今週、JAMMINがコラボするのは、滋賀県大津市を拠点に活動するNPO法人「こどもソーシャルワークセンター」。
学校や家庭がしんどい、生きるのがしんどいこどもや若者たちがほっと安心できて、ともに成長し合う居場所を運営しています。
理事長の幸重忠孝(ゆきしげ・ただたか)さん(50)は、社会福祉士として、こどもの家庭福祉を専門とした社会福祉士事務所を運営、行政と連携してこどもや家庭を見守りながら、NPOとして、しんどさを抱えたこどもや若者のための居場所活動をしています。
「ここで出会うこどもたちと過ごす時間が長くなるにつれて、新たな課題が生まれてくる」と幸重さん。
「出会ったこどもたちも皆、年を重ねていきます。虐待や貧困といった家庭のしんどさは解決しないまま、たとえば10年前に小学生で出会った子が、今は高校生。やがて大人になっていきます。しかし、こどもから大人へ移行する『つなぎ』の部分を支援する制度やしくみがありません」と話します。
しんどさを抱えた若者たちが、社会とつながる一歩を応援したい。
幸重さんたちは今、ソーシャルワークの考えに基づき、新しい支援のしくみを模索しています。
活動について、お話を聞きました。
お話をお伺いした幸重さん。2019年にJAMMINとコラボしていただいた際のコラボデザインアイテムと
NPO法人こどもソーシャルワークセンター
家庭や学校などの環境によって本来の力を発揮できないこどもや若者、その家庭に対して、ソーシャルワークを活用した事業を行い、地域の福祉の推進を目指して活動しています。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2024/04/01
こどもソーシャルワークセンターに通う小学生の遊びにつき合う、ボランティアの若者たち。「こどもたちの定員は、一度に3名以下。関わる大人の数をこどもの数以上にして、いっぱいかまってもらえることを大事にしています」
──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。
幸重:
しんどさを抱えるこどもたちを対象に、支援を行う団体です。
こどもの世界は「家庭」と「学校」の二つであることがほとんど。どちらか一方でしんどさを抱えるとつらいし、両方で抱えるともっとつらくなります。
学校でのしんどさから、こどもが不登校になった時、親御さんに余裕があるご家庭であれば、送迎してもらってフリースクールに通うなど別の選択肢がありますが、家庭でもしんどさを抱えている場合、そのような選択肢はありません。
──確かに。
幸重:
家庭のしんどさの背景のひとつが、「貧困」です。家庭が経済的に苦しく、他のこどもと同じような経験ができません。残念ながら今の日本社会の構造上、貧困から脱していくことは容易ではありません。つまり、こどもたちはしんどさの中で生きていくことになります。
中学生とボランティアの若者でお菓子作り。「居場所活動では、決まったプログラムはなく、こどもがやりたいことに大人たちがつき合います。この日は、こどものリクエストでお菓子づくりをしました」
幸重:
もうひとつが「虐待」です。貧困と虐待をセットでとらえている方が少なくありませんが、確かに親和性はあるものの、また別の問題です。外から見ると立派なご家庭でも、実は虐待が起きているということは少なくありません。さらにもうひとつの背景が「ヤングケアラー」です。
僕らは、こどもたちと一対一で向き合って、こちらの専門性も一旦全て取っ払い、学校や生活がしんどいんだったら、そこをすぐに変えることは難しいけど、「ここでゆっくり、ほっこりしようよ」という場を提供することを大切にしています。
「ほっとるーむ」で出会い、一緒に遊ぶ仲間ができることも
幸重:
2020年3月にコロナの緊急事態宣言が出たことで、団体としては大きな転機を迎えました。
学校がしんどかった子たちは、休校になって救われる部分があったわけですが、一方で、家庭がしんどかった子たちは、家以外の逃げ場がなくなり、しんどさに拍車をかけるかたちになりました。学校は閉鎖、家庭訪問もできない。行政としても手の打ちようがない中、偶然、僕らは団体として職員の増員が決まっていたので、やれるだろうと判断し、居場所支援の活動を週4から7日に増やして体制を整えました。
コロナによって、家庭にしんどさを抱えるこどもたちの存在が浮き彫りになり、地域の課題としての認識が強くなったと感じています。コロナが落ち着いた今も、こどもの居場所活動は週5で続けています。
夏休みのキャンプでの川遊び。「長期休みには、季節を感じるキャンプなど特別活動を行います。暑い中でのキャンプでは、一日の多くを川での水遊びで過ごします」
センターに通う子のお誕生日をお祝い。「自分や家族のお誕生日のお祝いをしたことがないこどもも少なくありません。誕生日に自分の好きなものが食べられるリクエストメニューを受け付けたり、ケーキを囲んで皆でお祝いします」
幸重:
昼の居場所「ほっとるーむ」、夜の居場所「トワイライトステイ」ともに、定員は一度に3人までとしています。きょうだいで通ってくれている子もいるわけですが、僕としては、本当は、きょうだい同士は、来る日を分けたい。一緒だと、ここに来ている間も「家庭の関係」を背負ってしまうからです。ここでは、そこから解放されて過ごしてほしいと思っています。
──そうなんですね。
スタッフとこどもで一緒に調理。「センターでは調理ボランティアさんが食事を作ってくれるのが基本ですが、日によっては、こどもたちと一緒につくることもあります。こどもたちが作ったご飯を、ボランティアがおいしそうに食べることも、こどもの自信につながります」
幸重:
「こどもソーシャルワークセンター」と名付けているゆえんでもありますが、「ソーシャルワーク」の基本的な考えとして、本人を変えることはしません。たとえこどもであろうと、障害があろうと、その人には本来力があって、取り巻く環境を調整することで、その力が発揮できるという考えです。
だから、こどもたち一人ひとりが、ここで誰と、どんなふうに過ごすのかという環境調整に重きを置いています。こどもにかぎらず、ボランティアさんも同じ。スキルを持って関わってもらおう、レベルアップしてもらおうなどとは思っていません。「どんな環境であれば、より心地よくいられるかな」ということを考えています。
冬休みの雪遊び。「冬休みの特別活動でこどもたちに人気なのは、スキー場などでの雪遊び。雪の中を走り回り、雪だるまをつくったり、ソリですべったりして遊びます」
──難しそうですね。
幸重:
趣味が合えば、テクニックはそんなにいらないんです。たとえばサッカー好き同士だったら、「Jリーグがはじまったね」とか「どこが勝つと思う?」みたいな会話が自然と生まれますよね。ゲームが好き同士だったら、話さなくても一緒に遊べます。
環境を調整して、後はほとんど自然に任せる。今ひとつフィットしなければ再調整して改善しますが、こちらからこどもたちに、主体的に何か働きかけるということは少ないです。
誕生日やクリスマス、お年玉など、こどもにとって特別な日を大切にしていると幸重さん。「困窮家庭の多くでは、クリスマスにサンタが来ない、お年玉もらったことがないという現実があります。事情があって家では経験できないこういった楽しみを、センターでは大切にしています」
「ギターを弾いてみたい!」。ボランティアさんにギターを教えてもらう若者
幸重:
こどもたちの環境を調整する上で「楽しさ」は一つ、大事にしているキーワード。家ではこどもらしく過ごせなかったり、親から否定的な言葉を受けていたりするので、ここでは「楽しかった。自分はここにいてもいいんだ」と思ってもらえたら、それだけでマルです。
普段から親が無関心だったり、「お前なんか」と言われていたら、こどもはなかなか自分を好きになれない。「自分には価値がない」と思うんです。それでも、たとえば学校で何か役立っていると感じられるとか、勉強ができるとかであれば頑張れるのですが、一方でこういった家庭は、こどもが家で、勉強やその他のことに取り組める環境にないことが多いんです。
──というと?
幸重:
たとえば、学校でリコーダーの合奏があって、「家で練習してきてくださいね」と言われたとします。家に帰ってリコーダーを練習しようとしたら、親にうるさいと怒られたり、壁が薄いアパートに住んでいて、隣の住人から近所迷惑だと怒られたり。あるいは家では親の代わりに家事や育児をしていて、練習する余裕がない子もいます。
そして学校に行くと、周りから「なんで練習してこないの?」と責められてしまう。でも、多くのこどもは家庭環境への自覚がなく、「親がこうこうだから」といったことは言いません。「他のみんなは一生懸命練習してるのに、なんで練習しないの?」と、次第にそれが、仲間はずれやいじめにつながってしまうこともあるんです。
ヤングケアラーの支援にも力を入れている。「ヤングケアラーの若者と合宿を行い、ヤングケアラーの小中学生にどのような支援が必要なのか、自らの体験に基づいたアイディアが出されました。ひとつずつ、そのアイディアを支援プログラムにしていきます」
「小学生から10年近く関わっている写真の彼は現在、清掃の職場体験に挑戦中です。2019年にJAMMINさんとコラボした時は、居場所を利用する中学生として登場しました」
幸重:
さらに僕らとしては、2016年からこの地域で活動を続けてきた中で、支援を要する「若者」が増えてきているという課題を感じています。
──若者が増えているとは?
幸重:
当然、こどもたちも皆、年を重ねていきます。小・中学生で出会った子が、今は高校生、あるいは大人になっています。その子の家庭が抱える問題が、こどもたちが大きくなるにつれて解決するということはまずありません。つまりこどもたちは、虐待や貧困が続く中で大人になっていくのです。
一方で、こどもから大人に移行する、「つなぎ」の部分を支援するような制度やしくみがありません。中学や高校を卒業してしまったら、こどもとその家庭と外とのつながりは基本的に終了して途切れますし、児童福祉法が適応されるのも18歳までです。
「こども」とされている間は、「こども」としての見守りや支援が入っても、「若者」になってしまうと、その背景に関係なく、「大人」としての支援の枠しか存在しないのです。
──そうなんですね。
地域でボランティアを頑張った若者たちと、打ち上げのバーベキュー
幸重:
昭和の高度成長期のように、がむしゃらにがんばればのし上がれるチャンスがあるような時代ではありません。社会に出ていく時、学歴や経験値がないと、なかなかたたかっていけないような構造があります。
また、働く先として町の中から個人商店が消え、大きなチェーン店が次々とできる中で、たとえば実家の店の番をして、何か困ったことがあったらお父さんを呼んでくるとか、年配の八百屋さんが、若い子に隣にいてもらって、ものを運んだりする時には手伝ってもらうとか、そういう働き方や人のつながりが消え、社会の中から、こういった若者を受け入れる場所がどんどん失われています。そうすると、支援機関が受け入れる他にありません。
──確かに。
幸重:
本人にやる気やモチベーションがあって、積極的に外に出て行けるのであれば、支援する機関もたくさんあるでしょう。でもそうではなかった時に、家に引きこもるか、グレーな世界に身を置き、犯罪に近いような仕事をしながら生活していくかという選択肢を迫られているようなところがあるんじゃないかと思っています。
さらに大人になるにつれ、社会からの目も厳しくなります。
「良い歳やのに、働かんと何してるんや」「甘えてる」「税金の無駄遣い」…、周囲からの否定的な視線を、本人たちも感じているし、インターネットの時代にあって、情報には同じようにアクセスできるわけなので、他人と自分とを簡単に比較できてしまう。同世代の人たちがキラキラと活躍する姿を見て「自分なんて社会のクズだ」という意識を、より強くしてしまうようなところがあると感じています。
全国各地で、年間50件ほど講演活動を行っている幸重さん。「講演は、大事な活動資金や寄附を集める機会になります。チャリティーコーナーに、JAMMINのアイテムが並ぶことも」
若者による地域イベントでの啓発活動の様子。「ヤングケアラーである若者自身が、イベントで地域の人たちにヤングケアラーについての質問を通して啓発活動に努めました。シールアンケートが、会話のきっかけになります」
幸重:
現在の若者支援のしくみは「課題ありき」の縦割りで、「つなぎ」の部分がとても弱い。こどもの時点で家庭がしんどいのだとしたら、大人になってからもしんどいだろうということとは容易に予測がつくわけです。
しかし何か問題が起きてから、たとえば窃盗や振り込め詐欺の呼び子をしたら犯罪者として捕まり、自殺未遂や大量服薬、幻覚や幻聴で暴れたら医療支援がスタートするわけです。その時、彼らはもはや「若者」ではなく、「犯罪者」や「病人」として扱われるのです。
──もっとその手前で、予防的なことというか、少しでも自分の力を感じたり信じられるようなことがあればいいですね。
幸重:
そうなんです。皆、ストレングス(力)を持っています。
僕が関わってきた若者は、中学や高校を卒業し、行き場もなく引きこもっていることが少なくないです。制度のはざまにある彼らのために、何かできないかと思っています。
彼らとこどもの時からずっと長く関わっているからこそ、彼らがどんな家庭で生まれ育ち、どんなことがしんどくて、何につまずいたのか、それでも一生懸命生きてきた姿や経緯を知ってるんですよね。それが僕らの強みであり、そしてまた、役割ではないかと思っているんです。
「お泊まり会で深夜に肝試しをしたところ、近所から苦情が来てしまいました。こどもたちと一緒にどうすれば良かったかを話し合った後に、一人の子からもらった手紙です」
──もう少し詳しく教えてください。
幸重:
不登校や働けない人への支援はすでにあります。そこに乗っかれる若者はいいけど、乗っかれない若者は結局、そこでも自信を無くし、そうやってどんどん孤立を深めていくのです。
目の前の子に合わせた支援が必要だと改めて強く感じていますが、このような若者を支援する制度やしくみが、世の中にありません。
僕らの団体が「ソーシャルワークセンター」という看板を掲げているからには、ないのであれば、僕らがつくるしかない。そこで、2020年に新しい取り組みを始めました。
「人手が足りなくて困っている地域の農家さんの収穫作業を手伝いに行きました。地域の人からの感謝の言葉で、仕事のやりがいを知る若者もいます」
──どのような取り組みですか。
幸重:
居場所にプラスして、若者たちがもっている力を、もっと発揮する機会を作っていこうという取り組みで、その一つが、特技を生かし、仕事にする「若者によるアウトリーチ事業」です。
10年ほどのつき合いになるAくん(26)との関わりから、2020年に始めたのが最初です。
Aくんとは、彼が高校受験の時に初めて出会いました。両親共にアルコール依存症で、過酷な生活を送っていたAくん。小中学校にはほとんど通えておらず、高校も進学したものの、すぐに中退となりました。ゲームに没頭し、すっかり昼夜逆転の生活を送っていたAくんを一度、就労支援につなぎましたが、続かず、半年ほどで辞めてしまいました。
10年前、出会った頃のAくん。「野球の試合をしているところです。亡くなったお母さんも応援に来てくれていました」
幸重:
彼のような引きこもりの若者がセンターに増えていく中で、次のステージに行くための、何か階段の役割になるものがあれば良いなと思い、Aくんたちに尋ねてみると「ゲームだったら好きだし、そういうことで何かしてみてもいいかな」と。
そこである若者には、仕事として、不登校で家から一歩も出られないこどもの家庭訪問に同行してもらうようにしました。
引きこもりや不登校の本人や親からすると、専門家がかしこまって訪問するより、ゲームが好きな子であれば、「ゲームが上手なお兄さんが来て、一緒に遊んだ」ということの方が、心を開いたり、外に出るきっかけになるんです。
──確かに。同じゲームが好きなお兄さんやお姉さんであれば、そこまで身構えなくて良いですね。
しんどさを抱える若者たちによる、深夜のネットアウトリーチの様子
幸重:
このような若者にはアルバイトとしてお金を支払います。若者の得意なことを生かしつつ、僕らにとってもプラスです。
もう一つ、しんどさを抱える子どもへのネットアウトリーチも行いました。
都会であれば、たとえば「トー横」や「グリ下」のように、繁華街の一角に同じような悩みを抱えた若者が集まる場所がどこかとあります。一方で地方の場合、そういった場所が近くになく、若者が集えるのは必然的にネット上になります。家出経験が豊富な若者たちの経験を生かし、オンライン上でこういった子どもたちが集まる場所を夜廻りしてもらいました。
まずは得意なことでやってみて、こちらもきちんと評価する。仕事というよりは、その手前で、まずは社会と関わり、自信をつけてもらうためのステップと言えるでしょうか。
このようなゲームやSNSが好きなタイプでしんどさを抱える若者はたくさんいます。僕らがしくみを作れたら、他の地域、他の団体さんでも同じように取り組むことができる。しんどさを抱えたまま大人になり、既存の支援の枠からはこぼれ落ちてしまう若者たちがいる現実。そこから脱却するためにも、必要なことではないかと思っています。
地域のイベントにて、若者たちと遊びコーナーを出店。「一番人気は『人力もぐらたたき』。若者たちが協力して、一生懸命もぐらを穴から出し入れします」
「こどもたちの声を議会に伝えるソーシャルアクションも、社会を変えるために大事にしています。国(内閣府)、滋賀県の議会や委員会で報告することもあります」。写真は2018年8月、大津市議会の生活支援特別委員会にてこどもの貧困の実態について報告している場面
──話は少し変わりますが、なぜ現場で若者たちを支え続けるのか、幸重さんのモチベーションを教えてください。
幸重:
僕は児童養護施設の職員として働いた後、大学で児童福祉の研究者として8年過ごしました。しくみや制度をつくるため、調査研究や分析の重要性ももちろん理解します。
だけど単純に目の前にこどもや若者がいて、ご縁あって関わった時に、「目に見えて劇的に変わる」ということではなくても、確実に「人は安心安全があったら、こんな表情を見せるんだな。ギリギリ転落しなくて済むんだな」ということがあるんです。
幸重さんの活動の原点は、こどもの頃から通っていたおやこ劇場(こども劇場)。「学生のボランティアリーダーをしている時、こどもの企画で連れ出されているところです」
幸重:
先ほどお話したAくんは昨年、お母さんが亡くなりました。実はその前から、お母さんの具合が悪いということで、看病や家事に追われ、僕らのところにも来なくなっていたんです。
10年のつき合いの中で、一度たりとも電話をかけてきたことのなかったAくんが、お母さんが亡くなったその日、こどもソーシャルワークセンターに電話をかけてきました。親戚づき合いもなく、たった一人でなんとかしないといけない状況で、うちに電話をくれたんですよね。
それは、就職とか社会に出るという点から言えば、何の意味も成さないのかもしれません。彼が働いていない事実も変わりません。でも僕は、すごいなって思うんです。そんな状況でよく僕らのことを思い出して、電話をくれたなって。そこにすごく意味があるというか。こういったことが、僕が現場から離れられない理由のひとつでもあります。
若者たちとの合宿で、琵琶湖のアクティビティを楽しむ
幸重:
僕は、ソーシャルワーカーであることにアイデンティティーを重ねていますが、ソーシャルワークの仕事には「支える」「つなげる」「つくる」の3つの支援方法があります。
「支える」こと、制度や機関に「つなげる」ことは、ソーシャルワーカーなら誰もがやってるんだけど、3つめの「つくる」が面白いと思ってるんです。「つくる」が醍醐味の支援職って、他にあまりないのかなと思っていて。目の前のこどもや若者たちにあてはまるものがなければ、じゃあつくろうかって。そこにやりがいを感じているところはあります。
「講演会や研修で、ヤングケアラーの生活を説明する時によりわかりやすくするため、ヤングケアラーの若者に、仕事としてこのような図をつくってもらいました」
「交流のある岡山のNPO『子どもソーシャルワークセンターつばさ』さんにお世話になり、毎年、若者が倉敷を訪れ、つばさのスタッフとの交流を行ってきました」
──最後に、チャリティーの使途を教えてください。
幸重:
JAMMINさんと前回のコラボから4年になります。前回集まったチャリティーで実施した、長期休みの旅行は、その後、団体イベントとして定着し、こどもたちが楽しみにするプログラムになりました。
今、やっと芽が出はじめた若者たちが自信をつけて一歩前に進めるよう、一人ひとりに合わせながら、就労をベースにしたさまざまな取り組みをしていきたいと考えており、今回のコラボは、そのための資金として活用させていただく予定です。
前回の長期休みの旅行と同じように、このコラボをきっかけに、3〜4年後にはこの活動が当たり前になればと願っています。
講演で各地へ行った際に、コラボグッズを身につけて来てくださる方を見かけたり、街中でばったり持っている方を見かけて、「あっ、あれはうちのや!」って、目に見えて応援されている嬉しさがあります。この機会にぜひ、応援してもらえたら嬉しいです。
──貴重なお話をありがとうございました!
若者たちも協力してもらって行った啓発イベント後の集合写真です
インタビューを終えて〜山本の編集後記〜
関わっておられるこどもや若者たちの中には、壮絶な環境や出来事が少なからずあるわけで、しかし一つひとつ大げさに受け止めるわけではなく淡々と、それでいて確かにそばで、やさしくしっかり見守ってくれる安心感と「彼らのために、次のステップを用意してあげたい」という、幸重さんの強い思いを感じました。
「本人を変えるのではなく、取り巻く環境を調整することで、その力が発揮できる」というソーシャルワークの考えを教えていただき、こどもソーシャルワークセンターさんの視点が、より深く理解できたように思います。若者たちが少しずつでも力を発揮し、手応えを感じられるような場が、広がっていけばと思います。
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一つの船に乗って進む動物たち。
こどもたちに伴走し、未来へ向かって新しく漕ぎ出す団体の活動を表現しました。
空を飛ぶ鳥や水に浮かぶ鳥もあわせて描くことで、多様で自由な生き方を表現しています。
“Trust yourself(あなた自身を信じて)”というメッセージを添えました。
JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!