内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、日本の総人口1億2550万人に対し、65歳以上が占める割合は28.9%。
今後、人口の減少が進む中で、高齢者の割合は増え続け、令和18年には国民の3人に1人が65歳以上になるとのこと。その後も高齢化はどんどん進んでいくと推計されています。
私たちにとって高齢化や高齢者はこれまで以上に身近になっていくでしょう。その時に「介護」は切っても切れないものですが、「介護」と聞いて、皆さんどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
楽しい!ワクワク!といったポジティブなイメージを抱く方は、そんなに多くないのではないかと思います。また、介護者による高齢者への虐待のニュースも後を絶ちません。
超高齢化社会を迎える将来を見据えて、「いきいきと自分らしく介護をする介護者を増やし、地域のつなぎ役として、子どもからお年寄りまで豊かに生きられる社会を目指したい」と活動するNPO法人「未来をつくるkaigoカフェ」(以下「kaigoカフェ」)が今週のチャリティー先。
Kaigoカフェを立ち上げた代表の高瀬比左子(たかせ・ひさこ)さんは、高齢者介護の仕事の中で、介護をしている意味やモチベーションを見失いかけた時があったといいます。
「介護に関わる一人ひとりが自分らしさを発揮して、いきいきと輝くことができれば、ケアする側だけでなく、ケアされる側の高齢者も、いきいきと輝くことができる」と話す高瀬さん。活動について、お話を聞きました。
お話をお伺いした高瀬さん
NPO法人未来をつくるkaigoカフェ
介護に関わる人々が思いを語り、学ぶ「対話の場」である「kaigoカフェ」を通じて、介護がもっと身近になり、誰もが自分らしく豊かに生きられる社会のために活動しています。
INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2023/5/15
各地で開催されているkaigoカフェ。写真は「ケア職の未来の働き方」をテーマに対話したカフェの様子。今の働き方を見直し、これからどんな働きかたをしていきたいか?を対話した
──kaigoカフェについて教えてください。
高瀬:
主に高齢者の介護に関わる方たちのためのカフェです。2012年に初開催し、昨年で10周年を迎えました。
当時、介護職として働いていた私自身が、現場での対話不足や未来のビジョンが描けずに立ち往生していて、職場や業界を超えて外の世界の人と出会うことで視野を広げ、対話力を磨きたいと思ったことが、カフェ開催のきっかけでした。
開催を重ねるごとに、参加者の数はどんどん膨らんでいきました。定員100人が1日も経たずに予約の申し込みでいっぱいになる状態が何年か続き、「このような場所を必要としている人が、こんなにもいたんだ」と感じました。また、東京での開催に、わざわざ遠方から足を運ばれる方もいて、自分での開催には限界がありますし、各地でカフェ開催ができるようにと、2016年にはファシリテーションやkaigoカフェ運営のコツを学んでいただく「kaigoカフェファシリテーター講座」も始めました。
これまでに1200名以上の方が受講してくださり、全国に50のkaigoカフェが立ち上がっています。
各地のkaigoカフェ。写真は「船橋いきいきcafe縁」(千葉県)。「福祉の仕事に携わる仲間たちが、お互いを尊重し、語り合い、学び合い、笑顔で活き活きできる仲間づくりの場としてスタートしました。 専門職だけではなく、学生や地域の方ともつながれる場づくりを目指しています」
──すごいですね。
高瀬:
コロナになってからは、外部との接触が難しかったのもあって、オンラインで開催を続けてきましたが、リアルな場の大切さを強く感じています。
コロナ禍に、介護現場で働く人たちは、その孤立をさらに深めたようなところがあると感じています。コロナも少しずつ落ち着いてきたので、全国でまた、リアルなカフェの開催を後押ししたいと思っています。
「新型コロナ時代の新たな医療と介護のかたちを考える」というテーマで、全国から250名以上が参加したカフェ。「コロナ禍で対面での対話がままならない中、これからどんな医療と介護の連携が求められているか?全国の仲間と対話し、共有することができました」
コロナ前、東京で開催したファシリテーターミーティングにて。全国から200名近くが集まり、カフェに必要な人、モノ、コト、について熱く対話した
──高瀬さんご自身が課題を感じてカフェを始めたとのことですが、現場の課題を教えてください。
高瀬:
介護の仕事は慢性的な人手不足で、一人で抱える業務が多かったり、夜勤中、一人で何人もケアをしなければならなかったりする現場も多く、精神的に疲弊し、追い詰められてしまうことも少なくありません。
介護者一人対複数の集団ケアになりやすく、一対一で向き合い、対話できる余裕が失われると、もはや「人を相手にしている」という感覚は薄れ、時間内に皆の排泄ケアをしなければいけない、あれこれももやらないといけないと、どんどん「作業」のようになっていってしまうところがあります。
kaigoカフェが大事にしている「対話」。各グループにはファシリテーターがいて、初めて参加する方も安心して本音が話せる場をつくっている
高瀬:
ルーティンワークの中で、次第にやりがいや変化を求めなくなり、「何のために介護をやっているのか」がわからなくなってしまいます。介護職は職場以外の社会との接点も少なく、自分の名刺を持たない方も少なくありません。「自分の代わりがいる。自分じゃなくてもできる仕事なんだ」と感じて、仕事への自分の存在価値や誇りが見出しづらいところがあると感じています。
──そうなんですね。
高瀬:
一方で、こういった悩みをフラットに話せる場所が圧倒的に少ない。
介護施設や訪問介護を行う事業所、さまざまな形態がありますが、たとえば施設で働いていても、スタッフはそれぞれシフトで入って休憩もバラバラ。本音を打ち明けられる機会も少なく、職場でのミーティングや上司との面談はあっても、それが果たして悩みや不安をなんでも話せる場であるかというと、そうではないと思います。
業界としてまだまだ閉鎖的なところがあるし、対話の風土が根付いていないということもあるかもしれません。
「らふ-Life kaigocafe」(京都府)。「誰もがここに居て良かったと思える素敵な地域になるために、Life(生活)-Kaigo(介護)をキーワードに、参加される皆さまと顔の見えるつながりと元気の素になれたらと思い、ほっこり、まったり、らふな集まりをつくっています」
高瀬:
悩みを打ち明けられないまま、職場と家を往復する日々の中で孤立を深め、鬱になってしまうようなケースも後を絶ちません。
介護の現場で、高齢者に手を上げたといった虐待事件がニュースになることがありますが、これは全く他人事ではありません。心の余裕を失い、追い詰められてしまった時に、誰にでも起こりうる可能性があることです。
「つながりkaigoカフェ」(香川県)。「香川を高松、中讃、西讃、東讃に分けて各々の地域で開催しています。介護の専門職だけではなく、多職種・多業種みんなでつながって、一人一人に寄り添える環境を作っていきたいと思っています」
埼玉県浦和市で行われた介護福祉フェスティバルにて、「介護と経営マネジメント」をテーマにkaigoカフェを開催。「明日へのパワーが溢れる時間になりました」
高瀬:
コロナ禍においては特に、高齢者の方たちがコロナに感染しないように、ケアに関わる専門職は日々の過ごし方についても非常に厳しく管理されていました。
とにかく命を守ることに精一杯で、生活の質は二の次。感染のリスクを避けるために、休みの日にも友達とも会えない、外食もできない…。家と職場を緊張感の中で往復する日々は、ますます「何のために介護をしているんだろう」という孤立を深めやすかったのではないかと思います。
「つなぐすけコネクト」(青森県)。「『人、物、団体をつなぐ』をコンセプトのもと、リラックスした雰囲気の中で行っています。 一つのテーマをもとに、仕事や地域で感じることをざっくばらんに語り合うことで自分のスキルアップにもつながり、顔の見える関係につなげていくこともできます。会の名前の通り様々なものを「つなげる」(つなぐすけと言う言い方は青森県南部地方の方言)活動をしています」
高瀬:
コロナ禍の3年間、介護職の方たちの頑張りのおかげで高齢者の命や生活を守ることができて、それは本当にすごくありがたいことでしたが、疲弊して心を病んだり、休職せざるを得なくなってしまった方もいます。
「何かおかしい」と感じた時に、声をかけて対話の場を設け、手を差し伸べられる仲間がいたら、孤立を未然に防ぐことができます。活動を通じて、介護の現場に対話の機会を増やしていきたいと思っています。
そのためには、現場で働く一人ひとりが、日頃から十分にエネルギーが充電されていることが大切。Kaigoカフェが、志を同じくする仲間と出会い、エネルギーを充電し、誇りや自信を持って、明日へのパワーが生まれるような場所になれたらと思っています。
全国に広がるkaigoカフェの輪。ファシリテーターの水嶋里佳さん(韓国)。「kaigoカフェファシリテーター講座を受講させて頂き 夢をかなえるkaigoカフェ@韓国を立ち上げました。 韓国在住ですのでオンラインではありますが わたしの活動のテーマでもある『日韓をkaigoでつなぐ』を、この夢をかなえるkaigoカフェで体感しております。長年介護現場で感じてきたジレンマやストレスをカフェの対話を通して 色々な場所の様々の立場の方々と共有できる時間は今ではわたしのライフスタイルに欠かせない存在となっています」
ファシリテーターの山越博正さん(岐阜県)。「ファシリテーター養成講座に参加して得られたことは、なによりも全国の同じ思いの方とつながれることができたこと、そして対話の力を肌で感じることができたことです。参加する前は『ホントはこうしたい、でもなかなか一歩踏み出せない』、そんな悶々とした気持ちがありました。穏やかなムードの中で対話することで自分を見つめ直し、自分の言葉で語ることで一歩踏み出す決意ができる。そんな体験ができました。毎月カフェを運営していますが、自然と人とのつながりが拡がり、開催する度に新しい気づきがあります。そして、今までとは違った刺激的な日々を送ることができています」
ファシリテーターの高木知里さん(山形県)。「コロナ渦でも交流する場がつくれないか」との思いから、2020年11月に『やまがたkaigoカフェ』を仲間と立ち上げました。オンラインカフェでスタートしてそれ以降毎月開催しています。参加者は山形県内限定のためご近所感覚で気軽に参加でき、交流・対話ができています。ファシリテーター講座を受講した仲間が全国にいるのでお互いの情報交換も刺激になっています」
ファシリテーターの山田由紀子さん(神奈川県)。「この講座には地域とのつながりや対話の場の必要性を感じ、自ら行動する仲間が全国から集まります。私自身も 今の自分に何ができるのか 何をしたいのか、同志の仲間との対話を通してしっかり向き合うことができました。職場を超えて多職種、他業種の方とつながり対話をすることで視野が広がり ケア職が豊かになることがご利用者の幸せ、地域の幸せにつながると信じています。これからも多くの方とつながり、共に学びたい。活動の理由は、私がいちばん、この場を必要としているからです」
「医療福祉×地域づくりのこれから」というテーマで、地域づくりの専門家二人を招いての対話。「医療福祉がどれだけ地域とつながることができているか?阪神大震災からちょうど25年たった日に、改めて向き合うことができた時間でした」
──今、全国各地に50のkaigoカフェがあるそうですね。
高瀬:
「kaigoカフェはこうでなくてはならない」というルールはなくて、それぞれにいろんなかたちで開催してくださっています。名前にkaigoカフェと入っているところもあれば、そうでないところもあるし、ミニコンサートや夜カフェ、認知症カフェを開催したりと本当にさまざま。面白いところですと、山で焚き火を囲みながらカフェを開催されているようなところもあります。
──それぞれに個性がありますね。
高瀬:
そうですよね。皆さん、「これをやりたい!」ということを、いきいきと実現されています。私としては、その後押しができたらと思っています。自分たちのやりたいことを実現しながら、それが地域との「つなぎ役」の役割も果たせたら。
「地域を元気にするために、いろんな業界とつながって、ネットワークを広げていきましょう」とお伝えしています。
「kaigoカフェ@裏山(山梨)。「八ヶ岳の大自然の中のほんの小さな一角の『裏山』で、心地よい仲間と焚き火を囲みながら、語り合い、分かち合い、明日につなげていくような取り組みを少しずつ実践しています」
──なぜ、介護にとって「地域」が大切なのですか。
高瀬:
今後、高齢化はもっともっと進んでいきます。先を見越して今できることに取り組んでいく必要があって、その時に「地域」は欠かせないものだからです。
介護は身近に起こらないと、当事者意識がなかなか湧かないものです。
さらに今は核家族化が進み、自分の家族が介護を受けていても、介護をあまり近くに感じないという方も少なくないかもしれません。しかしこれからの時代、「高齢者なんて知らない、介護なんて知らない」では立ち行かなくなっていくでしょう。大人はもちろん、未来を担っていく子どもたちも、高齢者との接し方を知らないと、孤独な高齢者がどんどん増えていきます。
私たちも今はケアする側とはいえ、やがて年老いて、ケアされる側になります。その時に、そうはなりたくないですよね。
異業種との交流も。「他業種の方とともに、自分らしい二枚目の名刺の肩書を皆で対話したカフェ。自分の強みや得意なことから、いきいきと働ける未来がイメージできました」
──確かに、自分ごとですね。
高瀬:
国は、地域の医療と介護の連携が重要だと打ち出してはいますが、地域の専門職が連携するだけは足りません。子どもからお年寄りまで、それぞれが強みを活かしながら共に生きる地域社会を作っていく必要があります。
その時に、高齢者に最も近いところにいる介護職の私たちが、高齢者と地域をつなげ、より豊かな生を全うするお手伝いができるのではないでしょうか。どんどん外に出ていって、地域のさまざまな資源とのつなぎ役になっていくこと。それが、これからの介護職に求められることだと思います。
東京都渋谷区にある大学の食堂を借りて、福祉ネイルやメイク、マッサージ、介護のICTブース等を出展した際の一枚。「様々な世代が楽しめる場づくりのワークショップを実施しました」
2012年7月、はじめてkaigoカフェを開催。「口コミで40名程の方が参加。介護にまつわる場を作られている方同士の座談会を開催しました」
──高瀬さんご自身は、なぜ介護の世界に入られたのですか。
高瀬:
最初から介護に興味があったわけではありません。大学卒業後、自分なりに何か社会に役立つことができないかと思っていた時に、勤めていた法人で介護事業を始めることになり、「人手がないからそっちを手伝ってくれ」ということで、本当にひょんなことからというか、急遽この世界に入ったようなかたちです。
右も左もわからない中でも、利用者さんとの1対1の触れ合いややりとりから、自分が必要とされていると感じましたし、人間性を回復させてもらったようなところがありました。それが、この世界に愛着を持つようになったきっかけでした。
──そうだったんですね。
高瀬:
介護の世界で長く働く中で、誰にも悩みや思いを相談できない孤独を感じていたのと、やはり続けていくうちに「何のためにやっているんだろう」という心境になり、未来のビジョンが描けなくなっていく経験をしました。この仕事の未来を描き、いきいき、ワクワクしながら働く未来のヒントがほしい。この二つをかなえるために、「異なる背景の人達と対話することで、未来のヒントが得られる場」をつくりたいという思いがありました。
「97歳で一人暮らしをする女性と、川沿いの道を歩行練習のケアに入っていました。ご自分で着物を着られ背筋がピンと伸びた素敵な方でした。歩きながら雑談をしたり、日本の古きよき美意識を教えて頂きました。今でも同じ川沿いの道を通るたび、この方のことを思い出します」
「医療職のワークライフバランスを考える」というテーマで開催したカフェ。「在宅医療の医師の先生を招き、これまでの働き方を振り返りながら、今課題に感じられていることや求められている働き方についてお話いただきました」
──10年のご活動を振り返って、印象に残っている出来事はありますか。
高瀬:
在宅医療をされている先生が、「介護をもっと身近にしたい」という思いを持ってくださっていて、一緒にkaigoカフェを開催したことがありました。
医療と介護は、実はなかなか接点を持ちにくいところがあるんです。介護の現場で、医師やその他専門職と患者さんのことを共有したり、意見交換したりということはまだまだ少ないのが現実です。しかしこの時は、在宅医療や医療に関わる専門職とフラットに対話することができて、高齢者へのケアについて、一歩踏み込んだ話ができました。フラットな対話の大切さを改めて感じましたし、この会を通じて連携が広がり、ありがたいと感じた出来事でした。
──確かに。医療と介護がもっと連携すると、患者さんにとってもより良いですね。
高瀬:
医療者はその方の症状や病気を見て、介護職はその方の普段の生活の様子を見ます。
その方を一番近くでケアしている介護職の人たちが、日々の生活の気づきを発信していかなければ、医療としても本当に必要なケアを提供できない。質の高いケアのためにも、私たちはもっともっと対話力を磨いて、発信していく力を身につけていく必要があると思っています。
対話やつながり、地域を大事にしながら、介護現場の笑顔を増やしていきたい。
介護に関わる一人ひとりが自分らしさを発揮して、いきいきと輝くことができれば、ケアする側だけでなく、ケアされる側の高齢者もいきいきと輝くからです。
「これからの医療福祉職の豊かな働き方」をテーマに、様々な職種が集まり、真剣に語り合う
kaigoカフェでは、参加者がリラックスできる雰囲気を心がけているという。「スイーツは、リラックスした対話には欠かせません。これまでも、ゲストの方にゆかりのあるスイーツなど、数えきれないほどのスイーツをお出ししてきました」
──高瀬さんにとって、介護とは?
高瀬:
介護というと、食事や入浴、排泄などの支援だけというイメージを抱いている方も少なくないと思いますが、多種多様な背景を持つ方と密に関わり、つながることができる仕事です。
私は介護という言葉自体があまり好きではなくて。どちらかが一方的に与えたり受けたりというものではなくて、ケアしたりケアされたり、互いを気にかけ合う、「お互いさま」の豊かな関係性だと感じています。
企業との連携も。写真はUR都市機構とのコラボレーションカフェ。「集合住宅で暮らし続けるために必要なもの・こと・人・場所とは」というテーマで開催しました」
高瀬:
昨年10周年を迎え、これまでの10年を振り返りつつ、介護のこれからの10年を改めて考えました。
これから、社会のいろんなボーダーがもっと曖昧になっていくと感じています。たとえば一昔前は「認知症は気の毒、かわいそう」という価値観が一般的だったかもしれません。しかし今、認知症はマイノリティではなく、一人の人、ひとつの個性として受け入れられつつあります。こういった価値観を、介護職の人たちが率先して共有していけるようなっていく必要があると思います。そして、若い方たちの職業選択や憧れの中に、自然に介護職が入ってくるような未来になればと思っています。
福岡で開催したファシリテーター講座での一枚。「クラウドファンディングのご支援を受けて、2018年~2019年にかけ、全国15都市でファシリーテーター講座を開催しました」
高瀬:
人手不足解消するために、AIやICTなどに頼れるところはどんどん頼って、効率化を進めながら、本当に手をかける必要があるところ、利用者さんとの関わりや、その方らしい生活を送ることへの寄り添いや技術を極められる環境が整っていくと良いなと思います。
いずれは皆自分ごとなので、自分や自分のご家族、大切な人がケアしてもらうと考えた時、「こういう人にケアしてもらいたい」ということを考えてみてもらうと、見えてくる課題があるかもしれません。
コロナ前に開催したクリスマスのカフェ。「対話だけではなく、楽しくつながれる場づくりを行ってきました」
学校での出前授業も行う。写真は石垣島の高校での出前授業の様子。「同高校出身の介護福祉職2名にも参加してもらい、介護の仕事の魅力ややりがいを共有。より自分事に身近に介護について感じてもらう機会になりました」
──最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
高瀬:
「介護は他人事。できれば関わりたくない」と思う方が少なくないと思います。だけどもっと身近に、もっと気軽に介護を感じてもらえたら嬉しいです。
ネガティブな面が取り上げられることが多いですが、介護はそんなにわるいことばかりではありません。介護を通じて一人の方と深く関わることになった時、その関わり方次第では、かけがえのない気づきや関係を得ることができるものです。
──今回のチャリティーの使途を教えてください。
高瀬:
チャリティーは、全国の介護に関わる方たちつながりの場を継続し、発展させていくための活動資金として活用させていただく予定です。ぜひチャリティーで応援いただけたら幸いです。
──貴重なお話をありがとうございました!
2022年、カフェの10周年企画として「10年後の介護の未来わたしの未来」というテーマでカフェを開催。「前向きな仲間たちとの対話から、未来への希望を感じることができました」
インタビューを終えて〜編集後記〜
「介護を身近に感じてほしい」という高瀬さんの一言は、とても考えさせられるものでした。家族はもちろん、自分もやがて老いていくわけで、「介護」といずれどこかで、どういうかたちかで向き合わなければならない局面がやってきます。どうありたいか、どういう介護を求めていくのかを考える時、介護に対してオープンな雰囲気があれば、もっともっと前向きに、むしろ楽しんでいけるのではないかと感じるインタビューでした。
【2023/5/15~21の1週間限定販売】
ホッとリラックスして一息ついて、フラットに対話しよう。かけがえのない仲間と出会い、介護の未来を語り合おう。
kaigoカフェさんの活動をストレートに表現したデザインです。
コーヒーから出る湯気で描いた文字は”Where my heart belongs(私の心の拠り所)”。介護を受ける側、介護をする側、介護に携わる一人ひとりがつながりを感じながら、明るく豊かな今日を切り拓いていくことができますように。
JAMMINは毎週週替わりで様々な団体とコラボしたオリジナルデザインアイテムを販売、1点売り上げるごとに700円をその団体へとチャリティーしています。
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