京都の山科で、月に一度、地域の方たちを対象にしたごはん会が開催されています。その名も「ごはん会」。
老若男女問わず大勢で一緒に食事することで、失われつつある地域の交流の場となるだけでなく、複雑な家庭事情により一人でごはんを食べていたり、十分な食事を得られていなかったりする子どもには、食事という団らんのなかでほっと安心できる場を提供しています。
地元の団体と協力しながらこの活動を行っているのが、今週のチャリティー先・山科醍醐こどものひろばです。
山科醍醐こどものひろば
京都府山科に拠点を置き、子どもと大人が一体となり、ものごとに真剣に向き合いながら、地域に住む子どもたちが心豊かに育つよう、様々な活動を続けています。
みなさん、子どもの頃のごはんってどうしていましたか?
自分で思い出してみるんですが、これといって特別な記憶って…私はないんです。
朝は家族全員家を出る時間が別々だったりして、一緒に食事をとらないこともありましたが、夕食はよほどのことがない限り、家族が揃って食卓を囲んでました。それがごくごく普通だったし、当たり前でした。
振り返ってみると、夕食の場で何か特別なテーマについて話し合うだとか、イベントがあったわけでもなく、みんなそれぞれに会話したり、食べることに集中したり、何気ない、でも心穏やかな時間を過ごしていたように思います。
たとえ仮に会話は多くなかったとしても、一緒に食卓を囲み、その空間を共有することで、「家族」という絆を深めていたんだと思うんです。何でもないような時間だったのですが、それこそが「団らん」で、素の自分に戻り、リラックスできる空間だったのではないかと思います。
帰る場所があり、温かい食事があり、団らんがある。幼い頃の自分にとっては、それが「守られている」という安心感、自分の居場所、強いては自己肯定感につながっていたんだと思うのです。
しかし、時代は変化し、「子どもが育つ環境」も少しずつ変化しています。
共働きの夫婦が増えていることや、貧困、育児放棄など、事情があって受けてしかるべき愛情を十分に受けられずに大きくなる子どもたちがいます。
たとえそうであったとしても、ひと昔前であればご近所さん同士のつながりや地域の目で「問題を抱えた家族や子どもが孤立する」ことが防げたのではないかと思います。
けれど今は昔と異なり、地域とそこに住む人たちとのつながり、人と人の横のつながりが希薄になり、気軽に声を掛け合ったり、助け合ったりする環境が徐々になくなってきています。
そんななか、孤立する家庭が出てくる。老人の孤独死や子どもの虐待を未然に防ぐ事ができない理由のひとつとして、この「希薄さ」があります。
今回のチャリティー先・NPO法人山科醍醐こどものひろばは「子どものより良い育ち」に特化して活動をしているNPO法人です。
今回は、活動のひとつである「ごはん会」について、スタッフの村井彰信さん、品田真孝さんにお話をお伺いしました。
スタッフの皆さんに、今回のコラボTシャツを着ていただきました!今回お話を伺いした村井さん(一番左)と、品川さん(右から2番目)。
−−ごはん会について教えてください。
ごはん会は、昨年の8月より毎月地元の保育園で実施しています。
昨年12月に行なわれたクリスマスごはん会のメニュー。なんとチキンが‼︎
複雑な家庭背景から普段一人でごはんを食べている子ども、コンビニ食やファストフードでごはんを済ませてしまう子どもももちろん対象です。
お友達同士で、または親御さんも一緒に、そして地域の年配の方たちも、来たい人は誰でも参加できます。毎回70名ほどの参加があります。参加費は子どもが100円、大人が300円です。
−−大人の方も多く参加されているんですね。
はい。
親御さんたちは、育児の悩みを相談したり、年配の方たちは一人でさみしくごはんを食べるよりみんなで食べようということで参加してくださったりするのですが、ごはん会をきっかけに、地域のつながりが生まれてくれればと思っています。
昨年8月、初開催されたごはん会の様子。100名を超える参加があったそうです。
あとは場所柄、外国籍の家族も多いのですが、全く知らない地域へ引っ越してきて日本語が不自由だったり、知り合いが一人もいなかったり、どうしても地域コミュニティーからもれてしまうことがあります。
そんな人たちも、ごはん会を通じて出会いや地域とつながるきっかけを提供したいと思っています。
−−なるほど。「子ども」に絞ってアプローチするのではなく、地域と連携をとり、全体にアプローチしながら子どもにとっても良い地域を作っていくんですね。
地域で子どもを見守り、子どもを育てていくこと。
ごはん会はもちろん、その後のそこから生まれた交流を通じて、子どもたちが居場所を感じてくれたらうれしいです。
そうそう、昨年のクリスマスに開催したごはん会には、本物のサンタさんぽい方が来てくれて、子どもたちは大喜びでした(笑)
クリスマスごはん会では、クリスマスソングやダンスなど、楽しいレクリエーションも充実!
−−ちなみに、ごはん会参加費用が子ども一人100円ということで、高い設定金額ではないと思うんですが、どんなものを食べているのか…ごはん会の献立をお伺いしても良いでしょうか?
「ごはん会」の趣旨として、子どもの食に対して、栄養面からのアプローチというよりは、「食」をツールに、ふだん一人で食事している子どもに対して楽しくほっとできるひとときを提供したいと思っています。
あとは大勢参加しますので、たくさん作ることができる、ごくごく普通の食事、カレーだったり、中華丼だったりですね。
クリスマスは大人にとっても子どもにとっても、ちょっと特別なイベントですよね。クリスマスごはん会では、かぶる帽子も、みんなで作りました!
−−たしかに、大量調理できますし、食材がほかと比べて高いという献立でもないですし、何より子どもたちが好きなメニューですね!
普段コンビニ食やファストフードの味に慣れてしまっている子どもの場合、逆に野菜だと慣れていなくて食べられないということもあって、まずは楽しい時間にしたいので、いたって普通で、子どもが好きなメニューを提供しています。
−−なるほど…食べ慣れていない食材があるということもあるんですね。
山科醍醐こどものひろばさんは、「ごはん会」のほかに、どんな活動をしているのですか?
子どものより良い成長を願って、何かカタい狙いがあって活動しているというよりは、子どもたちと向き合いながら、その都度課題を解決するような企画を実施する、そんな活動を続けてきました。
5月開催の「こどもフェスタ」での一コマ。スタッフも学生ボランティアも皆、活動はこどもの目線になって一緒に楽しみます。
−−臨機応変に、柔軟なご活動をされているということですね。
はい。試行錯誤を繰り返しながら今のスタイルがあります。
ごはん会も、「子ども食堂がやりたい」と力んで取り組んだというよりは、うちに来てくれている子どものなかに事情があって夜ごはんをきちんと食べられていなかったり、一人で食べていたりする子たちがいたので…。
自分たちで何ができるかなと考えたときに、「じゃあ、みんなで一緒に食べよう」と企画して、現在に至っています。ふだんは子どもたちとキャンプや遠足に行ったり、創作劇をみんなで作って発表したりと時折大きいイベントもありつつ、事務所を開放していますので、毎日の宿題を一緒にやったり、勉強についていけない子どもの勉強をサポートしたり、放課後家に帰っても一人ぼっちだという子が遊びに来たり。
いろんなことをやっています(笑)。
日々おこなっている子育て支援現場のひとコマ。
いずれにせよ、ここで過ごす時間を通じて子どもたちが自己肯定感を高めてくれればと思っています。
子育てをするお母さんたちの情報交換や、乳幼児とその親御さんへの絵本の読み語りや外遊びなんかも企画しています。
様々な事情を抱えているこどもと一緒に夕ごはんを食べます。1人じゃない、ほっとできる夜を届けます。
−−その企画力やフットワーク、すばらしいですね!
−−今回のチャリティーはごはん会に使っていただけるとのことですが、詳細を教えてください!
子どものごはん会参加費は子ども一人100円、大人一人300円です。
参加費100円で、子どもたちに食事はもちろん、大勢で囲む楽しいひとときを提供できます。
−−Tシャツ1枚につき700円のチャリティーなので、1枚ごとに7人の子どもの食費がまかなえるわけですね!
参加費100円というのは、決して高い金額ではありません。しかし、家庭の事情からその100円が払えない子どももいます。
それでも本人がごはん会に参加したい場合、100円を私たちのほうで捻出するのですが、今回のJAMMINさんとのチャリティーで、そういった子どもたちのフォローができればと思っています。
なので、ぜひご協力いただければ幸いです。
−−ありがとうございます。最後に、4月にこどものひろばさんの一大イベントであるこどもフェスタ2017を開催されるとのことで、ぜひ告知をお願いいたします!
「こどものひろば2017」は、4月30日(日)に開催する「子どもも大人も夢中になって遊ぶ」ことがテーマのイベントです。
前回の開催時には300組の親子の来場があり、すごく盛り上がりました!
工作、昔遊びにもぐらたたきやだるま落としなど手作りのコーナーが盛りだくさん!大人も子どもと一緒になって楽しんでいただけるイベントです。会場は本願寺山科別院(西御坊)を予定しています。
詳細は山科醍醐こどものひろばのホームページ、facebookページにて随時アップされる情報をご確認ください!
「こどもフェスタ」にて、参加者・スタッフの皆さんと記念撮影!
インタビューを終えて〜編集後記〜
今回、こどものひろばのスタッフの村井さん、品田さんのお二人にインタビューをさせていただきました。
そこで感じたのは、お二人とも、リラックスしながら、活動をとても楽しんでいらっしゃるということ。
「カタい狙いがあってというよりは、子どもたちに課題があればその都度そこに向き合い、解決のために何かを企画してきた。それを繰り返して、現在のこどもひろばがある」という話しを聞きながら、子どもと同じ目線で、そして子どもと一緒になって、日々奮闘、でも楽しく、みんなでワイワイと活動している、こどものひろばさんの楽しい現場の雰囲気が伝わってきました。
そして…そんな場所こそ、子どもたちにとっても「あそこは楽しい!」、「また行きたい!」という場所なのではないでしょうか。
子どもを楽しませるために、大人も童心にかえって楽しむこと。「楽しい!」は伝染していくんだなと感じます。
今回、JAMMINとのコラボデザインにもこどものひろばさんの楽しい世界観が表現されています!
ぜひぜひ、チャリティーにご協力ください!
“Sharing smile with your neighbor maks the world a better place”、「笑顔を隣人と分かち合えば、世界はもっと良い場所になる」。
笑顔は人と人をつなぐ魔法。「おはよう」、「こんにちは」、「ありがとう」そんな身近で小さなところから、世界をちょっとずつよくしていこうという山科醍醐こどものひろばの思いをこの言葉に込めました。
フェスTシャツっぽいデザインにしたのは、フェスのワクワクドキドキ感と、山科醍醐こどもひろばの活動やイベントのワクワク感・楽しみ感が近いと感じたから。
モチーフとなっている様々なかたちのテントは、子ども一人一人がそれぞれのステージの主役であることを表現しています。少しずつ春が近づき、暖かくなってきたので、フェスTシャツとしても1枚どうですか?
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