TEXT BY YAMMY
今週のチャリティー先は日本ファンドレイジング協会。
日本で活動している様々な問題に取り組んでいるNPO団体が、十分な活動を行うために必要な「資金」を募るために、団体と企業や個人とを結びつける活動を主に行っている団体です。
インタビューさせていただいた日本ファンドレイジング協会の三島さんは、協会立ち上げ当初よりスタッフの一員として活躍されている、若くてパワフルな方!
今回は、三島さんに寄付についてわからないことや素朴な疑問、日本を取り巻く寄付の現状等々、そして2015年から企業・行政・NPOの協働でスタートした寄付啓発キャンペーン「寄付月間」について、お話をお伺いしました。
日本ファンドレイジング協会
日本ファンドレイジング協会は、2020年に寄付10兆円の実現を目指して2009年に設立されたNPOです。
民間非営利組織と寄付など社会貢献に関心のある個人や企業を繋ぐ活動を行っています。
突然ですが、「寄付」と聞くとどんなイメージを浮かべますか?
なんだか大げさなこと、すごくたいそうなことみたいなイメージが、正直筆者にはあるのです。
もしくは「歳末助け合い」「赤い羽根」的な、「冬になったらやってくる」イメージは湧くのですが…「身近である」というイメージがどうも湧かないのです。
寄付って…何だろうか。
イメージがわくようで、あまりわかない。
かろうじてわくイメージも、どちらかというと「不透明」、「寄付なんて…そんなお金ないぞよ」というマイナスめなもの。
周りの人たちはどう思っているのだろう?
他の人たちの意見も聞いてみよう!とオフィスを出て、何人かの方に「寄付についてどう思うか」、聞いてみました。
うーん。なるほど。
やはり、「何に使われるかわからない」、「実際は言っていることと別のことに使われているのではないか」、だからこそ「自分の心の声に従うのみ」、「自己満足だ」という声があるようですね…。
この辺を、日本ファンドレイジング協会の三島さんに聞いてみることにしましょう!
それに、お金のこととなるとなんというか少しこう、ネガティブというかタブーというか、何となくそんなイメージがあるんじゃないかなと思うのですが…。
自分が寄付をしなくても、「芸能人の誰が○○にいくら寄付した」という話が話題になると額が高くても「セレブぶってる」とか「いい人ぶってる」、低くても「安すぎる」なんていう批判にも繋がってしまうぐらいですから…。
日本での寄付って、2つのカテゴリに分けられると思うんですね。
どちらも誰かを応援するお金ではあるのですが、ひとつは「お付き合いだから」というもの。
もうひとつが、私たちが目指している「未来に対して思いを託す」というもの。
「お付き合い」はとてもよくわかるような気がします。というかむしろ、自分を含め身の回りの人たちが寄付をするときは、そのイメージが大半のように思いますね…。
「お付き合い」の寄付は、寄付をする側もしてもらう側も「いつものことだから」という感じで、どちらかというと決まったことのようになってしまっていて、寄付金の使途や、寄付金に対する意図とでもいうんでしょうか、「こんなことに使いたい」、「こんなことに使って欲しい」という部分が不明瞭であることが多い。
例えば、寄付をしてもらう側が、寄付者に対して領収書一枚で「ハイ、ありがとうございました」だと、寄付した側も、お金が何に使われたのか実感を得るのが難しいですよね。
逆に寄付をする側も、「自治会などから回ってきたから寄付しておこう、毎年のことだから寄付しておこう」で終わりだと、そこからの広がりってないですし、寄付に対する意識自体を変えていくのはなかなか難しい部分があります。
日本に寄付文化を根付かせていくには、「寄付=何に使われるかわからないお金」という不透明なイメージを変えていきたいと思っています。
そうではなくて、その団体がどんな課題に対して、どういった解決策を持って取り組んでいるのかを寄付者の方々に明示していくということが、共感を軸にファンドレイジングの幅を広げるためにはとても大切だからです。
寄付者がただ「施しのお金」として寄付をするのではなく、団体が取り組んでいる問題解決への活動の参加の一つの方法として「寄付」をしてもらう。
そのためには、しっかりと自分たちの目標や方法を提示し、寄付者が「寄付してくれたらそれで終わり」な部外者とか傍観者ではなく、「一緒に変えていこう」というメッセージを発信してもらえるように人々を巻き込んでいくのも重要なことになります。
自分が寄付したお金で、「状況が変わった!」、「寄付って楽しい」、そんな実感を持った方は、また寄付というかたちで、あるいは別のかたちで、問題解決に向けて、活動に参加してくれるようになります。
そんなサイクルを作っていくのが「ファンドレイザー」の大きな役割ですね。
寄付の模擬体験をする「寄付の教室」にて、選んだ寄付先を発表する生徒たち。
日本ファンドレイジング協会では寄付市場の調査も行っていますが、アメリカでは、個人の寄付が27兆円なんです。これが、日本の場合は7,400億円。(『寄付白書2015』/日本ファンドレイジング協会編 より)
日本とはちょっと違うし、参考になりそうでならないような気もしますが…
橋なども寄付でできていたりするものもたくさんありますし、「助け合い」や「もったいない」の文化が背景にあります。
寄付に関しても、大きな可能性があるんじゃないかと思っているのですが…。
ただ、さきほどYAMMYさんがおっしゃったような「寄付をしても、そのお金がどう使われているかわからない」という点などがひっかかって、なかなか浸透していかないところがあるかもしれません。
「寄付してよかった」という成功体験を感じてもらうことがすごく重要だと思っています。
「自分は活動はできないけど、寄付することで活動に参加できているんだ」、「寄付って楽しいんだ」ということを、実際に感じてもらうことです。
2015年寄付月間記念シンポジウムにて。古田敦也さんや佐藤大吾さんから寄付の価値や可能性を語っていただきました。
でも、うーん、やっぱり「寄付」という言葉自体に、「世の中を変える」とかっていうイメージが、どうもなかなか、湧かないんですよね…
寄付は「自分が理想とする未来への投資」と思ってもらえたらいいと考えています。
要は、応援するお金なんだと思います。
寄付月間のキャッチコピーにもなっている「欲しい未来に、寄付を贈ろう」。
これこそが、寄付の持つ大きな意味だと思います。
様々な活動に取り組んでいる団体があるなかで、自分が「これだ」と思うものに投資する、応援する。そして一緒に問題を解決していく。
「寄付は投票だ」という人もいます。
災害、子どもの貧困、動物の殺処分、環境問題、難病など、課題は何でも良いんです。自分が興味のある問題に対してコミットしていくこと。そういう意識なんじゃないかと思うんですね。
お金の寄付でも良いし、モノの寄付でも良いし、寄付付きの商品を購入することも良いですよね。
あとは、乾杯が寄付になる「カンパイチャリティー」やチャリティーマラソン大会のように、楽しみながら寄付できる企画に参加するのも無理がなくて、良いですよね。
「寄付しなきゃ」とかじゃなくて、自分が興味を持った問題に対して、寄付というかたちで協力していく、ということなら、確かに、自分でもできそうなイメージがわきます。
YAMMYさんにお話してきたようなこと、「寄付って楽しいんだよ!」、「寄付が幸せを生み出すんだよ!」というメッセージを、多くの企業、NPO、行政や大学と協働して発信していく1カ月間でもあります。
SNSやポスターなどでこのキャンペーンを見た方が、寄付について改めて考えたり、それをご家族やご友人とシェアしたり、実際に寄付したりしてくださるきっかけになれたら嬉しいです。全国で企画が実施されます!
JAMMINのコラボTシャツを着て。左からJAMMINタカハシ、野球解説者の古田敦也さん、日本ファンドレイジング協会の三島さん。PHOTO BY TAROKARIBE
「みんなやっているから」、「よくわからないけど、お付き合いで仕方なく」とかじゃなくて、楽しく、自ら寄付というアクションを選択していく人が増えてくれば、寄付に対する意識はもっともっと変わっていくはずです。
日本ファンドレイジング協会では寄付の調査を行ってて、寄付者は約4割にのぼっています。
実は、これが東日本大震災の前は3割でした。震災で寄付した人は8割、震災後、1割も増えた事になります。
これが、もう1割増えて寄付者が国民の5割を超えてきたとき、寄付をしたことがない人にとっても、寄付っていうものに対する認識がガラリと変わると思っています。
日本って、空気社会というか、過半数が寄付者になったら、大きな変化が起きるんじゃないかと思っています。
今、日本の寄付は企業・個人合わせて年間で1.4兆円ほどですが、日本ファンドレイジング協会は2020年に寄付や社会的投資が10兆円時代の実現を目指しています。
寄付月間は、そこを目指していくために年に一回行われる大きなキャンペーン、ひとつのお祭りごとのようなイベントとして、寄付の魅力や楽しさを多くの方に伝えていければと思います!
最後に、今回のチャリティーの使途をお伺いできますか。
寄付月間推進委員会にて。小宮山委員長はじめ委員の皆さんも寄付月間を楽しみながら広げてくださっています!(TシャツのPINK/GRAYは別注アイテムとなります。)
インタビューを終えて〜YAMMYの編集後記
ちょうど三島さんのインタビューを行う2、3日前に、親の元に届いた「寄付のお願い」のダイレクトメール。
同封されていたパンフレットには、貧困の中、空の皿を携えて涙を流す子どもの姿が写っていました。
確かに、同じ地球の上で起きている問題です。
でも、実際に寄付したところで、何か変わるのか?本当に寄付したお金が、この子どもの空の皿と、胃袋を満たす食糧へと変わってくれるのか?本当に、困っている本人たちに届くのか?
そんな思いがふつふつと沸き起こり、「寄付金の使途もいくら必要とも書いてないし、正しく使われるお金かどうかわからないから、寄付は考えたほうが良いのではないか」と親に助言(?)したばかりでした。
インタビューの間、このエピソードを三島さんにもしたのですが、三島さんはむしろ同感してくださり、寄付を受ける側は「活動の内容や寄付金を使途をしっかり明示すること」、寄付をする側は「何でもかんでも寄付、ということではなく、興味がある分野や問題で協力できる」とアドバイスをもらいました。
寄付をした人は、お金を寄付するだけの部外者ではなく、「寄付」というかたちで問題解決に向けての活動に参加する一員である。そのことを理解したたき、何か遠くて不透明なイメージだった寄付が、初めて身近に感じられました。
三島さん、ありがとうございました!
また「寄付についてどう思います?」アンケートにご協力いただいた皆様ありがとうございました!(Special Thanks to ダイニング京)
日本ファンドレイジング協会との×JAMMINデザインは、寄付月間である12月の「12」の数字をモチーフにしました。
寄付は「欲しい未来に対して贈るもの」という協会からのメッセージを柔らかいタッチで表現しています。
女性の方にも楽しんでいただける、かわいらしくおしゃれなデザインです。
バッグもおすすめ!
(designed by DLOP)