CHARITY FOR

住まい探しに困難を抱える女性を支援。安心できる住まいとつながりの中で、生きる力を取り戻す〜NPO法人LivEQuality HUB

夫からのDVなどで家を出たいけれど、新しい住まいが見つからない。新しい住まいを見つけたくても、保証人や初期費用などのハードルが高い…。

住まいの悩みを抱えるシングルマザーに対し、安全で快適な住まいを提供しながら、NPOとして「つながり」を届けるNPO法人「LivEQuality HUB」が今週のチャリティー先。

代表の岡本拓也(おかもと・たくや)さん(46)は、社長を務める「千年建設」株式会社の物件を、希望するシングルマザー世帯に柔軟な契約条件で提供し、一方でNPO法人を立ち上げ、困りごとを抱えた女性が、前向きな気持ちで再出発できるようにと、他団体や他機関と協力して、「つながり」を届けています。

「ビジネスかソーシャルかに振り切るのではなく、どちらも諦めず、両方をうまくつなぎ活用しながら、支援が必要な人にどこまでも丁寧に伴走するというしくみを、今後もっと広げていきたい」と岡本さん。

岡本さんと、スタッフの藤岡よし乃(ふじおか・よしの)さん(27)にお話を聞きました。

お話を聞かせていただいた岡本さん(写真下段中央)、藤岡さん(写真上段左から二人め)。LivEQuality HUBのスタッフの皆さんと

今週のチャリティー

NPO法人LivEQuality HUB(リブクオリティハブ)

離婚や失業、心や体の病気など、ひとりで悩みを抱え、住まい探しに困っているシングルマザーに対して、地域の支援団体と協力しながら、つながりあふれる住まいを届ける活動をしています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2023/07/24

他団体や他機関とも協力し
「安心安全な住まい」を提供

住まい探しに困っているシングルマザーに案内する「LivEQuality物件」の居室。「最寄り駅から徒歩圏内で子育てと仕事を両立しやすく、日当たり良好で明るいことが特長です。母子家庭限定で家賃値引きをし、初期費用も事情に応じて相談できます」

──今日はよろしくお願いします。最初に、団体のご活動について教えてください。

岡本:
ひとり親の母子に、住まいとつながりを届ける活動をしています。
英語の「Live(生きる)」と「Quality(質)」を組み合わせて「Live Quality」という団体名で活動していますが、実は真ん中に「Equality(平等性)」という言葉が隠れているんです。

「衣食住」といわれるように、誰にとっても「住まい」は、非常に大切なものです。安心安全で、気持ちの良い住まいがあること、そこに温かなつながりがあることで、自分への尊厳や他人への信頼が生まれます。

しくみとしては、NPO法人「LivEQuality HUB」でつながりの部分をサポートしつつ、私が代表を務める「千年(ちとせ)建設」株式会社の方で持っている物件を、必要に応じてお貸ししています。
昨年度は、電話やLINEで130件の相談がありました。そのうちの延べ10世帯が、ご希望がちょうどマッチしたので、持っている物件に入っていただきました。

入居前相談から対応、伴走を行う居住支援コーディネーターの神朋代さんは、自身も2人の娘を育てるシングルマザー。離婚を機に「住む家を追われるかもしれない」状況になった経験を持つ。「相談者が一人で抱え込まないよう、丁寧なヒアリングと必要な支援のコーディネートを行っています」

藤岡:
住まいに関しては、それぞれのご家庭に事情やニーズがあります。住まいに限らず、悩みを伺いつつ、行政や他団体とも協力し、たとえば食糧や教育支援など、必要な支援を届けています。

岡本:
我々だけで抱えないこと、「他機関や他団体との協力」もまた、私たちの活動のポイントです。
外国人支援やDV支援、就労や生活支援…、それぞれの課題に対して、専門性とノウハウを持って活動されているところがあるので、ご家庭の悩みにあわせ、私たちが中途半端に支援するのではなく、適切なところと丁寧に連携しながら、伴走支援をしています。
現在は、活動拠点である名古屋を中心に、70名以上の支援団体・支援機関さん、行政と連携しています。

連携してつながることで、できることが確実に増えます。経済合理性や効率性が求められ、役割が細分化している昨今の社会において、人間関係は希薄になりつつあります。
その中で孤独を感じている人も少なくありません。我々の活動はシングルの母子が対象ではありますが、「人と人とをつなぎ直す」という点で、今の世の中に必要な活動だと思っています。

2022年9月、名古屋市にある婦人科ココカラウィメンズクリニック院長の伊藤加奈子さんを講師に招いた勉強会での集合写真。「『さまざまな女性の悩みと向き合ってきた婦人科医から学ぶ、令和時代のDV支援と子ども・若者支援』と題し、現場の支援の実態からそれを生み出す法・制度上の構造など、参加者も含めて議論を深めました」

住所がないことで、
必要な支援が受けられない

居住者向けに開催したランチパーティの様子。「支援者の方々からいただいた『おすそわけ』を景品にしたビンゴ大会では、子どもたちが大盛り上がりでした」

──これまでにたとえば、どのようなご家庭をご支援されたのでしょうか。

岡本:
外国人のシングルマザーの方で、配偶者からのDV、離婚調停前であるなど、複合的な課題を抱えている方がいました。夫のDVから逃れるために、幼い子どもを二人連れ、親戚の家を頼って他県から来たものの、日本語が流暢ではなく、また住所がないために、行政の窓口では「支援できない」と言われたそうです。

日本では、まず「住所」がないと受けられるはずの支援が受けられないし、保育園に子どもを預けることもできません。子どもが預けられないということは、仕事に出ることもできません。そうすると収入も得られず、家を借りることができません。

定期面談の際に手渡す食品や日用品、児童書などの「おすそわけ」を用意しているところ。「オフィスでの面談の場合は居住者さん本人に好きなものを選んでもらい、家庭訪問の場合は居住支援コーディネーターがそれぞれの好みに合わせて用意します」

岡本:
住まいという観点でいくと、低所得世帯が入ることができる公営住宅がありますが、人気でほとんど入ることができません。住所がないことで、たとえば仕事を見つける、行政の支援を受けるということができない。たまたま新聞で紹介されていた私たちの活動を見た行政の方から「なんとか受け入れてもらえないか」と連絡をいただき、物件に入ってもらったということがありました。

──そうなんですね。

岡本:
とはいえ、住まいだけがあればそれでいいのかというと、そうではありません。
ここからがNPOの出番で、LivEQuality HUBのスタッフが、生活保護申請や保育園入園の手続きなどの同行支援、中古家具屋さんの紹介、外国人の日本語支援団体さんなどにおつなぎしました。

月1回ほどの頻度で実施している定期面談。「雑談をしながら、日々の困りごとや心配ごとを聞き出していきます。お母さんが面談に集中できるよう、面談を担当する居住支援コーディネーター以外のスタッフが、子どもとじっくり遊びます」

「安心安全な住まいがあることが、
人を元気にする」

名古屋市の「市政出前トーク(市の職員の派遣を受け、疑問に答えてもらうことができるという取り組み)」を活用し、2022年12月に実施した生活保護制度に関する勉強会の様子。ひとり親家庭支援、子ども・若者支援等に携わる地域の支援団体のほか、社会福祉協議会、メディア関係者など20組近くが参加した

岡本:
「ハウジングファースト」の考え、まずは安心安全な住まいがあることで、本人は次のステップに進んでいくことができます。しかし、たとえ安全な住まいがあっても、そこで孤立し、孤独でいるとしたら、それは安心安全とはいえません。

DVや虐待から逃げてきている場合、多くの方が、もともとあった人間関係、住んでいた地域の関係を断ち切って知らない場所へ来ているわけで、新しく来た土地では、つながりが何もありません。自分から積極的に輪に加わることができる方であれば良いですが、子どもとの生活があって、収入の不安もあるような状態で、果たしてそのような心の余裕を持てるでしょうか。

外国人居住者の子どもへの日本語教室の様子。「先生は、同じ愛知で活動する、外国人児童生徒の学習言語の習得を応援する会・NPO法人にわとりの会の丹羽さんです」

岡本:
実は私も最初は、「気持ちの良い住まいを用意すれば、前向きに自立に向かっていけるのではないか」と思っていました。でも、それだけではなかった。たまに来て「元気?」って声をかけてくれたりお茶を飲みに来たり、お菓子を持ってきてくれたりする人がいること、自分のことを気にかけてくれる、見知った存在があるということが、人を元気にするのだと痛感し、「つながり」の大切さを改めて感じました。

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2022年10月、弁護士の森上未紗さんを講師に招いた勉強会での集合写真。「『名古屋で離婚を迎える母子が必要とする法律と地域のサポートとは?』をテーマに、実際の支援ケースも踏まえながら、支援者が法律のサポートとどのように付き合い、連携していくべきか対話を深めました」

「一人ひとりの変化に立ち会える喜び」

「寄付者からいただいて、3月に初めてランドセルを手にした新入学のお子さん。ランドセルを背負って大喜びで走り回るお子さんに、スタッフ皆で『入学おめでとう』とお祝いした日のことは、とても印象に残っています」

藤岡:
関わっているご家庭へ、定期的に面談を実施していますが、かしこまったものではなく、「食料品を持っていくね」とか「日用品で必要なものはある?」という感じでコミュニケーションをとりながらお伺いして、生活基盤の安定に向けて、雑談の中から課題やニーズがあれば、たとえば就労支援やお子さんの教育支援など、必要な支援先へとおつなぎしています。

岡本:
手前味噌ですが、総じてすごくいい事業をしていると思っています。
なぜなら、支援した皆さんがものすごく変わるから。親御さんもお子さんもすごく不安な状況の中、行政の窓口や不動産屋さんへ行っても邪険に扱われたりして、どうしたらいいのかと途方に暮れていた中で、「やっと丁寧に話を聞いてもらえた」と。

「居住者が住み始め、最初はこわばっていた顔が笑顔になっていくのを見て、『この事業を始めてよかった』と心から思いました」

岡本:
安心安全な、まずは物件としての住まいを提供するということ自体、行政としてもなかなかできない、難しい部分です。民間のNPOとしてそこに取り組みつつ、さらに行政や他団体さんとの間をつなぎ、統合しながら「つながり」も提供するということ。ひとつの企業やセクター、団体だけではなし得ないことに皆で取り組めているのは、すごく意味のあることだと思っています。

──確かに。

岡本:
ビジネスかソーシャルか、どちらか片方に振り切るのではなく、どちらも諦めず、両方をうまくつなぎ活用しながら、支援が必要な人にどこまでも丁寧に伴走するというしくみが、今後もっともっと広がっていくといいなと思います。

──やっていてよかったと感じるのはどんな時ですか?

岡本:
気持ちの良い住まいにご案内した時に、お母さんが「私たち、本当にここに住んで良いんですか」とほっとした表情を浮かべられるんです。まず入り口として、安心安全な住まいを提供できているということを感じられた時は、本当によかったと思いますね。

名古屋市の母子世帯を対象に、認定NPO法人「おてらおやつクラブ」と共催で開催した「こどもえんにち」。「地域の支援団体・機関の方々、民生委員、大学生、研究者等まで、様々な人に関わっていただいて開催することができました」

岡本:
一人ひとりの変化に立ち会えている喜びは、それを見るたびに感じます。
大変ではあるけれど、ベースとして安心安全な住まいがあれば、自立していきたいという思いが芽生えていく。ご本人たちが元気になっていく姿は、支援する側・される側を超えて、こちらもエンパワーされます。
子どもは特に変化がはやくて、久々に会うと衝撃を受けるぐらいびっくりしますね(笑)。出会った頃は、話すことも笑うこともなかった子どもが、いきなりフレンドリーに話しかけてくれて驚いたり。

その人たちの「成長」というと語弊があるかもしれませんが、ポジティブな変化に立ち会えていること、それは安心安全な住まいと、スタッフや他の団体の皆さんの存在がなければ起きなかったことかもしれないと思うと、とても感動します。
「リブクオリティがあったことで、人とつながり直すことができた」とおっしゃっていただくのですが、それこそが本当に大きなことだと感じています。

──藤岡さんはいかがですか。

藤岡:
先日、愛知県在住の母子家庭へアンケート調査を行ったのですが、月々の手取りから家賃を引いた金額が5万円未満の方が、全体の3割ほどいらっしゃいました。毎月の家賃はやはり大きな負担で、私たちの物件に住まれる方も違うところで見つける方もいますが、できるだけ家賃を抑えた場所が見つかると、やっていてよかったと思います。

あとはやはり、皆さんの変化です。
この活動を始めて2年ほどになりますが、初期の頃に出会った方たちの生活が少しずつ安定してきており、そうすると、新しく来られた方のサポートをしてくださるんです。つながりを「受け取る側」から、「届ける側」に変わっていくんですよね。

元居住者の「まめきち」さん。2022年、LivEQuality物件に入居したまめきちさんは、コロナ禍により夫のDVが悪化したため離婚を決意、住まい探しをした際にLivEQualityと出会い、物件に入居。その後より広く、条件に合った物件を見つけ、LivEQuality物件を卒業。
「まめきちさんにインタビューをしたところ、こんな話をしてくれました。『ここに住むことが決まってから、より精神的に安定しました。子どもと二人で住めるお家があるんだ、ここでつながってくれる人、相談できる人がいるんだっていうことがとても大きかったです。光が差したというとオーバーですけど、ちょっとトンネルの向こうが見えたかな、みたいな。住まいが決まったことでトンネルの向こうが見えかけたから、簿記の勉強がはかどりました。住まいがなかったら、生活してかなきゃいけないという気持ちが持てたかどうかも…モチベーションがあったかも分かんないけど、住めるから家賃を払わなきゃという気持ちになった時に、勉強が頑張れたというか。ずっと下向いてたら勉強もできないから。前を向けたから、勉強もできたかなっていう」

「仲間と一緒に、より良い社会を」

バックパッカーで各国を回っていた学生時代の岡本さん。「バックパックを通して、様々な価値観を持った人たちと出会うとともに、今後の自分の人生の軸になる「ソーシャルビジネス」に出会いました」

──ビジネスとソーシャルのハイブリッドのご活動の根本に、岡本さんの「社会のため」「誰かのため」という強い信念があると思うのですが、それはなぜでしょうか。

岡本:
自分のためだけに何かをやって、自分のためだけに財産を築いても、果たしてそれを幸せと呼べるでしょうか。

僕はもともと大阪の西成区の生まれで、もしかしたら、そういう地域で生まれたこともあるかもしれません。自分ではあまり記憶していないのですが、弱い立場の人を放っておけなかった子どもだったようで、当時、親は何人かの親御さんから「子どもをいじめから助けてくれてありがとう」と言われたことがあったみたいです。

──建設会社をやりながら、NPOを立ち上げられた経緯を教えてください。

岡本:
小さい頃から国連で働くことに憧れがあって、大学時代に1年休学し、バックパッカーをして海外30カ国以上を周りました。バングラディシュでマイクロクレジット(※)に出会い、ビジネスを用いて課題を解決するしくみに感銘を受けました。

(※)マイクロクレジット…失業や未就職などで貧困状態にある人に対し、無担保で少額の融資を行うこと。

「これがやりたい!」と思い、会計士になってビジネスを学んだ後、自分のビジネスの専門性を活かしつつ、ソーシャルの世界にどっぷり身を置いていましたが、2018年に建設会社をしていた父が急逝し、悩み抜いた挙げ句、後を継ぐことを決意しました。

世の中のおかしいと思うことに対して、ビジネスとソーシャルを使って解決を目指すプロセスそのものが好きだし、それが僕のやりたいことでもあるので、LivEQuality HUBをスタートしました。

──そうだったんですね。

岡本:
僕らの世代は80、90まで生きますが、とはいえもしかしたら明日死ぬかもしれません。
スティーブ・ジョブズの名言ではないですが、人生は有限であって、今日がもし人生最後の日だとしたらどう生きるのか、本当に自分がやりたいことができているのかと。

日中起きて活動している、一番良い時間を仕事に使っているとしたら、自分が心から大事と思えることにエネルギーを傾け、誠実に生きること。それが自分の人生を輝かせるし、この世に生まれてきた意味にもつながると思っています。

とはいえ、一人でできることには限りがあります。仲間たちと一緒に、社会に貢献していきたいという強い思いがあります。

2022年8月、日本に「コミュニティナース」の活動を広めてきたCommunity Nurse Company株式会社代表取締役の矢田明子さんをゲストに招いた勉強会での集合写真。「コミュニティナースin東海の方々と、LivEQuality HUBと連携する団体・機関の方々とが交流し、まちに暮らすの困りごとを見つけ、地域で解決していくための協働の在り方について、理解を深めました」

──「仲間と」というのも、岡本さんの中で大きなキーワードなのですね。

岡本:
アフリカのことわざで「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいなら皆で行け」というものがあります。なぜかは自分でもよくわからないのですが、昔からずっと仲間と一緒に、本気で取り組むのが好きです。

世の中にある多くの問題の根本は、「関係性の質」であると思っています。
まずは自分の身の回りの関係性を見つめた時、身近な人や社会との関わりの中に、大事なものが隠れているので、それを見過ごさずに、自分ができることを諦めずにいたいです。

とはいえ、無力感に苛まれることもあります。
これまでに住居を含めてご支援した世帯は十数世帯で、それだけ助けることができたとも言えますが、まだまだ自分がやりたいことと、今の自分ができることのスケール感にギャップがあるというのが正直なところです。
でも、無力だなあという気持ちにとらわれていては何もできなくなってしまう。「まだまだやれる」と諦めず、自分ができることを広げていくことにフォーカスしています。それが僕の喜びでもあるから。

自分の好きなことを仲間とできていることはギフトなので、このギフトを世の中に返しながら、社会をもっとよくできたらいいなと思っています。

「こどもえんにち」の様子。「大道芸、紙芝居、射的、アート体験など、子どもたちに思いっきり楽しんでもらえるような遊びや体験のほか、お母さん向けの相談ブースも用意しました。当日は100人以上の方にご来場いただきました」

信じ、挑戦できる循環を

2022年4月、認定NPO法人フローレンス会長の駒崎弘樹さんをゲストに迎えて開催した勉強会での集合写真。「”『普通の私たち』が社会を変える方法”と題した対談セッションを行いました。地域の支援団体・機関の方々を初め、市議会議員、県議会議員、メディア関係者、プロレスラーなど、幅広く参加いただき、対話を深めました」

──お話をお伺いしていて、ご自身の、社会の、また誰かの、さまざまな「可能性」に取り組んでおられると感じました。岡本さんにとって可能性とは?

岡本:
「信じる気持ち」でしょうか。
おもしろい話があって、ノミはすごくジャンプしますよね。あれは人間にすると300メートルぐらいのジャンプなのだそうです。

ただ、ノミを30センチぐらいの箱に入れてしばらく置いておくとそのぐらいしかジャンプしなくなるんだそうです。それをもう一度、300メートルジャンプさせる簡単な方法があるというのですが、何かわかりますか?

──ええー、わかりません。箱を外す、ですか?

岡本:
箱を外しても、30センチしかジャンプできないんです。その時にどうしたらいいか。

…答えは、「300メートルジャンプできるノミと一緒にする」ことです。
人の可能性は青天井で、実は果てしなくずっとずっと広がっている。そこに制限をかけているのはその人自身で、そうではないと気づいた時、人は挑戦できるんだと思います。

「面談の際、雑談の中でポロッと『物価高騰で生活が苦しく、食品を買い控えている』『子どもの学校用品を買う余裕がない』と居住者さんから聞くこともしばしばです。『居住者さんにとって今、必要なもの』をメインに、Amazonほしいものリストを掲載しています。メールマガジンなどで呼びかけると、たくさんの方が『おすそわけ』くださり、支えられていることを実感します」

岡本:
人は毎日、ものすごい数の意思決定をして生きています。さまざまな外的な要因から、「自分にはできない」「私にはその価値がない」と制限をかけてしまっている方が、もう一度自分を信じて挑戦したくなるような環境があること。僕がやりたいのはそういうことです。

さらに人は、ノミとちがってコミュニケーションをとれるわけですよね。「君ならできるよ」って言い合って、背中を押し合える。「これをやろうって言っちゃったから、やらないとな」とか「自分もサボっていられないな」と、お互いにエンパワメントする関係性や循環が、ここからどんどん生まれていくといいなと思っています。

「こどもえんにち」の運営スタッフ・出展者・ボランティアの皆さんの集合写真。「さまざまな方々と一緒に、自分たちも楽しみながら、シングルマザーと子どもたちの文化体験、地域の繋がり作りのためのイベントを作りあげました」

チャリティーは、シングルマザー家庭に食事や思い出を届けるために活用されます!

2023年3月、認定NPO法人おてらおやつクラブ代表の松島靖朗さんをゲストに開催した勉強会「『たよってうれしい、たよられてうれしい。』を奈良から全国に広げるまでの軌跡」での集合写真

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

藤岡:
これから夏休みに入ってきますが、お子さんが家にいて給食もない期間が続くと、気持ちや経済的に余裕がないご家庭の場合、負担につながってしまうことがあります。

チャリティーは、シングルマザーのご家庭に休みの期間中、食事を提供するための食費として、また休みの楽しい思い出として、おでかけのイベントなども今後届けられたらいいなと思っているので、そういった活動の資金として活用させていただく予定です。ぜひアイテムで応援いただけたら嬉しいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

2022年5月、事務局メンバーと理事の皆さんで、団体副代表の宮崎真理子さんの誕生日を祝った時の集合写真

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

しんどいことがあった時、いやなことがあった時、あるいは嬉しいことがあった時。
心からほっとできて、飾らないありのままを受け入れてくれる場所があるからこそ、「よし、またがんばろう!」と思えます。それが人をあたたかく、強くしてくれるのだなと、お二人のお話を聞きながら改めて感じました。時に肩を叩き合ったり抱き合ったりしながら、誰もが、尊い今日を歩んでいけるといいなと思います。

・LivEQuality HUB ホームページはこちらから

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【2023/7/24~30の1週間限定販売】
広がる気持ちの良い芝生の上で、思い思いにくつろぐ動物たちを描きました。
LivEQualityさんの活動とネットワークを通じて、ここでほっと一息、心から安心と安全を感じ、希望を見出し、生きる力を取り戻していく様子を表現するとともに、同じ志を持った仲間たちが、支援する側・される側を超えて、互いに影響し合い、豊かになる社会を表現しました。

“Today is a bright new day filled with possibilities“、「今日は可能性に満ちあふれた、輝く新しい日」というメッセージを添えています。

チャリティーアイテム一覧はこちら!

JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
今週コラボ中のアイテムはこちらから、過去のコラボ団体一覧はこちらからご覧いただけます!

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(広告宣伝費として支援し、予算に達し次第終了となります。)