした岡﨑さん(写真右)、髙口さん(写真左)
一般社団法人手話エンターテイメント発信団oioi(オイオイ)
“きこえる人”と“きこえない人”の間にある、目に見えないバリアを壊すために。手話エンターテイメントで人々の心を動かし、バリアのない社会を創るために活動しています。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2024/07/08
oioiによる手話パフォーマンス。2024年5月、大阪城公園野外音楽堂で開催された「ハルノネ2024」にて
──最初に、oioiさんの活動について教えてください。
岡﨑:
「バリアクラッシュ、きこえる人ときこえない人の心のバリアをぶっ壊す」という理念のもと、ステージでのパフォーマンスやワークショップ、SNSでの発信などで「手話パフォーマンス」を広げる活動をしている団体です。
──具体的にはどのようなかたちで発信されているのですか。
髙口:
全国各地に呼んでいただき、ステージ上で手話パフォーマンスを行ったり、自分たちで手話のオンラインワークショップ、イベントなどを開催しています。
2022年11月、「くらしのブンカサイinいこま」(奈良)にて
髙口:
特徴として、一応マジメな団体ではあるんですが、「いかに楽しく、真剣に聞いてもらうか」を大事にしていて、手話の中にボケやツッコミ、お笑いの要素をたくさん取り入れて、ご年配の方からお子様まで興味を持ってもらえる工夫をしています。
──面白そうですね。
岡﨑:
コロナ前は関西を拠点に、コツコツと地道にステージに立ったり、イベントを開催したりとコツコツ地道に活動していました。ところがコロナになった途端、対面のイベントは全てできなくなってしまい、そこでオンラインの手話講座をスタートしたんです。
それをきっかけに、全国から「手話を学びたい」という方たちが集まってくださって。もちろん僕たちなので、手話講座もマジメにはやりません(笑)。参加した方が途中で寝たりせず(笑)、しっかり、でも楽しく学べるように、ボケやツッコミを入れながらやっているのですが、ハマってくださる方が結構おられました。
最近になってコロナが開けてからは、オンラインの講座を受けてくださった全国の方たちが、それぞれ地元のイベントに呼んでくださるようになって。オンライン手話講座をきっかけに、少しずつ活動が全国規模で広がってきています。
2022年2月からスタートしたオンライン手話講座。「これまでにのべ500名以上の方が参加してくださっています」
2022年5月、大阪・中之島公園で開催された「NAKANOSHIMA RIVER FESTA」にて。「コロナが少し落ち着き、約1年ぶりの野外パフォーマンスでした。暑い中、皆さまが楽しく手話を表してくださって、私たちも元気になりました。この日はステージで2回パフォーマンスとブースで4回ワークショップをさせていただきました」
岡﨑:
oioiのパフォーマンスを見たりワークショップに参加したりした方からは、「手話っておもしろい」「きこえない人は、もっと大人しいイメージがあった」「ようしゃべるな」「ようしゃべるどころか、うるさいぐらいやな」という感想をいただくこともあり(笑)、いい意味で「バリアクラッシュ」できていると思っています。
──たしかに岡崎さん、めちゃくちゃお話されますね(笑)
岡﨑:
そうなんですよ(笑)。僕は耳がきこえませんが、僕自身の体験として、相手にそのことを重く受け取られてしまうと、距離を感じてしまうんです。
2023年8月、「月イチ杜の市 豊崎じんじん」(大阪)にて。「盆踊り×手話をテーマに制作した『ダイジョーブ音頭』のお披露目会でした。全国からオンライン手話講座の受講生さんなどが集まってくださり、当日の参加者約200名のうち、半数以上がoioiの関係者で埋め尽くされました」
岡﨑:
たとえば買い物をしている時、店員さんに「耳がきこえないんです」って伝えた途端、「ごめんなさい」とか「スミマセン、手話がわからないので…」と言ってそそくさと立ち去られたり、腫れ物に触るような扱いをされたりしたことが少なくありません。
でも僕は、きこえないけど「全然、しゃべってほしい!」って思っているんです。
oioiで僕らが明るくポジティブに発信していると、お客さんが終わった後に「話したい」って来てくれる。手話ができなくても、それでも興味を持って「しゃべりたい」って思ってくれるんですよね。それが、ものすごく大事なことだと思っています。
2022年7月、「カナザワマチナカキャンプ」(石川)にて。「台風予報を吹き飛ばした伝説のイベント。お客さまが、手作りのもみあげ付サングラスかけてイベントに参加してくださいました」
──明るくポジティブに伝わると、相手の捉え方も変わってくるんですね。
だから「手話」ではなく「手話エンターテイメント」なんですね。
岡﨑:
なんでもかんでもエンタメにしたらいいというわけではないですが、マジメにやっていた時は、わかってもらえていないと感じることが、僕自身は多かった。
きこえなくて困ったことを「こんなことで大変なんです」「悲しかったんです」と伝えても、「大変だったんですね」みたいな感じで、逆に縮まらない距離が生まれるような感覚があったんです。
でも明るく、時には笑いに変えながら話すと、「おもしろかった!」っていう反応がすごく多くて。わかってもらえたという実感があって、「話してよかった」と思えるんです。
先入観や無関心、誤解…、“きこえる人”と“きこえない人”の間にある心のバリアを壊し、お互いが歩み寄れる社会を手話で創っていくために、まずは楽しく、興味を持ってもらうところから。「手話エンターテイメント」はそんな思いから生まれたものです。
──楽しい要素があるからこそ、バリアが壊れていくんですね。
2023年12月、大阪市生野区田島南小学校でのワークショップ
「手話を楽しく広めたい」。クラウドファンディングで資金を募り、制作した「SHUWACHAN BARRIER CRASH(シュワちゃん バリアクラッシュ)」。「オイオイズのパフォーマンスのシーンでは、約1時間、クラウドファンディングにご支援いただいた方が暑い中ご参加くださり、パフォーマンスを盛り上げてくださいました。撮影クルーに連れられて見学に来ていた方が手話とoioiにどっぷりはまり、今では一緒にお仕事をする仲になっています」
岡﨑:
「静か」とか「喋らない」とか、聴覚障がい者へのイメージって、かなり偏ってると思うんです。だから、そうじゃない人もいるっていうことを知ってもらうのは、すごく意味があります。
ただ僕の場合、普通に会話はできるので、逆に周りから「困っていない」と思われることも多々あるんです。
──確かに、ごく普通に話してくださるので、きこえないということを忘れそうです。
岡﨑:
僕は小中高と普通の学校に通いました。
きこえないから、視覚の情報が全てです。相手の口の動きを見てしゃべっている内容を理解するのですが、たとえば授業中、しゃべりながら黒板の方を向いたり、しゃべりながら生徒の机の間を歩く先生もいますよね。そうすると先生の口の動きが見えなくなるので、授業の内容がについていけない。
小学校1年生ごろの岡﨑さん。「負けず嫌いで、できないことが許せなかった。とにかく何でもやってみる行動力は、この頃から片鱗を見せていたのかもしれません」
岡﨑:
一応「きこえないから」という配慮で、いつも特別に一番前の席に座らせてもらっていたんですが、一番前の席から教壇を見上げると、ちょうど先生の口が教科書で隠れて、何も見えないんです(笑)。「なんでわかってくれへんのや!」ってずっとイライラしていました。
友達といる時も大変で、相手と1対1で向き合っていたら大丈夫ですが、何人かが同時にしゃべるとか、僕が見ていない人がしゃべるとかになると、途端に会話についていけないし、見えていないところから「のぶくん!」と呼ばれた時に、きこえないので返事できない。すると「なんで無視するん?」って言われたり。
子どもの時は自分の障がいを認めたくない気持ちもあって、生活の中で困ることがたくさんありました。
──そうだったんですね。
岡﨑:
周りの人たちも、ただ知らないだけなんです。知らないだけで、バリアが生まれることがある。でも知ってもらえたら、壊せるバリアもあるはずです。まずはきこえない人のことを知ってほしいという気持ちがあります。
2021年10月、京都・宇治市社会福祉協議会の社員向けワークショップにて。「どんな方向けのワークショップであっても、必ず手と顔を動かしていただきます」
岡﨑:
一方で、oioiとしては「きこえない人にもいろんな人がいて、皆それぞれ」っていう発信も、すごく大事にしています。「きこえない」と言っても、それがどの程度なのか、どうしたいか、どうしてほしいかもそれぞれ。僕みたいに喋りたい人もいれば、喋りたくない人も、喋れない人もいます。
僕の場合はこうやけど、彼の場合はまた違う。
「それぞれ違うんや」っていうことを知ってもらうためにも、まず最初に相手を知る段階で「聴覚がいがあるからこうや」って、決めつけたり偏見を持ったりせずに接してほしい。
oioiの活動の根本には、そんな思いがあります。
2023年11月、大阪・守口市でのイベントにて。「この日はスタッフ含め、6人のきこえないメンバーが出演(真ん中の青短パン以外はきこえないメンバー)。このイベントでは『きこえないメンバーがどれくらいきこえていないのか』を知っていただくため、お客さまに何か言葉を話していただき、『どうきこえたか』という他の団体では考えられないような企画を行いました。高い音が分かりやすい、低い音がきこえやすい、まったくきこえない…、きこえかたも『人それぞれ』であることを、皆さんに実感していただきました」
「左が、普通に表した『家』の手話。イベント時など『YEAH!』と言いたい時には、写真右のようにして盛り上げています」
岡﨑:
「先入観や偏見を変えたい」というのは、手話も同じです。手話って「きこえへん人が使うやつでしょ、自分には関係ないわ」「覚えてもどうせすぐ忘れるし」「何の役に立つねん」っていうイメージがまだまだ強いと思うんです。そのイメージをひっくりかえしたい。
手話をブランディングしていくことも僕らの役目やと思っていて、いつか英語に並ぶ言語にしたいと思っています。
──英語ですか?
岡﨑:
英語って、難しいけどかっこいいとか、就職に有利とか、良いイメージがありますよね。しっかりブランディングできたら、英語にも勝ると思うんです。
手話を覚えることは、聞こえる人にもすごくメリットがあります。
きこえる人は声の抑揚で相手のテンションや気持ちを理解しますが、きこえない人にはそれはわからないので、手話では「表情」がすごく大事です。手話を覚えることで表情が豊かになり、表現力の向上につながります。
23年12月、大阪・高槻市役所で開催された「高槻市民の集い」にて
髙口:
他にもあります。
現代は、親子でも互いの顔を見て会話しないことが増えていたりしますよね。電車の中でもたまに、並んで座った親子が、子どもがゲームに熱中していたり親はスマホに熱中していたり、互いを見て会話しないシーンに遭遇します。
しかし手話は、相手を見ないと会話が成り立ちません。Face to Faceで会話ができるのは、手話ならでは。相手の顔を見て会話するから、相手の変化にもすぐ気づけます。そんな良さもあるんです。
表現力が上がる、人間関係が変わる、きこえない友達ができる、新しい世界が広がる…、いいことがたくさんあります。
oioiのメンバー(会員)の皆さん。「メンバーは27名。関西外に住んでいたり、仕事や結婚でなかなか参加できない場合もありますが、コロナ以降、遠隔や自宅にいてもサポートができる環境ができたお陰で、後衛として団体を支えてくれているメンバーもいます」。写真は2024年4月、長居障害者スポーツセンターで開催したメンバー向け合宿での一枚
──ちなみに、手話は万国共通なんでしょうか?
髙口:
手話はそれぞれの国の文化から生まれていて、世界共通ではないんです。ただジェスチャーや表情を使った表現は、どこの国の方が相手でも伝えられることがあると思っています。
「国際手話」という世界共通の手話表現も作られており、来年、デフリンピックが日本で開催されるので、少しずつ学習会や講演会などが増えていたりしています。
新大阪にあるoioiさんの事務所にお伺いしてお話を聞きました!とにかく笑いの絶えない、楽しいインタビューでした(笑)
1歳ごろの岡﨑さん。父、姉と
──岡崎さんご自身のことについてもお伺いしたいです。
デフファミリー(家族全員がきこえない)育ちだと伺いました。
岡﨑:
僕は生まれた時から耳が全くきこえません。両親も、姉も耳がきこえない家庭で育ちました。
両親は話せなかったので、手話を使って会話していました。僕より先に生まれた姉は手話ができて、両親は、手話ができない僕よりも姉の話を優先しました。小さい時はそのことにムッと来ていて「自分は絶対、手話やらへん」って思っていました。早いうちから反抗期やったんですね(笑)。
自分の障がいが受け入れられず、手話を使わなかったのもそうですが、普段から親と行動するのもイヤでした。「恥ずかしいから、人前で手話を使わんといてくれ」って言っていました。
2023年4月、oioiが主催した「サイレントツアー」にて。「京都にある老舗の綿善旅館の前で、手話のできるおかみさん(写真中央)に挨拶をする、きこえないメンバー(写真左)と、ツアーの参加者さんです」
岡﨑:
先ほどもお伝えしたように小中高と普通の学校に通ったんですが、僕はきこえないので、友達の会話についていけない。友達ってどのタイミングで話すかわからないし、「聞く」ということが、どうやってもできないんです。
そこで僕が編み出した処世術は、「自分からとにかく話を振り、マシンガンみたいに喋り続ける」ことでした。「攻撃は最大の防御」って言いますが、僕が話を振って、あとはずっと喋り続けたら、「聞く」ことを極力しないで済むんです。
たとえばですが、友達に「今週の『少年ジャンプ』見た?」って話を振るとします。すると相手が口にするのは、当然ですけどジャンプの話ですよね。ジャンプの内容は自分の頭にも入っているから、相手の口元を見て言ってることを理解しながら、バーっと僕が話す(笑)。
大学1年生、手話を始めたばかりの頃の岡﨑さん
──すごい技ですね。
「自分の障がいが認められず、手話もやらへんって思っていた」とのことですが、どのタイミングで手話を覚え、またoioiの活動とつながっていかれたんですか。
岡﨑:
大学に入ってからです。
僕は格闘技が大好きで、最初、格闘技サークルに入りたいと思ったんですが、雰囲気がなんとなく合わず、やりたいことが見つからずにいました。「このまま大学生活が終わってしまうのかな」と思っていた時に、「手話サークル ありんこ」という小さい看板を見つけて。「ほんまにありんこみたいやな」って思いながら、他にやりたいこともなかったし、「ちょっとだけのぞいてみよう」という感覚でそこに入ったのが最初です。
すると、小さい時から家族が手話で会話するのを見ていたので、サークルの皆が手話でしゃべっている内容が、なんとなく理解できたんです。そこから勉強を始めました。ずっと見ていた分、覚えるのは早かったです。
──そうだったんですね。
「2022年10月、群馬県で行われたイベントの打ち上げで、この日40歳になったのぶの誕生日をお祝いしていただきました」
岡﨑:
小中高とずっと、自分がマシンガンのように喋って相手に話す隙を与えなかったのが、手話を覚えたことで、やっと相手の話を聞く余裕というか、聞く楽しみが生まれました。
皆が喋っている内容が、手話を通してちゃんとわかるんです。「これが本当のコミュニケーションの楽しさなんや」と知ったことで、手話にどんどんハマっていきました。
また、小中高は姉以外にきこえない同世代をほとんど知りませんでしたが、手話サークルに入ったことで、同世代のきこえない人と出会えたことも大きかったです。
インタビューの後、稽古の様子も見学させていただきました!「稽古中は『オモロいかどうか』を基本としてパフォーマンスを創っていっている」とのこと。デザイナーの内山も稽古に参加させていただきました(写真左端)。楽しい空間を共有させていただいたことで、今回のデザインのアイデアが生まれました!
岡﨑:
「同じように大変な経験をしてるんやな」とか「言いたいことは伝えた方がいいんやな」とか、いろいろと学ぶことがあって。自分の環境が、どんどんいい方向に変わっていくのを肌で感じました。
──障がいを受け入れ、さらに「絶対やらない」と思っていた手話を使って、意思を発信されるようになったんですね。その時の気持ちはいかがでしたか。
岡﨑:
「こんなに楽になるなら、もっと早くやっておけばよかった」と思いました(笑)。
でも、がんばってきた時期があってこそ感じられたありがたみだったとも思う。歩んできた道のりは、決して無駄ではなかったと思います。
岡崎さんが特に印象に残っている出来事。「2019年、ずっとネットで見ていたTEDの地域版『TEDxKobe2019』に出演できたことはとても印象に残っています。プレゼンを聴いてくださった方が、会場を出る時や、会場付近の街で行われたTEDxKobeのイベントでoioiを見かけると『ダイジョーブ!』『たのしい!』と笑顔で手話を表してくださっていました。この日、街が手話であふれかえっていた光景は今でも忘れられません」
沖縄出身の髙口さん。「2022年11月、地元・沖縄で開催された『美ら島おきなわ文化祭2022』閉会式でパフォーマンスができたことは、忘れないと思います。きっかけは、オンライン手話講座の受講生さん。『沖縄出身のメンバーがいる』ということで、特別に県外からの出演が決まりました。地元のろう学校含む高校生たちと一緒にパフォーマンスを行い、沖縄にoioiの名を刻むことができました」
岡﨑:
oioiのきこえないメンバーたちとは日々、きこえなくて困ったことを楽しく報告し合っています(笑)。それでまでは「イヤだなあ」とか「気分がよくないな」とネガティブに終わっていたことも、発想をポジティブに楽しく変換することで、今やちょっと嫌なことがあっても「みんなに話すネタができた!」ってなっています(笑)。
このお笑い思考が、障がいがあって大変な気持ちを、プラスに変えてくれていると思います。
最初は「きこえる人とは関わりたくない」とか「自分は岡崎さんとは違うから、そんなポジティブにはなられへんわ」と言っていたきこえないメンバーたちも、もちろんそれぞれに性格も生き方も違いますが、自分の嫌な経験を話してくれた時に「それ、おもろいやん」と反応すると、そんなリアクションが帰ってくるとは思ってないから、「えっ、これはおもろいんや?!」ってなるし、だんだんそれぞれ、なんだかんだ明るくポジティブに捉えるようになっています。
──まさにoioiさんのパワーというか、oioiマジックですね!
oioi理事の中川綾二(通称「りょーじ」)さん。「左の写真は中学2年生の時。聴覚障害に加え、中学校1年生の時に腎機能障害が分かったことから、『他の人と違う』ことを認識するのが嫌で、友人を作らず孤独で暗い少年時代を過ごしていた頃です。大学入学後、サークルの先輩から心配されoioiに(ほぼ)強制入会。そんな彼は、手話パフォーマンスを通してお客さまに褒められたことがきっかけで自分を認められるようになり、さらに、きこえないことをコントのように笑いに変えて伝えることが自身の障害受容にもつながり、明るくおしゃべりな青年へと変わっていきました。今は『他の人と違う』とこが自分の武器になると思えるようになり、oioiでも自身が変われたことについての講演を行っています」
2024年4月、「手話しゅわマルシェin京都」(京都)
岡﨑:
僕らは、とにかく楽しく明るく、コミュニケーションのハードルを下げていきたい。
興味を持って「しゃべってみたい」って思ってもらえたら、自然とバリアは減っていくし、そういう社会が広がれば、いずれは「聴覚障がい者」という言葉さえなくなるんじゃないかなと思います。
──最後に、チャリティーの使途を教えてください。
髙口:
きこえない人や手話のことを、壁なく知ってもらうきっかけをつくりたい。
チャリティーは、「きこえないってどういうこと?」を、広くたくさんの人に、楽しく知ってもらうための動画制作費として活用させていただきたいと思っています。
岡﨑:
きこえないことを静止画で説明したものはあるのですが、映像では見たことがなくて。「ないなら、自分たちで作ろう!」と思って。手話を学ぶもっと手前で見てもらえたら、「きこえないってこういうことか!」とわかってもらえると思う。ぜひ、チャリティーアイテムで応援してもらえたら嬉しいです!
──貴重なお話をありがとうございました!
oioiパフォーマー、スタッフの皆さん。2023年3月、初のトークイベント「オイトーーク!」にて。「お客さまからいただいたそれぞれの似顔絵を手に、記念撮影を行いました!」
インタビューを終えて〜山本の編集後記〜
「障がい」という言葉は時に便利ですが、時にとても不便なものだと思いました。記事では「きこえない人」と表現させていただきましたが、インタビューで岡﨑さんにめちゃくちゃおもしろいお話をお伺いしながら(マシンガントークは、タイピングが追いつかないほど笑)、「障がい」という、何か一枚、隔てているようないないような、うすーくある壁のようなものを何ひとつ感じることがありませんでした。
人と人、心と心、楽しい部分でつながりあえたら「障がい」はなくなる。
岡﨑さん髙口さん、温かく迎えてくださったoioiの皆さん、ありがとうございました!
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手話?!きこえない?!そんなの関心がないわ…。そんな人の元に、突然現れたoioi’s(オイオイズ)!
「バリアクラッシュ」をテーマに、偏見や先入観が楽しくポジティブに打ち砕かれる様子を、アメコミ調でポップに表現したデザインです。
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