CHARITY FOR

NPO法人日本国際ボランティアセンター(JVC)

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(TEXT BY KEIGO TAKAHASHI)

今年は、東日本大震災から5年が経過した節目の年。JAMMINでは、毎月11日を含む週を「日本の災害が私たちに遺したもの」として特集しています。

様々な災害を経験した私たちに、今何が出来るのか。9月は「東日本大震災」が遺したものについて、ご紹介していきます。

「住民の約7割が離散」した集落で活動するNPO

今週のチャリティーは、NPO法人日本国際ボランティアセンター(JVC)。世界9か国で、地域開発や人道支援などを展開。2011年からは、東日本大震災の復興支援として、宮城・気仙沼で生活再建支援を行っています。

JVCが活動するのは、気仙沼市内の「浦島地区」。牡蠣や昆布などの養殖を生業として人々が暮らす場所でした。また、津波被害により約7割もの住民が自宅を失い、離散することになった場所でもあります。

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震災で大きな被害を受けた浦島地区(2011年6月)

さらに、浦島地区の住民は震災被害の後、住んでいた場所が「災害危険区域」の指定を受け原則居住が不可能に。津波被害に加え、高台などの津波被害の心配が少ない場所へ突然移転を迫られる、という2重の大変さを抱えた地域です。

住民にとって高台に移転することはもちろん初めて。日本中見回してみても、体験している人はほとんどいないのではないでしょうか。

そうした困難な状況の中、地域の繋がりを維持するためにどうしたらいいのか?− 住民は、当時から避難所支援を行っていたJVCに支援をオファー。JVCとともに、高台移転や離散した集落を取り戻す活動を、震災から5年経った今も続けています。

JVC気仙沼事務所の岩田健一郎さんにお話を伺うと「地域住民の方々の地域を守ろうという意識は、元々高かった」と言います。

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JVCが派遣協力している専門家による再建する住宅についての説明会

私たちが支援する地区は、元々自治意識が強い方々が暮らしていました。漁業を営むことで自分の手でお金を稼ぐ暮らしをしていたり、中心部から離れているため行政の支援も届きづらく、自分たちで何とかするという意識がありました

ただ、住民の人にとっても、高台移転について行政から提示されるのは事業の枠組みだけ。どんな場所に、何人が移り住むのか。決めることが山積みの状況でした。

移転については、大規模な災害ということもあり行政も細やかな点まで対応することは難しかった。さらに、住民の人も初めての経験ながら四苦八苦して事業を進めてきましたが、自分たちでは対応できない部分もある。そんな状態で私たちの元へオファーが届きました

なぜコミュニティに懸ける想いが強かったのか。住民たちの想い

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高台移転候補地の視察も住民自らが行いました

浦島地区の住民が暮らす土地は、先祖代々守り続けてきた土地。その場所から移り住むことは「自分の根っこが奪われる」ような感覚だ、と話す住民もいたそうです。そして、その「根っこ」とは土地そのものではなく、周りに住む人々を含めてのことを指しています。

地区の中の一つの集落は、例えば名字がほとんど『小野寺』で、地縁・血縁が強い方々が住む、家族のような存在の地域もあります。私は都会出身(名古屋市)なので、こうした繋がりも最初はあまりイメージが沸かなかったのですが、地域の暮らしはコミュニティを抜きにしては成り立たない、という事実もありました

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震災後、地域住民が協力して側溝のヘドロを清掃する様子

地区にはお裾分けの文化が根強く残っているなど、住民が支え合って暮らしを成り立たせています。想像がつかない方もいるかもしれないですが、慣れれば楽しいものです。一方で面倒な部分もあって、噂話がすぐに広まるというのもあるのですが。

私も今年4月に熊本地震の支援に向かった時に、地域のコミュニティが維持されているかどうかが避難所での暮らしにおけるキーポイントだったので『地域のつながり』はとても重要だと考えています

昔も今も地域のつながりを大切にしながら暮らし続けてきた気仙沼・浦島地区の人たち。移転先での暮らしも含め、新しい生活を取り戻すための挑戦は始まったばかりです。

私たちは、東北の人が物理的にも心理的にも深く傷ついたことを忘れてはいけないと考えています。1年や2年という単位で課題が解決することは決してありません。

そして復興においてはインフラの問題だけではなく、生活の基盤であるコミュニティが回復するかどうかが重要です。地域のコミュニティが回復するまで、支援し続けたいと考えています。

孫のようにかわいがってくれる皆さんから、海の幸を頂くことも!

最後に

著者もJVCの岩田さんと同じく、名古屋の都心部で育ちました。町内会があり、昔から一緒に暮らす人との繋がりはあるのですが、少しづつ空き家が増え、次第にマンションや駐車場に変わっていきました。

昔は町内会で旅行へ行ったりしていたのですが、現在は私たち子ども世代(30代〜)が外に出たこともあり、地域の公園活動、(リニア新駅開業による)道路線形の変更協議などが中心になっています。

そして、僕が東京で勤めていた頃は「地域に貢献する」という意識は皆無でした。どこまで行っても仮の住まいという認識が抜けませんでした。

しかし、実際に居住するのは家屋という建屋ですが、「町に住む」という感覚を持つべきだ、そんなメッセージを気仙沼の皆さんから受け取った気がしています。

町の住みやすさ(過ごしやすさ)は、仮の住まいだろうが、一生住む場所であろうが、その町内会というコミュニテイの「成果」にどうしても依存します。子育て世帯なら保育園の場所や数など、そこに暮らす人たちの努力や知恵の結果、家の周りにある環境=住みやすさは決まっています。

私たちも、今自分が暮らす街について、もっとアンテナを張るべきではないか。そして、今一緒に暮らす人や、これから住むかもしれない人の為に、一緒に地域を良くするという発想を持っていきたい、そう考えています。

最後に、JVCの岩田さんからのメッセージを紹介します。

この記事を読んで頂いた皆様、ぜひ気仙沼へお越しください。JVCの事業地への訪問もお気軽にどうぞ。
海産物も美味しいですし景色も綺麗ですよ! と言っても、気仙沼に足を運ぶのはハードルが高いかもしれませんので、ネットショップや百貨店などの東北物産で気仙沼の物を手に取っていただき、気仙沼の暮らしに少しだけでも思いを馳せていただければ嬉しいです

今週、皆さんからお預かりするチャリティーは、震災から5年、地域のコミュニティを更に回復するための活動に大切に使わせていただきます。
皆さんと繋がるためのチャリティー・アイテムでは、「未来へ漕ぎ出す船」をモチーフにデザインを作って頂きました。私たちの活動も、今まさに未来へスタートを切ったばかり。是非チャリティーアイテムを通じて、応援のほどよろしくお願いします

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「お茶っこ」(お茶会)は、つながりを深める大切な習慣の一つ

NGO/NPO担当者からのメッセージ(チャリティーの入金報告)

【 THANKS MESSAGE 】NPO法人 日本国際ボランティアセンター(JVC) から御礼とメッセージ | JAMMIN(ジャミン)

基本情報

法人名:NPO法人日本国際ボランティアセンター
活 動:東京に事務所を構え、アジア・中東・アフリカの9の国/地域および東日本大震災被災地で活動する非営利法人。
住 所:東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F
H P:http://www.ngo-jvc.net

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