CHARITY FOR

身体障害者補助犬法施行から20年。補助犬ユーザーを含むすべての人が、壁なく共にあれる社会を作るきっかけを〜NPO法人日本補助犬情報センター

「身体障害者補助犬法」をご存知ですか。
2002年5月に施行された、補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)とそのユーザーの自立と社会参加を促進するための法律です。デパートやレストラン、また交通機関など、誰もが利用できる公共の場所について補助犬との同伴を後押しする、画期的な法律だったといいます。

それから20年が経ちますが、今でも残念ながら補助犬のことが知られておらず、補助犬と補助犬ユーザーが入店を拒否されたり、邪険に扱われてしまうような出来事が少なくありません。

「社会の7割がこの法律を知らず、また補助犬ユーザーさんの6割以上が過去に入店拒否に遭ったと回答しています。
補助犬やユーザーさんについて知られていないということもありますが、根本にあるのは、障がい・障がいのある人に対する理解不足や差別。補助犬を通じてこの壁を低くして、多様な生き方を認め合い、支え合う社会を築いていきたい」

そう話すのは、今週JAMMINがコラボするNPO法人「日本補助犬情報センター」専務理事兼事務局長の橋爪智子(はしづめ・ともこ)さん(49)。

活動について、お話を聞きました。

(お話をお伺いした橋爪さん)

今週のチャリティー

NPO法人日本補助犬情報センター

補助犬の社会における理解と普及を目指しながら、障がい者の社会参加・社会復帰を推進する事を目的に、第三者機関として中立の立場から相談・情報提供を行っています。

INTERVIEW & TEXT BY MEGUMI YAMAMOTO
RELEASE DATE:2022/8/29

補助犬ユーザーを含む
障がい者への理解を広げるために活動

(左から、盲導犬、聴導犬、介助犬)

──今日はよろしくお願いします。まずは団体のご活動について教えてください。

橋爪:
補助犬には、目が見えない方を安全・快適にサポートする「盲導犬」、手や足が不自由な方の日常生活をサポートする「介助犬」、聴覚障がいがある方を音源まで誘導する「聴導犬」、の大きく分けて3種類の犬たちがいます。
日本には現在、848頭の盲導犬(2022年3月末時点)、58頭の介助犬、63頭の聴導犬(2022年4月1日時点、いずれも厚生労働省発表)とユーザーさんが暮らしています。

当会は介助犬のことを正しく知ってもらうことを目的に、1995年に任意団体として活動をスタートしました。その後、介助犬に加え盲導犬と聴導犬たちも仲間になり、3種の補助犬ユーザーさんたちと共に、補助犬法成立や改正の活動にも関わってきました。

(視覚に障がいのある人の安全で快適な歩行をサポートする盲導犬。「教えるのは『段差』『曲がり角』『障害物』の3つだけです。ナビをしているわけではなく、視覚障がいがあるユーザーが、頭の中に地図を思い描きながら、盲導犬のハーネスから伝わってくる情報と組み合わせて、指示を出しながら歩いています。信号の色はわからないので、信号で視覚に障がいがある方と会ったら『まだ赤です』『青になりましたよ』の一言をぜひかけてください」)

橋爪:
根本的に日本はまだまだ障がいのある方への理解が低く、補助犬の理解だけを訴えてもなかなか難しいという壁を感じ、補助犬ユーザーさんと一緒に、障がい者への理解を伝えるワークショップや出前授業などを開催しています。
コロナ禍で、対面のイベントがなかなか思うように開催できませんでしたが、今年は補助犬法施行20年ということもあり、感染対策を実施しながら、啓発に力を入れたいと思っています。

(肢体不自由者(手足に障がいがある人)の日常生活動作をサポートする介助犬。「落としたものを拾ったり(左)、指示したものを手元まで持ってきてくれます(右)。肢体不自由という障がいは非常に幅が広いため、介助犬は1人1人の症状やレベルに応じたテーラーメイドの訓練を実施します」)

(聴覚に障がいのある人に、日常生活の必要な音を教え、音源まで誘導する聴導犬。「目覚まし時計の音(左)やキッチンタイマー等の家電、お湯が沸くやかんの音やインターフォンなど。『いつ音が鳴るかわからず不安』という気持ちから解放してくれます。また、屋外では、後ろから近づく車の音を知らせたり(右)非常ベルや火災報知器の音を教えます。そして、何より、周囲の方が見て『聴導犬を連れている→聴覚に障がいがある』と気づいてもらえる目印にもなっており、必要なサポートを得ることができます」)

「身体障害者補助犬法」から20年の今も
まだある受け入れ拒否や無理解

(NPO法人essenceが作成した「補助犬welcome」ステッカー。「スタイリッシュなデザインには『入って当たり前』というメッセージが込められています」)

橋爪:
2002年に「身体障害者補助犬法」が施行された当初、補助犬とユーザーさんを取り巻く環境は改善されるように思いましたが、20年が経つ今も、なかなか理解が進んでいない現状があります。

──どのようなことを定めた法律なのですか。

橋爪:
皆さんが普段利用する施設、例えば誰でも土足で入れるような場所であれば、ユーザーさんと補助犬も同じように利用できるよ、利用して当然いいんだよというものです。
レストランや商業施設、病院や歯医者さん、ジムなどもユーザーさんとパートナーの補助犬は一緒に入ることができます。その場その場で対応を考える必要はあるかもしれませんが、たとえば歯医者さんやジムであっても、補助犬が待機できるスペースさえあれば問題ありません。当会では様々な方からのご相談を受けており、たくさんの施設・店舗等で問題なく受入れていただいています。

病院の手術室とかレストランの厨房といった、一般の人の立ち入りも制限されているような場所には、同じように補助犬ユーザーさんも補助犬と一緒に入ることはできません。

(バスの移動中ももちろん一緒。ユーザーさんの足元で休憩する補助犬たち)

──確かに。

橋爪:
実際にジムに通われている補助犬ユーザーさんは、ジムの方とも話し合い、運動中、補助犬は受付のカウンター内でステイさせてもらっているそうです。

この法律が、「(補助犬ユーザーが)どこでも自由に入れる」という権利だけを主張するものではなく、受け入れる側も当然不安はありますから、お互いにきちんと向き合い、懸念点や心配ごとをシェアしながら「じゃあこうしたら良さそうだね」といった対等な話し合いを持つ、そのきっかけになればと思っています。

(レストランにて、仲間たちと楽しくお食事)

橋爪:
障がいがあるから、補助犬を連れているから特別扱いしてくれといっているわけではありません。受け入れる側が物理的に無理なこともあります。ただ、このお店で食事がしたい、このお店のコーヒーを飲みたいという、人として当たり前に抱く気持ちを、『車椅子はダメ』『犬連れはダメ』と、話し合うこともせずハナから否定されてしまうところに問題があると思っています。

以前、小さな居酒屋さんに車椅子の方何人かとお邪魔したことがあったんです。
その時にお店の方が「中は狭いから入ることが難しいけれど、店先にテーブルを出すから、そこで食べていいよ」とおっしゃっていただき、即席でテーブルを作っていただいたことがありました。車椅子の皆さんも大喜びでした!

(企業研修の一環で行った「補助犬フレンドリーなお店を増やそう!」チャレンジ。「事前に補助犬についてしっかり学んでくださった企業の方たちが、さまざまなお店を訪れて補助犬同伴受け入れについて理解を求め、ステッカーを貼ってもらいました」)

「障がい者とどう接していいかわからない」が
拒否につながっている可能性も

(「補助犬ウェルカムなお店では、補助犬法の趣旨や補助犬のことをしっかり理解してくださった店長さんがウェルカムシールを店舗の入り口に貼ってくれています」)

──まだまだ入店を拒否されるようなケースが少なくないんですね。

橋爪:
そうですね…。受け入れ側は、最初に「聞いてみよう」とか「理解してみよう」というふうになるまでのハードルが高いと感じています。

──それはなぜでしょうか。

橋爪:
一つは、障がいのある人への理解が低いこと。それによって、差別や偏見も強く残っていると感じます。

そもそも日本では、障がいのある人と接するチャンスがあまりに少ないです。まず教育のあり方がそうですよね。子どもの頃から同じ空間で学んだり遊んだりする機会がなく、「障がいのある人を知らない」「どう接していいかわからない」という方が多いのが事実です。
「受け入れないといけないというものわかるし、何かやらないといけないというのもわかる。でも、何をすればいいかはわからない」というのがきっとあって、その「わからない」恐さのようなものが、拒否につながってしまうのかなと考えています。

ただ、ちょっとずつですが状況は前進しており、2016年には「障害者差別解消法」という法律もできて、「障がいのある人を理解するために、何に困っているのか、どうしていくとより良くなるのか、建設的かつ現実的な対話をしていこう」という動きが少しずつ出てきてはいます。

──そうなんですね。

(学校での授業の様子。「学校には必ず補助犬ユーザーさんと一緒に授業に行きます。補助犬の説明だけではなく、できるだけユーザーさん自身のことを知ってもらえるように、趣味や好きな食べ物の話もします。『障がいばあることは特別なことではない』ということを理解してもらい、『障がいってなんだろう?自分たちにできることって何だろう?』ということを考えてもらえるような時間にしたいと思っています」)

橋爪:
もう一つが、犬に対する意識の低さです。
犬とは家の外で番犬として飼われる生き物、ワンワン吠えたり噛んだりする動物である、臭くて汚いというような意識が、一昔前と比べて随分減りはしましたが、それでも残っています。そうすると、犬と一緒にお店に入る、乗り物に乗るといったことへの理解が得づらいところがあります。

「吠えたり噛んだりして他のお客さんの迷惑になるから、犬を連れている人は入れない」「衛生的に困るから入れない」と断られることもあって、まだまだ補助犬とユーザーさんのことが知られていないと感じます。

(日本補助犬情報センター理事で、宝塚在住の木村さん。一緒に写っているのが、3代目介助犬のデイジー。「2代目エルモくんの後継として立派に活動してきましたが、今年度が引退の年です。現在、4代目介助犬さんとの合同訓練が始まっておりますが、デイジーはしっかり先輩としての指導もしてくれているとのこと。心強いです。木村さんの初代介助犬は、補助犬法を作るきっかけとなった、日本で一番有名な介助犬『シンシア』。書籍にもなっており、JR宝塚駅改札前に銅像もあります」)

補助犬とユーザーさんは、
心のパートナーでもある

(日本補助犬情報センター理事で、都内在住の松本さん。一緒に写っているのは、3代目聴導犬のチャンプ君。「補助犬法に聴導犬が含まれるきっかけとなった初代聴導犬の美音(みお)のあと、2代目ブランカの活躍があり、今はチャンプが頑張っています。社会人〜高校生までのお子さんが3人いらっしゃいますが、全員の育児をその時期の聴導犬たちがサポートしてくれました。チャンプは4番目の弟みたいに一番甘えんぼで、家族みんなの人気者です」)

橋爪:
補助犬ユーザーさんは、補助犬と社会の中で暮らしていく時に、周りに迷惑をかけないように補助犬たちの衛生や行動をしっかり管理しています。日常的にブラッシングをする、ケープをかけて犬の毛が飛び散らないようにする、乗り物にのったりお店に入ったりする前に、必要があればおしっこやうんちも済ませておく…。
見えないところですごく徹底し、工夫して管理とお世話をする、まさに「犬の飼い主のお手本」のような方たちなんです。

当然ですが補助犬はそれぞれにしっかりしたトレーニングを積んだ上で、その適性があると認められて補助犬になった犬たちであり、突然吠えたり噛み付いたりすることはありません。

──そうですよね。

(補助犬の歯磨き。「歯磨きなどの衛生管理はすべてユーザーさんが行います。補助犬の衛生も排泄等の行動もすべて、ユーザーさんによってしっかり管理されています。マナーガ守れるからこそ、安心して受け入れていただけます」)

橋爪:
それなのに、障がいがあるからとか犬を連れているからと、外見で判断されて断られてしまうというのは、やっぱりものすごく残念なこと。そうじゃないんだよっていうことを、活動を通じて伝えていきたいと思っています。

多くの補助犬ユーザーさんがおっしゃるのは、「自分のことは我慢できる。だけど、この子(パートナーである補助犬)のことだけは悪く思ってほしくない。犬は何も悪くない」と。
ユーザーさんたちにとって、補助犬は日常をサポートしてくれるだけでなく、大きな心の支えであり、「この子と一緒に社会参加したい」という気持ちを持っているということを、知っていただきたいと思います。

(抜け毛を予防する効果があるケープ)

橋爪:
補助犬法は、違反したところで何か罰則があるわけではありません。
だからユーザーさんと補助犬を拒否しても、そのお店に対するペナルティはありません。ここは法律を作る際から議論があった部分で、今でも「罰則を設けるべきではないか」という声もあります。

しかし、多くのユーザーさんがおっしゃるのは「時間はかかるかもしれないけれど、障がいや補助犬のことをちゃんと理解してくれて、当たり前に受け入れてくれる社会になってほしい。そうじゃないと、自分たちも気持ちよくお店を利用できないし、美味しく食べられないし、楽しくない」と。そうやって20年が経ってしまいましたが…。

(「ユーザーさんにとって、補助犬は身体の一部であり、かわいいわが子であり、かけがえのない存在!お互いに尊重し合うベストパートナーです」)

「犬はダメ」「入れません」ではなく、
相手を知り、歩み寄れる一歩を

(2022年5月、補助犬法20周年を記念し、東京スカイツリーにて、中央大学の学生の皆さんが『補助犬ユーザー×フラッシュモブ』を披露。「事前にワークショップなどを開催し、どうやったらユーザーさんたちと一緒にフラッシュモブを楽しめるか、一生懸命考えてくれました」)

橋爪:
さまざまなユーザーさんからのご相談を受けていますが、最近の難しいケースとして、大きな医療機関での受け入れの事例がありました。

盲導犬ユーザーのAさんは、奥様に病気が見つかり、手術入院を繰り返さなければならなくなりました。ご家族はAさんだけです。手術の説明も当然、Aさんが同行して話を聞くことになります。
しかし盲導犬を連れていることで、病院側から「盲導犬は入れません」と言われてしまいました。コロナのことがあって病院も出入りが厳しくなっていることを差し引いたとしても、「手術内容や病状は奥様に直接伝えておくので、ご主人は後で奥様から聞いてください」と言われてしまったというんです。

──…ええ。奥さんも冷静にお医者さんから自分の状況を聞き、旦那さんに伝えられる状況だったら良いですが…、場合によってはそれが難しいこともあると思うのですが。

橋爪:
そうですよね。
Aさんは病院の受付で「病棟フロアへは入れません」とあしらわれてしまい、「どうしても話が聞きたいとおっしゃるのであれば、ドクターに降りてきてもらいますけど…」と言われたそうなんです。コロナの影響で、ほかの患者さんのご家族も病室には入れないルールですが、同じフロアにある面談室で、ドクターの説明は受けていたとのこと。

ご本人曰く、「自分のことだったら怒れたけど妻のことなので、感情を飲み込んで『よろしくお願いします』と言って帰ってきた」とのことでした。

私は、この事例は補助犬を理由にはしていますが、障がい者の権利侵害だと思います。家族として当たり前の権利を不当に奪われています。病院の事務の方と今もやり取りを続けていますが、完全な解決には至っていません。もう少し時間がかかりそうですが、粘り強く頑張りたいと思います。

(愛媛のショッピングモールでの啓発イベント。「全国各地で啓発イベントを開催し、一人でも多くの方に補助犬の大切さを伝える活動をしてきました。ただ、コロナ禍で、リアルのイベント開催は非常に難しくなっています。また安心して復活できる日のために、準備を進めています」)

橋爪:
先ほども伝えたように、誰もが利用できる場所は、補助犬と一緒に利用することができます。病院内の手術室には入れませんが、入院中の家族が入れる場所は、補助犬と一緒のご家族も当たり前に入ることができるんです。

ただ中には、同じ病室に犬アレルギーがある方がいらっしゃる等、イレギュラーに対応しなければならないこともあるかもしれません。そんな時は、「病室には入れないけど別の部屋で面会しよう」とか、歩み寄り方はいくらでもあると思うんです。

いずれにしても「ダメです」「入れません」の一点張りでは、向き合う姿勢がないと思われても仕方ないし、建設的な対話の機会が全く生まれませんよね。
そうやって、そもそもその「話し合い」の姿勢や時間さえ持ってもらえないということが大きな課題です。「犬は入れません」と犬を言い訳に、障がいのある方を差別しているように捉えられても仕方ないのではないでしょうか。

(2017年、「障がい理解の一番の近道は、飲み会だ!」の信念をやっと企画実行できた【INUNOMI Vol.1】にたくさんの仲間達や初めましての方々が集まってくださり、非常に楽しくHAPPYな時間となりました。まさに、JAMMINさんの第一弾Tシャツ販売とも重なり、みんなでお揃いにして盛り上がりました!その空間には、障がいがあるないに関わらず「当たり前」に一緒に美味しいものを食べたり呑んだり♪当たり前の時間が・・・素敵な笑顔で溢れていました♪)

──そうですよね…。こういったケースはどうやって解決するのですか。

橋爪:
なかなか難しいですが、一番良いのは、やっぱりご本人のこと、つまりここではAさんのことを病院の人たちにも知ってもらうことだと考えています。直接会って、犬の様子を見てもらう、犬をしっかり管理しているAさんのことを知ってもらう。

「これなら大丈夫!」って安心してもらえる機会を作っていくことが大事ですし、ここで一つ大きいことだと感じているのは、そこに犬がいてくれることなんですね。

実際に盲導犬がいてくれるから、Aさんはお一人で病院まで来ることができます。院内でもスタッフのサポ―トは不要で、安全に歩くことができます。施設側にとっても、メリットは必ずあります。犬が介在してくれることで障がいのある方に対しての壁がなくなるような、そんな役割も、補助犬たちは果たしてくれると思っています。

(「補助犬は、どんな時も共に夢に向かって笑顔で寄り添ってくれる心強いパートナー。写真は、2021年に開催された東京2020パラリンピック聖火リレーを走った、介助犬ユーザーのSさんと介助犬ニコル君です。緊張するSさんの横で、ニコル君は立派にパートナーとしての役割を果たしてくれました!大きな夢をかなえた瞬間でもありました」)

無償で愛してくれる相手がいるからこそ、
日々の生活に自信やモチベーションが生まれる

(2018年9月に恵比寿ガーデンプレイスで実施した「補助犬フレンドリー祭」の様子。「補助犬3種の紹介ステージや子どもたちが楽しめる障がい理解のワークショップを実施。たくさんの補助犬ユーザーさんが協力してくれました」)

橋爪:
補助犬たちは、パートナーであるユーザーさんのことが大好きです。
犬は障がいの有無に関係なく、純粋にその人を見ます。ユーザーさんの中には、人生の半ばで障がいがある状況になった人も少なくありません。できないことが増えていく中で自信を失い、自宅にこもりがちになったり、あるいは家族に「どこどこに連れていってほしい」とか「あれをやってほしい」という頼みごとをしづらくて、言いたいことややってほしいことがなかなか伝えられないという話もよく耳にします。

しかし犬は、自分がどうであるかなど関係なく、ありのままを受け入れ、無償で愛してくれる。自分が自分であるということを感じさせてくれる、大切な相棒。ただ物理的な支えだけでなく、心理的にもユーザーさんを支えてくれるんですよね。

相棒がいるからこそ、一緒に街へ出かけられる。知らない場所にも行ってみることができる。本当に大切な存在なんです。

──そうなんですね。

(たくさんのボランティアの方々、サポーターの方々、手話通訳さん、ガイドヘルパーさん、NPO仲間、様々な人達の支えの中で、当会の活動は継続できています!)

橋爪:
電車やバスで、ユーザーさんの足元で補助犬が休んでいると「犬を働かせてかわいそう」という声が聞こえてくることがあると聞きます。自分の目や耳、手のかわりになってくれている大好きなパートナーのことを、「かわいそう」といわれるのは、すごく傷つくと皆さんおっしゃいますね。

補助犬は「Fun trainning(楽しいトレーニング)」といいますが、「大好きなおとうさん、おかあさん(ユーザーさん)に、どうすれば褒めてもらえるだろう?!」と考えるように、褒めて褒めて、楽しく補助犬として活躍できるようなトレーニングを受けています。犬たちからすると、ユーザーさんのために何かをして、褒めてもらうのが楽しくて嬉しい。彼らにとってもまた、ユーザーさんの笑顔が喜びなんですよね。

(「複数の企業が集まった、若手リーダーシップ研修の1コマです。協力いただいた介助犬ユーザーのNさんも、企業勤めの社会人。同じチームとしてコミュニケーションが深まる中で、いつしか仕事や趣味のワインの話も…。一番大切なのは、障がいがあるとかないとかではなく、人と人としてのコミュニケーションだということを改めて感じました」)

──確かにそうですよね。今後、補助犬を持つ方の数は増えていくでしょうか。

橋爪:
医療の進化に伴って、ひと昔前は直せなかった病気が治るようになったり、あるいはAIの進化に伴い、技術的な面、障がいがあっても日常生活をしっかりサポートしてくれるようなものも出てきていることもあり、補助犬と共に生活する方の数は一時期に比べて減っていく可能性もあります。

ユーザーさんが高齢化する一方で、高齢になるとなかなか新しく補助犬を迎え入れることは難しく、そういう意味でも今後、補助犬の数が劇的に増えていくということはないでしょう。
ただ、ロボットなどの技術には変えられないものが犬にはあって、お世話も大変だけれど、だからこそというか、犬がいてくれるからこそ自分もがんばれるんだ、この子のためにがんばりたいんだという方がすごく多いです。

朝早く起きて犬のごはんを準備したり、お散歩したり、室内の温度管理をしたり…そういったことが、結果自分の体調管理にもつながっているんだとおっしゃる方も少なくありません。

「してもらう」ばかりの自分ではなく、何か「してあげる」こと、いのちある生き物で、その子の生活には自分が必要なのだという意識が、日々の自信やモチベーションにもつながっているんですね。

(「私たちの活動の中では度々見られる風景。介助犬ユーザーさんの肩に盲導犬ユーザーさんが手をおいて、目的地へ移動する様子。障がいがある方は、常に助けられるだけの存在ではありません。障がいがあるないに関わらず、お互い様に双方ができることで、助け合えば良い、ただそれだけのシンプルなことなんです」)

チャリティー使途

(「我が子が2歳の時に、盲導犬と。補助犬は、子どもたちにたくさんのことを教えてくれます。一人でも多くの子どもたちに、伝えていきたいです」)

──最後に、チャリティーの使途を教えてください。

橋爪:
補助犬法ができて20年という節目の今年度、いろんなかたちで盛り上げていきたいと思っています。今回のチャリティーは、さまざまな啓発活動の資金として活用させていただく予定です。

一人でも多くの方、特に子どもたちに補助犬や補助犬ユーザーさんのこと、「社会にはいろんな方たちがいるんだ」という多様性について、イベントや出前授業などでお伝えしていきたいと思います!
皆さまにも、ぜひ仲間になって応援していただけたら幸いです。

──貴重なお話をありがとうございました!

(2022年度オンライン総会開催にて。「様々な分野の専門家が理事を務めており、常に補助犬とユーザー双方の幸せを願いながら、活動を続けております」)

“JAMMIN”

インタビューを終えて〜山本の編集後記〜

犬がいてくれることが後押しや勇気や癒しになって、一緒に社会に参加することができる。補助犬の存在は、日常生活を物理的にサポートするだけでなく、精神的にもユーザーさんを大きく支えるのだということを改めて感じました。

ともすれば私たちは、日常生活の中で必要以上に「違い」や「そこに触れること」を恐れてはいないでしょうか。気軽に会話が生まれ、相手と自分の違い、相手の暮らしを知るきっかけも、犬に助け舟を出してもらっているのかもしれません。人同士、「わかり合う」ことにもっと積極的になれたらいいですよね。

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それぞれの人生のストーリーを表す本、その周りに思い思いに過ごす犬たちを描き、多様性を認め合う社会を表現しました。
もちろん、盲導犬、聴導犬、介助犬もいますよ!見つけてみてください。

“Create a happy society together”、「一緒に、幸せな社会をつくろう」というメッセージを添えました。

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