CHARITY FOR

「特別養子縁組が、選択肢として当たり前にある社会に」。すべての子どもたちに、愛ある家庭を〜一般社団法人ベアホープ

今週、JAMMINがコラボするのは一般社団法人「ベアホープ」。
社会的養護下にあるすべての子どもたちが愛ある家庭で育つことができる社会の実現を願い、これまでに287の命を、新たな家庭へとつないできました。

今年で活動10周年を迎えるベアホープ。
特別養子縁組をもっと身近に感じてほしいと、特別養子縁組を考えているご夫婦に対し、実際に子どもを迎え入れた先輩養親さんたちが話をする「ベアカフェ」や、特別養子縁組を考えているご夫婦の親御さんを対象にした「祖父母向けセミナー」も行っています。

「特別養子縁組のことを誰もが知っていて、選択肢として当たり前にある社会にしていきたい」と話すのは、スタッフで助産師の三浦杏子(みうら・きょうこ)さん、社会福祉士の酒井淑代(さかい・としよ)さん。

活動について、お話を聞きました。

お話をお伺いした酒井さん(写真左)、三浦さん(写真右)

今週のチャリティー

一般社団法人ベアホープ

社会的養護下にあるすべての子どもたちが愛ある家庭で育つことができる社会の実現を願い、子どもたちに愛ある家庭を提供する夫婦が増えるよう社会意識の変革を促すことを目標に活動する特別養子縁組のあっせんを行っている団体です。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2024/04/29

特別養子縁組をあっせんしながら、
付随するさまざまな活動を行う

実親への支援の様子。「実親さんがお住まいの地域までケースワーカーが直接伺い、実親さんとお子さんが進む道について一緒に考えます」

──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。

三浦:
私たちは、特別養子縁組をあっせんする民間の団体です。
あっせんだけでなく、妊娠葛藤相談や特別養子縁組の啓発活動など、養子縁組業務に付随するさまざまな活動を行っています。

予期せぬ妊娠や子育てに葛藤を抱えている方の相談窓口から始まり、行政の窓口や病院への同行、住まいの確保など、実親さん自身が安心して過ごせるようサポートしつつ、自分で育てていきたいのか、誰かに託していきたいのかといったところも電話やメール、LINE、面談など様々な現代のツールを通じてお伺いしていきます。
2023年度には、約480件のご相談がありました。

「自分で育てたい」という場合はしっかりサポートを提供してくださる機関におつなぎしますし、「自分では育てられないから、託したい」という場合は、特別養子縁組の仲介を行います。

同時に、特別養子縁組で子どもを迎え入れる夫婦を増やしていくための情報発信やトレーニングにも力を入れています。

周知啓発活動の様子。「2024年3月、FLECフォーラム(FLEC:Family Life for Every Child すべての子どもたちに家庭での生活を)にて登壇し、特別養子縁組についてお話しさせていただきました」

酒井:
さらに、実際に養子を迎えたご家族へのサポートや情報提供も、とても大切にしています。
「真実告知」という、迎え入れて家族になった我が子に、「産みの親は別にいる」という真実をどのように伝えていくのかというところで、葛藤されるご家族も少なくありません。
ベアホープでは、ライフストーリーワークなどを一緒に行いつつ、子どもの出自を守る取り組みにも力を入れていく予定です。

実親さんも養親さんも「どうしたらいいかわからない」という時に頼ってもらえるよう、公認心理師や社会福祉士、助産師、保健師など専門の知識を持つ7名のケースワーカーが、それぞれの専門分野を活かしながら活動しています。

スタッフさんと共に、養親さんの元に向かう赤ちゃん。「待っていてくれる養親さんの元へ向かう道中、新幹線の中でミルクを飲んでいます」

子どもにとって「安心安全な家庭」を約束できるのが
特別養子縁組

特別養子縁組でお子さんを迎えたご家族の声。「何だか結婚当時から一緒にいたんじゃないかと思うぐらい、家族3人での生活が今では当たり前になっています。幸せな日々の中でふと思うのが『この子が来てくれたことは奇跡』ということです。私たち、実母さん、サポートしてくれた方々、それぞれの意思やタイミングが重なっていま目の前にいる娘を迎えられたこと。そういった意味で本当に特別な存在です。そして娘は私たちに『家族は血のつながりに限ったことではない』という大切な気づきをくれました。このご縁を紡いでくださった皆様に心から感謝しております」(Uさんファミリー)

──特別養子縁組について、どのようなものなのか詳しく教えてください。

酒井:
家庭裁判所の特別な手続きによって、実親と子どもとの戸籍上の親子関係が解消し、その子を迎え入れた夫婦である養親さんの戸籍に入る制度です。

特別養子縁組とは別に「普通養子縁組」という制度もあります。普通養子縁組は特別養子縁組とは異なり、縁組後も離縁ができ、離縁された子どもが実親のもとに戻るということも可能です。
子ども目線で見た時に、たとえば「育てにくい」といった親の都合で「うちの子でないので、縁を切ります」ということができてしまうため、「安定した家庭環境」という面で、子どもにとってメリットがありません。

それに比べて、特別養子縁組は、養親さんのところに入籍した後は、原則的に離縁ができず、子どもにとっては、安定した家庭環境が永続的に保証される制度となっています。

三浦:
特別養子縁組と普通養子縁組は、目的が大きく異なります。
特別養子縁組が、子どもの福祉に基づき、子どもの利益をはかるために行うものであるのに対し、普通養子縁組は、たとえば後継ぎがいない家の存続をはかるためだったり、あるいはよくあるのが、実子以外で遺産相続をこの方にとなった時に、大人同士で普通養子縁組を結ぶこともあります。どちらかというと、縁組する側の利益をはかるために行うものです。

──そうなんですね。

「実母さんの写真を寝室に飾り、毎日寝る前におやすみの挨拶をしています。Aちゃんも必ず『ばいばーい』と手を振っています。ベアーズの仲間に教えて頂き、生まれてから1歳までの記録をストーリーブックにしました。実母さんのお話も写真とともに載せて、Aちゃんのルーツを少しずつ伝えています」(Mさんファミリー)

酒井:
特別養子縁組によって子どもに安定した家庭環境を提供できるとはいえ、子どもにとっては実親から離れる経験をしなければなりません。しかし昨今、虐待によって亡くなってしまう命があるのもまた事実です。

家庭で育つことが困難となると、その次に家庭に近い、あるいは家庭同様の環境で育つ、安心安全に生きていくための場所を提供する第一義的なものが、特別養子縁組だと思っています。

特別養子縁組とは別に、児童福祉法に基き児童相談所が行っている、一時的に家庭で育つことが困難で、実親家庭の養育環境が整うまで子どもの養育を委託する「養育里親制度」というものもあります。
しかし児童福祉法は18歳までの適応となり、18歳になれば子どもは原則的には里親宅を出ていかなければなりません。

実家のようにいつでも帰れる家がない、家族のように頼れる人がいないということは、その子がその後人生を歩んでいく上で、非常につらいことです。そういったことをなくす意味でも、ずっと家族としていられる特別養子縁組によって、子どもたちにとって常に頼れる大人がいる状態を保っていけるのかなと思っています。

「生後6日目で初めて会った日のこと、初めて抱っこをしたことは一生忘れることはありません。その日から始まった家族3人と1匹の新しい生活も、今ではたくさんの思い出でいっぱいになりました。息子と過ごす中で思うことは、一つの命にどれほど多くの愛が注がれているのかということです。たくさんの人に愛されて大きく育って、たくさんの人を愛せる人に成長してほしいと願っています。息子は私たちの喜びです。この出逢いに関わって下さったすべての方に感謝しています」(Yさんファミリー)

「どんな子どもにも最善の利益を」

養親向けに、赤ちゃんとの日々の触れ合いを楽しむ「ウェルネス・タッチケアⓇ」の講座を、ZOOMを活用し行っている様子

酒井:
どういう子が養子になると思いますか?
「生まれたての赤ちゃん」「丸々とした元気な子」…そういうイメージがもしかしたらあるかもしれません。

特別養子縁組は0~15歳未満までのお子さんが対象になっているので、実親さんが出産しても育てられないと思ったお子さんや、施設や実親宅にて養育されていたお子さんで、実親さんがもう育てられない、施設に迎えに行こうと思っても行けない、というお家に戻れないお子さんも対象になっています。

そのように一度心に傷を負ったお子さんだと、養親家庭で育つより専門の人がいる施設で育った方が子どものためなのでは?と思うかもしれません。ですが私たちは、その子どもたちが大人になった先、彼らも家庭を築いていくことを考えると、家庭での経験は大切なものになると考えています。

小さな手で、養親の手をぎゅっと握る赤ちゃん

酒井:
子どものうちにお家に行けば、その前の経験があったとしても、家庭での学び直しはできるので、変わらない養育者・変わらない安心安全な生活環境を特別養子縁組で提供して、子どものパーマネンシー保障をすることが、子どもの最善の利益になると思います。
それは実親さんにも当てはまることがあって、私たちが関わる実親さんも、安心安全な家庭で育っていれば…と思うことは少なくありません。

実親さんってどんなイメージがありますか?「我が子を手放したひどい実母」「かわいそうな実母」‥、そういうイメージが、もしかしたらあるかもしれません。

しかし、人はみんな弱さがあって、その弱さは自分では選べないですし、実親さんが置かれた家庭環境も選ぶことはできません。養親さんにとっての実親さんの存在の捉え方が、子どもにも伝わっていくので、特別養子縁組を選択せざるを得なかった背景や思いを養親さんが理解することは非常に大切なのです。

養親さん向けの研修では、これまでに関わってきたケースの事例を紹介しながら、養子となるお子さんのことも実親さんのこともしっかりお伝えしています。

「ベアホープでは、実親さんが希望される場合、養親子さんとのお手紙の交換を仲介しています。お子さんのお誕生日やクリスマスの時期に、お手紙を送る方がいらっしゃいます」

「実親さんの命を守る選択があったからこそ、
愛される家庭を提供できる」

「お祈りの時に、Aちゃんと一緒に実母さんについてもお祈りしています。一度だけ、『Aちゃんはママからは生まれてないけど、ママがAちゃんのお母さんで、Aちゃんのことが世界で一番大事だよ』と伝えた時に、Aちゃんがハグをしてくれました。『ママは誰から生まれたの?』と聞かれたので『おばあちゃんだよ』と答えました。彼女の中で、少しずつ事実を認識しているのを感じます」(Kさんファミリー)

三浦:
子どもを託す実親さんの気持ちもそれぞれで、こんな子はいてほしくなかったということもあれば、愛情を持ちながら事情があって託す実親さんもいます。

私たちは、実親さんの事情や妊娠中の状況、どんな思いで子どもを託されたかを、その背景も含め、良い面も悪い面も、細心の注意を払いながら、正直に養親さんにお伝えするようにしています。

「4月4日は『養子の日』です。『ねぇねぇもういちどききたいな わたしがうまれたよるのこと』(偕成社、特別養子縁組で赤ちゃんを迎える家族の話)をCちゃんと読みました。もう何度読んだかな。その度にCちゃんは『この家にきたときのこと話して』と嬉しそうに言い、『〇〇さん(実母さん)は元気かなぁ』と思いを馳せます。わが家にとって、4月4日は大切な記念日のひとつです」(Kさんファミリー)

──悪い面は伝えないようにしようと思ってしまいそうですが、そこもお伝えされるんですね。

酒井:
そうですね。
産みの親である実親さんとの関係は、たとえ実際に交流することがなくても、切っても切れません。養親さんの家庭に行った後、たとえば子どもの好きなことや得意なことが、実親さんに似てくることもあります。養親さんには、違いを楽しんでほしい。なので事前に、実親さんの趣味や好きなことは、できるだけ聞くようにしています。

「子どもの命を優先する」という見え方でいうと、死ではなく生かすという実親さんの選択があったからこそお子さんは生かされて、その選択があったことによって、安心安全で、愛されていると感じられる家庭を提供するという広がりや希望があるということが言えます。
生を選んでくれたから、その命を、つないでいきたい。そう思っています。

「新しいおうちに到着した日、職員が書類の説明をしている横で、お子さんは早くも環境に慣れて遊んでいます」

養親のリアルな声が聞ける「ベアカフェ」を開催

養親希望者向けの座学研修の様子。「現在はオンライン開催になっていますが、全国からの参加があります」

──特別養子縁組で子どもを迎え入れることを希望する方には、どのようなアプローチをされるのですか。

三浦:
お問合せいただいた後、最初に3日間、座学の養親希望者向け研修を受けていただきます。
その後、希望される方は審査にお申し込みいただきます。
書類審査、オンラインで一日がかりのインタビューを行い、その次のステップへと進んでいただきます。

3日間の実習を経て、実地家庭訪問、必要に応じて個別の研修をさせていただき、待機家庭登録をします。ここまできて、やっとお子さんの受け入れが可能な状態になります。

沐浴実習の様子。「レクチャーを受けたあと、沐浴人形を使って皆さんに実践していただきます」

──段階を踏んで、準備していかれるんですね。

三浦:
研修では、先ほどお話したような実親さんについて語る時間が結構多いです。私たちとしては当たり前にさせていただいていることですが、実際に審査に申し込んでいただいたご夫婦からは「実親さんのことを大切にしているのがわかったから申し込みました」という声が少なくありません。

酒井:
2019年からは、不妊であるご夫婦や不妊治療をしているご夫婦、特別養子縁組を考えているご夫婦に対し、特別養子縁組をより知っていただくための「ベアカフェ」という座談会をスタートしました。
私たちが何かを話すというよりは、ベアホープでお子さんを迎え入れた養親さんたち、私たちが「がんばれ!ベアーズ」と呼ぶ養親の方たちに、特別養子縁組のことをざっくばらんに語っていただく会です。

今では養親として子育てをしている方たちですが、彼らも不妊や不妊治療の経験を経てから特別養子縁組を決断してきたので、過去、参加者の方たちと同じところにいた方たちです。そのような養親さんから直接話を聞くことで、より具体的に、養子縁組について思い描いていただけるところがあります。

2023年に開催されたベアカフェの様子。「リラックスした雰囲気の中で、養子を迎えることを考えているご夫婦たちが、ベアーズの方々とお話しされています」

酒井:
コロナの影響で途中、オンラインに切り替えたこともありましたが、子どもを迎え入れるまでの過程や葛藤、子どもを迎え入れてからのこと…、対面だからこそ感情を揺り動かされる部分があるようです。そうやってフランクに話を聞くことは、養親へのステップを踏んでいくにあたり、非常に有用な時間になっているんだと実感しています。

ベアカフェに参加することによって、ご夫婦がそれぞれ、特別養子縁組に対してどういう意識でどういう段階にいるのかを確認し、ご夫婦で足並みを揃えるきっかけになり、じゃあ申し込もうということもあれば、やっぱり違うねということともあります。

私たちとしては、いくつもの選択肢があるということ、その中のひとつに特別養子縁組があるよということをお伝えできればと思っています。

──貴重な機会ですね。

三浦:
特別養子縁組で子どもを迎えようという「ご夫婦の親御さん」の理解というのも非常に重要だと感じており、「祖父母向けセミナー」もスタートしました。

養親になりたい夫婦はたくさん研修を受けて、じっくり二人で話し合って子どもを迎え入れる準備をしていくわけですが、さらにそのお父さんお母さん、つまり迎え入れられる子どもからするとおじいちゃんおばあちゃんが、突然「子どもを迎え入れる」と聞いて、心の準備ができなかったり、「二人がいうならお好きにどうぞ」というかたちで養子の子育てに対して消極的になってしまうことがあります。

「大好評だった祖父母向け研修での講義内容や、質疑応答をまとめた資料を作成しました。養親家族や、関係機関に配布していく予定です」

三浦:
今回のセミナーは、「子どもを迎えるにあたって、どういう心構えをすれば良いかわからないから、それが知れたらいいよね」という祖父母からの声があって、そこからスタートした研修です。

実際に子どもを迎え入れた祖父母さんに来ていただいて、最初に子どもを迎えると聞いた時どう思ったか、何が不安だったかなど、リアルを語っていただきました。

同じような状況にあるおじいちゃんおばあちゃんにご参加いただくのが目的ですが、たとえば子どもを迎えた時に自分の親にどう説明しようかと悩むご夫婦や、すでに子どもを迎えていて、祖父母世代の人にどう伝えていこうかという養親さんなどにもご参加いただいています。

団体を設立したロングさん(写真右)と赤尾さん
(写真左)。「2016年、とあるカフェに二人で行った時、『好きな絵ハガキを1枚ずつどうぞ』と言われたので、たくさんの絵ハガキの束からそれぞれ1枚ずつ選んだところ、ロングも赤尾も全く同じものを選んでいました。それがこの聖書の言葉の載った絵ハガキ!10年前には思いもしなかった宝物のような人材、支え合い盛り上げてくださるベアーズの養親さんたち、同じ目的に向かって協力してくださる関係機関の方々、活動のために支えてくださるサポーターの方々…、この聖句を前に、謙遜な思いになり心からの感謝にあふれます」

「特別養子縁組が、選択肢として当たり前にある社会に」

ベアホープを通して親子になった「ベアーズ」の皆さん。「数年ぶりにベアーズ主催の公園ピクニックが開催されました!お子さんが、ベアーズが集まる目印を作成してくださいました。年齢や地域を超えてたくさんのベアーズが集まりました」

──今年で10周年を迎えられます。
10年を振り返って、どのように感じていらっしゃいますか。

三浦:
この10年で、287人のお子さんを家庭へとつないできました。養親さんたち同士の絆が強く、特別養子縁組特有の悩みから子育てのこと、育児のことまで、互いに相談したりフォローしたり、一緒に集まってイベントをしたり…、自然な交流がたくさん生まれています。これこそが私たちの強みだと感じています。

酒井:
10年前、3人のスタッフでこの活動を始めた当初は、特別養子縁組に対し、世論だけでなく国の制度としてもまだまだ追いついていない部分がありました。

スタッフたちがとにかく一生懸命、子どもにとって愛される家庭が必要であること、そのためには特別養子縁組の制度が必要であることを訴えてきました。同じような気持ちの多くの方々の働きにより、児童福祉法や特別養子縁組に関連する民法の改正、民間あっせん法の成立がされ、国としてもその方向に大きく舵を切り、特別養子縁組をより促進していくような体制ができてきました。

「北は北海道、南は沖縄まで、ケースワーカーたちは日々飛び回っていますが、行く先々で大切な出会いがあります。そして道中に素敵な景色に遭遇することもしばしば。飛行機から富士山が見えました」

酒井:
ただ一方で、家庭を待っているお子さんは一定数いる状態は今も続いています。
私たちケースワーカーは、どんなお子さんのケースでも相談を受理しますが、目の前に子どもがずらっと並んでいて、「あなたは元気な新生児だからお家がありますよ」「あなたは病気や年齢が上だからお家に行けませんよ」と、ボーダーをつけて仕事をこなしていくしかない現実があります。

「どんな子にもお家がありますように」と思い働いている私たちにとっては、非常にやり切れない思いです。このような現状は国や行政が変わっていくだけでは十分ではなく、今後養親になり得る人たちに、特別養子縁組によって、どんな子どもにも家庭を提供するということがいかに大事なことであるかを伝えていきたいと思っています。

特別養子縁組のことはまだまだ知られていません。特別養子縁組のことを誰もが知っていて、選択肢として当たり前にある社会にしていきたい。そのためにもこれからまた10年、走り続けていきたいと思っています。

「特別養子縁組を考え始めたご夫婦が参加されるベアカフェでは『自分の知らない世界へ一歩踏み出すようで緊張する』とおっしゃられる方々も多くいます。会場へ来てくださる方の緊張や不安が少しでも和らぎ、リラックスしていただけるように、アットホームな雰囲気づくりを心がけています」

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

三浦:
チャリティーは、ベアカフェや祖父母向けセミナーをはじめとする、特別養子縁組の啓発活動のために活用させていただく予定です。
「すべての子どもが、愛ある家庭で育つ」という私たちのビジョンを、ぜひチャリティーアイテムで応援いただけたら嬉しいです。愛ある家庭で育つことの大切さと、それを守っていくことが大人の責任、社会の責任であると知っていただけたら嬉しいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

ベアホープのスタッフの皆さん、「数年分の新人歓迎会を開催したときの写真です。おいしい食事を囲んで、たのしい交流の時となりました。チームワークを存分に生かして、これからも前進していきます」

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

メディア等でも目にする機会が増え、少しずつ認知が広がっている特別養子縁組ですが、一方で身近かと言われると、そうではないように感じます。
「すべての子どもに愛ある家庭を」というベアホープさんの思い。社会的養護下の子どもたちは、全国に約4万2千人(2022年)いるといわれていますが、認知がもっともっと広がり、一人でも多くの子どもが、温かな家庭で、成長の過程で愛情をたくさんもらいながら成長できる社会が広がっていくことを願っています。

・ベアホープ ホームページはこちらから

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【2024/4/29~5/5の1週間限定販売】
一本の木に集まった、さまざまな木の実たち。
ベアホープさんの10年のご活動によって生まれた家族のつながりや、特別養子縁組の広がりを表現したデザインです。
家族のあり方やしあわせのあり方は多様であり、それぞれが認め合いながら、愛ある世界を作っていこうという願いを込めました。

“I have loved you with an everlasting love(私は限りなき愛を持ってあなたを愛している(エレミヤ書 31:3))”という言葉を添えました。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

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