CHARITY FOR

4月2日は「世界自閉症啓発デー」。「興味を持って心の扉をたたいてもらえたら、豊かな交流や視点が生まれる」〜一般社団法人日本自閉症協会

4月2日「世界自閉症啓発デー」に、ブルーにライトアップされた世界遺産・姫路城(兵庫)に集まった兵庫県自閉症協会の皆さん

4月2日は「世界自閉症啓発デー」。
実は近くにいるかもしれない自閉症のある人のことや、どんな生活を送っているか、どんな困難や課題があって、どのような支援が必要なのか、この機会に一人でも多くの人に知ってほしいという願いを込めて、今年も日本自閉症協会さんとコラボします。

「興味を持ってコミュニケーションの扉を開き続けてもらえたら、きっとその先に、豊かな交流や、新たな視点が生まれる」。

今回は、自閉症の息子を持つお父さんである北海道自閉症協会会長の野田勉さん、自閉症の息子を持つお母さんである徳島県自閉症協会会長の島優子さんのお二方に、お話を聞きました。

「世界自閉症啓発デー」には、癒しや希望を表す「青」をシンボルカラーに、日本各地でライトアップやイベントが開催されます。写真はライトアップされた太陽の塔(大阪)

今週のチャリティー

一般社団法人日本自閉症協会

自閉スペクトラム症の人たちに対する福祉の増進および社会参加の促進、広く社会に貢献することを目的に、自閉スペクトラム症のある人たちのより良い未来を目指し活動する団体です。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2024/03/04

「見通しがつけば、いろんなことを楽しめる」。
北海道の歩さん

最初にお話を聞いたのは、北海道自閉症協会会長の野田勉(のだ・つとむ)さん。
息子の歩(あゆみ)さん(28)は、ドライブが大好きなのだそう。

野田さんと、息子の歩さん。近所の一緒にウォーキング中の一枚

野田:
小さい頃からドライブが大好き。私たちの住んでいる場所から海まで1時間半ぐらいの道のりを、本人も楽しんでいます。
見通しの立たないことは途中で不安になるようで、声が大きくなったり、「家に帰る」という表現をしたりするので、ドライブに限らずですが、常に見通しを持って出かけるように努めています。初めて行く場所も、事前に行き先の写真を見せたり、スケジュールを決めてその通りに動いたりすることで、本人も安心できるようです。

──ドライブの道中はどんなことをして過ごしているのですか。

野田:
動く景色を見るのが好きなようで、行き慣れた場所であれば本人もルートがわかっているので、時折外の景色も楽しみながら、パソコンにダウンロードした動画を見たり、ディズニーの歌を聴いたりして過ごしています。

発達年齢的には5歳ぐらいで、知的にデコボコがありますが、突出している部分もあって、それが彼の魅力だと思います。

ドライブ中、iPadで走っている様子を撮影しながら、PCで動画を見る歩さん

──たとえば、どんなことでしょうか?

野田:
YouTubeで動画を見るのが好きなんですが、たとえば歌の動画を見て、替え歌で歌ったり、ゲーム実況の動画を見て、別の端末で自分も同じシーンを再現したり。動画を楽しみながら、プラスして自分で変化をつくっているのはすごいなと思います。

「自閉症の人は変化を好まない」と言われますが、意外と、変化が嫌いじゃないんですよね。見通しがつかないのが不安なだけで、見通しさえ持たせてあげられたら、結構いろいろなことを楽しめるようです。

コストコで買い物のお手伝い。「買う順番や次の予定を知らせておくことで、人混みでの買い物もお手伝いできました」

「人が好きで、人と関わりたい」

ヨットに乗る歩さん。「小さい時から私の趣味のヨットに付き合ってもらっています。ヨットは予定通り動いてくれませんが、小さい頃からの経験で、変化を受け入れられています。一緒に乗っている人たちも歩を理解してくれているので、落ち着いて楽しんでいます」

──普段の生活で、歩さんが大変なことはありますか。

野田:
買い物は、息子にとってはいやな刺激が多いようで、苦手なようです。特に聴覚に過敏で、人がたくさんいて音の刺激が多いと、つらく感じるようです。

外に出る時は、雑音をシャットアウトするためにイヤーマフをつけますが、それでも人の声は聞こえます。怒ったり喧嘩している声、子どもの泣き声や、否定的でネガティブな言葉が好きではないようです。

聴覚過敏や感覚過敏がある歩さん。世界自閉症啓発デー(4月2日)に開催されたノルディックウォーキングのイベントに参加した時の一枚。「ノイズを遮断するためのイヤーマフを付け、長袖が着られず半袖で歩いています」

野田:
それがテレビからの音であったり、家の中で、歩から離れた場所で、私がたとえば妻に「何?聞こえない」という言葉を言っても、同じです。好きではない音や言葉が聞こえると、落ち着きがなくなって、窓を開けて大きい声を出したり、外に出て寝っ転がったりすることがあります。

──そうなんですね。

野田:
本人が楽しんでいる時ならいいですが、外出時は、できるだけ本人が好まないような音がありそうな場所は避けますし、いろいろな人がいる空間にしばらく身を置く外食もなかなか難しく、どうしても行動範囲が狭くなってしまうところがあります。
感覚過敏もあって、靴下を履きませんし、長袖も着ません。北海道なので冬はとても寒いですが、どれだけ吹雪いても年中Tシャツで、裸足で生活しています。

「天人峡温泉へドライブに行った時の写真です。3月下旬ですがまだ雪が残っており、気温はかなり低いですが、感覚過敏のため長袖を着ることができず、冬でも半袖にダウンベストです。ちなみに写真は、ハリーポッターの魔法の杖を持ち、廃業したホテルを魔法でなおそうとしている様子です」

野田:
とはいえ、聴覚過敏や知覚過敏があるからずっと家にいたいとか、人と交流したくないということはなくて、本人は人が好きで、人と関わりたくてうずうずしています。

自宅の前が通学路なのですが、朝の通学時間、家の前を通る中学生の子たちに「おはようございます」と挨拶したくて仕方ない(笑)。
関わりのある事業所さんの家族会が、毎年春にウォーキングを開催されているのですが、歩は歩くのはそんなに好きではないようですが、同世代の人たちと関われるのが嬉しいようで、毎回参加したがりますし、行くと喜んでいますね。

家庭内アルバイトで、歩道の花壇に花を植える仕事をしている歩さん。「買いたい物があり、お給料を貯めるため一生懸命頑張っています」

「危害を加えたいわけじゃない。
広い心で見守って」

一人乗りカヤックを楽しむ歩さん。「私の趣味に付き合って小学生の頃から乗っているので、結構上手に漕いでいます」

──普段はどのように過ごしていらっしゃるのですか。

野田:
平日は生活介護事業所に通っています。
週末は、将来的にグループホームで生活することを見越して、住んでいるところから70kmほど離れた札幌まで出て、外泊支援をしている事業所を利用しています。

「YouTube動画の好きなワンシーンを、自分でプリントアウトして集めるのが好きです。毎日、大量にプリントしています」

──札幌まで出られているんですね。

野田:
はい。近くにはそういったサービスがないので…。
支援を受けながらも自立して、人間らしい、楽しい生活を送ってほしいという願いは、歩が幼い頃からずっとありますが、なかなか実現が難しい現実があります。

地方になるとどうしても、自閉症支援のスタンダードが遅れていると感じます。時代は少しずつ変わっていますが、地方では今でも、情報も資源もない中で、親が行動を起こさないと何も前に進まないというひと昔前の風潮が、まだまだ残っているように思います。

2002年、家族旅行で東京ディズニーリゾートへ行った時の一枚。「右が兄の遥(8歳)、左が歩(6歳)です。歩は、当時大好きだった『しまじろう』を手に持っています」

──読者の方に、メッセージをお願いします。

野田:
「自閉症の人はルーティンが必要だ」など決めつけがちですが、確かに見通しがつかない、わからないことは苦手ですが、苦手なだけであって、実は僕らと同じで、新しいことも求めているんだよとお伝えしたいです。

歩さんの好きなテレビゲームで使用できるフィギア。「コントローラーにかざすとゲーム内でも使えるようになるフィギアですが、ゲームでは使ったことがなく、本人は、集めることにこだわりがありました。新しいキャラクターが出ると情報をキャッチして、買いに行きたがります」

野田:
本人の心が落ち着いて安定していれば、心のキャパシティは広がります。心の余裕を持つことができれば、外の世界からいろんなものを取り込んだり、新しいものを受け入れたりしやすくなります。安定した状態で、一つひとつステップを踏ませてあげられたら良いのかなと思います。

街中で、奇声をあげたり、突発的な行動をしたりする場に遭遇することがあるかもしれません。でもそれは、困っているからの行動であって、他人に危害を与えたいわけではないということも知っていただけたらと思います。迷惑はかけるかもしれないけれど、危害を加えるわけではないので、広い心で見守っていただけたら嬉しいです。

家族旅行の宿泊施設での一コマ。「普段使っているiPad、パソコン、ゲーム機などを持ち込み、普段と同じような環境を作りながら、大好きな旅行を楽しんでいます」

「おしゃべりが好き」。
徳島の大河さん

もうお一人、徳島県自閉症協会会長の島優子(しま・ゆうこ)さんにお話を伺いました。
息子の大河(たいが)さん(24)は普段、生活介護に通いながら、同事業所内にある就労継続支援B型の作業を手伝っています。

島さんと息子の大河さん。「6年前、新車購入後の1か月点検で訪れた自動車ディーラー店で撮った写真です。どうしてここで写真を撮ったのか思い出せませんが、いつも2人で行動しているため、写真を撮る時は被写体が息子だけになってしまい、一緒に写った写真はとても少ないです」

島:
生活介護は日課が比較的緩やかで、本人は日中、体力を持て余すこともあって、スチールとアルミの線が合わさった高圧送電線(アルミ鋼芯線)をほぐして仕分けるという同事業所内にあるリサイクル班(就労継続支援B型)の作業を手伝っています。硬いアルミ鋼芯線にドライバーをこじ入れてほぐすというかなり力のいる作業なのですが、ダイナミックな動きが得意で、コツを覚えてしっかりやっています。

就労継続支援B型の担当者からも「ぜひうちに来て」と声をかけていただくのですが、一人っ子で他にきょうだいや近い親戚もおらず、親亡き後、ゆくゆく施設に入所することを考えると、まずは生活の基盤を作るために、親の都合で申し訳ないとは思いますが、生活介護を続けています。

通所の道中、近所の猫に話しかける大河さん。「送迎バスが近所の停留所まで来てくれるので、毎朝、停留所まで一緒に歩いています。近所の家で飼っている黒猫のクロちゃんに話しかけるのが毎朝の日課で、雨で外にいない時は、ちょっと寂しそうな足取りになってしまいます」

──普段の生活では、どんな会話をしていらっしゃるのですか。

島:
簡単な二語文などであれば理解できますし、口に麻痺があるために話すのはあまり明瞭ではありませんが、本人はおしゃべりが好きです。「今日は作業所で誰々さんが誰々さんに叱られていた」とか「今日は誰々さんが自販機ですごくたくさんジュースを買っていて、あんなにたくさんジュースを飲んだら体に悪いから、お茶にしたほうがいいと言っておいた」とか(笑)、当たりさわりのない会話ですが、積極的に話してくれます。

ただ、初めて会う人が息子の話の内容を理解したり、本人から聞きたいことを聞き出せたりするかというと、それは少し難しいです。
私との会話は、ある程度こちらが状況を想像しながら、具体的に「この時にどこに居たん?」「こうだったん?」と、細かく質問をする感じです。その時々で本人の機嫌が態度にも出るので、それを見て質問を投げかけることもあります。

鍋料理を作る大河さん(写真左)。「『美味しい』の言葉は、息子にとって原動力となり、『また作りたい』につながっています。作りたい料理はネットで検索。検索は熟練しており、お目当ての情報(スフレの作り方)を探し出したところです(写真右上)」。てんかんのある大河さん。「てんかん薬は、1回分ずつポケットへ入れて、自己管理しています(写真右下)」

「愛嬌があれば、きっと愛されて生きていける」

「ある日、捕獲したマムシを焼酎に浸けるためペットボトルに入れて持ち帰ったところ、マムシの一挙一動が気になってしょうがない様子。ペットボトルの中で登っては落ちるマムシを熱心に見ているくせに、よく見えるようにとペットボトルを息子の近くへ持っていくと、慌てて逃げるので面白かったです」

──家ではどんなふうに過ごされているのですか。

島:
おしゃべりが好きなので、一緒に話したり、ぬいぐるみが好きで、ぬいぐるみ遊びをしたりしています。
休みの日は、一緒に外出することが多いです。自閉症協会の他にも障害者の家族会やてんかんの会などに入っているので、集まりや行事に一緒に参加したり、何もない時は一緒に買い物に出かけて、100円ショップで動物や魚のシールを買ってきて、柵や水槽の絵を描いたノートに貼って遊んだり。シールのノートはもう何冊もあります。

シールブックにシールを貼る大河さん。「選ぶシールは生き物が主で、同種は向かい合うかたちで貼っています。生き物たちは種類に関わらず、みな仲良しで、お喋りしたり遊んだりしているそうです。水族館や動物園などを模した作品もあり、作品展へも出品したりしています」

島:
私は狩猟をするのですが、狩猟仲間の寄り合いにも一緒に行きます。仲間のおじさんたちにも大事にしてもらって、本人も楽しそうです。

──ええ!そうなんですね。

島:
交流範囲を広げることは、ずっと意識してきました。いろいろな人と出会って話をすることは、本人にとってすごく良い経験ですし、私がいなくなった後も、息子のことを知ってくれている人がたくさんいる地域の中で生きていってほしいと思っています。今も、そのために交流を広げている途中です。

「巻き狩り猟では、獲物の逃げ道に配置される『タツ』役である私に同伴し、『勢子』が追い立てたイノシシやシカが逃げてくるのを一緒にじっと待ちます。猟仲間のおじいさんたちには『また来いよ』と大事にされ、猟犬からも子犬のような扱いを受けて、居心地は良さそうです」

島:
「自閉症のある子は何を考えているかわからない」とか「自閉症のある子は人の心がわからない」というふうに言われることがありますが、周りから「関わりたいな」「助けてあげたいな」と思ってもらえる子に育ってほしいと思っていました。
愛嬌があれば、きっと愛されて生きていけるだろうと思ったので、とにかく一緒にでかけて、たくさんの人と会い、さまざまな経験をさせました。

そしてまた、人と関わる私自身の姿を見せるようにしました。周りのことを気にかけて、笑顔でやりとりをする姿を見せながら「周りの人とはこういうふうに関わるんだな」ということを感じてもらいつつ、同時に「周りからも気にかけてもらう」経験をたくさんしてもらいました。

「クリスマス会では毎年トナカイ役です。衣装をサンタと一緒の控室で着替えるため、他の子にサンタの正体がバレてしまわないようにと引き受けているようです(笑)。バーベキューなどのイベントでも、率先してお手伝いしています」

島:
たとえば何かの集まりに参加した時に、息子に「お茶を入れてきて」というと、皆のお茶をいれて配ってくれるのですが、そうして皆さんから「ありがとう」と言われると、本人も嬉しくて、次もまた皆のためにお茶をいれたいんです。
誰かの荷物を持ってあげて、「ありがとう」と言われると、それが嬉しくて、また持ってあげたい。そうやって少しずつ、人と関わること、できる範囲でお手伝いをすることの楽しさを経験してもらいました。

結果、息子も人のことが大好きになり、「相手のために役に立ちたい」という気持ちも育っていったし、そうなることで、私の心にも余裕ができました。

「四国の霊場巡礼に訪れた、イタリアの自閉症の当事者団体に同行しました。お互い言語も解らず…というか言葉のない者同士、旧知の友のように仲良くなっていました。積極的にどこにでも溶け込めるというのは、愛嬌ゆえの才能ですね」

「いつまでこれを続けるんだろう」。
仕事との両立に、うつになった時期も

幼い頃の大河さん。「小学校の特別支援学級では、画像や動画で学校生活の様子を伝えてくれました。5歳の時に参加したトーチランでは、トーチを持って走りました。今の知識や経験をすべて持ったままあの頃に戻れるなら、また戻って、療育をやり直してみたいと思うこともあります」

──優子さんが思い入れを持って大河さんを育てられたのが伝わります。子育ては大変ではありませんでしたか。

島:
大変でした。うつになり、息子が保育所年長クラスの頃から7年間、服薬していたこともありました。
フルタイムで働き、残業もこなしながら、それでも毎晩、家に帰って2時間、息子の療育をしていました。自分の時間が全くなくて、それがきつかったんだと思います。

──そうだったんですね。

島:
職場から保育所に息子を迎えに行って、息子を連れてまた職場に戻り、残業を続けることもありました。将来が見えない不安の中、息子をしっかり育てたいと思って、「自閉症のある子をこう育てれば良い」というロールモデルを参考に、毎晩療育をしていました。
でも、ロールモデルと自分の子育てを比較し、できていないことばかりに目が向いて、自分に幻滅して…、その繰り返しでした。

「幼い頃から、休みの日には、散歩で近くの海まで花を摘みながら歩いたり、秋なら椎の実を拾いに行ったり、四国霊場巡りをしたり、ウォーキング大会へ参加したり…。たくさん歩くことで、体幹も鍛えられました」

──しんどかったですね。毎晩療育をされていたんですか。

島:
毎晩、帰宅後に息子と膝を突き合わせて、2時間ぐらいやっていました。1から100までの数字を並べたり、あいうえおの文字を並べたり…。それが終わってやっと晩ごはん、という生活でした。

あと、息子は体幹のバランスが悪くてよく転んでいたので、鍛えるために、休みの日は朝から一緒に歩いたり。本人の学校と私の仕事以外、とにかくずっと一緒にいて、その間は、常に関わることを心がけていました。今はようしませんけど…、私も若かったので、体力もあってできたことだと思います。

──振り返って、いちばんしんどかったことはどんなことでしょうか。

島:
息子が子どもだった頃は、車が走っている道路に飛び出したり、ちょっと目を離した隙にいなくなったりするので、常に手首を、抜けないようにガシっとつかんでおかないといけませんでした。そうすると私の片手も塞がっているので、たとえば買い物に行った時に、お財布からお金を出して払ったり荷物を入れたりするのも片手でしかできなくて、それはしんどかったです。本当に、毎日が目の前のことでいっぱいいっぱいでした。

しなければならないことがたくさんあって、そこから逃げられなかったこともしんどかった。毎晩療育をしながら、他の余裕が全くない状態で「いつまでこれを続けるんだろう」と思っていた時は、つらかったです。

「猫のぬいぐるみは、いつだったかのクリスマスで、サンタさんにもらったプレゼントです。きょうだいのいない息子にとっては妹のような存在で、家ではいつも一緒です。遊んだり、話しかけたり、一緒に寝たり、旅行に行くときも必ず持っていきます。猫に限らず、柔らかいぬいぐるみは大好きです」

「人の中で、温かな最期を迎えてほしい」

「障害があるからと行動を制限するのではなく、どんどん社会に出ていろんな人と出会い、多くの経験をしてほしい。いろんな思い出を集めて、喜怒哀楽を味わってほしいと願っています」。写真右上は成人式での一枚。右下は2022年10月、第27回日本自閉症協会全国大会佐賀大会の懇親会にて、日本自閉症協会会長の市川さんと

島:
一方で、息子が自閉症であることで、さまざまな人と知り合うことができたし、一般的な常識からは外れた行動をする息子といることで、自分だけでは持ち得なかった、新たな視点を得ることができました。

息子以外にも、相手の気持ちや、「なぜその行動をしているのか」ということに思いが馳せられるようになりました。言動だけを見て判断するのではなく、もっと深いところを見られるようになったり、そこから相手に興味を持てるようになったことは、すごくよかったと思っています。

徳島自閉症協会の皆さんと。「協会では、剣山登山や、芋の植え付けと収穫体験などをしています。息子は体力があるので、以前は登山の時に私の手を引いて登ってくれていましたが、最近では先頭集団と一緒にさっさと登っていくので、成長は頼もしく思うものの、ちょっと寂しい気持ちです」

──優子さんにとって、大河さんはどんな存在ですか。

島:
本来であれば別の個性として尊重しないといけない存在なんでしょうが、ずっと一緒に生きてきて、私にとっては、体の一部のような存在です。
息子を通じて周りが見えてくるというか、周りの見え方が豊かになっていく感じがあって、恩恵を受けているなと感じます。

──大河さんって、素敵な名前ですよね。

島:
大河のように、ゆったりとおおらかに人生を歩んでほしい。あくせくしないで、心にゆとりを持って生きてほしいという望みを抱いてつけた名前です。大変なこともありましたが、名前の通り、本当に心穏やかでやさしい、いろんな場所で皆さんにかわいがってもらう、人気者です。

「秋田県で開催された障害教育に関する大会に参加した時の写真です。休日の宿泊を伴う外出は、息子を同伴させます。障害福祉に関係した各種大会への参加で、これまでに母子で訪れた都道府県は21にもなります。旅行を通じてマナーを覚え、他の参加者からも褒められるので自信につながっています」

──大河さんに、どんなふうに生きていってほしいですか。

島:
人の中で、楽しく生きていってほしいと思っています。一人が好きという方もいるかもしれませんが、息子にとっては、人と共に生きられることが、いちばん楽しいんじゃないかな。
親として彼の最期を看取ることはできないでしょうし、他にきょうだいや親戚もいません。でも皆から好かれる存在で、人の中で、温かな最期を迎えてほしい。「幸せだったな」と思える一生を送ってほしいです。

──読者の方に、メッセージはありますか。

島:
どんな人にも、好きな人とそうではない人がいるのは当たり前です。「障がい者だから特別」とか「障がいがあるから仲良くして」とも思いません。でももし、少しでも興味を持ってもらえたら、コミュニケーションを諦めないで、その興味を持続させてもらえたら嬉しいです。

「こんな子無理や」って思ったら、もうそれ以上はありません。だけど「どうしてこうしているのかな」とか「何かあったのかな」と、興味を持ってコミュニケーションの扉を開き続けてもらえたら。きっとその先に、豊かな交流や、新たな視点が生まれると思います。

「松山(愛媛)に遊びに行った時の写真です。観光地へ行っても、大抵は息子を被写体に私が撮影しているので、これからは一緒のところを他の人に撮ってもらうようにしようと思いました。息子1人の写真でも眺めていられますが、やっぱり一緒のほうがいいですね」

チャリティーは、自閉症の啓発のために活用されます!

日本自閉症協会会長の市川さん(写真右)と事務局長の樋口さん(写真左)。今回のコラボデザインTシャツを身につけてくださっています!

今回のコラボアイテムをご購入いただくと、1アイテムにつき700円が日本自閉症協会さんへとチャリティーされ、公共の場などで自閉症のある人が温かく接してもらえるよう、自閉症(自閉スペクトラム症)への一般の方たちの理解を促すための動画や、自閉症のある子をもつ親御さんに向けて、身辺の自立など生活習慣を身につけるための動画など、正しい知識を広く伝える動画の制作費として活用されます!

ぜひ、チャリティーアイテムで応援してくださいね!

・日本自閉症協会 ホームページはこちらから

今回のコラボデザインTシャツを身につけてくださった、日本自閉症協会のスタッフの皆さん!背景は啓発デーのポスター。「皆さんで啓発デーを盛り上げましょう!」

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さまざまなモチーフで作られた円を描き、多様性を表現しました。
それぞれに違いを受け入れ、認め合いながら、お互いに思い合ってまあるく生きる、豊かな社会を表現しています。

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JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
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Let’s 拡散でチャリティーを盛り上げよう!
(広告宣伝費として支援し、予算に達し次第終了となります。)